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伊南屋 ◆WsILX6i4pM様 「美波×明久」

38 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:49:25 ID:FfA27iOr
「罰ゲームだ」
 昼休み。初期の頃のゲームの王様みたいな台詞を言ったのは雄二だった。
「なに言ってんのさ。来週の小テストに向けて勉強中なのに遊んでる暇はないと思うよ?」
「お前は遊んでいるように見えるんだが」
「僕は今、オンライン対戦型クイズゲームの携帯アプリで勉強中だよ」
「それを遊んでるって言うんだよ!」
 むぅ、これ結構勉強になるのにな。理解を得られないとは嘆かわしい事だ。
「まぁ思い付いたのはそれがきっかけなんだがな」
「罰ゲームを?」
「あぁ」
 確かにこのゲームでは敗退者はお仕置きを受ける事になってるから、そこから罰ゲームを連想するのは不自然じゃない。
「今度の小テスト。合計点が低い方が罰ゲームを受けるってのはどうだ?」
「なる程、そういうことね」
 罰ゲーム。確かに悪くない。
 勝てば普段の雄二への恨みを晴らせるし、そう考えれば勉強に対する意欲も上がるというものだ。
「良いよ。罰ゲームはどうする?」
「そうだな……お前が勝ったら俺が一週間お前に昼飯を奢ってやる」
 それは良い。食費との戦いが常にクライマックスを迎えている僕にとってみれば決して悪くはない条件だ。
「じゃあ僕が負けたら……」

「死ね」

「ちょ、待て雄二! いくらなんでもそれは分が悪すぎる! なんで僕だけデッド・オア・アライヴを賭けてテストを受けなきゃならないんだよ!?」
 ていうかそれはもう罰ゲームってレベルじゃない!
「なんじゃ、騒がしいのう」
 騒ぎを聞きつけてか、秀吉とムッツリーニが僕達の卓袱台に寄ってきた。
「実はさ……」
 簡単に事のあらましを説明すると、二人は興味を持ったらしく、しばらく考え込んだ。
「ふむ。その勝負、ワシも乗せて貰おうかの」
「…………僕も」
 どうやら二人も、罰ゲームを賭けたテスト合戦に参加するみたいだ。
「アキー? 何の話してんの?」
「良かったら聞かせて貰えます?」
 次いで現れたのは美波と姫路さんだった。
「お、島田に姫路か。実は……」
 今度は雄二が二人に説明する。
「ふーん、罰ゲームねぇ。それってどんな事するの?」
「秀吉とムッツリーニが増えたからな。少し考えてる所だ」
 あ、そうか。僕と雄二だけの前提だったから罰ゲームの内容は変えなくちゃいけないのか。
「そうだな……くじ引きでもするか。勝った奴がくじを作って、負けた奴がそれを引いて実行する。どうだ?」
「ワシは構わんぞ?」
39 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:50:24 ID:FfA27iOr
「…………オーケー」
 秀吉とムッツリーニの同意は得られた。となると後は僕か。
「明久の意見は……まあどうでもいいとして」
「ちょっと待て! 反対する気は無いけど一応意見は聞こうよ!」
「後はなんかあるか?」
 くっ……! 完全にシカトされた!
「ねぇ坂本。それってある意味くじを引かせれば負けた奴を好きに出来るって事よね?」
「ん? まぁそうなるな」
 雄二の言葉を聞いて美波が何やら悩む素振りを見せる。その背後では姫路さんも同様に考え込んでいた。
 そんな二人の姿を見て、雄二がニヤリと笑った。それからチラッと僕を伺い見る。
 え? なに?
「そうだな……例えば買い物に付き合わせたり、映画の付き添いなんかも思いのままだな。当然全て強制的に、だ」
 雄二のその言葉に美波と姫路さんの瞳に常にはない光が宿ったように見えた。
「それで、だ。姫路と島田も参加しないか?」
「やる」
「やります」
 即答だった。勝負事が好きな美波はともかく、姫路さんまで凄いやる気を見せている。
「じゃあ来週のテストまで、各自テスト勉強と罰ゲームの用意だな」
「うむ」
「…………了解」
「罰ゲーム、ウチはどうしようかな?」
「罰ゲーム、楽しみです」
 後半の女子二人の台詞が僕を見ながらだったのは何でだろう。台詞の内容とあいまってかなり怖い。
「それでは今この時から我らは敵、来週の小テスト終了までライバルだ」
「「「「「応っ!!」」」」」
 雄二の言葉に僕、秀吉、ムッツリーニ、美波、姫路さんの声が重なって答える。
 決戦は来週。およそ一週間に渡る僕らの闘いの火蓋が切って落とされた。

 † † †

 問・実際には意味のない薬や療法でも、思い込みによって効果が現れる事をなんと言うか。

 吉井明久の答え「スパシーボ効果」

 † † †

「せーのっ!」
 掛け声と同時に、帰りのホームルームで渡されたそれぞれの答案用紙が曝される。
「………………」
 沈黙。みんな何も口にせず、視線だけを一様に動かし、最低得点者を探している。それに倣うように、僕も視線を走らせた。
 まず目に付いたのは姫路さんだ。全体的に高水準を保ち、かつ穴も見当たらない。
 まあ始まる前から予想していた通り、負ける事は無さそうだ。
 続いて雄二。姫路さん程ではないにせよなかなかの点数を確保。ここ最近の勉強の成果が出ているといった所だ。

40 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:51:25 ID:FfA27iOr
 秀吉。先の二人に比べればかなり見劣りする。普段は良識的なツッコミ役だから意識しないけど、やはりFクラスはFクラスだ。
 美波は未だに苦手な日本語を克服出来ないらしく、国語教科を中心に文章題に躓きが多く見られる。
 ムッツリーニは突出した保険体育以外は散々だ。本来的に地力が低いため、それが結果に出た形になっている。
 そして僕。
「酷いな……」
「これは酷いのう」
「…………酷い」
「アキ、あんた……」
「え~と……頑張って下さいね?」
 ぶっちぎりの最下位だった。ていうか×の中から○を探すゲームみたいな有り様だった。
「な、なぜだ!? あんなにクイズゲームで勉強したのに!」
 おかしい。寝る間も惜しんでやったのに。
「だからだ、バカ」
 言い放って雄二は一つの箱を取り出した。ダンボールで構成され、上辺には丸い穴が開いている。
「さて、これで勝敗は決したな。明久は罰ゲーム決定だ」
 雄二は四角い紙をみんなに配る。
「それじゃ、今渡した紙に罰ゲームを書いてくれ。書いたら半分に折ってこの箱に入れる事」
 そう言うと、雄二は自らも紙に記入を始め――書き終わったみたいだ。
 妙に早いな。なんて書いたんだ?
 僕が興味本位で覗き込むと、紙面には、

『死』

 ってちょっと待て! たった一文字かよ。道理で早い訳だ!
「……ん」
 雄二は何かを思い出したかのように再び紙にペンを走らせた。流石に『死』はマズいと思って修正したのかもしれない。
 改めて確認の為、雄二の紙を盗み見る。

『死(DEATH)』

 最悪だっ!? わざわざ英語でも書いてあるよ!
「よし、みんな書いたな? じゃあ始めるか」
 紙を回収し、箱の中に入れかき混ぜる。ひとしきり混ぜると、雄二は僕の目の前に箱を突き出した。
「引け」
 ……間違っても雄二の書いたくじを引く訳にはいかない。
 かと言って狙ったくじを引けるわけでもなく、できたとしても雄二以外の人が何を書いたのかは分からない。
 どの道運任せって事か。兎に角悩んでいても仕方無い。
「えぇいっ! ままよ!!」
 腹を決めて一気に引く。
「どうだっ!?」
 掴んだ一枚のくじを、引き裂かんばかりの勢いで開く。
 そこにあった内容は――

『女装』

 女装? うん、思ったより恐ろしい内容は出なかった。これなら耐えられる!
「おい、明久。内容はどうだったんだ?」
「女装だよ。やったね!」
41 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:52:25 ID:FfA27iOr
 ってアレ? なんか今一気にみんなが引いたような気がするんだけど?
「お前、女装で喜ぶ趣味が……」
「あ、いや、違う! そういう意味じゃない!」
 くそっ! 僕としたことが失言だったようだ。
「しかし、女装なんて誰が考えた罰ゲームだ?」
 僕の反論は全スルーして、雄二がそんな事を言った。
「あぁ。それはワシじゃ。いつも女扱いされるワシの気持ちを知って貰おうと思っての」
「なるほどな。しかし衣装はどうするんだ? 女子の制服でも借りるのか?」
「それは大丈夫じゃ。ワシが衣装を持って来ておる」
 そう言えば秀吉はいつも演劇用の道具を持ち歩いているんだっけか。
「正直罰ゲームにしちゃインパクトに欠けるが出ちまったもんは仕方無い。おい、明久。さっさと着替えて来いよ」
 そりゃ人が一人死ぬのに比べれば大抵の事はインパクトに欠けるだろうさ。
 まぁ、そんな事を言ってもどうせ不毛な言い争いになるだけなので黙っておく。
「ちょっと待て……これが衣装じゃ」
 秀吉がスポーツバッグから結構大きな袋に入った衣装を渡してくる。
「じゃあ、ちょっと着替えてくるよ」
 文句を言ったって始まる訳じゃない。だったらさっさと罰ゲームをして終わらせるに限る。
 そう考えて僕は更衣室に向かった。

 † † †

「お待たせ」
 再び僕が教室に入ったのは十五分後。僕が教室の扉をくぐると、みんなの視線が集中した。
 あんまり見られると恥ずかしいな……。
「お、良く似合ってるじゃねえか」
 そう言って雄二はバカにしたような笑みを向けてきた。
 僕に渡された衣装はまさしく演劇用で、多分お姫様役か何かの豪華なドレスだった。
 ついでにカツラもセットで、自分で言うのも何だが、多分今の僕は女にしか見えない。
「ムッツリーニさん!」
 姫路さんにしては鬼気迫る声が、ムッツリーニを呼んだ。それに呼応してムッツリーニがカメラを構える。
「って僕!?」
 バシャー! バシャー! という派手なシャッター音と共にフラッシュが焚かれ、僕を照らし出す。
 差し貫くような閃光に晒され、僕は思わずカメラから目を背けた。
「あぁっ!? 駄目です明久くん! カメラに笑顔を向けて下さい!」
「いや、ちょ、無理! 眩しすぎだって!」
実際カメラに向かって目を開くと光が強すぎて瞼が痛む。
「……仕方ありません。ムッツリーニさん、もう結構です」
 姫路さんの言葉でムッツリーニが動きを止める。
42 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:55:16 ID:FfA27iOr
「ていうか何!? 姫路さんは僕の写真をどうするつもりなの!?」
 僕の女装写真なんて、精々が僕を脅すくらいにしか使えな……そんな事に使えるんじゃないか!
「大丈夫ですよ。私が大事に保管しておきますから」
 そう言って姫路さんが浮かべた笑顔は極上のものだったけど、悲しいかな僕には『私が』と『大事に~』の間に(いつか明久くんを脅す為に)って入る気がしてならない。
「瑞希、その写真後でウチにも頂戴?」
「はい、分かりました」
「ちょ、美波まで!?」
 美波にまで脅しのネタを掴まれた!?
 これからこの二人には下手なマネは一切出来ない事を悟り、僕は膝を着いた。
「別に、そんな気にする事じゃないと思うんだがな」
「うぅ……他人事だと思って薄情な奴め」
「まったく……これだから鈍感は」
 やれやれと肩を竦めてみせる雄二。僕が鈍感だなんてどうすればそうなるんだ。
 それに雄二。僕はお前の言葉をそっくりそのまま返したいよ。
「……雄二」
「うぉわぁぁああああ!?」
 雄二の気付かない内に(というか僕も雄二のすぐ後ろに来るまで気付けなかった)背後に立った霧島さんが、雄二の頭を掴んだ。
「浮気はダメって言ったのに。それを女の子だけじゃ飽きたらずこんな事まで……」
「いや、待て! お前それはいくら何でも勘ちが痛だだだだ!?」
 がっちりと指が食い込んだ雄二の頭がミシリミシリと悲鳴を上げる。
 霧島さん、あんな細い腕なのに凄い力だなぁ。
「痛い痛い痛い! 分かった! 俺が悪かった、兎に角謝るから許してごめんなさぁぁああっ……」
 あ、失神した。
「……持って帰るから」
「あ、うん。気を付けてね霧島さん」
 ずるずると頭を掴んだまま雄二を引き摺って霧島さんは去っていった。
 いきなり現れて、あっという間に帰っちゃったな。
「……雄二、行っちゃったなぁ」
「…………悪いけど、僕も」「え、何か用事でもあるの?」
「…………プリントアウト」
「あぁ……そう」
 僕の写真をプリントアウトするつもりなのか。正直ちょっと、いや、かなり嫌だ。
 そんな僕の思いは知らずに、ムッツリーニは荷物をまとめると教室から出て行ってしまった。

43 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:56:20 ID:FfA27iOr
「……しかし、よくムッツリーニが僕の写真なんかを撮ったね」
「代わりに私の写真を要求されたんです」
 なにぃっ!? ムッツリーニめ、一体どんか写真を要求したんだ?
「私が小学生の頃の運動会の写真なんですけど、本当に良かったんでしょうか?」
「野郎! なんてうらやま……もとい、うらやま……もとい、えげつない写真を!」
 ていうかそれは犯罪じゃないのか!? 姫路さんは気付いてないけど、かなり危険な匂いのする要求だ。
「ちょっとアキ!? アンタ一体どこいくのよ!」
「ムッツリーニに写真の山分けを頼みに行かなキャアァアア!?」
 危なっ!? 顔の横を拳風が掠めた!
「アンタはここにいなさい。わかった?」
「い、イエス・マム!」
 いくら姫路さんの秘蔵写真でも命には代えられない。
 仕方なく諦めて溜め息を吐き、首を振る。
 雄二もムッツリーニも居なくなって、教室には僕、美波、姫路さんの三人だけだ……って、三人?
「そう言えば秀吉は? よく見るとさっきから姿が見えないようだけど」
「え? 明久くんが知ってるんじゃないんですか?」
「え、僕?」
「だって木下はアンタの事を探しに行ったのよ?」
「うーん……すれ違いになっちゃったかなぁ」
 校舎の中を通る更衣室までの道のはいくつかある。そのルート次第ではすれ違いも有り得る。
 まあ教室で待っていれば、いずれは戻ってくるとは思うんだけど。しかし万が一という事だって考えられる。
 こういう時、秀吉が携帯を壊していなければと思う。
「仕方無い。探しにいこうか」
「でしたら私が行きます。二人は残って木下くんが戻ったときは私に連絡して下さい」
「え? いいよ姫路さん。僕が行くって」
「その格好のまま校内をうろうろするつもりですか?」
「あ……」
 姫路さんが苦笑してみせる。更衣室から教室までは大した距離じゃないし人気も少なかったから気にしなかったけど、確かにこの格好でうろつくのは恥ずかしい。
「ね? ですから私に任せて下さい」
 そういって姫路さんは廊下へと消えていった。
 これで教室に美波と二人っきりだ。
 しかしこれは困った。美波と二人なんて一体いつ理不尽な暴力が飛んでくるか分からない。
「ねえ、アキ」
「え、なに?」
 美波の声に応じて僕は答えた。
「さっきから割と平然としてるけど恥ずかしくないの?」
44 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:57:23 ID:FfA27iOr
「んー……、文化祭でも女装したからかな? 見てるのも知った顔ばかりだし、あんまり恥ずかしくはないよ」
「……全然罰ゲームになってないわね」
 そう言ってまじまじと美波が視線をぶつけてくる。あんまりじっくり見られると流石に恥ずかしいんだけど。
「……なんか悔しい」
「え?」
「なんか私がそれを着るより似合ってそうなんだもん」
「そうかなぁ? っていうかなんで言いながら拳を構えるのさ!?」
「え? だってムカつくし」
 怖っ! さも当然のように言ってるよ! しかも満面の笑顔で!
「くそっ、大人しく殴られるか!」
「こら、逃げるな!」
 いいや断じて逃げるね。こんな予想通りの理不尽な暴力になんか屈してなるものか!
 ――って上手く走れない?
 スカートのひらひらが足に纏わりついて思うように動けない。
「捕まえた!」
「うわっ!?」
 あっという間に追い付かれ、腕を取られる。それと同時、僕はスカートで足をもつれさせ、バランスを崩した。
「きゃああぁっ!」
 美波の悲鳴と、僕達二人が机や椅子を巻き込みながら倒れる音が教室に響いた。
「あいててて……」
 意識の瞬間的なブラックアウトを経て、僕の体を痛みが駆け抜ける。とっさに閉じていた瞼を開きながら、僕は体を起こした。
「痛ぅぅうう……」
 美波の呻き声が、下半身の方から聞こえた。
「アキが余計な抵抗するから転んじゃったじゃ……な……」
 ばっちりと目があった。僕の膝の間に――と言うか股関に顔を埋めた美波は言葉の最後の方を小さくして沈黙した。
 あ、視線がずれた。目が泳いでる。あからさまに狼狽えてるな。
 顔とか真っ赤になってきた。小刻みに震え、耐えるように目を伏せた。
 う~ん……。実は美波がなにかしらの仕草をする度に股関が刺激されて少しだけ気持ち良いんだよね。
「こ、こ、この……バカアキっ!」
 殴られる。そう思った僕は咄嗟に頭を庇い目を固く閉じて痛みに備えた。
 しかし、いつまで経っても鉄槌が下される事はなかった。
 恐る恐る僕が瞼を開くと、顔を真っ赤にしたまま振り上げた拳を震わせる美波が目に入った。
 目尻にはうっすらと涙さえ浮かべ、今にも泣き出しそうな姿は、少しつつけば割れてしまう風船を連想させた。
「……バカ」
 とすっ、と拳が胸に振り落とされた。
「……大バカ」
 とん。
「……ホント、バカ」
 どっ。
「バカ」
 どん。
「バカ」
 どすっ。
「バカバカバカ」
45 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:58:24 ID:FfA27iOr
 どごっ、ぼぐっ、ごきっ!
「痛い痛い痛い! さりげなく威力を上げていかないで!?」
「うるさいバカ!」
 相変わらず泣きそうな表情でそんな風に言われたら反論なんかできない。
 はぁ……女って卑怯だ。
 もはや諦めの境地で美波を見つめる。
 ……なんか(表情だけは)気弱そうな美波を見るとやっぱり可愛いんだな、なんて思ってしまう。
「バカ、バカ、バカ……」
 すっかり勢いをなくした拳は痛みを与えてくることはない。
 ただし、拳を振るう度に下半身の上で動く美波のお尻が擦れて妙に気持ち良い。
「……え?」
「あ……」
 し、しまったぁぁああ! 気持ち良いとか考えてたらうっかり勃ってしまった!
「アキ……なんか当たるんだけど」
「え、あ、いや、これはその……ペットだよ!」
「……ペット?」
「そう! 僕パンツの中でハムスターを飼ってるんだ」
「もっとマシな嘘つきなさいよ」
 速攻バレた! 完璧な回避策だと思ったのに!
「本当に…………バカ」
 何故かうっすらと笑みを浮かべて美波が身を捩る。勃ちかけのマイハムスターがまた刺激され、その身を更に硬くした。
「女装しながら、女子に馬乗りになられて、殴られて、おちんちん勃たせて。バカ……っていうより変態よね」
 再びぐりっ、と股関が刺激された。
「くぁっ!」
 血液が集中し、感覚が鋭敏になっていた為に思わず僕は声を上げて悶えてしまった。
「女装しながら女の子みたいな声出して喘いで、本当……変態」
 ぐりっ。
「んっ!」
 ヤバい。なにがヤバいって詰られて少し感じているのがヤバい。
 顔が熱いし、きっと今僕は真っ赤になっているはずだ。
「バカな上に変態って、救いようがないわよね」
 ぐりっ。
「ふぅっ……ん!」
  上気した美波の嗜虐的な瞳に見つめられ、僕は背筋にぞくぞくとした快感が走る。
 く……っ、ここまで自分がMだとは思わなかった。
「ねぇ、アキ?」
 熱に浮かされたような甘い声で美波が僕に囁きかける。
「気持ち良く……なりたい?」
 ぐりっ、ぐりっ。
「ぅあ……っ!」
 押し付けられるお尻の谷間を感じながら僕は葛藤する。
 確かに気持ち良くはなりたい。だけど理性の部分がそれを拒む。今僕の中では二人の僕が戦っているところだ。
『いいじゃないか。誘ってるのは美波だよ? 流れに身を任せようよ』
『でも……』
「アキ?」
 ぐりっ。
「気持ち良く……なりたいです」
46 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 21:59:23 ID:FfA27iOr
 あ、理性折れた。
 僕の理性と本能は九対一で本能が優勢だった。
 美波は笑みを深めると、体を浮かし後退した。これから起こることを予想できずにいると、彼女は四つん這いになった。
「え?」
 僕の履いたひらひらとした長いフレアスカートに潜り込むようにして美波は僕の視界から姿を消す。
「……中、トランクスなんだ」
 布地を隔て、ややくぐもった声で美波が言った。僕がそれに答えるより先に美波は次の行動に移った。
「盛り上がってる。なんか突っ張って痛そう……」
 つん、と何かが僕のハムスター(あくまでも僕はハムスターだと言い張る)の頭を突ついた。
 僕は予想しえなかったその刺激に思わず腰を浮かべてしまう。
「こら、動くな」
 美波に腰を抑えられ、僕は床に尻を打ち付けてしまった。
「あ……これじゃ手が使えない」
 両手でがっちりと掴まれ床に押し付けている美波はすっかり両手が塞がってしまう。
「む~……仕方ないか」
 そう美波が呟いたかと思うと――
「……ん」
 ふにっ、と柔らかい感触が僕の下半身に触れた。それは何やら僕の股間を弄り、トランクスの上縁を見つけるとそれを挟んだ。
「ふむ……っ」
 いくらか難儀しながら僕のパンツを脱がし、ハムスター(あくまで以下略)を外気に晒す。
 僕のスカートの中で美波がどの様に動いているかを把握する事は出来ない。それが予測不能のドキドキ感を生み出して僕の興奮を誘う。
「コレ……アキのおちんちん……」
 間近で観察しているのか、美波の微かな吐息が掠めて僕のペット(全略)がびくりと震えた。
「こら、暴れるな」
 いや、無理です。意識とは無関係なんで。というか喋った拍子に息が吹きかけられて、また震えた。
「む~……大人しくしなさいっ」
 美波がそう言ったかと思うと次の瞬間、僕の、ハムスター、がっ!?
「んふふ。ふふぁふぁえた」
 なんかっ、あったかくてっ、濡れてっ、ぬるぬるしたっ、何かにっ!
「んむっ!? ……あふぁへふはっへふぁ!」
 やめてやめてやめてっ!? なに言ってるか分からないけど、それ以上喋られたらヤバいッ!
「み、美波? 君……今っ?」
「む?」
「くちっ口の中にっ、僕のを」
「むん」
 こくんと頷く気配。連動して僕のペットもコンニチハをする。
 ていうかさっきの微妙に擦られて気持ち良いっ!
「み、美波その……」
「ふふはい」
47 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 22:00:48 ID:FfA27iOr
 言うや否や美波が舌を、ぬるりと這わせる。ぞくりとした快感が僕のペットの頬袋(ツッコミは許さない)から背筋に駆け抜ける。
「んくぅっ!」
 腰が浮くほどの甘美な刺激に、鼓動が速まる。経験値、耐性ともにゼロの僕に美波は容赦のない追撃を与えた。
「んむっ、ん……れろ、れるっ」
 唾液が時折濡れた音を立てる。これまで感じた事のない気持ち良さに、知らず僕は抵抗を失う。
「ふぁむっ、れりゅっ……んちゅっ、ぷぁっ!」
 美波は口の中から僕を解放すると、そのままスカートから顔を出した。
「も~……アキ、暴れすぎ」
「そんな事言われても……」
 意志とは関係なしに動くものを制御するのは難しい。
「でもさ……」
「うん?」
「暴れるってことは気持ち良いんだよね?」
 少し自信なさげに美波が聞いてくる。
 うぅ……だからそういうのは卑怯だって。
「どうなの? アキ」
「気持ち、良いよ」
「……そっか」
 にこりと美波が笑みを浮かべた。
「じゃあ……もっと」
 再びスカートに潜った美波が僕のハムryを銜え込む。熱に包まれたそれがまたびくりと震えた。
「じゅ……れぁっ、ふぁふっ……れちゅ、ちゅぱっ」
 吸い付きまで加えての口撃にただでさえ防御力の低いハryは一気に追い詰められる。
 そして、まさしく怯えた小動物のように小刻みに震えると、限界を迎えた。
「んっ……!」
「んむっ? んっ! んぷっ、むぐっ……ぷはっ!」
 美波から解放され、反撃とばかりに更に精液を吐き出す僕。
「……っ急に出すなバカアキっ!」
 スカートの中から美波が飛び出してくる。
 うわぁ……精液が顔にへばりついてたり口から垂れてたりでかなりエッチな事になってる。
「ぅえ、マズ……まぁアキのなら……」
 僕のならなんだって言うんだろう?
 それにしても、だ。
 美波がしかめっつらを作る。だけどそれもやっぱりどこかいやらしい。
 うわ……美波見てたらまた勃ってきた。
 咄嗟にそれを隠そうとすると、それが逆に美波の目に付いたらしい。腕を掴まれ隠すのを阻まれる。
「あ……いや、これは」
「やだ……またおっきくなってる」
 美波が僕を睨み付けてくる。
「……変態」
 たった一言の言葉。それが僕を苛み、それ以上にM気質を刺激する。
「……少しおっきくなった?」
 美波の指が先端を無遠慮につつき回す。つつかれて、ふるんふるんと身を揺らし、美波の視線がそれを追う。
48 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 22:02:48 ID:FfA27iOr
「やっぱり、しゃせーしないと萎まないよね?」
「……まあ、すぐには無理かな」
 美波が躊躇いを見せる。煩悶して眉根を寄せ、やがておずおずと口を開いた。
「最後まで……したい?」
 予想され得る問いではあったけど、期待していた事ではあったけど、それでも僕は心臓が止まるほどの衝撃を受けた。
 無意識に喉が鳴る。
 僕がどう答えたものかと考える内に美波がずい、と身を寄せてきた。
 微かに美波の顔に掛かった精液の匂いが香る。それすらも今はいやらしさを引き立てて、僕の理性が揺らいでいく。
「ねぇ……アキ」
 首筋に、美波の腕が回される。
「ウチと……したくない?」
 僕は――頷いた。
 美波が、スカートの中に手を入れる。スカートの布地が邪魔して何をしているかは見えない。そのまま美波がゆっくりと、とてもゆっくりと腰を降ろしていく。
「ん……っ」
 ――熱が、触れた。
 それが美波の入り口である事を悟り、僕は息を呑む。
 多分パンツをずらしただけだ。スカートに隠れて見えはしないけど、きっとそうだと思う。
 火傷しそうな程に熱いぬかるみが、僕を覆っていく。先端の半分程に埋まった所で、美波の動きが止まった。
「く……っ」
 恐らくは痛みに歪んだ表情を浮かべ、美波が深呼吸を繰り返す。いっそ痛々しいまでの姿なのに、美波はそれでも耐えていた。
「んく……っ!」
 ずん、と腰に重圧が掛かった。
 一息に、自らの内に僕を受け入れた美波は白い喉を晒して天を仰いだ。
 両手で口元を抑え、必死に声を押し殺している。それでも尚漏れる嗚咽に、僕の心が痛んだ。
「美波……」
 美波の身体を抱き寄せて、胸に美波の頭を置かせる。
 震える肩が、美波の弱さを示しているようで、僕はそれを守るようにきつく抱き締めた。
「……アキ」
 涙に濡れた、真っ赤な顔が僕を見る。
 自然に、極自然に僕達は近付いて、口付けを交わした。
「ん……」
 触れた唇は、僕の精液と美波の涙が混じった味がした。
「……っふぁ」
 唇が、銀糸を引いて離れる。惜しくなってまた触れる。それを何度も繰り返す。
 啄むようなキスを何度もした。
 衝動が湧き上がって、無遠慮にも僕は美波を突き上げた。
「ぁくっ!」
 その声は呻きか、嬌声か。甘く掠れた悲鳴を美波が上げた。
 次々巻き起こる衝動に任せて、僕は何度も美波を貫いた。
49 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 22:04:19 ID:FfA27iOr
 濡れた破裂音と、肉が滑る音。互いを貪るキスの音と、時折零れる美波の声。
 渾然一体となった響きが僕の耳をくすぐって、意識がぼんやりしていく。
 ただ、目の前の美波が欲しくて、強く抱き締めては深く抉った。
「んんっ……!」
 美波が身を振るわせる。微かな痙攣が腰に伝わった。
「アキ……あた、し……もぉっ!」
 いつから痛みを越えて、快楽を得ていたのかは分からない。美波が官能に溺れ、絶頂が近い事だけは分かって、僕は更に美波に打ち込んだ。
「アキっ、アキっ」
 僕の名を呼ぶ美波の声が、誘うように聴こえた。美波を追い掛けるように僕の限界も近付く。
「みな……みっ!」
 ぎゅっと一際強く抱き締めて、僕は最後の一突きを美波の一番深くへと押し込んだ。
「――――っ!!」
 声にならない悲鳴を上げて、美波がぎゅっと僕を締め付ける。それをきっかけに、僕も美波の中に快感の証を注ぎ込んだ。
「熱っ……い……」
 胎内に踊り込んだ精液を感じて、美波がうっとりと吐息を漏らした。
「膣中に……出した……」
 ぎろりと美波が睨んでくる。スカートを捲り上げ、初めて僕達は接合部を目にした。
 僕を睨みつける瞳は、それでも熱に蕩けていて、美波はその瞳のまま、僕に呟いた。
「責任……とらなきゃ殺すんだから……」
 そこは――溢れ返った精液で、白く染められていた。

 ………………
 …………
 ……

「あ、木下くん」
「おぉ、姫路か」
「も~大分、探しましたよ?」
「すまんな。明久が更衣室におらんでな、探しておったのじゃ」
「それで動いていたからなかなか見つからなかったんですね。明久くんならもう戻ってますよ?」
「なんと、それはまことか? むぅ……探し損じゃったのう」
「とりあえず急いで教室に行きましょう。かなり待たせちゃってますから」
「そうじゃな。それになにかこう……わしの中の何かが悪い予感を知らせておる」
「木下くんもですか? 私も女の勘っていうか、嫌な予感がするんです」
「いや待て姫路。わしのは女の勘というものではないからな?」
「なにを言ってるんです? それは女の子ならみんな持ってるものです。自信持って下さい」
「いや、女の勘に自信を持つとわしの性別というものがだな?」
「急ぎましょう。本当に嫌な予感がするんです」
「待て! 姫路! わしの性別はおと……行くなーっ!」


50 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 22:05:00 ID:FfA27iOr
 ――教室に向かう瑞希と秀吉!
 美波としちゃった明久は一体どうなる!?

続かない。

32 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/02/19(火) 01:06:04 ID:QSPlk47r
保守がてら美波で書いてみたいからシチュを考えてくれ

33 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/02/19(火) 03:06:24 ID:NSqXs5VK
>>32
明久が罰ゲームで女装→その可愛さに美波が半分嫉妬、半分ハァハァ→美波S心全開→性欲を持て余す

こんなのしか浮かばないなんて…悔しい…

51 :伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage]:2008/02/29(金) 22:09:17 ID:FfA27iOr
 はい、というわけでこちらのスレの皆様初めまして。>>32こと伊南屋と申します。

 >>33のネタで書きました――が。
 長い、とか途中から文体の雰囲気違う、とか問題点の多々あるSSですが、一人でも楽しんで頂けたら幸いです。
 また機会があればバカテスSSを書きたいと思ってますので宜しくお願いします。

 以上、伊南屋でした。

Tag : エロパロ板

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