FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インデックス「好きだよ、あくせられーた」一方通行「…はァ?」-4

インデックス「好きだよ、あくせられーた」一方通行「…はァ?」-3
続きです
743 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 14:46:12.64 ID:mo4lx2my0 [65/107]
 すたすたとインデックスは浜面達のほうへ足を向けた。
 今度は躊躇なく、浜面は引き金を引き絞る。
 連続する銃声。だが、インデックスは仰け反りもしない。

半蔵「化物め…!」

駒場「……奴は俺が食い止める。お前らは一度退け」

浜面「バッカやろう!! 何言ってやがる!!」

駒場「行けッ!! 無様に逃げて、泥をすすって生き延びて、それから反撃して見せろ!! それが俺たちスキルアウトの生き様だろうが!!」

 駒場は叫ぶ。
 浜面も、半蔵ですら、この男がこんな声を張り上げるのを聞いたのは初めてのことだった。

半蔵「……行くぞ、浜面」

浜面「……駒場ッ!! 後でとっておきのブランデー奢ってやっからな!! だから絶対死ぬなよ!!」

駒場「……わかったよ…約束しよう」

 駒場はにやりと笑ってそう答えた。
 そんな約束なんて、守れるはずがないとわかっているのに。


745 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 14:52:00.92 ID:mo4lx2my0 [66/107]
 駒場の背中にへばり付く視線を無理やり引き剥がし、浜面は踵を返す。

 ―――――そこに、インデックスが立ち塞がっていた。


浜面「え…?」

 後ろを振り返る。人型の巨大な炭が転がっていた。

浜面「こ…ま…ば…?」

インデックス「dfagfuyagfabvuygvwownqmqoxcjgfngyskrntifywbdksowlmw」

 目の前の化物が訳のわからないことを言っている。
 何を言っているのかは全然聞き取れない。理解できない。
 だが。

浜面「何だ…その目は……!」

 浜面の顔が怒りに歪む。悔しすぎて、涙さえ出てくる。

浜面「見下してんじゃねぇよクソッタレがァァァァあああああああああ!!!!!!」

 浜面は銃口を向ける。半蔵はインデックスの死角に回り込む。

インデックス『これで、人の希望はまたひとつ消える』

 インデックスの体から放たれた光が辺りを文字通り『一掃』した。


749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 14:57:19.68 ID:mo4lx2my0 [67/107]
アレイスター「行くのか?」

 アレイスター=クロウリーは黒いツンツン頭の少年にそう声をかけた。
 肌も髪も真っ白な少年を肩に担いだツンツン頭の少年は答えず、足を踏みだす。

アレイスター「天晴れなことだ。虚数学区に生命力(マナ)を食われて既に死に体だというのにな」

アレイスター「外に出るというのなら、あのモノレールはもう一度使えるようにしておこう。だが、心したまえ」

 アレイスターは、振り向きもしない少年の背中に向かって言葉を続ける。

アレイスター「君専用のあの入り口はそろそろ封鎖する。つまり、今外に出れば君はもうこの『方舟』に乗り込むことは出来なくなる」

 振り向かない。少年の動きは淀まない。

アレイスター「それでも行くか、上条当麻」

上条「当然だろうが」

 少年は―――上条当麻は、余りにも強固な意志を持って口を開く。

上条「俺の心臓はまだ動いてる。右手はまだ拳を握れる。なら、やることなんてひとつしかないだろ」


754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:05:17.97 ID:mo4lx2my0 [68/107]
 『展望台』と呼ばれる施設の中で、天才少女、雲川芹亜は頭を抱えていた。

雲川「……あんな化物相手に、人類はどう立ち向かえというんだ?」

貝積「アリの群れが象を倒す逸話というものも、世界には存在しているぞ?」

雲川「相手が愚鈍な象だというのなら、まだ策の練りようもあるけど」

雲川「1ミクロンの隙間もない防護服に身を包み、人類の開発したあらゆる武器を好きに使える状況で、それでも貴様はアリの群れに負ける気があるか?」

貝積「つまり……今はそんな状況だということか」

雲川「人類はもう尻尾を巻いて逃げ出すことしか出来ないよ。『方舟』への移送を急がせろ」

貝積「『陽炎の街』の恩恵を受けているとはいえ、テレポーター達ももう限界だぞ」

雲川「『心理掌握(メンタルアウト)』を働かせろ。奴ならばそんな疲労など忘れさせてくれる」

 その時、天井に浮かぶモニターが新たな状況を映し出した。
 その光景を目にした雲川は乾いた笑いを上げる。

雲川「見ろ……あんなもの相手に、小賢しく頭を働かせてみたところで、何がどうなるというんだ」

 空に、たくさんの星が浮かんでいた。

 術式発動。『星降る夜(メテオストライク)』。

 質量を伴った数多の隕石が、世界中に降り注ぐ。


755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:12:09.15 ID:mo4lx2my0 [69/107]
 『窓のないビル』、地下23階大広間。
 カエル顔の医者の号令の下、次々と運ばれてくる怪我人に御坂美琴と同じ顔をした少女達がテキパキと処置を施していく。
 そんな喧騒の中で、学園都市第一位のLEVEL5、一方通行は眠っていた。

打ち止め「目…覚まさないね…」

 そんな彼の顔を覗きこむ三人の少女。
 打ち止め、ミサカ、番外個体。
 少女たちは、ようやく一方通行と邂逅することが出来た。
 黒いツンツン頭の少年が、一方通行と彼女たちを引き合わせてくれた。

番外個体「あ~あ、人の気も知らないで、気持ちよさそうに寝ちゃってさ」

ミサカ「本当に、彼はお寝坊さんで困りますね、とミサカは頬を膨らませます」

 打ち止めの膝の上で安らかに眠っているように見える一方通行に対し、番外個体とミサカが悪態をついた。

打ち止め「これから…どうなっちゃうのかな……」

 打ち止めの大きな瞳から涙が零れだす。

打ち止め「また皆でご飯を食べに行きたいよ。また皆でゲームセンターで遊びたいよ。……無理なのかな? もう…無理なのかなぁ…!」

 ぽたぽたと零れる涙が、一方通行の頬に落ちる。



 ゆっくりと、一方通行は目を開けた。


760 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:18:32.57 ID:mo4lx2my0 [70/107]
 階段を上がり、上条当麻は地上に出る。
 直後に、地面にぽっかりと空いていた入り口が蜃気楼のようにその姿を消した。
 これでもう、戻れない。
 上条当麻の道は前にしか残っていない。

「あなたを待っていました、とミサカは万感の思いを込めて呟きます」

 そこに、彼の良く見知った顔があった。
 御坂美琴に瓜二つのその顔。その首で輝く彼があげた安物のネックレス。
 10032番目のミサカ。上条が『御坂妹』と呼ぶ存在。

御坂妹「こういう時、ミサカネットワークっていうのは本当に便利です、とミサカは情報を送ってきた10020号に内心グッジョブを送ります」

 異なる歴史の流れの中で、それでも上条と出会い、恋をした少女。
 最も上条の影響を強く受け、今の今まで外で『みんな』の救出に街を駆け回っていた少女。

御坂妹「その右手の影響で、あなたは『陽炎の街』の恩恵を受けられない。だから、ミサカがあなたをサポートします」

 ミサカが傍に佇んでいた廃墟に手を触れる。
 輝きの後に、廃墟は一台の戦闘機と化した。

御坂妹「あ、右手で触らないよう十分に気を使ってください、とミサカは最低限の注意を呼びかけます」

上条「お前……」

 御坂妹はにっこりと微笑んだ。
 まるで、あなたのことなんて全部お見通しだ、と言わんばかりに。

御坂妹「行きたいところが、あるのでしょう?」


766 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:25:31.42 ID:mo4lx2my0 [71/107]
 世界を覆う隕石の群れは、当然学園都市をも襲う。
 その第一撃は、偶然か、はたまた意図したものか―――『天才少女』雲川芹亜のいる『展望台』を目掛けて飛来する。
 『展望台』は『窓のないビル』には遠く及ばぬまでも、要塞として堅固な防御力を備えている。
 だが、そんなものは全くの無意味だ。
 多少外殻の硬いアリが居た所で、関係ない。
 直撃すれば、インデックスの紡ぐ『星降る夜(メテオ)』は容赦なく『展望台』を崩壊させるだろう。

雲川「終わりか……あ~あ、出来れば、恋のひとつもしてみたかったけれど」

貝積「すまなかったな、雲川芹亜」

雲川「謝るなよ。自分の意志で選んだ結末を、人のせいにする趣味なんて私は持たないけど」

 直径2kmはあると思われる馬鹿げたサイズの巨岩が『展望台』に迫る。

雲川「即死だな、これは。せめて痛みを知らず安らかに―――これが神の慈悲なんて、思いたくはないけれど」

 雲川芹亜がそうやって、何もかもを諦めて角砂糖をひとつ口に含んだところで、






「なーーにを根性のねえこと言ってんだぁぁああああああああああ!!!!!!」

 馬鹿の絶叫が聞こえた。


772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:31:53.31 ID:mo4lx2my0 [72/107]
 『展望台』と呼ばれるビルの壁を凄まじい勢いで駆け上がる馬鹿がいた。
 そんな場所に居て何で雲川たちの会話が聞こえているのか、意味がわからない。

削板「この程度の状況で絶望してんじゃねえ!! まだわかってねえってんなら見せてやる!!」

削板「このオレの、人間様の根性は、この程度で折れたりはしねぇぇえええええええ!!!!!!」

雲川「あは」

 いつも超然とした態度を崩さなかった雲川が、それこそ少女のような無邪気な笑みを浮かべた。

雲川「あっはっはっは!! 馬鹿だ馬鹿だと言ってきたけど、それでも足りんな! お前は最高だ! 削板軍覇!!」

削板「うおっしゃぁぁああああああああああ!!!!!!」

 ビル壁を駆け上がった削板軍覇がそのままの勢いで空に飛び立つ。
 迫り来る巨岩に向けて、削板は固く握った拳を振りかぶった。

削板「スーパーウルトラデラックス大車輪ギャラクティカすごいパァァァンチ!!!!!!」

 繰り出した拳から放たれた超弩級の根性がメテオを粉砕した。


777 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:38:07.25 ID:mo4lx2my0 [73/107]
 砕けた岩の欠片が舞う中で、削板軍覇に向かって飛来する影があった。
 純白の修道服を纏った一人の少女。

インデックス「sajbauy」

 短く呟かれた一言。
 その意味は多分、『邪魔』。
 ドン、とインデックスの腕が削板の心臓を貫いた。

削板「か…は…」

 抗う術もなく死を迎えた『ナンバーセブン』が引力に引かれ、落下する。

インデックス「nshwffjfuyagfybyogfytyrajzq」

 『展望台』のモニターに映し出される絶望の姿。
 モニター越しなのに、インデックスは確かに自分の姿を見据えている、と雲川は感じていた。


雲川「……初恋直後に失恋、そして死亡か。全く、実に私らしいことではあるけれど」


 インデックスの腕が振るわれ、『展望台』を光が包み込む。

 雲川芹亜と貝積継敏の肉体が蒸発した。


790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:44:26.89 ID:mo4lx2my0 [74/107]
 『頭』を失った学園都市が沈黙する。
 静かになった街の上空でインデックスは再び『星降る夜』を発現した。
 空を覆う、巨大な岩の塊。

 大地からそれを見上げた人々は、月が落ちてきたんじゃないかと錯覚した。
 顕現した『星降る夜』は、それほどの巨大さだった。

 窓のないビルに避難する人々を守るため、一人孤軍奮闘していた御坂美琴の顔にも、絶望の色が浮かんでいる。
 さっき、空から降り注いできた光は何とかなった。
 幸運にも、電気を操る彼女の能力は、ほんの少しだけ軌道を曲げると言う微々たる干渉だったけど、さっきの光には通じた。

 でも――――あんなものを相手に、電気なんかで何をどうしろというのだ。

美琴「終わっちゃうじゃない、あんなの……世界が終わっちゃうじゃない!!」

 絶叫。慟哭。




 そんな美琴の目に。

 一直線に隕石に向かう一台の戦闘機の姿が。

 それに乗っている、ツンツン頭の馬鹿野郎の姿が映った。



810 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 15:56:41.08 ID:mo4lx2my0 [75/107]
上条「雄雄雄雄雄オオォォォォォォォ!!!!!!!」


 馬鹿げた巨大さの隕石に、上条の右手が接触する。

 例え現実に質量を持っていようと、例え途方もない力がそこに注ぎ込まれていたとしても、関係ない。

 それが、異能の力であるのなら―――神様だって、殺してみせる。



 キュゥン―――――!! といつも通りの甲高い音が空に響き渡り。

 『星降る夜(メテオストライク)』はその姿を消した。








 当然、『神上』たるインデックスはそんな結末を許さない。



814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:10:09.00 ID:mo4lx2my0 [76/107]
 インデックスの手からかつての『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』を髣髴とさせるような光線が放たれた。

上条「くッ!!」

 戦闘機から飛び出し、上条はその右手を突き出す。
 今の上条になら、『竜王の殺息』程度ならもしかすると消せたかもしれない。
 目の前のソレはさらに異質な何かだった。
 食いきれない。
 月のような巨岩すら食い尽くした『竜王の顎』がその力を飲み込みきれない。
 数センチ軌道を曲げるだけで精一杯だ。
 ゾン、と光線は上条の頭の一部を削り、御坂妹の乗る戦闘機を吹き飛ばした。

上条「あ…く…」

 どろりと頭から血が流れだす。
 力を失った上条の体が自由落下を開始する。

御坂妹「く…!」

 戦闘機から飛び降りた御坂妹は上条当麻に向かって手を伸ばす。
 だが駄目だ。全然届かない。

御坂妹(お願い…一瞬でいい、ミサカにもう少しだけ力を…!!)

 ミサカネットワークによって演算幅を拡幅し、ほんの一瞬だけ御坂妹は自身の力を上回る出力の電圧を発生させる。
 もちろん、本来のミサカネットワークにそんな利用方法はない。
 だから、これは、少女の想いが起こしたほんの少しの奇跡。
 バウン、と番外個体がかつてそうしたように、御坂妹の足元で空気が破裂する。
 そうして得た推進力で御坂妹は上条に追いつき、その体を抱え、背負ったパラシュートを展開させた。


815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:16:39.02 ID:mo4lx2my0 [77/107]
 モニターを眺めるアレイスターの後ろに現れる三人の影。

アレイスター「姿が見えないと思っていたら……大した暗躍振りじゃないか。暗部の鑑だな、『グループ』」

 振り返りもしないまま、アレイスターは言う。
 そこには、土御門元春・海原光貴・結標淡希の三人が―――『グループ』の三人が立っていた。

土御門「すぐに術式を解除しろ、アレイスター」

アレイスター「もう私にもどうすることも出来んよ。走り出した『最後の審判』は結末を迎えるまで誰にも止めることはできない」

土御門「貴様…! 一体何が目的だ! 貴様は一体何のためにこんな馬鹿げたことをしでかした!!」

アレイスター「私は知りたいだけなのだ。土御門」

 モニターから目を離さぬまま、上条当麻の時と同じ答えをアレイスターは口にする。


アレイスター「私は、人間がこの世界で繁栄するに相応しい種であるのか確かめたいだけだ」


818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:24:08.30 ID:mo4lx2my0 [78/107]
 結局、それだけがアレイスターの望みだった。

 神話に残る、天使からの一方的な蹂躙などでは人の本質は計れない。

 天秤は、なるべく水平に保たれていなければならない。

 だから、アレイスターは自身も『人間』の一人として、学園都市を造り、人の能力を高め、天使への対抗手段を講じた。

 人が達しうる繁栄の限界を、今、この時代で達成させた。

 その上で、人の存在の是非を問う。

 何故アレイスターがそんなことを試みようと思ったのかはわからない。


 魔術師の集団に追われ、ボロボロになった時。

 或いは、その命を一人の医者によって救われた時。

 或いは――――その昔、リリスと呼ばれた娘を亡くした時。

 もしかしたら、その辺りに彼の行動の原因を推し量ることは出来るかもしれない。


 だが、結局その答えを知るのは――――アレイスター本人だけだ。



821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:30:20.24 ID:mo4lx2my0 [79/107]
土御門「……理解できんな。貴様の言うことは何ひとつとして理解できん」

 土御門はぼりぼりと頭を掻く。

土御門「だがひとつだけわかった。人の寿命なんて100年程度で十分だ。1700年も生きてると、貴様のようにくだらんことを考え出しちまう」

 そして、その手に一振りの刃を取り出した。
 余りにも無骨な、余りにも遊びの無い、人の命を奪うためだけに存在するナイフ。

アレイスター「無駄なことはやめろ。お前程度では私に干渉することは出来ん」

土御門「どうかな?」

アレイスター「……なに?」

 そこで、アレイスターはようやく顔だけを土御門のほうに向けた。
 土御門は不敵に笑い、一歩、アレイスターとの距離を詰める。

土御門「貴様は確かに桁外れの魔術師だ。『神の領域』に片足を突っ込んでいるとすら言える」

土御門「だが、だからこそ、貴様は『虚数学区』とやらの干渉から逃れられず、その身を『ただの人間』へと落としてしまっているんじゃないのか?」

土御門「それこそ、俺如きの探査魔術に引っ掛かっちまうくらいにな!!」

 土御門は駆けだし、そして。
 アレイスターの背中に、その刃を突きたてた。


826 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:38:02.10 ID:mo4lx2my0 [80/107]
 アレイスターは、ふっ、とその顔に笑みを浮かべた。

アレイスター「……なるべくなら、自分の目で結末を確かめたかったが……まいい。結果はいずれにしろ、わかる」

 つぷ、と赤い血に濡れた土御門のナイフが背中から引き抜かれる。
 どさり、とアレイスターの体が床に崩れ落ちた。
 今の彼は、背中を刺されれば死ぬ―――――正真正銘の『人間』だった。

アレイスター「そうだな……ならば私も、あくまで人間として、最後まで人類の勝利のために行動させてもらおうか」

土御門「けっ、どの口がほざきやがる」

アレイスター「土御門、お前に知恵を授けよう。人類が勝利するための、とってときの方策を伝えよう」

土御門「なに…?」

アレイスター「実行するかどうかはお前達が決めるんだ」


830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:49:40.13 ID:mo4lx2my0 [81/107]
 『神上』と化したインデックスはいよいよ次の目標を『窓のないビル』に定めたようだった。
 窓のないビルの前で、御坂美琴とインデックスが対峙する。
 勝てるわけがないとわかっていても、御坂美琴は歯を食いしばり、震える体を押さえつけて、インデックスの前に立ち塞がる。

「お願いしますの…! お姉さま、どうか黒子と一緒に『窓のないビル』に退いてくださいまし…!」

 そんな美琴の背後で、彼女をずっとずっと慕い続けてきたツインテールの少女が泣きながら声を張り上げた。

黒子「勝てるわけがないんですの! お姉さま! そんな意地を張って何になりますの!?」

美琴「……戦ってた。やっぱりアイツは私の知らないところで戦ってたんだ」

 美琴はぎゅっ、と拳を握り締める。
 脳裏には、目の前の存在に撃ち落されたツンツン頭の少年のことばかりが思い浮かんでいる。

美琴「だったら…私だけが、逃げ出すなんて出来るわけないでしょうが!!」

黒子「お姉さま…!」

美琴「言っとくけど、勝手にテレポートで連れて行ったりしたら一生アンタを許さないからね。黒子」


832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 16:55:27.31 ID:mo4lx2my0 [82/107]
「「「一方通行(アクセラレータ)!!」」」

 打ち止め、ミサカ、番外個体の声が重なった。
 一方通行は起き上がり、胡乱な瞳で辺りを見回す。

一方通行「なンだこりゃあ……どォいう状況だ」

 窓のないビルの中に一般人が溢れかえっているこの状況に、一方通行は疑問の声を上げた。
 打ち止め、ミサカ、番外個体により、状況の説明がかいつまんでなされる。

一方通行「……ッたく……人がちょっと寝てる隙に訳わかンねェことになってやがンなァ」

打ち止め「というか、あなたはちょっとお寝坊が過ぎるよ! ってミサカはミサカは頬を膨らませてみたり!!」

ミサカ「人がどれだけ心配してたと思ってるんですか、とミサカはあなたを睨みつけます」

番外個体「ほらほら、可愛い『妹達』が泣いてるよ? こんな時、男ならどうすればいいかくらいわかるよねぇ?」

一方通行「抱きしめろってか? 馬鹿が、夢見てンじゃねェよ。ラリッてンのか?」

番外個体「フニャチン野郎」

一方通行「殺すぞ」

番外個体「ぎゃはっ。うんうん、全くいつもの通りなようで、ミサカは安心したよ」


834 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:02:16.07 ID:mo4lx2my0 [83/107]
「一方通行」

 誰かが一方通行の名を呼んだ。
 三人の少女達ではない。
 そこに現れたのは土御門元春・海原光貴・結標淡希―――『グループ』の三人だった。

土御門「状況は理解しているか?」

一方通行「まァ、それなりにな。ちょうどよかったぜ。オイ、俺を外に連れて行け」

土御門「いいや、駄目だ。お前じゃインデックスには勝てない」

一方通行「勝つも負けるもあるか。テンション上げてはしゃいでるガキを躾に行くだけだ」

土御門「認めろよ。今のお前じゃインデックスを救うことは出来ないんだ、一方通行」

 土御門はそこで、一瞬言葉を躊躇した。
 ふぅ、と何かを決意したように息を吐いて、続ける。

土御門「だから……」


835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:03:10.51 ID:mo4lx2my0 [84/107]










「俺達について来い。お前がかつて手にし、そして忘れちまった『無敵の力』を取り戻すぞ」











836 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:04:04.80 ID:mo4lx2my0 [85/107]
 ある日、とある少年が一人の少女と出会った。

 少女は、その身にとても複雑な事情を抱えていた。

 その事情に同情したわけではないし、ましてや共感したわけでもない。

 だけれども、様々な思惑と偶然が重なって、少年は少女の抱える事情に顔を突っ込んでいった。

 結果、少年は――有り体に言って、少女を救った。

 代わりに、その過程で得た『無敵の力』と、過去の記憶を失って。



 それが――――この物語の起こり。



847 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:11:07.92 ID:mo4lx2my0 [86/107]
打ち止め「どういう…こと…?」

土御門「一方通行。お前は『あの時』、インデックスを救った直後、脳を焼かれ、記憶を失った。合っているか?」

一方通行「……あァ」

 一方通行は打ち止め達から目を逸らして頷いた。

土御門「その失ったものの中にな、あったらしいんだよ。『この世の全てを操る能力』なんていう反則的な、この状況から逆転できる切り札が」

一方通行「……そンな夢みてェなモンがあったとして、どォやってソレを取りに行くンだよ。時間旅行でもする気か?」

 自分で言った言葉で気がついた。
 時間。時間を巻き戻す。
 海原光貴がインデックスから抜き出した、『時を司る』魔道書―――!

海原「そう。自分の魔術、『時戻し』であなたの脳をかつての状態まで巻き戻す。そうすることであなたの『無敵の力』は復活する」

 それが出来るのなら、是が非でも。
 それで、この絶望を吹き飛ばすことが出来るなら。
 だが、疑問が残る。

打ち止め「記憶は…記憶はどうなるの!?」

 そうだ、一方通行の脳がダメージを受ける前まで時間を遡ると言うのなら。
 ミサカや打ち止めと出会う前まで戻ると言うのなら。


 今まで共に築いた思い出は、どうなってしまうのだ。


853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:20:05.23 ID:mo4lx2my0 [87/107]
土御門「無くなる」

 あっさりと土御門は言い切った。

土御門「番外個体の時とは状況がまるで違うんだ」

 何せ、戻すのは学園都市第一位の頭脳を持つ一方通行の複雑に過ぎる脳構造だ。
 その中で、戻すものと残すものの選別など、出来るはずがない。
 特に、思い出なんてあやふやなものなら、なおさら。

一方通行「……そォかよ」

 そう言って、一方通行は立ち上がる。
 報いなのかもしれないな、と一方通行は考えていた。
 一万人も殺して、殺したことを忘れて、のうのうと生きてきた報い。


 一方通行だって記憶を失いたくはない。

 だけど、それよりも失いたくないものが、今の彼にはあるから。


打ち止め「駄目ぇ!!」

 打ち止めが立ち上がり、一方通行に向かって腕を伸ばした。
 だが、今まで度重なる負荷にさらされてきた体はひとつも言うことを聞いてはくれず、打ち止めは足をもつらせて倒れた。


861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:28:49.04 ID:mo4lx2my0 [88/107]
打ち止め「止めて! お願い、あの人を止めてよぉ!」

ミサカ「くっ…!」

 ボシュッ、とミサカの左手が伸び、一方通行に向かう。
 だが、その手は一方通行の『反射』に弾かれ、呆気なく地面に落ちた。

ミサカ「止めさせてもくれないんですか…! 縋らせてもくれないんですか…!!」

一方通行「ったくよォ、オマエラ」

 一方通行は呆れたように振り返る。

一方通行「もォわかっただろォが。化けの皮はとっくに剥がれちまっただろォが」

一方通行「俺はクソッタレだ。悪党以下のクソヤロウだ。一万人も殺しといて、そのことを忘却して、のうのうとオマエラの傍に居続けた」

打ち止め「いいよ! そんなのどうでもいい! あんな凄惨な記憶、忘れられるのなら忘れたほうがいい!!」

 打ち止めはぼろぼろと零れる涙を拭おうともしないまま、叫び続ける。

打ち止め「だからお願い…! ミサカ達のこと、忘れないでぇ…!」

 最後は嗚咽にまみれて、言葉にならなかった。


875 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:39:28.73 ID:mo4lx2my0 [89/107]
一方通行「……テメエラ、本当に甘ちゃンだなァ」

 一方通行はその顔に、少女達も初めて見るような―――優しげな笑みを浮かべた。

一方通行「ホント、目も当てられねェくらいお人好しだ」

 一方通行は、初めて少女達の存在が自分の心をどれ程大きく占有していたかを知った。
 だからこそ。それを自覚したからこそ、一方通行の足は止まらない。

ミサカ「……ッ!」

 ミサカが駆け出し、一方通行の体を抱きしめた。
 一方通行は『反射』を切っていない。
 弾かれそうになる体を、回した左手で右手の手首を掴むことで耐える。
 びきびきと、ミサカの腕から嫌な音が鳴った。

一方通行「バ…!」

 慌てて一方通行が『反射』を切ろうとするよりも早く。
 バヂン、と。
 番外個体がミサカに電流を流し、その体の自由を奪っていた。

ミサカ「こ…の…ばか…」

番外個体「ごめんね。でも、行かせてやらなきゃ。ここで引き止めるのは、野暮すぎるよ」


878 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:47:52.63 ID:mo4lx2my0 [90/107]
 どさり、と崩れ落ちるミサカの体を番外個体は優しく受け止める。

番外個体「安心しなよ。ちょっと痺れてもらっただけ」

一方通行「……悪ィな」

番外個体「いいよ。今のところ、ミサカにとってはあなたへの情より恩の方が深かったってだけだから」

 歩み去ろうとする一方通行に、ミサカは縋る様に手を伸ばす。

ミサカ「…待っ…て…」

一方通行「なァ」

 首だけで振り返って、本当に、いつものような気軽さで、一方通行は言った。

一方通行「ちょっとだけ留守にすっからよォ、そこのガキの世話…頼むわ」


 その言葉を受けて――――ミサカは、観念した様に手を下ろし、そして微笑んだ。


ミサカ「任務遂行のご褒美として……帰ってきたら、頭なでなでして下さい」


 その言葉に、『覚えてたらな』なんて、いつもならどうってことのない軽口を。

 一方通行は、どうしても口にすることが出来なかった。


882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:50:34.52 ID:mo4lx2my0 [91/107]



一方通行「なァ…10分だけ、時間くンねェか?」


土御門「ん? どうした」


一方通行「手紙…っつゥのをよォ……残しときてェンだ」


土御門「……わかったよ。好きにしろ」





883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 17:59:50.29 ID:mo4lx2my0 [92/107]
 インデックスと御坂美琴の前に、ひらひらとパラシュートが降りてきた。
 あまりにも無用心な、あまりにも隙だらけなその登場に、逆に美琴もインデックスも固まってしまう。

上条「あ~あ、ったく……風に流されて、たどり着いた先が敵のドまん前なんてなぁ」

 自身の体を支えていた御坂妹の腕を解き、上条はふらふらと前に出る。

上条「今までずっと何回も何回も思ってきたことだけど……やっぱり、どうしても口にでちまうよ」

 その背に御坂妹を庇うように、その背に御坂美琴を庇うように。
 その背に―――『窓のないビル』を庇うように。
 上条当麻はインデックスの前に立つ。

上条「俺はなんて幸福なんだろう、ってな。おかげでこうやって、皆を守ることが出来る」

 頭から零れる血を拭おうともしないまま、上条当麻はそう言って笑った。


886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:08:19.34 ID:mo4lx2my0 [93/107]
上条「美琴、御坂妹。お前らは窓のないビルの中に入れ」

美琴「そんな…! 馬鹿言うんじゃないわよ! アンタ一人残して尻尾巻いて逃げろって言うの!?」

上条「そうだ」

美琴「~~~~~!! ふざっけんじゃないわよ!!」

上条「自分でわかってるはずだ。お前がここに居ても何も出来ないって」

美琴「なら! ならアンタも一緒に!!」

上条「駄目なんだよ、美琴。俺はあの中には行けない」

 その言葉に、美琴ははっとしたようにして上条の右手を見る。
 あらゆる異能を無効化してしまう右手。最後の逃走手段である『テレポート』すら無効化してしまう。
 『幻想殺し』の少年は、もう戻れない。

美琴「……ひとつだけ約束しなさいよ」

上条「…なんだ?」

美琴「絶対に死なないで……絶対に、帰ってきて」

上条「ああ…約束するよ。俺は、絶対に生きて帰る」

美琴「……うそつき」

 とん、と上条の手刀が美琴の首筋に振るわれた。
 意識を失うその刹那――――美琴の瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。

892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:15:36.44 ID:mo4lx2my0 [94/107]
上条「あと、頼む」

 上条は御坂妹と、彼自身もよく知る美琴の後輩、白井黒子に向かってそう呼びかける。
 白井黒子は神妙に頷き、御坂妹は言いたかった言葉をぐっと飲み込んで。
 御坂美琴、御坂妹、白井黒子の三人は、窓のないビルの中へ消えた。

インデックス『お別れの挨拶は済んだのかな?』

 インデックスの口から、人には理解出来ない言葉が発せられる。

上条「なんだよ、空気読んでくれたのか?」

 人には理解できないはずの言葉を受け、上条は返答する。

インデックス『面白いね。本当に面白いよ』

 『神上』たるインデックスは『上条』を見て、笑う。


インデックス『その名前にその右手……本来、“神浄”の役目を担い、私の前に立つのはあなただったはずなんだよ』

インデックス『なのにどうしてなのか、今のあなたにはそのために必要な“決定的な何か”が欠けている』

インデックス『一体、どこで歴史の歯車は狂ってしまったんだろうね?』



894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:21:53.52 ID:mo4lx2my0 [95/107]
インデックス『それで、そんな不完全な状態で私の前に立って、あなたは何をしようというの?』

上条「決まってんだろ。守るんだよ」

インデックス『そんなぼろぼろの体を張って、一体何を守ろうと言うの?』

上条「約束したんだよ。本当に、肝心な時に何も出来ない俺だけど、それでも、壁の役くらいはやってみせるって」

インデックス『そうやって、勝ち目のない戦いを耐え忍んで……あなたは一体何を待っているの?』

上条「ハッ! その言葉はそっくりそのままお前に返すぜインデックス!」

 上条は笑い、拳を握る。

上条「やろうと思えば一瞬で終わらせることが出来たはずの裁きってやつを、ここまでぐだぐだだらだらと引き伸ばして、お前は一体誰を待ってんだ!?」

 上条の右手から『竜王の顎(ドラゴン・ストライク)』が顕現し、咆哮する。

インデックス『何を…言っているの…?』

上条「わからねえなら教えてやるぜ、インデックス! 安心しろ、お前の願いは必ず叶う!!」



上条「アイツは――――必ずお前を救いにやってくる!!」




895 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:23:39.23 ID:mo4lx2my0 [96/107]






 私、待ってるから。



 あくせられーたのこと……待ってるからね。







902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:31:36.43 ID:mo4lx2my0 [97/107]
土御門「……以上が、事の顛末だ」

一方通行「…ふゥン……」

 倉庫のような狭い部屋の中で、まるで出来の悪い三文小説を読まされたというような顔で、一方通行は曖昧に返事した。
 部屋の端では壁に背を預けていた海原光貴が、口から零れる血を拭っている。


 『時戻し』の術式は完了した。

 今ここにいる彼は学園都市第一位の超能力者などでは無く、『無敵の力』を手にした『絶対的存在』としての一方通行だった。


土御門「今の話を裏付ける証拠がそこの机に置いてある。お前が御坂美琴のクローン達に宛てた手紙だ。安心しろ。中身は一切見ちゃいない」

一方通行「はァン、成程…こりゃ確かに俺の字だ。ご丁寧に直筆かよ。よっぽど伝えてェ事があったと見えるな」

 一方通行は机の上に積み上げられた膨大な量の紙束に次々と目を通していく。
 一分もかからずに全てに目を通し終えた彼は、何やら思案するようにこつこつと自分の額を叩き―――――

一方通行「あぎゃはははははははははははは!!!!」

 突然笑い出した。もう大爆笑だ。
 そして積み上げた紙束に拳を叩きつける。

 バァン!! と紙の束が粉微塵に爆裂した。


907 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:38:21.77 ID:mo4lx2my0 [98/107]
海原「な、何を!? それはあなたが彼女達に残した大切な手紙ではなかったんですか!!」

一方通行「バァカ言ってンじゃねェよ! こンなモン残しておけっか!!」

土御門「なん…だと…!?」

一方通行「こンなこっぱずかしいモン誰かに見られちゃ自殺モンだぜ! 折角無敵になったンだ、こンなくっだらねェ弱点残しといちゃしょォもねェだろォ!!」

土御門「貴様…!!」

一方通行「あァ? 何でテメエがキレてンだ。安心しろ。外ではしゃいでるバカガキはきっちり躾けてやっからよォ」

結標「……送りましょうか?」

一方通行「いらねェよ。テレポート如き、今の俺に出来ねェとでも思ってンのか?」

 言葉と同時、一方通行の姿が掻き消える。
 後には、居心地の悪い沈黙だけが残っていた。


914 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:45:52.74 ID:mo4lx2my0 [99/107]
 一方通行が外に出たとき、世界は既に終わってしまっていた。
 荒廃した街の中で、『窓のないビル』だけ残っているのが場違いなようにすら思えてくる。
 もう、『窓のないビル』内部を除き―――この世界に、生き残っている人間など存在していなかった。
 インデックスの足元に、黒いツンツン頭の少年が倒れている。

 もう一度繰り返そう―――もうこの世界に、生き残っている人間はいない。

 インデックスはちょうど『窓のないビル』に向かって最後の一撃を放とうとしている所だった。
 インデックスの手のひらから、『幻想殺し』でも食いきれなかった光線が発射される。

一方通行「……ハッ」

 まるで羽虫を振り払うような気軽さで、一方通行はその一撃を消し飛ばした。
 ぷらぷらと手首を揺らし、一方通行は一歩踏み出す。

一方通行「雑魚が随分大はしゃぎしてくれたじゃねェか。覚悟はいいか? バカガキ」

インデックス「bvuaygaehgbaihbguyafuiauigbibgubuygbib」

 インデックスは人には理解できない言葉を発した。





 だけど――――ぽろぽろと涙を流すその顔は。

 『助けて、あくせられーた』と――――そう泣き叫んでいるように見えた。


918 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:53:08.09 ID:mo4lx2my0 [100/107]
一方通行「舐めたこと言ってンじゃねェよ」

 インデックスから次々と発射される光線をことごとく捻じ曲げ、消し飛ばし、一方通行は悠然と歩む。

一方通行「折角、人が脳みそ削りながら助けてやったっつゥのに、まァた訳わかンねェのに乗っ取られやがって」

インデックス「nil!!gf!uabf!yu!!!a!!」

 インデックスが逃げるように空を舞う。
 逃がさない。一方通行の背中から白い翼が現出する。

一方通行「こちとら慈善事業やってンじゃねェンだ。俺はもう二度とオマエを助けねェ」

 翼が羽ばたく。神速を超えて一方通行がインデックスの目の前に肉薄する。


一方通行「――――二度と助けなくていいように、今ここで完膚なきまでにオマエを救ってやる」


 一方通行の手のひらが、インデックスの頭を掴む。
 抗うインデックスの体を、一方通行は事も無げに押さえつける。


一方通行「コマンド実行―――削除ッ!!」

一方通行「インデックスからさっさと消えろ!! クソッタレのカミサマよォッ!!!!」


921 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/06(日) 18:54:48.89 ID:mo4lx2my0 [101/107]




 『最後の審判』………終了



 敵残存戦力………一切ナシ



 勝者………人類

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:09:36.04 ID:mo4lx2my0 [2/37]
海原「いきなり自分を呼び出して……一体何をするつもりです?」

一方通行「決まってンだろ。後始末だよ」

海原「……まさかとは思いますが…」

一方通行「あァ? 『時戻し』を使うに決まってンだろォが。さっさと準備しろボケ」

海原「馬鹿を仰らないでください! 『時戻し』はそこまで万能じゃない、『世界そのもの』を巻き戻すなんて出来はしない!!」

一方通行「いいからテメエはその辺の石でも何でもいいから30分でいい、さっさと巻き戻せ。効果の拡幅と分配は俺がやる」

海原「は、はぁ…?」

 一方通行の足元から光が大地を走っていく。
 光は山を越え、海を渡り、地球全てを範囲として魔方陣を描き出す。

海原「ば…馬鹿な…ありえない! 何故あなたにそんなことが出来るんです!?」

 その現象に、海原は驚愕を隠せない。

海原「何でも操れる『無敵の力』!? そんなものは関係ない! 知識は…魔方陣を描くための知識は一体どこから…!」

 ぴたり、と海原の動きが止まる。
 恐る恐る、といった様子で海原は口を開いた。

海原「まさか…『禁書目録』の持っていた魔道書を……」

一方通行「あァ、全部俺が取り込ンだ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:15:29.55 ID:mo4lx2my0 [3/37]
海原「そ…んな…!? ただでさえ魔術を使えば崩壊を起こす超能力者であるあなたが、10万2999冊なんて数の魔道書をその身に宿せば、どうなるか!!」

一方通行「ン…? あァ、なンかバッカみてェにドッカンドッカンなってンなァ」

 つまり今、一方通行の体は常に魔道書の毒による侵食を受け続けている。
 破壊と再生を、繰り返している。
 それはきっと、本来正気を保てるような苦痛ではないはずだ。
 それが、インデックスを完膚なきまでに救った代償。

海原「『時戻し』……もう自分は二回の使用回数を使い切ってしまったんですが」

一方通行「二度あることは三度あるっつゥだろォが」

海原「三度目の正直という言葉もあります」

一方通行「なら、仏の顔が三度続くことに期待しろ」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:17:33.29 ID:mo4lx2my0 [4/37]






 『時戻し』発動――――世界は元の姿を取り戻す。








42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:24:26.07 ID:mo4lx2my0 [5/37]
削板「お…?」

 展望台と呼ばれたビルの真下で、削板軍覇は目を覚ました。

削板「あれー? 確か、オレは胸を貫かれて…あれー?」

 混乱する削板に歩み寄る少女がいる。
 天才、雲川芹亜だ。

雲川「どうやら、人類は勝ったようだぞ。削板軍覇」

削板「マジでか! よっしゃぁぁあああああああ!!」

雲川「……そこで単純に喜べるのが凄いな。少しは疑問に思わないのか」

削板「何を疑うことがある! 見ろ、周りの景色を! 何もかもが元通りだ!! これで勝利じゃなくてなんだってんだ!!」

雲川「ま、確かにお前の言うとおりだと思うけど。まるで、人類皆で悪い夢を見ていたようだよ」

削板「がっはっは! 夢なら夢でいいじゃねぇか!!」

雲川「まったく……」

 豪快に笑う削板につられ、雲川もくすりと微笑んだ。

削板「それで、これからお前はどうするんだ?」

雲川「そうね。これから起こるだろう混乱を収拾するために、やらなきゃならんことがたくさんあるけど」

雲川「まずは、初恋の続きを始めてみようと、私は思っているけど」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:32:22.42 ID:mo4lx2my0 [6/37]
浜面「んお?」

半蔵「あら?」

駒場「……む?」

浜面「……何で生きてんだ? 俺達」

半蔵「さあ…どうせまた誰か魔法でも使ったんだろ」

駒場「……まったく…何もかもが理解できんな」

浜面「ま、生きてるならいいか」

半蔵「だな」

浜面「……んああああああああああああああ!!?」

駒場「……何だ、どうした…?」

浜面「『アイテム』のこと忘れてた……結局囮は失敗しちゃったから、俺が助かったかどうかはまだ不確定!?」

半蔵「そういや、一発あいつらのほうに撃たしちゃったな」

浜面「逃げるぞ半蔵! 駒場!! あの地の果てまで!!」

半蔵・駒場「一人で行け」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:40:32.63 ID:mo4lx2my0 [7/37]
フレンダ「あれ?」

フレンダ「結局…死んでないって訳よ……」ポカーン

絹旗「何か超悪い夢を見ちまってたみたいですね」

滝壺「それにしては、リアリティがありすぎたような…」

フレンダ「絹旗!? 滝壺も!?」

麦野「フ~レ~ン~ダ~」ゴゴゴゴ…!

フレンダ「麦野も生きてたんだね! あれ!? 何でそんな怖い顔してんの!?」

麦野「なーんでテメエが私の胸をまくらにして眠ってたのか聞かせてもらおうかしらーん?」

フレンダ「そそそそ、それは、あの、その、結局アレな訳よ!」

麦野「なんだ?」

フレンダ「麦野のおっぱいの大きさと柔らかさは天下一品って訳!!」

 ぎゃー、とフレンダの悲鳴が木霊した。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:46:36.55 ID:mo4lx2my0 [8/37]
ステイル「……結局、僕は彼女を助けることは出来なかったってことか」

神裂「そう腐ることも無いでしょう、ステイル。あなたの力は確かに彼女を救う一助になっていた。私はそう思います」

ステイル「……そうかな?」

神裂「そうですよ」

ステイル「そうやって柔らかく人を諭すところは、本当に『聖人』みたいだな。とてもあんな格好をしていた奴と同一人物とは思えないよ」

神裂「う…! 忘れなさい!! あのことは忘れるんです!!」

ステイル「しかし、忘れるといっても土御門から既に写真データをもらってしまったからな」

神裂「やっぱり撮ってやがったかあんガキャー!!」アンギャー!

ステイル「抜くな抜くな刀を抜くな」


ステイル(結局、僕はまた君のことを他の誰かに任せてしまったようだ)

ステイル(痛感したよ。やはり僕では、君の隣にいるには不足しているんだろう)

ステイル(だけど、それでも。これからも僕は)


 ただ、君のために生きて死ぬ。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:50:38.63 ID:mo4lx2my0 [9/37]
風斬「……生きてる」

 風斬はぺたぺたと自分の体を確認する。

風斬「AIM拡散力場の私が、生きてるっていうのもおかしいけど」

 とにかく、『風斬氷華』としての自分が変わらずここにある。
 風斬の瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちた。

風斬「会える…! またあの子達に会えるんだ…!」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 20:56:26.23 ID:mo4lx2my0 [10/37]
垣根「……胸糞わりぃ」

 垣根帝督は不貞腐れていた。
 思い出すのは最後の瞬間の馬鹿げた自分の行動のこと。

垣根「俺ともあろうもんが……違うだろ。あそこは俺だけ安全圏まで離脱しとくとこだろ……」

垣根「何をあんな…正義のヒーローみてえな真似を……」

垣根「……あぁ、くそ! はっきり言って恥ずかしい!!」

垣根「しっかし、訳分かんねえな……天使が消えちまったのは俺がアイツを消し飛ばしたからだとして…何で壊れた街まで直ってんだ?」

 しばらく垣根はそのままずっと考え事をするような素振りをしていたが。
 やがて、はっとしたように空を見上げた。


垣根「まさかこれも、テメエの仕業じゃねえだろうな、一方通行」


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:01:41.05 ID:mo4lx2my0 [11/37]
 窓のないビル最深部で、アレイスターはくつくつと笑っていた。

アレイスター「私が今、生きてここにいるということは……そうか、勝ったか一方通行」

 そしてアレイスターはすぐに腹心の部下に連絡を取った。

男「な、なんでしょうか?」

アレイスター「混乱している様子だな」

男「は、はあ。正直、何が何だか……」

アレイスター「答えは得た。すぐに次の『計画(プラン)』策定にとりかかる」




アレイスター「次の到達点は『人類と地球に存在する他生命の理想的な共存』だ。これから忙しくなるぞ」


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:08:14.21 ID:mo4lx2my0 [12/37]
海原「信じられない…まさか、本当に成功させるとは……」

一方通行「オマエ何かちょっと俺を舐めてねェか?」

海原「いえいえ、あの時自分に手も足も出なかったあなたがまさかここまで進化を遂げるなんて信じられないとか思ってませんよほんと」

一方通行「よォし、オマエやっぱちょっと俺を舐めてンな?」


「一方通行(アクセラレータ)!!」


 声に一方通行は振り返る。
 そこに居たのは息を切らせて駆けて来た様子の打ち止めと、それを慌てて追いかけてきた様子のミサカだった。

打ち止め「ねぇ…ミサカ達のこと、覚えてる? ってミサカはミサカはおずおずと問いかけてみる」

 思い切って、打ち止めはそう聞いた。
 その後ろで、ミサカもごくりと唾を飲みこんだ。

 一方通行は、本当にキョトンとした顔で。

一方通行「はァ…? 何言ってンだクソガキ」

 そう言った。


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:09:11.73 ID:mo4lx2my0 [13/37]





 そしてその後に、

一方通行「オマエ等みてェにキャラの濃い連中を忘れるわけがねェだろォが」

 そう続けた。







102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:16:12.23 ID:mo4lx2my0 [14/37]
打ち止め「……ッ!!」

 ぼろぼろと涙を零し、打ち止めは一方通行の胸に飛び込んだ。
 そのあまりの勢いに、一方通行はたまらずその場に尻餅をつく。

打ち止め「う…うえ…! よかった…よかったぁ…!」

一方通行「ったく……いらねェ心配してンじゃねェよ、馬鹿」

打ち止め「ば、馬鹿はあなただもん! ってミサカはミサカは憤慨してみ…ぶわぁーん!!」

一方通行「鼻水つけンな馬鹿」

 一方通行は打ち止めに先を越されて所在無さげにしていたミサカに目を向けた。

一方通行「ン」

 ちょいちょいと、大きく手のひらを開いてミサカを招きよせる。

ミサカ「!!」ピーン!

 ピンと来たミサカはちょこんの一方通行の目の前に座り、そっとその頭を差し出した。
 パコーン! と一方通行に頭を殴られた。

ミサカ「な、何故!? とミサカは涙目であなたに抗議します!」

一方通行「何故じゃねェよガキが飛び出して来てンだろうが。ちゃんと面倒みとけっつったろ」

ミサカ「おのれ上位個体…! とミサカはメラメラと復讐の炎を燃やします…!!」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:25:17.49 ID:mo4lx2my0 [15/37]
海原「な、何故…? 記憶が残っているはずなんてないのに…!」

一方通行「なンだよ折角のハッピーエンドに水差す気かオイ」

海原「いや、そういうつもりは…しかし……」

一方通行「別に記憶だけが都合よく『時戻し』の影響を逃れたわけじゃねェよ」

一方通行「オマエの術式は完璧だった。俺の脳は記憶諸共完璧にあの当時に遡った」

海原「では、何故…!?」

一方通行「簡単な話だ。バックアップ取っといて、上書きしたンだよ」

海原「……ッ!! そうか…! あの手紙は…!!」

一方通行「そうだ。ありゃガキ共に宛てて書いた訳じゃねェ。アレは俺が俺に宛てた手紙だったのさ」

 自身の脳の構造を解析し、そして書き残した。
 一人の人間の脳を様々な構造式を用いて描写するという無茶の結果が、あの膨大な量の紙の束という訳だ。

一方通行「もっとも、脳の記憶野を寸分違わず完全再現したところで、本当に記憶まで再生するかはわからねェ。その辺はまァ、賭けだった」

 そして彼は、賭けに勝ったのだ。

一方通行「テンション上がっちまって要らン事まで色々書いてたから、こっぱずかしくて手紙はすぐに消滅させたけどよ」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:28:11.44 ID:mo4lx2my0 [16/37]
 『時戻し』によって、死んだはずの人間は蘇り。

 破壊された街並みは傷ひとつなく再生した。

 これで、何もかもが元通り。

 誰もが喜ぶハッピーエンド。





 そう――――たった一人の少年を除いては。



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:34:19.47 ID:mo4lx2my0 [17/37]
美琴「ねえ…」

 ゆさゆさと、御坂美琴は黒いツンツン頭の少年の体を揺さぶる。
 その手に感じる冷たさはきっと気のせいなんだと言い聞かせて。

美琴「ねえってば……皆起きたよ? みんな元通りになったんだよ…?」

 ぽたぽたと落ちる涙は、少年の―――上条の身に着けるシャツに落ち、真っ赤な染みの中に飲み込まれる。

美琴「なのに…なんでアンタだけは目を覚まさないの…?」


美琴「ねえ…約束したじゃない」


美琴「お願いよ…起きてよ……目を覚ましてよ……」


美琴「う、うあぁあ……!」ポロ…ポロ…


美琴「うそつき…うそつきぃぃいい……!!」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:43:22.76 ID:mo4lx2my0 [18/37]
一方通行「どけ」

 そこに、一方通行が現れる。
 上条にすがり付いて泣く美琴の体を乱暴に押しのける。

美琴「あ、あんた…何を…?」

一方通行「決まってンだろ。助けるンだよ」

美琴「出来るの…?」

一方通行「出来るに決まってンだろ。悪党の俺がハッピーエンドを迎えられて、コイツがバッドエンドなンてふざけた筋書きを許すはずがねェだろォが」

 一方通行の手のひらから、苛烈な光が溢れ出す。
 学園都市に存在する誰もが、思わず目を瞑ってしまう程の強烈な光。

 上条当麻の『幻想殺し』は異能の力を問答無用で打ち消す力かと考えられてきたが、実は違う。
 その能力にはちゃんとタネがあった。
 上条の体に巣食っていた『暴食の竜王』が、異能の力を食らっていたのだ。
 ならば、その許容量を超える救いの力をぶつけてやれば。

 例えば、かつて一方通行の黒翼と拮抗したように。
 例えば、『神上』と化していたインデックスの一撃を打ち消せなかったように。

 竜王の口から溢れた力は、上条にも届くのだ。

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:49:00.31 ID:mo4lx2my0 [19/37]





一方通行「いいかオイ三下。俺は決めたぜ。この俺が決めたンだ」



一方通行「テメエは絶対に助ける。死なせねェ。テメエには必ずハッピーエンドを迎えてもらう」



一方通行「なァ、竜王とやらよォ……俺の力を、俺の意思を、テメエ如きが飲み込みきれるってンなら」



一方通行「そのクソッタレな幻想は、この『一方通行(アクセラレータ)』が粉々にぶち殺してやンよォッ!!!!」






152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 21:57:20.37 ID:mo4lx2my0 [20/37]
上条「う…」

 上条が目を覚ます。
 その胸に美琴が飛び込んでいく。

美琴「ばか…ばか…ばかぁあああ…!!」ボロボロボロ…!

上条「み、美琴…? お前なんで泣いて…あれ…? 俺何してたんだっけ?」

 上条当麻は救われた。
 これで、今度こそほんの一滴の雫も零さぬハッピーエンド。
 やれやれと息をつく一方通行の後ろで、海原が乾いた笑いを上げた。

海原「信じられない…結局、あなたは何も失わなかった。大切な人達も、それ以外の人達も、自分自身の記憶すら!!」

海原「何てご都合主義だ。これが誰かに語り継がれる物語なら、失笑モノの結末だ」

一方通行「…やれやれ、テメエはやァっぱ何か俺を舐めてンなァ」

 一方通行はにやりと笑い、口を開く。
 それは彼の勝利宣言に他ならなかった。




一方通行「この世界はもう、全部俺の都合で動いてンだよ」



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:02:43.65 ID:mo4lx2my0 [21/37]
 ――――エピローグ

 とあるホテルのワンフロアを貸し切って、盛大なパーティーが執り行われていた。
 入り口にある看板には『祝! 人類勝利の宴だにゃー! ご一行様』と書かれている。

 幹事が誰なのかは言うまでもないだろう。
 ただ、出資者が誰なのかは記しておきたい。


アレイスター「この程度じゃあ、何の償いにもならんだろうがね」


 つまりはまあ、これは『最後の審判』で奮闘した者たちへの、労いのパーティーというわけだった。


169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:11:31.44 ID:mo4lx2my0 [22/37]
土御門「うらうらー! 今日は無礼講にゃー! 金は腐るほどあるぜよー!」

神裂「土御門ちょっとこっち来いコラァ!」

土御門「はう! ねーちんが著しく酔って凶暴度三倍増し!? 助けて舞夏ー!!」

舞夏「給仕の仕事が忙しくてそっちまで手が回らないぞー。自分で何とかしろー」

神裂「『唯閃』!!」

土御門「うわー! 聖人の力解放すんな何考えてんだばかやろぉぉぉおお!!」ドカーン!

浜面「ジュース持って来ましたぁ!!」

絹旗「超遅いです浜面!」

フレンダ「全く、結局浜面はパシリさえもろくに出来ない役立たずって訳よ」

滝壺「頑張ってはまづら。あと、あそこの料理取ってきて」

麦野「おらおらー。テキパキ働かねぇと即ブ・チ・コ・ロ・シすんぞー」

浜面「ちくしょう! 何故俺がこんな目に!!」

半蔵「自業自得だ。お、これうめーな」モグモグ

駒場「身の丈に合わん啖呵を切るとこうなる…か……勉強になったな…」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:16:28.02 ID:mo4lx2my0 [23/37]
垣根「おい、何でそんなにくっついてくるんだテメエは」

心理定規「いいじゃない。黙っていたけど実は私は人見知りなの。こんなに大勢知らない人がいたら心細いわ」

垣根「あとテメエ能力切れ。何遊んでやがんだぶっ殺すぞ」

心理定規「…? 何の話? そもそもあなたに私の能力が通じないでしょ?」

垣根「はぁ!?」

垣根(じゃあ、何だ、あぁ!? この俺がリアルにこの女に…!? 馬鹿な馬鹿なそんなはずがねえ有り得ねえ)

心理定規「…? 変な人」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:20:57.55 ID:mo4lx2my0 [24/37]
雲川「ほら、軍覇。食べるか? おいしそうなのを見繕ってやったけど」

削板「おう、いただくぜ!」ムシャムシャバクバク!

雲川「これはどうだ?」

削板「食う!」ムシャムシャリ!

雲川「それならコイツは?」

削板「ごっつあんです!」ムッシャラホイ!

雲川「もひとつおまけだ。そら」ポーイ

削板「わう! ってオイもしかしてお前オレで遊んでないか!?」

貝積(……あれもまたひとつの恋の形………か?)

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:26:29.43 ID:mo4lx2my0 [25/37]
結標「……今回はホント、散々だったわ」

海原「お疲れ様です。あ、食べます? これ」

結標「いただくわ…はぁ、もうウンザリ。しばらく暗部からは足を洗いたいわ」

海原「いいじゃないですか。足を洗えば。もうしばらくは血なまぐさいことも起きないでしょうし」

海原「あなたも、年頃の女の子らしく恋をしてみては?」

結標「恋…ねぇ…」

海原「好きな人がいるというのはいいですよ。それだけで、世界が輝いたものに見えてくる」

結標「いい台詞なんだと思うけど……あんたが言うと、どうもねえ」

海原「ど、どういう意味ですかそれは!!」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:34:35.88 ID:mo4lx2my0 [26/37]
美琴「あーん」

御坂妹「あーん、とミサカは大好きなあなたにスプーンを差し出します」

上条「そんな左右から差し出されても、上条さんの口はひとつしかありませんのことよ?」

美琴「私のから食べなさいよ」

御坂妹「ミサカを選べば次は魅惑の口移しコースが待っています」

美琴「く、くち、くちうつ…!? わわわわ、私も、私だってやってやるわよそれぐらい!!」

上条「あ、ちょ、やめて! 二人同時に口の中にスプーンを突っ込んでこないで!!」グサッ!

上条「いだぁーー!! 美琴さんが持ちたるはまさかのフォーク!?」

美琴「あ、ごめん!」

御坂妹「はい減点いち~、とミサカはお姉様に通告します」

美琴「ま、負けないんだから!!」

上条「これはあれでしょう! いくらなんでも言っていいんじゃないでしょうか!? はい、せーの!」

上条「ふ、不幸だぁ~~~~!!!!」


 ちなみにその後ろにあった柱の影

黒子「わ、私のお姉さまがあんなデレデレな訳がありませんのぉぉおおおお!!!!」

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:41:16.53 ID:mo4lx2my0 [27/37]
風斬「……」

ステイル「やあ、君も探し人が見つからないクチかな?」

風斬「え…? いや、あの…」

ステイル「おや、その様子だと探し人がどこにいるかは把握しているみたいだね。ま、僕もなんだけど」

風斬「あなたも…?」

ステイル「何だか邪魔しちゃいけないような気がしたんだろう?」

風斬「はい…友達なのに、こんなに遠慮しちゃうっていうのは……やっぱりおかしいでしょうか?」

ステイル「うん? いやいや、何もおかしなことじゃない。君が抱くその遠慮の気持ちは、人間の営む精神活動としては極正常だと思うよ?」



ステイル「ちなみに…今の僕等のような行動を、この国の言葉では『空気を読む』と言うらしいんだけどね」



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:47:04.77 ID:mo4lx2my0 [28/37]
 パーティーの喧騒を抜け出し、一方通行は裏庭で月を眺めていた。

一方通行「あ~…ガキ共がねだるからって、ほいほいこンなトコに顔出すモンじゃねェな。ウザったくてしょうがねェ」

 ぽす、と一方通行の横に座る影。
 純白の修道服に身を包んだ少女―――インデックスだ。

一方通行「……」

インデックス「む? 何でそんなに驚いているの?」

一方通行「そりゃ驚くだろォが…いいンかよ? こンなトコにいちゃ、中の料理が無くなっちまうぞ?」

インデックス「あ、あくせられーたの中にいる私にはそんなイメージしかないの!?」

一方通行「テメエの今までの行動を思い出せアンポンタン」

インデックス「う、うぅ…! 認めるけど! 一言も反論できないけど!!」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 22:57:23.09 ID:mo4lx2my0 [29/37]
インデックス「月…綺麗だね」

一方通行「…あァ、まァな」

 沈黙。
 インデックスは急いで次の会話のネタを頭の中から探り出す。
 でも、うまい話題が見つからなかったから、インデックスはもう本題に入ることにした。

インデックス「ほんとはね…もう、そんなに食べなくてもいいんだ」

 インデックスは今までの自分を恥じるように、ぽりぽりと頬をかいた。

インデックス「どういうわけか、私の中にあった10万3000冊の魔道書はひとつ残らず無くなっちゃったから……もう、食べなくても、いいんだ」

 消えた魔道書は他ならぬ、目の前の一方通行の中にある。
 今も彼は、その体の内側で繰り返される破壊と再生の繰り返し――その苦痛に耐えている。
 インデックスはそれを知らないけれど。
 一方通行にも、それを教えるつもりはないけれど。

インデックス「もう私は『禁書目録』なんかじゃない……今の私はもう、ちょっと記憶力がいいだけの、ただの女の子なんだよ?」

一方通行「あァ、そうですかァ」



インデックス「好きだよ、あくせられーた」

一方通行「…はァ?」


227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:02:37.78 ID:mo4lx2my0 [30/37]
インデックス「愛してる」

一方通行「………」

 一方通行は言葉に詰まる。
 真っ直ぐに自分を見つめてくるインデックスに、咄嗟に言葉を返せない。
 てへへ、とインデックスは顔を真っ赤にして笑った。


インデックス「別に、答えを求めてるわけじゃないんだ」


インデックス「あくせられーたには色々抱え込むものが多すぎて、私なんかに意識を向ける暇なんてないってこともわかってる」


インデックス「だけど、今だけでいい。今だけでいいから」


インデックス「もう少しだけ、近くに行ってもいいかな?」







一方通行「駄目だ」

インデックス「はぅ」


237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:07:41.86 ID:mo4lx2my0 [31/37]
 すわ調子に乗りすぎたか、とインデックスは涙目で一方通行の方を見る。
 さて、どんな呆れた目を向けられているかと覚悟していたが……違った。
 一方通行は自分を見ていない。
 ひどくびっくりしたように見えるその目は、インデックスのさらに後ろを向いている。

インデックス「後ろ…?」

 一方通行の視線を追って後ろをちらり。
 するとそこには。

打ち止め「………」

ミサカ「………」

 なんかいた。

打ち止め・ミサカ「なに抜け駆けしてんの?」

 『ミサカは~』なんて口癖の入る余地も無い、圧倒的負のオーラを放つ打ち止めとミサカがそこにいた。

246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:17:46.19 ID:mo4lx2my0 [32/37]
打ち止め「ミサカなんか大好きだもん! ってミサカはミサカは今こそ心のうちを打ち明けてみる!!」

ミサカ「ミサカなんか超愛してます、とミサカはずずいとあなたに迫ります」

一方通行「ちょ…待…おォ!?」

 打ち止めとミサカの迫力に押され、一方通行はずりずりと後ずさる。
 ぽふん、と首筋に何かが当たった。

番外個体「そんな未成熟のミサカ達より、程よく熟れた食べ頃ミサカはいかがかにゃー?」

 番外個体は一方通行の首筋に当たっているポヨポヨしたポヨポヨを、さらに一方通行の後頭部にポヨポヨする。

番外個体「感激してよね第一位。ミサカのこの魅力的な体は、全部全部あなたに弄ばれるために存在してるんだからさ」

ミサカ「意義ありです。その理屈で言えばこのミサカを選べば青い果実に、いずれは熟れごろ果実と一粒で二度おいしいお得感です」

打ち止め「ミ、ミサカなんてそれに『危ない果実』まで付いてくるよ! ってミサカはミサカは猛アピール!」

インデックス「レ、レア! 私はとってもレアなんだよ! そんなにミサカばっかりじゃ食べ飽きちゃうかも!」

一方通行「テメエら意味分かって言ってンのかァァ!?」

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:20:34.99 ID:mo4lx2my0 [33/37]









 噴飯ものの台詞であるが、あえて言わせていただこう。




 例えこの世の全てを操れようと―――――乙女心だけは操れない。













260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:23:52.85 ID:mo4lx2my0 [34/37]










 だから彼は神様なんかじゃなくて、やっぱりただの人間で。





 人間だから、これからも泣いて、怒って、悲しんで、嫉妬して、傷ついて、笑って―――――そうやって、生きていく。












264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:25:12.99 ID:mo4lx2my0 [35/37]













 願わくば―――――これからの彼等の人生に、幸多からんことを














267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:26:31.28 ID:mo4lx2my0 [36/37]






 もしインデックスが上条さんより先に一方通行に出会っていたらという妄想






 以上、完全終了。

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/06(日) 23:27:51.44 ID:mo4lx2my0 [37/37]
終わった……燃え尽きたぜ……真っ白にな………

コメント

ご都合主義過ぎる。失笑ものな結末だ。
だけどこの大団円こそ、求めていた結末だ。
本当に良かった。
ありがとう、作者さん。

No title

VIP書き込めなかったけれども

作者さん、最高の休日をありがとうございました。

新作でも続編でもまた期待しています。

No title

さすが一方通行は格が違った
いやマジで

No title

こうして鎌池の手腕に対する期待が相対的に大きくなるんだな……wwww
乙!

No title

おれの雲川がまさかの学園都市ブレイン役・・・
さては同志だなこんちきしょうめ!ニヤニヤにも程があるぞ!

たまんなかった
読めて幸せ

No title

俺一睡も出来ないくらい没頭したわ……面白すぎ
頼むからまた何か書いてくれ作者

No title

ブラボー

No title

いいお話でした。幸せな結末ってこんなにも嬉しくなるんですね。
一方通行はあんな生い立ちでも優しい人だから幸せになってもらいたいですよね。
本編もみんな幸せになって貰いたいなぁ。

No title

今なら砂糖が吐ける気がする。なんてSSだ
最高だったぜb

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。