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小鷹「理科と付き合ったら大変なことになった」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:06:12.29 ID:D0wWw93+0 [2/47]
「あんちゃん、もう寝る時間じゃ」

「おう」

小鷹はそう答え、液晶テレビの電源を切る。
今日は小鳩と遅くまで深夜アニメを見てた。

最初に妹の小鳩がベッドに横になり、小鷹もそれに続く。
小鷹のベッドだ。中学生という年齢を考えれば、普通は
年の近い兄と寝るのをためらいそうだが、小鳩は違う。

「小鳩、もう寝たのか?」

返事はない。代わりに小さな寝息が聞こえてくる。

(まだまだ子供だな。でも、そんなところも大好きだぞ)

妹の背中を優しく抱き、無防備な寝顔を眺める。
実年齢を考えれば幼すぎる顔だった。西洋人の血が
半分は言ってる割には童顔だ。大人っぽい星奈とは正反対。

小鷹にやましい気持ちはない。

この状況では説得力がないかもしれないが、ちゃんと合意の上だ。
小鳩としては毎日だって小鷹と寝たいと思ってる(性的な意味ではない)
兄のことがこの世界の誰よりも好きだからだ。

117 名前:サル食らうかもしれん 書き溜めはかなりしてある[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:08:42.06 ID:D0wWw93+0 [3/47]
小鷹は情緒不安定であり、1人で寝るのが怖かった。
アニメを一緒に見てたのもそのためだ。
妹が寝る時間まで一緒にすごしたかったからだ。

こうなってしまうと完全なシスコンのように思えるだろうが、
彼がこうなってしまったのには、もちろん事情がある。

それは一週間前の放課後だった。

部活終了後、理科と二人っきりになった小鷹は、
顔を真っ赤にしながら告白した。理科は半信半疑だった。

「えぇ? じょ、冗談じゃないんですよね?」

「もちろんだ。よく考えた上での行動だ。おまえの気持ちを聞かせて欲しい」

「そんなの……聞かなくても分かってるくせに。理科は始めてあった時から
 先輩のことが好きですよ。……大好きです小鷹先輩」

冷静を装いつつも、理科はかなり動揺していた。夜空たちに内緒で
部室に残るように言われた時点である程度予想してたが、
せいぜい頼みごとや悩み相談でもされるのだろうと思っていた。

なにより驚いたのが、あの朴念仁だった小鷹の方から告白してきたことだった。
理科たちの見解では彼は恋愛沙汰に興味ないと思われていた。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:10:46.50 ID:D0wWw93+0 [4/47]
一体どんな心境の変化があったのか訊いてみると、

「ああ。あれはふりだよ。おまえなら気づいてるんと思ったんだがな」

小鷹の話によると、夜空や星奈たちの好意を知りつつも、朴念仁のふりを続けていた。
小鷹とて若い男。極上の美少女達に好かれてうれしくないわけがないのだが、
仮に誰かと恋愛関係におちいれば、全体の人間関係が崩れると予想していた。

「先輩はピエロだったんですね。全部分かってて、
 それでも理科たちと友達ごっこを続けたかったと。
 隣人部の平穏の為に……ですか」

「そうだ。だがそれも限界だよ。嘘をつき続けるのも
 結構疲れるんだぜ? 俺はもう迷わないことにしたよ。
 自分の気持ちに嘘ついたまま青春を終わらせたくないしな」

「本当に理科でよかったんですか?」

「もちろんだ」

小鷹は理科を抱きしめたまま、はっきり言う。
身長差で、理科の頭が小鷹の胸の辺りにある。

心臓の鼓動がやかましく感じるほど理科は緊張していた。
異性の体温を感じるのは初めてだった。あこがれだった先輩に
抱かれてるという感触が夢みたいで、不思議な気分だった。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:12:17.38 ID:D0wWw93+0 [5/47]
「この際だから全部隠さず言うけど、理科のことはずっと好きだった。
 星奈でも夜空でもない、おまえのことが一番好みだ」

小鷹のセリフを補足すると、部員の中で一番好みだったのが理科。
容姿はもちろん、性格的な意味でも。初対面のときからある程度意識していたが、
時間がたつにつれてはっきりとした好意を抱くようになった。
(また、どちらかというと同い年より年下が好みだった)

小鷹はこのことは誰にも言わないで欲しいとお願いした。

理科は悪いことを思いついたいたずらっ子のような顔で、

「先輩、一つだけ条件があります」

「なんだ?」

「キスしてください」

それが、彼らが交わした最初のキスだった。
恋人同士のキスだった。しばらく互いの唇を堪能し、
さらに次のステップへと進み、帰ることにはとうに日が暮れてしまった。

ようやく彼氏彼女の関係に慣れたと浮かれたいところだが、小鷹は不安だった。
理科との関係は秘密裏に続けなければならない。表向きには同じ学校の同じ部に所属し、
先輩と後輩の関係。はたしていつまで隠し事が出来るかと考えていた。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:14:12.93 ID:D0wWw93+0 [6/47]
星奈は親同士が決めた婚約者同士。夜空は幼馴染で小鷹への執着が強い。
小鷹を慕ってるのは幸村も同様。さすがにマリアや小鳩とそういう
関係になるのはありえないとしても、多くの女子達から
好かれてる状態で前に進むのは勇気がいる。

小鷹が一番に恐れていたのは夜空だった。

理科と付き合ってから小鷹は少し変わった。その微細な変化にいち早く気づいたのは、
小鷹検定一級保持者といっても過言ではない夜空だった。

「小鷹は最近疲れてるんじゃないか。授業中もよく寝てるし」

「そうだな。ちょっと夜遅くまでゲームしてたからかな。
 星奈が貸してくれたギャルゲーだよ。絶対攻略しなさいよって
 うるさくてさ。…ははっ」

今日は理科と付き合ってから三日目の放課後だった。
教室には生徒が少しだけ残ってる。

「肉に借りたのか。ふん。ギャルゲーなんて何が楽しいんだか」

やはりそうだなと小鷹は思った。星奈の名前を出すだけで明らかに
不機嫌な表情になる夜空。はたから見てると分かりやすい。

夜空は先に部活に行ってるからなと言い、歩き出してしまった。

最近は部室まで小鷹と一緒に歩くようになっていた。
今日みたいに機嫌が悪くなければだが。

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:16:05.90 ID:D0wWw93+0 [7/47]
夜空は髪を切ってから性格が変わった。
いままでのキツイ感じが抑え目になり、なぜか小鷹に
色目を使ってくるようになってきた。

もちろん小鷹は肝心なことは聞こえないふりを
して誤魔化していたが、本心では迷惑していた。

前述したとおり、理科が一番好きなのだ。しかし安易に
理科と付き合えば、夜空が怒るのは目に見えてる。

夜空がしつように星奈をいじめるのが好きなのも、
小鷹と二人きりで作った部活に入ってきた邪魔者第一号だからと
考えれば納得できてしまう。同時にそれは、夜空の強い独占欲の表れでもある。


部室に入った小鷹を迎えたのは星奈だった。
机でコーヒーを飲んでいた。
カップの横には愛用のノートPCとヘッドホンが置いてある。

「遅かったじゃない小鷹。昨日貨したゲームどうだった?
 最低でもやよいルートだけでも攻略したんでしょうね?」

「あー悪い。昨日は疲れちまったから早く寝ちまってな。
 あいにくまだプレイしてないんだ。悪いな。
 今日帰ったらやるから勘弁してくれ」


123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:17:41.52 ID:D0wWw93+0 [8/47]
小鷹は愛想笑いした。

「もう、何よ。せっかく貸してあげたのに。あ、そうだ。
 どうせなら今から一緒にやってみない? あんたに貸したのとは
 違うシリーズの奴なんだけど、これに出てくるヒロインが
 見事に誰かさんそっくりで笑えるのよ」

星奈は画面を見せてくる。表示されてるのは黒髪のヒロイン。
根暗そうな感じの釣り目で、髪を切る前の夜空にそっくりだった。

「ほう。肉よ。誰にそっくりだって?」

読んでいた本から目を外し、反応する夜空。

「誰もあんたとは言ってないじゃない」

「あきらかに私の顔を見ながら言ってたろうが。
 肉の癖に私をバカにするとはいい度胸じゃないか。
 だいたい貴様は肉としての自覚がだな……」

なにげに喧嘩らしきものが始まってしまったので、
小鷹はため息をつきながら自分のイスに座る。

「あにき、紅茶とこーひーのどちらにしますか?」

「紅茶でたのむよ」

「かしこまりました」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:19:16.88 ID:D0wWw93+0 [9/47]
幸村が律儀にお茶だししてくれるのが何気に癒された。
星奈たちのいい争いなど日常茶飯事なのでスルースキルが
身についているのだろうが、それは小鷹も同じである。

「みなさん、こんにちわ。今日は少しだけ遅れちゃいました」

理科がやって来た。小鷹は彼女と目をあわさないようにした。
他人行儀の態度だが、夜空たちに内緒するためには仕方ない。

それは理科も同じで、部活中は可能な限り小鷹としゃべらないようにしていた。
浮かれてる気持ちが外部にばれたら大変だからだ。

「ところで肉よ、この音声に聞き覚えはあるか?」

夜空のICレコーダーからは、星奈のエロゲー朗読が流れた。
セイケンのブラックスターのラブシーンを朗読した際に
こっそりと録音されていたのだ。

「ちょ、ちょっと、なんであんたがそれを……!!」

「明日にでも校内放送で流そうと思うんだが、どうだろう?
 もしおまえが私に土下座して謝れば許してやらんこともないが」

「ご…ごめんなさい…」

「あぁ? 聞こえんな。もっと大きな声で言ってみろ」

「ごめんなさい!! 私が悪かったです!!」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:20:36.50 ID:D0wWw93+0 [10/47]
やけくそになって謝罪する星奈。もはや日常の風景になってしまっている星奈いじめだ。
結局星奈はどんな状況でも夜空に丸め込まれてしまい、優位には立てないのだ。

(星奈もバカだな。夜空に喧嘩売っても最後は負けるんだから)そう思う小鷹。

いつもの調子で部活が終わり、皆は帰ってしまった。
小鷹と理科以外は。

放課後は秘密を共有する時間だ。

「はうっ……せ、せんぱいっ……」

「あまり声は出すなよ。この時間とはいえ誰に見られるか分からないからな」

「は……はいっ……んっ……」

白衣の少女の肩を抱き、唇を強引に奪う小鷹。
理科は緊張して声が上ずっているが、
初めてのときよりは少しだけ慣れてきた。

扉には鍵をかけ、窓はカーテンでおおった。

「ひゃっ……理科の胸、ちっちゃくないですか?」

「そんなことないよ。俺はこのくらいの大きさの胸がちょうどいい」

制服の上から胸の感触を確かめる。理科の胸は確かに大きくないが、
小鷹は巨乳好きというわけでもない。胸の大きさを気にしてるのが
可愛かったので頭をなでてやると、恥ずかしそうに微笑むのだった。

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:22:19.95 ID:D0wWw93+0 [11/47]
年は一つしか違わないが、もう1人妹が出来たみたいだと小鷹は思っていた。

放課後の秘密の密会。誰にもばれないとは思うのだが、
さすがに学校でやるのは想像以上に気を張る。

ミッションスクールでなくとも、学生同士のセックスが
見つかれば即退学処分であろう。命綱もつけずに綱渡りしてる状態に等しい。
そういった危機感が背徳感になり、身体に火をつけていた。

「あっ……」

「もう濡れてきたか。さすがだな」

胸を愛撫しつつ下半身の様子も確かめてる。
ショーツを脱がし、スカートの中に手を突っ込む。
すでに男性を迎え入れる準備が出来てる秘所に指を挿入した。

「んんっ……」

首まで真っ赤に染めた理科が喘ぐ。
性に関してはオープンな態度をしてきた彼女だが、
実際に性交すると初心な反応を示していた。

ヒートアップした小鷹が二本の指でかき乱すと、
理科はあっという間に達してしまった。

やはり敏感になってると小鷹は思っていた。付き合って間もない今こそ、
性欲を発散する絶好の機会だ。お互いのことをもっとよく知る意味でもいい。
相思相愛だったのに、事情により恋人になれなかった二人。
だからこそ今が楽しくてしょうがない。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:23:36.83 ID:D0wWw93+0 [12/47]
「おら、どんどん入れるぞ。理科は犯されるのが大好きだったよな?」

「あっ……凄いです……小鷹先輩のおっきくなったものが……理科の中に!!」

「こらこら、あまり大きな声は出さないようにって言ったろ?」

「は、はい……でも……すごいです………んあっ……んっ……!!」

理科は四つんばいの体勢で、後ろから突かれていた。
声は予想以上に大きくなってしまい、小鷹から注意されてしまってるが、
若い身体はさらなる情熱を求めていた。

それは小鷹も同じであり、激しく揺れる理科の身体と髪を
見つめながらさらに欲情していた。
汗だくのピストン運動はさらに激しくなっていく。

「は、はじめにおまえに性交しましょうよって言われたとき……
 俺がどんだけ興奮してたか分かるか?」

「んっ……ああっ……あんっ……!!」

「思えばあのときから……理科を抱きたいと思ってた……
 こんなふうにめちゃくちゃにして……思いっきり……エッチな顔させて……」

「んああっ……だめえええっ……きちゃうううう……!!」

「イきそうなのか……? いいぞ……俺もまもなくフィニッシュだ……」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:24:38.47 ID:D0wWw93+0 [13/47]
理科が絶叫しながら絶頂に達し、小鷹も後から続く。

こうして理科と小鷹が密会してるのはこれで三度目。
一応重大な校則違反をしてるわけだが、悪気は少しもなかった。

小鷹は理科には言わなかったが、ひそかに戦慄していた。

(あれは見間違いじゃない……間違いなく金色の髪が見えていた)

小鷹はそう回想する。理科との行為が終わる直前、小鷹は快楽に酔いながらも
かすかに開いたカーテンの隙間から除いてる視線に気づいてしまった。
視線の主は、見慣れた金髪をなびかせながらすぐに去っていった。

小鷹の懸念どおり、星奈は偶然にも男女の密会を目撃してしまった。
部室に戻ってきたのは、忘れ物をしたのでもどってきたという
単純な理由だが、あまりにも間が悪かった。

(小鷹のバカ……!! なんで理科なんかと……)

星奈は泣きながら走っていた。
夜空にいじめられたときの涙ではない。
心が悲鳴を上げたときにでる冷たい涙だった。

(あいつ、あたし達に内緒で理科とあんなことしてたんだわ。
 女心に鈍感な振りして最低ね。あ、あたしは…小鷹の許婚なのに
 キスすらされたことないのに!!)

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:26:40.86 ID:D0wWw93+0 [14/47]
許婚としてのプライドが崩された星奈はショックだった。
何よりも一番気にくわないのが、小鷹がみんなに内緒にしてたこと。

星奈は体力の続く限り走り続けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日の昼休み、星奈は珍しく小鷹のクラスに顔を出した。

(まずいな)と思った小鷹がすぐ逃げ出そうとする。
十中八九、昨日のことを問いつめられるのは予想がつく。
ここには夜空もいるので、最悪、修羅場になりかねないと判断しての行動だ。

「待ちなさいよ。なんであたしの顔を見て逃げるのよ小鷹」

星奈の声が聞こえないふりをして早足で出て行く小鷹。
顔が青くなってるくせに、ものすごく白々しい態度である。
これではやましいことがあると白状してるようなものだ。

「肉よ。貴様は小鷹に何のようなのだ?
 こっちのクラスまでわざわざ出向くなんてめずらしいな」

自分の机で読書していた夜空が口を挟む。

「あんたには関係ないでしょ。ちょっと聞きたいことがあるのよ」

星奈はそれだけ言うと小鷹の後を追った。
廊下は人がまばらにいてざわついてる。のどかな昼休みの風景だ。


131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:28:19.15 ID:D0wWw93+0 [15/47]
小鷹は全力で走ったが、信じられないことに星奈のほうが早かった。
普段から夜空にいじられて泣いて逃げるのが
パターン化していたため、足が鍛えられていたのだ。

校内で有名なヤンキーと高飛車なお嬢様が追いかけっこをしてるものだから、注目度は高かった。

「……ふぅ。やっと捕まえたわよ小鷹。手間を取らせないでよね。
 てか何で逃げたのよ?」

星奈は小鷹の腕をしっかりと掴んでる。
さすがに逃げるのは無理かと観念した小鷹が一つため息をつく。

「……ちょっと用事を思い出したからな」

「どんな用事よ?」

「おまえには関係ないことさ」

突き放したような言い方にカチンとくる星奈。

「それってもしかして、理科に関係のあること?」

「……っ!!」

小鷹は動揺を隠せなかった。彼はペテン師として完璧じゃないのだ。
星奈も夜空に負けないくらい観察眼を持ってるから嘘は通用しない。

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:29:45.48 ID:D0wWw93+0 [16/47]
「理科の名前を出したら顔色が変わったわ。どうやら図星ね」

「く……」

「あんた、理科と付き合ってるんでしょ? 
 あ、聞こえなかったってのはなしだからね」

単刀直入に質問されてしまっては、
得意技のえ?なんだって?が通用しそうにない。
さらに逃げないように腕を掴まれてる。ばんじきゅうすだ(幸村風表現)

「……っ!!」 

顔つきが古代ギリシャの学者に変貌した小鷹。
脳内ではいかにしてこの危機的状況を脱するべきか対策が練られてる。

「小鷹。哲学者のような顔したって誤魔化されないんだからね。
 早く質問に答えなさいよ。あたしが悪鬼のごとく切れる前にね」

星奈は真剣な顔をしてる。嘘や冗談が言えそうな状況ではない。
ではどうするべきか。何か星奈を納得させられるだけの打開策があるのだろうか。

「探してしまったぞバカども。そこで何してるんだ。
 学校中の注目の的になってるじゃないか」

夜空だ。いつからそこにいたのか、腕組しながらジト目で星奈たちを見てる。
星奈は周囲を見た。確かに生徒たちに遠巻きにされてるのが分かった。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:31:02.05 ID:D0wWw93+0 [17/47]
「おっ、そろそろ予鈴の時間だな。遅刻する前に戻ろうか夜空」

「えっ……!!」///

小鷹に手を繋がれ、赤くなる夜空。いつもとは違う、乙女の顔だ。
ものすごく自然な動作で、かつ恋人に対してやるような動作だったから、
夜空はされるがままだ。二人は仲良さげに教室へ戻っていく。
ちなみにここは一年生の教室が並ぶ廊下だ。

(こ、小鷹が私の手を触ってる……小鷹が……小鷹が私と……)

奥手だから、自分からアプローチするのが苦手な夜空は、
手を握られただけでこの同様ぶりだ。

――ちょっと待ちなさいよ。まだ予鈴の時間じゃ……

星奈は喉元まで出そうになった言葉を飲み込まざるを得なかった。
振り向いた夜空の顔が、恐ろしく冷たかったからだ。

――肉、今いいところだから邪魔するな

夜空の目はそう訴えていた。恋する乙女から一転して鬼と化してる。
夜空の星奈に対するライバル心は並大抵のものではない。

星奈に出来るのは、黙って見守ることだけ。
夜空とは女同士で親友になりたいと思っていたし、
嫌われたくなかった。なにより夜空に本気で睨まれてるのが怖かった。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:32:54.73 ID:D0wWw93+0 [18/47]
ちなみに、予鈴の時間まであと十五分以上もあった。
小鷹にまんまと逃げられてしまったのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後になった。今日も隣人部は絶賛営業中である。
特に休む理由のないものは出席しなければならないのだが、
言うまでもなく小鷹は行きたくなかった。

(星奈がしつこい。うざい。そして胸がでかい)

理由はそれである。昼休みの件についてまだ答えていない。
昼休みは夜空をだしに強引に逃げることに成功したが、
今度はそうはいきそうにない。腹いせに胸でも揉んでやろうかと考えていたら、

「こ、小鷹。今日は一緒に部室に行かないか?」

もじもじしながら話す夜空。ロングだった髪は肩の辺りで切りそろえられてる。
小鷹が似合ってるぞと褒めてやったときはすごくうれしそうな顔をしたものだ。

「いいけど、少し時間つぶさないか? どうせすぐ行ってもやることないじゃないか。
 たまには二人きりで話でもしようぜ」

「ふ、二人きりで?」

「おう。二人きりで」

昼休みのとき以上に顔を真っ赤に染める夜空。
非常に分かりやすい反応であり、小鷹は苦笑しそうになった。

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:35:10.01 ID:D0wWw93+0 [19/47]
(さあ、これから夜空をどうするか。
 理科との関係は絶対に秘密にしたいところなんだか)

もし理科との件が夜空にばれたら最悪だ。それは小鷹にも分かってる。
しかしすでに星奈に知れてる以上、夜空や他の部員にばらされるのは
時間の問題と考えていい。だからこそ、夜空を部室に行かせるわけにはにはいかなかった。

「こ、小鷹……いきなり何を……」

「俺がこうしたいからしたんだ。嫌だったかな?」

「そ、そんなことはないぞ……というか、むしろうれしい……」

唐突に、夜空の手を握った小鷹。
昼休みに続き、本日二度目だ。夜空にとっては大事件。

手をつなぐというのは親愛の証である。理科と関係を持った小鷹は、
さらに夜空を手篭めにするつもりだった。夜空のデレ体制を存分に利用し、
自分に惚れさせる。しかし問題があった。

(……見られてるな)

小鷹は視線の主を探す。

夜空との逢引に等しいこの瞬間を目撃してる監視者の視線。
スパイは、かすかに開かれた教室の窓からこちらを除いていた。
碧眼。あんな目の色をしてる女は校内に一人しかいない。

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:36:19.76 ID:D0wWw93+0 [20/47]
(柏崎星奈にはストーカーの素質がある。もしくは何らかの施設で訓練されてる)

小鷹はこのように考える。もちろん憶測だが、そう考えることで自分を安心させていた。
きっと昼の続きを問い詰めに来たのだろう。しかし夜空がいるから
話しかけられず、ああやって遠くから見つめている。待ち伏せ作戦だ。
仮に小鷹が直帰しようとしたら、追跡してくるのは間違いない。

では、どうしたらよいのか。小鷹氏に質問してみる。

Q 小鷹さん、状況は膠着状態ですね

A あ~そうだな。星奈が必死すぎて泣けてくる。
  あと胸がでかいな。

Q 逃げ場はなさそうですから、
  素直に理科さんとのことを暴露されますか?

A 論外だ。理科との関係は絶対秘密にする。
  たとえ何と犠牲にしてもな!!

Q さすが校内で有名なヤンキー、意気込みは見事です。
  で、具体的な案はあるのでしょうか?

A 奇策を練る。まあ見てろ。それと俺はヤンキーじゃ…

これにて質疑応答を終える。


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:37:29.10 ID:D0wWw93+0 [21/47]
「おっと、手がすべった」

「な……っ!! なななななんああ……こ、こだか……」

「悪いな。つい手元がすべって。
 おっ、夜空の髪ってすげえいい匂いがするな。
 いつまでもこうしていたいくらいだよ」

どのように手がすべれば同級生を抱くという結論に至るのか。
夜空にはそれにつっこむ余裕すらない。
ここで注目して欲しいのは、教室にはまだ少数のクラスメイトが残っていることだ。
生徒達の視線をあびながら大胆にも抱き合うのは勇気がいった。

夜空は理科と違う匂いがした。背も高いので抱き心地が違う。
胸も思ったより小さくない。むしろちょうど良い。
この体勢でもやわらかい感触がしっかりと伝わってきた。

小鷹は一分くらいそうしてから、

「ソラ、続きはあとでしないか? ここじゃ人目につく」

「あっ……も、もう少しこのままでいちゃだめか……?」

「俺そうしたいけど、さすがに教室のど真ん中で抱き合ってるのは
 まずいだろう?」

適当に思いついた言葉を並べて夜空を説得する。

143 名前:ERROR:修行が足りません(Lv=3)。しばらくたってから投稿してください。[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:50:18.57 ID:D0wWw93+0 [22/47]
「悪いけど先に行っててくれ。俺は職員室に用事があるから少し遅れて行く」

「職員室だと? どんな用なのだ」

「まあまあ。いいから」

小鷹のごり押しに負けた夜空は、教室を出て行った。
言うまでもなく職員室に用などない。
夜空がいると事がうまく運びそうにないのだ。

黒髪の少女が去ったの確認してから、
小鷹は廊下に出て監視者に話しかける。

「出てこいよ星奈。いるんだろう? 俺と話そうぜ」 

穏やかな口調だが目つきは鋭く、予断を許さない。

「……」

視線の主は廊下の陰に隠れているが、金色の髪が見えてる。
何より胸と尻がでかい。どう見ても日本人離れしてるからよく目立つ。

「理科と俺のことで聞きたいことがあるんあろう?
 俺はもう逃げないと決めたからな。何でも聞いてやるから出て来いって」
 
「ちぇ、ばれてたのね。ストーカーの真似事も骨が折れるわ。
 慣れないことなんてするもんじゃないわね」

146 名前:連投規制の概要がよく分からん [] 投稿日:2011/12/23(金) 00:52:54.26 ID:D0wWw93+0 [23/47]
不機嫌そうな顔で言う星奈。気取った仕草で髪をかき上げる。

小鷹は噂が立つと嫌なので屋上で話さないかと提案。
星奈は賛成し、無言で歩みを進めたが、屋上の扉には鍵がかかっていた。
しかたないので直前の踊り場で話すことにした。

「それじゃきくけど、あんた節操なさすぎじゃない?」

星奈はジト目で話した。腕組してる。

「……理科のことを言ってるのか?」

「夜空のこともよ。理科と影であんなことしておきながら次は夜空?
 どんだけ女に飢えてるのよ。まるでケダモノじゃない」

「その前に一つ教えろ。おまえは昨日の放課後、隣人部に戻ってきたな。なぜだ?」

「忘れ物を取りに来ただけよ。そしたらあんたち二人が……」

「なるほどな。これで疑問が晴れたよ。で、おまえはどうしたい?」

「……? どういう意味?」

「確かに俺は理科と付き合ってる。誰にも知らせなかった秘密の関係だ。
 だが、それがどうした? 俺が誰と付き合おうと俺の勝手だろうが」

小鷹は感情のない声で言った。星奈になんと思われようと気にしてないようだった。
星奈は別人のように変貌した彼に対し、一瞬言葉を失ったが、すぐ目を細める。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:55:53.12 ID:D0wWw93+0 [24/47]
「夜空と抱き合ってたけど、あれは何よ。浮気じゃないの?」

「夜空は俺の親友だ。幼い頃からの唯一の親友だ。抱き合っても別におかしくないだろ」

「なにを…言ってんのよ? 理科は彼女で、夜空は親友だってこと?」

「そうだ。不満か? もしおまえが納得しないなら、俺は部活を辞めるぞ」

思いもよらない返し方をしてきた小鷹。これには星奈も慌てる。

「ちょ!! なんでいきなり部活を辞める話になるのよ!!」

「くだらないお友達ごっこに疲れたんだよ。あれは夜空が作った部活だ。
 俺は気に入らなくなったから辞めるだけ。簡単な話だ」

「な、何も辞めなくてもいいじゃない」

「今決めたからな。星奈とも会わないようにするよ」

「待ってよ。あたし達のこと嫌いじゃないのよね? 理科や夜空だけじゃなくて、
 幸村やマリアや小鳩ちゃんだってあんたと一緒にいたいと思ってるのよ。
 せっかくここまで続いた部活じゃない。それでも辞めるっての?」

「……悪いけどもう決めたことなんだ。俺の決定に変更はないよ」

あまりにもそっけない一言だった。星奈の氷の刃で胸を刺された気分になった。
小鷹は、これ以上話すことはないと言わんばかりに歩き出す。


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:57:32.63 ID:D0wWw93+0 [25/47]
「じゃあな柏崎さん。今まで一緒にいられて楽しかったよ。
 俺が辞めれば隣人部は自然崩壊するだろうな。おまえは
 また一人ぼっちに逆戻りだ。けど柏崎さんは人気者だから大丈夫だよな?
 下僕の男達に囲まれて楽しくすごすといいさ」

「ま、待ちなさいよ」

「……」 

「待ちなさいって言ってんのよ!!」

「……ん? なんだよ。まだ何かあるのか?」

小鷹は無表情で振り返った。恐ろしく淡々としてる。
彼の服のすそをつかむ星奈は対照的に涙目だった。

「あたしはあんたと離れたくないの!! あたしたちは……許婚じゃない!!」

「たしかに、親同士が決めた婚約者ではあるな。だが俺は理科を選んだ。
 恋愛は個人の自由だから誰を選んでも問題ないよな?
 悪いけど、親父さんによろくし言っておいてくれよ柏崎さん」

「なんでさっきから苗字で呼ぶのよ……?」

「簡単だよ。俺とお前は隣人部という繋がりがあるから知り合えた。
 それだけの関係だろ? 俺は部活を辞めるから、もう会うこともないもんな?」

一方的な決別。小鷹は非常にもそれを共用してきたのだ。

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 00:59:35.66 ID:D0wWw93+0 [26/47]
つい先日まで普通の日常を謳歌してきたのに、
いきなり谷底に突き落とされて、誰が納得できるだろうか。

星奈の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
泣きたくなんてないのに、感情が抑えきれなかった。
みじめでくやしくて、どうしようもなかった。

最初は小鷹と他の男の子とは違うと思っていた。
少ししてその気持ちは彼への恋心に変わる。
誰よりも彼のことを意識するようになった。

でも彼は死神だった。星奈を救ってれる天使じゃない。

「うっ……ひぐっ……ぐすっ……」

柏崎星奈は泣き虫だ。派手で大人びた外見とは裏腹に、中身は幼い。
今の彼女を例えるなら、デパートで親とはぐれた子供だろうか。
ようやく幼稚園に通い始めたくらいの年齢で、
右も左も分からぬ存在。極めて弱い存在だ。

小鷹の脳裏で昔の妹の姿が浮かんだ。
小学生だった頃、小鳩はいつも人見知りしていた。
派手な外見をしてるせいで、歩くたびに人にじろじろ見られる。
そういう時は決まって恥ずかしそうに兄の背中に隠れるのだ。

そんな妹が誰よりも好きだった。


152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:01:28.33 ID:D0wWw93+0 [27/47]
皮肉なことに、星奈も西洋風の容姿をしている。
透き通るように白い肌と、流れるような金髪。

いくつかの部分が妹の外見と一致してしまう。
いやでも小鳩を思い出してしまう。
あの時の小鳩の顔を。

(星奈……)

無常だった男が人間らしさを取り戻した瞬間だった。
彼はもともと面倒見がいい男だ。父が不在のため、
特に年齢の近い妹と長年一緒に暮らしてきたこともあり、
自然とそういうスキルが身についてしまった。

だからつい星奈にかまってやりたくなってしまう。

「ほら」

「うぐっ……えっ……これは」

「ハンカチだ。涙ふけよ。美人が台無しだぞ」

ぶっきらぼうな口調でハンカチを渡す小鷹。

地毛が金髪なため、校内では不良として知れ渡ってるから、
少しでも身なりを改善するために常に持っていたのだ。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:03:10.31 ID:D0wWw93+0 [28/47]
「う、うん。ありがと」

星奈は神妙な顔で涙をふいていた。さっきまで冷たかった男に
突然優しくされ、感情の整理が追いつかない。
笑ったらいいのか泣いたらいいのか迷っていると、

「ごめんな星奈」

「えっ」

「実はイライラしててさ。星奈に八つ当たりしちまった。
 そのことは悪かったよ。謝る。これからはちゃんと
 下の名前で呼んでやるからな星奈」

「こ、小鷹……っ!!」

花が咲いたかのように明るい表情をする星奈。
今すぐ小鷹の胸に飛び込んで抱きしめて欲しいほどうれしかった。

だが、小鷹は手のひらを返した。

「でも俺は隣人部を辞めるぞ」

「……!? な、なんでよ?」

「夜空とは親友、理科とは彼女だ。こんな状況で隣人部を続けられると思うか?
 無理だろうな。現にお前は納得してないし、幸村だって分からんぞ。
 知ってると思うが夜空は俺に惚れてる。異常なくらいにな。たぶんメンヘラだ。
 きっと恋人ポジの理科に猛烈に嫉妬するだろうから、悲惨なことになるぞ」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:05:03.60 ID:D0wWw93+0 [29/47]
これ以上星奈を泣かせたくなかったが、言わざるを得なかった。
夜空はまだ理科と小鷹の関係に気づいてない。今のことろは安心だが、
遅かれ早かれ理科とのみだらな関係が知られれば、最悪の修羅場になる。

何より痛いのが、すでに星奈に知られてるということ。
付き合って間もないのに部員の1人に知られたのは誤算だった。
あまりにも早すぎる。仮に星奈がこの事実をみんなに公表すれば、小鷹は終わる。

「どうだろう。星奈が黙っててくれれば、隣人部は廃部しなくてすむ」

「……理科のことを口外するなってこと?」

「そうだ。知ってるのはおまえだけ。おまえが何も知らないふりをしてくれれば、
 いつもどおりの日常を送れる。悪くない話だろ?」

「で、でも……」

「頼むよ星奈。おまえもメンヘラの恐ろしさは知ってるだろ?
 夜空にだけは絶対に秘密にしないと色々やばい」

「確かに前やったゲームでメンヘラとかヤンデレの女の子が
 リスカとかしてたけど。でも………」

小鷹は真剣な瞳で星奈を見つめてる。一方の星奈は戸惑ってる。
いきなりこんな話をされ、すぐには返答できないのだ。
うつむいたり、小鷹の顔を見たりと視線がいったりきたりしてる星奈。
素直だから感情がすぐ表に出る。

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:07:19.13 ID:D0wWw93+0 [30/47]
見てると面白い光景だが、小鷹は待ってやるつもりはなかった。

「……はぁ。やっぱり駄目か。無理言ってすまなかったな星奈。
 残念だけど今日でお別れみたいだ……じゃあな」

「ちょっと待って!! お願い」

「なんだ?」

「……ったわよ」

「聞こえないぞ?」

「分かったって言ったのよ!! 理科と小鷹のことは誰にも言わない。誓うわ」

次の瞬間、小鷹の手が星奈の頭に載せられていた。

「そうか。いい子だな星奈」

「こ……だか……?」

星奈は目を見開いて驚いていた。小鷹に頭をなでられてる。
優しさに甘えちゃ駄目だと自分に言い聞かせたかった。
彼は理科に夢中。夜空や星奈のことは遊びなのだ。

それが分かっていても、星奈は彼から離れたくなかった。


156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:08:55.41 ID:D0wWw93+0 [31/47]
「小鷹、お願いよ。私のことも抱きしめて」

口から信じられない言葉が出る。
本当は夜空や理科がうらやましかった。

ぎゅっ

小鷹は無言で優しく抱きしめてくれた。
星奈は男の腕に抱かれるのは初めてでドキドキしていた。

(あったかいわ。これが小鷹の体温なのね……)

体温が制服越しに伝わる。辺境から自分のいるべき場所へ帰ったような心地よさ。

(小鷹があたしを見てくれる……あたしを可愛がってくれる……)

男のごつごつした指で髪をなでられても少しも嫌じゃなかった。
むしろもっと触って欲しかった。髪だけでなく、
小鷹が望むのなら、それ以上の部分も……

実はその心境は、小鳩のそれに近かった。
星奈は小鷹のことを兄のように思ってたのかもしれない。

結局、二人がそれ以上の行為に発展することはなかった。
現時点で小鷹がそれを望んでなかったし、ここは学校だ。

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:11:01.90 ID:D0wWw93+0 [32/47]
奈を懐柔するという目的を達した以上、
これからの対策を練らなければならない。

その日は部活をスルーして帰途につくことにした。
一応理科には言い訳のメールをしておいた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事件は次の日の部活で起きた。

難しそうな本を読んでいた理科が
文章から目を離し、唐突に言う。

「小鷹先輩。浮気するのは楽しいですか?」

小鷹は何気ない顔で幸村がいれてくれたコーヒーを
飲んでいたが、冷凍保存した魚のように固まった。
夜空は読書、星奈はギャルゲーをしてたが、それぞれ動きを止めた。
マリアと小鳩は来てない。

「何の話だ?」

小鷹がとぼけるが、理科は容赦なく追求する。

「昨日は部活を休みましたね。どこで何をしてたんですか?」

「具合が悪くなったから家に帰ったんだよ。そんで家で寝てた」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:12:48.64 ID:D0wWw93+0 [33/47]
「っ……どうして……嘘つくんですか?」

怒りと悲しみが混じった声だった。激情のあまり全身が震えてる。
もはや嘘などつける状況ではない。部室の空気は修羅場のそれだ。
小鷹は本音を語るしかなかいと判断した。一切の脚色はなしで。

「すまん。本当は屋上で星奈と話してた」

「……何を話してたんですか?」

「俺と夜空の関係についてだ。俺が夜空と付き合ってるんじゃないかって
 訊かれたから違うと答えた。夜空は俺の昔からの友達で、理科が彼女だって説明した」

「そうですか。星奈先輩とやましいことはなかったんですか?」

「星奈が泣いちゃったから抱きしめてあげたかな。それ以外は何もしてない」

衝撃の事実に言葉を失う理科。理科は全てを知っていたわけじゃない。

彼女は小鷹の怪しい行動に気づいていたので質問してみたのだ。
すると、星奈との密会が知れた。きかなきゃ良かったとさえ後悔していた。
付き合い始めて一週間もたってないのに、
金髪の先輩と浮気まがいのことをされたのは許せなかった。

「ほう。それは知らなかったな。小鷹は理科と付き合ってたのか? 
 さらに肉と抱きしめただと?」

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:14:11.36 ID:D0wWw93+0 [34/47]
切れてるのは夜空も同じだ。あえて落ち着いた口調で
話しかけてくるのは、生ハンパな怒りじゃないこということだ。
無言で座ってる小鷹の胸倉を掴み、問い詰めようとする。

「暴力はよくないわよ夜空。やめなさいよ」

「邪魔だ。別に暴力を振るおうとしたわけじゃない。質問してるだけだ」

星奈が横から止めようとしたが、夜空にすごい顔で睨まれた。

「小鷹、今言ったことは本当なのか?」

夜空は感情のこもらぬ目で小鷹を見つめた。睨むより恐ろしい視線だ。

「本当だよ。今さら嘘ついてどうする。俺は理科と付き合ってるよ」

小鷹が不敵に言う。いずれ知られることは覚悟していたが、
昨日の今日で事態が急変しすぎていると感じていた。

全ては理科と付き合うようになってからだと考えた。
その時から歯車が狂ってしまったかのように、運命が回り始めてる。

「小鷹先輩は理科のことをどう思ってますか? 
 ただのセフレですか? 本当は星奈先輩たちのほうが好きですか?
 やっぱり私なんかじゃ星奈さんみたいに女らしくないし、
 しかたないですよね」


161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:16:07.21 ID:D0wWw93+0 [35/47]
「信じてもらえないかもしれないけど、今でも理科のことが一番好きだよ。
 もちろんセフレじゃなく彼女としてだ。だから付き合おうと思ったわけだしな」

理科の問いに小鷹が答えた。理科はまだ納得できず、質問を続ける。

「じゃあどうして星奈先輩と屋上で会ってたんですか?
 抱きしめ合うって普通しませんよね? 星奈先輩と浮気したなら
 はっきりそう言ってください。嘘つかれるより気が楽です」

「まあ聞けよ。星奈が泣いたから、なぐさめるために仕方なく抱いてやった。
 本当に抱きしめただけだ。それ以上何もしてない。
 星奈と付き合おうとか思ってるわけじゃないんだ」

それに星奈が補足を加える。

「そうよ。私だって小鷹を奪おうとか思ってるわけじゃないの。
 小鷹が隣人部を辞めるとか言い出したから…ちょっと動転しちゃって…。
 それで……その……こ、小鷹は誰にでも優しいのよ!!
 小鷹の性格はみんな知ってるでしょ?」

「いやらしい肉だな。その身体で小鷹を誘惑してたんだろう?
 屋上で密会してたなんて怪しすぎる。学校中の男を手下にしてる貴様のことだ。
 浮気してたと考えるのが妥当だろう」

鋭い視線で星奈を見つめる夜空。

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:18:06.02 ID:D0wWw93+0 [36/47]
「浮気なんてしてないって言ってるじゃない!!」

「必死になるところがますます怪しいな。現に貴様は小鷹をかばってる。
 誰もが小鷹を疑ってる状態で、貴様だけは小鷹を擁護してる。
 さらに抱き合っただけとは、あくまで貴様らの証言にすぎん。
 証拠不十分だし、状況としては嘘をついてるとしか思えん」

「なによ。疑い深いバカ狐ね。あんただって昨日……小鷹と手をつないだり
 してデレデレしてたくせに!! あたし見てたんだからね!!」

夜空は血の気が引いてしまった。一方、幸村は空気だ。

「浮気というならあんたと小鷹の関係はどうなのよ!?
 小鷹にリードされて顔真っ赤にしてじゃない、このエロ狐!!」

「そ、それは……小鷹が理科と付き合ってるなんて知らなかったし。
 それにあれは小鷹のほうからだな……」

うろたえて話す夜空。形勢は逆転しつつあった。

「小鷹先輩は夜空先輩にも手を出してたんですか?
 いくら現役高校生とはいえ、すごい性欲ですね」

理科は完全に小鷹を疑ってる。ここから説得するのは難しい。

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:20:10.59 ID:D0wWw93+0 [37/47]
「みなさん、とりあえず、おちついて意見交換されてはいかがでしょう。
 あにきもごらんの通り混乱してらっしゃいますし、
 けんか腰になるのはよくないかと」

幸村が言うが、誰も聞いてない。

女たちの怒りのボルテージは、さらに高まるばかりだ。

「先輩……理科に言うことありませんか?」

「……くっ。頼む。もっとよく話を聞いてくれないか。 
 まだ言いたいことはたくさんある。俺にも色々と事情が……」

「こんなカオス状態で話なんて聞けるわけないじゃないですか!!
 小鷹先輩のバカ!! 浮気者!! 大っ嫌いです!!」

怒鳴る理科。本気で怒ってる理科を見たのは初めてだった。
理科はダッシュで部室を飛び出ていった。

(……まるで悪夢じゃないか……なんで……こんなことになったんだ……?)

小鷹はイスにぐったり寄りかかる。胃が急激に痛みだして苦しかった。

今も口論を続けてる星奈と夜空には、苦悶の表情を浮かべる
小鷹のことなど頭に入ってない。

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:22:03.39 ID:D0wWw93+0 [38/47]
「だいたい貴様はいつも私の邪魔をする!! もともと私と小鷹の二人で
 作り上げた部活なんだぞ。貴様のような高飛車女がシャリシャリ
 入ってくるから風紀が乱れるんだ!!」

怒鳴る夜空に対し、星奈も言い返す。

「はぁ? 意味分かんないわ。何が風紀よ、笑わせるわ。
 あたしだって友達いないんだから入部資格は満たしてるじゃない。
 それに小鷹とあたしは許婚なの。いずれは結婚する運命にあるんだから、
 一緒にいるのは当然でしょ?」

「それは小鷹が決めることだ!! 現にあいつは理科を選んだじゃないか!!」

険悪さが増し、夜空が星奈を殴りかかる寸前になっていた。
幸村が横から仲裁に入ろうとしたが、夜空にビンタされた。
怒れる魔女にとって、仲裁者は敵だった。

完全に修羅場である。幸村はどうしたらいいか分からず、おろおろしてる。

星奈は腕組みしながら夜空を睨んでる。

「でも、もう破局したみたいよ? 理科なら泣きながら出ていったわ。
 これで小鷹はフリーね。次は誰を選ぶのかしらね」

「少なくとも貴様のような性悪女じゃないのは確かだろうな」

「性格が悪いのはあんたも同じじゃない。偉そうにしないでよ貧乳。
 あきらかに女としての魅力に劣るくせに、どこからそんな自信が出てくるのよ!」

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:24:34.42 ID:D0wWw93+0 [39/47]
星奈もかなり頭にきてる。夜空を罵倒する言葉には容赦がない。
彼女とて本心では夜空と友達になりたいと切望していたが、
それも過去の話になってるのか。
婚約者を自分のものにしたいという欲が彼女を狂わせてる。

理想郷の崩壊が近づいてるのを小鷹は感じていた。
友達を作るという目的のクラブは幻想にすぎなかった。

(もうやめろ。なんで皆で言い争わなきゃならないんだ……!! うぅ頭が痛い……。
 もういやだ……俺はここにいるべきじゃない……ここは俺の居場所じゃない…!!)

「あにき、しっかりしてください。お気をたしかに」

幸村の声すら聞こえていない。無視したわけではなく、考え込んでいるのだ。
割れそうなくらいいたい頭を抑え、低くて小さなうめき声を上げてる。

小鷹の症状に呼応するかのごとく、夜空たちの言い争いは泥沼になっていた。

「そうかそうか。肉よ。おまえの言いたいことはよく分かった。
 なるほど。どうあっても私たちは分かり合えないらしい。このまま不毛な
 話し合いをしてても無駄だろう。どちらかが消えることでしか解決しそうにないからな」

「何よその言い方? まさかあたしに辞めろって言いたいの!?」

「バカ女にしてはカンがいいじゃないか。その通りだよ!! 私は部長だ。
 貴様を首にする権利を持ってる。だがそれでは横暴すぎるから、
 間を取って小鷹に決めてもらおうと思う。小鷹は私と同じ設立に立ち会った
 人間だから文句ないだろう? あとから入ってきたお前と違ってな?」


169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:27:17.13 ID:D0wWw93+0 [40/47]
「そんなの小鷹が認めるわけないじゃない!! 
 どうしてそういう考え方しかできないのよ!! 性格が腐りきってるわ!!」

「そういう貴様はどうなのだ!! 理科から小鷹を奪おうとしたくせに!!
 この色情魔め、おまえの下僕の男たちもそうやって誘惑したんだろうが!!
 ああ、貴様には身体しか魅力がないからな。頭は空っぽのバカ女だ、メス豚だ!!」  

殺伐とした雰囲気と甲高い声が小鷹の精神を消耗させる。
二人とも腹の底から声を出してるからすごい音量だ。

(うぅぅぅ……怒鳴り声が頭に響いてくる……痛いよ……
 目の前が真っ暗になりそうだ……もう何も考えられない……
 誰か助けてくれ……いやだ……もういやなんだ……誰か……)

心が沈没しそうになる。嵐に見舞われ、波に飲まれそうになってる船と同じ。
しかし人間の精神とは不思議なもので、どん底に落ちた時こそ這い上がろうとする
力がみなぎってくるのもなのである。例えるなら、死に直面した時、
生に対する執着が異常に強まるのに似てる。

激流から緩やかな水の流れに変化したのを想像して欲しい。
小鷹の中で、何かが目覚めようとしていた。

「そもそもなんで隣人部なんて作ろうと思ったのよ!?
 どうせ小鷹と二人きりになるのが目的だったんでしょ?
 いやらしい女ね。あんた、あたしのことメス豚とか色情魔とか
 バカにしたけど、あんたのほうがよっぽど変態じゃない!!」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:29:21.44 ID:D0wWw93+0 [41/47]
「ぐぬぬ……」

機関銃のような早口で星奈の罵倒が展開されており、
夜空が押され気味だった。

「しかも小鷹には気づいてもらえないなんて滑稽ね!!
 小鷹に面と向かって好きだって一度でも言えましたか?
 ちゃんと自分の気持ちを素直に伝えられましたか? できないわよね。
 だってあんたクズだもん、根性なしの臆病者だもん!! 
 一生ボッチでいなさいよ!! ばーーーか!!」

「くっ、キサマ……言わせておけば…!! 私を怒らせたことを後悔させてやる」

ついに夜空が星奈に掴みかかろうとした。

そのとき、男が動いた。
強く握り締めた拳を、怒りと共に机に叩きおろした。
砲撃のような轟音が鳴る。机が割れてしまうほどの勢いだった。

夜空は驚愕し、動きを止めざるを得なかった。

「もうやめろ二人とも。俺が悪いのは分かってる」

「しかし、肉がだな……」

「夜空が悪いんじゃない!! 喧嘩売ってきたのはそっちよ!!」

「うるせえ!! やめろってんだよ!!」

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:31:05.99 ID:D0wWw93+0 [42/47]
男の声で怒鳴る小鷹。その迫力が、夜空らの言い訳を許さなかった。

(こ、小鷹が怒ってる……?)

夜空は脅えてる。星奈は豹変した小鷹を、
株価変動を見守る日銀の総裁のように注視していた。

本気で怒る男の迫力と言うのは中々目に出来るものではない。
日銀総裁のように注視してる人は、昨日小鷹の豹変振りを見てたので
夜空ほど驚いてはいなかった。はたして今日の日経平均株価はどうなってるのか。

「俺が言えた義理じゃないが、みんな熱くなりすぎた。
 冷静にならないと俺たちの部は終わりだぞ?
 俺たちは仲間なんだ。隣人部がこんな理由でつぶれていいわけがない」

「……」

星奈らは黙って話を聞いていた。黙れと言われたので黙るしかないのだ。
一方、幸村は出番が少なくて空気だ。反省はしてない。

「俺は隣人部が好きだ。絶対に辞めたくないし、誰が欠けても嫌だ。
 全員そろっての隣人部だ。理科との関係を内緒にしたのもそれが原因だ。
 現にお前らは喧嘩してるじゃないか。俺はこうなることをある程度
 予想してたんだよ」

落ち着いた口調で独白する小鷹。呆然した表情で聞いてる
黒髪と金髪をよそに、空気だったメイド少女を心配する。

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:33:20.83 ID:D0wWw93+0 [43/47]
「幸村、ほっぺた腫れてるんじゃないのか? 大丈夫だったか?」

「だいじょうぶです。濡れたハンカチで冷やせばなんとか…」

「そうか。おまえは偉いな。幸村」

「あ、あにき……」///

夜空にぶたれたのとは違う意味で顔が赤くなる幸村。

「おい夜空」

「は、はい」

小鷹に呼ばれた夜空が、あきらかに緊張してる。

「幸村に暴力を振るったのはちゃんと謝れよ。
 たしかに星奈も言い過ぎたかもしれないけど、
 殴ったのは事実だ」

「そ、そうだな……。幸村。ぶったりしてすまなかったな」

「あたまをあげてください、よぞらのあねご。
 わたくしは気にしておりませんので」

夜空が素直に謝ると、幸村は笑って許してくれた。まさに天使である。

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:35:22.37 ID:D0wWw93+0 [44/47]
話がそれてしまって恐縮だが、幸村はトゲがない性格で癒されると思う。
隣人部という個性派集団の中では空気キャラにすぎないが、
目立たない=主張が少ないという意味で貴重な存在である。

今回のように夜空や星奈の激しい喧嘩が起きた際でも、
幸村と言う一輪の花が存在する限り、我々は癒されるのである。

幸村のような癒しキャラは、必要な場面までとっておく事でその効力を発揮する。
したがって、今後も幸村が空気キャラとして扱われることが多くなると思うが、
それについては了承していただきたい。

また、筆者は幸村派ではないことを断っておく。
特にどのキャラに思い入れがあるわけでもないので、
まんべんなく色々なキャラを登場させたいと思ってる。

修羅場なシーンで不自然ともいえるギャグシーンが入るのは『遊び』だ。
シリアスな場面が続いては読者諸君らも疲れであろう。
(作中の雰囲気をぶち壊すなと言われればそれまでだが)

さて。余談がすぎたので本編に戻る。

小鷹はその後、今日は解散するよう皆に伝えた。
時計の針は六時を過ぎてる。文化部の生徒はとっくに帰らないといけない時間だ。
幸村は上品に挨拶してから去り、夜空と星奈は互いに視線すら合わせず消えていった。

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:36:37.48 ID:D0wWw93+0 [45/47]
翌日。夜空は小鷹と教室で会っても挨拶もしてくれなかった。
小鷹は最初嫌われてしまったのかと思ったが、どうも違うようだった。
昨日の1件以来彼女も色々と思うところがあったようで、何か考え込んでいるようだった。

小鷹には彼女の考えなど分からないが、夜空は部室にも顔を出さなくなった。
その日の隣人部は閑散としていた。いるのは小鷹の他に来てるのは
星奈、幸村、マリアだけ。理科の姿はなかった。

次の日も、その次の日も、状況は変わらなかった。
部長と理科はいまだに不在。小鳩とマリアたまに顔を出すだけで、
基本的にはいつもの三人だけが部活に出席した。

(理科はどうしてる?)

もしかしたら学校にも来てない可能性もあったが、小鷹は詮索はしなかった。
あんなことがあったのだ。いまさら下手なフォローを加えても、
逆上させるだけだと思ったからだ。
もちろん彼女が今どこで何してるのかなど知る者はいない。

(もしかしたら二度と来ないのかも)

誰もがそう思ったが、口に出す者はいない。
幸村や星奈は部の存続を強く願ってる。だから出席したわけだ。

しかし、部室の空気は重かった。星奈が問いかける。

「小鷹、夜空は今日も来ないの? あいつが休むようになってもう三日じゃない」

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:38:17.49 ID:D0wWw93+0 [46/47]
「ああ、あいつはな。体調不良だそうだ」

「そう……」

視線を机に落とす星奈。小鷹は夜空が休んだ本当の理由は知らない。
ただ具合が悪いからしばらく休むと伝えられたのだけだった。
授業が終わったら逃げるように帰ってしまうから取り付く暇もない。

沈黙に耐えられなくなった小鷹は、

「星奈、幸村。あの日のことは、その……すまなかったと思う」

「謝らなくていいわよ。誰のせいでもないんだから」

「あにきがあやまるなんて、らしくありませんよ。
 夜空のあねごたちなら、きっとまた来てくれます。
 いまは心の整理をするじかんが必要なのでしょう」

星奈と幸村はそう言うが、

「いや、俺が悪いのは分かってるんだ。理科と夜空にはあとで話をつけるつもりだ。
 いつまでもこんな状況が続くようだったら、だけどな。責任は俺にある。
 最終的には俺が何とかするつもりだ」

「小鷹……」

星奈は、思いつめた様子の小鷹を気の毒そうに見つめていた。
小鷹にだって恋愛する自由はあったのは確かだ。理科を選んだのは星奈としては
残念な結果だったが、今思えば詮索しすぎたとも思っていた。


182 名前:>>↑の人 たぶん二時過ぎくらいかな。あと支援ありがとう[] 投稿日:2011/12/23(金) 01:40:38.50 ID:D0wWw93+0 [47/47]
あのまま二人を自由に交際させておけば、
隣人部崩壊の危機にはならなかったかもしれない。
そう考えると少しだけ後悔していた。

星奈は、小鷹が隣人部を辞めると言い出した時の事を思い出した。
女の子に囲まれた状態で、誰か1人を選んでしまうのは
それだけのリスクを意味していたのだ。

その日も重苦しい雰囲気のまま部活は終わった。


小鷹は1人だけ部室に残り、泣いていた。

「……うっ……く………っ……!!」

全ては自分のせいだと思っていた。理科と付き合ったのが全ての始まり。
皆に秘密に出来るなどと考えたのが甘かった。夜空たちにばれれば
こうなることは分かっていた。だから今まで前へ進もうとしなかった。

あいまいな関係のまま友達ごっこを続けていれば、
誰も傷つかなくてすむ。許されるなら、あの時に戻りたいと思っていた。
鈍感なピエロを演じ、少女達のアプローチを受け流す日々。

でも小鷹はそんな自分が嫌だった。このままずるずる学園生活を
送れば同性の友達はきっと1人も出来ない。そうなると思っていた。
学園でボッチでいるのがどれだけの苦痛だったか。
彼は大人になっても、この時のさみしさを忘れることは出来ないだろう。


183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:43:07.17 ID:D0wWw93+0 []

夜空たちから好意を寄せられてるのはもちろん気づいてる。
これからも女の子達とすごす日々も悪くないと思っていた。

でも彼女を作りたいという平凡な高校生としての
欲求に逆らえず、一番好みだった理科と交際してしまった。
わがままなのはもちろん分かってる。でも涙が止まらなかった。

いきなり隣人部の扉が開く。

「小鷹は……さみしかったのね?」

柏崎星奈だ。解散したのは二十分前だから、わざわざ戻ってきたことになる。
星奈は手を伸ばし、包み込むように抱きしめてきた。背後からだ。
小鷹は背中に星奈の感触を感じていた。柔らかい感触だった。

「……うぅっ……せっ……星奈か……なんで……ここに?」

嗚咽交じりでよく話せない小鷹。
泣き顔は見られたくなかったが、もう遅かった。
流れ続ける涙をぬぐう余裕すら、彼にはなかった。

「あんたが辛そうな顔してたから心配で戻ってきたのよ。
 もしかしたら部室で引きこもってるんじゃないかって思ったら、
 その通りだったみたいだからね。でも、もう大丈夫よ小鷹。
 あたしが一緒にいてあげるから」

なぜ優しくしてくれるのか。小鷹は理解できなかった。



184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:44:10.79 ID:D0wWw93+0 []

「……どうして俺をかばってくれるんだ? 俺は最低なのに」

「そんなに自分を責めることないんじゃない?」

「え?」

「あたしたちはまだ若いんだから、恋愛関係でこじれることなんて
 よくあるでしょ。これからもきっとね。いちいち気にしてたら
 キリがないと思わない?」

「……そ、それは」

「理科のことはもう忘れて。あまり考えすぎると病気になるわよ」

星奈は正面に回り、小鷹と視線を合わせた。
笑ってるわけでも、怒ってるわけでもない。
真摯な表情だった。わずかに香水の匂いがする。

「あたしなら、小鷹のそばにいられるわ」

「え……?」

「あたしは裏切らないって約束できるし、突然あんたのそばから
 離れたりしないわ。ねえ、あたしじゃ駄目なの?」

距離が近すぎて吐息がかかる。

「で、でも俺はこれ以上は……」


185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:45:36.95 ID:D0wWw93+0 []

「理科以外の女とは付き合いたくないっての? なに堅いこと言ってんのよ。
 理科とはもう破局したようなもんじゃない。あの子がマジ切れしてたの
 見たでしょ? いつまでも終わった恋について悩むより、次へ進んだ方が
 有意義だと思わない?」

意識してないわけじゃないが、星奈の豊満な胸に視線がいってしまう小鷹。
さみしさを埋めてくれる存在。それは闇を照らす光に等しい。
いけないと分かっていても、情熱がわきあがってくる。

「お願い。あたしを見て」

「……っ」

星奈のほうからキスしてきた。小鷹は抵抗しなかった。
それは彼女を受け入れてしまった証。

偽りの友達関係を捨て、次なるステップへと進んでしまった。
それが正しい選択だったのかどうかは、彼にはわからない。
彼女の唇が視界に入ると、我慢できなくなった。

「星奈っ……!!」

「んっ……いいよ……小鷹ぁ……!!」

床の上に星奈を押し倒し、キスを続ける。
手で互いを抱きしめあい、足が複雑に絡み合う。
順番や作法なんて関係ない。ただ欲しかった。

星奈の上着を脱がし、むき出しになった○首に吸い付いた。
日本人離れした大きな乳房を自由にもみまくる。

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:46:59.69 ID:D0wWw93+0 []

「あっ……ん……」

もちろん星奈は抵抗しない。目を閉じ、口を大きく開けながら
息をしてる。感じてるのだ。

「いいわよ……もっと触って…………」

胸に顔をうずめると窒息しそうになる。まさに爆乳だった。
太ももの太さや腰のくびれなど、どの部分も女らしい体つきだった。
触れば触るほど、彼女の身体のとりこになるのが分かった。

「はあっ……はっ……」

星奈のいやらしい唇を見てるともう一度キスしたくなってしまう。
普段からそうだが、エッチのときになるとさらに女らしさが増してる。
乱れる肢体と激しい息づかいが、さらに小鷹を興奮させる。

「星奈、自由にしていいんだよな?」

「うん……あたしは小鷹のものよ……」

迷いとか戸惑いとか。そんなあやふやな感情はどこかへ捨ててしまった。
それは小鷹だけではなく、星奈も同じである。

小鷹は星奈のショーツを脱がし、アソコを触った。
じわりと濡れていて、指を挿入すると卑猥な音を奏でる。
少し刺激するだけで、星奈が声を漏らした。

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:48:58.67 ID:D0wWw93+0 []

「んっ……んんっ……」

空いたほうの手で胸も同時に刺激され、首筋にキスされてる。
複数の刺激に耐え切れず、星奈の身体がさらに乱れる。

「あんっ……ん……」

甘い吐息をはき、いじらしく太ももを動かしてる。
女らしい曲線を描く下半身のラインが美しい。
流れる愛液は小鷹の手をびしょびしょに濡らしていた。

星奈は本当に抵抗しなかった。
さきほど言ったとおり、小鷹に好きなようにされてるが、
これが彼女の望んだことだった。普段の強情な性格は
フェイクで、本当は小鷹に犯されたいと思っていた。

思春期特有の願望というより、火照ってしまう身体を
なんとか沈めたいという欲求が強い。小鷹のことを想いすぎて、
例えどんなことをされても許してしまうのが不思議だった。

他の男には全く興味がないのに、小鷹にだけはそんな自分を見せてしまう。
小鷹にイかされるのなら本望だった。

「あっ…あっ…あっ…んっ……」

小鷹の欲望の塊を挿入され、一定のリズムで揺れる星奈。
熱く燃え盛るような情熱が沸いてきて止まらない。
大胆に両足を大きく開き、男のモノを全力で受け止めている。

「あっ…こっ……こだか…もっ……もっと……ちょうだい……」

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:50:12.31 ID:D0wWw93+0 []

「せ、せなっ……はぁっ…はっ………」

激しい呼吸音に混じって名を呼び合ってる声が聞こえる。
名前というものは記号に過ぎないが、相手を認識すべき
その記号は、人を安心させる。

愛しい人にその名を呼ばれると、自分の存在を認められた気分になる。
それだけで、嫌なことは全て忘れられる気がした。
ただの逃避だと誰かに言われたって、全然かまわなかった。

ここは隣人部の部室などではなく、二人の愛を確かめる場所だった。

「んああっ……こだかああっ……きちゃううう……!!」

星奈がイったのは一度や二度ではなかった。
それは小鷹も同じで、獣と化した二人に理性など残ってなかった。
達したあとは体位を変え、リズムを変え、行為を続けた。

「こだか……いいよ……好きなだけ犯して……」

体液に濡れて汗をいっぱいかき、長髪が乱れてる。
好きな男に全てを許した女の姿。
恋人同士のセ○クスと言うより夫婦間のそれのようだった。

西洋の血を分け合ってることが、
彼らを本能的に引き付けてるのかもしれない。
小鷹の熱はおさまらない。ここまで1人の女の
身体に夢中になったのは初めてだった。

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:52:32.78 ID:D0wWw93+0 []

運動後特有の疲れに満足感を得た二人が
服を着て学校を出るころには、外は暗くなっていた。


そして物語は冒頭のシーンへと戻るわけだが、
小鷹はちょっとした星奈依存症になった。

母親を幼い頃に亡くした彼にとって頼れる存在と言うのは
父しかいなかった。その父は仕事で忙しく家に帰ってくることは
ほとんどなく、妹と二人ですごしていた。

小鳩が自分を慕ってくれるのはうれしかったが、
一方の小鷹には甘えられる存在がいなかった。

学校でボッチだったし、恋人もいなかった。
だが今は星奈がいる。夜空との壮絶な口論の際、
小鷹をかばってくれたのは星奈だった。

理科に見放されてしまった小鷹にとって、救いの手を
差し伸べてくれたのが星奈。婚約者としては理想だった。
小鷹には彼女しか考えられなくなりつつあった。

家で夜寝るときは一人ぼっちなのが耐えられなくなるほど。
意外と寝る前の瞬間と言うのは過去にあった嫌な事を
思い出してしまう。だからその不安を打ち消してくれる存在が必要だった。

だから妹の小鳩と一緒に寝ることで不安を誤魔化してる。
肉親だからやっぱり安心するし、性的な関係になることはない。
もう他人に手を出して痛い目を見るのはごめんだった。

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23(金) 01:55:33.28 ID:D0wWw93+0 []

ご存知の通りシマウマです。途中で答えられなかったので一応
さて、今日はここまでとします。書き溜めた部分は全て投下できましたので

あとはアニメ見て寝ようと思います。さすがに六時間近く投下して疲れましたので勘弁してください
読んでくれた人、支援してくれた人ありがとう。では、このスレが残ってたらまた書こうと思いますので。では

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