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紬「合宿をしま~す!」-2

紬「合宿をしま~す!」
続きです
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:54:12.99 ID:EWY1ypn40
~食堂の前~

澪「何も音がしないな」

梓「灯りも漏れてないですね」

澪「よし、まずは私がドアの隙間から部屋の中を見てみるよ」

カチャ

澪「…」

澪(予想通り…居ないか…)

澪(ん?何だあれは…律のカチューシャか?)

澪(それに部屋の入り口からずっとあそこまで…)

澪「!!!」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:57:11.14 ID:EWY1ypn40
バタン

梓「あの、澪先輩?」

梓「律先輩は、居なかったんですか?」

澪「…」

澪「梓、目を瞑れ」

梓「え?こ、こんな所でさっきの続きですか?///」

澪「良いから、目を瞑るんだ」

梓「もぅ、こんな時に…はい、瞑りましたよ?」

澪「そのまま動くなよ」

梓「分かりました…」

澪(食堂から出て…こっちは…玄関…外に行ったのか?)

澪(どうする?確かめるのか?)

澪(私だけなら…でも、梓まで危険に晒すわけには…)

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:59:42.47 ID:EWY1ypn40
梓(…)

梓(あれ?)

梓(澪先輩の手が…凄く震えてる…)

梓「あの、澪先輩?」

ギュッ

梓(え?後ろからなの?)

澪「梓、目を瞑ったまま、そのまま歩くんだ」

澪「階段の所は私が誘導してやる」

梓「え?ど、どうしてですか?」

澪「梓、上手く言葉が出ないんだ…分かってくれ」

梓「は、はい…」

梓(違う、キスなんかじゃないよ…)

梓(だって、澪先輩…)

梓(体全体で震えてるよ…)

梓(何を…一体何を見たの?)

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:01:23.93 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

ガチャッ

唯「澪ちゃん!あずにゃん!」

憂「ど、どうでしたか?」

澪「…」

梓「…あの、澪先輩」

澪「まずは、鍵をかけるんだ」

梓「は、はい」

澪「それから唯、この部屋の窓からなら玄関の辺りも見えると思う」

澪「懐中電灯を向けて、誰か居ないか見てくれないか?」

唯「う、うん」



唯「澪ちゃん、誰も居ないよ?」

澪「そうか…分かった」

澪「寒いだろうから、もう窓は閉めても良いぞ…」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:02:44.63 ID:EWY1ypn40
澪「みんな、落ち着いて話を聞いて欲しい」

澪「律は…律は食堂には居なかった」

梓「…やっぱり」

唯「やっぱり?」

梓「食堂の中は澪先輩しか確認してないんです」

梓「私には見せない様にしたから、多分そうなんじゃないかと…」

梓「でも、それだけじゃないですよね?」

憂「それだけじゃない?」

憂「嘘、律さんが居ないだけでもショックなのに…」

憂「な、何があったんですか?澪さん」

澪「分からない、分からないんだ…」

澪「でも、1つだけ分かった事がある」

澪「律は多分…外に行った」

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:04:54.21 ID:EWY1ypn40
唯「外?こんなに真っ暗なのに?」

憂「それに、今は凄く寒いんじゃないですか?」

梓「そう言えば、部屋の中も…」

澪「ああ、さっきから暖房も切れてるから寒くなって来てるな」

澪「でも、外の寒さはこんなもんじゃないだろう」

澪「その中を、律は外に出て行ったんだ…」

唯「どうして外に?真っ暗で方向が分からなかったの?」

憂「でも、流石に外に出る扉を開けたら気が付くよね?考えられないよ」

澪「ああ、そうだな…」

梓「でも、そんな考えられない様な事をしたって分かってるんですよね」

梓「澪先輩、そろそろ言って下さい」

梓「一体、何を見たんですか?」

梓「どうしてそんなあり得ない事が分かったんですか?」

澪「…血だよ」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:07:14.01 ID:EWY1ypn40
澪「それ程の量じゃ無かったけど…食堂の床に、血が飛び散っていた」

澪「それが入り口から廊下を抜けて、玄関の方に点々と続いていたんだ」

澪「玄関に人影は無かったから、外に出たとしか考えられない」

唯「えっと、りっちゃんが食堂で怪我をしちゃって…」

唯「慌てて外に飛び出しちゃったって事?」

唯「大変だよ!すぐに手当てをしてあげないと!」

憂「お姉ちゃん…」

梓「唯先輩…」

澪「唯、私だってそう思いたいよ」

澪「でもな、もし仮にそうだったとしたら」

澪「どうしてすぐに中へ帰って来ないんだ?」

唯「でも…でも…そ、そうだよ!」

唯「もし誰かが怪我をしてたとしても、りっちゃんかどうかは分からないよ!」

澪「じゃあ、一体誰が怪我をしたって言うんだ?」

澪「それにな…私は見たんだ、血で濡れた律のカチューシャを」

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:08:49.71 ID:EWY1ypn40
澪「誰かがいたずらでこんな事をしてるんじゃないかって」

澪「ムギも和も何処かに隠れてて、私達を驚かそうとしてるんじゃないかって」

澪「そういう可能性も0じゃないって、今までは思えたんだけど」

澪「もう…駄目だよ」

澪「こんな状況になってるのに、2人がそんないたずらをするはずがない」

澪「律が血を流す程の怪我をしているのに、自分から外に出て行く訳が無い」

澪「誰かが、私達以外の誰かが何処かへ連れて行ったんだ」

澪「私達以外に、誰かが…」

澪「誰かが…この建物の中に居たんだ」

澪「いや…」

澪「今も、居るのかもしれない…」

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:09:53.40 ID:EWY1ypn40
澪「もしかして、玄関の扉の向こう側に…」

澪「私が行った時には、まだそこに律が居たかもしれない」

澪「そう思ったのに、足が動かなかった」

澪「此処に帰って来てしまった」

澪「私は律を、見殺しにしてしまったのかもしれない」

梓「見殺しって、そんな…」

梓「そんな律先輩がもう死んでしまったみたいな事、言わないで下さい!」

梓「澪先輩は私の事を考えて、私が危険にならない様に…」

梓「そう思って此処に帰って来たんですよね?」

梓「自分の事、そんなに責めないで下さいよ…」

梓「でないと、私のせいだって言われてるみたいで…つらいです」

澪「違う!そういう意味で言ったんじゃないぞ!」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:12:44.15 ID:EWY1ypn40
唯「私の責任だよね、私がりっちゃんを1人にしてしまったから…」

憂「そうじゃないよ!元はと言えば私が怪我をしてしまったから…」

澪「いや、律を1人にしてしまったのは私の責任だよ」

澪「最後に律と一緒に居たのは私なんだからな…」

澪「…」

澪「でもみんな、後悔するのはもう止めよう」

澪(そうだ、後悔なんてしても何も始まらない)

澪(私がしっかりしないと、梓を守ってやらないといけないんだ)

澪「今考えなきゃいけない事は、これからどうするかって事だ」

唯「そ、そうだね…」

憂「何とかして、この状況を打開しないと…」

梓「何か良い案はあるんでしょうか?」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:14:23.07 ID:EWY1ypn40
唯「歩いて町まで行くのは…やっぱり駄目かな?」

澪「いや、この状況になってしまった以上は最初の選択肢だと思う」

澪「ただ、どれ位の時間がかかるか分からないからな」

澪「準備は万全にして、出来れば夜が明けてすぐに出発したいな」

唯「憂は?憂はどうするの?」

澪「憂ちゃんはみんなで交代して背負って行く」

澪「スキーの他にソリもあったと思うから」

澪「途中まではそれに乗って貰うのも良いな」

憂「でも、私の為にみんなに迷惑をかけるのは…」

梓「憂、今はそんな事を言ってる場合じゃないよ!」

憂「梓ちゃんそれは逆だよ」

憂「こんな時だからこそ、私の事なんて気にしちゃいけない」

憂「私1人の為にみんなが危険になるなんて、そんなの嫌だよ…」

憂「もしそうするなら、私は置いて行くべきだと思う」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:15:53.79 ID:EWY1ypn40
唯(そんな…憂を1人で置いて行くなんて出来ないよ…)

唯「じゃ、じゃあ逆に…この部屋の中にずっと居るのはどうかな?」

唯「明後日…じゃないね、日付は変わっちゃったから明日の夜」

唯「明日の夜になれば、私達が帰って来ない事を心配する人達が出て来る」

唯「そうしたら探しに来てくれるよね?」

唯「それまでの間、此処でじっとしているの」

澪「それも1つの手だな」

澪「部屋の鍵は中からしか掛けられないタイプだから」

澪「普通の方法では外から開ける事は出来ない」

澪「此処は2階だから窓から入って来る事も難しいだろうし」

澪「家具をずらして窓に被せておけば、そう簡単には入って来れないだろう」

唯「澪ちゃん…澪ちゃんはもう、私達以外の誰かが居るって…」

唯「誰かが襲って来るはずだって…」

澪「ああ、信じたくはないが…それしか考えられないからな」

澪「現実から目を背けても、何にもならないよ」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:17:16.41 ID:EWY1ypn40
澪「この建物には私達以外の誰かが居て」

澪「ムギと和、それに律を何処かに連れ去った」

澪「今も近くに居るのかどうかは分からないけど」

澪「次に狙われるのは私達4人、そう思って行動した方が良いと思う」

梓「澪先輩…今、普通の方法ではって言いましたよね?」

澪「ああ、言ったな」

憂「普通じゃない方法、例えばドアを壊して中に入るとか…」

澪「そうだ、そういう普通じゃない方法を使われた時点でアウトだ」

澪「この案の最大の弱点はそれだな」

唯「じゃあやっぱり、みんなで歩いて行くしか無いのかな…」

憂「私はその案に賛成」

梓「私も、今はそれが1番良い様に思えます」

唯「じゃあ、やっぱり憂は私達3人で…」

澪「いや、憂ちゃんは置いて行こう」

唯「え!?」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:18:30.73 ID:EWY1ypn40
唯「酷いよ!澪ちゃん!」

唯「憂を置いて行くなんて、そんな事出来る訳無いよ!」

澪「憂ちゃん、それで良いよな?」

憂「はい、私は1人で…此処で待ってます」

唯「そんな…ねえ、あずにゃんはどう思う?」

唯「あずにゃんはそんな事、憂を置いて行くだなんて言わないよね?」

梓「…」

梓「ごめんなさい、唯先輩」

梓「私も色々と考えてみましたけど」

梓「憂は置いて行った方が良いって思い直しました」

梓「見捨てる訳じゃ無いんですよ?」

梓「私達の誰かが助かれば、憂を助け出す事だって出来るんですから」

唯「でも…」

憂「お姉ちゃん、良いんだよ」

憂「それが1番良い方法なんだ」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:20:28.98 ID:EWY1ypn40
澪「それにな、唯」

澪「こんな事は言いたくないんだが…」

澪「どうしても納得出来ないなら言わざるを得ない」

澪「ムギや和、律だって死んだ訳じゃないんだぞ?」

澪「律は怪我をしている可能性が高いけど、ムギや和は単に姿を消しただけだ」

澪「みんな何処かで生きてる可能性だって…いや、絶対に生きてると思う」

澪「それを唯は見殺しにするのか?」

澪「3人がどういう状況に置かれているのかは分からない」

澪「でも、助けを呼ぶ事が遅れてしまったら…」

澪「助かる可能性はどんどん減っていくと思う」

澪「憂ちゃんを見殺しにする訳じゃない、単に少し助けるのが遅くなるだけだ」

澪「それだけの理由で、唯は他の3人を見殺しに出来るのか?」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:21:55.88 ID:EWY1ypn40
唯「そんな、そんな言い方って酷いよ…」グスッ

唯「ムギちゃんだって…和ちゃんだって…りっちゃんだって…」

唯「みんな大切な仲間、大切な友達なのに…」

唯「そんな風に比べる言い方をするなんて、酷いよ…」

澪「唯…分かって欲しい、憂ちゃんだってそう思ってる事なんだ」

澪「憂ちゃんの事を1番分かってるのは唯なんだろ?」

澪「だったら、憂ちゃんが唯にどうして欲しいのか」

澪「分かってあげられなくてどうするんだ?」

唯「…」

唯「憂…憂は本当に此処に1人で残る気なの?私に行って欲しいの?」

憂「うん、お姉ちゃんは澪さん梓ちゃんと一緒に行って」

憂「私なら大丈夫だよ、みんなが来てくれる事、信じてるから」

唯「そっか…うん、分かったよ」

唯「待っててね憂、絶対に助けに戻って来るからね!」

憂「うん!お姉ちゃんの事、信じてるから」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:24:04.35 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・朝・憂の部屋の前~

唯「じゃあ憂、行ってくるからね」

憂「気を付けてね、お姉ちゃん」

唯「足は…やっぱり動かない?」

憂「少しだけ動く様になって、痛みも昨日よりマシになったけど」

憂「でも、歩くのは…お姉ちゃん達に付いて行くのは無理だと思う」

唯「…分かったよ」

唯「私達が行った後、絶対に…絶対にドアを開けちゃ駄目だよ?」

憂「大丈夫だよ」

憂「ベッドをこの位置まで動かして貰ったから、鍵はちゃんと閉められる」

憂「水は沢山用意して貰ったし、食べ物も家から持って来た携帯食で十分」

憂「寒さは、このままスキーウエアをずっと着てるから」

憂「部屋の中で布団を被ってれば、夜中でも大丈夫だよ」

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:25:20.55 ID:EWY1ypn40
澪「唯、そろそろ行くぞ」

梓「唯先輩、少しでも早く行った方が…」

唯「待って」

唯「憂…」

憂「お姉ちゃん…」

チュッ

唯「行ってくるね」

憂「うん、行ってらっしゃい」

澪「…」

梓「…」

澪「自然だな…」

梓「自然ですね…」

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:27:04.98 ID:EWY1ypn40
~ペンション→町への道~

澪「唯、何を見てるんだ?目覚まし時計か?」

唯「うん、そうだよ~」

梓「そんなの何に使うんですか?」

唯「これはね、憂の声が入ってる目覚まし時計なんだよ」

唯「寂しくなったら、これで憂の声が聞けるかな~って」

澪(唯…)







澪「最悪の事態も考えてたけど、どうやらそれは避けられたみたいだな」

梓「最悪の事態って、これ以上最悪な事ってあるんですか?」

澪「この雪道は、私達が普段履いている靴じゃ長く歩けないだろ?」

澪「服にしてもそうだ、私達が着て来た服じゃ寒くて長くは耐えられない」

澪「スキーウエアとブーツをどうにかされてるんじゃないかって思ってな」

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:28:51.47 ID:EWY1ypn40
梓「なるほど、でもそういう風に考えると」

梓「私達の危機はもう去ったって事ですか?」

澪「そうだな、私達をどうにかしたいなら…」

澪「脱出する方法は全部消しておくべきだろう」

澪「ウエアやブーツを隠すか、あるいは壊す事はそんなに難しい事じゃない」

澪「そう考えたい所なんだけど、油断は出来ないな」

梓「ところで…唯先輩の事、良いんですか?」

澪「ああ、最初からこうなる事は分かってたからな」

澪「あの2人の絆は理屈だけじゃ切り離せないさ」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:31:55.75 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

憂「お姉ちゃん、今頃は何処を歩いてるのかな…」

憂「雪崩が起きてる所までは行けたのかな…」

憂「あそこから先は道が無いから、心配だよ…」

憂「お姉ちゃん、私の大好きなお姉ちゃん…」

憂「本当は離れたく無かったけど、でも…」

憂「私はどうなっても良いから、お姉ちゃんだけは…」

憂「…」

憂「う…凄く重要な事を忘れてたよ…」

憂「トイレ、どうしよう…」

憂「我慢する?でも、ずっと我慢してるなんて無理だよね…」

憂「トイレは部屋の外にしか無いから、今の私には行けないし…」

憂「それにドアを開ける事自体が怖くて無理だよ…」

ドンドン!

憂「」ビクッ

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:33:21.45 ID:EWY1ypn40
ドンドン!

憂(嘘…だ、誰?誰なの!?)

憂(あ、駄目…漏れちゃう…)

ドンドン!

?「う~い~、私だよ~、開けて~」

憂「え?お姉ちゃん?」

憂「…」

憂「嘘だよ!お姉ちゃんが此処に居るはず無いよ!」

憂「誰!私のお姉ちゃんの真似をしてるのは!」

?「う~い~、ほんとに私なんだよ~、だから早く開けて~」

?「早く開けてくれないと~、私も怖いよ~」

憂(確かに、本物のお姉ちゃんなら早く開けてあげないと…)

憂(声は絶対にお姉ちゃんなんだけど…でも、用心しないと駄目だからね)

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:34:38.31 ID:EWY1ypn40
憂(でも、どうやって確かめたら良いんだろう…)

憂(何個か質問していけば、その内分かるかな?)

憂「じゃあ、本物のお姉ちゃんだったら絶対に答えられる質問をするよ!」

?「な~に~」

憂「お姉ちゃんが、お姉ちゃんが好きな人って誰!」

?「…」

憂「どうしたの!答えられないの!」

?「難しい質問だね…う~ん」

?「沢山居るから、1人には絞れないかな?」

憂(嘘…どうして私だって言ってくれないの…)

ガチャッ

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:35:28.87 ID:EWY1ypn40
唯「あれ?今の答えで正解だったの?」

憂「…」

唯「憂、酷いよ~、声だけで分かってよ~」

憂「…」

唯「あ、とりあえず鍵は閉めておかないとね」

憂「…お姉ちゃん」

唯「何?」

憂「今言った事は…本当?」

唯「うん、ほんとだよ」

唯「え?間違いだった?だって正解だから開けてくれたんだよね?」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:36:33.05 ID:EWY1ypn40
憂「お姉ちゃんの偽者だったら、絶対に私だって言うと思う」

唯「あ、なるほど~、確かにそうかもしれないね」

憂「なのに違う答えが返って来たから、思わず開けちゃった…」

憂「嘘でしょ?お姉ちゃんの好きな人が沢山居るだなんて」

唯「あ~、そういう意味で言ったんじゃないんだけどな…」

憂「え?じゃあ、お姉ちゃんの好きな人って…1番好きな人って誰なの?」

唯「それはもちろん…憂!」







212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:38:39.48 ID:EWY1ypn40
唯「だからね、好きな人って言われたらまず最初に憂の事が思い浮かぶんだけど」

唯「でもね、私の知ってる人に嫌いな人なんて居ないよ?」

唯「みんな好きな人ばっかりなんだから、ちょっと難しい質問だったな~って」

唯「もしそういう事が聞きたいんだったら、1番好きな人は誰って聞いてくれないと」

憂「…」

唯「あれ?何?どうして怒ってるの?」

唯「何か変な事、言っちゃったかな?ご、ごめんね?」

憂「違うよ…そうじゃないよ、お姉ちゃん」

憂「私はね、自分が情けなくて…自分に腹を立ててるの…」

憂「私だったら、きっとお姉ちゃんだって答えてたと思う」

憂「でも、私だってお姉ちゃんと一緒なのに、嫌いな人なんて居ないのに…」

憂「お姉ちゃんには、そういう風に答えて欲しくないって、思っちゃったから…」

唯「憂…」

唯「私はね、憂がそういう風に思っちゃう所も含めて大好きだよ?」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:39:42.58 ID:EWY1ypn40
唯「確かにちょっと良くない考え方だと思うけど…」

唯「でも、憂はそれが間違ってるって事だってちゃんと自分で分かってる」

唯「だったら、良いと思うな」

唯「この世に天使の様な人なんて居ない、みんな心の奥底では嫌な事を考えてる」

唯「でもね、それが間違ってるって分かってるならそれで良いと思うんだ」

唯「それにね、憂がそんな風に答えてくれたら、やっぱり私は嬉しいよ?」

唯「憂みたいに考えちゃうと、本当はいけないのかもしれないけど…」

唯「でも、嬉しいっていう気持ちに嘘は付けないからね!」

憂「お姉ちゃん…うん、ありがと」ニコッ

憂(お姉ちゃんの考え方は否定したくはないけど…でも、絶対に1つだけ間違ってる)

憂(天使の様な人は居る、私の目の前に居るんだよ…)

唯「良かった、やっと笑ってくれたね!」

憂「えへへ~」

唯「ところで、さっきから気になってたんだけど…」

唯「ちょっとアレな臭いがするのは…気のせい?」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:41:37.05 ID:EWY1ypn40
~ペンション→町への道~

澪「此処が雪崩の起きた場所か」

梓「ようやく着きましたね」

澪「そんなに遠く感じたか?」

梓「ええ、昨日は此処まであっと言う間に来た感じです」

澪(そうか、だとするとこの先も予想以上に時間がかかるって事だ)

澪(例えもう1度道に出られたとしても、歩いて行くのは厳しいかもしれない)

澪(梓が嫌だと言っても、あの手を使うしかないな)

梓「とりあえず、どうしましょう?」

梓「山側を登って行きますか?それとも崖側を降りて行きます?」

澪「上だな、山側へ登って先の道を探す」

梓「遭難した時には上へ登れ…ですね、聞いた事があります」

澪「それは一般論であって、全部のケースに当てはまる訳じゃないと思う」

澪「登山をしている人の間でも意見が分かれているらしいからな」

澪「それに第一、私達は登山をして遭難した訳じゃない」

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:42:54.31 ID:EWY1ypn40
梓「じゃあ、どうして上へ?」

澪「先へ行く道が見付からないまま体力が尽きかけてしまった場合」

澪「上からなら元の道に戻る事は、そんなに難しく無いと思う」

澪「でも、一旦降りてしまってそうなったら…多分元の道に戻る事は無理だろう」

澪「そうなってしまったら、遭難したのと同じだ」

澪「それに、まだ万策尽きた訳じゃないからな」

澪「最後の手がある以上、戻る事も頭に入れて行動した方が良い」

梓「え?最後の手って、澪先輩には他の案があったんですか?」

澪「ああ、ただそれは本当に最後の手段だ」

澪「もし私に何かあったら、梓がそれをやって欲しい」

梓「そんな、そんな悲しい事を言わないで下さいよ…」

澪「心配するな、万が一の事だよ」

澪「さあ、それじゃあ行こうか」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:44:38.05 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

憂「お姉ちゃん、それ位は自分で出来るから…」

唯「駄目だよっ」

唯「憂は怪我をしてるんだから、私が全部お世話してあげる」

唯「綺麗に拭いて着替えさせてあげるからね~」

憂「うん…」

憂「ごめんねお姉ちゃん、こんな事をさせて…」

唯「良いんだよ~、将来の役に立つかもしれないんだから」

憂(え?それって…どういう意味?)

唯「ほら、子供が出来た時にはこういう事、毎日しないといけないでしょ?」

憂「え?子供?」

唯「うん、私達の子供、欲しいよね?」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:45:28.67 ID:EWY1ypn40
憂「…」

憂「お姉ちゃん、赤ちゃんってどうしたら生まれるのか知ってる?」

唯「もちろん、知ってるよ~」

唯「好きな人同士がベッドに入って…」

憂「うん…」

唯「寝てれば良いんだよ!」

憂「…」

唯「あれ?じゃあ何で私達には子供が出来ないんだろうね?」

憂(お姉ちゃん、何て純真なの…)

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:46:43.90 ID:EWY1ypn40
唯「ぷっ、冗談だよ~」

唯「憂、信じちゃってる顔してるね?」

憂「え?だって、お姉ちゃんなら本当にそう思ってるんじゃないかって」

唯「こういう時にはね、少し位冗談を言って…」

唯「…」

唯(どうして憂のバッグの中に、こんな物が…)

唯(…)

唯(考えなきゃ、どうしてなのか考えなきゃ…)

憂「どうしたの?お姉ちゃん」

唯「ううん、な、何でも無いよ?」

唯「着替えを出したから、着せてあげるね」

憂「うん…」

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:48:41.07 ID:EWY1ypn40
憂「でも、ちょっと恥ずかしいね…」エヘヘ

唯「こんな事で恥ずかしいなんて言ってたら、結婚した時に大変だよ?」

憂「え?誰と誰が結婚するの?」

唯「もちろん、私と憂だよ!」

憂「ふふっ、またそんな冗談を言って…駄目だよ?もう騙されないんだから」

唯「え~、今度は冗談じゃないのに~」

憂「でも…そうだね、本当に冗談じゃ無かったら良いのにね…」

唯「憂…」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:50:08.72 ID:EWY1ypn40
~ペンション→町への道~

澪(おかしい…)

梓「あの、澪先輩…」

梓「もう少し早く歩いても、私は大丈夫ですよ?」

澪「そうか…いや、私はちょっと疲れたみたいなんだ」

澪「休憩しても良いか?」

梓「え?はい、良いですけど…」

梓(ついさっき、歩き出したばっかりなのに…)

澪(体が重い…どうしてだ?大した距離は歩いてないと思うんだけど…)

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:51:44.28 ID:EWY1ypn40
澪「梓、スキーの板は何処にあるんだ?」

梓「板?板って何の事ですか?」

澪「昨日は雪崩が起きた所に置いて来たんだよな」

澪「だったらそれを回収しておけば、もしこの先で道が見付かった場合」

澪「梓にはスキーで先行して貰おうって思ってたんだ」

梓「そんな、澪先輩を1人で置いて行くだなんて出来ないですよ」

澪「そう言うと思ったんだけど、場合が場合だ」

澪「それに道沿いに降りて行けるなら私だって迷う事は無い、大丈夫だよ」

梓「それはそうですけど…でも、板は持って来てないですよ?」

澪「え?どうしてだ?私はそれを言わなかったか?」

梓「いえ、聞いてませんけど…」

澪(どうして…どうしてそんなに重要な事を言い忘れてしまったんだ…)

澪(駄目だ…さっきから頭が上手く回ってない気がする…)

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:53:14.55 ID:EWY1ypn40
澪(眠い…眠気が我慢出来ない…目を開けているだけでもつらくなって来た…)

梓「それに私はそういう事を考えて無かったんですけど」

梓「板は何処にも無かった様に思います」

澪(何?それじゃあ…私達の行動も読まれてるって事なのか?)

梓「あ、澪先輩」

澪「…何…だ?」

梓「澪先輩の水筒を貰います」

梓「私のはちょっと出しにくい場所にあるので、良いですよね?」

澪(水筒?水筒…水筒の水…)

澪(そうか…ウエアとブーツが無事だったから油断した…)

澪(傍にあった物も全部、無防備に持って来てしまった…)

澪(駄目だ梓…それを飲んだら…)

梓「あっ、今更ですけど…間接キスになっちゃいますね」エヘヘ

澪(せめて梓だけは…)

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:55:11.61 ID:EWY1ypn40
バシッ

梓「痛っ!」

梓「もぅ!何をするんですか!」

梓「酷いですよ、いきなり何を…」

梓「あれ?澪先輩どうしたんですか?」

グラッ…ドサッ

梓「え?嘘…嘘でしょ…」

梓「何かの…何かの冗談ですよね?」

澪(こうなったら…最後の手を使うしかない…)

澪(最後の手は…あの建物を燃やす事…)

澪(1回やってしまったら…何も出来なくなる…本当に最後の手だ…)

澪(でもそうすれば…誰かが気が付いてくれる…助かる可能性がある…)

澪(それだけは…伝えたかったのに…)

澪(駄目だ…口が…開かない…)

澪(梓…)

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:56:49.23 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

唯「憂、寒くない?」

憂「うん、ちょっと寒いね…」

唯「私のウエアを着る?」

憂「そんな事をしたら、今度はお姉ちゃんが寒いでしょ?」

唯「う~ん、じゃあ…」

憂「駄目!駄目だよ!」

憂「今、他の誰かのウエアを取りに行こうって思ったでしょ?」

唯「うん、それしかないかなって…」

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:58:29.08 ID:EWY1ypn40
憂「駄目だよ、此処に出入りする時は大丈夫だったけど」

憂「外に出たら何が起きるか分からないんだよ?」

憂「この部屋からは絶対に出ない方が良いよ」

唯「でも、夜になったら布団を被ってても」

唯「我慢出来ない位に寒くなるかもしれないよ?」

憂「それは、確かにそうだけど…」

唯「それにね、憂」

唯「私にはこの事件の犯人、もう分かってるんだ」

唯「だから外に出ても大丈夫なんだよ」

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:00:04.39 ID:EWY1ypn40
~ペンション→町への道~

梓「そんな…澪先輩まで…」

梓「泣きたい…でも、泣いちゃ駄目だ…」

梓「今私に出来る事は何なのか、考えないといけない」

梓「まずは…」



梓「良かった、息はちゃんとしてる」

ユサッ…ユサッ…

梓「起きて下さい、澪先輩!」

ユサッ…ユサッ…

梓「澪先輩!」



梓「駄目だ、全然目を覚まさないよ…」

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:03:50.64 ID:EWY1ypn40
梓「食料と水はあるけど…」

梓「でもこのままじゃ、こんな場所で目を覚まさなかったら…」

梓「凍死…しちゃうよね」

梓「どうすれば良いんだろう…」

梓「澪先輩を此処に置いていくのが、1番良い方法なのは分かってる」

梓「そうすれば、私だけでも助かる可能性はある」

梓「でも、此処から町まで何時間かかるか分からないけど」

梓「澪先輩を此処に置いて行ったら…」

梓「例え助けを呼ぶ事が出来たとしても」

梓「この場所を見付けるまでに…澪先輩は、死ぬかもしれない」

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:05:36.63 ID:EWY1ypn40
梓「それに此処からなら、元の建物の方が絶対に近いはず」

梓「あそこなら暖を取る方法だって…何かあるよね」

梓「…」

梓「駄目だよ、迷ってる暇なんて無い!」

梓「だったら…だったら少しでも澪先輩が助かる方法を取れば良いだけだよ!」







梓「憂より、重い…」

梓「荷物もあの時より一杯あるし…」

梓「道に出るまでは下り坂だけど、凄く歩きにくい…」

梓「でも、私が頑張らないと…」

梓「頑張れば、澪先輩はきっと褒めてくれる」

梓「ご褒美を貰う為に、お仕置きして貰う為に…頑張らないと…」

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:06:47.46 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

憂「え!?」

憂「お姉ちゃん今、何て言ったの!?」

唯「私には犯人が分かってる、そう言ったんだよ」

唯「私達以外にこの建物に誰かが居る…そんなのは全部嘘」

唯「最初からこの建物には私達以外、誰も居なかったんだ」

憂「嘘…」

憂「じゃあお姉ちゃんは、私達の中に犯人が居るって言うの?」

唯「うん、私達の中に居たんだね」

憂「誰?誰なの?」

憂「もしかして、澪さんと梓ちゃんのどっちかだって言うの?」

憂「だとしたら、2人は今一緒に居るはずだから…」

唯「犯人じゃないもう片方が危ない?」

憂「う、うん…」

憂「でも、あの2人のどっちがが犯人だなんて…そんな事、考えたく無いよ…」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:08:45.30 ID:EWY1ypn40
唯「考える事は無いよ、あの2人はどっちも犯人じゃないから」

唯「澪ちゃんとあずにゃんは、もう帰って来ないんじゃないかな…」

憂「…」ゴクリ

憂(この建物に居たのは7人)

憂(もしお姉ちゃんの言う通りに、他に誰も居なかったとすれば…)

憂(紬さん、和ちゃん、律さんが犯人とは考えられない)

憂(澪さんと梓ちゃんでも無い)

憂(だとしたら、残るのは…)

憂「もしかして…もしかして、お姉ちゃんが犯人なの?」

憂「そ、そんな事言わないよね?そんな冗談言わないよね?」

唯「うん、そんな冗談は言わないよ」

憂「良かった、ビックリしたよ」

唯「…」

唯「憂、私は犯人じゃ無いって言ったんだよ」

唯「だったら、誰が犯人なのかは…分かるよね?」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:10:37.94 ID:EWY1ypn40
~ペンション→町への道~

梓「はぁ…はぁ…」

梓「こんなに歩いたのに…道に辿り着けないなんて…」

梓「方向が間違ってたのかな…このままじゃ…きっと…」

梓「あっ…」

ドサッ

梓「はぁ…はぁ…」

梓「もう立てない…歩けないよ…澪先輩…」



梓「でも、良かった…」

梓「私は1人じゃない…澪先輩と一緒なんだ…」

梓「眠い…」

梓「幻覚かな…私達が居た建物が…見えるよ…」

梓「でも…もう…動けない…」

梓「このまま…眠っちゃっても…良いよね…澪先輩…」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:12:05.54 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

憂「もしかして…」

憂「お姉ちゃんは私が犯人だなんて言わないよね?」

唯「憂は私が犯人だって言うの?」

憂「そんな事言わないよ!お姉ちゃんが犯人だなんてあり得ない!」

唯「だったら、自分が犯人だって言ってるのと同じだね」

憂「ち、違うよ…私は犯人じゃない…」

憂「私がそんな事する訳ないのに…」

唯「私もそう思いたかったよ…でもね」

唯「こんな物見付けちゃったら、言い訳出来ないよね?」

憂「え?それは!」

唯「さっき憂の着替えを出してあげる時に見付けたんだよ」

唯「全員分の携帯電話、憂が持ってたんだ」

唯「私のお気に入りの携帯も真っ二つ…みんな壊されちゃってるね」

唯「凄いよ憂、私はもちろんだけど、誰にも気が付かれずにこんな事が出来るなんて」

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:13:53.70 ID:EWY1ypn40
憂「し、知らないよ!私、そんなの知らないよ!」

唯「でもね、これは憂のバッグから出て来たんだよ?」

唯「みんなの携帯が無くなったのがこの事件の始まりで」

唯「憂がこれを持っているという事は」

唯「この事件を起こした犯人だって言ってるのと同じだよ」

唯「みんなを何処へ隠したの?もう、殺しちゃったの?」

唯「澪ちゃんとあずにゃんは、私が見た時には何とも無かったけど」

唯「でも憂の事だから、見逃すなんて失敗はしないかな」

唯「私も、この後で殺されちゃうんだろうね…」

唯「多分薬か何かで眠らされて、山に捨てられるんだ」

唯「憂はただ1人の生き残りとして、こう言うんだろうね」

唯「私が全員を殺して、最後に憂を此処で殺そうとした」

唯「でも失敗して山へ逃げ込んで、その途中で遭難」

唯「憂の言った通りに、私の死体が山で見付かるんだよ」

唯「真実は誰にも分からない、憂以外には誰にも分からないからね」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:16:02.05 ID:EWY1ypn40
憂「酷い…酷過ぎるよ、お姉ちゃん…」

憂「私は足を怪我してるんだよ?そんな事、出来る訳が無いじゃない…」

唯「それも全部嘘、そうやって油断させて私に何かをするんだよね」

憂「違う、違うよお姉ちゃん!どうして私の言ってる事を信じてくれないの?」

唯「もう良いんだよ、憂」

唯「全部分かってても、憂とはもう少し一緒に居たかった…」

唯「でも、此処まで言っちゃったらもう無理だよね」

唯「憂にはそんなに可哀想な事、させられないよ」

唯「大丈夫、私は1人で山に入って死んで来るから…安心して良いよ?」

唯「憂がどういうつもりでこんな事を考えたのかは分からなかったけど…」

唯「でも良いんだ、憂が…憂が生きててくれるんだったら」

唯「私はそれだけで良いんだよ」

唯「じゃあ憂、元気でね」

ガチャッ

憂「待って!待ってよお姉ちゃん!」

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:17:28.46 ID:EWY1ypn40
~建物の外→山の中~

唯「さて、私はこれから死ぬのか…」

唯「どれ位歩けば良いんだろう、分からないや」

唯「とりあえず歩ける所まで歩いて、そこで寝てれば良いのかな?」

唯「そのまま眠っちゃえば、苦しまなくて済むよね」







唯「疲れた…どれ位歩いたんだろ?」

唯「建物も全然見えないや」

唯「じゃあ、此処で寝てれば良いって事だよね…」



唯「憂…おやすみなさい」

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:18:41.62 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~

憂「私、本当に1人になっちゃったんだね…」

憂「どうしてこんな事に…」

憂「お姉ちゃん、どうして私の言った事を信じてくれなかったの…」

プルルルルルル…

憂「?」

プルルルルルル…

憂「何の音?」

プルルルルルル…

憂「電話?電話の音だ!」

プルルルルルル…

憂「うっ、痛い…まだ歩けない…」

憂「でも、これが最後のチャンスかもしれない…行かないと…」

ガチャッ

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:20:36.84 ID:EWY1ypn40
プルルルルルル…

憂「音は…下?1階の食堂かな…」

憂「痛い…けど、歩かなきゃ…」

~食堂の外~

プルルルルルル…

憂「お願い、もう少しだけ…」

プルルルルルル…

憂「あともうちょっとだから…」

プルルルルルル…チン

憂「そ、そんな…」

憂「で、でも…電話がかかって来るって事は…」

憂「こっちからもかけられるはずだよね!」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:24:42.07 ID:EWY1ypn40
~食堂~

憂「電話は、確か奥の方に…」

憂「警察に連絡出来れば…」

憂「今だったらお姉ちゃんは、お姉ちゃんはきっと助けて貰えるよ…」

憂「だから電話を、電話をかけないと!」

カチャ

憂「1…1…0…」

憂「…」

憂「嘘…」

憂「音が…全然聞こえて来ない…」

憂「嘘でしょ?さっきまで電話は…鳴ってたじゃない…」

プルルルルルル…

憂「えっ…」

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:25:57.97 ID:EWY1ypn40
プルルルルルル…

憂「どうして…」

プルルルルルル…

憂「どうして…電話が鳴ってるの…」

プルルルルルル…

憂「どうして…」

プルルルルルル…

憂「どうして…音が上から…聞こえて来るの…」

プルルルルルル…

憂(上を…上を見た方が良いの?)

プルルルルルル…

憂(駄目だよ…体が動かない…)

プルルルルルル…

憂(怖いよ…見たくないよ…)

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:30:19.98 ID:EWY1ypn40
プルルルルルル…

憂(違う…見たくないんじゃない…見れないんだ…)

プルルルルルル…

憂(今気が付いた…)

プルルルルルル…

憂(受話器から…何か煙みたいなのが出てる…)

プルルルルルル…

憂(駄目…意識が…遠く…なって…いく…)

プルルルルルル…

プルルルルルル…ドサッ

プルルルルルル…

プルルルルルル…チン







248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:31:33.65 ID:EWY1ypn40
憂(…)

憂(私…どうしたんだろう…)

憂(どうして…こんな所で寝てるんだろう…)

憂(電話を…電話をかけなきゃ…いけないのに…)

憂(ぼんやり…何かが…見える…)

憂(誰か…倒れてる…)

憂(紬さん…だ…)

憂(和ちゃん…)

憂(律さん…)

憂(澪さん…)

憂(梓ちゃんも…居る…)

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:32:45.65 ID:EWY1ypn40
憂(そうだよ…電話をかける事に…夢中になってたけど…)

憂(最初からみんな…倒れてたよね…)

憂(みんな…死んでるの?)

憂(みんな死んでしまって…生き残ったのは…)

憂(…)

憂(違う…お姉ちゃんが犯人だなんて…そんな事…あり得ない…)

憂(じゃあ…犯人は…)







251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:35:00.97 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・夜・学校職員室~

さわ子「溜まってた仕事、やっと終わったわね」

さわ子「もう少し早く終わってくれれば、途中からでも合宿に参加出来たのに」

さわ子「でも明日帰って来ちゃうんだから、今更よね」

(次は火事のニュースです)

さわ子「火事?冬場は空気が乾燥してるから、私も気を付けないと…」

(今日午後6時頃、○○県○○市○○で起こった火事は…)

さわ子「…え?」

さわ子「確かそこって、あの子達が合宿をするって言ってた場所じゃ…」

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:39:57.81 ID:EWY1ypn40
(…辺りに民家は無く、山火事の恐れは無い模様)

(ただ、消火活動自体は難航しており)

(建物の火は手が付けられない状態が続いています)

(現場へ繋がる唯一の道路では広範囲での雪崩が確認されており)

(車両での接近が出来ない事も消火活動を妨げています)

(その為、警察・消防は現在もヘリコプターから状況を見守るしかなく…)

さわ子「他のチャンネル…いえ、ネットで調べた方が確実ね」



さわ子「間違い無いわ、○○県○○市の山奥にあるペンションって言ったから…」

さわ子「でも、誰かが発見されたとは書かれてない…どういう事?」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:45:39.58 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~

さわ子「…」

さわ子「酷いものですね、殆ど何も残らない位に焼けてしまうなんて…」

警察「普通の火災では此処まで燃えてしまう事はあまりありません」

警察「何かの事故では無く放火…」

さわ子「放火?」

警察「ええ、それも意図的に建物を全焼させる様な火の付け方をした可能性があります」

さわ子(嘘でしょ…あの子達がそんな事をするなんて考えられないわ)

警察「何か気が付いた事はありませんか?」

警察「本来であれば部外者であるあなたに伺う内容ではないのですが」

警察「此処で合宿を行っていたとされる7人について」

警察「全員を良く知っている方という事なので」

警察「特別にこうして現場にも来て頂いているのです」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:46:42.99 ID:EWY1ypn40
さわ子「気が付いた事って言われても」

さわ子「私は此処で合宿をするという話を聞いただけですし」

さわ子「その時も普段と変わりは無かったと思いますけど…」

警察「そうですか…では、何か思い出した事でもあれば言って下さい」

警察「帰りのヘリが出発するまでには少し時間があります」

警察「それまでの間は、ロープの内側に入らなければ何処を見て頂いて構いません」



さわ子「何処を見てもって、こんな焼け跡を見ても何も思い付かないわよ」

さわ子「…」

さわ子「とりあえずこの状況を学校にも報告して…」

さわ子「あ、そう言えば昨日の夜からメールをチェックして無かったわね」

さわ子「何通か来てるけど、どうせDMでしょ」

さわ子「…え!このメールは!?」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:47:40.35 ID:EWY1ypn40
さわ子「私は和ちゃんと一緒に此処へやって来ました」

さわ子「そうしたら偶然にも軽音部のみんなが合宿をやっていて…」







さわ子「…以上です」

さわ子「何故こんな事をしてしまったのかは、どうしても言えません」

さわ子「でも、全て私がやった事なんです」

さわ子「いえ、違いますね」

さわ子「お姉ちゃんだけは自殺しました」

さわ子「今頃は、何処か山の中で死んでると思います」

さわ子「出来ればそのまま、死なせてあげて下さい」

さわ子「これからこの建物に火を付けます」

さわ子「死んでしまった後でも寂しくない様に、みんな一緒です」

さわ子「では…さようなら、先生」

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:48:34.04 ID:EWY1ypn40
さわ子「私宛だけって事は無いと思うから」

さわ子「ご両親や友達にも同じメールを送ってるかもしれないわね」

さわ子「でもこれを…ここに書かれている内容を信じるなら」

さわ子「この山の何処かで唯ちゃんは自殺」

さわ子「焼け跡の中には6人の死体があるって事?」

紬叔父「死体?やはり姪は此処で…」

さわ子「…あの、どちら様でしょう?」

紬叔父「これは、申し遅れました」

紬叔父「私は琴吹○○、紬の叔父です」

さわ子「私は紬さんの所属している部活の顧問を務めている、山中さわ子と言います」

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:49:58.85 ID:EWY1ypn40
さわ子(此処に来ているって事は…ご両親以上の関係者って事よね?)

さわ子「紬さんの叔父さんという事は、もしかしてこの建物の…」

紬叔父「ええ、姪が軽音部?でしたか、そちらの合宿に使いたいと言いまして」

紬叔父「暫くの間は無人になる建物だったので、自由に使っても良いと…」

紬叔父「しかし、まさかこんな事になるとは…」

さわ子「…」

紬叔父「ところで先程死体がと仰っていましたが、何かご存知で?」

さわ子「ええ、実は此処で合宿をしていた7人の1人から」

さわ子「遺書の様なメールを貰ったものですから…」

さわ子「琴吹さんもご覧になります?」

紬叔父「…私が見てもよろしいのでしょうか?」

さわ子「ええ、姪御さんの事でもありますから…どうぞ」

紬叔父「では、失礼して…」

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:51:07.44 ID:EWY1ypn40
紬叔父「なるほど、私はてっきり事故では無いかと思ったのすが…」

紬叔父「これは警察の方にもお見せした方が良いでしょうね」

さわ子「ええ、もちろん後で見せるつもりです」

紬叔父「このメールを書いた方の名前は初めて見ますが、やはり姪の部活の?」

さわ子「いえ、この子は部員の1人の妹です」

さわ子「ですが、部員全員と…もう1人部員以外でこの合宿に参加した真鍋和さん」

さわ子「それにもちろん、私とも良く知っている間柄です」

紬叔父「そうでしたか…私も辛いですが、では先生もさぞかし…」

さわ子「いいえ、私が今考えていたのは1つだけです」

さわ子「この事件の犯人は一体誰なのかしらって」

紬叔父「え?しかし犯人は、先生も良くご存知と今仰った…」

紬叔父「平沢憂さんという方でしょう?」

さわ子「それは違います」

紬叔父「違う?」

さわ子「この事件の犯人は…平沢憂さん、憂ちゃんでは無いわ」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:52:23.90 ID:EWY1ypn40
さわ子「確かに、メールにはそういった内容の事が書かれています」

さわ子「でも、それが事実だと証明する証拠は今の所何1つありません」

さわ子「それに、憂ちゃんは此処で合宿を行う事を知らなかったのですから」

さわ子「計画的に殺人を行う余裕なんて無かったはずです」

さわ子「こんな閉鎖的な場所で、誰にも邪魔されずに全員を殺害…」

さわ子「そんな事、突発的に行うなんて不可能でしょう」

さわ子「誰かが憂ちゃんを犯人に仕立て上げたとしか考えられません」

紬叔父「…では、先生は誰が犯人だと?」

さわ子「突発的には不可能でも、此処で合宿を行う事を予め知っていれば…」

さわ子「事前に計画を練っておけば不可能ではないと思います」

さわ子「つまり、この事件の犯人は…」

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:53:35.98 ID:EWY1ypn40
~合宿1ヶ月前・生徒会室~

紬「この事件の犯人は…」

紬「犯人はあなたよ!」ズビシッ

和「…」

和「お願いしたい事があるって言ったと思ったら」

和「急にどうしたのよ、演劇の練習?」

紬「あっ…」

紬「ごめんなさい、ちょっと話の順序が間違ってたわね」ウフフ

和「まあそういうのは律と唯で慣れてるわよ…」

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:55:16.66 ID:EWY1ypn40
紬「テレビとか漫画で良くやってると思うんだけど」

紬「探偵役の人が、最後に犯人をそうやって指摘するのよ」

紬「犯人はあなたよ!…って」

紬「それを一度で良いからやってみたいなって思うの」

和「やれば良いんじゃないの?」

和「来年の学園祭でそんな演劇を提案してみるとか、幾らでも出来そうだけど」

紬「違うの、和ちゃん」

紬「私はね、それに相応しい舞台で本格的にやってみたいの」

和「相応しい舞台ね…例えば?」

紬「例えば…絶海の孤島にある別荘」

紬「例えば…雪山の奥深くにある山荘」

紬「そういう場所で謎の連続殺人事件が起こって、最後に私がそれを解決する…」

紬「考えただけでワクワクしちゃうわ!」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:56:27.10 ID:EWY1ypn40
和「いや、そういう気持ちも分からなくは無いけど…でも、連続殺人事件でしょ?」

和「そんなのが実際にあったとしても、私だったら怖くて何も出来ないわね」

紬「私だって怖くて何も出来ないと思うわ」

紬「でも、お芝居なら平気でしょ?」

紬「軽音部のみんなでそういう事をやってみたいの~」

和「お芝居ね…大体何を言いたいのか分かってきたわ」

和「つまり軽音部のみんなをそういった舞台に集めて」

和「実際に事件が起こった様に思わせたいわけね」

和「で、何?私にそのシナリオを考えて欲しいって事?」

紬「正解!」

紬「もちろん私も考えるわよ?」

紬「でも、私だけだと上手く内容がまとまらなくて…」

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:57:24.71 ID:EWY1ypn40
和「軽音部の誰かに頼めば良いんじゃないの?」

和「1人位ならネタバレしてても楽しめるでしょ」

紬「軽音部の…例えば誰に?」

和「唯は…駄目ね、最初の1行目で投げ出しそうだわ」

和「律は…駄目ね、アクション映画?そんな風になりそう」

和「澪は…駄目ね、途中で怖くなって書けなくなっちゃいそうな感じ」

和「…」

和「1年生の後輩、確か…梓よね?」

和「あの子はどうなの?まだ良く知らないんだけど、結構真面目そうな子じゃない」

紬「梓ちゃんは駄目よ」

和「どうして?」

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:58:50.31 ID:EWY1ypn40
紬「和ちゃんは吊り橋効果って言葉、知ってるかしら?」

和「聞いた事はあるわね」

和「確か、人は極度の緊張状態に置かれてしまうと」

和「その緊張感を恋愛感情と混同してしまって」

和「一緒に居る相手を好きになってしまう」

和「そんな感じだったかしら」

和「何?もしかしてそういう効果を狙いたいの?」

紬「ええ、その通りよ」

和「…」

和「流石にそういうのはまずいでしょ」

和「全く好きじゃない相手を好きになるかもしれないのよ?」

和「それはちょっと、どうかと思うわ」

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 19:59:57.72 ID:EWY1ypn40
紬「私はね、吊り橋効果は半分嘘じゃないかなって思ってるの」

紬「全く好きじゃない人の事は、流石に好きにはならないと思うわ」

紬「でもね、元々好きだった人の事はもっと好きになってしまう」

紬「そういう事はあるんじゃないかなって思う」

紬「梓ちゃんはね、澪ちゃんの事が大好きなの」

紬「でも女の子同士の恋愛って難しいから、なかなかそれを言い出せない」

紬「その後押しを出来ればって、何時も思ってるの」

和「つまり…探偵役をしたい、そういう恋愛を応援したい」

和「その2つが目的な訳ね?」

紬「そうなの!」

紬「だから梓ちゃんには、この計画のシナリオは任せられないわ」

和「じゃあ、そうね…憂なんてどうかしら?」

紬「憂ちゃん?もちろん憂ちゃんにも参加して欲しいんだけど」

紬「でも、私が後押ししたいって思ってるのは梓ちゃんだけじゃないのよ?」

和「ああ、なるほどね…憂にも無理って訳だ」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:01:22.22 ID:EWY1ypn40
和(まあ、あの2人はもう恋人同士みたいなものなんだけど…)

和「分かったわ、憂の事もあるから手伝ってあげる」

和「でもね、私は生徒会の仕事もしたいから」

和「一緒に考えてあげる事が出来るのは少しだけよ?」

紬「それでも良いの!嬉しいわ!」

和「あと、1つだけ条件がある」

紬「何かしら?」

和「危険な事は絶対にしない、それだけは約束して欲しいわね」

紬「ええ、それはもちろんよ」

紬「あくまでもお芝居なんだから」

紬「殺人事件って言っても姿を隠すだけにしましょ」

和「そうね、それなら良いと思うわ」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:03:18.32 ID:EWY1ypn40
紬「じゃあ、最初に姿を消す役はお願いね?」

和「え?私が最初に消える役なの?」

紬「だって、カラクリを知ってる人が残ってても面白く無いでしょ?」

紬「私は探偵役なんだから、最初に消えるのは…」

和「そうね、私しか考えられなかったわね…」ガックリ

紬「出来れば犯人役もお願いしたいんだけど…あら?」

紬「もしかして、吊り橋効果を期待したい相手が…」

和「居ない!居ないわよ!///」

紬「うふふっ、そういうお話も一緒にしたいわね♪」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:04:16.33 ID:EWY1ypn40
~合宿3週間前・生徒会室~

和「それで、場所は決まったの?」

紬「ええ、良い場所が見付かったわ」

紬「私の叔父様が経営してるペンションの1つが○○県○○市の山奥にあるんだけど」

紬「管理してる方が体調を崩してしまって…」

紬「代わりのスタッフの都合も上手くつかずに、一時的に閉鎖する事になったの」

紬「だから、その間は自由に使っても良いって」

和「それはまた、随分と理想的な舞台が整ったものね」

紬「でしょ!」

和「それは良いんだけど…でも、此処からかなり遠いわね」

和「交通費だけでも結構な額になるわよ?」

紬「それは私が…」

和「まあ、全部紬が負担してくれるんでしょうけど」

和「そういうの、結構みんな気にするものよ?」

和「バレバレでも良いから、何か理由を考えておきなさい」

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:05:05.17 ID:EWY1ypn40
紬「ええ、分かったわ」

紬「叔父様の名前も出さないで、遠い親戚の方が経営してる事にして…」

紬「遠慮しないで泊まって貰える方法も何か無いか相談してみる」

紬「でも、和ちゃんは計画を一緒に考えてくれてるから」

紬「そういうのは無しで、憂ちゃんと一緒にご招待するわね」

和「ご招待ね…まあそう言って貰ったからには」

和「色々と協力してあげなくちゃいけなくなったけど」

和「私と憂はどういう風に参加させる予定なの?」

紬「商店街の福引でペア旅行が当たった事にすればどうかしら?」

和「…ちょっと苦しいわね」

和「私は知ってて参加するから良いんだけど」

和「憂はそういうの、見破るかもしれないわよ?」

紬「そこは、和ちゃんの日頃からの信頼度が試される所ね」ウフフ

和「まあ良いけど…でも、私が憂を誘うのはちょっと難しいわね」

和「普通に考えたら、私はやっぱり唯を誘うわよ」

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:06:16.82 ID:EWY1ypn40
紬「あら?唯ちゃんで良いのかしら?」

和「紬!」

和「そういう話は…私、慣れてないんだから…///」

紬「うふふっ、照れてる和ちゃんが見られるなんて…ちょっとした役得ね♪」

紬「でもそうね、確かに不自然かもしれない」

紬「じゃあこうしましょ、それを憂ちゃんにプレゼントして?」

和「え?じゃあ私はどうやって参加したら良いの?」

紬「大丈夫よ、憂ちゃんは絶対に唯ちゃんを誘うから」

紬「でも、唯ちゃんは合宿に参加するから一緒には行けないわ」

和「紬が合宿の話をした日の夜にどうなったかを聞いて…」

和「勿体無いから私と一緒に行きましょう…か」

和「まあ、それなら何とか」

紬「それに、多少は疑ってても唯ちゃんと合流出来ればもう大丈夫よ」

和「そうね、憂は唯と一緒に居られるなら、細かい事は気にしないと思う」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:08:04.83 ID:EWY1ypn40
~翌日・生徒会室~

紬「和ちゃん、出来た!出来たわ!」

和「出来たって…もうシナリオが完成したの?」

紬「そうなの、昨日の夜に頑張って仕上げました~」

和「…まあ、とりあえず読ませて貰うわよ」



和「何これ?」

紬「何って、今回の計画のシナリオよ?」

和「いや、それは分かるんだけど…」

紬「駄目かしら?」

和「駄目って事は無いわ」

和「私達が本当にそういう事件に逢ったみたいに、良く書けてると思う」

和「でも、どうして紬以外の全員がラストで殺されちゃうのよ」

和「探偵役にもなってないし、連続殺人事件にすらなってない」

和「これじゃ単なる大量殺人事件、それも紬が犯人ってどういう事?」

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:10:11.10 ID:EWY1ypn40
和「もしかしてこれ、何かの小説のあらすじを」

和「登場人物だけ変えて、そのまま写したとかじゃないの?」

紬「うふふっ、バレちゃった♪」

紬「凄く似たシチュエーションの作品があったから、ちょっと遊んでみたの」

紬「でも、丸写しじゃないのよ?ちゃんと今回の舞台に合う様に書き換えてあるわ」

和「紬、あなたね…真面目にやらないんだったら私も協力しないわよ?」

紬「ウソウソ、冗談よ」

紬「どういう風に書いて良いのか分からなかったから」

紬「とりあえずお手本になる様な物を作ってみたかっただけ」

紬「和ちゃんが良く書けてるって言ってくれたのなら」

紬「こういう風に作れば良いって事よね、分かったわ」

和「まあ、そういう事なら良いんだけど…」

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:12:57.37 ID:EWY1ypn40
~合宿3日前・生徒会室~

紬「ふぅ…大体こんな感じかしら」

和「書き終わった?」

紬「ええ、ちょっと見て貰える?」

和「良いわよ」



和「紬、あなた私をからかってるの?」

和「この前見せて貰ったのと全く同じ書き出しじゃない」

紬「まあまあ、そんな事を言わずに全部読んでみて?」

紬「途中からちゃんと書き換えてあるから」

和「分かったわよ…じゃあ、細かい部分も確認していくからね?」

紬「ええ、お願いするわ」

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:15:25.70 ID:EWY1ypn40
和「まず最初に、夜になってから外部との連絡手段を遮断」

和「遮断って、具体的には?」

和「電波が届く場所だったら、携帯の1個でも持ってたら無理な話よ?」

紬「それは、私に考えがあるから大丈夫」

紬「普通の電話は何処か1箇所、見ても分からない場所のコードを抜いておきましょ」

紬「町まで歩いて行くのは難しい距離だから」

紬「少なくとも朝までは建物の中に閉じ込められる事になるわね」

和「なるほど、此処まではこの前見せて貰ったシナリオと殆ど同じね」

紬「ええ、そうね」

紬「でもこの先からは、ちゃんと書き換えてあるわよ?」

和「どれどれ…」

和「次は…私が何処かに隠れる」

和「何処を探しても見付からない事で騒ぎになる…」

和「前のシナリオだと最初に姿を消すのは紬だったわね」

和「紬は探偵役なんだから、まあこの修正は当たり前なんだけど…」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:16:58.80 ID:EWY1ypn40
紬「あら?やっぱり最初に姿を消しちゃうのは残念?」

和「そ、そんな事無いわよ…次に行くわね」

紬(もぅ…素直じゃないんだから)

和「紬がみんなを上手く誘導して脱出手段を提案、そのまま一夜を過ごす」

和「澪と梓、唯と憂を一緒にしてあげて…」

和「残った律に紬が真相を打ち明ける」

和(律と一緒になるのは、紬なのね…)

紬「その時に、私がりっちゃんを建物の外に連れ出すわ」

和「連れ出すって…外は物凄く寒いはずよね、その後はどうするの?」

和「それに、私が隠れる為の場所も必要になるわね」

紬「今度の計画に使う建物の奥にはね、小さな山小屋があるの」

紬「建物からは死角になってて距離も結構離れてるから」

紬「知らない人は絶対に気が付かないと思うわ」

紬「暫くの間はそこに、和ちゃんと一緒に隠れて貰おうかなって」

和「それなら良いんだけど…」

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:18:17.14 ID:EWY1ypn40
和「でも問題は、そこで律が素直に頷いてくれるかどうかね」

和「律の事だから…何でこんな事をするんだ!って、そんな感じになりそうよ?」

紬「ええ、なるかもしれない」

和「何かしらの対策が必要になるわね、律を確実に説得する為には」

和「それで?紬の考えた案は?」

紬「案?案なんて無いわよ?」

和「いや、無いって言われても…」

紬「ごめんなさい、実はこの辺でもうアイデアが出なくなっちゃって」

紬「最後までお話を書けなくなっちゃったの」

和「ほんとね、次のページから真っ白じゃない」

和「こんなペースで書き進めて間に合うの?」

和「今日だけだったら私も付き合ってあげるけど」

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:19:46.79 ID:EWY1ypn40
紬「ありがとう…でも良いの、私はもうこれ以上書くつもりは無いから」

紬「やっぱりね、この計画には無理があるかなって思う」

紬「もしこれを実行したとしても」

紬「多分、最初の1人が姿を消して半日位が限界」

紬「特に澪ちゃんは凄く怖がっちゃうと思うから」

紬「どういう風に進めても、可哀想になってしまって最後までは続けられないわ」

紬「だからもう良いの、私が探偵役になる」

紬「そういうお話を考える事だけでも」

紬「それを和ちゃんに聞いて貰える事だけでも凄く楽しかった」

紬「それに場所は折角確保出来たんだから」

紬「普通に合宿をして、和ちゃんと憂ちゃんも呼んで楽しく過ごす」

紬「それだけも…ううん、それで十分かなって思うわ」

和「そう、紬がそういう風に思ってるなら…それで良いかもしれないわね」


紬「合宿をしま~す!」-3
続きます

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