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上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」

715 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:49:38.05 ID:NM5LwL60 [1/17]

>>546からの続きです。
自己解釈、オリジナル設定、かなり入ってます。
短いです。

関連
上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」

上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」

716 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:50:13.87 ID:NM5LwL60 [2/17]




「第、六位……?」

茫然自失。
今の上条を表すならその言葉が一番だろう。
理解出来ない。友人がテロリストでした、なんて言われたような心境。
人間が一生に一回経験するかしないかであろう思考を、上条は無理矢理振り払う。
現在、大事なのは青髪ピアスの正体に驚くことでは無い。

「……青髪、お前一体何のつもりなんだ?お前が、学園都市に七人しか居ない超能力者だったとして、一体何でこんなことを……?」


「…………かみやん。科学と魔術の関係性は知っとる?」


「……!?」

発せられた言葉に、上条は言葉を返せない。
別に、口からいつも通りのエセ関西弁が出て来たからでは無く、


科学(PSI)側の筆頭とも言えるレベル5が、魔術(オカルト)の存在を知っていることに、驚愕していた。




717 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:50:52.79 ID:NM5LwL60 [3/17]


「……?あぁ、学園都市のレベル5全員が魔術を知っとる訳や無いで。ぼかぁ色々特別やから知っとるだけや」

「特、別……?」

「そっ。まぁそれは置いといてや……」

会話をしている間にも、上条の体は震えている。
痛みもあるがそれ以上に、普段自分が知っている親友では無い姿に、恐怖していた。
この空間は今、上条が今までの人生で体感したことの無い、非現実さを持っていた。
まるで、外国に行ったかのような、別世界に迷い込んでしまった感覚。


上条が、本来居るべきで無い世界の感覚。


「科学サイドの本拠地たるこの学園都市……そう簡単に魔術サイドの人間が入り込める筈無いやろ。ただのテロリストとかならともかく、禁書目録なんていう爆発物を態々侵入させた意図は分からへんけど……」

「っ……」

禁書目録と爆発物。二つの単語に、状況について行けてなかったインデックスは息を詰まらせた。
上条には後ろに立つインデックスの顔は見えないが、驚いていることは分かる。
魔術師で無い筈の、目の前の超能力者が、魔術サイドの自分について知っていることに驚いているのだ。
上条も疑問に思う、なんで魔術師では無く、学園都市のレベル5がインデックスを狙うのか。
彼の疑問に答えるように、青髪は言葉を続ける。


718 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:51:30.68 ID:NM5LwL60 [4/17]

「要するにや。ここは科学の領域(テリトリー)。大き過ぎる問題には科学も参戦します。……こんなとこ?」

「……庭に危険物があるから、自分達で取り除くってか?」

「どんな協定があったかはしらんけどな。さっき全超能力者にそう命令が出たのは確かや」

さて、とそこで言葉を切り、




「かみやん。そのシスターちゃんを渡してくれへんか?」




本題であろう提案を発した。

「……もし、俺がここでインデックスを渡せばどうなる?」

上条は、絞り出すように声を出す。
後ろ手にインデックスを庇いながら、右手が強く強く握られる。
それを見つつ、青髪ピアスは顎に手を当てながら、









「まぁ、魔術サイドに引き渡すことになるやろうな。その時に脳に電極でもぶっ刺して洗脳されるかもしれへんけど」




その一言で充分だった。


上条を、前に動かすには。



719 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:52:41.55 ID:NM5LwL60 [5/17]


「……インデックス。まだ他に敵がいるかもしれない。その時は、俺に構わずとにかく逃げろ。後で追い付く」

「そんなこと!出来な」

インデックスからの抗議の言葉は、上条の耳には届かない。
彼は既に床を蹴り、青髪ピアスに向かって走っていた。
「……真っ正面から、か。かみやんらしい」

その、どこまでも真っ直ぐな彼を見て、彼を裏切ったとも言える青髪は、笑う。
嘲笑ったのでは無く、馬鹿な行動に笑ったのでも無く、ただ、余りの真っ直ぐさに苦笑していた。
しかし、瞬時にその表情は変わった。
優しさの欠片も見つけられない、兵器としての表情へと。

上条は十メートルの間合いを走って詰める。
そして、後三メートル、飛び込もうと足を強く踏みしめた瞬間、

「ッ!」

またもや、直感を頼りに斜め前に飛んだ。
体を捻るように、何かを躱すように。

ヒュボッ!!

効果音に表すならそんな音が、上条の鼓膜を震わせた。
見ると、上条の逸らした体を掠るような形で青髪の拳が通過している。
プロのボクサー以上のスピード。


720 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:53:30.79 ID:NM5LwL60 [6/17]

だが、躱せた。

(行ける!あのスピードの理由は分らないけど、戦える!)

青髪の背後を取る形になり、上条は右足が地面に着地すると同時に右手を振りかぶり、青髪の背中に狙いを定める。

「らぁっ!!」

掛け声が口から迸り、今まで敵を倒し続けて来た右拳を放った。
空気を切り裂き、拳が吸い込まれるように青髪の首後ろに迫ってーーーー




ゴガン!!と、信じられない程硬い音が鳴った。


「が、ぐぅっ!?」

伝わる痛みに、意識するよりも早く悲鳴が漏れる。
皮膚が擦り切れ、血が垂れるのが分かる。
右手から最初に殴った時とはレベルの違う痺れが走り、元々ダメージを受けていた腕が更に痛んだ。

「一体……っ!?」

疑問の声は上げられない。上げる暇が無い。
右手を痛みのあまり抑え、背後に何歩か下がった上条に、左肩を前に出して、青髪が此方に一歩を踏み出していた。

そして、



721 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:54:19.10 ID:NM5LwL60 [7/17]





メゴッッッ!!と、莫大な轟音が轟く。

音の出所は、上条の体、タックルした青髪の肩付近と、突進のために蹴られたコンクリートの地面からだった。




「ーーー」

今度は、絶叫さえ出ない。
そのまま上条は吹き飛び、ガラスが砕けてただの四角い穴になった窓を突き抜ける。
一階なため、落下による死の危険は無い。廃墟ビルが立ち並ぶ、路地裏の広場に放り出されただけだ。
だが、余りにも吹き飛ばされたスピードが速すぎた。

ガガガガガッッ!!と、地面と体が高速で擦れ、摩擦音が上がった。

「ぎっ、がっ……!?」

そこまで来てようやく、悲鳴がこぼれ出す。
ゴロゴロと地面を転がり、制服が所々裂け、見るにも耐えないボロボロになって、それでも上条はなんとか地面に左手を付き、立ち上がった。
立ち上がれたのは、タックルが当たる寸前に後ろに跳んで衝撃を少し減らしていたから。
そうでないと、肋骨の二、三本は折れていただろう。

「ぐぅっ……!」

人生で初めてと言っていい、死がギリギリまで迫った戦い。
しかし上条には恐怖は無く、ただ焦りだけが存在した。


722 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:54:54.87 ID:NM5LwL60 [8/17]

「イン、デックス、が……!」

あの少女はまだ廃墟ビルの中に居る筈だ。
そして青髪も中に居る。
二人きりになっているだろう。
マズイ、と上条は考える。
さっきの話からして殺されることは無いだろうが、それでも攫われる可能性は高い。
そして、何処か上条が知らない場所に攫われた場合、助け出すことはほぼ不可能に近い。

だがしかし、杞憂だったようだ。
たった今、上条が吹き飛ばされて来た窓から、青髪が出てくる。
身長百八十センチもある体格で窓から出てくる姿は、威圧感を与えて来た。
青髪から笑顔が消えるとこんなにも変わるのかと、上条は頭の何処かにて思考する。

「インデックスは、いいのかよ……」

上条は言葉を発した。時間をかせぐためだ。
理由は二つ。
一つは右手の問題。
ダメージを受け過ぎたのか、右手が痺れてピクリとも動かない。
指が震え、拳を握ることも出来なかった。
そして、もう一つは考えるため。
先程までに、上条は二回青髪に拳を叩きつけている。
だが、

(あの感触はなんだ……!?)



723 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:55:41.77 ID:NM5LwL60 [9/17]


自慢では無いが、上条は結構人を殴ったことがある。
皮膚を、肉を殴る感触というものが知っている。
だが、青髪を殴った時の感触はまるで鉄に拳を叩きつけたような感じだった。
上条の言葉に、青髪は、

「まぁ、かみやんはしつこいし。確実に倒してからあのシスターちゃんを捕まえればえぇ」

眈々と答えた。
道を教えるくらいの、軽々しい調子で。

「…………な…でだ、よ」

「?」

「何でだって聞いてんだよ!!」

突然、上条は叫んだ。
この叫びには、打算など無かった。

「お前が第六位だなんて初めて知ったし、俺が知らねぇことだって沢山あるんだってのも分かる!でも違うだろ!?お前は本当はこんなことやるような奴じゃねぇだろうが!」

それは、青髪の言葉を聞いてから思っていたことだった。
確かに、上条は目の前の親友のことを、本当の意味で知らないのかもしれない。
上条達に見せていたのはただの上辺だけで、本当はこんな風に兵器みたいに人を簡単に傷付ける人間なのかもしれない。


しかし、それでも上条は、


「なんで、お前が、お前みたいな奴が、何の罪も無いアイツを、捕まえようってんだよ……」




724 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:56:19.14 ID:NM5LwL60 [10/17]


青髪という一個人を、信じていた。
本気で殴りかかられても、投げ飛ばされても、吹き飛ばされても、上条当麻は目の前の親友を信じていた。

「……かみやんは、僕のこと誤解しとる」

ポツリ、と。
上条の言葉を聞き、彼は呟いた。

「ぼかぁそんな綺麗な人間やない。自己保身のためなら、喜んで他人を傷付ける……現に、かみやんを傷付けたやろ?」

「……」

事実を突きつけられ、沈黙が場に満ちる。
そして、沈黙を切り裂くように青髪が上条に尋ねて来た。

「肉体変化(メタモルフォーゼ)って能力のこと、何処まで知っとる?」

「……いや、さっぱり」

「勉強しいや、かみやん……」

ハァ、と彼はため息を吐いた。
上条も何故かいたまれなくなり、左手で頬をかく。

「……肉体変化ちゅーのは、文字通り肉体を好きなように変化される能力や。遺伝子レベルでは無理やけどな。ただとても珍しい能力で、学園都市の中でも二、三人しか使える奴はおらへん」


725 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:57:00.72 ID:NM5LwL60 [11/17]


青髪の言葉からすると、肉体変化というのは結構貴重な能力らしい。
学園都市二百三十万人中、たった二、三人。
かなりの貴重度だろう。
だがそこで、あれ?と上条の思考内の動きが止まる。
レベル5になるからには、それなりの『特別』が必要だ。
『超電磁砲』で例えるなら、十億Vの高電流に、更にそれを自由自在に操り、能力名にもなっているレールガンという戦略兵器レベルの攻撃を放てる。

しかし、青髪にはそれが無い。
肉体を変化させる、なんていう能力で、一体どうやってレベル5になったのだろうか?たった一人だけの能力ならともかく、二、三人居ると分かっている能力で。
それとも、他の肉体変化の能力者よりも能力が遥かに上手く扱えるのか?
そんなことを上条が思考していると、








「そう『公式では』なっとる」










726 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:57:38.75 ID:NM5LwL60 [12/17]


「……はっ?」

少しの間を置いて、上条の間抜けな声が路地裏の広場に響いた。
言葉の意味が分からなかった。
彼が何を言いたいのか、理解出来ない。

「公式、って言っても所詮はたった三人の能力を研究しただけや。もしその三人が『本気』を見せてなかったら?いや、そもそも……」

彼は、青髪はそこで言葉を切り、




「本当は、『肉体変化(メタモルフォーゼ)』は学園都市に『一人しか』居ないとしたら?」




「…………おい、待てよ。それって……」

ここまで来て漸く、上条は理解した。
そして、それを背定するために、青髪は口を開く。




「そうや。僕は、学園都市に居ると言われている『肉体変化』全員の正体や」






727 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:58:15.49 ID:NM5LwL60 [13/17]



「……ちょっと待てよ。だったらIDは?遺伝子情報や血液情報、場合によっちゃ声紋や脳波のデータまで必要だってのに……いや、そもそも誰も気がつかない筈が……」

ブツブツと、驚きの余り疑問を呟き続ける上条。
だが、それに青髪は答えた。
余りにも、答えが簡単過ぎたから。

「そんなもん、肉体変化で一発や。後、統括理事会に黙認して貰っとる、というかやらされとるし……まぁ、正確にはあのビーカー野郎(?)にやけど」

肉体変化。
その力は、全くの他人にさえなりすませるのか。
聞いたことが無い、ある意味魔術などよりも信じられないことに、上条は絶句する。

「……かみやん、僕はな。ただの青髪ピアスで居たいんや」

絶句している上条を見ながら、彼は語る。
その言葉には、どんな思いが込められているのか。
上条は黙って、耳を傾ける。



728 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:58:56.94 ID:NM5LwL60 [14/17]


「この能力のせいで、実験漬けやった。何回も肉体変化し続けたせいで、本来の自分の歳も、姿も、性格も、声も、もう分からへん」

なんだそれは、と上条は心中で叫ぶ。
この学園都市の何処かが壊れているのは、ここで生きるうちに分かっていた。

「頑張って頑張って交渉して。漸く、幾つかの条件と引き換えに、僕は平穏を手に入れた。条件っても、肉体変化の能力者として学園都市内で偽ることや、今回みたいな緊急の任務に従うことだけやったしな」

だが、目の前の親友が、実際にその壊れた世界に浸かってこんなことをしたのかと思うと、途方も無い、言葉では表しきれない怒りが湧き上がる。

「そのせいで、レベル0として過ごし初めての、最初の友達と戦うなんて、皮肉やけど」

吐き捨てるように言ってから、青髪は上条を見る。
上条も、痺れが取れて来た右手に力を込めつつ、青髪を見る。
二人はしっかりと対峙し、互いの目を睨み付ける。

「かみやん、悪いことは言わへん。今回のことは何時もの『不幸』と同じように忘れて、普通の日常に帰るんや。今なら、引き帰せる。『幸福』を得ることが出来る」



729 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 11:59:29.41 ID:NM5LwL60 [15/17]


最後の通告。
しかし、上条は答えない。
口を、動かさない。
ただただ、黙って青髪を見ていた。
目は真っ直ぐに青髪の瞳を見つめている。

「……はぁ。結局こうなるんやね……」

そう。結局、この二人は分かっていた。
上条も、青髪も。
心の何処かで、言葉だけではこの問題は解決しないと、知っていた。





だって、彼等は親友なのだから。






730 名前:上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」[saga] 投稿日:2010/11/14(日) 12:00:59.29 ID:NM5LwL60 [16/17]

以上です。
楽しみにしてくれている人が居たら、スレでも立てようかと思っています。

Tag : とあるSS総合スレ

コメント

幻想殺しが効かない訳を早く知りたいですなあ

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