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少女「魔王さんなら、ママを生き返せるのかな…」第二部

少女「魔王さんなら、ママを生き返せるのかな…」
続きです

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:13:18.45 ID:W8TOKAywO [19/25]
魔女「……くぅ……くぅ……」
少女「よく寝てるなぁ魔女さん。
   このところ歩き詰めだったし、疲れてるのかな。
   寝てたら普通の女の人……ん?
   この人、一体何歳なんだろ……」

ガサッ、ガサガサッ

少女「!」バッ
魔女「んん……」ポリポリ

ガサガサッ
キキッ、キー

少女「な、なんだ……リスか。
   ほら、魔女さんのローブなんかにちょっかい出してたら、
   手足千切られて変な箱に入れられるよ。しっしっ」

キキー
タタタタッ…

少女「あーあ、こんなぐちゃぐちゃに……」バサッ


……ポロッ


少女「あれ? これは……」カサ…

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:17:03.00 ID:W8TOKAywO [20/25]
チュン、チュンチュン…


少女「魔女さん、わたしに何か隠し事してるでしょ?」
魔女「はぁ? 何のことだ?」
少女「別にいいんですけどね。
   ただ、腐らせておくには勿体無い魔導装置の設計図を見掛けた気がしただけです」
魔女「……てめぇー……」
少女「悪戯なリスさんが見付けてくれたんですよ。
   わたしは落ちたものを拾っただけですからね。
   条件次第で手伝ってあげますよ」
魔女「こんのクソガキ、なんでそんな偉そうなんだよ」
少女「魔女さんじゃこのレベルの高魔力放出と書式の精密再現が
   安定しないからお蔵入りにしちゃったんでしょうが、
   わたしならギリギリなんとかなるレベルです」
魔女「チッ……誰がてめぇーになんか頼むかよ」
少女「いいんですか?
   会いたいんでしょ、魔王さんに」
魔女「……」
少女「地獄の果てまで会いに行く、って魔女さんらしいじゃないですか」
魔女「馬鹿にしてんの?」
少女「まさか」

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:18:31.60 ID:W8TOKAywO [21/25]
魔女「……条件次第ってのは?」
少女「ギブアンドテイクってやつですね。
   わたしのは魔女さんに取ってはそんなに難しいことじゃないですよ」
魔女「なんだよ、言ってみろ」

少女「わたしは地獄の門を開く魔導装置の起動を手伝う。
   魔女さんは侍女さんを蘇らせるのを手伝う。

   悪い話じゃないでしょ?」

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:20:07.80 ID:W8TOKAywO [22/25]
少女「侍女さんって魔導人形だったんですね。
   って言ってもゴーレムや魔導傀儡じゃなくて、
   人工妖精を魔導装置に宿すタイプのですけど……
   記憶はお城にあったメンテナンス機材から復元できます。
   でも、わたしがこの水準の魔導工学を自由に扱えるようになるには、
   まだまだ果てしない時間が掛かってしまいます」
魔女「はん。それで僕の出番ってわけか」
少女「そう言うことですね」
魔女「なにが『そんなに難しいことじゃない』だ。
   そこらへんの魔導工学と、妖精界でも最高峰の技師レベルだった
   魔王の謹製魔導人形を同列に並べるんじゃねぇーよ」
少女「でも、魔女さんならできるんですよね?」
魔女「……当たり前だ」
少女「じゃあ交渉成立ってことで」
魔女「クソ胸糞悪ぃーが、妥協しといてやるか……
   言っとくけど失敗したら許さねぇーからな」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:43:37.38 ID:W8TOKAywO [23/25]
魔女「何にせよ、一旦僕の工房に戻らないといけないな」
少女「侍女さんの方がなんとかなったら、わたしと侍女さんで冥界に行ってきます」
魔女「冥界? なんでだ?」
少女「地獄って冥界の地下深くにあるんですよね?
   前にお城の書庫で、魔王さんの友達だった冥王さんが編纂した、
   地獄に関する書籍を読んだことがあるんですが……」
魔女「そんなんがあるのか」
少女「冥界でも地獄についてはほとんど把握できてないみたいで、
   最後に地獄に行ったっきり戻って来なかった人がいたのが1000年前、
   最後に地獄から戻って来た人がいたのは8000年前だそうです」
魔女「……やべぇーんじゃねぇーの、それ」
少女「魔王さんも『あんなの死ぬ前に行くとこじゃないね』って言ってました」
魔女「……」
少女「なので、とりあえず魔女さんが行く前に、
   出来る限りの情報を集めておこうかと思いまして」
魔女「なるほどな。
   その間に僕は装置の方を組み上げる、と」
少女「はい。どうですか?」
魔女「まぁいいだろう。それで行くか」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 20:57:27.26 ID:W8TOKAywO [24/25]
魔女「しっかし……これが設計図か。
   設計図自体が一つの魔法陣になってんな。
   複雑過ぎて普通の魔導師にはまず読めん」
少女「それも偶然書庫で見つけたものです」
魔女「よく残ってたな。
   作図されたのが妖精界の二つ前の王権の時だぞこれ」
少女「結構無造作に置いてあったんですけどね……
   それで、その、なんとかなりそうですか?」
魔女「んー……正直これは想定外の難易度だが、とりあえずやってみっか。
   資材自体はここのあり合わせで間に合いそうだしな」
少女「よろしくお願いします」ペコリ

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:19:19.49 ID:znoTLrJOO [1/51]
――――ガシャッ


魔女「ふー。
   素体の方はこれでパーペキだな」
少女「……どう見ても侍女さんですね」
魔女「問題は人工妖精の方なんだけどよー。
   魔導工学に召還魔術と錬金術をブレンドした技術が要るんだわ。
   これに必要な水準の召還魔術は基本的に専門家でないとキツいぞ」
少女「どうするんですか?」
魔女「知り合いに丁度いいのがいるから、軽く殴ってコツを聞くか」
少女「はぁ」
魔女「墓の下に住んでて、いっつも死体いじくり回して、
   毒虫やらよくわからん木の根っこやらで遊んでるやつだ。
   一緒に来るか? 最近はすっかり希少種になった屍霊術師だぜ」
少女「……遠慮しておきます」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:27:22.64 ID:znoTLrJOO [2/51]
魔女「あっそ。
   じゃあ僕はちょっと行ってくるから、留守番頼んだぞ」
少女「お客さん来たらどうしましょうか?」
魔女「客ぅ?
   滅多に来るやつはいねぇーが、まぁもし来たら待たせとけ。
   そのうち帰って来るってな」
少女「はぁ」
魔女「勝手にそこらへんのもんいじったらぶっ殺すからな」


……バタン


少女「……何してよう」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:38:59.35 ID:znoTLrJOO [3/51]
少女「工房の中は掃除もできないし……
   ……召還魔術か。ちょっと試してみようかな」ガタン、



ガリガリガリ、ガリガリ…



少女「えーと、魔法陣はこんなもんかな?
   とりあえず、ちっちゃい火蜥蜴のにしてみよう。
   んー……」ポゥ…


……パキッ
パキンッ…ギギッ……ボッ!


蜥蜴「……」ノソノソ
少女「おー、できたできた。
   案外なんとかなるものなのかな?
   他も試してみようっと」

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:49:36.62 ID:znoTLrJOO [4/51]
……バキンッ
シュウゥ……


少女「うーん、またダメか。
   ある程度複雑な魔導式と魔法陣の組み合わせになると、途端に難しくなる……
   多分何かコツがあるんだろうなぁ。
   魔導式はある程度回路を自動化して……これでどうだ」ガリガリ


ポゥ……


少女「んんん……えいっ」バリッ


バキッ
ビリビリッ……バチンッ!


天馬「ヴルル……」バサッバサッ
少女「やった!
   この方向性で魔導式を書き換えて行けばもうちょっと上階層のもできるかな?」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:53:22.97 ID:znoTLrJOO [5/51]
風呂

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 02:08:58.16 ID:znoTLrJOO [6/51]
……バギ……ギギッ
……シュウゥ


少女「ダメだー。
   魔導式の自動化にも限界があるね。
   根本的な術式の組成を考え直さないといけないのかな……
   でも魔法陣は基本的にいじれないし、魔導式はこれ以上複雑には出来ないし……
   どうすればいいんだろ……」


……バチッ、バチンッ、
バギギッ……バギンッ!!


翼竜「ゴァアァッ!」バサァッ


少女「?!」バッ

術師「複雑な……魔導式と魔法陣……を組み合わせる術式……では……
   ……魔導式と魔法陣……の間に回路を対応……させる変換式……
   ……を置けばいい……回路の自動化……までは正解」

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 02:15:27.65 ID:znoTLrJOO [7/51]
少女「……あなたは?」

術師「ここ……の工房の魔女……の知り合い……屍霊術師……をやっている」

少女「え? 魔女さんの?
   ……ってことは、魔女さんと入れ違い?」

術師「アレと話す……のは疲れる……すぐ叩くし……怒鳴るし……
   次の満月……にアレが来る……のを守護霊が暗示……したから……
   ……入れ違いになる……ようにこっち……に来た。
   要件……は知ってるあなたに……人工妖精の召還……を教える」

少女「あはは……わざわざありがとうございます」ペコリ

術師「あなたは才能……がある資質……がある。
   独学……で幻獣族の召還……は普通無理……あなたに教えたいそれに……
   ……アレになにか教える……のが嫌」

少女「酷い言われようだ……」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 02:25:52.41 ID:znoTLrJOO [8/51]
術師「人工妖精……は厳密……には召還物……じゃあない。
   錬金術の人工精霊……に近いけどより魔導的……な存在。
   魔力から生成……されるもの……その生成術式……にたくさん召還術……
   ……との共通……する手順……がある」
少女「ふむふむ」
術師「人工妖精にも上級種……から下級種……まで色々な種別がある。
   今回必要……なのは最上級の人工妖精……だから難しい」
少女「難しいと言うと、どのくらい……?」
術師「……魔王を倒すぐらい」
少女「それは難しいですね……」

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 02:31:46.34 ID:znoTLrJOO [9/51]
術師「とにかく……下級種の生成……から始める。
   魔導式と魔法陣……はこれ」ペラッ
少女「うわっ、下級種でこの複雑さですか!」
術師「中間変換式……の使い方がわかれば簡単……になる多分。
   ……やってみて……見てる」
少女「が、頑張ります。
   まずは魔導式……」ガリガリ、ガリガリガリガリ……

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 12:07:09.33 ID:znoTLrJOO [11/51]
ポゥ……
……パキッ、パリッ!


妖精「?」キョロキョロ

少女「ふー……できました!」
術師「……」
少女「あれ? ダメ……ですか?」
術師「一回目で成功……するとは思わなかった……
   さすがに魔王……の後継ぎか」
少女「し、知ってるんですか?」
術師「あなたこの界隈……では割と有名人。
   『竜王の眼』と『妖精の衣』……と『魔王の才覚』……を持った幼い……魔女って」
少女「そうなんだ……」
術師「アレ……が『そんなヤツが僕に弟子入りした』……って言いふらしてるから」
少女「あはは。
   ……これは喜んでいいのかな?」

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 12:17:12.40 ID:znoTLrJOO [12/51]
術師「実際あなたの才覚……はすごい。
   それはアレ……も認めてる。
   ねぇ……この際うちの研究室……に来ない?」
少女「えーと……考えておきますね」
術師「是非……じゃあ次、これ……」ペラッ
少女「はい」
術師「ここから一気……に難しくなる……頑張って」

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 12:46:25.02 ID:znoTLrJOO [13/51]
シュウゥ……


少女「手応えはあるんですが、さすがになかなか上手く行きませんね……」
術師「まだ始めてから数時間……充分な成果。
   アレが帰って来る前……には術式は完成する」
少女「だといいんですけどね。
   そろそろ暗くなって来たし、ご飯にしましょうか?」
術師「これ……飲むから平気。
   食事の代わり、これ」スッ
少女「お薬ですか?」
術師「霊薬……タウリン入ってる。元気……になるよ。いる?」
少女「……遠慮しておきます」
術師「元気……になるのに……」グビッグビッ

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 12:53:48.81 ID:znoTLrJOO [14/51]
ガチャッ、


少女「お休みになられるなら、こちらでどうぞ」
術師「これあなた……のベッド?」
少女「ごめんなさい、この工房には魔女さんのとわたしのしか無いんです」
術師「それは全然……問題無い……けどあなたはどこで……寝るの?」
少女「わたしはもうちょっと練習してから、工房で寝ます。
   慣れてるんで平気ですよ」
術師「……そう、ありがとう。
   じゃあ……また明日」
少女「はい。おやすみなさい」


……バタン。


術師「……あんな助手……本当にほしいな」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 13:15:43.17 ID:znoTLrJOO [15/51]
少女「……よし、これだ」ポゥ…


パリッ…パキンッ……ギギッ……
……バチンッ!


妖精「……」シュウゥ…

少女「できた!
   術式を安定させる補助魔導式を足せばいいんだ……」カキカキ
妖精「……あの」
少女「えっ?」ビクッ
妖精「あなたがわたくしの主ですか?」
少女「あっ、うわっ、びっくりした。
   えーと、はい、まぁそう……かな?」
妖精「わたくしは何をすればいいですか?」
少女「あ、えと、……練習で召還したと言うか、えーと……」
妖精「わたくしは何をすればいいですか?」
少女「困っちゃったな……どうしよう」

322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 13:23:43.66 ID:znoTLrJOO [16/51]
術師「拘束魔導式を解除……すればいい。
   術式には最初……からそれが組み込まれてる」

少女「あ、おはようございます。
   拘束魔導式……これかな。えいっ」パキンッ

妖精「!」

少女「はい、これであなたは自由ですよ。
   わたしの命令に従う必要はありません」
妖精「……どこに行っても、いいのですか?」
少女「もちろん。……大丈夫ですよね?」
術師「その魔力水準……なら十分自然界……でも独立できる。大丈夫」
少女「だ、そうです。
   練習に付き合ってくれてありがとうございました」ペコリ
妖精「……」ペコリ


フワッ……


少女「うわー、飛んでいっちゃった」
術師「驚いた……一晩中やって……たの?」
少女「いえ、寝てたんですけど、ちょっと今朝方に試してみたい方法を思いついて」
術師「……お疲れさま」
少女「いえいえ、なんのこれしきです」

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 14:43:15.84 ID:znoTLrJOO [17/51]
少女「ところで、術師さんの研究室までどのくらい掛かるんですか?」
術師「ルートに……よるけど大体片道……5日から10日ぐらい……かな」
少女「結構掛かるんですね、やっぱり」
術師「アレがあんまり早く……戻ってこないように結界……
   ……いっぱい作ったから……往復2ヶ月は掛かる……ふふふ……ふふ」
少女「あはは……」
術師「でも1週間も掛からなさそう……あなた、飲み込みが早すぎる。
   そうなると……暇になっちゃうな……」
少女「んー、多分ですけど、もう言ってる間に魔女さん帰ってくると思いますよ」
術師「……そんな気がする。
   早いうちにお暇……しよう」

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 14:46:37.59 ID:znoTLrJOO [18/51]
勇者御一行→無口な魔女の助手(奴隷)として資材調達やなにやらをしている。
少女の母親→故郷で娘の帰りを待ちながら暮らしている。

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 14:53:52.13 ID:znoTLrJOO [19/51]
ガリガリ、ガリガリガリ……


術師「もう上級種の妖精……も呼び出せるよう……になってるはず。
   中級種と特別種……は上級種と同じ手順……で大丈夫」
少女「はい」


ガリガリガリ、ガリッ


術師「でも、特別最上級種……しかも精密魔導装置の機関……として呼び出す人工妖精は……
   ……普通の術師にはまず扱えない……色々条件……がある」
少女「条件、ですか?」
術師「そう、条件……」

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:07:01.65 ID:znoTLrJOO [20/51]
術師「……まず魔力水準……使う魔力は僅か……
   ……でも膨大な魔力保有量の後ろ盾がない……とこの術式は使えない……
   これはあなた……なら問題無い」
少女「はい」
術師「それから……魔導式の超高速演算……魔法陣の超精密展開……
   ……これを同時にできる……術師としての資質……これもあなた……なら大丈夫」
少女「ありがとうございます」
術師「最後に……呼び出す人工妖精……の強固なイメージ……
   内在的な象徴……を媒体にして……人工妖精を召還……する」
少女「イメージ……」
術師「最上級の人工妖精……は知性も魔力……もずば抜けて高い……
   つまり……個性がある……しかも安定している……
   ……この矛盾すら内包……する魔力運用のイメージ……
   ……できそう?」

少女「……はい。大丈夫です」

337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:13:18.21 ID:znoTLrJOO [21/51]
術師「そう……じゃあやって……みて。
   ここで見てる……これは手伝えない」
少女「わかりました。やってみます。
   えと、魔導式を書き足して……」ガリガリガリ……








ペラッ

【ごゆっくり。】

魔女「あの腐れ死体マニアめぇぇぇええええッ!!」ビリビリビリ

338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:22:57.22 ID:znoTLrJOO [22/51]
少女「召還媒体はこの侍女さんのメンテナンス機材の中枢と……それからこのドレス」
術師「その……ドレス?」

少女「はい。
   魔王さんも多分、このドレスを媒体にしたはずですから」

術師「……そう」
少女「よし、魔導式、魔法陣、補助術式全て準備できました」ポゥ…
術師「集中して……イメージを強く……」
少女「はい……」


…キィィ…ィイイイイインッ
バキッ…ギギッ……バチンッ……


少女「……侍女さん……戻って来てください……!」カッ



バリバリバリッ――――

341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:34:05.36 ID:znoTLrJOO [23/51]
――――バァン!!


魔女「今帰ったぞッ」
少女「あ、お帰りなさい」
魔女「留守中に死体みたいな見た目の死体みたいな喋り方する死体マニアが来なかったか?」
少女「すごく綺麗で優しい人でしたよ」
魔女「あぁそうだよ、ムカつくぐらい顔はいいよあいつは!
   だから黙ってても勝手に馬鹿な貴族が研究費用出すんだろうよ!」
少女「……」
魔女「僕を見てボロい工房を見回してしかも納得した顔すんなクソガキッ!
   で、あいつはどーした? 一発絞めないと気がすまねぇーッ」
少女「ついさっき出発されましたよ。
   『絶対アレに見付からないルートで帰る。ばーかばーか』って言ってました」
魔女「うがぁあああああ腹立つぅううううう」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:44:45.85 ID:znoTLrJOO [24/51]
魔女「それで召還の方はどうなったんだ?」
少女「あぁ、それなんですけど――――」

侍女「夕食の準備が整いました」ペコリ

少女「はい、今行きますね。
   ……と言うわけです」
魔女「お前がやったのか? 術式は?」
少女「一応これなんですが……」ペラッ
魔女「どれどれ……
   ……なんじゃこりゃあ!
   こんなもん人間にできるわけないだろ!」
少女「あの、裏面に術師さんの注意書きがありますよ。
   この術式を使うにあたっての」
魔女「あぁ?」ペラッ


【単細胞には一生無理。ばーかばーか】


魔女「あいつ殺す。絶対殺す。
   百回ぶっ殺す」

少女「とりあえず夕食にしましょうよ。
   侍女さんの料理、すごく美味しいんですよ」
侍女「恐悦至極でございます」

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 15:54:30.34 ID:znoTLrJOO [25/51]
少女「それじゃあ、わたしと侍女さんは冥界に行って来るんで」
魔女「あー、そう言う話だったな」
少女「冥界はお城の地下から行けるから、そんなに時間は掛からないと思います」
侍女「およそ2日の旅路でございますね」
魔女「はん、そうかよ。
   じゃあ精々役に立つ話聞いて来いよな」
少女「はい。装置の組み上げは任せました。
   行って来ますね」
魔女「おう。土産忘れんなよ」


……バタン。

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 16:07:49.46 ID:znoTLrJOO [26/51]
少女「ちょっと久しぶりですね、お城に戻るのも」
侍女「そうですね。
   すっかり埃がたまってしまって……」
少女「誰かが住んでないと、どんどん廃れてしまいますね。
   冥界から帰って来たら大掃除しましょうか」
侍女「名案にございます。必ずやいたしましょう。
   ……ところで、そちらの方は?」
少女「え?」

妖精「……」ジー…

少女「あれっ、私が一番最初に召還した人工妖精だ。
   拘束魔導式は解除してたし、てっきりどこかに飛んでったと思ったのに」

妖精「……」パタパタ

侍女「……付いて行きたい、と言っているようですね」
少女「うーん……別に好きなところに行っていいんだよ?」
妖精「……」フルフル
侍女「あくまで、自由意志だと」
少女「そうなんですか?
   じゃあ……仕方ないですね」
妖精「……」ペコリ
侍女「よろしくお願いします、だそうです」
少女「こちらこそ」ペコリ
妖精「♪」パタパタ
少女「……ちょっとこの妖精さん、最初の頃の侍女さんと似てますね」
侍女「そう……でしょうか?」

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 16:19:24.63 ID:znoTLrJOO [27/51]
番犬「ガウッ!」「ヴヴーッ」「ガオンッ」ガツガツ

冥王「あーっ!
   『まて』って言ってるのにーっ!」

少女「あのー……」

冥王「あ、魔王の後継ぎちゃんと侍女ちゃんだ」

少女「はぁ。少しお伺いしたいことがありまして……」
冥王「いいよ。上がっていきなよ。
   久しぶりのお客さんだ」
少女「お邪魔します」
侍女「失礼致します」

番犬「「「ヴルル……」」」

359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 19:10:40.92 ID:znoTLrJOO [29/51]
冥王「地獄にねぇ……」
少女「はい」
冥王「魔王のことだから、多分地獄ででもそれなりに快適に過ごしてるとは思うけどね。
   会いに行くとなると……」
少女「やっぱり厳しいですか?」
冥王「そもそも地獄って無茶苦茶広いし、どこにいるやら」
侍女「地獄の地図と言うのはございませんか?」
冥王「あるにはあるけど、8000年前の誰かがほとんど空想で書いたやつだよ」
少女「それでもいいんで、見せて貰えますか?」
冥王「えっとね……どこに直してあったかな」

妖精「!」パタパタ

冥王「ん? あぁここか。
   よくわかったね」ガサゴソ
妖精「♪」エッヘン

侍女「どうやらちょっとした魔術を無意識のうちに使ってるようです」
少女「すごいね……」

360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 19:12:32.05 ID:znoTLrJOO [30/51]
冥王「そもそも地獄では空間の連続性がこことは全く違うし、
   自然法則も魔導法則もめちゃくちゃになってるから地図なんてあてにならないんだけど……」バサッ

少女「これが地獄……」
侍女「……」
冥王「真ん中に小さい正方形が書いてあるよね?」
少女「はい」
冥王「この四角が、人間界と冥界と魔界と妖精界を全部足した面積なんだって。
   その地図だと、地獄全体の1024分の1ぐらいってことになってるのかな」
少女「はぁー。すごい広さですね」
侍女「想像がつきません」
冥王「しかも、地獄はどんどん大きくなってるって話らしいよ。
   それだけ地獄に堕ちるやつが多いってことなんだろうけどさ」
少女「8000年前でこれなのに、今はどんなことになってるんだろう……」
冥王「さっぱりだね」
侍女「この赤い部分と青い部分は何なのでしょうか?」
冥王「それはそれぞれ炎獄と氷獄を表してるんだって。
   その間には、地獄の端っこからでも見えるすんごい高い壁がそびえてるそうだよ」
侍女「なるほど……」
少女「……」

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 19:30:34.42 ID:znoTLrJOO [31/51]
侍女「この北の方の黒い山は?」
冥王「『灰の山』としか書いてないね。
   ものすごい悪臭がする風が吹き下ろしてるらしいから、
   多分地獄のゴミ捨て場か何かじゃないかな?」
侍女「ゴミの山ですか……それだけでこの正方形の200倍以上あるのですね」
冥王「何にせよあんまり行ってみたくない所だね。
   大体地獄はその灰の山と炎獄と氷獄の三つのエリアに分かれてるって噂だよ」
少女「魔王さんだったら……この中のどこに行くでしょう?」
冥王「そうだねぇ。寒いのは苦手らしいよ」
侍女「暑いのもお嫌いのようでございました」
少女「だからって臭いところに行くような人でもないし……」

妖精「!」ツンツン

少女「え? そこは壁……あ、そっか。
   灰の山から一番離れた所で、炎獄と氷獄の丁度真ん中の壁の上なら、
   暑くも寒くも臭くもない……のかな?」
冥王「うーん……どうだろうね。
   そもそも、そう言う不届き者が出ないように高い壁になってるんだろうし」
侍女「しかし、魔王様ならあるいは……」
冥王「……うん。なんか十分ありえる気がする」
少女「ですね」

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 19:41:16.85 ID:znoTLrJOO [32/51]
少女「この辺に当たりを付けて探せば見つけやすいかも知れませんね」
冥王「まぁ、この地図の信憑性にも拠るけどねぇ」
侍女「そう言えば……冥界から地獄を調査しに入った方と言うのは、
   どう言うルートで入られたのですか?」
冥王「冥界のずっと西の方に、むちゃくちゃ深い谷があって、
   その谷底が地獄に通じてるって言う伝説があるんだよね。
   確かに底から火柱が上がったり、吹雪が吹き出したり、
   なんかよくわかんない化け物が漏れ出したりはしてるけど、
   実際の所どうなってるのかはわからないままなんだ。
   谷を降りてる途中でそう言うのに出くわしたらアウトだし」
少女「むしろこの地図を書いた人がどうやって行って帰って来たのかが気になりますね……」
冥王「それが冥界七不思議の一つなんだよねー」

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 19:51:33.65 ID:znoTLrJOO [33/51]
少女「……あれ?
   じゃあ、死んで地獄に堕ちる人はどうやって地獄に行くんですか?」
冥王「それも冥界七不思議の一つだよ。
   一応、ここを通ってるのは確かなんだけどね。
   たまに虹みたいに亡者の橋が掛かってるよ。
   でも、それこそ虹の根元を探せないみたいに、
   亡者がどこに行くかもわからないんだ」
少女「そうなんですか……」
冥王「まぁあえて魔導の論理で考えるなら、この世界そのもの、
   森羅万象すべてが巨大な魔導式と魔法陣によって運営されてるもので、
   その設定された書式の中に『死んだらどこに行くか』って言うのも組み込まれてるのかもね」

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 20:02:57.45 ID:znoTLrJOO [34/51]
少女「では、お忙しいところお邪魔してすみませんでした」ペコリ
冥王「いいっていいって。冥王って意外と暇だし」
少女「いえ、そんな……」
冥王「またいつでも来なよ。
   あ、これお土産ね」ヒョイ
少女「これは……?」
冥王「炎獄から拾って来た水晶のかけらだってさ。
   本物かどうかはわからないけど、大概の炎ならそれが吸い込んでくれるから、
   もしかしたら役に立つかもしれないよ。
   はい、侍女ちゃんにもあげる。あなたにもね。あと魔女ちゃんの分も」
妖精「♪」ペコリ
侍女「よろしいのですか? そんな貴重なものを頂いてしまって」
冥王「ここにあってもしょうがないからねぇ。
   まぁ、もし地獄から帰って来れたらまた色々教えてよ」
少女「はい、必ずまた来ます」

冥王「ばいばーい」ヒラヒラ
番犬「「「ガウッ」」」

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 20:13:10.73 ID:znoTLrJOO [35/51]
魔女「ほー。それがこの水晶か」
少女「はい。
   まだ試してませんけど、かなり強力な魔力を秘めてるみたいですね」
魔女「まぁなかなか有意義な話を聞いて来たみたいだし、
   とりあえずはよしとするか」
少女「装置の方は?」
魔女「九割方完成してる。あとは試運転と、細かい調整だな。
   それは明日やるか」
少女「わかりました。
   じゃあ今日はもう休みますね」
魔女「おう」
侍女「おやすみなさいませ」ペコリ
妖精「……」パタパタ


370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 20:38:22.57 ID:znoTLrJOO [36/51]
ドッドッドッドッ……
フシュゥウーッ……

魔女「よっしゃ、準備出来たぞ。
   魔導回路は可能な限り最適化してるが、必要に応じて適当に術式足してくれ」
少女「わかりました。
   では、魔導式詠唱入ります」

侍女「……」
妖精「……」パタパタ

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 20:39:24.65 ID:znoTLrJOO [37/51]
少女「――――我を過ぐれば憂いの都あり、
   我を過ぐれば永遠の苦患あり、
   我を過ぐれば滅亡の民あり」

ゴゴゴゴゴ……

少女「義は尊きわが造り主を動かし、
   聖なる威力、比類なき智慧、第一の愛我を造れり」ポゥ…

ゴゴゴゴゴゴッゴッゴッゴッゴッ

少女「永遠の物のほか物として我よりさきに造られしはなし、
   しかしてわれ永遠に立つ――――」バチッ…バチバチッ…

ゴッゴッゴッガギッゴッゴッガッゴッゴッゴッギギッゴッ


少女「――――汝等ここに入るもの一切の望みを棄てよ」


…ゴギンッ!
ズドォォォオオオォオオンッ!!

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 20:50:02.63 ID:znoTLrJOO [38/51]
ゴォオオオォオォォ……


魔女「……こいつか地獄の門か。
   まさか一発で成功するとはな」
侍女「凄まじい魔力を感じます」
少女「術式には門の形に関する指定はなにも無かったのに、
   ずいぶん仰々しいデザインと言うか……」
魔女「そりゃまぁあんな魔導式読んだらこうなるのが当然だろ。
   それっぽくていーじゃねぇーか」ザッ
少女「えっ、今から行くんですか?」
魔女「当たり前だろ。なんで今行かないんだ?」
少女「……それもそう……なのかなぁ」
侍女「わたくしは地獄の果てまでお供致します」
妖精「!」コクコク

魔女「決まりだな。
   『ハイパーかっこいい魔女と不愉快な仲間達の冒険・地獄篇』だ」

377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:47:43.42 ID:znoTLrJOO [39/51]
カツン、カツン、カツン、カツン、……

魔女「この139段の下り階段の一段一段には、
   生身の生き物を可能な限り極限環境や魔力汚染から防護する術式が埋め込んである。
   飛ばすんじゃねぇーぞ」
少女「はい」
侍女「かしこまりました」

妖精「っ、っ、っ」ピョンッ、ピョンッ、ピョンッ

魔女「とは言っても、冥王の言に従えば、
   そんな小細工がどこまで通用するかもわからねぇーがな」
少女「魔導法則が乱れた世界、ですからね……」
魔女「どうなってんのか皆目見当もつかん。
   まぁなるようになるだろ。
   見ろ、言ってる間に出口が見えて来たぞ」
少女「……」
侍女「……」


コォオォォ……

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:00:51.21 ID:znoTLrJOO [40/51]
少女「ちなみに地獄のどこに出るんですか?」
魔女「一応いきなり溶岩にドボンは避けたいから、
   氷獄エリアに出るようにはしたつもりだけどよ」
侍女「……微かに冷気がしますので、おそらくは氷獄のいずれかの地点かと」
魔女「さすが僕。
   てめぇーらも気を引き締めて――――」


ビュオォォオオォオオッ


少女「うわっ! 寒っ!」
妖精「ーっ!」ブルブル
侍女「わたくしの後ろへ」
魔女「魔導人形は便利だな」

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:22:30.79 ID:znoTLrJOO [41/51]
ビュゴォオオオォオォッ……


魔女「吹雪吹雪、氷の世界だな。ドンピシャだぜ」
少女「寒い……雪で前が見えませんよ」
侍女「わたくしも駆動系が少し鈍っていますね」
魔女「贅沢言うなよ。生身だったら一瞬で氷漬けだ」
少女「さすが地獄……あれ、魔女さんのローブの裾が光ってますよ」
魔女「ん? なんだこりゃ?」
侍女「……魔力が熱と光に変換されて放出されています」
魔女「こりゃあの水晶だな。
   蓄えた魔力を勝手に出すようになってるのか」
少女「わたしのも光ってます。
   ……すごい、ここだけ雪が避けて行きますよ」ポゥ…
魔女「よし、これをランプ代わりにして、とりあえず例の壁を探すか」
少女「よく見たら、ここ森の中なんですね」
侍女「地図には『樹氷の森』とあったと記憶しています。
   あの地図が正しいなら、壁はそう遠くないはずです」
魔女「朗報だな。
   凍りつく前にさっさと行こう。
   風向きがむちゃくちゃで、木の後ろに隠れても意味がねぇー」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:36:13.92 ID:znoTLrJOO [42/51]
……ズゥウン……


侍女「……?」


……ズゥウンゥン……


侍女「お待ちを」
魔女「おい、どうした?」
侍女「何か聞こえます。
   吹雪の音ではありません」
少女「え?」


……ズゥウウゥウンン……


侍女「……何か近付いて来ているようです」
少女「足音……?」
魔女「さっそくヤバそーな気配がプンプンするぜ」

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:40:29.80 ID:znoTLrJOO [43/51]
……ズゥウンゥウウゥウンッ……


魔女「さぁどうする?
   この感じは多分逃げられないやつだぞ」
少女「とりあえず視界を確保したいですね。
   この水晶を上に投げて、魔力を一瞬だけ高出力で放出してみます」
魔女「照明弾ってわけだな。やってみろ」
少女「はい」ポゥ…


…ズゥウゥウウゥウウゥウンッ


少女「えいっ」ブンッ


――――ピカッ!

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:49:39.52 ID:znoTLrJOO [44/51]
魔女「……見たか?」
少女「……はい。
   めちゃくちゃでっかかったです。お城ぐらいありました」
魔女「水晶拾ったら、よーいドンで走るぞ」
少女「逃げられるとか逃げられないとかの問題じゃ無さそうですね」
侍女「走りながら打開策を考えましょう」

ズゥウゥウウゥウウゥウンッ


氷竜「フシュウゥヴ……フシュウヴゥウヴ……」


少女「……拾いま――――」
魔女「よーいドンッ!!」ザッザッザッ
少女「ちょっ」
侍女「急ぎましょう」スッ
少女「あ、ありがとうございます」ザッ、ザッザッザッ
侍女「滅相もございません」ザッザッザッ


氷竜「ヴォオォォオォオオォォッ!!」メキメキメキッ!

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:11:03.59 ID:znoTLrJOO [45/51]
魔女「なんだありゃあ!
   何食ったらあんなんになるんだ?!」
侍女「罪を犯した者でしょう。
   食料には困らなさそうです」
魔女「冷静に答えてんじゃねぇーよアンポンタンッ!
   何か撃ってくるぞアイツッ!」
少女「結界張ります!」バリバリバリッ
魔女「ついでに僕もオマケだッ」ビリビリビリッ


氷竜「ヴヴォアッ!!」ドーンッ


バキィィイイインッ!!


魔女「うっわギリギリだなありゃ!
   結界に沿って氷の壁が出来てるぞ!」
侍女「あれは冷気ではなく、魔力その物ですね。
   魔力が冷気の性質を有しているようでございます」
少女「結界が浸食されてますよ!」


ビシッ……ビキッ……


魔女「まじぃなこれ、畜生!」

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:18:05.71 ID:znoTLrJOO [46/51]
侍女「誰かが囮になってる間に何か術式を組むか、
   結界をどんどん重ねて行くしかなさそうですね」
魔女「いくら結界張ってもあれ以上距離縮められたら終いだぞッ」
侍女「では、わたしめが囮役を勤めさせて頂きます」
少女「そんな……!
   何か方法が他にっ」
魔女「考える暇はねぇーぞッ!
   やっこさんはこっちの話がまとまるのを待つつもりはこれっぽっちもないみたいだ!」
侍女「大丈夫です。
   きっと上手くいきます」
少女「でも侍女さん……!」

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:26:04.80 ID:znoTLrJOO [48/51]
妖精「!」ツンツン

少女「え……?」
侍女「自分に任せてほしい、と言っています」
少女「で、でも……」

妖精「!」ブンブン

侍女「……あいつをやっつけるからみてて、と」
魔女「なんかしらねぇーが、やるなら早くしてくれッ!
   次のが来るぞッ!」

妖精「っ!」ビュンッ!

少女「あっ!」


氷竜「ヴヴゥヴ……ゴァアアウゥヴッ」ゴォオオォ


妖精「ーッ!」ビュッ!

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:40:45.31 ID:znoTLrJOO [49/51]
氷竜「ヴッ……グゥウゥウウヴ……」


魔女「お? なんだ、動きが止まったぞ?」
少女「一体何を……?」
侍女「……」


氷竜「……グヴゥヴウッ! ヴォオォォオォオッ!!」


魔女「あいつ、腹が光ってるぞ!」
侍女「どうやらあの人工妖精が、水晶を氷竜の口に投げ入れたようです」
魔女「水晶の中の魔力が一気に解放されて、氷竜の体内で暴走してるのか!」


氷竜「ヴッ……ヴヴゥヴ……ヴォ――――」


――――ジュッ
……ドッグォォオオオォォオォオオォォオオオンッ!!!

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:43:49.40 ID:znoTLrJOO [50/51]
少女「い、一瞬で蒸発した……」
侍女「数千年か数万年か、溜め込み続けた地獄の業火ですので、
   あれほどの威力になったのかと」
魔女「えらいもんを土産にしてきたなぁオイ」

妖精「♪」パタパタ

侍女「どんなもんだ、と言っています」
魔女「はぁ。なかなか大したもんだよ、お前」
少女「人工妖精ってみんなこんなすごいのかな……」

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:50:14.27 ID:znoTLrJOO [51/51]
魔女「何はともあれ、おかげで随分明るくなったし、吹雪も弱まったな」
少女「何より驚きなのは、普通に水晶が健在だったことですね……」
侍女「少し火力を落とす魔導式を書き込んだので、また帰りにでも回収致しましょう」

魔女「しかし……これが例の壁か」
少女「壁と言うか垂直に立った大地ですね、これ」


ゴゴゴゴ……

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 00:19:08.36 ID:kbBBO15UO [1/15]
魔女「さぁ、どうやって上まで登る?」
侍女「恐らく生身では不可能でしょうし、
   通常の魔導や召還獣でも時間が掛かり過ぎると思われます。
   飛行中はこの付近の魔物の恰好の餌食です」
魔女「だな。
   もうあんなのは御免だ」

少女「……さっきの氷竜を召還してみましょう」

魔女「おおッ? 出来んのか?」
少女「術師さんの理論に従うなら、人工妖精の召還よりは簡単なはずです」
侍女「確かにあの氷竜なら、安全に上まで辿り着けるでしょう」
少女「準備しますんで、ちょっと待ってください」
侍女「わたくしも魔法陣の書き込みを手伝います」
魔女「なるべく早くな。
   一応結界張っとくけど、気休めにしかならんだろうし」パキッ

妖精「ーっ、ーっ」フリフリ

侍女「自分は応援している、だそうです」
少女「ふふ、ありがとう」ガリガリ、ガリガリガリ

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 01:44:33.29 ID:kbBBO15UO [2/15]
氷竜「ヴグルルル……」バサッバサッ


少女「お疲れさま」ナデナデ
魔女「まさか丸1日飛び続けるとはな。
   ケツが痛ぇー」
侍女「この氷竜でなければ、途中で力尽きていたでしょうね」

妖精「!」パタパタ

魔女「で、壁の上に着いたわけだが……霧が掛かっててよく見えないな」
少女「少し歩いてみましょう」
侍女「足元にお気をつけくださいませ」スッ
魔女「……オイ、見ろよこれ」
少女「足跡……ですね。わたし達のじゃない」
侍女「そんなに古くないもののようでございます」
魔女「っつーことはよぉ、人が居るってことか?」
少女「人かどうかはわかりませんが……とりあえず『何か』は居るんでしょう」
侍女「予想通り、ここは気温も極端ではありませんし、魔獣の気配もしません。
   何者かが定住していても不思議ではないですね」
魔女「とりあえず足跡に沿って行ってみっか」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 01:52:57.20 ID:kbBBO15UO [3/15]
少女「風もないし、わたし達の他の音も何も聞こえませんね……」
魔女「こんな所に住むやつはよっぽどの物好きに違ぇねぇーよ」
侍女「これだけ徹底して何もありませんと、
   これはこれでやはり地獄なのかも知れません」
少女「そうですね……」
魔女「全くだ。
   ……それより、さっきりより霧が晴れて来てないか?」
侍女「確かに視界がよくなって来ていると思われます」
少女「足跡はこのまま真っ直ぐ続いてますね」
魔女「そろそろ、なんかありそうだぜ。
   気を抜くなよ」

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 02:01:33.93 ID:kbBBO15UO [4/15]
少女「……あれは……?」
侍女「建造物……のようですね」
魔女「異常にでかいようだが……城か?」侍女「……何者かの気配がします。
   強力な魔力もあの建造物から感じます」
少女「足跡はやっぱりあのお城に向かってますね」
魔女「こんな何も無いところにあんなもんおっ建てたんだ。
   相当むちゃくちゃな魔導師か何かだろう」

少女「……もしかして、と言うか、
   多分いま全員同じ人を思い浮かべてると思うんですけど……」

魔女「……多分な」
侍女「恐らくは」

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 02:16:13.95 ID:kbBBO15UO [5/15]
魔女「……全員あの城に近付けてる気がしねぇーな」
侍女「認識系に作用する結界の一種が張られている可能性がございます」
少女「どうしましょう?
   魔導式を逆算して部分的に破りましょうか?」
魔女「そんなまどろっこしいのはいらん。
   そいつに一発派手に撃たせりゃいいんだ」

氷竜「ヴルル」バサッ

少女「そんな乱暴な……」
魔女「魔王だったらそのくらいあっさり何とかするだろ。
   そら撃てッ! 凪ぎ払えッ!」

氷竜「ヴォアアッ!!」ドンッ


……バキィィイイインッ!!


魔女「そーれみろ、やっぱり結界だ。
   これで呼び鈴にはなっただろ」
少女「もし魔王さんじゃなかったらどうするんですか?」
魔女「その時はその時だ。
   ピンポンダッシュってことにすれば問題ねぇーよ」
少女「問題無くはないでしょ、それ……」
侍女「! 今結界が解除されたようです」
魔女「おー、やっとお出ましか?」

421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 02:35:57.46 ID:kbBBO15UO [6/15]
少女「……誰か歩いて来ますよ」
侍女「結界や幻覚の類ではなさそうですね」
魔女「もう一発ぐらい撃っとくかぁ」

氷竜「ヴルルァ」

少女「ダメですってば!」
魔女「オイ忘れたのか? 僕は魔王をぶっ殺しに地獄まではるばる来たんだぜ?
   地獄で死んだらどうなるのかってのを今ここで実験して、
   冥界七不思議を六不思議にしてやんよ」



  「相変わらず物騒なやつだ。
   そんなだから単細胞言われるんだぞ」



少女「――――!」
侍女「この声は……」
魔女「よし決めたッ撃てッ! 今すぐ撃てッ!」

氷竜「ヴォヴルァアァアアァッ!!」ドーンッ

妖精「っ! っ!」パタパタ

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 02:50:07.11 ID:kbBBO15UO [7/15]
――――この小競り合いの衝撃波で、
冥界では神殿が傾くわ地獄の釜の蓋は開くわの大騒ぎになった。

その時の魔女は、まるで女の子が父親に走り寄って飛びつくような、
とびっきりの笑顔で魔王を殺しに掛かってていたと言う。



これは、相変わらず壊滅的にぶっ飛んだ魔女と、
少し成長した魔法使いの少女の冒険の物語。

425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 02:51:18.54 ID:kbBBO15UO [8/15]
終わり。
まさかの二部完。

443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/24(水) 03:21:28.82 ID:kbBBO15UO [9/15]
何でこんな無駄にアレな世界観になったのか自分でもわからん。
設定をまき散らしまくるのは楽しいけどね。


寝る、おやすみ。

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