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純「不人気コンビには3期参加をご遠慮願おうか」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:41:50.05 ID:SilTp36i0 [1/7]
純「ねえ、田井中律さん、琴吹紬さん」

律「な、なにい?!」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:48:08.06 ID:SilTp36i0 [2/7]
律「不人気コンビだと?その言葉取り消せーっ」

澪「気にするな二人とも!」

紬「離してちょうだい澪ちゃん。これは私達の名誉の問題よ!!」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:50:26.47 ID:SilTp36i0 [3/7]
純「お前達に名誉なんて物があったのか?」

律&紬「ゆるさん!」

梓「あーっと!なんと乱闘が始まってしまった!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:53:55.72 ID:SilTp36i0 [4/7]
梓「不人気コンビが攻撃をしかけた!!」

梓「あっと!しかし、純&憂、これを受けとめ技をしかけた!!」

憂「くらえ」

グワ

純「カカカー」

ゴワッ

ガシィ

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:58:29.24 ID:SilTp36i0
律「ぐわっ」

紬「うわっ」

梓「あーっと!律先輩、ムギ先輩とはちあわせだーっ!!」

唯「うわっと!さらに、純ちゃんと憂が技をかける!!」

純「くらえーっ」

梓「あーっと!これは、ロメロ・スペシャル同士のはちあわせだーっ!!」

律&紬「うわああああ」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:00:44.39 ID:SilTp36i0 [6/7]
純&憂「地獄のコンビネーション!!」

グワシア

純「これで不人気コンビは消え去ったわけだな!」

梓「役者はそろった!あとは3期開始のゴングを待つばかりだーっ!!」


お終い

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:02:15.68 ID:SilTp36i0 [7/7]
>>16
良く分かったなw
ttp://oreryu.eco.to/ore-kin/22cana_spe.htm

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 17:48:59.78 ID:EjI4vdkl0 [1/32]
梓「たしかに、律先輩とムギ先輩のカプってあまりないですね」

律「そんなことないぞ! それに、私がいなくなったら誰が部長するんだよ?」

純「三期は律先輩方は皆、大学行ってしまいますから。けいおん部は私と梓と憂のものです。律先輩たちはもう用なしなんです」

唯「私も!?」

憂「ごめんね、お姉ちゃん……」

純「三期からは憂純の時代です!」

梓「ちょっと、憂梓でしょ」

純「えっ」

梓「えっ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:02:07.51 ID:EjI4vdkl0 [2/32]
純「憂純! 憂純!」

梓「憂梓! 憂梓!」

純「私は憂と幼馴染なんだから、憂に対する優先権が発生するものとして考えます!」

梓「私は憂の家に、純より多く行ったことがあるから、憂に対する独占権が私に認められるはずです!」

純「憂! 私と梓どっちを選ぶの?」

梓「もちろん私だよね?」

純「私だよね? 長年の付き合いだもんね?」

憂「えーと、お姉ちゃんかな……?」

純「えっ」

梓「えっ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:07:57.93 ID:EjI4vdkl0 [3/32]
澪「……そもそも三期なんかあるのか?」

紬「漫画が再開するって言うだけね」

律「漫画って、大学生編?」

紬「どうなのかしら……」

唯「けいおん部にスポットライトを当て続けた場合は、あずにゃんたちのその後のお話になるよね?」

律「まぁな」

唯「大学生編だったら、N女メインで話が進むわけだね?」

律「だな」

和「……K大は?」

唯「K大は……ねぇ?」

律「…………あぁ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:13:52.96 ID:EjI4vdkl0 [4/32]
和「ただでさえ少ない私の出番が、もっと少なくなるのね?」

唯「…………」

和「純ちゃんにも押されぎみな私の立ち位置が、もっと危うくなるのね?」

律「…………」

和「唯和も憂和も律和もどんどん減り続けるのね」

憂「…………」

和「恵先輩とのカプすらも、かなわなくなるのね」

澪「…………」

和「幼馴染キャラなのに、後輩に負けるのね」

梓「…………」

和「そうよね、私は生徒会長だもんね。唯にとっては赤の他人だものね」

紬「…………」

純(……和先輩から、私と同じ匂いがする)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:20:58.45 ID:EjI4vdkl0 [5/32]
和「いいわよいいわよ。私はどうせあて馬ですもの。唯梓を引き立てるための調味料だものね」

梓「……なんかごめんなさい」

唯「……ごめんなさい」

和「悲しくないわよ? 平気だし? 所詮脇役だって自覚してるし? チェケラッチョイとかいうネタ要員なんだし?」

梓「…………口調をかえるほど、和先輩を傷つけていたんですね」

和「唯が好きだけど、唯は梓っていう後輩キャラのものだしね、仕方ないわよね。だから――」

律「……だから?」

和「憂和を目指すわ」

憂「えっ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:26:39.28 ID:EjI4vdkl0 [6/32]
純「はーいはーいはーい! 反対です! 憂は私のものです!」

梓「私だって別に唯先輩のものじゃありません! 憂のものです!」

和「純ちゃん、あなたさっき憂の幼馴染って言ったけどね、私の方が幼馴染歴は長いのよ?」

純「時間の長さなんて関係ないです! 大切なのは幼馴染として過ごせた期間の濃密さです! 私は地上波では言えないあんなことやそんなことを憂としました!」

梓「いつのまに……」

和「肉体関係の有無はどうでもいいわ。大切なのは憂と過ごした期間がどれだけ長いかよ」

唯「じゃあ私が一番憂と過ごしてるから、憂をもらっていくね」

和「えっ」

純「えっ」

梓「えっ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:30:40.41 ID:EjI4vdkl0 [7/32]
唯「憂、大好きだよ!」

憂「お姉ちゃん……私も好きだよ」

唯「今日はずーっと一緒にいようね」

憂「うん!」

和「…………」

梓「…………」

純「……そうだよね、幼馴染が肉親に勝てるわけないよね」

和「……こうやって、私は出番をなくしていくのね」

梓「……じゃあ、私は律先輩とでいいです」

和「まって。律は私のものよ。憂が駄目だったら律にしようと思っていたの」

梓「なんですかそれ! 理不尽です!」

律「私は誰のものでもなーい!」

純「この隙に澪先輩をもらっていきますね」

律「あ、まて! 澪は私のものだ!」

紬「ほら私空気」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:35:25.74 ID:EjI4vdkl0 [8/32]
いちご「……紬、涙を拭いて」

紬「……いちご、ちゃん?」

いちご「…………紬が泣く姿、見たくない」

紬「……ありがとう、いちごちゃん」

律「ずるいぞムギ! いちごは澪が駄目だったときの滑り止めだったのに!」

いちご「……律には信代がお似合い」

律「!」

いちご「……行こう、紬」

律「……私が信代と……私が信代と……」

梓「律先輩には私がいます!」

和「でしゃばらないで、二年生の分際で」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:39:13.04 ID:EjI4vdkl0 [9/32]
梓「状況を整理しましょう。私と和先輩が律先輩を狙っていて、律先輩と純が澪先輩を狙っている」

和「……澪は、誰がいいの?」

澪「え、私? ……私は、さわ子先生」

律「えっ」

和「えっ」

梓「えっ」

純「ええー……」

さわ子「呼んだ?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 18:46:07.15 ID:EjI4vdkl0 [10/32]
梓「……さて、さわ子先生と澪先輩が体育倉庫に行ってしまったわけですが」

純「……考えたんだけどさ。梓と私、和先輩と律先輩がくっつくのが一番なんじゃないかな?」

和「それがいいわね」

梓「ま、待ってよ! 私が純とフラグ立てろとでもいうの?」

純「いや、だって私律先輩とも和先輩とも面識ないし……。梓が一番自然かな、と」

梓「えぇー……」

和「さぁ、律、一緒に行きましょ」

律「……澪が年増好きだったなんて」

和「ほら、しゃんと立って」

純「唯憂、律和、澪さわ、紬いちご、純梓。これが一番だと思うんだ、うん」

信代「私は?」

純「えっ」

梓「えっ」
                               終わり

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 19:37:41.84 ID:EjI4vdkl0 [11/32]
私の名前は信代。古臭い名前で、不細工な名前。

名は体を表す、とは良く出来た言葉で、私の顔も不細工だ。顔に自信はない。

3年2組で、私だけ浮いている。みんな美人なのだ。顔が整っていて、テレビに出てくるモデルと大差ない。

……私なんかとは、大違いだ。つくづく、自分が嫌になる。

ただ、そんな私にも恋は訪れたようだった。

恋と言えるかも怪しい、それは片想いにすぎないけれど。

私、中島信代は、クラスメイトの田井中律に恋をしてしまった――。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 19:45:47.42 ID:EjI4vdkl0 [12/32]
信代「……なんて、ね」

私は携帯電話の画面を見ながらつぶやいた。液晶画面はメールの送信画面になっていて、『律、大好き』とだけ書かれている。

このメールを送ったら、律に私の想いは届く。届くだけで、叶うわけではないのだが。

信代「……卒業してからも、ずっと片想いのままなんだろうな」

ため息が漏れる。憂欝。

律の顔を脳内に思い浮かべる。三年間ずっと恋い慕ってきた彼女の顔は、容易に思い出せる。

信代「……私みたいなデカ女が、律に釣り合うわけないのに……、何考えてるんだろ、私」

目を瞑る。ふと、澪の顔が浮かんだ。律と澪はいつも一緒で、私はそれに嫉妬している。

信代「私が、澪だったらなぁ」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 19:51:36.75 ID:EjI4vdkl0 [13/32]
長く艶やかな黒髪。凛とした顔。スマートな体格。私とは縁のない、美貌。

胃がきりきりする。

信代「……いいや、寝よう」

ちらりと、横目でカレンダーを見る。28日のところで×印が付いている。

明日は、3月1日。――卒業式だ。

明日以降、律と会える機会はほとんどなくなるだろう。律と澪は、大学が同じだけれど、私は違うし。

行き場のない恋心を抱えたまま、私は眠ることにした。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 19:56:58.71 ID:EjI4vdkl0 [14/32]
夢で、律に会った。

彼女は私に微笑むばかりで何も言わない。

だんだんと、律の姿が遠ざかる。

待って、とも私は言えず、律が遠くに行くのを見ていることしかできなかった。

律――

私は彼女の名を呼んだ。彼女は微笑んでいる。微笑むばかりで何も言わない。彼女の姿が点になっていく。

もう、律とは会えない。

夢の中の私も、そう思った。

そこで、目が覚めた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:01:45.09 ID:EjI4vdkl0 [15/32]
太陽はカーテンの向こう側で、さんさんと輝いていた。朝独特のひんやりとした空気が、起きたばかしの私を襲う。寒い。

信代「……あぁ、早く起きなきゃ」

卒業式。今日で私は、高校生を卒業するのだ。

それが誇れることなのか、悲しむべきことなのか――私にはわからなかった。

信代「……律」

無意識のうちに呟いている自分に気づいて、私は首を振った。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:07:54.25 ID:EjI4vdkl0 [16/32]
早めに学校に行くことにした。いつも遅めに登校しているので、最後の日くらいは早く登校しようという、ほんの気まぐれだった。

まだ七時半を回ったばかしだからか、人気はない。いや、あった。いちごがいた。

信代「おはよう、いちご」

いちご「……おはよう」

いつも通り無愛想な声。顔は可愛いのに、もったいない。

信代「今日で最後だね」

いちご「…………」

信代「寂しくない?」

いちご「…………別に」

彼女はそっぽをむいた。本当は、寂しいのかもしれない。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:13:10.74 ID:EjI4vdkl0 [17/32]
それきり、いちごと私の間に会話はなかった。十分ほどたって、ぽつぽつと生徒が学校に来た。

手をつなぎながら教室に入ってくるエリとアカネ。

ぴしっ、とした面持ちで席に座る風子。

大股で歩く姫子。

そして――。

二人仲良く談笑し合っている、澪と律。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:20:20.16 ID:EjI4vdkl0 [18/32]
信代(……律、楽しそう)

自分の席に座りながら、彼女たちを眼で追う。

教室の後ろの方から、唯と紬の声。けいおん部メンバーは全員、唯の席に集まった。

盗み聞きする趣味はないので、律たちの会話には耳を貸さなかった。ただ、時折律の笑う声が聞こえて、胸が痛くなる。

信代(……私もあの中に入りたい)

ふと、そんな欲求が湧く。

律ともっと、会話したかった。律ともっと、遊びたかった。律と同じ壇上で、ロミオとジュリエットを演じてみたかった――。

その願い事はもうかなわないということを知っているのに、それでも願うことを止めれなかった。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:28:00.71 ID:EjI4vdkl0 [19/32]
直に朝のホームルームが始まって、さわ子先生が教室に入ってきた。出席をとって、卒業式の並び方を確認する。

まだ式は始まってもいないのに、なんだか感傷的な気持ちになる。寂しい、という気持ちとはちょっと違う。切ない、と言った方が的確かもしれない。

ホームルームが終わり、教師がクラスを出ていく。卒業式は九時に開かれるらしい。まだ、二十分ほど空いている。

春子「もう終わりだね」

私の席に、大きな影が出来る。近田春子。私の友人。

春子の顔を見る。気のせいか、うっすらと目に涙がたまっている?

信代「切ないねー」

ため息が自然に漏れ出た。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:34:11.57 ID:EjI4vdkl0 [20/32]
春子「いいねぇ、けいおん部は。楽しそうで」

信代「行く大学もみんな同じらしいからね。仲が良くて何よりじゃん」

胸が痛むのを理解する。

私は後ろの方を向いた。律たちが集っている。

律の顔を見つめる。目が合うことを期待しながら。でも律は、向こうでの会話に夢中らしい。私の方を振り向くことはなかった。

春子「何見てるの?」

信代「律」

春子は得心した顔つきになる。私は春子にのみ、自分の想いを伝えている。律が好きなんだ、と。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:35:52.41 ID:EjI4vdkl0 [21/32]
春子「……するの?」

信代「なにを?」

春子「告白」

信代「まさか」

春子「でも最後だよ?」

信代「律の返答は知っているから」

春子「…………そっか」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:38:35.38 ID:EjI4vdkl0 [22/32]
沈黙が下りる。

私はじっと、律を見つめる。

律は笑っている。微笑んでいる。微笑むばかりで、私の方は振り向かない。

信代「……律」

春子「声、出てるよ」

私は口を固く引き結んだ。

時計が九時の針を刺しても、律と私の視線が交錯することはなかった。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:43:25.12 ID:EjI4vdkl0 [23/32]
卒業式は、あっけないほど早く終わった。卒業証書をもらって、校歌を斉唱して、校長やら二年生の言葉を聞いたら、すぐ閉式してしまった。

三年生はいったん教室に戻った。この時点ですでに泣いているものも、若干名いた。

春子「……早かったね」

春子が私に近づいてくる。今度は気のせいではない。彼女は泣いていた。

信代「ハンカチ、いる?」

春子「……泣いてる? 私?」

信代「泣いてる」

春子「いけないなあ……泣かないって決めたのに」

信代「なんで?」

春子「最後くらい、笑って終えたいでしょ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:48:19.74 ID:EjI4vdkl0 [24/32]
後ろの方で、ぽん! と大きな音がした。卒業証書を入れた丸筒で、誰かが遊んでるんだろう。

唯「ハイパーソード!」

どうやら、丸筒で遊んでるのは唯のようだ。もう一度、ぽん! と音がする。

律「なんのー!」

律まで、丸筒で遊んでいた。

情緒も何もなくなるね、と涙を拭いながら春子が言う。

信代「そうだね」

でも、あの中に雑ざりたい、と私は思ってしまうのだった。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:54:53.50 ID:EjI4vdkl0 [25/32]
帰りのホームルーム……高校最後のホームルームは、それから数十分後に行われた。

そこで、さわ子先生に寄せ書きが贈られた。優勝旗返還の歌とともに、唯が渡す。

さわ子先生のお別れのあいさつ。春子の方を見やる。肩がふるえている。涙をこらえているのかもしれなかった。

もう、終わりなのだと。

私の冷静な部分が、そう思う。

寂しい? 悲しい? 切ない? むなしい? はかない?

ごちゃ混ぜになったたくさんの感情が、私の心を薄霧のように覆っていた。

もう、終わり。

私の青春は、今日を持って閉幕です。自分自身にそう言い聞かせた。

うれしいことではないように、思えた。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:58:44.01 ID:EjI4vdkl0 [26/32]
学校を出たのは、太陽が西に傾き始めたころだ。

春子「終わった」

信代「終わったね」

春子「楽しかった? 高校三年間。私は楽しかったな」

信代「私も楽しかった……かもしれない」

春子「そっか」

信代「…………」

春子「顔、暗いよ?」

信代「…………そう?」

春子「心残り、あるんじゃない?」

信代「…………」

図星、だった。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:03:54.95 ID:EjI4vdkl0 [27/32]
信代「……最後なのになぁ」

言葉が、口から滑り落ちる。言いたいことや伝えたいことが、私の中で氾濫する。

信代「告白したいな」

春子「律に?」

信代「うん」

頭の中に、律が浮かぶ。律は微笑んだまま黙して何も言わない。だんだんと、私との距離が離れていく。

律が私から遠ざかっている?

それとも、と私は思う。

私が律から遠ざかっている?

信代「……せめてさ、想いくらいは伝えたいな」

きっと、後者が正解だ。私が律から遠ざかっているのだ。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:08:34.93 ID:EjI4vdkl0 [28/32]
春子「もう、同窓会くらいでしか会う機会はないんだろうしさ」

色白で背の高い友達は空を仰いだ。

春子「少しくらい大胆になってもいいんじゃない?」

信代「でも、結果はわかりきっているよ?」

春子「結果がわかりきっていても、伝えるか伝えないかの違いは大きいと思うな」

信代「…………」

伝えたい? もちろん伝えたい。律に私の気持ちを知ってほしい。理解してほしい。

大胆になろうか? どうせ最後なのだから。

心の中で、何かが燃え上がる。

私は携帯を取り出した。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:15:18.05 ID:EjI4vdkl0 [29/32]
律の電話番号は知っていても、今までかけたことはなかった。これが初めての電話。

律に電話番号をコールする。

数秒して、律が出た。

もしもし、というその挨拶は、聞きなれた律の声。

信代「あのさ、律――」

信代? と聞き返す律。

信代「うん、私。信代」

それよりさ、と私は言葉を重ねる。

信代「ちょっと、言いたいことがあるんだよね」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:20:25.61 ID:EjI4vdkl0 [30/32]
なに? と律は尋ねてくる。

電話越しでも、告白するのには、結構勇気が必要だった。

信代「今から言うことはさ、冗談なんかじゃないよ?」

ああ、わかったよ――と律は答える。

信代「律、私ね、律のこと大好きなんだよ」

え、とうろたえる声。

信代「友達同士の好き、じゃなくてさ、愛してるとかの好き、なんだけど」

電話の向こう側で、律が慌てふためいている様子が目に浮かぶ。

信代「律、どう?」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:24:36.25 ID:EjI4vdkl0 [31/32]
数十秒の沈黙。答えはわかっている。律の返答は知っている。なのに緊張してしまうのは、彼女が了承してくれるのを期待しているから。

律「…………悪い」

たった二文字の、返事。かすれかすれの律の声。その答えが返ってくると理解していたのに、やはり、辛い。

信代「ううん。いいよ。伝えられて、満足したし」

律「…………いや、何か私も、悪かったな」

信代「ごめんね、最後なのに」

律「いや、気にしないでいいよ。あれだ、これからもさ、友達だからな?」

信代「……うん」

声が震えていない、自信がない。

通話が切れる。耳につーつー、という音がこだまする。

こうして、私の初恋は青春と同時に終わったのだ。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:32:59.70 ID:EjI4vdkl0 [32/32]
春子が大丈夫? と声をかけてくれた。

うん、平気。ちょっと悲しいけどね、と私は答えた。

私たちの会話は、そこで終わった。その沈黙が心地よかった。

思う。

私の青春は、もう手遅れだ。終わってしまったものをどうにかしようなんて出来ない。覆水は盆に返らないのだ。

同じく私の初恋も、実らぬまま終わってしまった。

だけど、私たちの毎日はまだ続いていく。大人になってもまだ続いていく。私はまだ十八歳、人生のプロローグ地点だ。

もしかしたら、いずれ律と会えるかもしれない。同じ会社に入ったり、町で偶然会って一緒にお酒を飲んだり。

青春も初恋も終わってしまった。だけど、人生が終わったわけじゃない。

春子「信代、空が綺麗だ」

その声に、私は空に視線を移した。

深い深い青色の春空。それが限りなく広がっていた。

                                 終わり


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