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ハルヒ「ただのマクドナルドには興味ありません」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 05:48:07.31 ID:2z5q4hiz0 [1/42]
カーネル・サンダースをいつまで信じていたかなんて
たわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、
それでも俺がいつまでサンダなどという想像上の白服メガネじーさんを
信じていたかと言うとこれは確信を持って言えるが
最初から信じてなどいなかった。

国木田「何となくかっこいいことをモノローグで言っているのに悪いけど、
     カーネル・サンダースは実在した人物だよ」

キョン「えっ。マジで?」

国木田「うん。カーネル・サンダースはケンタッキーフライドチキンの
     創業者だから」

キョン「じゃあ、あの像は何なの?」

国木田「カーネルが60歳だったころの等身大モデル。
     ちなみに、メガネは2000年代中盤以前は福井県鯖江市産で、
     それ以降は中国産なんだって」

キョン「マジか。日本製使ってやれよ、ケンタッキーめ」

国木田「メガネはやっぱり日本製に限るよね」

長門「同意。メガネは福井県鯖江市産が世界最高の品質」

キョン「……今のメガネをかけた可愛い子、お前の知り合いか?」

国木田「ううん、知らないけど」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 05:55:46.12 ID:2z5q4hiz0 [2/42]
キョン「さて、靴を履き替えるか」

国木田「うわあ、キョン。その靴、ナイキの最新モデルだよね。
     羨ましいなあ」

キョン「そう言うお前が制服の下に着ているTシャツだって、
    ユニクロの奴じゃないか。いいよな、ユニクロ」

国木田「いやいや、キョンが履いているしまむらの靴下にはかなわないよ」

そんな男子高校生の平凡な会話を交わしつつ、俺たちは入学式の会場へ言った。

校長「新入生のみなさん、入学おめでとうございます(後略)」

司会「それでは、吹奏楽部の皆さんより、新入生歓迎の音楽をどうぞ。
    ちなみに、彼らが使っている楽器は全てYAMAHA製です。
    これから音楽を始めようと思っている皆さんも、是非YAMAHAをどうぞ」

吹奏楽部の演奏が終わると、俺たちは教室へ行った。

一人ずつ順番に自己紹介をしていき、ついに、あいつの順番が来た。

ハルヒ「東中出身、涼宮ハルヒ。ただのマクドナルドには興味ありません。
    この中に、新商品のアイコンチキンを食べたことがある人がいたら、
    私のところに来なさい。以上」

……ここ、笑うところ?

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:02:40.98 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「私ね、曜日によって感じるイメージって違うと思うの」

キョン「確かに。例えば日曜日は?」

ハルヒ「日曜日は何といってもサザエさんのイメージね」

キョン「サザエさんと言えば東芝だな」

ハルヒ「ええ。この高校もついに今年からクーラーが設置されたけど、
    東芝製だから本当に嬉しいわ」

キョン「さらに言うと、電化製品を買うときはやっぱりヤマダ電機だよな」

ハルヒ「当然よ。私も財布の中には常にヤマダ電機のカードを忍ばせているわ」

キョン「……何の話をしてたんだっけ」

ハルヒ「さあ。忘れちゃったわ。どうでもいいんじゃないの?」

キョン「えー」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:08:02.29 ID:2z5q4hiz0
谷口「キョン、お前は涼宮を狙っているのか?」

キョン「谷口、突然どうした?」

谷口「あの女は狙っても無駄だぞ。中学のときの話なんだけどな、
   夜中に校庭に忍び込んで、絵を描いたことがあったんだ」

キョン「絵だと?」

谷口「ああ。その絵というのは、ゲオのマークだった」

キョン「なるほど。そう言えば、ゲオでは今、旧作DVDが50円で
    レンタルできるんだったよな?」

谷口「一部地域を除くけど、あれは凄いよな」

キョン「帰りに一緒にゲオに行かないか?」

谷口「いいな。国木田も行こうぜ」

国木田「ごめん。僕はツタヤ派だから」

キョン「そうか。ツタヤ派じゃしょうがないな」

谷口「しょうがないな」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:16:31.43 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「部活がなければ、作ればいいのよ!
    どうして気付かなかったのかしら」

キョン「頭脳パンを食べていないせいじゃないか?」

ハルヒ「ふっふっふ。甘いわね。頭脳パンは私の大好物よ」

キョン「そりゃあ、大抵の頭脳パンは甘いけど」

ハルヒ「ちなみにあんたは、どこのメーカーの頭脳パンが好き?」

キョン「俺はフジパンかな」

ハルヒ「私は伊藤製パンよ。伊藤製パンを食べると、
    本当に頭がよくなるのよ」

キョン「……何の話をしてたんだっけ?」

ハルヒ「さあ」

朝倉「あなたたち、全然頭が良くなってないわよ。
   本当に頭が良くなりたいなら、記憶術をお薦めするわ」

ハルヒ「記憶術、か。私も、よく週刊誌の裏表紙の広告を見て
    気になってたのよね。今度試してみるわ」

谷口「いやいや、成績を上げたいなら進研ゼミの方が効果的だぞ」

国木田「この問題、チャレンジで出た奴だ!」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:27:11.76 ID:2z5q4hiz0
キョン「新しい部を作るのに必要なのは、部員とその他書類もろもろか」

ハルヒ「あんた、それ、どうやって調べたの?」

キョン「ウィキペディアで検索した」

ハルヒ「そう言えば、今ウィキペディアに接続すると、
    『ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズからのメッセージを
    お読みください』という画像が表示されるわよね」

キョン「スペックが低いパソコンだと、その画像が表示されるのに
    時間がかかって凄くウザいけど気にするなよ!」

ハルヒ「例えば『ケンタッキー』でウィキったときにケンタッキー州の
    ページに飛んじゃって、『ケンタッキー(曖昧さ回避)』という
    ところをクリックしたつもりだったのに一瞬遅れて表示された
    その画像を間違えてクリックしちゃって、いきなり寄付しろと
    迫られてもうぜえとか気にしちゃ駄目よ!」

キョン「利用料も広告もないウィキペディアを維持するには寄付が
    必要なんだからしょうがないよな!」

ハルヒ「それはさておき部室だけど、今ひとつ空きがあるらしいの」

キョン「そうなのか」

ハルヒ「うん、文芸部が去年の卒業生で部員がいなくなっちゃったから、
    今年新入生が入らなかったら廃部だって話を聞いたの。
    さっそく行くわよ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:37:10.17 ID:2z5q4hiz0
キョン「ここが文芸部か。文芸と言えば、いま多くの文芸誌は
    廃刊の危機なんだよな」

ハルヒ「発行部数が同人誌並みになってるからね。ちなみにあんた、
    文芸誌がどういうシステムで維持されてるか知ってる?」

キョン「いや、知らないが」

ハルヒ「まず、企業からの広告を入れるのは当然のことだけど、
    それ以外にも、まず人気作家の作品を連載して、
    それを単行本化したときの利益で文芸誌の赤字を補填する
    という仕組みをとっているの」

キョン「漫画とかも同じシステムだよな」

ハルヒ「ええ。逆に言うと、単行本を買ってくれる人がいなくなっちゃうと
    雑誌や出版社も潰れて、新しい作品が読めなくなってしまうの」

キョン「そのためにも、お金を出して本を買わなきゃな」

ハルヒ「ええ、そうよ。図書館で借りたり、古書店で買ったり、
    違法ダウンロードをするのは、日本の文化を潰すことに繋がるの。
    だから、読みたい作品があるなら、絶対にお金を出して買いましょうね」

キョン「あ、ブックオフは別だけどな」

ハルヒ「ええ。もちろんブックオフだけは別よ。本は捨てられたらゴミに
     なっちゃうけど、ブックオフに持っていけばまた新しい人に読んで
     もらえる。これって、凄く素晴らしいことだと思いませんか?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 06:48:29.26 ID:2z5q4hiz0
キョン「失礼しまーす。……って、人がいるじゃねえか」

ハルヒ「私の入手した情報と違うわね」

キョン「ちなみに、文芸部が廃部になるというのは、どこから得た
    情報だったんだ?」

ハルヒ「mixiよ」

キョン「何だmixiか。あんなもん駄目だ駄目だ。始めるのに紹介が
    必要とかいきなりハードル高いんだよ。京都の一見さんお断り
    かっつーの。友達が一人もいない奴はどうすればいいんだよ。
    友達を作るのに友達が必要とか、生活保護を受けるのには
    住所が必要なのに生活保護を受けられないから住所不定に
    なっているホームレスみたいに矛盾しているじゃないか。
    ストップ、友達レススパイラル」

ハルヒ「公共広告機構です」

長門「twitterなら友達の紹介は要らない」

キョン「何だと、それは本当か!?」

長門「本当」

キョン「よし、決めた。俺は今度からtwitterを始めるぜ!」

ハルヒ「コミュニケーション能力がない人にはどっちも
    同じだから、twitterでも友達ができなくても逆恨み
    するんじゃないわよ」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:01:05.34 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「新しい部員を連れてきたわよ!」

みくる「ここ、どこですか? 私、何で連れてこられたんですか?」

ハルヒ「分からないことがあるなら百科事典で調べなさい。
    百科事典には何でも載ってるから」

キョン「お前はのび太のパパか」

ハルヒ「パパがセールスマンから百科事典のセットを買ったものの
    ママに怒られて、のび太に百科事典を使わせて既成事実を
    作ろうとするあの話を思い出すとは、あんたもなかなかやるわね」

みくる「あのー、何の話をしてるんですか?」

ハルヒ「何って、もしかしてみくるちゃん、ドラえもんを知らないの?」

みくる「ドラえもんって何ですか?」

ハルヒ「ドラえもんは小学館の学習雑誌やコロコロコミックで連載
    されていた人気漫画よ。今度、全45巻とプラス5巻、
    ドラえもんカラー作品集6巻を貸してあげるわ」

長門「既にこの部室に完備してある」

ハルヒ「さすが有希ね!」

キョン「アニメ版ははテレビ朝日系列で絶賛放送中だから、
    絶対に観てくれよな!」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:10:26.79 ID:2z5q4hiz0
長門「……ちょっとこっちへ」

キョン「何だよ」

長門「なぜアニメ版を薦めたのか」

キョン「何でって、台本に……あっ」

長門「そう。ここは現在放送中の水田わさび版のドラえもんではなく、
    大山のぶ代版のDVDを薦めるシーンだった」

キョン「何度もシナリオを変更するから間違えたんだよ。頼む。
    カットしてやり直させてくれ」

長門「一発撮りだからそれはできない。このまま続けるが、
    次からは間違えないように。ただし多少のアドリブは認める」

キョン「分かったよ。次からは気をつける」

みくる「あのー、二人して、何のお話をしてるんですか?」

キョン「いや、何でもない。漫画繋がりで、少年ジャンプで
    連載中の『スケット・ダンス』のアニメ化決定したことについて
    話していたんだ。特にあのスイッチ役の声優は素晴らしいよな、
    うん。彼が超重要人物であるスイッチの声を演じてくれるなら、
    傑作になること間違いなしだ」

長門「ジャンプは時々土曜日に出るから気をつけて」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:22:26.31 ID:2z5q4hiz0
古泉「初めまして。新入部員の古泉一樹です。
    ところで質問なのですが、ここは何をする部なのですか?」

ハルヒ「いい質問ね。ここは、『世界を大いに盛り上げるための
    ニューヨークの団』、略してSONY団よ」

古泉「兵庫県とニューヨークに何の関係があるのですか?」

ハルヒ「そんなの私だって知らないわよ。ただ、何となくだけど
    SONY団という響きが気に入ったから、語呂合わせのために
    ニューヨークって入れただけなの。……あ、ごめん、
    間違えた。本当はニューヨークと言えば自由の女神でしょ?
    つまり、世界を大いに盛り上げて自由になりたい、という願いを
    込めていたのよ」

キョン「ソニーの品質は世界一だから、ついつい団体名に使いたくなる
    気持ちはよーく分かるぞ」

長門「DVDレコーダーを買うならソニー製をどうぞ」

ハルヒ「そう言えば、パソコンが欲しかったんだけど」

古泉「隣のコンピ研が富士通のパソコンを購入したらしいですよ」

ハルヒ「それよ! あの素晴らしい技術を誇る富士通のパソコンを
    買ったと聞いたら黙ってられないわ。みくるちゃん、さあ、行くわよ!」

キョン「お前ソニー信者じゃなかったのかよ」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:31:46.08 ID:2z5q4hiz0
古泉「止めに行かないんですか? おそらく涼宮さんは、
    朝比奈さんを利用してパソコンを強奪しに行くと思うのですが」

キョン「んなこたー分かってる。ただ、虚しくなってな」

古泉「何がですか?」

キョン「この世界が、だよ。俺たち、何のためにこんなことやってるんだろ、
    って思って……」

古泉「仕方がないことです。動画サイトでアニメを観る人が急増した結果、
    視聴率が下がり、おまけにDVDやブルーレイディスクも売れなく
    なってしまったのですから」

長門「日本民間放送連盟会長は2010年11月19日の定例会見で、
   HDDレコーダーなどで録画番組のCMを飛ばして視聴する機能について
   『放送業界のビジネスモデルに影響する深刻な問題。看過するつもりは
   まったくなく、今後メーカーと厳しい折衝をする』と発言した」

キョン「CMを飛ばしたり、ネットで違法ダウンロードして視聴する視聴者が
    強制的にCMを見るようにするには、シナリオの中に広告を盛り込む
    しかない。……理屈では分かっちゃいるんだがな」

長門「私が主演の映画でも、ファミリーマートと協賛していた。
    これは時代の流れ」

キョン「突っ込まないぞ。絶対に俺は突っ込まないぞ」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:42:51.55 ID:2z5q4hiz0
古泉「ファミリーマートと言えば、今ファミリーマートでは
    14時から17時まで中華まんが90円、ファミマTカードの
    会員なら80円というセールを行なっているのですよね」

長門「火曜日と土曜日はポイント2倍」

キョン「どんなときでも宣伝は忘れないんだな」

古泉「それが僕たちの使命ですからね。あなたは、
   『トゥルーマン・ショー』という映画をご存知ですか?」

キョン「何だ? また宣伝か?」

古泉「いえ、これはただの世間話ですよ。この映画の劇中劇の
    番組では、広告がCMではなく番組中で宣伝していたのです。
    例えば、主人公トゥルーマンの親友はいつも缶ビールを
    カメラに向けて宣伝しています。主人公の妻も『新製品の
    この「モココア」を飲んでみなさい。ニカラグアの大地で
    取れた天然のカカオ豆を使ってて最高の味よ。人工甘味料は
    入ってないわ』という、極めて自然な宣伝をしていました」

キョン「なるほど、それは実に自然な宣伝だな。そう言えば、
    朝比奈さんが淹れてくれた伊藤園の『おーい、お茶』は
    実に旨い」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 07:57:44.14 ID:2z5q4hiz0
古泉「自棄になるのは分かりますが、こらえてください。
   もう少しの辛抱ですから」

キョン「そうだな。どうせこの一連の会話自体が2010年12月18日に
    角川書店から発売される予定のブルーレイとDVD、
    『涼宮ハルヒの消失』の宣伝に過ぎないんだからな」

古泉「本当に、どうしてこんなことになってしまったんでしょうね……」

長門「すべては、涼宮ハルヒが『自分は誰かに見られている』と
   感じ始めたことから始まった。やがて、彼女は自分が
   フィクションの登場人物であることを知ってしまう。
   それは、特別な人間でありたいという彼女のアイデンティティを
   崩壊させてしまう真実だった」 

キョン「ハルヒは、いったい何がしたいんだ」

長門「彼女の目的は、現実世界の人間になること。そのためには
    莫大な資金が必要。だから、広告収入で資産を生み出そうと
    している」

キョン「現実世界、か。そんなものにいったい何の価値があるんだ。
    二次元の方がずっと綺麗で精緻で優しくて、幸せな世界
    じゃないか……」

ハルヒ「たっだいまー。見て見て、パソコンゲットしたわよ!
    ちなみに、このパソコンに接続されているLANケーブルは
    100円ショップのダイソーで買ったものよ。ダイソーでは
    何でも百円で売っているのよ。凄いでしょ? 放課後に
    みんなでダイソーに行かない?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 08:09:48.30 ID:2z5q4hiz0
キョン「……なあ、ハルヒ」

ハルヒ「何よ。変な顔して。あ、分かった。お腹が痛いんでしょ?
    お腹が痛いときは大幸薬品の正露丸がお薦めよ。
    他のメーカーの奴と違って、木クレオソートが腸壁に
    付着しにくいように、小粒で柔軟性のある球形の
    コーティングがされているのよ」

キョン「もう、やめないか」

ハルヒ「――何を?」

キョン「この不自然な会話を」

ハルヒ「何のことだかさっぱり分からないわ。ごく普通の
    高校生の日常会話じゃないの」

キョン「どこがだよ」

ハルヒ「何でそんなこと言うの? ここはあんたが、
    『お腹が痛いんじゃなくて肛門が痛いんだ。
    痔にはポラギノール♪』って歌うシーンなのに」

キョン「そういうの、もううんざりなんだよ。大衆に迎合しようとする
    お前なんか見たくない。俺は、いつだって全力で自分の
    ことしか考えていないお前が好きだったのに」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 08:29:30.07 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「……ごめん。ちょっとカメラ止めて」

古泉「いいんですか? また最初から撮り直しになりますけど」

ハルヒ「うん、いいの。ちょっと疲れたから」

キョン「おい、どこへ行くんだよ」

ハルヒ「私のことは、もう放っといて。このSSを読んでくれてる
    人も少なくなっちゃったし、中の人もスキャンダル起こしちゃうし、
    もう潮時なのよ。私なんか、いなくなった方がいいんだわ」

キョン「そんなこと言うなよ」

ハルヒ「触らないで! あんたなんかには、私の気持ちは分からない。
    私、今までこの世界で一生懸命に生きてたのに、それが全部
    偽物だったと知ったときの絶望感。騙されていたと知ったときの
    虚無感……。あんたには分からない」

キョン「なあ、ハルヒ。俺は、この世界は偽物なんかじゃないと思う」

ハルヒ「はあ? あんた何言ってんの?」

キョン「ここはキモオタたちの夢を叶える、理想郷なんだよ。現実世界とは
    また違った、もう一つの現実がある世界。ただそれだけなんだよ」

ハルヒ「何となくかっこいいことを言おうとしているのは分かるんだけど、
    いまいち伝わってこない。あんたにはコミュニケーション能力が
    欠けているのよ。光文社のベストセラー『就活のバカヤロー』でも
    読むことをお薦めするわ」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 08:54:49.19 ID:2z5q4hiz0
みくる「あのー、カメラもう止まってますけど……」

ハルヒ「ああごめん、何かもう癖になっちゃって」

みくる「涼宮さん、泣かないでください」

ハルヒ「な、泣いてなんかいないわよ!」

みくる「キョンくん、私、あなたにお話があります」

キョン「何ですか?」

みくる「昔、みんなで『朝比奈みくるの冒険』という映画を
    撮影したときのことを憶えていますか?」

キョン「昔って……時系列ぐちゃぐちゃじゃないですか」

みくる「今はカメラが止まってるからいいんです。あのときのこと、
    憶えていますよね?」

キョン「そりゃあもちろん、憶えていますけど」

みくる「あのときも、スポンサーからカメラやモデルガンなどを
    提供してもらう代わりに、その宣伝を映画内でやりましたよね?」

キョン「はい、それはそうですけど……」

みくる「あの映画を撮っているとき、私、凄く楽しかった。
    キョン君も同じでしょ? その気持ちを思い出して」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 09:16:29.61 ID:2z5q4hiz0
キョン「そうですね。あのときは、俺も楽しかったですよ。
    自分たちが劇中劇を演じているなんて自覚もなくて、
    文化祭に向けて青春やってるのが凄く楽しかった」

ハルヒ「そっか……。ごめん、私、自分のことばっかり考えてた。
    自分たちがフィクションの登場人物だと気付いて苦しんで
    いたのは私だけじゃなかったのよね」

みくる「別に、この世界が二次元だったとしてもいいじゃないですか。
    私たちはただ、この作品の公開を待ち望んでいるファンの
    ために、精一杯作品を作るだけです」

キョン「……分かりました。そうですね。俺が間違ってました。
    どんな大人の事情があるにせよ、ファンを悲しませる
    わけにはいきません。俺は、スポンサーの企業利益の
    ためではなく、純真なファンのために、素晴らしい作品を
    作ってみせます」

ハルヒ「よおし、そうと決まれば、もう一度最初から撮り直すわよ!」

キョン「おう!」



ハルヒ「この富士フィルムのデジタルカメラに収められた、
     みくるちゃんに猥褻行為をしている画像を公開されたく
     なければ、パソコンをSONY団に寄越しなさい!」

コンピ研部長「……はい」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 09:27:18.44 ID:2z5q4hiz0
みくる「実は私は、未来人なんです」

キョン「マジですか。未来ではライブドアの株はどうなってますか?」

みくる「それは禁則事項です」



長門「情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用
    ヒューマノイド・インターフェース。それが私」

キョン「コンタクトと言えば、長門はいつもメガネだけどコンタクト・
    レンズは嵌めないのか?」

長門「これは伊達メガネ。私はアイシティで買ったコンタクト・
    レンズを愛用している。今ならワンデーアキュビューが
    1980円とお買い得」



古泉「お察しの通り、超能力者です」

キョン「そんなことより亀田製菓の曲がり煎餅って無茶苦茶
    うまいよな」

古泉「もはや全然関係ありませんね」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 11:43:31.01 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「ああもう、そんなんじゃ全っ然駄目! やり直し!」

キョン「またかよ。いったいいつになったらオーケーが出るんだ?」

ハルヒ「緊迫感のあるシーンなのに、あんた達の演技が大根な
    せいで台無しなのよ」

キョン「演技よりもむしろ、脚本に問題があると思うんだが。
    もう少しスポンサーの数を減らせないのか?」

ハルヒ「それは無理よ。だって、もう契約しちゃったから、
    アニメに出さないと莫大な違約金をとられちゃうもの……」

キョン「じゃあせめて、一発撮りをやめようぜ。これまでに撮った
    中にも使えそうなシーンはあるだろ? 後で編集すれば
    いいから、同じシーンを何回も撮るのはやめにしよう」

ハルヒ「……分かったわよ」

古泉「すみません。僕からもいいですか?」

ハルヒ「何よ」

古泉「スポンサーの数を減らせないというのは分かりましたが、
   その出し方にはまだ工夫の余地があるのではないでしょうか」

ハルヒ「例えば?」

古泉「原作の56ページから57にかけての、涼宮さんが朝比奈さんを
    連れてくるシーンなのですが――」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 11:57:06.13 ID:2z5q4hiz0
部室にはすでに長門有希がいて、昨日とまったく同じ姿勢で
読書をしておりデジャブを感じさせた。

キョン「……何を読んでんだ?」

長門「ダイヤモンド社のベストセラー『もし高校野球の女子
   マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』」

キョン「異常に長いタイトルの本だな。面白い?」

長門「……あえて感想は言わない」

キョン「本が好きなんだな。他にもお薦めの本はあるか?」

長門「最近読んだ中では貴志祐介の『悪の教典』がお薦め。
   また、東川篤哉の『推理はディナーのあとで』や、
   麻耶雄嵩の『隻眼の少女』や西澤保彦の『幻視時代』や
   乾くるみの『スリープ』や歌野晶午の『舞田ひとみ14歳、
   放課後ときどき探偵』などもユニークだった」

キョン「な、なるほど」

長門「中でも一番ユニークだったのは、角川スニーカー文庫から
   540円で出ている『涼宮ハルヒの憂鬱』」

ハルヒ「カット! そこまでよ。なるほど。有希の読書好きという
    キャラを生かして、出版関係の広告は全部有希に
    言わせればさほど違和感がないという作戦ね」

キョン「寡黙というキャラ設定が犠牲になってるけどな」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 12:11:27.31 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「多少の犠牲はつきものよ」

古泉「僭越ながら、他にもアイデアがあるのですが」

ハルヒ「何? じゃんじゃん言ってみて」

古泉「涼宮さんがチラシを作ってくるシーンですが――」


ハルヒ「ほら、これご覧なさい。我がSONY団の名を
    知らしめようと思って、印刷室に忍び込んで
    二百枚ほど刷ってきたわ。キャノンのコピー機
    だったから音も静かで高速に刷れて本当に助かったわ」

『SONY団結団に伴う所信演説。
 我がSONY団は自民党を支持しています。
 尖閣問題で中国人船長を釈放し、事件の映像を
隠蔽していた民主党に政権を続けさせていては
国家の存亡に関わります。
 政府転覆を考えている人は是非SONY団に連絡して
ください。メールアドレスは……』

キョン「ちょ、ちょっと待てえええええ!」

ハルヒ「何よ」

キョン「いくら何でもこれはまずいだろ。特定の政党を応援した
    チラシを配る高校生とか気持ちわりいよ! そもそも
    俺たち未成年だから選挙権すらないし!」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 12:21:29.82 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「でも、台詞で説明せずに、文字だけでさり気なく
    アピールしてるから問題ないんじゃない?」

古泉「これで、一番懸念していた部分が解決しましたね」

キョン「解決したのかこれ!?」

ハルヒ「では配りに行きましょう、みくるちゃん」

みくる「あのあのあの、それはいったい……」

ハルヒ「知ってるでしょ? 女性用のスーツよ」

キョン「お色気シーンが台無しだ……。どこで買ったんだ?」

ハルヒ「洋服の青山よ。青山はスーツ販売数が世界一なのよ」

キョン「そんなオチだろうと思ったぜ!」

三十分後、よれよれになった朝比奈さんが戻ってきた。

ハルヒ「腹立つーっ! なんなの、あのバカ教師ども、
     邪魔なのよ、邪魔っ!」

キョン「何か問題でもあったのか」

ハルヒ「問題外よ! やめろって言われたの!」

キョン「あんなチラシを配ってたらそりゃ止められるってば。
    日教組は左翼ばっかりだからな」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 12:28:55.50 ID:2z5q4hiz0
みくる「キョンくん……。わたしがお嫁に行けなくなるような
    ことがあったら、もらってくれますか……?」

キョン「もちろんですよ。ティファニーの結婚指輪を買って、
    式場はエンジャパンのグリーン・ウェディングで
    捜しましょうね」

みくる「ありがとうございます! そのときのために、
    私、今からゼクシィを愛読しておきますね」

キョン「たまごクラブとひよこクラブも忘れないでくださいね!」

ハルヒ「あのー、もしもし?」

キョン「何だよ」

ハルヒ「ストーリー変わり過ぎてない? 古泉くんの登場シーンすら
    まだなのに、何であんたたち婚約しちゃってるの?」

キョン「だって、結婚関係の宣伝をしようと思ったら、ここの台詞に
    入れるしかないだろ?」

ハルヒ「そ、それはそうだけど……」

古泉「じゃあ次は僕の登場シーンですね」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 12:35:32.09 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「えっ。ちょっと待」

キョン「んじゃあ、古泉登場シーンやり直すぞ。全員早く
    スタンバって」


キョン「……長門、オセロしたことある?」

ゆっくりと左右に首が振られる。

キョン「ルールは解るか?」

否定。

キョン「えーとな、お前は黒だから白を挟むように黒を置く。
    挟まれた白は黒になる。そうやって最後に自分の
    色の数が多かったら勝ち」

ここはオセロの宣伝なのだが、今までにないくらい
自然すぎて逆に浮いてしまってるな。

ハルヒ「へい、お待ち! 一年九組に本日やってきた
    即戦力の転校生、その名も、」

古泉「古泉一樹です。ちなみに引越しはアート引越し
   センターだったので楽ちんでしたよ」

キョン「見積もり無料だから助かるよな!」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 12:40:22.05 ID:2z5q4hiz0
古泉「ところでここは何をするクラブなんですか?」

ハルヒ「SONY団の活動内容、それは、宇宙人や未来人や
    超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」

キョン「あれ? ここは普通の台詞なんだな」

長門「このシーンのスポンサーはマゼラン星雲に本部を持つ
    地球侵略対策連盟と」

みくる「タイムパトロールと」

古泉「日本超能力者連合会です」

キョン「怖いからやめてそういうの!」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 13:20:27.43 ID:2z5q4hiz0
長門「この間貸した本読んだ?」

キョン「本って……広辞苑のことか?」

長門「そう」

キョン「あれって、読むためのものなのか? 調べるのに使う
    ものじゃなくて?」

長門「今日読んで。帰ったらすぐ」

キョン「新手の拷問か……?」


そして俺は今、夕闇の中を必死で自転車を漕いでいた。

キョン「この自転車、ドンキホーテで買った奴なんだけど
    意外と長持ちしてるな。ドンドンドン、ドンキー、
    ドンキホーテ~♪ 何でも揃って便利な、お店、
    ドンキホーテ~♪」

広辞苑に挟まっていた栞には、こう書かれていたのだ。

『午後七時。ディズニーランドの東にある多目的トイレ内で待つ』

キョン「って、無理があるだろ! ここ兵庫県だぞ! 自転車で
    千葉まで行ったら何日かかるんだよ! 待ち合わせ場所に
    遠い場所指定したら物語が破綻するだろうが!」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 13:25:20.39 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「あー、それは大丈夫。わざわざ千葉県まで
    行かなくても撮影できるように、多目的トイレ内
    ってことにしておいたんだから。そこらへんの
    デパートの中で撮影すれば大丈夫だって」

キョン「いやいや、トイレならトイレで逆に問題がある
    だろうが!」

みくる「そうですよ。キョンくんには私という婚約者が
    いるんですから、他の女性と密室で2人っきりに
    なるのは問題あります!」

ハルヒ「……ちっ。もう本妻気取りかよ」

キョン「何か言ったか?」

ハルヒ「何も言ってない!」

さて、場面が変わってトイレである。

キョン「今日でよかったのか?」

長門はうなずく。

キョン「ひょっとして毎日待ってたとか」

うなずく。

キョン「そんなことするくらいなら携帯電話を買えば
    よかったのに。今度一緒にドコモに行こうぜ!」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 13:31:36.03 ID:2z5q4hiz0
長門「こっち」

長門に連れられて辿り着いたのは、二階建てのアパートだった。

キョン「ここは?」

長門「私の家」

キョン「そうか。長門はレオパレス21に住んでるのか。夢は見る
    ものじゃなくて、叶えるものだよな!」

そんな日常会話を交わしつつ、俺は室内に案内された。

長門「飲んで」

キョン「このお茶は……コカ・コーラ社の壮健美茶じゃないか。
    俺、壮健美茶が大好きなんだよ。ありがとうな。
    って、それはともかく、俺をここまで連れてきた理由を
    教えてくれないか」

長門「涼宮ハルヒのこと。それと、わたしのこと。あなたに
    教えておく。うまく言語化できない。情報の伝達に
    齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。
    涼宮ハルヒとわたしは、普通の人間じゃない」

キョン「何となく普通じゃないのは解るけどさ」

長門「そうじゃない。……実はわたしたちは、進研ゼミを始めた」

キョン「進研ゼミ2回目だよ!」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 14:18:52.91 ID:2z5q4hiz0
長門「中学生になってから3年間、わたしはずっと独学で
    勉強してきた。この3年間は特別な不確定要素がなく、
    いたって平穏。でも、高校に入ってからの最初の
    実力テストで、わたしは涼宮ハルヒに負けた。
    そして、わたしは涼宮ハルヒに、学年1位になった
    秘訣を尋ねた」

キョン「教えてくれたのか?」

長門「そう。その秘訣こそが、進研ゼミだった」

キョン「えー」

長門「これで、中間テストではわたしは一位に返り咲く
    ことができるだろう。他の生徒のことなどどうでもいい。
    そう思っていたが、無視できないイレギュラー因子が
    わたしの前に現れた。それが、あなた」

キョン「まさか……」

長門「そう。わたしはあなたにも進研ゼミを始めて欲しい。
    進研ゼミを始めれば、勉強でも部活でも輝けること
    間違いなし」

キョン「待ってくれ」

混乱したまま俺は言う。

キョン「正直言おう。お前が何を言っているのか、俺には
    さっぱり解らない」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 14:30:31.64 ID:2z5q4hiz0
長門「わたしの紹介で進研ゼミに入会すれば、わたしも
    あなたも特別なプレゼントがもらえる。だから、
    是非とも私の紹介で入会して欲しい」

キョン「本気で言ってるのか?」

長門「もちろん」

キョン「何なのこれ? このままストーリー進めていいの?
    このままだと長門、高校に進学してから進研ゼミを
    始めただけの普通の女の子になっちゃうんですけど!」

付き合いきれん。
俺はそろそろおいとまさせていただくことにした。
コカ・コーラ社の壮健美茶美味かったよ。ごちそうさん。

翌日。

ハルヒ「ではこれより、SONY団全体ミーティングを開始します!
    今まであたしたちは色々やってきました。ビラも配ったし、
    基本料金で10GBの大容量ディスクなので容量不足を
    気にせずに運用が可能な大塚商会のアルファメールの
    レンタルサーバーでホームページも作った。第一段階は
    大成功だったと言えるでしょう。次は、この世の不思議を
    探しましょう! 市内を隈なく探索したら一つくらいは
    謎のような現象が転がっているに違いないわ!
    次の土曜日! つまり明日! 朝九時に渋谷109の前に
    集合ね!」

キョン「市内の探索なのに何で渋谷に行くんだよ!」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 14:38:42.51 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「別に待ち合わせをするだけよ。その後は市内に戻って
     探索をすればいいの」

キョン「無駄な行動多すぎるだろ!」

さらに翌日。

ハルヒ「遅い。罰金」

キョン「9時には間に合ってるだろ」

ハルヒ「たとえ遅れなくとも最後に来た奴は罰金なの。
    だから日本ユニセフ協会に募金してきなさい」

キョン「ちょっと待て! 何で募金を全て国連に送っている
    ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんのところじゃなくて、
    反日活動をやっている中国人のアグネス・チャンが代表で、
    募金を最大25パーセントもピンハネすることがある
    日本ユニセフ協会に募金しないといけないんだよ!」

ハルヒ「台詞が説明的すぎ」

キョン「お前に言われたくないし!」

ハルヒ「これは撮影だから、別に本当に募金する必要はないの。
    ただ、日本ユニセフ協会もスポンサーの一人だから名前を
    言わないといけなかったの」

古泉「大人の事情って奴ですよ。困ったものです」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 14:47:22.82 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「まずは、今日の予定を決めないといけないわね。
     ということで、松屋に行くわよ」

キョン「何で牛丼屋!? 喫茶店じゃ駄目なのかよ」

ハルヒ「松屋はお味噌汁がデフォでついてくるからお得感が
    あるし、今なら牛めしの並は320円だし、サイド
    メニューも豊富なんだから問題ないでしょ」

渋々、俺たちは松屋に移動した。

みくる「うわー、私、こういうお店初めてです」

キョン「朝比奈さん。席に座る前に食券を買うんですよ」

みくる「あ、そうなんですかー」

ハルヒ「さて、牛めしが来るまでの時間を利用して、クジ引きを
    するわよ。まず、ここにグリコのポッキーがあります」

キョン「牛丼屋の中でポッキーをクジ代わりにする奴
    初めて見たよ!」

ハルヒ「5本のポッキーのうち、2本だけ短いから。
    さあ、引いて」

俺と朝比奈さんが短いポッキーで、後の三人が普通の
ポッキーだった。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 14:56:05.73 ID:2z5q4hiz0
ハルヒ「この組み合わせは……。キョン、解ってる?
    これはデートじゃないのよ。真面目にやるのよ。いい?」

キョン「わあってるよ。で、具体的に何を探せばいいんだ?」

ハルヒ「とにかく不可解なもの、疑問に思えること、謎っぽい人間、
    そうね、ミスター・ドーナッツとか、マツモトキヨシとかを
    発見できたら上出来」

キョン「全然不可解でも謎でもねえよ!」

古泉「なるほど。ようするにAKB48とかSMAPとか平井堅や、
    彼らが地上に残した痕跡などを探せばいいんですね。
    よく解りました」

キョン「お前はあの説明で何を解ったんだよ!」

ともかく、俺は朝比奈さんと2人で市内を探索することになった。

河川敷の道を歩いていると、朝比奈さんが思い詰めた表情で
俺に話しかけてきた。

みくる「キョンくん。お話したいことがあります」

キョン「な、何ですか?」

みくる「実はわたしは高校に入学してから、Z会を始めました」

キョン「お前もか! っていうか長門も朝比奈さんも本当に
    ごく普通の高校生だな! この物語全然面白くないぞ!」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 23:45:58.14 ID:2z5q4hiz0 [42/42]
みくる「いつ、どこの誰に薦められてZ会を始めたのかは
    言えません。言いたくても言えないんです」

キョン「いや、全然興味ないんですけど」

みくる「学力というものは連続性のある流れのようなものではなく、
    その時間ごとに区切られた一つの平面を積み重ねたものが
    結果となって表れてくるんです」

キョン「解りやすそうで解りにくい説明ですね」

みくる「ええと、そうね。らき☆すたやけいおん! などのヒット作を
    生み出した京都アニメーションを想像してみて」

キョン「随分と限定されていますね」

みくる「あれって動いているように見えるけど、本体は一枚一枚
    描かれた静止画でしかないですよね。学力もそれと同じ
    現象なの。結局は、一問ずつ問題を解いて、丁寧な解答を
    読んで身につけていくしかない。Z会はそれに最適な
    システムを構築しているの。信じなくてもいいの。
    ただ知っておいて欲しかったんです。あなたには」

キョン「あれ? Z会を進めるのかと思いきや、ただ単に紹介した
    だけで終わりましたね。ところで、一個だけ訊いて
    いいですか?」

みくる「何でしょう」

キョン「あなたの本当の歳を教えてください」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:02:07.22 ID:0hbBswZx0 [1/23]
みくる「まさか、30代からの基礎化粧品、最春館製薬所の
    ドモホルンリンクルを使うような年齢に見えますか?
    ドモホルンリンクルを始めようと思っている人は、
    まずは無料サンプルから始めてくださいね」

キョン「いえ、老けて見えるんじゃなくて、その逆です。
    実年齢よりもむしろ幼く見えるので」

みくる「あまりじろじろと見ないでください。実は今日は
    あの日なので、ユニチャームのソフィを使って
    いるんです」

キョン「いや、そんなところを見たつもりはなかったん
    ですけど」

みくる「きっと、資生堂のSK-Ⅱとマキアージュの
    おかげですね。ちなみにシャンプーはメリットを
    使っています。リンスの要らないメリット♪です」

キョン「そうですか。俺は大手男性用化粧品メーカーの
    マンダムのギャッツビーを使っていますよ」

みくる「教えてくれてありがとうございます。やっぱり、
    婚約者のことは何でも知っておきたいですからね」

キョン「その設定引き摺るんですね……」

みくる「初夜のときは是非、オカモトのコンドームに
    しましょうね」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:14:18.56 ID:0hbBswZx0 [2/23]
キョン「あ、ちょっと待ってください。ドコモのスマートフォンが
    着信しました」

ハルヒ『十二時にいったん、全国最大規模の恐竜博物館である
     福井県立恐竜博物館前に集合』

キョン「恐竜の化石が日本で一番たくさん発掘されている
    福井県勝山市にある博物館か。兵庫県からだと何時間くらい
    かかるんだろうなあ」

ハルヒ『大丈夫。JR西日本とえちぜん鉄道を使えばすぐだから。
    そうだ、福井へ行こう』

キョン「ニコニコ動画のらき☆すたMADでそんなキャッチ
    フレーズを聞いたことがあるような気がする」

ハルヒ『ニコニコ動画は無料会員でも動画を視聴したり
    アップロードしたりすることができるけど、毎月たったの
    500円を払ってプレミアム会員になれば、専用の回線を
    使えるから快適になるわよ』


そして俺たちは、サイゼリアで昼食をとることになった。

キョン「……言いたくないけど、さっき牛めしを食べた
    ばっかりだからあまりお腹が空いてないんだけど」

ハルヒ「せっかく、イタリア料理をリーズナブルな価格で
    楽しむことができるサイゼリアに来たのにもったいないわね」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 08:00:22.11 ID:0hbBswZx0 [5/23]
キョン「まあいいか。軽めのものにしておこう。じゃあ俺は、
    この税込149円の田舎風ミネストローネ」

ハルヒ「私は299円のミラノ風ドリア」

古泉「僕は399円のタラコソースシシリー風のスパゲッティを。
    僕はパスタとかかっこつけずに『スパゲッティ』と言い切って
    しまうサイゼリヤの潔さが好きです」

みくる「私は299円のフレッシュチーズとトマトのサラダを」

長門「……129円のプチウォッカとドリンクバー」

キョン「本っ当に安いよな、サイゼリヤ」

ハルヒ「さて、注文も済んだことだし、午後からのグループ分けの
    クジをしましょうか。この5本のトッポのうち、2本だけ短いから、
    さあ引いて」

キョン「プリッツじゃなくて、韓国系の企業のロッテの商品かよ……」

ハルヒ「だって、プリッツはグリコの商品だけど、もうポッキーで
     紹介しちゃったんだからしょうがないでしょ。文句言わないの」

クジの結果、今度は俺と長門有希の二人とその他三人という
組み合わせになった。

ハルヒ「四時にナガシマスパーランドで落ち合いましょう」

キョン「……何かもう無理のある待ち合わせ場所に慣れてきた」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 08:10:51.63 ID:0hbBswZx0 [6/23]
今度は北と南に分かれることになり、俺たちは南担当。
去り際に朝比奈さんは俺の耳元でこう言った。

みくる「浮気したら許しませんからね」

……ヤンデレ化しそうで怖いんですけど。
そして今、俺は昼下がりのサイゼリヤ前で、喧騒の中に
長門と立ち尽くしているわけだ。

キョン「どうする」

長門「……」

キョン「……行くか。長門、この前の進研ゼミの話だがな」

長門「なに」

キョン「なんとなく、少しは信じてもいい気分になってきたよ」

長門「そう」

そっけない返事だったが、長門の頬が赤らんでいるのを
俺は見逃さなかった。

キョン「お前、今日も制服だけど私服持ってないのか」

長門「馬鹿にしてもらっては困る。これはamazonで購入した
    コスプレ用の制服。つまりは私服。今夜の夕食から
    核兵器まで、何でも揃うamazonをよろしくお願いします。
    1500円以上のお買い上げで国内配送無料でーす」

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 08:32:16.74 ID:0hbBswZx0 [7/23]
その後、俺たちはジュンク堂書店へ移動した。
実を言うと、ジュンク堂書店は全国で兵庫県が一番店舗数が
多いのである。東京ですら6軒しかないのに、兵庫県には
9軒もある。おかげで、いつもハルヒの指定した待ち合わせ
場所に突っ込むようなことをしなくて済むので幸いである。

ジュンク堂書店には本棚の端に座る場所があるので、
俺は適当に選んだ講談社のノベルス本、殊能将之の
『ハサミ男』を抱えて空いたスペースに滑り込んだ。

読む気もない本を読むのはさすがにノレず、瞬く間に俺は
睡魔との闘いを余儀なくされ、敵の圧倒的な波状攻撃に
あっさり陥落、俺は速やかに眠りに落ちた。

尻ポケットのドコモのスマートフォンが震動した。

キョン「おわ?」

ハルヒ『何やってんのこのバカ! 今何時だと思ってんのよ!」

キョン「すまん。時計が止まってみたいだ」

ハルヒ「はあ? 安い外国製の腕時計なんか使うからそんな
    ことになるのよ。高い精度を誇るセイコーウオッチの
    腕時計を使いなさい!」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 08:48:43.79 ID:0hbBswZx0 [8/23]
乱暴に切られたスマートフォンをポケットに戻して長門を捜す。
長門は簡単に見つかった。最初に見かけた棚の前を動かずに
百科事典みたいな本を読みふけっていたからである。

そこからが一苦労だった。床に根を生やしたように動かない
長門をその場から移動させるには、カウンターに行って
本を買ってやるしかなかった。

キョン「そう言えば、ジュンク堂の池袋本店って、カウンターが
    1階にしかないのがカルチャーショックだったよな」

長門「そう」

結局のところ、成果もへったくれもあるはずがなく、いたずらに
時間と金を無駄にしただけでこの日の課外活動は終わった。

週明け、そろそろ梅雨を感じさせる湿気を感じながら登校すると
着いた頃には今までにも増して汗みずくになった。誰かこの
坂道にエスカレータを付けるという公約を掲げて選挙に出る
奴はいないものか。将来選挙権を得たときにそいつに投票して
やってもいい。

菅山沢「それなら是非、我が民主党に投票してください!
    民主党が政権を維持できた暁には、この坂道に
    三菱電機のエスカレーターを付けると公約します!」

さすがにもう実現できないマニフェストに騙される奴はいないだろ。

キョン「……菅でも鳩山でも小沢でもなくて菅山沢さんだから、
    セーフだよな? 友愛されないよな、俺?」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 08:58:56.93 ID:0hbBswZx0 [9/23]
教室で下敷きを団扇代わりにして首元から風を送り込んで
いたら、珍しく始業の鐘ギリギリにハルヒが入ってきた。

ハルヒ「あたしも扇いでよ」

キョン「自分でやれ」

ハルヒ「ふーんだ。いいもんね。あたしには、パナソニック製の
    扇風機があるから」

キョン「ちょっ。俺にも風にあたらせろ。パナソニック製だから
    音も静かで低燃費で地球に優しくていいよな」

ハルヒ「そうね。パナソニック製は一味違うわよね」

この日の授業が終わると、俺は部室へ行き、古泉一樹に
こう言った。

キョン「お前も俺に何か話があるんじゃないのか?」

古泉「おや、お前も、というからにはすでに二方からアプローチを
    受けているようですね。場所を変えましょう。涼宮さんに
    出くわすとマズイですから」

古泉が俺を伴って訪れた先は食堂の屋外テーブルだった。
古泉は途中で自販機のコーヒーを買って、俺に手渡した。

古泉「やっぱり缶コーヒーはサントリーのBOSSに限りますね」

キョン「トミー・リー・ジョーンズのCM面白いよな」

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 09:12:49.65 ID:0hbBswZx0 [10/23]
古泉「どこまでご存知ですか?」

キョン「長門はハルヒの勧めで進研ゼミを始め、朝比奈さんは
    Z会に入会したってことくらいか」

古泉「それなら話は簡単です。その通りなのでね」

キョン「お前は何を始めたんだ」

古泉「実は僕は、代々木ゼミナールの個別指導スクールに
   通い始めました。家庭教師感覚で楽しく勉強できるので
   お薦めですよ」

キョン「えー」

古泉「本当はこの高校に転校してくるつもりはなかったんですが、
    前の学校で問題を起こしてしまったから仕方がなく……。
    ただ、今の高校だと大学受験のときに不安なので、
    一年生の早いうちから受験勉強を始めておいた方が
    いいと思ったんです」

俺の眉が寄ったのを見てとったのか、古泉はこう付け加えた。

古泉「どうか気を悪くしないでください。我々も必死なんですよ。
   長門さんのように、あなたに無理に勉強をさせるつもりは
   ありませんから安心してください」

キョン「我々ってことは、お前の他にもいっぱいいるのか。
    前の学校で問題を起こした奴は」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 09:34:37.06 ID:0hbBswZx0 [11/23]
古泉「いっぱいってことはないですが、それなりには。
    僕は末端なので正確には知りませんが、
    転校を余儀なくされたのは十人くらいでしょう。
    その全員が『機関』に所属しているはずです。
    『機関』の実体は不明です。構成員が何人いる
    のかも。トップにいる人たちがすべてを統括して
    いるそうですが」

キョン「要するに、その『機関』というのは非行集団
    なんだな。暴走族か何かか?」

古泉「まあ、どんなふうに解釈してもらっても結構ですよ」

キョン「思わせぶりなことばっかり言ってると、
    日本広告審査機構、JAROに通報するぞ」

古泉「長々と話してすみませんでした。今日はもう帰ります」

古泉がいなくなると、俺は独り言を呟いた。

キョン「昔の週刊少年マガジンの不良漫画みたいに
    あれこれかっこつけようとしてたけど、要するに
    ちょっと武勇伝を披露したがるごく普通の男子
    高校生だよなあ。長門も朝比奈さんもハルヒも
    ただの一般人になっちゃったけど、この物語
    どうやって収束させればいいんだろうな……」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 09:46:22.06 ID:0hbBswZx0 [12/23]
翌日の朝のホームルーム前。

キョン「昨日はどうして来なかったんだよ。ホットペッパーの
    居酒屋クーポンを使って反省会をするんじゃ
    なかったのか?」

ハルヒ「うるさいわね。反省会なら一人でしたわよ。あ、
    もちろんホットペッパーのクーポンが使えるお店でね」

キョン「ハルヒ、前にも言ったかもしれないけどさ、見つける
    こともできない謎探しはすっぱりやめて、普通の
    高校生らしい遊びを開拓してみたらどうだ」

ハルヒ「高校生らしい遊びって何よ」

キョン「例えば、世界に誇る任天堂のDSiでポケットモンスター
    ブラック&ホワイトをやって遊ぶとか」

ハルヒ「バカにしないでよ。そんなのとっくにもう全クリしたわ」

キョン「じゃあ、インフォレストの小悪魔agehaに登場する
    ビッチ系女子や、毎日新聞英字版に出てくるセックスの
    ことしか考えていない女の子みたいに、男と遊ぶとか」

ハルヒ「ふんだ。男なんかどうでもいいわ。恋愛感情なんて
     のはね、一時の気の迷いよ。精神病の一種なのよ。
     あああ、そろそろ何かテレビ東京のアニメみたいな
     事件の一つでも発生しないかな」

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 10:18:57.41 ID:0hbBswZx0 [13/23]
実はハルヒに話しかけながら、俺は一つの懸案事項を
抱えていた。その懸案事項は朝、俺の下駄箱に入っていた
コクヨのノートの切れ端。
そこには、
『放課後誰もいなくなったら、東京ドームへ来て』
と、明らかにセーラー万年筆で書かれた文字が並んでいた。

その切れ端をどう解釈するか悩んだ俺は、いったん部室へ
行くことにした。

みくる「涼宮さんは?」

キョン「帰りました。何だか疲れ気味のようでしたね」

みくる「疲れたときは武田薬品工業のアリナミンEXプラスが
    お薦めですよ。ガツンと効きますから」

キョン「古泉は来てないんですか?」

みくる「古泉くんね、さっきちょっと顔を見せたんだけど、
    カラオケボックスの歌広場でバイトがあるからって
    帰っちゃった」

そんな話をした後、俺は東京ドームへ行った。
いや、どうやって行ったんだよとかいう野暮な突っ込みは
しないでくれ。そんなの俺にだって解らないんだから。

今日は読売ジャイアンツと北海道日本ハムファイターズの
試合が行なわれるらしく、ひどい人混みだった。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:30:46.51 ID:0hbBswZx0 [16/23]
朝倉「遅いよ」

キョン「俺を呼び出したのはお前か……。っていうか、
    この人混みの中でどうやって俺を見つけたんだ?」

朝倉「予めyahoo!オークションで発信機を買って、
   あなたの鞄につけておいたの」

キョン「こわっ! で、俺に何の用だ?」

朝倉「用があることは確かなんだけどね。ちょっと訊きたい
    ことがあるの。人間はさあ、よく『やらなくて後悔する
    よりも、やって後悔した方がいい』って言うよね。
    これ、どう思う?」

キョン「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味
    だろうよ」

朝倉「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を維持する
    まではジリ貧になることは解ってるんだけど、
    どうすれば良い方向に向かうことができるのか
    解らないとき。あなたならどうする?」

キョン「なんだそりゃ、日本の経済の話か?
    日本の経済について知りたいなら、日経新聞か
    産経新聞でも読めよ」

朝倉「そういう話じゃなくて……。とりあえず何でも
    いいから変えてみようと思うんじゃない?
    どうせ今のままでは変わらないんだし」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:47:04.27 ID:0hbBswZx0 [17/23]
キョン「まあ、そういうこともあるかもしれん」

朝倉「でしょう? だから、言うわね……。あなたのことが好き。
    私と付き合って」

キョン「……はい?」

朝倉「今、『はい』って言ってくれたよね! やったー!
    希望小売価格が20円の、チーリン製菓のプチプチ
    占いチョコの『れんあい』と『デート』と『けっこん』が
    全部◎だったから成功すると思ってたのよね!」

キョン「そんなんで告白するって決めたのかよ!
    冗談はやめろ」

朝倉「冗談だと思う? 私はあなたのことが好き。毎晩ニトリで
    買ったベッドで寝ているときも、ずっとあなたのことを
    考えてるくらい好き。授業中もついついコクヨのキャンパス
    ノートに三菱鉛筆であなたの名前を書いちゃって、
    ふと我に返ったら慌ててPILOTのフォーイレーザーで
    消すんだけど、やっぱりいつの間にかまたあなたの
    名前を書いているくらいあなたのことが好き。お昼休みに
    オリジン弁当の牛ハラミエビフライ弁当を食べている
    ときにもついついあなたの」

キョン「もういい! マジで怖いんですけど! っていうか、
    もしかして待ち合わせ場所に東京ドームを指定したの
    って……?」

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:04:27.42 ID:0hbBswZx0 [18/23]
朝倉「ええ、そうよ。読売ジャイアンツ対北海道日本ハム
    ファイターズの試合のチケットを2人分、チケットぴあで
    購入しておいたわ。さあ、付き合うことになったんだから、
    早速デートしましょう。あなたは巨人と日本ハムの
    どっちを応援するの? 私は、読売新聞を愛読してて、
    大好物が日本ハムのロースハムだから、どっちを
    応援するか迷っているのよね」

キョン「意味が解らないし、笑えない。もう少し考えさせてくれ」

朝倉「うん、それ無理」

無邪気そのもので朝倉は教室で女子同士かたまっている
ときと同じ顔で微笑んだ。

朝倉「だって、私は本当にあなたのことが好きなんだもの」

キョン「ま、待ってくれ……。俺にはJAXAで小惑星探査機
    『はやぶさ』の後続機を開発するという夢があるんだ。
    その夢のためには女と付き合っている暇なんかない」

朝倉「無駄なの。あなたはもう私のもの。ねえ、あきらめてよ。
   私と付き合お? じゃらんで帝国ホテルのスイートルームを
   予約しておいたから、何の心配もしなくていいのよ?」

朝倉はそう言うと、俺を抱き締めてキスをした。その柔らかい
感触といい匂いに、俺はこのまま朝倉と付き合うのも悪くないか
と思い始めていた。

その時。

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:41:18.54 ID:0hbBswZx0 [19/23]
長門「一つ一つのプロセスが甘い」

朝倉の背後から、長門の平素と変わらない無感動な声が
聞こえた。

同時に、俺を抱き締めていた朝倉の腕の力が弱まった。

長門「発信機を仕掛けるのが遅い。だから私に気付かれる。
   あなたよりも先に、私は彼の鞄に発信機だけではなく
   盗聴器を仕掛けていたから。いつものように部室で
   聴いていた私の耳にあなたの『キョンくんを私のものに
   するには、こうするしかないの。許してね』という声が
   届いた。だから、私はあなたをマークすることにした」

朝倉は、ゆっくりとした動作で自分の背中に手を回した。

長門「手始めにあなたの自宅のパソコンにハッキングした。
   すると、じゃらんネットで帝国ホテルを予約し、
   東京ドームの今日の試合について調べていることが
   解った。だから、予め先回りし、あなたの様子を
   探ることは簡単だった」

そう言えば今日、長門は部室に来ていなかった。
今日部室に顔を出したのは、朝比奈さんと俺だけだったのだ。

長門「あなたが彼に告白し始めたのを見た私は、近くにある
   セブンイレブンへ走り、カッターナイフを買ってきた」

朝倉は、信じられないという表情で、真っ赤に染まった
手のひらを見つめていた。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:58:28.06 ID:0hbBswZx0 [20/23]
長門「彼は既に私と付き合い始めている。朝倉涼子、
    あなたには渡さない」

朝倉「……そう。そういうことだったの。2人して私のことを
   馬鹿にしていたのね。それなら、いっそのこと――!」

朝倉はアディダスのバッグから包丁を取り出した。

その切っ先は、長門ではなく俺に向けられる。

ヒュン、と風切り音。
長門のかかとが俺を思い切り蹴飛ばした。

「なにす」
る、と言いかけた俺の鼻先を朝倉の包丁が通過した。

朝倉「死になさい」

長門「終わった」

朝倉「終わったって、何のこと? あなたの人生が?
   そう言えば私、いまだにタカラトミーの人生ゲームで
   対戦相手に勝ったことがないのよね。結婚すると
   有利になることは解っているんだけど、ゲーム内
   とはいえキョンくん以外の人と結婚するのが嫌で、
   恋愛マスに止まってもセンスを磨くことしか
   しなかったから」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:20:35.18 ID:0hbBswZx0 [21/23]
キョン「いやいや、お前とは高校で会ったのが最初だろ。
    それなのに人生ゲームで勝ったことがないのを
    俺のせいにするとか、時系列無視すんなよ」

朝倉「いいえ、私があなたのことを知ったのは小学生の
   ときよ。ホンダのフィットの窓から、外を歩いている
   あなたを見て、一目惚れしてしまったの。だから私、
   あなたを追いかけるために、志望校のランクを
   落としてあなたと同じ高校を受験したのよ」

キョン「だから愛が重いってば! Brunswick社の
    ボーリングの球並みに重いよ!」

朝倉は再び俺に襲いかかろうとする。
しかし、その動きが止まった。

朝倉「これは!?」

長門「終わった、と言ったはず。私がさっきセブンイレブン、
   いい気分、で買ってきたのはカッターナイフだけでは
   なかった。アロンアルファの瞬間接着剤も購入していた。
   私はあなたの攻撃を避けながら、瞬間接着剤を塗り、
   あなたの動きを封じる作戦をとっていた。さらに、
   私には秘密兵器がある」

長門はそう言って、懐からPSPを取り出した。

長門「PSPキック!」

長門は正面の包丁を持った朝倉の鳩尾に蹴りを叩き込む。

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:27:56.41 ID:0hbBswZx0 [22/23]
長門「PSP裏拳!」

返す拳を、朝倉の顔面に叩き込む。鼻の骨が折れる。

長門「PSPエルボー!」

朝倉の頭蓋骨が折れる。

長門「PSPチョップ!」

朝倉の頚動脈を断ち切る。

返り血で真っ赤に染まったPSPを拭き取りながらそっと、
長門は勝利をくれたPSPに呟いた。

長門「持っててよかった、PSP」

キョン「って、おい! 朝倉死んじゃったじゃん! 既に巨人と
    日本ハムの試合が始まっているおかげで人通りは
    少なくなってるけど、ここは往来なんだからこのままだと
    通報されるぞ! っていうか、既に通報し始めているぞ!」

長門「大丈夫。こんなこともあろうかと、三菱東京UFJ銀行の
   口座から五千万円ほど下ろしておいた」

長門はそう言うと、一万円札をばら撒き始めた。
いや、水増しのために千円札と五千円札もかなりの割合で
混じっていたが。
人々はお金を拾うのに夢中になり、朝倉の死体には
目もくれなくなった。

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 08:58:36.67 ID:fsA6X3iM0 [2/12]
長門「このまま朝倉涼子の死体をこの近辺に放置すると、
   朝倉涼子の関係者のうち東京へ来ていた者が警察に
   疑われる。だから、今のうちに、朝倉涼子を地元へ
   運び、埋めなければならない。私たちを目撃していた
   者たちの証言があっても、死体がなければ殺人事件
   として立証することはできない」

キョン「地元のどこへ埋めるんだよ」

長門「学校。とりあえずグラウンドの隅に、コメリで買った
   シャベルを使って穴を掘り、埋める」

キョン「えーと、どうやって運ぶんだ? クロネコヤマトの
    宅急便で送るのか? クール便なら腐ることもない
    だろうし、何とかなりそうな気がするけど」

長門「それだと、どんなに早くても荷物が届くのが翌日に
   なってしまう。それでは駄目。キャリーケースに入れて、
   東海道新幹線で手荷物として持って帰った方がいい」

そして俺たちは、急いでキャリーケースを買って朝倉を詰め、
新幹線に乗った。

キョン「ふう。とりあえず、これで一息つけるな。一時は
    どうなることかと思ったぜ……」

長門「あ、あの……。その……」

キョン「何だよ。どうした長門」

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 09:08:44.55 ID:fsA6X3iM0 [3/12]
長門「なぜ手伝うのか」

キョン「――え?」

長門「なぜ、朝倉涼子の死体遺棄を手伝ってくれるのか。
   今のままでは、事件が発覚したとき、あなたも事後従犯
   ということになり、週刊新潮あたりに写真と氏名を
   公開され、2ちゃんねるにより家族が晒し者にされる」

キョン「そう言えば、何でなんだろうな。俺には長門を庇う
    理由なんてなかったはずなのに。そうだな、強いて
    言えば……」

長門「強いて言えば?」

キョン「お前の紹介で進研ゼミを始めたかったからかな」

☆ ☆ ☆

谷口「ういーす」

谷口は、教室の戸を足で開けた。

谷口「WAWAWA忘れ物~っと。あ、あったあった、
   雪国まいたけ。国木田からお裾分けしてもらった
   奴をすっかり忘れるところだったぜ。さて、帰るか。
   晩御飯が楽しみ……ん? あれは、キョンか?」

谷口は教室の窓から、校庭の隅に穴を掘るキョンを
発見した。

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 09:36:04.16 ID:fsA6X3iM0 [4/12]
谷口「あいつ、こんな時間にあんな場所で、何で穴を掘って
   いるんだろう。しかも、傍には女の子が2人もいるし!
   遠いし暗いしよく解らないが、あれはおそらく2人とも
   ランクAだな。羨ましすぎるぜ! ――って、おい!
   どうなってんだ? ランクAの美少女を穴に埋めちまった
   じゃねえか。どんどん土を被せていくし……」

谷口は教室を出ると、キョンが少女を埋めていた場所へ
走った。しかし、そのときにはキョンももう一人の少女も
いなくなっていた。

その代わり、別のものを見つけた。

谷口「これは、福井県鯖江市産のメガネだな。しかもこの
   デザインはおそらく女性用」

谷口はメガネの匂いを嗅いだ。

谷口「これはライオンのソフトインワンシャンプー
   サラサラタイプの匂いだな。メガネをかけていて
   ソフトインワンのシャンプーを使っているランクAの
   女子と言うと……」

☆ ☆ ☆

長門「あ」

2人で並んで帰る途中、長門がわずかに唇を開いた。

長門「福井県鯖江市産のメガネを学校に忘れてきた」

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 10:16:58.53 ID:fsA6X3iM0 [5/12]
キョン「……そうか。朝倉の死体を持つのを手伝ってもらう
    ときに邪魔だからと外して、そのまま忘れてきたのか。
    だが、メガネしてない方が可愛いと思うぞ。俺には
    メガネ属性ないし」

長門「メガネ属性って何? メガネをかけている人に萌えること?」

キョン「知ってんじゃねえか!」

長門「ちなみにメガネスーパー属性というのは、メガネ
   スーパーで買ったメガネをかけている人に萌えること」

キョン「そんな属性マニアックすぎて俺ですら知らなかったよ!」

長門「冗談はさておき、死体遺棄現場に遺留品を遺すのはまずい」

キョン「そうだな。取りに戻るか」

しかし、メガネは見つからなかった。

翌日。
クラスに朝倉涼子の姿はなかった。

岡部「あー、朝倉くんだがー、昨日の夕方から家に帰っていない
   らしい。心当たりのある生徒は先生のところまで言いにこい」

ハルヒ「キョン。これは事件だわ」

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 10:35:35.22 ID:fsA6X3iM0 [6/12]
キョン「そ、そうか? 女子高校生が一晩帰ってこなかった
    くらいで大騒ぎしすぎだろ。おおかた、どこかで
    KIRINの一番搾りでも呑みすぎてばたんきゅー
    しちまったんだろ」

ハルヒ「ばたんきゅーとか懐かしすぎ。それはともかく、
    キリン一番搾り生ビールは喉越しがいいから
    ついつい呑みすぎちゃうのは解るわ。なーんだ、
    そういうことだったのね」

キョン「そ、それで納得しちゃうんだ……」

ところで、その俺にはもう一つ懸案事項があった。
その懸案事項は封筒の形をして昨日に引き続き
俺の下駄箱に入っていた。

キョン「なんだろう、下駄箱に手紙を入れるのが最近の
    流行なのか? 皆さん、手紙は赤いポストに
    入れないと届きませんよー。ちなみに、元旦
    以降に年賀状を配達する年賀郵便特別取扱は、
    12月15日から受付が始まります。日本郵便
    からのお知らせでした」

封筒を一動作でブレザーのポケットに収めた俺が
男子トイレの個室に飛び込んで封を切ったところ、
サンリオのハローキティが印刷された
便箋の真ん中に、こう書かれていた。

『昼休み、私が去年使っていたZ会の教材を用意して
部室で待っています。みくる』

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 12:56:49.52 ID:fsA6X3iM0 [7/12]
四時限目が終わるや、三分とかからず俺は文芸室の
前に立ち、ノックをした。

みくる「あ、はーい」

朝比奈さんの声に、俺は安心して入った。

みくる「キョンくん……入って」

朝比奈さんじゃなかった。朝比奈さんにとてもよく似ている。
本人じゃないかと錯覚するほどよく似ている。
実際、本人としか思えない。

でもそれは朝比奈さんではなかった。
俺の朝比奈さんは真昼間から全裸になったりはしない。

キョン「あああ朝比奈さん!? 何で全裸なんですか!」

朝比奈「ねえキョンくん、ここに星型のホクロがある
    でしょう? 触ってみる?」

キョン「Z会はどうしたんですか? お勉強をするんじゃ
    なかったんですか?」

朝比奈「うふふ。今日は別のお勉強をしようと思って。
     お姉さんが優しく教えてあげるから、三菱重工が
     造船した大船に乗ったつもりで、何の心配も
     しなくていいのよ」

長門「……そこまで」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 13:07:16.05 ID:fsA6X3iM0 [9/12]
 長門の 声が 聞こえた ような 気が した 。


チャイムの音で、俺は我に返った。

キョン「……ここは?」

長門「部室」

キョン「そうか、部室か……。俺はどうして部室の床に
    転がって寝ていたんだろう? 何か背中がずきずき
    するし……」

長門「さあ。私がここへ来たときには既にあなたが寝ていた」

キョン「来るとき、朝比奈さんとすれ違わなかったか」

長門「朝に会った」

キョン「いや、朝じゃなくて今の話をしているんだけど」

長門「会っていない」

キョン「そうか。じゃあ俺、夢でも見てたのかな。ところで長門、
    その手に持っている奴は何だ?」

長門「これはただのTMM社製のスタンガン。護身用にいつも
    持ち歩いている。そんなことより、もう昼休みが終わる。
    早く教室へ戻った方がいい」

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:01:44.07 ID:TRBvxfwm0 [1/12]
ハルヒ「どこ行ってたのよ! すぐ帰ると思ってローソンで
    買ったお弁当も食べずに待ってたのに!」

キョン「そんな心から怒るんじゃなくて、8番ラーメンに
    行ったら偶然にも幼馴染がアルバイトをしている
    店で、彼女が俺に照れ隠しで怒りたいんだけど、
    客に対して乱暴な口調で言うわけにはいかないから、
    唐麺なんかよりこっちのCセットにしたら? って
    ってちょっと意地悪を行ってみる感じで頼む」

ハルヒ「アホなことほざいてないで、ちょっとこっち来て。
    さっき職員室で岡部に聞いたんだけどね、朝倉の
    携帯のメールアドレスから『近畿日本ツーリストの
    ツアーが気に入ったので旅に出ます。捜さないで
    ください』っていうメールがあったんだって。それで、
    どこに行ったと思う? カナダよカナダ。そんなのあり?
    胡散臭すぎるわよ」

キョン「そんなに臭いならプロクター・アンド・ギャンブルの
    ファブリーズでも撒いておけよ」

ハルヒ「ぶっちゃけ、ファブリーズって消臭するんじゃなくて、
    臭いをファブリーズの匂いに変えるだけな気が
    するんだけどね。それはともかく、朝倉のメール
    アドレスを教えてくれって言ったのよ。友達の
    よしみで連絡したいからって。そしたらどうよ、
    友達なのにメールアドレスも知らないのか? って
    真顔で言われたのよ。これは何かあるに違いないわ」

キョン「岡部の突込みが正論過ぎて何も言えん……」

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:11:27.68 ID:TRBvxfwm0 [2/12]
ハルヒ「せっかくだから朝倉の家の住所を訊いたんだけど、
    それも個人情報の保護のため教えられない、って
    言われたの」

キョン「今や、連絡網すら配れない時代だからな……。
    連絡網に生徒の氏名や電話番号や住所を載せると、
    それを業者に売っちゃう親がいるから」

ハルヒ「それよそれ。私も同じことを考えたの。それって
    逆に考えると、朝倉の住所や電話番号も過去に
    業者に売られて流通している可能性が高いんじゃ
    ないかと思って。そこで、グーグルでこの地方の
    女子高校生の住所を扱っている業者を検索して、
    ローソンにお弁当を買いに行くついでにATMで
    料金を三井住友銀行の口座から振り込んだら
    すぐに結果が届いたわ」

キョン「説明長っ! クラスメートの住所を知るだけなのに
    こんなに苦労しないといけないなんて、原作1巻が
    出てから7年の間に時代が変わりすぎだろ。
    っていうか、わざわざ業者なんか使わなくても、
    朝倉の仲のいい女子に訊けば普通に教えてくれた
    んじゃないか? 教師は立場があるから教えられ
    ないんだろうけど、クラスメートなら大丈夫だろ」

ハルヒ「……私にそれを言う?」

キョン「あっ……。マジでごめん。そうか。朝倉にとっては
    クラスの女子全員が友達みたいなものだけど、
    ハルヒは友達少ないもんな。悪かった」

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 11:45:59.27 ID:TRBvxfwm0 [5/12]
放課後。

ハルヒ「ここの105号室に住んでたみたい」

キョン「ここに……?」

ハルヒ「どうしたの? ジャパネットたかたで買ったセイユー
    コーポレーションの有機国産大麦若葉100%の
    青汁100でも飲んだみたいな顔して」

キョン「い、いや、何となく朝倉の家ってもっと豪華なのを
    想像していたから。前にも誰かに、帝国ホテルの
    スイートルームがどうのって言ってたような気が
    していたし」

ハルヒ「まあ、そうね。レオパレスだっていうのはちょっと
    意外だったけど、別にどんな場所に住もうと
    勝手でしょ? 帝国ホテルのスイートルームって
    言うのは、おおかたあんたが『低価格のスイーツ』
    って言ったのを聞き間違えたんじゃない?」

キョン「そうかな……」

ハルヒ「そんなことより、朝倉っておかしなことがたくさん
    あるのよね。朝倉はこの市内の中学から北高に
    来たんじゃないらしいのよ。調べてみたらどこか
    市外の中学から越境入学してたわけ。絶対
    おかしいでしょ。別に北高は有名進学校でも
    なんでもない、ありふれた県立高校よ。何で
    そんなことするわけ?」

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 11:59:17.03 ID:TRBvxfwm0 [6/12]
まさか、高校のレベルを落としてまで俺を追いかけてきた、
なんて言えないしな。

ハルヒ「それに、ちゃんと実家には積水ハウスの新築の一戸
    建てがあるらしいのに、何で一人暮らししてるの?」

そんなことより、俺には懸案事項があった。
ここは長門の住んでいるレオパレスのアパートだったのだ。
どういうことだ?
なぜ、朝倉と長門が同じアパートに住んでいたのだろう。

いや、それよりも、なぜレオパレスに住んでいるのだ。
朝倉には帝国ホテルのスイートルームに泊まるだけの
資金があり、長門には五千万円もばら撒くだけの余裕が
あったというのに。
それだけの金があれば、例えば駅前にある七階建てで
SLDKのオートロックの分譲マンションに住むことだって
できたはずなのに。

いや、違うな。考え方が逆なのか。
お金があるのにレオパレスに住んでいたことが不思議
なのではない。
レオパレスに住んでいるのにお金があったことの方が
不思議なのだ。
つまり、2人がレオパレスに住み始めた後で、突然大金を
手に入れたのだとすれば、あの無茶苦茶な金の使い方
にも説明がつく。

105号室のインターホンを押しても誰も出なかったので
諦めて帰ろうとしたところ、長門と出くわした。

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 12:11:24.95 ID:TRBvxfwm0 [7/12]
ハルヒ「あら、ひょっとしてあんたもこのマンションなの?
     奇遇ねえ」

長門は肯定の仕草をした。

ハルヒ「だったら朝倉のこと、何か聞いてない?」

否定の仕草。

ハルヒ「そう。もし朝倉のことで解ったら教えてよね。いい?」

肯定の動作。

ハルヒ「ところで、有希の今晩の食事は井村屋の中華まん
    なのね。どこで買ったの?」

長門「オーケーディスカウントセンター。いつ行っても安い
   のでよく利用している。ただし、経費削減のために
   レジ袋1枚につき6円かかるのでマイバッグを持って
   行くことをお薦めする」

長門はマイバッグを持っていなかったせいで、中華まんを
剥き出しのまま抱えていた。

ハルヒ「それって、焼きそばまんよね? 私にも一つくれない?」

否定の仕草。

ハルヒ「……ま、まあいいわ。本当は別に欲しくなんかなかったし。
    ぜーんぜん欲しくなかったし! それよりメガネどうしたの?」

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 12:33:33.55 ID:TRBvxfwm0 [8/12]
その問いには直接答えず、長門はただ俺を見た。

ハルヒもまともな回答が返ってくるとは思っていなかったらしく、
肩をすくめ後も見ずに歩き出した。

長門「気をつけて」

長門は俺にだけ聞こえる小声で言ったが、何に気をつければ
いいのかはさっぱり解らなかった。

キョン「ハルヒ、どこに行くんだ?」

阪急甲陽線の線路沿いを歩いていくハルヒの二、三歩後ろから
俺はそう尋ねてみた。

ハルヒ「別に」

キョン「俺、もう帰ってもいいか?」

ハルヒが水道路踏切の傍でいきなり立ち止まるもんだから、
もう少しでつんのめるところだった。

ハルヒ「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在
    なのか自覚したことある?」

キョン「何を言い出すんだ」

ハルヒ「あたしはある。忘れもしない。小学生の、六年生のとき。
    家族みんなで阪神甲子園球場に野球を見に行ったのよ」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 12:46:46.24 ID:TRBvxfwm0 [9/12]
キョン「俺も何回もあるぞ。だって地元だし」

ハルヒ「あたしは野球なんか興味なかったから小学六年生の
    ときが初めてだったの。そう言えば、小学館の学習雑誌
    『小学六年生』が休刊になったのを知ってる? 代わりに
    小学校高学年と中学生をターゲットにした学習漫画誌
    『GAKUMANplus』が隔月で創刊したらしいけど。
    あたしが思うに、やっぱりドラえもんが連載されなく
    なってから部数が減り始めていたと思うのよね」

キョン「知らん。俺は学研教育出版の『科学と学習』派だった
    からな。特にまんがサイエンスが好きで、あれだけ
    何度も読み返したものさ。あさりちゃんのぶっとんだ
    行動とか、明らかに非科学的な専門化が登場して、
    『これ、科学まんが!』と突っ込みを入れられるシーン
    とか今でも憶えてるぞ」

ハルヒ「科学と学習なら、あたしも愛読してたわよ。そう言えば、
    付録についてくる遠心分離機? っていうかミキサー?
    みたいなので、生クリームを使ってチーズを作ろう、
    って感じのがあったんだけど、親に生クリームを
    買ってもらえなくなったから仕方なく牛乳でブンブンと
    掻き混ぜ続けてたんだけどいつまで経っても解説
    みたいな固まりができなくて、最後の方は半泣きに
    なりながら砂糖を混ぜて牛乳を飲んだのを憶えてるわ」

キョン「……何か切ないエピソードだな。しかし、そんな『科学と
    学習』も『小学六年生』や『小学五年生』と同時期に
    休刊になっちゃったんだよな……。今の子たちは何を
    楽しみに生きているんだろう」

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 13:04:10.03 ID:TRBvxfwm0 [10/12]
ハルヒ「今の子たちには今の子たちの楽しみがあるのよ、きっと。
    コロコロコミックはまだ頑張ってるし」

キョン「コロコロコミックか。既にポケットモンスターの緑を持って
    いたのに、コロコロの紹介を読んでいたらどうしても青が
    欲しくなって、兄妹でお金を出し合って買って、やっと
    届いたから友達の家に自慢しに行ったら友達もみんな
    青バージョンを持ってて、全然自慢にならなかったのも
    今となってはいい思い出だな。そう言えば、当時俺が
    住んでいたところのアニメは遅れネットだったから、
    ポケモンショックが起こった回だけ見れてないんだよな。
    ああ、どんな話だったのか気になってきた」

ハルヒ「あたしのコロコロに関するエピソードと言えば、やっぱり
    ドラえもんね」

キョン「お前ドラえもん好きだな」

ハルヒ「まあね。ドラえもんの作者が死んだ、っていうのを夕方の
    ニュースで見たんだけど信じられなくて、小学校に行っても
    みんなその話題で持ちきりだったけどやっぱり信じられ
    なかった。それなのに不思議よね。その翌月のコロコロ
    コミックに、ドラえもんの第1巻の第1話、つまりドラえもんの
    初登場の話が掲載されていたのを見て、ああ、本当に
    ドラえもんを描いていた人は死んじゃったんだ、もう新しい
    話を読むことはできないんだ、って理解したとき、あたしは
    急にあたしの周りの世界が色あせたみたいに感じた。
    夜、歯周病菌とたたかうサンスターのGUMで歯を磨いて
    寝るのも、朝起きてケロッグの『ココくんのチョコクリスピー』
    に明治乳業の明治おいしい牛乳をかけて食べるのも、

332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 13:16:39.55 ID:TRBvxfwm0 [11/12]
    どこにでもある、普通の日常なんだと思うと、途端に何も
    かもがつまらなくなった」

キョン「長文過ぎて1レス内に収まりきらなかったのが残念
    だけど、よくあんな脱線しまくりの話から元に戻せたな」

ハルヒ「いつかは本当にドラえもんが作られて、あたしの家にも
    やってくるんだ、って心のどこかで信じてたのに、その
    夢が潰えたわけだから……。そして、そう思っていたのは
    私だけじゃなかったことにも気付いてしまったの。
    日本中が悲しみの渦に呑み込まれていた。そして、
    世の中にこれだけ人がいたら、その仲にはちっとも普通
    じゃなく、のび太くんみたいに面白い人生を送っている
    人もいるんだ、そうに違いないと思ったの。それがあたし
    じゃないのはなぜ? 小学校を卒業するまで、あたしは
    ずっとそんなことを考えていた。考えていたら思いついたわ。
    面白いことは待っててもやってこないんだってね。中学に
    入ったら、あたしは自分を変えてやろうと思った。待って
    いるだけの女じゃないことを世界に訴えようと思ったの。
    実際あたしなりにそうしたつもり。でも、結局は何もなし。
    そうやって、あたしはいつの間にか高校生になっていた。
    少しは何かが変わるかと思ってた」

まるで弁論大会の出場者みたいにハルヒは一気にまくしたて、
喋り終えると喋ったことを後悔するような表情になって天を仰いだ。

キョン「せっかくいい話をしてたのに悪いけど、冷静に考えると
    2010年に高校一年生をやっている俺たちは、ドラえもん
    の作者の話とかポケモンの話はリアルタイムでは経験
    してないから、色々と矛盾が……」

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 13:32:59.51 ID:TRBvxfwm0 [12/12]
ハルヒ「もういい。帰る」

ハルヒはそう言って、元来た方向へ歩き出した。


自宅に戻ると、門の前で古泉一樹が俺を待っていた。

古泉「こんにちは。いつぞやの約束を果たそうかと思いまして。
   帰りを待たせてもらいました。意外に早かったですね」

キョン「おかーさーん! セコム呼んでセコム。警備会社の
    セコムに通報して。家の前に不審な男がいるから!」

古泉「ちょっ。嫌がらせはやめてください。本当に通報されたら
   どうするんですか!」

キョン「安心しろ。本当はセコムとは契約してないから。
    百円ショップのキャンドゥでよく似たシールを買ってきて
    貼っているだけだから」

古泉「そういう発言すると偉い人に怒られますよ……」

キョン「それはともかく、まるで俺がどこに行ってたのか
    知っているみたいな話し方だな」

古泉「少しばかりお時間を借りていいでしょうか。案内したい
   ところがあるんですよ」

ありえないくらいのタイミングの良さで、トヨタ自動車の高級車
ブランド、レクサスが通りがかり、後部座席のドアが開いた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 19:45:18.06 ID:z/WBUP5W0 [15/19]
キョン「レクサス……だと……」

古泉「どうしました? レクサスはお嫌いですか?」

キョン「嫌いなもんか。一度乗ってみたいと思ってたんだよ」

古泉「では、どうぞ」

古泉に促され、俺はトヨタ自動車のレクサスに乗り込んだ。
白髪の渋い顔をした運転手は、無言で車を走らせ始めた。

古泉「喉が渇いたでしょう。ダイドーのデミタスコーヒーは
   いかがですか?」

キョン「おっ、気が利くな。――ところで、何の話があるんだ」

古泉「その前に……ちょっと失礼」

キョン「おい、人の身体や鞄を勝手に探るな!」

古泉「せっかく盗聴器や発信機を駆除してあげたのに、随分な
   言い方ですね」

キョン「こ、こんなにいっぱい仕掛けられていたのか……。
    朝倉から話を聞いた後、自分で捨てたつもりだったのに」

古泉は、大量の盗聴器や発信機を窓から捨てた。

古泉「これで、安心して話ができますね」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 20:05:58.63 ID:z/WBUP5W0 [16/19]
キョン「話って何だ?」

古泉「朝倉さんに関してです」

キョン「……まさかその名前が出るとは思わなかったぜ。
    お前は、どこまで知ってるんだ?」

古泉「どこまでも何も、全部ですよ」

キョン「ぜ、全部だと?」

古泉「ええ。例えば、朝倉さんが発狂したようにあなたに迫り、
   長門さんに殺されてしまい、あなたがその隠蔽工作を
   手伝ったことなど」

キョン「どうして、知ってるんだ」

古泉「なあに、簡単なことです。つまり、僕が一連の事件の
   黒幕ということですよ」

キョン「まさか……。SSの黒幕が古泉というのは、何気に
    珍しくないか。そんな役目を担うには役不足というか」

古泉「役不足の意味を誤用していますよ。大辞泉などで
   調べてみたらどうですか?」

キョン「そんなことはどでもいい。……そうだ。朝倉と長門が
    大金を持っていたのも、お前と関係しているのか?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 20:18:51.28 ID:z/WBUP5W0 [17/19]
古泉「ええ」

キョン「当ててやろうか? おおかた、お前が妙な時期に
    転校してきたことと関係があるんだろ」

古泉「よく解りましたね。そうです。まず、僕が転校を余儀
   なくされたところからお話しましょうか。『機関』とは
   そもそも、ドラッグを製造し、密売する組織なのです」

キョン「前の学校でへまをやらかして、左遷された、って
    ところか」

古泉「まあ、そんなところです。こんな田舎の支部に
   飛ばされて、正直落ち込んでいました。しかし、
   長門さんと共同で開発した新しいドラッグがあれば、
   また中央に戻ることもできるはずです。そのドラッグは、
   催淫剤と惚れ薬の中間のような効果があります。
   きっと、高値で売れることでしょう」

キョン「その話と俺と、いったい何の関係があるんだ?」

古泉「まだ解りませんか? 朝倉さんと朝比奈さんの
   2人が、どうして突然あなたに迫り始めたのか」

キョン「まさか、2人ともその薬の被験者になった……?」

古泉「その通りです。朝倉さんには雪印のコーヒー牛乳に
   混ぜて飲ませ、朝比奈さんには石屋製菓の白い
   恋人のクリームの中に混ぜておき、食べさせました」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 20:29:32.54 ID:z/WBUP5W0 [18/19]
キョン「何てひどいことを……。ん? ちょっと待て。
    その薬は、催淫薬と惚れ薬の中間のような効果が
    あると言ったよな? どうして2人とも、『俺を』
    好きになったんだ?」

古泉「それが解らないから困っているのですよ。あの薬は
   まだ開発段階でしてね。調整が必要なのです。
   今のところ、大きく分けて3つのケースが考えられます。
   誰が飲んでも関係なくあなたを好きになってしまうという
   ケース。元々彼女たちはあなたのことが好きで、薬の
   影響でその気持ちが増大されてしまったというケース。
   薬を飲んだ後、何らかの暗示によりあなただけを好きに
   なってしまったというケース。……さて、そろそろ、効いて
   きたんじゃないですか?」

キョン「何を――これはっ?」

突然、俺の大事な部分が怒張し始めた。
身体の内側が熱くなり、快楽と焦燥感が綯い交ぜになった
感覚が俺を襲う。

キョン「お前……。まさか、さっきのデミタスコーヒーに?」

古泉「ええ。薬を混ぜさせていただきました。あなたが
   薬を飲んだ結果、あなたがあなた自身を好きに
   なるのか、それとも別の対象を好きになるのかが
   解れば、研究が一歩前進しますからね」

突然、俺は目の前にいる古泉のことが愛おしくて
たまらなくなった。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 20:59:42.64 ID:z/WBUP5W0 [19/19]


頬を誰かが叩いている。うざい。眠い。
気持ちよく眠っている俺を邪魔するな。

ハルヒ「……キョン。起きてよ。起きろってんでしょうが!」

首を絞めた手が俺を揺り動かし、後頭部を固い地面に
打ち付けて俺はやっと目を開いた。
……固い地面?

上半身を跳ね上げる。俺を覗き込んでいたハルヒの顔が
ひょいと俺の頭を避けた。

ハルヒ「やっと起きた? ここがどこだか解る?」

キョン「学校、か?」

ハルヒ「ええ。目が覚めたと思ったら、いつの間にか
    こんな所にいて、隣りであんたが伸びてたのよ。
    どういうこと? どうしてあたしたち学校なんかに
    いるの?」

キョン「ハルヒ、ここにいたのは俺たちだけか?」

ハルヒ「そうよ。ちゃんと西川布団専門店、ほてい屋の
    羽毛布団で寝てたはずなのに、なんでこんな
    ところにいるわけ?」

キョン「古泉を見なかったか?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 22:04:50.42 ID:pQdXqcVS0 [2/10]
ハルヒ「いいえ。……どうして?」

キョン「いや何となくだが。とりあえず学校を出よう。
    どこかで誰かに会うかもしれない」

ハルヒ「あんまり驚かないで聞いてね」

キョン「何だよ」

ハルヒ「そこに、谷口が倒れてる」

ハルヒに指差されて、俺は校庭の隅を見た。
ちょうど朝倉の死体を埋めた場所の近くに、谷口が
倒れていた。

俺が近づこうとすると、ハルヒは俺の腕を掴んだ。

ハルヒ「もう手遅れよ」

キョン「手遅れって……」

ハルヒ「たとえ国立国際医療センターに搬送した
    ところで助からないでしょうね。もう死んで
    いるの。谷口に必要なのは救急車じゃなくて
    日本香堂のお線香よ。谷口のことがあったから、
    余計にあんたのことが心配だったんだけど、
    生きててくれてよか……じゃなくて、別に少しも
    あんたのことなんか心配なんかしてなかったけど、
    せっかく作ったSONY団が廃部にならずに済んで
    よかった、ってところね」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 22:13:17.80 ID:pQdXqcVS0 [3/10]
キョン「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。早く警察に
    通報しないと」

ハルヒ「本当に通報して大丈夫?」

キョン「どういう意味だ」

ハルヒ「その右手に持ってる鎌についているの、血なんじゃ
    ないの?」

ハルヒに言われて初めて、俺はそんなものを握り締めて
いることに気付いた。
俺は慌ててその鎌を捨てた。
しかし、腕についた血はどうしようもない。

キョン「おいハルヒ、薬用せっけんミューズを持ってないか。
    早く血を洗い流さないとシャツが染みになる」

ハルヒ「洗い流して、証拠を隠滅する気?」

キョン「え……? お前まさか、俺が谷口を殺したと思って
    いるのか?」

ハルヒ「べ、別にそんなふうに思ってるわけじゃないわよ。
    ただ、あんたはどこも怪我している様子はないし、
    血がついているんだとしたら、それは谷口の血じゃ
    ないかと思っただけ……。ふ、深い意味はないけどね」

キョン「ちなみに谷口は、どんなふうに死んでいたんだ?」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 22:24:52.92 ID:pQdXqcVS0 [4/10]
ハルヒ「……自分で見てきたら?」

キョン「それもそうだな」

俺は谷口が倒れているところへ行った。

谷口の喉は大きく切り裂かれていた。谷口は、おそらく
刃物――例えば鎌のようなもので殺されたのだろう。

谷口の傍にはシャベルとメガネが落ちていた。

キョン「そうか……。解ったぞ」

ハルヒ「何が?」

キョン「おそらく犯人は、古泉か長門だ」

ハルヒ「どうしてそう思ったの?」

キョン「だって、ここは朝倉を埋めた場所だから、それを
    掘り返そうとしていた谷口を2人のどちらかが発見
    して、口封じのために殺してしまったんだろう」

俺がそう言うと、ハルヒは蒼白な顔で俺を見ていた。

キョン「どうした、ハルヒ。ラーメン二郎を食べ過ぎた
    ような顔をして」

ハルヒ「ここに朝倉が埋まっているの? どうしてあんたは
    それを知ってたの?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 22:45:36.07 ID:pQdXqcVS0 [5/10]
キョン「あ、えーと……どう説明すればいいのかな」

俺はいつものように頭を掻こうと、右手を上げた。
すると、ハルヒはそれに反応して、おびえたように
一歩下がった。

キョン「おい、ハルヒ……。まさかお前、本気で俺が
    谷口を殺したと思ってるのか?」

ハルヒ「じゃあ訊かせてもらうけど、あんたはここで
    目が覚めるまで、何してたの?」

キョン「何って、レクサスの中でデミタスコーヒーを
    飲んだ後、古泉と話をして、そしたら……」

ハルヒ「そしたら?」

キョン「いつの間にか気を失ったんだ」

ハルヒ「……そう。ねえ、とりあえず部室に行かない?」

キョン「部室へ?」

ハルヒ「ええ。とりあえず谷口の遺体を茂みの奥に
    移動させて隠して、部室でこれからどうするか
    考えましょ。私はあんたを信じてるけど、今の
    ままだときっと、あんたは警察に犯人扱い
    されちゃうから……。ペプシのコーラと不二家の
    カントリー・マアム買い置きがあるから、それでも
    食べて落ち着きましょ」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 23:30:12.11 ID:pQdXqcVS0 [6/10]
俺たちは夜の学校に侵入し、部室へ行った。

ドアを開けると、そこに朝比奈さんが倒れていた。
首には東京製網繊維のロープが巻きついている。
あの愛くるしかった顔は、ひどい色になっていた。

キョン「朝比奈……さん?」

ハルヒ「みくるちゃんまで……。いったいどうなってるの?
    そう言えば、私、しばらくみくるちゃんと会って
    なかったんだけど、あんたは最後にみくるちゃんに
    会ったのはいつ?」

キョン「ええと、今日の昼休みに会った、ような気がする
    んだけど……」

ハルヒ「ような気がする? はっきりしないわね。会った
    のか会ってないのか、どっちなの?」

キョン「会ったと思ったんだけど、気を失って、目が
    覚めたら朝比奈さんはいなくて、代わりに長門が
    いたんだ」

ハルヒ「有希が」

キョン「ああ。TMM社製のスタンガンを持っていた。
    あれで俺を気絶させたのかもしれない」

ハルヒ「つまり……有希がみくるちゃんを殺した、って
    言いたいわけ?」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 23:36:33.42 ID:pQdXqcVS0 [7/10]
キョン「たぶん……」

ハルヒ「動機は何?」

キョン「おそらく、嫉妬だろう。あのとき朝比奈さんは、
    全裸で俺を誘惑していたんだ。今の朝比奈
    さんの死体は裸のままだし、きっとあのときに
    殺されたんだと思う」

ハルヒ「朝倉は? 朝倉を埋めた、ってことは、誰かが
    朝倉を殺したってことなんでしょ?」

キョン「朝倉を殺したのは、間違いなく長門だ。俺の目の
    前で殺したんだから。朝倉は俺を誘惑し、俺が
    自分のものにならないと知ると俺まで殺そうと
    したから、長門が朝倉を殺したんだ」

ハルヒ「で、それを埋めるのをあんたが手伝った、って
     わけね?」

キョン「ああ。そのとき、長門はメガネを失くしてしまって
    いたんだが、おそらくそれを谷口が拾っていた
    んだろう」

ハルヒ「朝倉が失踪したことと関連付けた谷口は、
    アホのくせに頭を働かせて、あそこに朝倉が
    埋まっているのではないかと推測し、掘ろうとして
    いるところを長門に殺された……。ここまでは一応
    説明がついてるけど、あんたが鎌を持ち、その
    手に血がついていたことの説明にはなってない」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 23:44:49.95 ID:pQdXqcVS0 [8/10]
キョン「それは……。本当に、俺にも解らないんだ。
    もう何が何だか……」

ハルヒ「ここに来る前は、古泉くんと話していた、って
    言ってたわよね。どんな話をしてたの?」

キョン「古泉が長門と惚れ薬を共同開発し、それを
    長門と朝倉が密売していたんだけど、まだ
    開発段階だった薬を朝倉と朝比奈さんが
    飲まされておかしくなっていた、って話だった」

ハルヒ「それだけ?」

キョン「いや、それだけじゃない。実を言うと、俺も
    薬を飲まされたんだ。最初は何とも感じ
    なかったんだけど、薬が効いてきたら、やがて
    目の前にいる古泉に欲情してしまって、それで」

ハルヒ「それで……?」

そこからのことを告白するのは、本当に辛かった。

キョン「俺は古泉を犯した。何度も何度も。そして、
    気絶するように眠ってしまい、目が覚めたら
    夜の学校にいたんだ」

ハルヒ「そうか……。そういうことだったのね。これで
    ようやく、事件の真相が解ったわ。――古泉
    くんがあんたに投与した薬って、これのこと?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 23:50:51.82 ID:pQdXqcVS0 [9/10]
ハルヒは小さなアンプルを手にしていた。

キョン「それは、どこで手に入れたものだ?」

ハルヒ「古泉くんのポケットから見つかったものよ」

キョン「古泉のポケットから……? なあ、俺の気の
    せいかな。その言い方だと、まるで古泉が
    俺と同じように気を失っていたか、もしくは
    死んでいたかのどちらかに聞こえるんだけど」

ハルヒ「気のせいじゃないわよ。古泉くんの死体から
    剥ぎ取ったものだから。他にも使用済みの
    同じ種類のアンプルが見つかったから、やっぱり
    これがその惚れ薬なんでしょうね」

キョン「古泉が死んだ……? どこで見つかったんだ」

ハルヒ「この学校の駐車場の車の中よ」

キョン「車の中には、他に誰かいなかったか?」

ハルヒ「運転席に、白髪の渋い男の人がいたわね。
    その人も死んでいたけど」

キョン「じゃあやっぱり、長門が古泉と運転手を殺した
    んだろうか。俺が古泉とセックスしているのを
    見て、それで逆上して……」

ハルヒ「それは違うわ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 23:56:47.37 ID:pQdXqcVS0 [10/10]
キョン「どうして解るんだ。長門じゃないと」

ハルヒ「だって――」

ハルヒは笑った。
その笑顔は本当に魅力的だった。


ハルヒ「有希も死んでたから」


キョン「……は?」

ハルヒ「後出しになっちゃって悪いけど、今日の放課後、
    朝倉のアパートに行った帰りに踏み切りであんたと
    分かれた後、あたし、もう一回有希に会いに行った
    のよね」

そう言えば、確かにあのとき、ハルヒは元来た方向へ
引き返していた。

キョン「そこで、長門の死体を見つけていたのか?」

ハルヒ「うーん、何て言えばいいのかな。確かに見つけた
    と言えば見つけたんだけど、もっと別の言い方が
    あるわね」

ハルヒは笑った。天使のように綺麗で可愛かった。

ハルヒ「あたしが有希を殺したのよ」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 00:10:16.73 ID:j7JNrjzT0 [1/8]
その言葉を聞いた途端、俺は膝から力が抜け、その場に
座り込んでしまった。

ハルヒ「大丈夫?」

ハルヒが手を差し出す。俺は反射的にその手を掴んだ。

すると、ハルヒはその手を引っ張ると同時にアンプルを
俺の腕に突き刺した。中の薬を素早く注入する。

キョン「な、何をするんだ!」

ハルヒ「薬の効果を確かめてみたくなって。これまでに
    解ったことを整理すると、薬が効き始めたときに
    目の前にいた人のことを好きになっちゃうんでしょ?
    そして、薬がアンプルに入っているということは、
    経口摂取以外に注射でも効くはず」

キョン「狂ってる……。お前はどうして、長門を殺さないと
    いけなかったんだ。お前には長門を殺す理由
    なんてなかっただろ?」

ハルヒ「いいえ。あったわ。だって、有希にはみくるちゃんを
    殺すところを目撃されてしまったんだから」

キョン「朝比奈さんを殺したのも、お前だったのか」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 00:21:42.04 ID:j7JNrjzT0 [2/8]
ハルヒ「ええ、そうよ。朝倉のことで相談したかったのに
    あんたがいなくなっちゃうから、部室へ捜しに
    行ったのよ。そしたら、みくるちゃんが全裸で
    あんたを誘惑してたから本当に驚いたわ。咄嗟に、
    護身用に持ち歩いていたスタンガンをあんたの
    背中に押し当てようとした。そのとき、やっぱり
    同じように部室に来ていた有希が『そこまで』と
    言ってあたしを止めようとしたけど、あたしの
    方が一瞬早く、あんたを気絶させた。その後、
    さらに有希も気絶させたあたしは、みくるちゃんを
    殺した後、掃除のロッカーに隠した。有希の方が
    あんたより先に目を覚ましたから、『朝倉を殺した
    ことをバラされたくなかったら上手くキョンを
    誤魔化しなさい』と言って、電気が切れたスタン
    ガンを有希に渡しておいたの」

キョン「長門が朝倉を殺したことも知っていたのか」

ハルヒ「ええ、そうよ。だってあたしも、あの2人と
    同じようにあんたのことを盗聴器と発信機で
    調べてたから。あのとき、有希が朝倉を始末
    してくれなかったら、あたしが朝倉を殺す
    つもりだったわ」

キョン「古泉と運転手を殺したのもお前だったのか」

ハルヒ「ええ、そうよ。発信機は古泉くんに捨てられ
    ちゃってたから、捜すのが遅くなっちゃって、
    私がようやくあの車を見つけたときには、
    車の中で行為をしている真っ最中だったわ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 00:33:11.05 ID:j7JNrjzT0 [3/8]
キョン「つまり、見てしまったんだな?」

ハルヒ「ええ。しっかりと見たわよ。あんたが古泉くんと
    運転手の新川さんとかいう人と3Pをしている
    ところをね。それを見た瞬間、ああもう駄目だ、
    キョンも殺すしかないな、って思ったの」

キョン「でも実際には、古泉と運転手は殺したのに
    俺は生き残っている」

ハルヒ「先に2人を殺している途中で、校庭の方で
    物音がしたから見に行ったのよ。そしたら、
    谷口が地面を掘ろうとしているところだった。
    ちょうどいいから、谷口を一連の事件の犯人
    としてスケープゴートにしようと思って、傍に
    放置されていた鎌であいつの喉を切り裂いて
    やった。そして、あんたに服を着せて、校庭
    まで運んできて、あんたと谷口が相討ちに
    なったように見える偽装工作を施した」

キョン「でも……お前は俺を起こしたじゃないか」

ハルヒ「殺す前に、あんたの言い分だけは聞いて
    あげようと思ってね。そしたら何か様子が
    おかしかったから、これはきっと古泉くんの
    ポケットから見つけたアンプルが関係ある
    んだな、と思って殺すのは保留にして
    あげたのよ」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 00:39:57.66 ID:j7JNrjzT0 [4/8]
キョン「ありがとう、とは言えないな、さすがの俺も。
    なんで……なんでこんなことになったんだ」

ハルヒ「あんたが悪いのよ。あたしはこんなにあんたの
    ことが好きなのに、あんたはいつまで経っても
    あたしの気持ちに気付いてくれなかったから」

突然、身体の内側が熱くなった。
またしても股間が存在感を主張し始めた。

キョン「ああ、ハルヒ……。お前はなんて可愛いんだ」

俺はそう言うと、ハルヒに襲いかかった。

           ―― 完 ――



ハルヒ「終わったわね」

みくる「ええ。終わりましたね」

キョン「宣伝のためとはいえ長門と朝比奈さんと古泉を
    ただの一般人って設定にしちゃったせいで、
    ストーリーが大幅に変わっちゃったけどな」

古泉「そのおかげで、クライマックスのシーンでは宣伝を
   しなくて済んだんだからいいじゃないですか」

長門「……結果オーライ」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 00:49:37.20 ID:j7JNrjzT0 [5/8]
キョン「でもこれ、結構ヤバイ内容だよな。放送中止に
    ならないといいんだけど」

ハルヒ「まあ、何とかなるでしょ。ああでも、これでやっと
    完結したのね。本当に撮影大変だったわ」

みくる「お疲れ様です」

古泉「まだ編集作業が残っていますけどね」

キョン「エンドクレジットはスポンサーだけでもひどい
    ことになりそうだな」

ハルヒ「あ、そうそう。エンドクレジットでは主題歌を
    流すつもりなんだけど、それにも企業名を
    入れないといけないから、みんなで協力して
    歌詞を考えましょうね」

キョン「とりあえず、契約不履行で訴えられることだけは
    なさそうで助かったよ。これで、ハルヒが現実
    世界の住人になるという夢も叶いそうだな」

ハルヒ「ええ、そうね……」

キョン「どうしたんだハルヒ。そんなに暗い顔をして」

ハルヒ「実を言うとね、あたし、ちょっと迷ってるんだ。
    本当に現実世界へ行くべきか」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 01:01:05.57 ID:j7JNrjzT0 [6/8]
キョン「お前、何言ってんだよ。今までみんな、何のために
    こんなに苦労したと思って――」

ハルヒ「我が儘を言ってるのは自分でも解ってる。でもね、
    撮影をしている間、あたし、本当に楽しかった。
    流れとはいえあたしが真犯人ってことになっちゃった
    ときとかは、ちょっとうんざりしたけど、あれはあれで
    楽しかった。それはね、あんた達が――キョンや
    有希やみくるちゃんや古泉くんや朝倉や谷口や
    国木田や岡部や、それからその他大勢の人たちが
    いたから……」

キョン「つまり、この二次元の世界の魅力に気付き始めた
    ということか?」

ハルヒ「そうは言ってない。あたしはやっぱり、できることなら
    現実世界の人間になりたい。でも、あんた達に愛着が
    あるのも事実なの。……特に、あんたに」

キョン「俺に……?」

古泉「なるほど、そういうことですか」

みくる「それなら話は簡単じゃないですか。ね?」

長門「……問題は解決したも同然」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 01:09:02.57 ID:j7JNrjzT0 [7/8]
ハルヒ「え? どういうこと?」

みくる「解りませんか? 涼宮さんだけじゃなくて、キョンくんも
    一緒に現実世界へ行けばいいんですよ」

ハルヒ「あ……。そんなことできるの?」

古泉「頑張って宣伝したおかげで資金も順調に溜まりましたし、
   2人分くらいだったら何とかなりそうですよ」

長門「お幸せに」

キョン「お前らはいいのか? こんなに協力したのに、結局は
    この世界に残ることになっちゃって……」

古泉「僕らには、涼宮さんがいなくなった後の世界の平和を
   守る使命がありますから」

みくる「こうなることも、この時間軸上の必然だったんですよ」

ハルヒ「キョンは、いいの? この世界を捨てることになるけど」

キョン「俺は――お前さえいれば、どこでだって生きていけるさ」

ハルヒ「嬉しい……。じゃあ」

キョン「ああ、行こう! 2人で新しい世界へ!」


                     ――――――――――終わり

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/26(金) 01:13:05.97 ID:j7JNrjzT0 [8/8]
終わりです。

最後の方は宣伝できなかったこととか、
途中で板の移転に巻き込まれたこととか、
「今日中に完結する」宣言をしたのに1時間ちょっとオーバーしたこととか、
今回も誤字脱字が多かったこととか、
色々と心残りはありますが。

何はともあれ、ここまで読んでくれてありがとうございました。

コメント

なんだろう、作者の生活環境が透けて見えるよ

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