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澪「忘れたのか? 私にはファンクラブがついてるんだぞ?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:10:12.87 ID:hVzeTrRP0 [1/98]
ある日。

澪「おい律、そのケーキくれよ」

律「え、なんでだよ。やだよ」

澪「ふーん……私に逆らうんだ」

律「うっ」

澪「いいのかなー……ファンクラブの人たちが黙ってないと思うんだけどなー」

律「ちっ、分かったよ。やるよ、ケーキくらい」

澪「いいのか? ありがとう、ははは」

律「……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:12:13.43 ID:hVzeTrRP0 [2/98]
別の日。

澪「梓ー、喉乾いたー」

梓「ふうん」

澪「喉乾いたんだってば」

梓「ファンクラブの人たちに、ジュースでも買ってきてもらったらどうです?」

澪「私は梓に買ってきて欲しいんだよ。
  ほら、早く行ってきて」

梓「えー……」

澪「逆らったらどうなるかくらい分かるよな?」

梓「……何がいいんですか?」

澪「梓に任せるよ。
  でももし私の口に合わないものを買ってきた場合、
  ファンクラブの人に愚痴っちゃおうかなー」

梓「くっ……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:14:13.93 ID:hVzeTrRP0
これまた別の日。

先生「えー……じゃあこの問2の日本語訳を、
   秋山さんにやってもらおうかな」

ジロッ
ギロリ

先生「ひっ、なんだこの突き刺さるような視線は」

「秋山さんを指名するなんて……この鬼教師!」
「秋山さんは照れ屋さんなのに、みんなの前で答えを言わせるなんて」
「澪ファンクラブの名にかけて、秋山さんを困らせる者は……」
「もしもしファンクラブ本部ですか? この教師への攻撃許可を」

先生「ひいいいいいいい!」

澪「すみません先生、私のファンクラブの人たちが……
  でも命が惜しかったら、授業中に私を当てないほうがいいですよ☆」

先生「うう、分かったよ……じゃあ代わりに平沢さん」

唯「わかりません」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:18:04.86 ID:hVzeTrRP0
2年前の秋に発足した秋山澪ファンクラブ。
最初は一部の生徒たちによって構成された
小規模な地下組織であったのだが、
みるみるうちに勢力を拡大していった。
その力で2代目会長・真鍋和を生徒会長に就任させると
生徒会権力を自由に振り回すようになり、
ついに桜が丘高校を完全に支配してしまったのだった。

律「くっそ、澪のヤツ……完全に調子に乗りやがって」

紬「やめたほうがいいわよ、りっちゃん。
  どこでファンクラブの人が聞いてるかわからないんだから」

律「でも黙ってらんねーよ。
  お前も色々やられただろ?」

紬「まあ……消しゴムとか、珍しい色のペン取られたりとか」

梓「小学生ですか」

律「あーあ、ファンクラブなんて無くなっちまえばいいんだ。
  そうすれば澪も元の澪に戻るってのに」

紬「りっちゃん……」

律「私はファンクラブなんかに屈しねー!
  ファンクラブ消えろー!」

「…………」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:21:55.92 ID:hVzeTrRP0
放課後、帰り道。

唯「友達とずっと遊んでーたーい♪」

紬「見た目よさ気な女子が来たとしてもー♪」

律「僕は困らなーい♪」

梓「……」

紬「どーしたの、梓ちゃん?」

梓「いえ……あのトラック、なんかおかしいなって」

唯「え。どれ?」

梓「あそこの……」

トラック「ブロロロロロロロ」

唯「うわっ、こっち突っ込んでくるよぉー!」

紬「いやああああ!」

トラック「ドッカーン」

律「ぎゃああああああああ!」

梓「律せんぱああああああああい!」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:25:46.48 ID:hVzeTrRP0
トラックはそのまま走り去っていった。
律は跳ね飛ばされて血まみれになったが
かろうじて息はあった。

紬「り、りっちゃん、大丈夫!?」

律「う、うぐぐ……」

唯「あわわわ、きゅうきゅうしゃ、きゅうきゅうしゃ……!
  9、9、……あれっ救急車の車って何番!?」

紬「と、とにかく応急処置をしないと……
  梓ちゃんも手伝って」

梓「……」

紬「梓ちゃん、どうしたの?」

梓「さっきトラック運転してた人……
  澪ファンクラブのバッジ付けてました」

紬「ええっ!?」

律「ま、マジかよ……ぐはっ」

梓「許せない……これが澪ファンクラブのやり方……
  ちょっと澪ファンクラブの文句を言ったくらいで……!!
  律先輩の敵は私が取ります……だから律先輩、今は安らかに……!」

律「まだ生きてるよ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:29:06.18 ID:hVzeTrRP0
数日後。
律は一命をとりとめてしばらく入院することになった。
澪ファンクラブへの復讐を誓った梓ではあったが、
敵はあまりにも強大であり、卑劣である。
自分一人では立ち向かうことさえも難しい。

梓(そういえば、反澪ファンクラブを掲げる
  謎の組織があるって聞いたことがある……
  けど、どうせただのウワサなんだろうな)

そんなことを考えながら
校舎と校舎をつなぐ渡り廊下を歩いていると、
どこからか声が聞こえてきた。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:38:10.65 ID:hVzeTrRP0
「待てー、反体制者め!」
「それをこっちに渡せー!」
「にがすな、追え追えー!」

ああ、またどこかで狩りが行われているのだな、
と梓はうんざりした気持ちになった。
狩りとは澪ファンクラブに逆らう人間を
徹底的に追い立てて逮捕し、粛清をおこなうものだ。

梓(どこの誰だか知らないけど……逃げ切れますように)

見知らぬ人のために祈る梓。
そのとき校舎の影から何者かが現れ、
梓の前に走り寄ってきた。
どう見ても、何かに追われている様子である。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:42:34.34 ID:hVzeTrRP0
梓「ど、どうしたんですか?
  まさかさっき狩りにあってたのって……」

「いいから、これを!」

追われていた人……綺麗な茶髪の3年生は、
膝に手を付き、肩で息をしながら
梓に向かって封筒を突き出した。

梓「え? え?」

「これをもって早く逃げて、早く!!」

梓「は、はい!」

何が何だか分からない。
しかしただごとではない様子だ。
梓はその彼女の手から封筒を受け取り、
踵を返して全速力で突っ走る。

十秒もしないうちに、
先程の彼女の悲鳴と、
澪ファンクラブの人たちらしき声が聞こえた。
おそらく捕まってしまったのだろう。
一瞬脚を止めたが、
梓はすぐにまた走りだした。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:46:25.14 ID:hVzeTrRP0
梓「はあはあ……
  ここまでくればもう大丈夫かなァ……」

梓「それにしても、さっきの人、なんで追われてたんだろ」

梓「それからこの封筒……」

梓「中身何が入ってるのかな」

梓「見ちゃえ」

勝手に封筒を開けた。
中を覗くと紙切れが一枚。

梓「なんだろう、この紙」ぺらり

梓「秋山澪……?」

梓「み、澪先輩の出生証明書!?」

梓「嘘、澪先輩の両親が朝鮮人だなんて……!!」

偶然にも、秋山澪が在日朝鮮人だという秘密を掴んでしまった梓。
これを公開すれば、澪ファンクラブは……
自身が手にした力の大きさに、梓は思わず身震いをしてしまう。
そして梓は改めて、澪ファンクラブと戦う決意をするのだった。

梓「勝てる……これさえあれば!!」

   「アキヤマに告ぐ」 第1話おわり

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 15:59:24.44 ID:hVzeTrRP0
翌日。
梓は澪の出生証明書を手に入れたものの、
それをどのように使えばいいのか分からずにいた。
とりあえずカバンの奥底に忍ばせて、
いつもどおり学校へとやって来たのだった。

中庭の掲示板の前には人だかりが出来ていた。
澪ファンクラブ会報の号外が貼り出されていたのだ。
そこには昨日、梓に出生証明書を渡した3年生の写真が掲載され、
その上にどでかく「反体制者に粛清を!」と書かれていた。

梓(あの人、立花姫子さんって言うんだ)

澪ファンクラブに捕まった立花姫子……
今ごろどのような目にあっているのだろうか?
梓は想像を巡らせた。
澪ファンクラブに逆らうと粛清される、というのはみな知っているが、
具体的にどうなるのかは明らかにされていなかった。

憂「怖いよねー、こういうの」

いつのまにか梓の隣には憂がいた。

梓「……でも、おとなしくしてれば、何もされないし」

憂「そうだね。でもまあ、何もしてなくっても、
  何かを隠し持ってたりしたら、マズイだろうけどね」

梓「ぎくーっ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:03:14.58 ID:hVzeTrRP0
憂「どうしたの? 梓ちゃん」

梓「いや、なな、なんでもない……」

そうだ、持っているだけでもマズイのだ。
仮にここで澪ファンクラブの誰かにカバンを取られて
中身を見られでもしたら、その時点で
自分も反体制者として捉えられて粛清されてしまう。

梓「あのね憂、仮に、もしも、イフの話なんだけどさァ。
  そういうファンクラブに目をつけられそうなものを持ってたとして、
  どこに隠しておくべきなのかなぁ」

憂「うーん、難しいね。まず不用意に持ち歩くのは危ないだろうねぇ」

梓「だ、だろうね」

憂「ファンクラブの手が届かないところに置いとくのがいいんじゃないかな?」

梓「そ、そうだよね……」

憂「でも、そんな場所ないだろうけどね」

梓「そ、そうかな……」

憂「梓ちゃん……何か持ってるの?」

梓「持ってない、持ってないよ!」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:05:04.57 ID:hVzeTrRP0
憂「ふーん」

梓「ちょと友達から預かり物があって、
  他の人に見られるとマズイんだよね。
  だからちょっと聞いてみただけ」

憂「そっか。
  いきなりファンクラブに目をつけられそうとか言い出すから、
  焦っちゃったよ」

梓「あははは……ごめんごめん。
  さ、もう教室行こ。HR始まっちゃうし」

憂「そうだねー。梓ちゃん」

梓「何?」

憂「あんまり危ないことはしちゃだめだよ」

梓「へ? うん……?」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:08:55.30 ID:hVzeTrRP0
生徒会室。
そこには澪ファンクラブ会長、真鍋和と
幹部の一人である佐々木曜子の姿があった。

和「来年のファンクラブ活動費はさらに上乗せできそうね」

佐々木「どうせなら今期から上乗せできないの?
    来年、私たちはもう卒業よ」

和「ム・リ・よ。他の部活や行事との兼ね合いもあるし」

佐「このさい要らない部活とか行事は潰しちゃってもいいんじゃない?」

和「またあなたはそんなことを……」

ガラッ
会員「澪のパンツは!」

佐「縞パンツ!」
和「縞パンツ!」  ←会員同士のあいさつ

佐「どうしたの、会員ナンバー0115佐藤さん」

会員「はい、また反体制者を発見しました。
   秋山さんの悪口を言っていたのですが、どうしましょう?」

佐「悪口の内容は?」

会員「秋山さんは権力を傘にきていけすかない、うざい、などと」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:12:47.56 ID:hVzeTrRP0
佐「ふうん……それなら『粛清』をくれてやるまでもないわね。
  上靴水没、ノート破り、体操服切り裂きくらいで許してやりなさい」

「はっ! 明日までにやっておきます!」
ガラッ

和「……」

佐「ふう……最近反体制者が多いわね。
  どう思う? 真鍋さん」

和「あなたはやり過ぎだと思うわ」

佐「バカね、これくらいはやらなきゃ。
  私たちの権力を支えているものが何だか分かる?」

和「一般生徒たちの恐怖……」

佐「そう、恐怖よ。
  私たちは圧倒的な力によって生徒たちに恐怖を植え付け、
  それによって今の権力を築いた。
  今でもまだヌルいくらいだと思ってるわ。
  それこそ反体制者が一人も出ないくらいになるまで締め付けないと」

和「そんなことをしていれば、
  いつか足元を掬われるわよ」

佐「掬われるものですか。この私が」

和「……」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:16:38.71 ID:hVzeTrRP0
佐々木曜子。
澪ファンクラブの勢力拡大に一役買った功労者である。
そのカリスマ性によって次々と会員を増やし、
現在のファンクラブの地盤を築いた。
特筆すべきはその類まれなる演説能力であろう。
刺激的な物言いと完璧に緩急を心得た喋り方で人心を掌握するさまは
初代会長・曽我部恵をして「プロパガンダの天才」と言わしめたほどである。
彼女は澪ファンクラブに逆らう者を反体制者とし、
気に食わない人間を粛清していった。
生徒会権力をファンクラブのものとするために
真鍋和を生徒会長に仕立て上げたのも佐々木の仕業である。
そんなわけで澪ファンクラブの会長は真鍋和であるが、
実質的に権力を握っているのは佐々木の方であった。
和はそんな状況に危機感を募らせていた。

佐「反体制者へのお仕置きについては色々と実験中でね。
  もっと強くするべきか否かをね」

和「……まさか、律がトラックに轢かれたのって」

佐「ふふん」

和「バレー部の豊崎さんが階段から落ちて骨折したのも、
  お笑い芸人研究部の日笠さんが本棚の下敷きになったのも……」

佐「私じゃないわ。一部の会員がちょっとやりすぎたのよ。
  私は実験程度に留めておきなさいといったのにね」

和「あなたねえ……!!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:20:28.59 ID:hVzeTrRP0
和「流石にそれはやりすぎでしょう?
  下手すれば死人が出るわよ」

佐「もし出れば、さらにこの学校の人たちは
  私たちの恐ろしさを自覚するでしょうね」

和「いいかげんに……」

佐「何? 私に逆らうの?
  私のおかげで生徒会長になれたあなたが?」

和「……」

佐「真鍋さん、あなたは何も心配しなくていいの。
  私に任せてくれさえすれば、澪ファンクラブはもっともっと強くなる。
  あの反体制組織のARCHの連中だって、すぐに屈するはずよ」

和「…………ARCHといえば、
  昨日捕まえた立花さんはどうなったの?」

佐「地下壕で尋問中よ。
  あの書類の在り処はまだ吐かないみたい」

和「そう」

佐「一緒に様子を観に行ってみる?」

和「そうね。見ておこうかしら」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:24:18.22 ID:hVzeTrRP0
地下壕。
戦時中、桜が丘高校の下に掘られた防空壕を改造したものである。
ここに入れるのは澪ファンクラブの中でも限られたメンバーだけだ。

この地下壕に、反澪ファンクラブ組織・ARCHの構成員である立花姫子が囚われていた。

佐「立花さんはこの捕虜収容室で尋問を受けているわ。
  どう、立花さんはなにか吐いた?」

会員「いえ、昨日から尋問を続けているのですが、なかなか」

和「尋問……? これが?」

部屋の中は姫子がひとりだけ。
その姫子はロープで体を縛られ、
頭に大きなヘッドホンを付けていた。

会員「はい、秋山さんの『ときめきシュガー』の朗読テープを、
   あのヘッドホンで聴かせているんです」

『大切なあなたにカラメルソース、メイプル、ハチミツ……』
姫子「ぐあああっ! いやああああ!!」

和「な、なんてむごい……
  これじゃあ尋問じゃなくて拷問でしょう!!」

佐「立花さん、全身が痒くなるでしょう、もう聞きたくないでしょう。
  早く吐いちゃったほうが身のためよ」

姫子「くっ、誰が吐くものですか……」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:28:24.17 ID:hVzeTrRP0
佐「さあ答えるのよ。アナタ以外のARCHのメンバーは誰?
  あの極秘書類をどこへやったの?」

姫子「……」

和「ちょっと、もうやめなさい。
  こんな拷問、人道に反しているわ」

佐「立花さんが吐かないんだから仕方が無いでしょう」

和「だからって……!」

佐「音量を最大にあげなさい」

「はっ!」

『あなたの火加減でおいしくなるの!!』
姫子「ぎゃああああああああああ!!」ガクッ

佐「気絶しちゃったか……まああの恥ずかしい朗読を
  大音量で聞かされればこうもなるわね」

和(佐々木曜子……やはりこの人は危険だわ。
  なんとかできるのは会長である私だけ……
  そのためにも早くあの出生証明書を取り戻さないと、
  佐々木さんよりも先に……
  しかし、一体どこに行ったというのかしら)

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:32:14.35 ID:hVzeTrRP0
佐「さすがに口が堅いわね。
  ところで真鍋さん、これからどうする?」

和「……まずは書類を取り戻すのが先決ね、
  なにはなくとも」

佐「でしょうね」

和(ARCHの手に出生証明書が渡ったとなれば
  確実に向こうは打倒ファンクラブの行動を起こす……
  そうなれば私も佐々木さんと共倒れだわ)

佐「問題は、どうやって取り戻すか……ね」

和「難しいわね。間違いなく、どこかに隠しているでしょうし」

佐「そう? 今書類を持っている人は、
  肌身離さず身につけてるんじゃないかしら」

和「それは逆に危ないでしょう」

佐「よく考えてみなさい。ARCHにとって
  私たちと戦うための唯一の切り札、それがあの書類なのよ。
  いつ何があってもすぐに使えるように、
  常に持ち歩いているに決まっているわ」

和「そう……かなぁ」

佐「よし、抜き打ちで持ち物検査をしましょう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:36:05.74 ID:hVzeTrRP0
和「持ち物検査、ね。
  まあ一応やってみるのも悪くはないわね」

佐「ええ、これで見つからなければ
  学校中を虱潰しに探せばいいわ。
  それでも見つからないなら学校の外も」

和「で、いつやるの?」

佐「明日よ。他の会員たちには私から連絡しておくわ。
  教師たちには生徒会の名で申請しておくから」

和「ええ……
  じゃあ私、これで」

佐「どこいくの?」

和「ちょっと寄るところがあるから」

佐「ふうん……? じゃあまた、明日」

和「ええ、また」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:40:13.93 ID:hVzeTrRP0
和が向かったのは病院だった。
別に病気になったわけではなく、
ここに入院している律に会いに来たのだ。

和の姿を見て、律はあからさまに嫌な顔をした。

律「……何しに来たんだよ」

和「怪我して入院してる友達のお見舞いに来ただけよ」

律「ああん? 何をひとごとみたいに言ってんだ。
  私がこんなことになったのは全部お前の澪ファンクラブのせいだろ」

和「その点については申し訳なかったと思っているわ。
  ごめんなさい。治療費は全額払うから」

律「いらんわ」

和「それから、言い訳がましくなってしまうかも知れないけど。
  ちょっと聞いてくれないかしら」

律「そんな前置きするなら最初から話すんじゃねえよ」

和「聞いてほしいのよ。
  律をトラックで轢くように言ったのは、私じゃない」

律「はあ? 命令したのがお前じゃなくても
  会員がやらかしたことならお前の責任だろうが!」

和「分かってる。落ち着いて聞いてちょうだい」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:44:05.57 ID:hVzeTrRP0
律「言い訳なんて聞きたくないし」

和「そう、じゃあ聞かなくていいわ、勝手に話すから。
  澪ファンクラブの会長は私だけど、
  もう一人、私並みの権力を持っている人がいるのよ」

律「……」

和「それが、佐々木曜子さん。
  彼女はいわゆるカリスマでね。
  会員にも彼女の思想に染まった人が多いわ」

律「……」

和「律を轢いたのも佐々木一派の会員よ。
  それだけじゃなくて、狩りだとか、粛清だとか、
  暴力的なことをやっているのは全部。
  そうやって彼女は澪ファンクラブの絶対的な権力を築こうとしてる」

律「……」

和「そして律も分かっていると思うけど、
  澪もどっちかというと佐々木さん寄りなのよ」

律「……」

和「私だってこんな現状は望んでいない。
  できれば佐々木さんをどうにかしてしまいたいわ」

律「じゃあ早くやれよ」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:47:55.86 ID:hVzeTrRP0
和「それがね、私一人の力じゃどうにも……
  私は確かに会長ではあるけど、完全にお飾りの状態なのよ。
  澪ファンクラブが生徒会を後ろ盾にするためのね。
  だから実質的に、私はファンクラブ内での権力はないに等しい」

律「……」

和「だから律に協力してほしいの」

律「ああん?
  なんで私が巻き込まれなきゃいけねーんだ。
  ファンクラブのことはファンクラブで解決しろよな」

和「だからそれが難しいから頼んでいるの。
  律にはファンクラブに入ってもらって、
  澪を佐々木さん側からこっち側に寄せてほしいのよ」

律「それに何の意味があるんだ?」

和「ファンクラブの最大権力者は私でも佐々木さんでもなく、結局は澪なのよ。
  澪を私の側に付けられれば、佐々木一派に対して断然有利になれるわ。
  今、澪はお姫様のように持ち上げられることに酔いしれて、
  佐々木一派の方に付いている。だからそこから引き剥がすことは難しいけど」

律「澪の親友である私が和側について、澪を説得すればできる、ってか?」

和「そういうことよ」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:51:46.69 ID:hVzeTrRP0
律「バーカ、あいつはファンクラブの力をちらつかせて
  私からケーキを取っちゃうような奴だぞ。
  今のあいつが私の話を素直に聞くとは到底思えん」

和「それはファンクラブに入っていないからでしょう?
  ファンクラブに入って澪の仲間になれば、
  あなたが邪険に扱われることもなくなるはずよ」

律「なんか怪しげな勧誘をうけてる気分だ」

和「とにかくまずはあなたの力が必要なのよ」

律「でもそんなことでうまくいくのかよ。
  お前の話聞いてると、澪がお前側についたくらいで
  佐々木一派はびくともしないと思うんだけど」

和「いいえ、大丈夫よ。
  もうひとつ、この状況を覆せるファクターがある」

律「なんだよ、それ」

和「それはまだ言えないけど、私はなんとかして
  佐々木さんより早く手にいれてみせるわ。
  その暁には協力頼んだわよ、律。
  澪ファンクラブ第1隊・エンペラーの座は
  あなたのために空席にしてあるんだから」

律「まだ協力するとは言ってない!
  お前のことも信用してないしな」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:55:36.39 ID:hVzeTrRP0
和「そう、でもいつか心変わりしてくれると信じてるわ。
  今の澪ファンクラブは、全校生徒からの憎しみの対象だと思ってるから」

律「その澪ファンクラブのトップが言う言葉じゃねえやな」

和「かもしれないわね。じゃあ私は帰るわ」

律「ああ」

和「……ところで律」

律「なんだ?」

和「澪のご両親がどこの生まれか、知ってる?」

律「……」

和「……」

律「……」

和「……」

律「知らんな」

和「そう」

和は短く別れの挨拶を告げると、
律の病室を後にした。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 16:59:29.42 ID:hVzeTrRP0
その数分後、唯と紬、そして梓が
見舞いにやってきた。

唯「やっほーりっちゃん、お加減いかが?」

紬「フルーツバスケット買ってきたの。良かったら」

律「おー、ありがとう……
  ところでお前ら、会わなかったか?」

梓「え、誰にですか?」

律「いや、会ってないならいいんだ」

梓「?」

唯「いつまで入院?」

律「2ヶ月くらいだってさ」

唯「ふーん、結構長いんだねー」

律「退院しても通院しなきゃいけないからなー。
  やってらんないぜほんと」

紬「許せないわね、澪ファンクラブの人たち」

唯「一発ぶん殴ってやりたいね」

梓「あのー……そのことなんですけど」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:02:35.63 ID:hVzeTrRP0
唯「ん、何?」

梓「律先輩のかたき……取れるかも知れないです」

紬「どういうこと?」

梓「実は……言おうかどうか迷ったんですが、
  こんなものを偶然手に入れまして」すっ

唯「何この封筒」

梓「中、見て下さい」

唯「? うん……」ぺらり

紬「これ、澪ちゃんの出生証明書?」

唯「え、ええーっ! 澪ちゃんのお母さんって朝鮮人だったの!?」

紬「ということは、澪ちゃんって在日朝鮮人ってやつ?」

唯「えええええ……在日だったなんて……
  薄々そんな気はしてたけど」

紬「在日と一緒に毎日部活やってたなんて……」

律「……」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:11:38.03 ID:hVzeTrRP0
唯「あずにゃん、どこでこんなものゲットしたの?」

梓「立花姫子さんって知ってますか。
  今日壁新聞に出てた……」

唯「姫子ちゃんならうちのクラスメイトだよ」

梓「あ、そうだったんですか。
  その人から渡されたんです、それ。
  私が受け取って逃げてる途中に、立花さんは
  澪ファンクラブに捕まっちゃって……」

紬「そうだったの……」

梓「そ、それでですね……
  これを大っぴらにしてしまえば、
  澪ファンクラブは転覆するんじゃないか、と」

唯「おー、確かに! すごいよあずにゃん、大手柄じゃん!」

梓「えへへ……」

紬「でも、大っぴらにするって言ってもどうやって?
  掲示板なんかに貼ってもすぐ剥がされるでしょうし」

唯「コピーして大量にばらまく、とか?」

紬「いいわね、それ」

律「オイ」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:25:02.15 ID:hVzeTrRP0
唯「なに、りっつぁん」

律「……あんまり先走ったことはしないほうがいいんじゃないのか?
  相手は澪ファンクラブだぜ。
  規模もデカイし、手段を選ばない卑劣なヤツらだ。
  小手先のやり方じゃ逆にやられるだけだと思うぞ」

紬「うーん、確かに……
  じっくり作戦を練ってから行動したほうがいいわね。
  これを持った立花さんを澪ファンクラブが追っていたということは、
  生徒の誰かにこれが奪われたことは澪ファンクラブも知ってるだろうし……」

律「ああ、知ってるだろうな」

梓「そうですね、ファンクラブも警戒を強めてるはずですね……」

唯「えー、じゃあどうするの? 黙って見てるだけ?」

梓「そうは言ってません、とにかく安直な行動は避けたほうがいいってことです」

紬「そーね。この出生証明書は唯一の武器だもの……
  使いどころは考えないと」

律「ああ、そうだな」

梓「そうだ、律先輩、これ預かっといてもらえませんか」

律「え、私がか」

梓「はい、私が持ってるより安全でしょうし」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:28:14.76 ID:hVzeTrRP0
律「……そうだな。
  あいつら、血眼になってこれを探してるはずだ。
  学校には持っていかないほうがいい」

梓「それにここなら、流石の澪ファンクラブも
  暴れられないでしょうしね」

律「おう、預かっとくよ」

梓「お願いします」

紬「ところでどうする? 今後の作戦!」

梓「ムギ先輩、なんかテンション上がってませんか」

唯「はい、ととのいました!
  まずあずにゃんが爆弾を抱えてファンクラブに突っ込みます!
  私たちはそのスキに……」

梓「真面目に考えてください!」

律「つーか病室で騒ぐなよ。個室だからいいけど」

そのあと、4人は遅くまで作戦会議を続けた。
これといった案は出なかったので、
また明日への持ち越し、家に帰って各自考えておくように、
と律が総括して、解散になった。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:31:22.13 ID:hVzeTrRP0
病室には律ひとり。
消灯後、布団の下から封筒を取り出し、
窓から差し込む月明かりにかざす。

律「今日、和が言っていたのはこれのことか……」

律「澪が在日だってこと……
  ずっと隠せるかと思ったけど、
  こんなとこで明らかになっちゃうなんてな」

律「でも仕方ない。
  今はこれがあの忌々しい澪ファンクラブを
  ぶっ倒すための、ただひとつの武器なんだ」

律「梓たちにはどうにか頑張ってもらって、
  これをなんとか全校生徒に公表してもらわないと」

律「そうすれば澪も、目をさますはずだ」

律「悪いな和、やっぱりお前には協力できない。
  澪ファンクラブ内の派閥がどうなっていようと、
  お前がファンクラブにいる時点で私の敵だ」

律「こっちはこっちでやらせてもらうぜ。
  この出生証明書があるぶん、
  私たちのほうが一枚上手なんだからな……」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:39:50.76 ID:hVzeTrRP0
翌日。

先生「えー、生徒会の風紀活動の一環ということで、
   抜き打ちの持ち物検査をしまーす」

「持ち物検査ー?やだー」
「うわーゲーム持ってきてるんだよ今日」
「私もゲームキューブ持ってきたー」
「ファッション誌ってアウトかなー」
わいわいがやがや

梓「……」

先生「持ち物検査は生徒会直属機関である
   澪ファンクラブの真鍋会長と佐々木さん他幹部の方たちが
   順々にクラスを回って行われるそうなので、
   みなさんはそれまで待っていてください」

「やべーぼしゅられるー」
「あっアイツに今日CD貸したんだったー」
「まじでーそれ没収されるんじゃねー」
わいわいがやがや

梓(澪ファンクラブが……ということはやっぱり
  あれを探すための持ち物検査か)

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:48:21.65 ID:hVzeTrRP0
持ち物検査終了後。

梓「ふぅーっ」

憂「どうしたの梓ちゃん、すごくホッとしてるみたい。
  なにか危ないもの持ってたの?」

梓「いやー、今は持ってないよ」

憂「今は?」

梓「昨日のうちに律先輩に預けといたんだ。
  それが何かは言えないけど」

憂「そうなんだ」












憂「そうなんだ」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:54:45.21 ID:hVzeTrRP0
その頃、3年生の教室。

紬「いきなり持ち物検査だなんて」

唯「澪ちゃんの出生証明書、
  りっちゃんに預けといてよかったねー」

紬「しーっ、唯ちゃん声大きい!!」ガッ

唯「む、ぐがぐぐ……」

瀧エリ「……」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 17:58:58.38 ID:hVzeTrRP0
生徒会室。

幹部「澪のパンツは!」

佐「縞パンツ! ……で、
  あなたの教室では見つけられたの?」

幹部「いえ、例の封筒や書類は誰も……
   制服のポケットからペンケースの中、
   ノートや教科書の間まで徹底的にさがしましたが」

佐「そう、やはり持ち歩いている人はいないのね……」

幹部「それで、どうするんです?
   今度は学校中を探して回りますか」

佐「それしかないでしょうね。
  真鍋さんもそれでいい?」

和「そんなに結論を急ぐこともないわ。
  今後のことも含めて今日の幹部会議で話し合いましょう。
  学校中を捜索するよりももっと効率のいい方法があるでしょうし」

佐「そうね。じゃあ放課後、緊急幹部会議ってことで
  他の幹部にも伝えておくわ」

和「ええ、お願い」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 18:00:47.33 ID:hVzeTrRP0
ちょっと保守頼

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:04:48.59 ID:hVzeTrRP0
◆出演者

中野梓
平沢憂
鈴木純

秋山澪
真鍋和
佐々木曜子

平沢唯
田井中律
琴吹紬

瀧エリ
佐藤アカネ
立花姫子
高橋風子

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:06:08.87 ID:hVzeTrRP0
放課後。
今日も律の見舞いにやってきた軽音部の3人。
しかし今日は昨日とは違い、先客がいた。
瀧エリと佐藤アカネである。

エリ「やあ、おじゃましてまーす」

佐藤「どうも」

唯「あれー、エリちゃんにアカネちゃん、どうしたの?」

エリ「ちょっとお見舞いにね」

律「お前らも座れよ」

紬「はーい」

梓「……」

唯「どーしたの、あずにゃん」

梓「この人達、ファンクラブの人じゃないんですか?」

唯「ええっ!?」

梓「まさか、あれがここにあることを探り当てて……!?」

唯「そ、そんなー! 私があのときうっかり口を滑らせたから?」

エリ「あー違う違う」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:10:05.22 ID:hVzeTrRP0
佐藤「秋山さんの出生証明書がここにある、
   っていうのを平沢さんから聞いてやってきたのは当たりだけどね」

エリ「私たちはあなたたちの味方よ」

唯「え、どういうこと?」

梓「まさか……ARCH?」

エリ「ぴんぽーん、大正解」

ARCHとは澪ファンクラブを打ち倒すために
密かな活動を続けている地下組織だ。
瀧エリはそのリーダー、佐藤アカネが副リーダーであった。
また先日捕まった立花姫子も構成員の一人である。

梓「実在したんだ……」

エリ「いやー、もっと目立った活動が出来ればいいんだけどね……」

佐藤「現状ではファンクラブに叩き潰されるだけだしね。
   メンバーもファンクラブに比べて少ないし……」

律「まー仕方ねーよ。
  今はファンクラブの力が圧倒的だしな」

エリ「そうだね。でもそんな状況を
   覆せてしまうものが、ここにある」

梓「……」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:13:15.56 ID:hVzeTrRP0
唯「澪ちゃんの出生証明書のこと?」

佐藤「そうよ、それが今のところ、
   澪ファンクラブに対抗できる唯一の手段」

エリ「そこでお願いなんだけど、
   その出生証明書を私たちに渡してほしいの

紬「ええっ!?」

エリ「お願い。このままじゃみんなまで戦いに巻き込むことになっちゃう。
   それだけは避けたいから……」

唯「……」

紬「……」

エリ「だめかな……」

唯「いやいや、むしろ巻き込んで欲しいくらいだよ」

エリ「え?」

紬「うん、私たち、りっちゃんのカタキを取るって決めたもの!」

唯「そうだよ、むしろエリちゃんたちだけで戦うほうがダメだよ。
  私たちにも戦わせて欲しい」

エリ「二人とも……ありがとう!」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:16:26.26 ID:hVzeTrRP0
唯「あずにゃんも、それでいいよね?」

梓(いやいや絶対よくないし。なんでそんな簡単に信用しちゃってるの。
  この人たち澪ファンクラブの回し者かも知れないのによく笑顔で一緒に戦いたいとか言えますね。
  ARCHだっていう確たる証拠もないし。少しは警戒心ってものがないんですか。
  こんなんじゃこの先マジ不安なんですけど……
  って言っちゃおうかな)

困った梓はちらっと律の表情を見やる。
律は梓の考えを見抜いているようだった。

律「仲間が増えるのは心強いな。
  でもこの出生証明書はエリやアカネには触らせない。
  梓にだけ持たせておく。
  それが、私たちが協力する条件だ」

佐藤「うーん、仕方ないわね。
   信用してもらえないのは覚悟の上だし……」

エリ「うん、それでいいよ。
   それが私たちの武器にできるのは変わりないし」

梓(うーん、まあいいか……
  この人達が本当にARCHなら協力しないのは惜しいし
  もし違ったら出生証明書持って逃げたらいいんだ)

律「ほれ梓、これ」

梓「はい、預かります」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:23:37.90 ID:hVzeTrRP0
唯「それで、これからどーするの?」

佐藤「私たちとしてはなるべく早く行動を起こしたい。
   姫子を助けたいから」

紬「そうか、捕まっちゃってるのよね」

律「つーか何日も家に帰らなかったら
  流石に親が怪しむんじゃねーのか?
  警察に通報されたりしたら終わりだろ」

佐藤「緊急で部活の泊り込み訓練が
   行われるってことにしてるらしい」

律「無理あるだろ」

唯「そういえば捕まったらどうなるの?
  殺されちゃうの?」

エリ「さすがに殺されはしないよ。
   ウワサによると、不快な音を何日も聞かせ続けて脳細胞を破壊し、
   秋山さんに忠誠を誓うよう洗脳されちゃうらしいよ」

紬「な、なんて恐ろしいの……」

エリ「だから、姫子が洗脳されちゃう前に早く助けたいの」

梓「うーむ、それは急いだほうがいいですね」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:24:20.96 ID:hVzeTrRP0
佐藤「やっぱりこの出生証明書を
   放送部を通じて公開するのが一番効果あると思う」

エリ「でも放送部は完全に澪ファンクラブに支配されてるよ。
   放送部だけじゃなくて、新聞部とかも」

唯「でも、なんとかスキをつけば」

梓「無理でしょう、向こうだってこっちの動きを読んで
  部活動中は警備を固めてるに決まってます」

紬「じゃあ誰もいないときに放送室に忍び込むってのは?」

エリ「鍵が手に入らないよ」

唯「職員室の先生をちょこっと騙くらかして借りればいいよ」

エリ「危険だよ。今や教師は半分以上が
   澪ファンクラブ会員だって言われてるし、
   放送部員以外が放送室の鍵を借りるなんて
   こっちのやること見抜かれて終わりだよ」

唯「よし、じゃあもう放送室のドアをぶち破って……」

梓「あそこセコムついてるからすぐバレますよ」

唯「えー、じゃあもう八方塞がりじゃん!!」

律「あのー」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:28:14.22 ID:hVzeTrRP0
エリ「なに、りっちゃん」

律「澪が在日だってのを公表するんじゃなくてさ……
  まずその弱味につけこんで
  澪をこっちに引きこむっていうのはどうだ?」

梓「澪先輩を脅迫するってことですか?」

律「脅迫とか言うと人聞き悪いけど。
  澪をこっちの味方にしたほうが、色々うまくいくだろ?
  ファンクラブの最高権力者ってのは会長の和じゃなくて、
  結局は澪なんだからさ」

佐藤「うん……いいかもしれない。
   秋山さんが一人でいるところを狙って
   出生証明書を突きつけて、
   言うことを聞かなければこれを公表する、と脅す……
   成功すればファンクラブに対してかなりのアドバンテージになるわ」

唯「すごーいりっちゃん、頭いいー。
  和ちゃんみたーい」

梓「でも澪先輩が一人になる時なんてあります?
  いっつもファンクラブの人に囲まれてるじゃないですか」

佐藤「まあ確かに……トイレに入ってるときくらいか」

唯「あ、じゃあ学校中のトイレに張り込んでれば!」

梓「もっと考えて発言してください!」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:32:39.55 ID:hVzeTrRP0
紬「うーん、じゃあ澪ちゃんの一日の行動を観察して、
  一人になるタイミングを研究するとか……」

エリ「そんな気の長いことやってられないよ、
   姫子を助けなきゃいけないのに」

紬「あ、そっか」

唯「うーん、むずかしーなー……
  澪ちゃんに出生証明書を誰にも邪魔されず、
  確実に見せつける方法か~」

エリ「うーん……」

佐藤「結局のところ、
   秋山さんに出生証明書を突きつければいいのよね」

唯「そーだね」

佐藤「じゃあ、秋山さんを一人で呼び出すのはどうかな?
   大事な話がある、ふたりきりで言いたいから
   誰にもついてこさせずに、一人で来てくれ、とか言ってさ」

梓「いいですね、それが一番手っ取り早いです」

律「本当に澪をひとりにできるかどうかが問題だが」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 19:38:11.41 ID:hVzeTrRP0
紬「そっか、逆にファンクラブは澪ちゃんを囮として利用するかも。
  澪ちゃんが一人でやって来たように見せかけて、
  そして集まった私たちを、隠れていたファンクラブの人たちが一網打尽……」

梓「ありえますね」

エリ「それなら東校舎の屋上に呼び出せばいいよ。あそこなら何も隠れる場所がない」

律「よし、じゃあそれで決まりだ」

エリ「秋山さんを呼び出すのは、唯に任せていい?」

唯「え! 私?」

エリ「秋山さんも唯が相手なら、警戒心薄れるだろうし」

唯「うーん、そうかなー。ていうかそれどういう意味?」

佐藤「じゃあ平沢さんが秋山さんをメールで
   大事な話があるって言って東校舎の屋上に呼び出す。
   念のため秋山さんへの呼び出しを掛ける前に
   先に私たちが東校舎の屋上に行っておいて、
   ファンクラブに先回りされないようスタンバイしておく。
   あとは一人でやってきた秋山さんに……」

梓「うん、完璧な計画ですね」

律「任せたぞ、私は病院から応援してるからな」

エリ「おうよ!」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:06:25.91 ID:hVzeTrRP0
第1会議室。
桜が丘高校で最も大きな会議室であるこの部屋は、
すっかり澪ファンクラブに私物化されていた。

和「澪のパンツはー!」

佐「縞パンツ!」

幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」
幹部「縞パンツ!」

和「全員揃ってるわね」

澪「なあ、この挨拶やめにしない?」

今ここには澪ファンクラブ会長の和、
そして幹部の面々と秋山澪がいる。
澪ファンクラブの幹部会議が行われるのだ。
議題はもちろん、澪の出生証明書がARCHに奪われたことについて。

議長は和だが最終議決権は澪にある。
またこの場に集まっている幹部たちはみな佐々木派の人間であるので
この会議に和の意向が反映される余地はない。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:08:35.08 ID:hVzeTrRP0
和「みなさんも既に聞いていると思いますが、
  秋山さんが在日だということの証拠である
  出生証明書が反体制組織ARCHに奪われました」

幹部「奪われた者の責任は?」

和「それは今話し合うべきではありません。
  まず早急に考えなければならないのは、今後の対策」

幹部「あれが公表されると命取りだ」

幹部「ファンクラブは崩壊する」

幹部「なんとかして取り戻さねば」

幹部「しかし本当にARCHの手に渡っているのか」

和「立花姫子がARCHのメンバーだった。
  それを考えるとARCHに渡ったと考えるのが妥当でしょう」

幹部「ならば早く手を打たねばなるまい」

幹部「ARCHが動き始める前に」

佐「待ちなさい。そう焦ることもないわ」

幹部「どういうことか」

幹部「説明を求む」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:11:56.20 ID:hVzeTrRP0
佐「そう、やつらは出生証明書を武器に動き出す。
  つまり逆にやつらを釣ることも出来るわ」

幹部「なるほど」

佐「ARCHの過激派は夏休み前の吹奏楽部大逆事件で一掃できた。
  となれば今のARCHは穏健派が主流ということになるわ」

幹部「となるとどうなる」

佐「吹奏楽部大逆事件のような無茶な行動はしない。
  やるならしっかりした確実な方法で来るわ。
  そして仲間を助けるために、迅速に」

和「だとしたら、狙いは澪ね」

澪「え、私?」

佐「でしょうね……
  出生証明書で秋山さんをARCH側に引きずり込もうとする。
  それが一番確実な方法だものね」

和「考えられる作戦としてはこうね。
  澪を一人でくるようにメールで呼び出して
  のこのこやってきたところに出生証明書を突きつける」

澪「じゃあ、呼び出されても行かなきゃいいんだな?」

佐「いや……逆に利用させてもらいましょう」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:16:51.76 ID:hVzeTrRP0
和「利用?」

佐「ええ。秋山さんの偽物を立てるのよ」

幹部「偽物なんて用意できるのか」

幹部「秋山さんのそっくりさんなどいるのか」

佐「うちのクラスに居るわ、高橋風子さんって言ってね。
  メガネを外してちょっと釣り目に見えるようにメイクすれば
  あっという間に秋山さんよ。
  背格好も同じくらいだし、髪型なんて秋山さんそのもの」

和「そんなに似てたかしら」

佐「彼女もファンクラブの会員だから、協力してくれるわ」

澪「高橋さんなら騙せそうだな。
  じゃあそれで頼むよ」

佐「ええ、分かったわ」

和「ところで高橋さんを影武者にしている間、
  ホンモノのほうはどうするの?」

幹部「地下壕にでも隠れていてもらえばいい」

幹部「秋山さんが二人いるのはおかしいからな」

和「地下壕って……」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:21:52.04 ID:hVzeTrRP0
ここに集まった幹部連中は
もはや澪への忠誠心など持ち合わせていない。
佐々木と同じく権力に固執するだけの者たちだ。
だからこそ澪を地下壕にぶちこめ、などという
乱暴な提案も平気でできる。

佐「秋山さん、それでいいわよね?」

澪「えー……まあ、仕方ないな……」

佐「賛同してくれてありがとう。
  早いうちに出生証明書を取り戻して自由にしてあげるわ」

澪「ああ、頼むよ……
  私もあれを公にされたくはないからな……」

和「……本当にいいの? 澪。
  嫌なら嫌って言ってくれていいのよ」

澪「嫌だけど、仕方ない。私はみんなを信じてるから、
  きっと早くあれを奪還してくれるって」

佐「ええ、秋山さんのために、一刻も早く奪い返してみせるわ」

和「……」

佐「ではこの後、秋山さんには早速地下壕に行ってもらうから」

和「じゃあ今日の幹部会議はここまでね。
  最後に澪ファンクラブの歌を歌って解散にするわ」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:26:52.67 ID:hVzeTrRP0
地下壕。

澪「いつ来ても不気味だなあ、この地下壕は……」

佐「不気味なのは廊下だけよ。
  部屋の中はちゃんとしてるから」

澪「それならいいんだけど」

佐々木は地下壕の一番奥、
扉にビップルームと書かれた部屋に澪を案内した。
その部屋は床に絨毯が敷かれ、綺麗な壁紙が貼られて、
ベッド、ソファ、マンガやゲームなどが揃っていた。

佐「食事は一日三回、他の会員に持ってこさせるから。
  あ、授業中と完全下校後は無人になるからね」

澪「ええっ!? 誰もいなくなっちゃうのか?」

佐「音楽でもかけてれば怖くないでしょ。
  あと、この部屋から出ちゃダメよ。絶対に」

澪「う、うん」

佐「着替えは明日高橋さんに持ってきてもらうから。
  それまでは制服で我慢して。
  じゃあ私はこれで」

澪「ううー……早く解放してくれよー……」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:31:52.53 ID:hVzeTrRP0
翌朝、秋山家。

風子「おはようございます、お父さん、お母さん」

母「え、ああ、おはよう……」

風子「朝御飯はいりません。
   それでは私、学校へ行きますので」

母「行ってらっしゃい……」

父「いってらっしゃーい」

母「ちょっとあなた。
  昨夜からなんだか澪の様子がおかしいんだけど」

父「そうかあ? 普通だろ」

母「いやいや絶対普通じゃないニダよ」

父「大丈夫だって。お前は心配しすぎなんだよ。
  中学の時もなんかアニメに影響されて変な感じになってたろ。
  また別のアニメにはまったんじゃないのか」

母「まったく、高校生にもなってアニメだなんて」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:36:52.14 ID:hVzeTrRP0
学校。
風子が校門をくぐると
待機していたファンクラブの会員たちが風子の護衛についた。
ちなみに澪と入れ替わっていることは、一般の会員たちは知らない。

「秋山さん、お荷物をお持ちします!」

風子「ええ、お願い」

「秋山さん、最近反体制者が活気づいているとの噂があります! お気をつけください!」

風子「あなたたちが守ってくれるんでしょ」

「秋山さん、今日の時間割は現国、数学、体育、世界史、英語、生物です!」

風子「体育はサボるわ」

「秋山さん、今日は一段と可愛いですね///」

風子「ありがとう」

そんな風子たちを見つめる反体制者たち。

梓「やはり警備は厳重ですね」

佐藤「大丈夫、私たちの作戦なら成功するわ」

エリ「決行は今日の昼休みだよ。いいね」

梓「はい」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:41:52.28 ID:hVzeTrRP0
そして昼休み。

「秋山さん、パン買ってきました!」

風子「ありがとう……ん、メール?」

風子が持っているのはもちろん澪の携帯。
携帯をひらくと唯からのメールが届いていた。
文面は以下のとおり。

『澪ちゃん、突然こんなメールしてごめんね。
 どうしても澪ちゃんに伝えておきたいことがあるの。
 大事な話だから、二人きりで言いたい。
 昼休み、東校舎の屋上に一人できてくれる?』

風子はそのメールを読んで、
携帯の画面を佐々木に見せた。

風子「すごいわね、本当に呼び出しが来たわよ。
   反体制者の連中も単純ね」

佐「まだ喜ぶのは早いわよ、
  その反体制者どもを一掃するまでが計画なんだから。
  これが成功したらあなたを幹部に昇格させてあげるわ」

風子「そう、それは頑張らなくては」

携帯を閉じる。
風子は不敵に微笑んで、
東校舎の屋上へと向かう。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 20:47:41.96 ID:hVzeTrRP0
昼休み、東校舎屋上。
ここは校舎内に出入りする扉以外は何もない……はずなのだが、
今は屋上の一角に大量のダンボール箱が積み重ねられていた。
その陰に梓、紬、エリ、アカネの4人が隠れて様子を伺っている。
かなり怪しい。

屋上にやってきた風子もダンボールに気づいたが
あえて無視して、すでに到着していた唯の方へと歩み寄っていく。

唯「あ、来てくれたんだ」

風子「うん、約束通り一人で来たよ。
   それで大事な話ってなんなんだ?」

唯「澪ちゃんにだけ伝えたかったことなの……」

風子「え、それって……///」

唯「……」

風子による澪の口調の模倣は完璧であった。
目の前にいる唯も、遠くから見守る梓たちも、
この澪が偽物だと疑いすらしない。
唯は唯で、完全に澪を騙せていると思っている。
梓たちも作戦の成功を信じて疑わない。

全員(駄目だ、まだ笑うな……)

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:06:09.24 ID:hVzeTrRP0
唯「で、話って言うのがね……」

風子「うん」

唯「あずにゃん」

梓「はい」

唯に呼ばれて、出生証明書を携えた梓が
ダンボール箱の陰から歩み出る。

風子「な、なにやってるんだ梓、
   こんなところで……」

梓「澪先輩に、見せたいものがあって」

一歩一歩、風子に近づいていく梓。

梓(これを澪先輩に突きつけて脅せば
  澪先輩をこちらに引きこむことが出来るはずだ……
  でもこんなことくらい向こうも予測しているはず……
  このタイミングでファンクラブのヤツらが飛び出してきて
  私たちを一網打尽にすることも……いや、
  そんなことがないようにこの東校舎屋上を選んだんだ。
  誰も隠れられる場所はない……
  ファンクラブのヤツらなんていないはずなんだ……
  でもなんなんだろう、
  この嫌な胸騒ぎは……)

風子「……」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:10:39.01 ID:hVzeTrRP0
梓「っ!!」

梓はピタリと脚を止めた。
さらに大きく目を見開いて、わなわなと唇を震わせる。
冷や汗が頬を伝う。
尋常ではない様子の梓に、唯が問いかける。

唯「ど、どうしたの? あずにゃん」

梓「……に、偽物です」

唯「え?」

梓「その澪先輩は偽物です!!
  唯先輩、はやく逃げてください!!」

唯「ええええっ!?」

風子「……」

紬「偽物ってどういうこと?
  どう見ても澪ちゃんじゃ……」

梓「おっぱいが2cm足りません!!
  私の澪っぱい観察眼は確かです、はやく逃げて!」

梓に言われて慌てて逃げようとする唯の腕を
風子がガッシと捕まえた。

風子「ふふふ……バレてしまってはしょうがないわ」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:15:56.55 ID:hVzeTrRP0
唯「ひいいいいい!」

風子「出てきなさい、お前たち!」

風子の号令と共に
校舎の外壁に張り付いて隠れていた
ファンクラブの会員たちが一斉に屋上へと上がってきた。
その数およそ20。

風子「澪のパンツは!」

会員達「「縞パンツ!」」

紬「なっ、そんな場所に隠れてたなんて」

エリ「まるで忍者だねっ」

佐藤「そ、そんなこと行ってる場合じゃないでしょ!!」

風子「さああなたたち、出生証明書を出しなさい。
   おとなしく言うことを聞かなければ……
   どうなるか分かってるわよね」

梓「くっ……こうなったら」

風子「ふふん、ここにいる戦闘員たちに出生証明書を見せつけても無駄よ。
   こいつらはみんな佐々木さんの直属部隊、
   秋山さんへの崇拝心なんかかけらも持ち合わせていないからね」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:20:49.21 ID:hVzeTrRP0
佐藤「ど、どうするの?」

エリ「どうするって言ったって……」

紬「……」

風子「こちらに従う気はない、ということね……
   ならばこちらも遠慮なく行かせてもらうわ。
   お前たち、やっておしまい!」

風子の命令一下、20人の戦闘員が
エリたちを取り囲み、一斉に襲いかかった。

紬「オラオラオラオラオラオラ」

唯「すごい、ムギちゃんが20人相手に互角に戦ってる!」

風子「なんですって!?」

佐藤「私たちは今のうちに逃げよう!」

エリ「えっ、でも唯とムギが!」

梓「今は私たちが逃げるのが先決です!」

紬「あまり時間は稼げないわ……
  私のことはいいから、はやく逃げて!!」

エリ「む、ムギ……!」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:27:14.24 ID:hVzeTrRP0
そのとき校舎内に通じるドアが開き、
佐々木曜子が姿を表した。

佐「ごきげんよう」

エリ「佐々木さん……!」

佐「あら、もうとっくに全員捕まえられてるもんだと思ったのに。
  20人じゃ足りなかったかしら?」

風子「大丈夫よ、今は琴吹さんが粘っているけれど……
   すぐに力尽きるでしょうから」

20人の戦闘員に囲まれながらも
必死に戦っていた紬であったが
明らかにバテてしまっている。
もはや気力だけで戦っている状態だ。

佐「ふふん、もうボロボロね。
  おとなしく諦めたほうがいいわよ……
  琴吹さんだけじゃなく、あなたたち反体制者もね」

梓「だ、誰が諦めるもんですか!」

佐「反骨心だけは立派ね。褒めてあげてもいいわ。
  でもそれだけじゃどうにもならないって、
  もう身に染みて分かったでしょう?」

梓「ぐぬぬ」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:32:37.39 ID:hVzeTrRP0
佐「それにしても佐藤さん、瀧さん、
  あなたたちがARCHの一員だったなんて。
  毎日同じ教室で授業を受けていたのに全然気づかなかったわ」

佐藤「一員どころじゃないわ。
   私は副リーダーで、エリはリーダーなのよ」

エリ「アカネ……」

佐「へえー、まさかリーダー自ら最前線に出てくるとはね。
  吹奏楽部大逆事件の時にも思ったけれど、
  あなたたちは本当に愚かしいわね。そして面白い」

梓「……」

佐「それで、出生証明書を持っているのは誰なのかしら?
  リーダーの瀧エリさんかな?」

風子「多分そこのちっこいツインテの子よ、佐々木さん。
   この平沢さんはその子を呼んだもの」

佐「ふーん、あなたねぇ。まだ2年生か」

梓「く……」

佐々木は少しずつ梓ににじりよっていく。

佐「私は下級生だろうと、反体制者には容赦しないわよ。
  はやく出生証明書をこっちに渡しなさい。
  それさえ取り戻せれば澪ファンクラブは永遠に無敵なのよ!」

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:37:59.90 ID:hVzeTrRP0
梓「逃げましょう、エリ先輩」

エリ「で、でもっ……アカネが……ムギや唯だって」

梓「今ここで全員が捕まってしまうより
  仲間を見捨ててでも私たちが生き残るべきなんです!」

佐藤「梓ちゃんの言うとおりよ、
   琴吹さんもそろそろヤバそうだから……今のうちに逃げてっ」

エリ「でも、でもっ」

梓「デモもストライキもありませんっ!
  ほらっ!」

おろおろとうろたえるエリを見かねて、
梓はその手を強引に引っ張って
屋上から校舎内へと逃げていった。
紬が力尽きたのはそれとほぼ同時であった。

紬「も、ダメ……」ばたん

佐「ええい、いいかげん離しなさい!」がばっ

佐藤「ぎゃっ」

佐「戦闘員は今すぐあの2人を追いなさい!!
  どんな手を使っても捕まえて、粛清してしまうのよ!!」

「はっ!」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:39:08.81 ID:hVzeTrRP0
風子は佐々木直属の部下だった

ってことにしといて

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:41:00.98 ID:hVzeTrRP0
1レス分抜けてた>>160の前

佐藤「おらぁっ!」

佐「ぎゃっ!」

佐々木が梓に掴みかかろうとした瞬間、
すきを見てアカネがタックルをかました。
それをモロに食らってしまった佐々木は尻餅をつき、
その上からアカネが抑えこむ。

エリ「あ、アカネ!」

佐「くそっ、何をするの! 私にこんなコトして、ただじゃおかないわよ!!」

佐「はやく逃げて、エリ!
  ARCHのリーダーであるあなたまで捕まってしまったら、
  今度こそ本当にARCHは……!」

佐「どきなさい、この卑しい反体制者め!」

佐「私には構わないで、はやくっ!」

佐「ちょっと高橋さん! 助けなさい!」

風子「は、はいっ」

風子は佐々木のほうへと駆け寄ろうとしたが
その場からは一歩も動くことができなかった。
風子が捕まえていた唯が、今度は逆に風子をしっかりと捕まえていた。

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:51:01.71 ID:hVzeTrRP0
律の病室。

ガラッ
梓「……」

エリ「ただいま……」

律「おー、おかえり。
  その調子じゃうまくはいか……なかったみたいだな」

梓「ニセモノ作戦にしてやられました……」

律「……他のヤツらはどうした?」

エリ「多分捕まっちゃったと思う……」

律「そうか……出生証明書は?」

梓「それはまだここにありますけど」

律「そうか、それならまだ大丈夫だ。
  今度はちゃんと作戦を練って、ファンクラブをぶっ飛ばして、
  唯やムギ、アカネを助けだしてやろうぜ!」

梓「はいっ」

律「ほら、エリも」

エリ「そ、そうだね……
   いつまでも落ち込んでても仕方ないよね、うん」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:54:44.41 ID:hVzeTrRP0
律「そーだぜ、エリが落ち込んでるのなんて似合わねーよ。
  お前がARCHのリーダーなんだし、
  元気なくしてたら他のメンバーも困るぜ?」

エリ「うん、ありがとう律」

律「今日はとりあえず二人とも休めよ。
  また明日から行動を開始すればいい」

梓「そうですね……今日はちょっと疲れました。色々ありましたし」

律「はやく帰って寝たほうがいいな」

梓「はい、そうします」

エリ「ちょ、ちょっと待って!」

梓「え、なんですか?」

エリ「家に帰るのはヤバいよ。
   私たちのこともう向こうにバレちゃったから……
   家の前に張り込んでるに決まってる」

梓「あっ、そうか……!」

律「じゃあどうするんだ?」

エリ「ここに泊まろう」

梓「えっ」

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 21:58:05.27 ID:hVzeTrRP0
エリ「いいかな?」

律「私は別にいいけど……
  病院の人に見つかったら叩き出されるぞ」

エリ「バレないようにするから~」

律「えー……
  まあ他に行くとこないんじゃ仕方ないか……」

梓「すみません、ありがとうございます」

律「まあいい、今日は一日中作戦会議だ。
  今度こそ澪ファンクラブをやっつけるぞ!」

梓「はい!」

エリ「おう!」

律「で、なにかいい案はあるかね」

梓「ありません!」

エリ「うーん……明日中には行動を起こしたいんだよね……
   みんなを助けたいし」

律「まずみんなを助けるのを優先するか」

梓「そうですね、洗脳されちゃう前に……」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:02:16.11 ID:hVzeTrRP0
梓「でも助けるって言っても……
  捕まったみんなはどこに連れてかれたんでしょうね」

エリ「さあ、それが謎なんだよね……
   ARCHでも前から行方を追っているけど、
   全然見つからないんだよ」

律「澪ファンクラブしか知らない秘密の場所、か」

エリ「校内であることは間違いないんだけど」

梓「学校の地下に秘密基地でもあるとか」

エリ「あはは、いくらなんでもそれはないよ」

梓「ですよねぇ」

エリ「うーん……どうすればいいんだろ」

梓「てゆーか私たちが反体制者ってバレちゃいましたし
  もう普通に学校にいくのも無理ですよねぇ」

エリ「ああ、そっか……
   学校でみんなを探し出すってのもムリなんだ……」

梓「やばいですねぇ」

エリ「ファンクラブに見つからないようにこっそり……
   っていうのも難しいか」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:06:26.17 ID:hVzeTrRP0
梓「やっぱりあれですね。
  みんなを助け出すには澪ファンクラブそのものを
  潰すしかないのかもしれません」

エリ「でも……二人でやれるかなぁ」

梓「やるしかないです。やってやるんです……
  ていうか他のARCHの隊員って協力してくれないんですか」

エリ「先の吹奏楽部大逆事件のせいでみんなビビッちゃって。
   今日も協力を呼びかけてみたんだけど、誰も」

梓「そうだったんですか……」

エリ「うーん……私がリーダーに向いてないのかな……なんちて」

梓「そんなことないですよ」

エリ「えへへ、ありがとう……」

律(他のARCHメンバーの協力は得られない……
  となるとマジで動けるのはこの2人だけか。
  これじゃいくらこっちに出生証明書があるとはいえ
  流石にヤバいんじゃないのか……?
  こうなったら……いやダメダメ、何考えてんだ私)

その後もろくな作戦が思いつかないまま
時間だけがいたずらに過ぎていった。
面会時間が終わっても梓とエリは病室に残り、
ナースが来たときにはベッドの下に隠れてやり過ごした。

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:10:36.37 ID:hVzeTrRP0
その頃、地下壕では尋問……
いや、世にも恐ろしい拷問が
絶え間なく続けられていた。

拷問を受けているのは
捕虜収容室にぶちこまれた唯、紬、アカネ、
前からここにいた姫子。

佐々木、風子、和は部屋の外から様子を観ている。
風子は今日の作戦の成功を認められて晴れて幹部に昇格、
地下壕に出入りできるようになったのだ。

佐「うーん、ときめきシュガーは効果がないみたいね」

唯「澪ちゃんの恥ずかしい詞には
  免疫ついてるから平気だよー。ね、ムギちゃん」

紬「そうそう、表に出ている歌詞よりも
  何十倍もの量を読まされてきたんだから」

佐藤「あなた達すごいわね……
   私はもうときめきシュガーだけで……うえっ」

姫子「う……思い出しただけで頭痛が」

佐「やり方を変えましょう。
  DVDとモニターを持ってきなさい」

佐々木が部下に命じた。
それを聞いた部下は顔色を変える。

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:14:47.20 ID:hVzeTrRP0
会員「ま、まさかアレをやる気ですか……!?
   アレは危険度ランクSの拷問、
   施された全ての人間が精神崩壊したというシロモノですよ」

佐「うるさいわね、つべこべ言わずに用意しなさい」

会員「は、はいっ」

和「DVDにモニター……まさか、アレ?」

佐「そう、アレよ。
  約40人の反体制者を廃人にして
  ファンクラブへと寝返らせたアレを使うわ」

風子「アレ……?」

唯「あ、アレって何?」

佐藤「知らないけど……なにかすごい物みたいね……」

紬「40人もの反体制者を廃人にして洗脳したって……」

姫子「ま、まさか……私たちをビビらすために
   大げさに言ってるだけに決まってるわ」

会員「佐々木さん、用意できました!」

佐「ご苦労。早速はじめてちょうだい」

会員「はっ!」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:18:58.14 ID:hVzeTrRP0
部下はモニターとDVDを部屋の中にセットして、
再生ボタンを押した。

モニターに映し出されたのは
軽音楽部の学園祭ライブの映像だった。
澪がふわふわ時間を歌っているので、
2年前のものである。

唯「ああ、澪ちゃんがパンモロしたときのやつだね」

佐藤「秋山さんのパンツを見せて廃人にしようって?
   そんなのにかかるわけないでしょう」

紬「澪ちゃんがパンツ見せるシーンなら
  私たちもDVDで何度も見てるわー」

姫子「何が出てくるかと思ったら、こんなのか……」

佐「ふっ……余裕こいていられるのも今のうちよ」

和「高橋さんは見ないほうがいい……刺激が強すぎる」

風子「へ?」

モニター内では既に演奏が終わっていた。
ひとしきり拍手喝采を浴びた後、
澪が観客席に背を向けて、
退場しようとしたところで
ついうっかりコードに足を引っ掛け、
そのまま転んでしまい……

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:23:34.80 ID:hVzeTrRP0
唯「……あれっ?」

紬「止まった?」

そう、映像は止まってしまったのだ。
澪が体制を崩してパンツが見えるその直前で。

佐「ふふん」

映像が自動的に巻き戻される。
演奏終了後からまた再生され、澪が後ろを向いて足を引っ掛けて
転ぼうとした瞬間、また映像は止まってしまった。

唯「ああっ! また止まったっ!」

紬「これじゃパンツが見えないじゃない!」

その後も何度も何度も巻き戻され、
何度も何度も同じシーンで停止した。

和「……この映像を見る人間は無意識のうちに
  澪のパンツが見えるシーンをクライマックスに置く。
  当然そのクライマックスに向けて見る者の心は高ぶっていく……
  しかしその直前で寸止めを食らうことによって
  消化されなかった期待感がストレスとなって蓄積される。
  そのストレスを解消するには澪のパンツを見るしかない……
  澪のパンツというクライマックスを迎えるために映像にかじりつき、
  そうなるほどに余計ストレスが溜まって最終的に精神が崩壊する……恐るべき拷問だわ」

風子「なんやそれ」

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:28:07.84 ID:hVzeTrRP0
唯「見せろ! 見せろ! パンツ見せろォ!!!」

紬「なんでここで止まるのよぉ、ふざけるんじゃないわよ!!」

佐藤「……」
姫子「唯もムギもやばいんじゃない……?」
↑効いてない二人

佐「出生証明書の所在を吐いたら続きを見せてあげるわ」

唯「あずにゃんが持ってるよ!!!」

佐藤「あっさり言うなよ!!」

佐「中野梓が持ってることくらい分かってるわよ。
  その中野梓がどこにいるかを聞いてるの」

紬「知る訳ないでしょう!!」

佐「……あなたたちが活動拠点にしていた場所とかはないの?」

唯「澪ちゃんのパンツ! 澪ちゃんのパンツ!」

紬「縞パンツ! 縞パンツ!!」

和「ちょっとやりすぎてしまったみたいね。
  もうまともに会話が出来る状態じゃないわ」

佐「ちっ……」

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:32:18.62 ID:hVzeTrRP0
佐「もういいわ、モニターを片付けなさい」

会員「はっ」

唯「ああっ、まだパンツ見てないのにィ」

紬「片付けないで続きを見せてよぉ」

佐藤「いいかげん目覚めなさい!!」バコッボカッ

唯「ぶべっ」
紬「げふっ」

姫子「……」

佐「うーん、他に拷問は何があったかしらね……
  ときめきシュガーもモロパン寸止めも効果ないとなると……」

和「あまり手荒なことはするんじゃないわよ」

佐「分かってるわよ、うるさいわね」

和「じゃあ私、生徒会の用事がまだ残ってるから」

佐「そう、それじゃあね」

和「ええ、また明日」

佐「……」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:36:28.31 ID:hVzeTrRP0
風子「真鍋さん……なにかクサイわね」

佐「あなたも気づいた?」

風子「ええ。何か企んでる感じがするわ」

佐「ただ焦っているだけよ。
  澪ファンクラブが自分の手に負えないくらい
  力をつけてしまったことにね。
  会長といっても所詮はお飾りでしかないんだから
  真鍋さんは黙って会長の椅子に座っててくれればいいものを」

風子「何か仕掛けてくる、ってことはない?」

佐「まさか。何ができるの」

風子「あなどらないほうがいいわ。
   彼女は相当の切れ者よ。特に今はこんな状況だし……」

佐「切れ者ねえ。じゃあ分かったわ、
  真鍋さんに見張りでも付けておくことにする」

風子「見張り……真鍋さん本人が容認するかしら」

佐「建前は、激化が予想されるARCHの攻撃からの護衛のため……とでもしておきましょうか」

風子「なるほど」  

佐「杞憂だとは思うけど、念には念を入れておくのも
  悪くはないはずよね」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:40:38.26 ID:hVzeTrRP0
翌朝。

梓「ふぁぁー……あ痛っ」

律の病室、ベッドの横の床に寝転んで
一夜を過ごした梓とエリ。
梓が目覚めたときには隣で寝ていたはずのエリは
いなくなっていた。

律「おう、起きたか」

梓「今何時ですか……」

律「7時前」

梓「エリ先輩は?」

律「便所」

梓「……」

律「どーだ、寝てる間になんか良い作戦は思いついたか?」

梓「いえ、まったく……
  今日中には決着を付けないとヤバいんですけど……
  いつまでもここに隠れてるわけにもいかないし」

昨夜、梓は親に「今夜は帰らない」と電話をかけたとき
かなり心配されてしまったのだった。
何日も帰らずにいると間違いなく警察を呼ばれるだろう。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:44:48.75 ID:hVzeTrRP0
そうなれば自分の所在もバレて
澪ファンクラブの連中に捕らえられ、
出生証明書を奪われてしまう。

梓(そーだ、出生証明書だけどこかに隠せば……
  いや、どちらにせよ私は反体制者なんだから
  澪ファンクラブの狩りの対象になるんだ。
  私もエリ先輩も捕まっちゃったら、
  もう澪ファンクラブに対抗出来る人間は……)

なるべく早く澪ファンクラブを倒さなければならない。
しかし二人だけではどうにもできない。
いい作戦も浮かばない。
八方塞がりだった。

梓「……」

律「なあ」

梓「はい?」

律「……実はな、まだ誰にも言ってないことがあるんだ」

梓「な、なんですか……?」

律「お前が澪の出生証明書を持ってきた日のことだ。
  お前らが病室に来る前に、
  和が私の見舞いに来たんだよ」

梓「わ、和先輩が?」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:48:58.72 ID:hVzeTrRP0
律「ああ。
  それで、私に協力して欲しいって言ってきたんだ」

梓「協力?」

律「澪ファンクラブも一枚岩ではないらしい。
  反体制者を潰して回ってるのは一部の過激派で、
  権力に執着しているヤツらがそうやって
  澪ファンクラブの絶対的な支配体制を作ろうとしてるんだと」

梓「和先輩は違うんですか」

律「あいつはそんな状況に手を焼いてるらしい。
  澪もその過激派側についてるからどうしようもできないって。
  それで私に、ファンクラブに入って
  澪を和側につくように説得してくれって言われて」

梓「OKしたんですか?」

律「するわけないだろ。
  あいつは澪ファンクラブの会長、私らの敵だぜ」

梓「ですよね」

律「でも嘘を言っているような感じでもなかった」

梓「……」

律「なあ、どうせ手詰まりなんだ。
  ここは少しの可能性に賭けてみるのも……」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:53:09.76 ID:hVzeTrRP0
梓「ば、バカ言わないでください。
  もしそれが罠だったらどうするんですか?」

律「そりゃ確かに罠かもしれないけど、
  このままじゃ何も出来ないんだ。
  それならいっそ……」

梓「和先輩は澪ファンクラブの会長、
  私たちが倒すべき敵です。
  敵に協力するなんて、ワケわかんない真似できません」

律「梓……」

梓「なにかあるはずです。
  私たちだけでも澪ファンクラブを倒す方法。
  きっと何か……」

律「……」

梓「タイムリミットぎりぎりまで考えますから、
  律先輩もなにか考えてください」

律「ああ……」

ガラッ
エリ「ただいまー。あれっあずにゃんも起きたの?
   おっはよーう」

梓「おはようございます……」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 22:57:20.78 ID:hVzeTrRP0
梓「てゆーかどうしたんですか、そのパジャマ」

エリ「あー、律に借りたんだよ。
   サイズ全然合ってなくてきついけどー」

梓「確かにピッチピチですね」

律「おい、私を憐れみの目で見るな。
  梓もパジャマ貸してやるから顔洗ってこいよ。
  制服のままじゃ怪しまれるぞ」

梓「はあ、じゃあ貸してください」

律「50着くらいあるから好きなん選べ」

梓「じゃあこれにします」ぬぎぬぎ

律「おー、似合う似合う」

エリ「ぶっかぶかだね(笑)」

梓「うるさいです」



ところでさっぱり出番のない澪はというと、
偽物作戦が終わったあとも地下壕に監禁されていた。

澪「うんこしたい」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:01:31.00 ID:hVzeTrRP0
地下壕のVIPルームから廊下に出る澪。
ファンクラブの人は誰もおらず、地下壕はひっそりしている。
澪はトイレを求めて、入り組んだ地下壕の中を彷徨った。

澪「あれ、トイレどこだっけぇ?
  たしかこっちを右……いや左? ひぎみだり?」

いつもは地下壕を警備している
ファンクラブ会員にトイレに連れていってもらっていたので、
澪はトイレまでの道のりを覚える努力をしていなかったのだった。

澪「あれー、どこだここ」

資料室、休憩室、武器庫と書かれた扉の前を通り過ぎ、
澪は行き止まりにぶちあたった。
壁には何も書かれていない扉が一つ。

澪「ここだっけ?」ガチャ

澪は躊躇なく扉を開いた。
そこはトイレではなかった。
その部屋にあったのは、
ロープでぐるぐるに縛られた4人のクラスメイト。

唯「み、澪ちゃん!?」

佐藤「なんでこんなところに……」

澪「ゆ、唯? ムギに、佐藤さん、それに立花さんも……!
  いったい何やってるんだ?」

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:05:41.76 ID:hVzeTrRP0
病院の中庭。
いつまでも病室に居座っていても怪しまれるので
梓とエリは中庭のベンチへと移動していた。

二人は今後の作戦を話し合うはずだったが
お互いにいい案はまったく浮かばなかった。

エリ「……」

梓「……」

エリ「……ごめんね」

梓「え、何がですか?」

エリ「私がしっかりしなきゃいけないのに……
   こんなダメな先輩で」

梓「別にそんなことないですよ」

エリ「昨日だって……みんなが捕まっちゃったのも、
   私のせいで……」

梓「何言ってるんですか、エリ先輩のせいじゃありませんよ。
  偽物作戦なんて誰も予想できなかったんですから」

エリ「でも……」

梓「……」

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:10:03.57 ID:hVzeTrRP0
梓「かーっ!!!」

エリ「!?」

梓「もう、今さらグチグチ言ってもしょうがないでしょ!
  今考えなきゃいけないのは、これからどうするか! 未来の話です!」

エリ「あずにゃん……」

梓「あなたはARCHのリーダーなんですから
  リーダーらしく堂々としててください!
  ルルーシュも言ってましたよ、まず王様から動かないと部下がついてこないって」

エリ「……」

梓「とにかくまだ負けたわけじゃないんですから、
  私たちにできることをやりましょう。
  弱音は負けてから吐けばいいんです!」

エリ「そうだね……ごめんねあずにゃん、
   私ちょっと弱気になっちゃってたよ」

梓「分かればいいんです。
  あとあずにゃんって呼ぶのやめてください。
  そう呼んでいいのは唯先輩と
  二人きりの時の澪先輩だけです」

エリ「よーし、今日中に澪ファンクラブをやっつけるぞ!」

梓「おー!」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:14:13.96 ID:hVzeTrRP0
エリ「で、何をしたらいいだろう」

梓「うーん……そこが問題ですよね」

エリ「ぶっちゃけ手詰まりなんだよねぇ……」

梓「うかつに行動を始めると
  澪ファンクラブに見つかって捕まるでしょうし」

エリ「もう出生証明書を大量にコピーしてばらまくか」

梓「唯先輩と同レベルの発想ですね……
  てゆーかもう最初からそうしとけばよかったなあ」

エリ「今からやろうとしても実行前にファンクラブに捕まるのがオチか」

梓「間違いないですね」

エリ「うーん……」

梓「……」

エリ「んんー……」

梓(ファンクラブの過激派を排したがっているという和先輩……
  もう律先輩が言ったとおりに、そっちに賭けてみるか……?
  いや、もし罠だったら取り返しが付かないし……
  でもこのままじゃどっちにしろ……)

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:18:23.24 ID:hVzeTrRP0
地下壕。
ロープを解いてやった澪は
4人の口から澪ファンクラブのこれまでの悪行の数々を聞かされていた。

澪「う、嘘だろ?
  律をトラックで轢いたのがファンクラブの人だなんて」

唯「本当だよー。あずにゃんが見てたもん、
  トラックの運転手がファンクラブのバッジ付けてたの」

澪「ば、バカ言え……なんでそんなヒドイことするんだよ」

佐藤「そうやって反体制者を処分し、
   他の生徒達に恐怖を植えつけて
   誰も澪ファンクラブに逆らえなくする……
   それがあなたたちのやりかたでしょう」

紬「澪ちゃんだってずっとそのおかげで調子乗ってたじゃない。
  今さら知らぬ存ぜぬは通用しないわよ」

澪「う……で、でもトラックは知らなかった……
  まさか律にそんな……
  それにトラックで轢くだなんて、いくらなんでもやりすぎだよ」

姫子「それだけじゃない、
   バレー部の豊崎さんが窓から落ちて骨折したのも
   団地妻研究部の寿さんがライオンに食われたのも
   澪ファンクラブの仕業だとARCHの調査で判明しているわ」

澪「そんな……!」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:22:34.19 ID:hVzeTrRP0
佐藤(秋山さんは澪ファンクラブの過激な行いを知らなかった……
   むしろ知ってショックを受けているような感じだわ。
   ファンクラブのこれらの行動は秋山さんの意志に関係ない
   一部のメンバーの暴走……だとすれば
   秋山さんをこっちに引きこむことができるんじゃ……?)

澪「まさか澪ファンクラブが
  そんな酷いことまでしてたなんて……」

唯「私たちもファンクラブに捕まって監禁されてたんだよー」

澪「えっ、てことはみんな……反体制者?」

佐藤「そうよ。
   あなたの澪ファンクラブを潰そうとして
   逆にこっちがやられてしまったの」

澪「な、な、な……じゃあ私のこともどうにかしようってのか?
  ひー、ロープ解くんじゃなかった!!」

佐藤「落ち着いて、秋山さん。
   あなたにはなにもしないわ。
   私たちが倒すべき敵はどうやらあなたじゃなさそうだし」

澪「そ、そうか……良かった」

佐藤「ところで秋山さん。
   あなた、在日朝鮮人なのよね?」

澪「な、なななな、な……!?」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:26:44.58 ID:hVzeTrRP0
澪「もしかして私の出生証明書を盗んだのって、
  佐藤さんたち……!?」

佐藤「そうよ、今持っているのは私たちじゃないけど」

澪「……」

佐藤「秋山さん……澪ファンクラブはね、
   今あなたの出生証明書を取り戻そうと躍起になってるわ。
   でもそれはあなたを思ってのことじゃない」

澪「え……?」

佐藤「あなたを利用した権力構造を守るためよ。
   澪ファンクラブはもうあなたを応援するための団体じゃない。
   権力を欲する野心家たちの集まりでしかないのよ!」

澪「そっ、そんな……そんなの嘘だっ!
  ファンクラブの人たちは……私をっ」

姫子「……当然、純粋にあなたを慕う会員は大勢いる。
   でも澪ファンクラブの上層にいるのは、
   あなたのことなんて何とも思わない人たちばかりよ」

澪「っ……」

佐藤「このままだと、田井中さんのような被害者が
   これからも何人も出ることになってしまうわ。
   私たちはそうなってしまう前に、
   澪ファンクラブという腐敗した権力を打ち倒したい」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:30:54.80 ID:hVzeTrRP0
佐藤「そのために、秋山さんにも協力してほしいのよ」

澪「わ、私に……?
  私に澪ファンクラブを裏切って、
  反体制者になれっていうのか?」

佐藤「そうよ」

紬「澪ちゃんは良いの?
  りっちゃんや豊崎さんのように、
  澪ファンクラブに逆らったってだけで
  大怪我させられちゃう人がいても……」

姫子「私なんてこの地下壕で拷問されたわ……
   あまりに苦しくて何度も吐いちゃった」

澪「う……」

佐藤「秋山さん、お願い。
   あなたもこんなの間違ってるって思ってるんでしょう?」

澪「わ、分かった……協力する。
  その代わりに」

佐藤「代わりに?」

澪「私が在日朝鮮人だっていうのを秘密のままにしておいてくれ」

佐藤「……」

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:34:58.76 ID:hVzeTrRP0
澪「それが協力する条件だ」

佐藤「……分かったわ、
   あなたが在日であるのを公表することは
   澪ファンクラブを倒す手段の一つでしかないし、
   秋山さんが協力してくれるならそれで」

澪「ああ、ありがとう」

唯「てゆーかおなかすいたー」

姫子「そういえばもう4時限目ね」

佐藤「ところで秋山さん、長々とこんなところで喋ってて大丈夫なの?
   そもそもなんで秋山さんがここにいるの?」

澪「高橋さんが影武者になったから、私はここに隠されて」

佐藤「ああ、そういうこと……」

唯「はっ、まさかこの澪ちゃんも風子ちゃん!?」

姫子「ええっ!?」

紬「大丈夫、このおっぱいは間違いなく澪ちゃんよ」

唯「そっかぁー、よかった」

澪「どこで判断してんだっ」

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:39:09.24 ID:hVzeTrRP0
佐藤「そうだ秋山さん、秘密のルートとか知らない?
   見張りの連中に見つからずに外に抜け出せるような……」

澪「さあ、知らない。
  けど抜け出したいなら今行けばいいんじゃないか?」

佐藤「え?」

澪「この地下壕、昼休みと放課後以外は誰もこないから」

佐藤「えっ、そうだったの!?」

澪「うん、みんなも授業でなきゃいけないしさ」

姫子「そ、そうなんだ……見張りなんていないのね」

唯「じゃあもうさっさと外に出ちゃおうよ。
  もうこんな場所に閉じ込められてるの嫌だよー」

佐藤「ええ、そうね……
   早く脱出して、エリたちと合流したい」

姫子「エリ、捕まってないわよね……」

5人は周りを伺いながら捕虜収容室を抜けだした。
澪の言ったとおり地下壕内には人の姿はなく、
迷路のように入り組んだ地下壕を5人は
出口を求めて歩き始めた。

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:43:19.96 ID:hVzeTrRP0
唯「あっ出口あったー」

佐藤「展開はえー」

姫子「でも鍵かかってるわよ」

紬「澪ちゃん、鍵持ってない?」

澪「持ってないよ……ファンクラブ幹部の人しか持ってないんじゃないかな」

佐藤「携帯でその幹部の人を呼び出せない?」

澪「私の携帯、高橋さんが持ってるし」

佐藤「そう……
   それじゃあアレをやるしかないわね」

唯「アレとはまさか……
  テレビでよく見るアレですか!?」

佐藤「そうアレよ!
   鍵のかかった扉を体当たりでぶち破るアレよ!」

姫子「刑事ドラマかよ」

紬「私、鍵のかかったドアを体当たりでブチ破るのが」

佐藤「よし、早速やるわよ」

紬「最後まで言わせてよ」

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:47:29.81 ID:hVzeTrRP0
姫子「待ってよ。
   そんなことやって大きい音出したら
   怪しまれちゃうんじゃないの」

唯「そっか。いくら授業中とは言え
  私たちが逃げたのバレたらみんな来ちゃうよね」

佐藤「じゃあどうするのよ。
   このままじゃ捕虜収容室から脱走したのがバレて
   またロープで縛られてしまうだけよ」

姫子「それは……うーん」

澪「あっ、もしそうなったら私がロープで縛るのやめてって頼んでみるよ」

佐藤「たぶん意味ないと思う……
   ていうか私たちと通じたってファンクラブの人たちに知れたら
   秋山さんもやばいと思うんだけど」

澪「ええっ!?」

姫子「そうね……秋山さんがファンクラブを裏切って
   ARCH側についたとなれば、
   ファンクラブは秋山さんを処分するでしょうね。
   向こうには高橋風子っていう影武者がいるわけだし、
   秋山さん亡き後は彼女を立てておけば……」

澪「ひいいい!」

「ちょっと、あなたたち」

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:51:40.19 ID:hVzeTrRP0
扉の向こうから和の声が聞こえた。

佐藤「まっ……真鍋さん!?」

姫子「やばいっ、バレたよ。どうする?」

唯「和ちゃーん、ここから出してぇー」

和「ええ分かってるわ。最初からそのつもりよ」

佐藤「えっ?」

唯「わーい、ありがとう和ちゃん」

姫子「まさか何かの罠じゃ……」

和「そんな邪推しないでほしいわね。
  私は純粋にあなたたちを救ってあげたいと思って来たのよ。
  私以外には誰もいないから、安心して」

佐藤「……」

和「まあ、ちょっと恩を売るつもりではいるけど」

佐藤「なんなの、その恩っていうのは」

和「私に協力しなさい」

扉越しに会話する6人。

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/27(日) 23:55:48.12 ID:hVzeTrRP0
姫子「やっぱりね……ただで助けてくれるわけがないわよね」

佐藤「真鍋さんが私たちに協力……?
   なにを協力することがあるのかしら、
   私たちは敵同士でしょう?」

和「澪ファンクラブを潰したい気持ちは、貴方達と同じよ。
  佐々木さんをどうにかしなければ、
  この学校は本当にマズイことになってしまう」

佐藤「佐々木さんを?
   諸悪の根源が佐々木さんだとでも言うの?」

和「そうよ。私は佐々木さんによって祀り上げられた
  ただのお飾りの会長でしかないわ。
  ファンクラブの実権は佐々木さんにあるといってもいい」

佐藤「……」

紬「ど、どうするの?」

姫子「どうするって言ったって……
   信じていいのかな」

唯「和ちゃんは嘘つくような子じゃないよぉー」

澪「私もそう思う」

佐藤「でも、だからって……
   罠の恐れがゼロなわけじゃないでしょう」

229 名前: ◆5Gzrh4yzUg [] 投稿日:2011/02/27(日) 23:58:48.60 ID:hVzeTrRP0
和「いいこと?
  あなたたちが私を信じないのは勝手よ。
  でもそれはあなたたちにとっても不利益なのよ」

佐藤「どういうこと?」

和「今の状態のあなたたちじゃ何も出来ないでしょ。
  誰かに助けられるのを待つにしても、誰が来てくれるのかしら」

佐藤「う……」

和「私と一緒に澪ファンクラブを潰すわよ。
  早く決断しなさい。
  もう時間がないわ、早くしないと昼休みになって
  ファンクラブの連中がここにくる」

姫子「ど、どうするの? アカネ」

佐藤「えっ私が決めるの!?」

唯「アカネちゃん!」

紬「アカネちゃんっ!」

澪「佐藤さん……!」

佐藤「うーっ……
   このままだとどうせ無理だし……
   うううう……」

235 名前: ◆5Gzrh4yzUg [] 投稿日:2011/02/28(月) 00:02:59.24 ID:TfWv50SZ0 [1/33]
佐藤「わ、分かった、協力するわ。
   だから早くここから出して」

和「ありがとう、信じてくれて嬉しいわ」ガチャ

唯「おー、日光だ日光」

紬「ここって西校舎の裏……?
  こんな場所にあったのね、全然気づかなかったわ」

澪「ここはほとんど人が来ないからな」

和「あれっ、なんで澪もあなたたちと一緒にいるの?」

姫子「捕虜収容室に迷いこんできて、
   いろいろ話してるうちにこっちの味方してくれることになって」

和「そう、話が早くて助かるわ。
  じゃあもう行きましょう、時間がない」

唯「行くってどこへ?」

和「放送室よ。
  ファンクラブ会長として声明を発表するわ。
  もちろん、澪と、あなたたちARCHも一緒にね」

佐藤「……一体何を言うつもりなの?」

和「まだ内緒よ」

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:07:10.28 ID:TfWv50SZ0 [2/33]
和「ところで澪の出生証明書は?」

佐藤「ここにはないわ。どこにあるかは……」

和「律のところかしら?」

唯「な、なんで知ってるの?」

和「憂に色々調べてもらっていたのよ」

唯「う、憂が……」

和「まだ梓ちゃんが持っているんでしょう?
  早く呼んでちょうだい」

澪「えっ……まさか放送室で公表する気じゃ……」

和「当たり前でしょう。
  佐々木さんたちを打倒するにはそれしかないわ。
  秋山澪、出生証明書、ARCH。
  使えるコマはすべて使わないと」

澪「い、言ってることは分かるけど……」

唯「でも澪ちゃんが在日だってのは内緒にしとくって
  さっき約束したんだよ」

和「はあ?」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:11:21.10 ID:TfWv50SZ0 [3/33]
和「あのねえ澪、佐々木さんたちに加担していた時点で
  あなたも同罪なのよ。
  自分だけ無傷で助かろうなんてそうはいかないわ」

澪「う……」

佐藤「……それを言うなら、真鍋さんもじゃない?」

和「分かってるわよ。
  だから今から自分の責任を果たしに行くの」

佐藤「……」

唯「み、澪ちゃん……」

姫子「在日だってことを明かさない約束で
   秋山さんはこっちに協力してくれることになった。
   それを裏切るのは……」

澪「……いや、和の言うことのほうが筋が通ってる。
  私が律を轢いたようなもんなんだしな……
  梓に出生証明書を持ってくるように行ってくれ」

和「ありがとう、澪。
  私の携帯使っていいから梓ちゃんを呼んでくれない?
  急いでくるように言って」

唯「あずにゃんの電話番号って何番だっけ」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:15:32.07 ID:TfWv50SZ0 [4/33]
ぷるるるる ぷるるるる

唯「あっ、繋がった」

梓『はい、もしもし……』

唯「あずにゃん? 私だよー」

梓『ゆ、唯先輩!?
  捕まってたんじゃ……』

唯「和ちゃんが助けてくれたんだよー」

梓『和先輩が?』

唯「それで和ちゃんと一緒にファンクラブを倒すことになったの!
  だからあずにゃんは出生証明書を学校に持ってきて!」

梓『和先輩と? ファンクラブを潰す?
  話の流れがさっぱり読めないんですけど』

唯「いいから持ってきて!
  頼んだよ、急いでね!」プツッ

和「……」

唯「これですぐ持ってきてくれるはずだよ」

和「ホントでしょうね……」

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:19:43.34 ID:TfWv50SZ0 [5/33]
和「ところで律のいる病院からここまでどれくらいかかるの?」

唯「うーん、20分くらいかな」

和「20分……昼休み始まるまでは間に合わないわね……
  仕方ないわ、こっちはこっちで放送室に急ぐわよ。
  昼休みになれば放送室にも人が来ちゃうし、その前に先手を打っておかないと」

唯「なんか面白くなってきたねー」

姫子「のんきだね……」

佐藤「ところで真鍋さん、佐々木さんは真鍋さんの動向を見抜いていないのかしら?」

和「見抜いてるでしょうね、私に監視をつけてくるくらいだから」

紬「えっ、じゃあ……」

和「大丈夫よ、さっきトイレに行ったとき通気口からこっそり抜けだしてきたの。
  今は監視は付いていないわ。もっと早くこられればよかったんだけど」

唯「へー、スパイみたいだね」

澪「スッパイしなくてよかったな。スパイだけに」

和「……」

唯「……」

姫子(なんでこんな人にファンが付いてんだろ)

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:23:53.46 ID:TfWv50SZ0 [6/33]
その頃、3年2組では。

教師「えー、であるからここの訳はこのようになるのであって……」

佐「……」

風子「佐々木さん」こそっ

佐「なに?」

風子「真鍋さんの帰り、遅くない?」

佐「ああ、大きい方なんじゃないの?
  今朝からお腹の調子が悪いって言ってたし」

風子「それならいいんだけど……
   なんだか嫌な予感がするわ」

佐「嫌な予感?
  バカね、真鍋さんに何が出来るって言うの?
  監視も付けてるし、大丈夫よ」

風子「……
   あまり油断しないほうがいいわよ」

佐「ふん、あなたに言われるまでもないわ」

風子「……」

246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:28:05.15 ID:TfWv50SZ0 [7/33]
ぴんぽんぱんぽーん

和『授業中に失礼します……
  生徒会より緊急全校放送をおこないます……』

佐「!?」

風子「この声、真鍋さん」

佐「緊急全校放送って……一体何を」

ざわざわ

和『……この放送は澪ファンクラブに関することです』

佐「なっ」

和『えー……私が話してもいいのですが……
  やはり澪ファンクラブのことなので……
  ここは秋山さんに……お願いします』

澪『こんにちは、秋山澪です……』

「えっ、秋山さん?」
「秋山さんってここにいるじゃない」
「もしかしてニセモノ?」
「え、どっちが?」

風子「ちっ……」

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:32:23.42 ID:TfWv50SZ0 [8/33]
澪『わ、私はここに……
  澪ファンクラブの解散を宣言します!!』

佐「な……なんですって!?」

風子「馬鹿な……なぜっ」

「えええ、ファンクラブ解散!?」
「どういうことー?」
「普通の女の子に戻りたいの?」
「そんなー、私の生きがいがー」
「えっ、じゃあ学校でビクビクしなくて済む?」
「もう狩りも粛清もなくなるのか?」
「ええー、会員番号ゾロ目なのにー」
ざわざわ

澪『みなさんもご存じと思いますが……
  澪ファンクラブは逆らう人たちを暴力的な手段で弾圧していました……
  表に出ていること以外にも……
  トラックで轢いたり……屋上から突き落としたりとか……
  冗談では済まないくらいのことまでやっていたんです……
  私はそんなことする人達に応援されても嬉しくありません……』

「なんですって、そんな酷いことが!?」
「バレー部の豊崎さんが屋上から落ちて骨折したのも?」
「そう言われれば秋山さんの気持ちを考えていなかったかも」
「嘘よ、全部秋山さんのためなのよ!」
「そうよそうよ、ねえ佐々木さん? そうよね!?」

佐「そう、全部秋山さんのためにやってきたことよ」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:36:33.95 ID:TfWv50SZ0 [9/33]
佐「……きっと秋山さんは
  真鍋さんやARCHの連中にいらないことを吹きこまれてしまったのね……
  みんなも知っているでしょうけど、秋山さんはとっても純真で、純粋で、
  人を疑うことを知らない天使のようなお方だから」

「そうよ!秋山さんは敵の口車に乗せられただけよ!」
「私たちのやってることが間違っているわけない!」
「秋山さんのために反体制者を潰してきたんですもの!」
「秋山さんを騙した反体制者め!許せないわ!」
「それにしても、なんで真鍋さんが私たちを裏切ったの!?」

佐「真鍋さんも反体制者と内通していたんでしょうね……
  見抜けなかった私の責任だわ……ごめんなさい」

「佐々木さんが謝ることないわ!」
「そうよ、悪いのは全部反体制者だもの!」
「真鍋さんも敵よ!ぶっとばすのよ!」

佐「そうね、みんなの手で秋山さんを取り戻しましょう!
  秋山さんがトップに君臨してこそこの桜が丘高校に恒久の反映と平和が訪れるのよ!」

「「おーっ!」」

風子(秋山さんの放送で揺らぎかけたファンクラブを
   一瞬で纏め上げた……恐るべき手腕だわ)

佐「私は他のクラスのファンクラブ会員を見てくるわ。
  高橋さんは放送室に行って放送を阻止するのよ!」

風子「はい!」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 00:40:43.83 ID:TfWv50SZ0 [10/33]
和『秋山さん、ありがとう……
  次はARCHの副代表、佐藤アカネさんに登場していただきます……』

佐藤『ARCH副代表、佐藤アカネです……』

佐「ちっ、ARCHまで味方につけたのか。
  授業中も見張りをつけておくべきだったわね」

佐藤『みなさん、ARCHは腐敗した権力と戦ってきました。
   それは澪ファンクラブという名前でした。
   しかし、私たちの敵が澪ファンクラブなのではありません。
   澪ファンクラブの権力を私利私欲のために使い
   みなさんを苦しめる人たちが私たちの敵なのです。
   今、秋山さんの手によって澪ファンクラブが解散されました。
   それでもなお澪ファンクラブにしがみつくような人たちは
   秋山さんのことを好きでもなんでもない、
   ただ権力をその手から離したくないだけなのです。
   ARCHの隊員のみんな、今こそ蜂起の時です!
   愚かなる権力者たちを打ち倒すのは、今しかありません!』

「倒せるのか?澪ファンクラブを?」
「馬鹿な、佐藤さんは吹奏楽部大逆事件を忘れたか」
「でもやるなら今しかない」
「無駄だ、またやられるだけだ」
「やってみなければわからないだろう」

佐藤『ARCHのみなさん、いえ、
   澪ファンクラブの力に屈してきた皆さん、共に戦ってください。
   放送はここでいったん終わりますが、まだ放送しなければならないことは残っています。
   だから、放送室に来て、私たちを守ってください』

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:04:32.15 ID:TfWv50SZ0 [11/33]
再び放送室。

佐藤「ふう……」

和「ありがとう。名演説だったわ、佐藤さん」

姫子「でも、これでファンクラブのヤツらが動き出しちゃうわよ」

和「そうね。梓ちゃんが早く学校にきて、
  ファンクラブの連中に捕まらないように
  放送室まで出生証明書を届けてくれればいいのだけど」

唯「あずにゃんが来てから放送始めればよかったのに」

和「バカね、もし昼休みになっても来なかったら
  地下壕にあなたたちがいないことがバレちゃうでしょ。
  そしたらファンクラブ総出で探し出すに決まってるわ。
  そうなると放送どころじゃない」

唯「あ、そっか」

和「撃てる弾は全部撃っておくべきなのよ。
  これでARCHの人たちも私たちと一緒に戦ってくれるだろうし、
  梓ちゃんが来るまでの時間稼ぎもできるわ」

風子「そこまでよ、真鍋さん」

和「た、高橋さん!」

放送室の外には高橋風子とその部下たちがずらり。

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:09:34.86 ID:TfWv50SZ0 [12/33]
風子「よくも私たちを裏切ってくれたわね?
   まさか秋山さんやARCHまで引きこむとは思わなかったわ」

和「……あなたこそ、よくもまあのこのこと
  ここにやって来たわね。
  さっきの放送を聞いていたでしょう?
  ここにはすぐARCHの人たちが駆けつけてくるのよ」

風子「来るわけがないでしょう。
   ARCHは吹奏楽部大逆事件のせいですっかり士気を失ってる。
   未だに澪ファンクラブ打倒を叫んでいるのなんて、
   そこの佐藤アカネさんと無能なリーダーくらいだわ」

佐藤「エリは無能なんかじゃないわ」

風子「ふーん、あの偽物作戦の時うろたえるばかりで
   あなたたちを見捨てて逃げるだけだったリーダーが無能じゃないって?
   面白いことを言ってくれるわね」

佐藤「……」

風子「あなたたちはもう終わりよ。
   無駄なクーデターなんてやめて、
   さっさとおとなしく降伏を……」

「う、うわああああ!」
「ぎゃあああああああ!」

風子「なっ……何!?」

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:14:34.88 ID:TfWv50SZ0 [13/33]
ARCH「澪ファンクラブを倒せー!」
ARCH「桜が丘高校は私たちのもんだー!」
ARCH「独裁者をぶっとばせー!」

ファンクラブ「ひいい、反体制者だ!」
ファンクラブ「無理だ、数が違いすぎる!」
ファンクラブ「やらせはせんぞー!」

風子「馬鹿な、ARCHの連中が……!?」

佐藤「ARCHは士気が……なんだっけ?」

風子「ちっっ!
   何をやってるの、早く反体制者をとらえなさい!」

ファンクラブ「ムリです、ヤツらの兵力はこちらの2倍!」
ファンクラブ「このままでは負けてしまいます、撤退しましょう!」

風子「くっ……!!」

ARCHの活躍によって
放送室を取り囲んでいたファンクラブ会員は
あっという間に取り押さえられたのであった。

佐藤「みんな、ありがとう……
   私たちのために、立ち上がってくれて」

ARCH「佐藤さんのためじゃありません、みんなのためですよ」
ARCH「そうです、桜が丘高校のために戦ったんです」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:20:14.47 ID:TfWv50SZ0 [14/33]
唯「いやーよかったよかった」

姫子「あとは出生証明書が届けば私たちの勝ちね。
   ところでまだ来ないのかしら」

唯「遅いよね。

紬「和ちゃん、携帯貸して」

和「はい」

紬「あっ、梓ちゃん!? 今どこ?」

梓『え? 律先輩の病院ですけど』

紬「なんでまだそこなのよ!
  早く出生証明書を持ってきてって言ったでしょ!?」

梓『あ、罠じゃなかったんですか?』

紬「違うわよ、緊急事態よ緊急事態!」

梓『緊急事態らしいですけど、エリ先輩どうします?』

エリ『うーん……』

佐藤「罠な訳ないでしょうが! 早く学校に来なさい!」

エリ『あ、アカネ?』

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:25:14.91 ID:TfWv50SZ0 [15/33]
佐藤「聞こえないの?
   みんな澪ファンクラブを倒すために戦ってるのよ。
   あなたARCHのリーダーでしょう!?
   あなたがそこでダラダラしててどーするのよっ」

ARCH「澪ファンクラブを潰せー!」
ARCH「負けるわけにはいかないのよー!」
ARCH「自由をこの手に!」
ARCH「私たちの学校生活を取り戻ーす!」

エリ『み、みんな……』

佐藤「何もしてないのはあなたひとりだけよ!!
   早く来なさい、リーダー!」

エリ『わ、分かった!
   ぐずぐずしててごめん、すぐいくよ!』

佐藤「おう!」

唯「熱いねアカネちゃん」

佐藤「エリは一回くじけちゃったら
   これくらい熱く炊きつけてやらないと復活しないからねっ」

紬「これで出生証明書が届くわね。
  なんだか余裕で勝てそうねー」

和「そうかしら」

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:30:15.34 ID:TfWv50SZ0 [16/33]
唯「大丈夫だよ、ARCHの人たちも一緒に戦ってくれるし。
  澪ファンクラブなんてちょちょいのちょいやでー」

和「甘く見ないほうがいいわよ、澪ファンクラブを。
  私が言うのもなんだけど」

風子「そうよ、真鍋さんの言うとおり」

和「高橋さん?」

風子「あなたたち、地下壕から抜けだしてきたんでしょう?
   じゃあ見たんじゃないの? 地下壕に何があったかを」

唯「地下壕に……? 何かあったっけ」

紬「うーん……」

姫子「特に心当たりはないけど」

澪「あっ」

唯「澪ちゃん、知ってるの?」

澪「確か……武器庫っていうのが」

唯「ぶ、武器庫!?」

佐藤「ま、まずいわね」

和「あったっけ、そんなの」

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:35:15.38 ID:TfWv50SZ0 [17/33]
あっという間に形成が逆転した。
地下壕の武器庫から武器を持ち出し、武装したファンクラブ連中に
丸腰のARCHメンバーは逃げ惑うばかりであった。
校内の至る所で反体制者狩りが行われ、
ARCHメンバーたちは次々としょっぴかれていった。

ファンクラブ「秋山さんばんざああああい!」
ファンクラブ「反体制者を一掃しろー!」
ファンクラブ「秋山さんを取り戻せー!」

ARCH「ひいい、こりゃたまらん!」
ARCH「こんなの勝てるわけない、逃げろ!」
ARCH「もう終わりだ!結局ファンクラブには勝てないんだ!」

和たちが立てこもっている放送室も
武装集団に取り囲まれてしまった。

風子「あっはっは、もう終わりね、反逆者のみなさん。
   早く降伏したほうが身のためよ?」

佐藤「くそっ……」

唯「澪ちゃん、何とかファンクラブの人たちを説得できない?」

澪「わ、分かった、やってみる……」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:40:16.71 ID:TfWv50SZ0 [18/33]
澪「ファンクラブのみんな、もうやめてくれ。
  私はこんなこと望んでいないんだよ」

ファンクラブ「秋山さん、ARCHの連中に洗脳されたのね」
ファンクラブ「大丈夫よ秋山さん、どっちが正しいかすぐに分かるわ」
ファンクラブ「秋山さんは私たちがすぐに救い出してみせるわ」

澪「うう、通じない……」

和「梓ちゃんはまだ!? アレさえあれば、逆転できるのに……!」

佐「ふふん、出生証明書があったところで
  あなたたちの負けはもう決しているのよ」

和「佐々木さん……!」

佐「これで分かったでしょう、何人たりとも澪ファンクラブを倒すことはできないと。
  さあみんな、この反体制者共をひっとらえるのよ」

和「くそ……ここまでか」

佐藤「せめてもう少し早く、エリたちが来てくれてれば」

紬「そんな、あ……梓ちゃん……」

澪「梓……」

唯「あずにゃーん!」

「はいーっ!」

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:45:17.29 ID:TfWv50SZ0 [19/33]
一同が声のしたほうへと振り向くと、
たしかにそこには中野梓と瀧エリがいた。

梓「颯爽登場!」

エリ「ごめん、遅れちゃって!」

佐藤「エリ……それに、中野さん」

唯「無事だったんだ!」

紬「良かった……」

梓「ちゃんと出生証明書も持ってきましたよ」

唯「ところでなんでパジャマなの?」

梓「あっ」

風子「馬鹿な……どうやってここまで来た?
   ファンクラブの包囲網を抜けられるはずが……!」

梓「ふん、澪先輩の盗撮写真をばらまいたら
  みんなそっちに釣られてくれましたよ!」

エリ「楽勝だったね」

澪「なんでそんなもん持ってんだ」

佐「ええい、役立たずどもめ……」

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:48:38.22 ID:TfWv50SZ0 [20/33]
佐「お前たち、あの二人から出生証明書を奪うのよ!
  そうすればこの馬鹿げたクーデターも終わるわ!」

佐々木の命令に従って
武器を持ったファンクラブの会員たちが梓とエリに襲いかかってくる。

梓「ふっ、こっちにはまだ澪先輩の写真が……あれっない」

エリ「ええっ!?」

ファンクラブ「うおおおおおおおおお!」

梓「ひいいいいい!」

エリ「いやああああああ!」

唯「あ、あずにゃああああん!」

純「ふっ……待たせたわね!」

梓「じゅ、純!?」

純「ARCHの特攻隊長、ちぢれ毛の純とは私のことよ!
  くらえ、天覇流秘奥義・純情ボンバー!!」

ファンクラブ「ぎゃあああああああ!」

梓「ありがとう、純!」

  純の出番 おわり

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 01:59:48.43 ID:TfWv50SZ0 [21/33]
純の勇気ある行動によって
ファンクラブの戦闘員たちは一掃されたのであった。
悔しそうに歯ぎしりをする佐々木と風子を尻目に
放送室に入っていく梓とエリ。

梓「すみません、遅れてしまって」

和「いえ、いいのよ。来てくれて嬉しいわ」

エリ「ごめん、リーダーの私が真っ先に来るべきだったのに」

佐藤「気にしないで。もう大丈夫だから」

梓「和先輩、どうぞ。これが澪先輩の出生証明書です」

和「ありがたく頂戴するわ。
  いいわね、澪。今からこれを公表するけど」

澪「ああ……
  それで全部終わらせられるんだな。
  覚悟は出来てるよ」

和「ええ、じゃあ」

和は校内放送のマイクに向かって話しかける。

和「みなさん、教室にあるテレビを点けてください……
  唯、カメラの用意をして」

唯「はいはい」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:04:48.22 ID:TfWv50SZ0 [22/33]
佐「やめろ! やめなさい!
  秋山さん、あなた何をやってるか分かってるの!?
  この天下をここで終わらせるつもり?」

澪「……」

佐「この高校は私たちのものなのよ!
  いや……こんな高校だけじゃない、
  ファンクラブの勢力を広めていけば
  高校の外でももっと多くの会員を手に入れられるわ!
  そうなればあなただって……!」

澪「もういい、もういいんだ。
  そういうのやっぱり間違ってるよ……」

佐「間違ってることなんてあるものですか、
  私があなたのために今までどれだけ尽くしてきたか分かってるの?
  その恩を無下にしてあなたは……」

和「澪、カメラの準備ができたわ」

澪「ああ」

佐「待ちなさい! 考え直すのよ、
  今ならまだ間に合うわ、秋山さん!!」

和「放送の邪魔だから黙ってて」

佐「うるさい!」

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:09:48.45 ID:TfWv50SZ0 [23/33]
カメラの前に立つ澪。

和「いいわよ、もう回ってるわ。
  学校中に生中継されてるわよ」

澪「分かった……ゴホン。
  えっと、こんにちは、秋山澪です」

佐「やめなさい!」

澪「実は私、今までみなさんに隠してきたことがあります。
  黙っていても誰からも咎められることではないけれど……
  私は私を応援してくれた全ての人の為にこれを明らかにしたい」

佐「秋山さん、それ以上はダメよ!」

澪「見てください、これを。私の出生証明書です」ぴらり

佐「やめなさいってば!」

澪「見ていただければ分かるとおり……
  私は在日朝鮮人なんです!!!」

佐「やめろおおおおおお!」

澪「秋山澪は通名で、本名はチェ・サンジュといいます。
  繰り返します、私は在日、在日なんです!
  在日朝鮮人なんですよおおおおおおおお!」

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:14:48.78 ID:TfWv50SZ0 [24/33]
校内の至る所で悲鳴と悲嘆の声が上がった。

「ば、馬鹿な……秋山さんが在日だったなんて!」
「私たちはこれまで……何のために……」
「嘘だ、秋山さんが在日……うわあああああ!!」
「は、ははは、はははっ、こんなことって……」

澪ファンクラブ会員は完全に戦意を喪失。
武器を捨て、地面に膝を付き、涙を流す会員たちを
ARCHメンバーが次々と捕まえていった。
ファンクラブの会員たちはまったく抵抗しなかった。

放送室にも澪ファンクラブ壊滅の報が入り、
それを聞いた佐々木はがくりとうなだれた。

和「これで本当におしまいね、佐々木さん」

佐「くぅっ……
  こんな……こんなにもあっさり崩れるなんて……
  私の天下が……権力が……」

梓「いいかげんにしてください!」

佐「!?」

梓「あなたは権力者でもなんでもない……
  無関係な人々や、私の大事な先輩を傷つけた……
  ただの犯罪者です」

佐「っ……」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:19:53.86 ID:TfWv50SZ0 [25/33]
佐「嘘だ、嘘だ……私の……」

風子「もう終わりね、佐々木さん。
   あなたについていった私が馬鹿だった」

佐「いや、まだ大丈夫よ!
  あなたがもう一度秋山さんになればいい!
  そうすればいくらでも澪ファンクラブはよみがえるわ!!」

風子「もう無理よ。
   きっと何度蘇っても澪ファンクラブは潰される」

佐「そんなことやってみなけりゃ……!」

風子「私たちは負けたのよ」

佐「た、高橋さんっ!」

ARCH「澪ファンクラブ幹部の高橋さん、佐々木さん。ARCH本部へと連行します」

高橋「ええ、構わないわ」

佐「いやだ……いやだぁっ!」

こうして澪ファンクラブは滅び、
桜が丘高校に平和な日常が戻ったのであった。
ARCHメンバーによって捕らえられたファンクラブ会員は
そのほとんどが反省を認められて釈放。
佐々木曜子を始めとする澪ファンクラブの幹部たちは
無期限の謹慎処分を言い渡された。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:24:56.26 ID:TfWv50SZ0 [26/33]
和は澪ファンクラブの暴力行動に参加していなかったこと、
そして佐々木たちの排除に尽力したことを受けて処罰は免れた。
しかし今回の騒動の責任をとって和は生徒会長を辞任。
副会長がそのまま会長に昇進すると見られたが
全校生徒から今回の活躍を買って
ARCHリーダーの瀧エリを後任にすべきだとの声が上がり
エリが生徒会長に就任した。

副会長「では新生徒会長の瀧エリさん、
    所信表明演説をお願いします!」

エリ「はい! 私が生徒会長になったからには、
   まず学校中の自動販売機にコーラを充実させます!
   それから毎月1度はクラス対抗バレーボール大会を!
   さらには各教室にひとつは仏像を設置して……」

「ふざけるなー!」
「今すぐやめろー!」
「このクソ会長ー!」
「真鍋さん帰ってこーい!」

エリ「あれー!?」

佐藤「だめだこりゃ……」

姫子「エリらしいといえばらしいけど」

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:29:59.84 ID:TfWv50SZ0 [27/33]
律の病室。

和「こんにちは」ガラッ

律「おう」

和「……」

律「生徒会長辞めたんだって?
  お前は別に何も悪くないんだし辞めることないだろうに」

和「そういうわけにもいかないわよ。
  私は澪ファンクラブの会長だったんだから、
  騒動のド真ん中にいたようなものなんだし」

律「ふーん、真面目だな。
  で、今日は何しに来たんだ」

和「澪ファンクラブのせいで迷惑かけてしまった人に
  一人ひとり謝りに行ってるのよ」

律「本当に真面目だな……
  別にいらないのに、そんなの」

和「この度は本当に申し訳ありませんでした」

律「いらねってのに」

和「素直に受け取ってちょうだい。
  私自身へのけじめでもあるんだから」

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:35:01.96 ID:TfWv50SZ0 [28/33]
律「へいへい」

和「ところで……澪はお見舞いに来た?」

律「いや、一度も来てないよ」

和「そう。律は澪のこと……」

律「別にもう何とも思っちゃいねーよ。
  トラックで私を轢いたのは、
  澪が命令したことでもないんだろ?」

和「ええ、一部の過激派の暴走よ」

律「なら私が澪を恨む理由は何も無いな。
  確かにファンクラブのせいで調子乗ってたときはムカついたけど、
  もうファンクラブはないわけだし、
  澪が在日だってのも昔から知ってたし」

和「そう、良かった。
  じゃああとは、澪の気持ちさえ整理がつけば……
  ってとこかしらね」

律「だな」

和「そうだ律、いつ退院するの?」

律「再来週だよ」

和「そうなんだ、じゃあ……」

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:40:09.90 ID:TfWv50SZ0 [29/33]
しばらくして律は無事に退院し、
軽音部の部室で快気祝いのパーティが行われることになった。

唯「りっちゃん退院おめでとー」

梓「トラックに轢かれたのにこんな短期間で退院するなんて、
  まるでゴキブリ並みの生命力ですね」

律「はっはっは、私が入院してる間に
  減らず口に磨きがかかったようだな中野ォ」

紬「今日はりっちゃんのために色々用意したのよ。
  まずうちの一流パティシエに作らせた
  りっちゃん退院記念ホールケーキ」

律「おおー、うまそー」

紬「それからお抱えシェフに作らせた
  フライドチキンに、お寿司に、伊勢海老のお造りに」

梓「むちゃくちゃな組み合わせですね」

紬「紅茶もりっちゃんが好きだって言ってたやつ
  いっぱい持ってきたわよ」

律「いやー、いつものティータイムより豪華だな」

唯「じゃあ早速食べようかー」

律「おい、まだ揃ってないだろ」

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:45:09.76 ID:TfWv50SZ0 [30/33]
唯「あっ、そっか」

梓「でも来るんですか?」

律「大丈夫だよ」

ガチャッ

律「ほら来た……ってなんだ和か」

和「何だとは何よ。
  私もせっかく退院祝いにプレゼント持ってきてあげたのに」

唯「プレゼント?」

和「私のプレゼントはこれよ。
  秋山澪ちゃん」

澪「あ、うう……」

唯「澪ちゃん! 来たんだー」

紬「これでメンバーが揃ったわね。
  さあ、早速パーティを始めましょう」

澪「あっ、で、でも私……!」

律「ん? なんだよ」

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:47:58.13 ID:TfWv50SZ0 [31/33]
澪「私……みんなに迷惑かけちゃったし……
  それに在日だし……」

律「ばかだな、もうそんなこと関係ないのに」

澪「えっ」

紬「ファンクラブのことなんて、
  もう昔のことじゃない」

唯「そうだよ。それに在日だって、
  澪ちゃんは澪ちゃんだもん」

律「私の大事な親友だよ」

澪「みんな……」

和「いやー丸く収まったわね」

梓「どっとはらい」







       お         わ          り
 
 

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/28(月) 02:49:41.48 ID:TfWv50SZ0 [32/33]
最近クーデターが流行ってるみたいなんで書いた
反省はした

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