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垣根「友達が欲しいんだが」

2 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:17:11.46 ID:lU0z1.A0 [2/35]
ファミリーレストラン内は、適度な喧騒で賑わっていた。
親子連れに、カップル達。他愛ない事で騒いでいる学生達はその年相応にはしゃいで店内の活気の大部分を占めている。

そんな光景の中、異様な雰囲気を醸し出している二人組の姿があった。
店の扉を開けて右を向いた突き当たり、窓際の四人席に向かい合って座る彼らは和気藹々とした店内で珍しく揃って黙り込んでいた。
肩口まで伸ばした茶髪に制服のような服を着崩した軽めの装いの一人に対して、もう片方の男は上下黒色のイメージでで揃えられた服に脱色したかの様な白髪と透き通るような白い肌がひときわ際立っている。
身長差故かほんの少し見下すように眼前の白黒の少年を鋭い眼差しで窺う茶髪の少年。
それとは対照的に、白髪の少年は何か理解できない物を見るような視線で茶髪の少年を観察している。口が、開きっぱなしだ。
頭の中を整理するように瞑目した白黒の少年が、気だるげに一度閉じた口を再び開く所からこの物語は始まる――――

製作復活記念

3 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:24:25.42 ID:lU0z1.A0 [3/35]
一方「――――てめェ今何つった。俺の耳穴がクソで埋まっちまってよォ、うまく聞こえなかったンだ」

垣根「だぁぁぁから、友達が欲しいっつってんだよ何度もいわせんなはずかしい」

一方「」

一方「ハァァァァ!? お得意のメルヘンお花畑ががとうとう脳ミソにまで侵食したんですかァァァ!?」

垣根「あれは俺の意思とは無関係な現象だと何度も言ってんだろう第一位! 俺の切実さ加減が理解できないのかよ!」

一方「時々ワラワラ群れてるお仲間は何なンだ。あいつらもオトモダチだろォが」

垣根「……あいつらはそういうのとはちげぇ。俺が力を持ってて、強くて、それに群がってくるだけだ。後は仕事の付き添いだけだな……そういうのとはちげえ」

一方「だからって、よりにもよって俺ンとこ来るかねェ普通。頭ン中も常識が通用しませんってか?」

垣根「来ちゃ悪いかよクソが! 相談しに来てるんだからハイ喜んでっつーのが筋ってもんじゃねえのか!!」

一方「……それで本当に友達作る気があンなら一目置いてやンよ。誇れよ第二位」

垣根「…………」

4 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:33:17.60 ID:lU0z1.A0
垣根「なんかやけに上から目線をくれてる所悪いがな、そういうお前に友達はいんのか?」

一方「ァ?」

垣根「お前だって似たようなもんじゃねえのかよ!」

垣根「立場、力、それに擦り寄ってくるウジ虫共! もっとこう色々あるだろ学園都市の陰惨たる部分の結晶染みた悲劇的エピソードが!」

一方「ちげーし、お前と一緒にすンなし」

垣根「あああ頭にくるわ……、第一位様は友達付き合いもナンバーワンですってか! 流石に優等生様は格が違った!」

一方「俺ァてめェと違って常識あるンですゥー、自分から態々群れン中突っ込んでお山の大将なんざごめンってだけだァ」

垣根「……? ああなんだ、やっぱお前も友達いないんじゃねえか」

一方「センセー垣根クンが今誰も触れてはならない逆鱗に触れましたァ、世の中には本当の事でも言って良い事と悪ィことがあるって教わっただろドカスがァ!」クワッ

6 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:42:13.72 ID:lU0z1.A0
垣根「だがよ、お前もまともに勉強して無いんじゃねえの? 能力開発ばっかで。歯が浮きすぎて空に飛ぶまで頑張っても、テメェが自分から勉学に励むタイプとは言えねえよ」

一方「演算関連と自分だけの現実を広げる意味での現象系は叩き込まれた。が、国語とかは手付かずってやつだ」

垣根「俺もだな。形式だけ入った小学校の教科書なんざ埃被って安らかにお休みだ」

一方「そういや俺ンちでも教科書が箱に入っておいてあったな……。たまたまこないだ家にあったごんぎつねとか言う糞くっだらねェ話を読ンだ」

一方「最後によォ、ごんぎつねは鉄砲で撃たれちまうんだァ、糞くっだらねェ理由でなァ。あんなくっだらねェ理由でなら最初っから銃なンざ振りかざすンじゃねェよ糞がァ」グスッ

垣根(おいおいこいつのがよっぽどメルヘンじゃねえか……純粋ってレベルじゃねえぞ……)

8 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:53:00.58 ID:lU0z1.A0
一方「それはそうと、さっきも言ったけどなンで俺ンとこ来たンですかァ?」

垣根「ああ、いや。た、大した理由じゃないんだがな? だろ?」

一方「俺に聞くなよ、俺は精神感応能力者じゃねェだろ」

垣根「だから、その……だな……」

垣根(お前なら俺よりつええから媚びる事もねえ、境遇も環境もわかるかもしれねから友達になってくれるかも……)

垣根「って言えるかぁぁぁああああ!!」バンッ

一方「……急にでけェ声だすなよ、ビックリすンだろ」

店長「申し訳ありませんお客様、他のお客様の迷惑になりますのでもう少し静かにして頂けませんでしょうか」

二人「「す、すンませンしたァ」」

9 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 00:58:36.54 ID:lU0z1.A0
一方「あーあ、怒られちまったじゃねェか。で、結局なンなンだよ」

垣根「あー、んー、あれだよ。お前から溢れ出る中二病オーラがな」

一方「中二病? なンだそりゃ」

垣根「知らないのかよ? 痛い奴の代名詞、か? 精神性のはしかみたいなもんだ、一遍かかると二度とかからねえ」

一方「(こいつ幽白読んだな……)……一方通行≒中二病=痛い奴 一方通行=痛い奴、ふーン、こういう事か」

一方「未元物質爆発しろよォ、今この場で」

垣根「いやなんつーかほら、変なポエム書き出したりとか、自分は理解されてないって思い出したりとか」

一方(…………あれェ?)

垣根「意味も無く孤独を好んだりとか、自分は特別な存在だとか思い始めたり、保護者の言うことにやけに反抗したり」

一方(お、おいおいおいィちょっと待って下さいよォ)

垣根「あとはそうだな……、他人に理解されないような奇抜な趣味を探したり、タバコとかコーヒーとかの大人の代表格みたいな嗜好品を好んだりな」

一方(ぜ、全段命中ゥ…………。一方通行=中二病確定か……、俺って痛ェ奴だったのかよ……)ズゥーン

垣根「その様子だと図星らしいな、俺もその意味では人の事言えた立場じゃねえ」

10 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:07:57.00 ID:lU0z1.A0
垣根「かくいう俺も若干中二病気味でよ……、ついこの間まで好きでもない翼を嫌々背負ってる自分かっこいいとか思って好きだった」

一方「それ矛盾してンよな」

垣根「おう。ふと気がついてから純粋に翼が嫌いになった。だってなんか痛いし。見た目が」

一方「得意の未元物質で何とかなンねェの?」

垣根「羽を消そうとする未元物質を出そうとすると羽が出て、その羽を消そうと未元物質出そうとすると羽が出て、繰り返してたらどんどん羽がでっかくなってった……」

一方「…………俺が悪かった」

垣根「羽がぁぁぁ、でっかっくなっちゃった! って出来なくもねえからいいよ」

11 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:11:34.37 ID:lU0z1.A0
一方「そォいやタバコは保護者に止められたンだ。ガキが健康に悪ィ事すンじゃねェってよ。だから吸ったことはねェ」

垣根「俺は吸ってて咽る事が三遍くらいあってやめた」

一方「何回挑戦したンですかァ?」

垣根「三回……、いや二回か?」

一方「なんで咽る回数より吸った回数のが少ねェンだよ、しかも毎回じゃン」

垣根「まあ最近学園都市でも喫煙者の肩身が狭くなってるからな、吸ってても得はないだろうぜ」

一方「うちのもヤニが高くなっただの何だのぼやいてたなァ」

垣根「ほぉ、保護者は咥えてんのかよ」

一方「家ン中じゃ吸わねェな。もっぱらベランダに行って吸ってる。ホタル族ってのか?」

垣根「んだよ、良い奴じゃねえか」

一方「………………」

12 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:12:28.62 ID:lU0z1.A0
垣根「まあ、お前に相談した理由だが。端的に言うと同類の空気を感じ取ったからだな」

一方「ないない、それはない」

垣根「断言するまでの速さが尋常じゃねえぞ……。そんなことはねえ、俺とお前はどこか似通ってる部分がある筈だ」

一方「俺とテメェがァ? 冗談もそこそこにしろよ三下ァ。どこのへンを同類項で結べるっつーンだよ」

垣根「……中二病とか?」

一方「俺に聞くンじゃねェ。あとその話題はもうかンべンしてくれ、なンだか心が痛ェんだ」

垣根「まあとにかく友達が欲しいんだ、速やかに何とかしろ。打開策を与えてくれても一向にかまわねえ」

一方「100%他力本願寺入りましたァー」


13 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:13:20.20 ID:lU0z1.A0
一方「そもそもがアレだァ、さンざ俺に喧嘩ばっか吹っかけてやがった奴が急に頼み事? ヘソが茶ァ蒸発させるぜ」ハッ

一方「いつから俺を笑い殺しさせる能力にシフトしたンですかァ?」

垣根(状況は芳しくないな……、このまま押してもキリが無い。ここは一つ押してだめなら……)


垣根「こっちにも事情が色々あんだよ、その上でお前に相談しに来てやったんだ。それともアレか? 第一位はこの程度の頼みも聞けないような器ちっちぇえ野郎だったのかよ」

一方「――――」ピクッ

垣根「あーあ、態々来て損しちまったぜ。こんなこったらその辺の野郎共に相談しといた方がよおっぽど有意義だったかもしれねえ」

一方「――――」ピクピクッ

垣根「テメェに期待した俺がメルヘンだったな、悪かったよつき合わせて」

垣根「……」チラッ

14 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:13:52.75 ID:lU0z1.A0
ちょっと連続で投下しといて風呂入ってくる。また帰って来るわ

16 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:42:03.86 ID:lU0z1.A0
かええーってきたぞー かええーってきたぞー
風呂上りの納豆は至高。続きを投下する

17 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:44:24.79 ID:lU0z1.A0
一方「よォォォォォォくもそこまで抜け抜けと上ン口からビチクソ垂れ流せたもンだな、下痢気味もいい加減にして下さいよォ?」

垣根(よぉぉぉしよしよし。――――しかしそれでいいのか第一位)

一方「この学園都市第一位、一方通行様が直々にテメェに友達ができるまでプロデュースしてやろォじゃねェか未元物質ァァァ!」

垣根「ん? 別に無理して頑張ってくれなくても構わねえよ」チラッ

一方「随分とこの俺の力を見くびってくれンじゃンよ三下ァァァァ! 友達百人でっきるっかなァァァァァァァ!?」ゴッパァァァァァ

店長「大変申し訳ございませんがお客様、もう少し(ry」

二人「「すンませンしたァ……」」





垣根「こうして一方通行による、垣根帝督の友達作ろう大作戦。その序幕が、粛々と開いたのである」

垣根「題して、野薔薇をプロデュース。ハッ、小説漫画ドラマアニメ映画化とメディアミックスして一世を風靡する光景が目蓋に浮かぶ。勿論主演俳優は俺だな」

一方「……アー、誰の何が野薔薇だって?」

垣根「それは言わぬが花、ってやつじゃねえのか」キラン

一方「花って程上品なツラかボケが、ボケの花でもボケっと眺めてろ」

垣根「ないわー、うわー今の一方通行ないわー」ドン引き

一方「ちっ、ちげェ! 今のはたまたまだァ!」

18 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 01:54:59.91 ID:lU0z1.A0
垣根「で、実際プロデュースは良いとして何をどうするつもりなんだよ。オラ、正解を言いたくて言いたくて仕方ない小学生みたいにさっさと答えな」

一方「今すぐテメェの首に乗っかってるサッカーボールをシュートしてェ」

垣根「ボールハトモダチ、トモダチ、ケル、ヨクナイ」

一方「ダチを作るには幾つかの行程が存在する。知り合う、過ごす、繰り返すだ。繰り返さなきゃ厚みが生まれねェし、過ごさなきゃ関係に幅ができねェ。第一、知り合わなきゃ何もできンって事だァ」

一方(って、木原クンが言ってたなァ多分)

垣根「ハイ、質問だ一方通行先生」

一方「なンですかァ未元物質クン」

垣根「そもそもどうやって知り合うんだよ」

一方「慈善事業じゃねェぞ、そン位は自分でケツ拭け。要介護のジジィでもあるまいし」

19 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:05:54.37 ID:lU0z1.A0
一方「ただ、残りン二つに関しちゃァなンとかなる。」

垣根「ほう、腹案がありますってか?」

一方「果てしなく不吉な発言はやめろ」

一方「テメェの対人コミュ力がどの程度か知らねェが、これさえありゃ人間関係間違えるこたァねェ」

一方「逆に、これに欠けると人間関係は好転しようが無い。ガス入ってねェ風船みたいなもンだな、風船見つけてガスをアホみたく入れてやれば空に浮かぶ」

垣根「例えはよくわかんねえが成る程、一理あるな……。やるじゃねえか第一位、見直したぜ」

一方「崇めろ、第二位」

一方(って、木原クンが力説してたなァ確か)

20 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:11:11.13 ID:lU0z1.A0
垣根「ハッ、理論は理解した。後に残るは答え合わせだけってか」

一方「いや、Q. E. D. にはまだはえェ」

垣根「まだ底を見せないだと? 奥が深いな、友達作り!」

一方「対人関係の重要な要素にコミュニケーション力がある。こン位は持ってるな?」

垣根「持つも持たないもねえ、流石に見下し過ぎじゃねえのか第一位? そういうお前はどうなんだよ」

一方「舐めンな、必要最小限位はある」

垣根「ですよねー」

一方「ンですよねー」

垣根「…………」
一方「…………」



一方(たぶン俺ァ大丈夫だよなァ……)←聴いた話ばっか+変人+口調+目つき+ツンデレ+自虐癖+中二病=コミュ障
垣根(たぶん俺は大丈夫な筈だろ……)←メルヘン+世間ズレ+軽薄+絡み癖+直情+沸点低+中二病=コミュ障


21 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:19:49.56 ID:lU0z1.A0
一方「これァ余計なお世話かもしンねェが、お前誰かとどっかで遊ンだ事あンの?」

垣根「見縊るなよ第一位、一人でゲーセンに行ったりカラオケに行った経験位は所有してる。この未元物質に死角はねえ」

一方「そりゃ両手にグローブ嵌めて『野球できます』っつってるようなもンじゃねーか」

垣根「その心は」

一方「第二位の来世にご期待ください」

垣根「………………」

垣根「あれ……涙がとまらねえ……」


22 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:29:29.65 ID:lU0z1.A0
一方「そこで俺ン出番だなァ」

垣根「っつーと?」

一方「俺がテメェの選択肢のバリエーションを増やすのに付き合ってやる。何処に誰かと行くにしても、一回でも意識してパターンを構築しちまえば熟練度がちげェ」

垣根「お前相手なら失敗を気に病む必要もねえ……、反論の余地が見当たらねえよ」

垣根「お前思ってたよりイィ奴だな、再評価もやむなしだ」

一方「は、ハッ! テメェに褒められた所で誰が喜ぶかっつンだァ!」フフン

垣根(やべえコイツこうやって見てると面白いな)



一方「それはそうとちっと質問いいか?」

垣根「んだよ、第一位」

一方「てめェ女だったりしねェの?」

垣根「」

垣根「えっ?」

23 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:35:37.74 ID:lU0z1.A0
垣根「ままま待て、落ち着け、ひとまず落ち着け一方通行、冷静になれよ一方通行」

一方「俺は落ち着いてンぞ」

垣根「オーケー落ち着いてその発言ができるほどお前の脳はぶっ飛んでんのか。 俺が女? どんな演算したらそんなメルヘンな解が弾き出せるんだよオイ」

一方「ンだよ、純粋な疑問って奴じゃねェか。心狭いと友達できねェぞ」

垣根「俺が女ならテメェが男の娘でもおかしくねーなあ! スカートでも穿いてみっか?」

一方「穿く前に吐くからやめろ」

垣根「俺やお前みたいな女がいるかよ、馬鹿馬鹿しい」

一方「てめェ鈴科百合子馬鹿にすンのかァああああ!?」

垣根「――――――は? え? え? 何言ってんのこの子」

一方「いやなんでもねェ、宇宙のパワー受信しちまっただけだァ」


24 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:41:43.95 ID:lU0z1.A0
垣根「で、結局なんでそんなぶっ飛んだ発言に至った過程を詳しく」

一方「いやよォ、正直下らない話なンだけどなァ」

垣根「そういう予防線とか別にいいから」

一方「ほンッッっと下らなすぎて涙出てくんぞ」

垣根「D・V・D! D・V・D!」

一方「…………有事に備えて、友達作りとかデートコースとかの予行演習に付き合う……。普通こういうの女の子相手にやってフラグがどォとかそういうンじゃなかったっけなァって」

垣根「」

垣根「え、キメェ。なんていうか、ただ、まあ、あれだ。うん、キメェ」

垣根「さっきの再評価を更に再評価しなきゃならねえ。そんでもって、ああ、やっぱりキメェ」

一方「だァァァァァァァァから言いたくなかったンですゥゥゥゥゥう」


25 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:47:26.86 ID:lU0z1.A0
垣根「そりゃゲームか漫画の見すぎだな。第一位まで今流行のゲーム脳に毒されてんのかよ、世も末じゃんか」

一方「なンでもかンでもゲーム脳にする風潮はよくわかンねェよな」

垣根「そんなジョークを見た事がある。全然無害なものをいかにも有害っぽくでっち上げてく論文みてえな」

一方「後付けの理屈だな。屁が出ちまう」

垣根「今にゲーム脳のせいで世界が滅びだすぜ」

一方「な、なンだってーー!」




一方「まあテメェが120%男って事ァ理解した」

垣根「戸愚呂かよ。残りの20%はどこへ行った……」

垣根「それはそうと俺の未元物質に常識は通用しねえ。因みに性転換するのに態々タイに行く必要なく今この場でも可能だ」

一方「おいばかやめろ気持ちわりィ」

垣根「冗談だよ当たり前だろ。俺の未元物質にだって不可能はある」

一方「ンですよねー」
垣根「ですよー」

26 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 02:53:45.98 ID:lU0z1.A0
一方「今日はもう夕方だァ、なんかするにしてもまた今度だな」

垣根「そういう季節だしな、油断してっとあっという間に太陽が逃げてっちまう」

一方「取りあえず明日はなンか予定あンのかよ」

垣根「学校があった気がしなくもないが、そんな事はなかったぜ」

一方「オレキトク、スグカエルってかァ?」

垣根「少しだけ面白くて悔しいじゃねえか」

一方「まあ学校なんかわかりやすい同年代の奴らが群れてっからよォ、知り合い作るのにたまに顔出しとけ。学校ちゃンと行ってンのか?」

垣根「そこそこはな。それはそうと質問のベクトルを反射する」

一方「行ってるように見えるか」

垣根「俺が浅はかだった」

28 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 03:08:45.64 ID:lU0z1.A0
一方「ンじゃ、明日の一時半位にここのファミレスで構わねェか?」

垣根「取り合えず、何をするつもりか位聞かせろよ。明日までのお楽しみなんてメルヘンはガラじゃねえんだ」

一方「つっこまねェぞ。明日は取り合えずカラオケにでも行こォかと思ってる。その後どっかもう一箇所だな、そいつはノリで決めれば良ィ」

垣根「問題ないな、そんくらいで妥当な線だろ。時間についても異論はねえ」

一方「ン。じゃ勘定はよろしくな」

垣根「待ちやがれ。何ガラにも無く爽やかにさりげなーく押し付けようとしてんだ?」

一方「大して頼んで無ェンだから良いじゃねェの。明日世話になるんだからこんくらい恩売っててもバチァ当たらねェぞ」

垣根「――――チッ、仕方ねえな」アリガトウゴザイマス マタオコシクダサイマセー



垣根「じゃあ明日は一時半だな」

一方「おォ。あ、メシは少し早めに食っとけよォ」スタスタ

垣根「? わかった。あばよ、第一位」スタスタ

29 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 03:18:29.03 ID:lU0z1.A0
垣根「…………」スタスタ

垣根(しかしなんつーか……)

垣根(自然に話せてた、よな……? 今まで俺の顔色ばっか伺ってこられたけどそういうのが無いからっつーか……)

垣根(ガキの頃から特異な能力だとかでくる日もくる日も開発漬けで同年代の知人なんか殆どいなかった)

垣根(少し余裕ができてきた時にはもう俺の力を恐れて遠巻きにしか見てこねえ)

垣根(擦り寄ってくんのは下心見え見えの薄汚え畜生共ばっかりだった)

垣根(………………)




一方「…………」スタスタ
一方(とは言ったものの俺にもダチなンざいねェ……)

一方(そもそもアイツ以上に俺学校行ってねェしな……)

一方(ま、要所要所でそれっぽい事いっときゃなンとかなンだろ)

一方(折角態々俺ンとこに頼ってきてンだもンな、理由はどうしょうもねェが)

一方(……今日の晩メシはなンだろな、と)

41 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 22:51:24.59 ID:lU0z1.A0
翌日。

本人自身誰にも言えないと思っていたし誰に言うつもりも無かった事実だが、垣根帝督は昨夜熟睡したとは到底言えなかった。
理由は極々単純かつ明快なものである。例えば、遠足の前夜に小学生が中々眠れない、それとほぼ似たようなものを想像してくれれば良い。

――――しかし、それは無理も無い事だっただろう。
いくら予習のようなものとは言っても、それは間違いなく前々から望み続けていた『友人との一時』なのだから。


朝、一人で住む学生寮――――一人で住むにしては規模の大きい部屋。学園都市第二位という能力者のレベルやそれに対する周囲の対応のせいである――――で眠い眼を擦った所で、垣根帝督はまず時計に目を向ける。
無機質なデジタルで表された数字は、昨夜彼がアラームをセットしていた時刻の十分前。午前九時五十分を示していた。
本来ならば二度寝したい程度の眠気具合だったが、その場合万が一の事態が起こり得てしまう。
その可能性を潰すべくぐいと立ち上がった彼は、そこで軽い貧血に襲われて壁に頭を激突させ、改めて意識を覚醒させた。


用を足して、顔を洗い、歯を磨いている所でけたたましく鳴り出した時計を右足で正確にボタンを狙った上で弾き飛ばしながら、彼は考えていた。

垣根(一時半に待ち合わせるなら、その十分前には着いておきてえ。まあどうせ暇だし三十分位前に行っちまっても構わねえだろうな。時間的にも、昼飯は個別を前提としたものだろうし定食屋ででも食うか)

垣根(少し早めに食っとけとの言葉通りにするなら、十二時にはもう食べ始めておく事だな……)

逆算した上での時間を加味してはじき出した結論に従い時間を潰しつつ定食屋で食事の後目的地へ向かう。
かくして垣根帝督は、待ち合わせ時刻の一時半、そのおよそ三十分前に前日一方通行と会話していたファミリーレストランのドアをくぐった。

42 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 22:59:50.36 ID:lU0z1.A0
店員「いらっしゃいませこんにちはー、お一人様ですか?」

垣根「一人で」

店員「かしこまりました、禁煙席と喫煙席、ご希望はございますか」

垣根「えーと」

垣根(――――あれ? あの昨日と同じ席に座ってんの一方通行じゃねえのか?)

垣根「ああ、知り合いがいたんで」

店員「あ、失礼いたしましたー」


垣根「………………」スタスタ

垣根「よう、はええじゃねえか一方通行」

一方「…………? あァ、テメェか。時間は……、はえェのはそっちもだろォが」

垣根「お互い様ってこったな」ガタガタ

43 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 23:09:49.34 ID:lU0z1.A0
垣根「またコーヒーかよ、昨日も飲んでたじゃねえか」

一方「好きなンですゥ。テメェは昨日は甘いもンばっか飲みやがってお子様かってンだメルヘン野郎」

垣根「ちゅうn……ま、人の趣味はそれぞれだな」

一方「途中まで言ったンだ、最後まで言えや」

垣根「やだよ、お前怒るじゃねえか」

一方「いいからさっさと言えっつってンだ」

垣根「中二病乙」

一方「[ピーーー]ぞオラァ!」

垣根(どうすりゃ良かったんだ、このやり取りに正解はあったのか……?)

44 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 23:17:28.24 ID:lU0z1.A0
一方「取り合えず俺は食休みも兼ねてンだ、予定の時間まではここにいンぞ」

垣根「食休みね、だから早めにメシ食っとけとの仰せか?」

一方「メシ食ってすぐ運動やらカラオケはよくねェんだ。カラオケだと特に、声が出にくいンだと」

垣根「成る程な、色々考えてんじゃねえの」

一方(って、木原クンが薀蓄垂れてたなァあの時)

垣根「あ、店員さん俺もドリンクバー一つで」

店員「かしこまりました、グラスはあちらにありますのでご自由にお使いください」

垣根「よし、入れてくるか」

一方「俺も行くわ」ガタッ

45 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 23:20:45.77 ID:lU0z1.A0
垣根「はぁ、抹茶ラテうめぇ」

一方「泡が上にあるやつは泡の温度と中身の温度が違いすぎて困る」

垣根「俺も最初は火傷こいたな。……お」

一方「どォしたよ」

垣根「あそこの信号のとこの子見えるか?」

一方「ァ? …………ムートン付いたダッフルコート?」

垣根「その子。悪くねえな、あの雰囲気は悪くねえ」

一方「お前あァいうのが良いのかよ。年上に見えンな」

垣根「色気があるに越したことは無い。大学生前後がベスト」

一方「ふゥん、まァいいがよ」

垣根「随分興味無さげだなオイ。あん中で一人くらいコイツはってのいねえのかよ?」

一方「……別にィ?」

垣根「スカしてかっこつけてんじゃねえぞ。ほら、誰が良いんだよ。あっちのOL風なんてどうだ?」

一方「――――――強いて言うなら、あの金髪だな。右端の」

垣根「ありゃあ……常盤台中学の制服か? ちいっと改造してるっぽいな。おいおいテメェ年下好みかよ」

一方「うっせェな、強いて言うならっつってンだろ。……コーヒー取ってくる」

垣根「あ、俺も行くわ」

一方「早ッ」

46 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 23:21:30.78 ID:lU0z1.A0
垣根「はぁ、抹茶ラテうめぇ」

一方「コーヒーうめェ」

垣根「カラオケっつっても何処の行くんだ?」

一方「Sダックス。金無ェ奴がいるとかでも無い限りドリンクバーの店のが良いぜ」

垣根「ヒトカラはたまに行くから大丈夫だ。が、Sダックスは行ったことねえな。いつもは歌大広場だ」

一方「そこァ安いンだがなァ……、Sダックスのが綺麗な事が多いンだ」

垣根「ふぅん……、カラオケなんざ何処も一緒じゃねえのか。参考になるわ」

一方(まあ、木原クンカラオケ好きだしなァ…………あンだけ連れてかれりゃ嫌でも覚えるわ)

垣根「……今度は左から二番目のデパートの袋持ってる子だな、80点。お前は誰かいるか?」

一方「――――――ノーストライク、フォアボール」

垣根「せっまいストライクゾーンしてんなおい」

一方「ン、そろそろ時間だな。行くぜェ」ガタガタッ

垣根「うーい」ガタガタッ

47 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 23:22:55.73 ID:lU0z1.A0
一方「さてまあそンなこンなでカラオケにやって参りましたァ」

垣根「わーーー」パチパチパチ

一方「おい、きめェぞやめろ」

垣根「自分で振っといてそういう態度あんま良くないんじゃねーのぉお!?」

一方「――――お、マラカスだァ。これ振ってるとなンつーかメキシカンな気持ちに浸れンな」シャカシャカ

垣根「流すんじゃねえ。ドドンタコスのアレか? 俺はあの菓子嫌いじゃねえよ」シャカシャカ

一方「マジでか? 俺も嫌いじゃァない。むしろ好きだな」

一方「……キロカロリーメイトは?」

垣根「チョコレート。……きのことたけのこは」

一方「たけのこの黄金比以外に選択肢がねェ。……超堅揚げポテト」

垣根「ブラックペッパー」



  `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´



一方「テメェは話の通じる奴だった。喜べよ未元物質ァ」
垣根「同好の士に会えるたぁ、幸せなこったな一方通行」


一方「ウチの保護者の野郎はきのこ派なンだがな」

垣根「よほど早死にしたいと見える」

一方「理由聞いたら『チョコが多いから』だとよ」

垣根「俺がチョコ買ってやるからチョコだけ食ってろと。一生チョコ食ってろと」

53 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 00:48:29.17 ID:jD2WPog0 [2/13]
店員「いらっしゃいませー、二名様でしょうか」

一方「ン」

店員「Sダックスの会員でいらっしゃいますか?」

一方「…………」スッ

店員「ありがとうございます、何時間でしょうか?」

一方「決めて良いか?」

垣根「任せた」

一方「二じかンで」

店員「学生様でしたら学生証等お持ちでしたらご提示お願いします」

一方「……テメェあるか?」スッ

垣根「おう、一応あるぜ」スッ

店員「ありがとうございます。ご希望の機種等ございますか?」

一方「…………」チラッ

垣根「特にこだわりはねえよ」

一方「DOMで」

店員「かしこまりました。ドリンクバーのグラスはどちらに致しましょうか」

一方「俺ァホット。どっちが良いよ?」

垣根「アイスで」

店員「かしこまりました、お部屋はあちらの階段の上の208号室となりますごゆっくりどうぞー」ガチャガチャ

54 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:00:18.00 ID:jD2WPog0 [3/13]
垣根「飲み物も用意して部屋に入った、マラカスもある。準備万端、いつでもイケますってなあ!」

一方「今度はメロンソーダかよ」

垣根「炭酸苦手だからストローでかき混ぜて炭酸抜かなきゃ飲めねえがな。因みに、氷は大き目のを二つがベスト」

一方「いや、別に聞いてねェし」

垣根「コーヒー飽きないのか、そんなに連発してて」

一方「別腹なンですゥ」

垣根「にしてもこの部屋暗いな、その辺にツマミとかねえか?」

一方「あった」クイッ

垣根「サンキュ」

55 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:15:01.56 ID:jD2WPog0 [4/13]
垣根「理由は特にねえんだが、カラオケとかで部屋に入って落ち着くと何だか『お疲れ様したー』みたいな雰囲気にならねえ?」

一方「言わンとしてる事は判る」

一方「それはそうと、なンか頼むなら最初に言っとくぞ。歌ってる時に来られたら気まずいってレベルじゃねェし」

垣根「――――マジかよこのメニュー、ファミレスレベルの品揃えじゃねえか……。余程俺たちを歓待したいと見える」

一方「Sダックスだからな。ま、割高だから腹へってンなら出てから食えよ」

垣根「ア゛? お前誰にもの言ってんの? 金とか湯水の如くあるからよ」

一方「そういう高飛車な態度はあンまよくないんじゃねェの。気前の良さをアピールすんなら別だがよォ」

垣根「マジで? そいつは覚えとくわ」

一方「ま、せっかくこの第一位にこうべ垂れに来たんだァ、ケツ拭くとこまでキッチリ付き合ってやンよ」

垣根「……お前、思ったより面倒見良い奴だな」

一方「そ、そんな事あるわきゃねェだろォ!」

垣根「照れてるお前も、かわいいぜ?」



一方「――――反射がきかねェ精神攻撃だと」ドン引き

垣根「なんかごめん」

一方「おゥ」

56 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:25:37.44 ID:jD2WPog0 [5/13]
垣根「ポテトでいいや、このオメガポテトって奴。お前も食えるだろ?」

一方「まァな。――――――あ、オメガポテト一つ。……ン」ガチャリ

一方「さァて、ポテトが来るまでに歌う曲でも決めとくか」

垣根「そういやどんな曲歌うんだよ? ディスってる訳じゃねえがパッと見JPOP歌うお前が想像し切れねえんだが」

一方「ああ、まあ、うン……洋楽、とか?」

垣根「良くも悪くもイメージ通り過ぎんじゃねえの? 俺は町で流れてる最近の曲とか聞いてて良いのがあればパソコンで調べて聞いてる。最近は便利なサイトがあるもんだ」

一方「ふーン。ぶしつけに悪ィがテメェ歌上手いのかよ?」

垣根「下手じゃねえ……とは思うがよ。音程は外してないんじゃって感じだな、自分では。ああ、下手だ下手だとか異常に言う奴ほど上手くて白ける空気ってあるよな多分」

一方「上手下手に拘り過ぎる奴に付き合ってっとキリねェよ。こういうのは、色々とやり過ぎない適度に空気を読みつつ楽しむのが一番だァ」

垣根「一方通行のちょっと良い発言タイム入りましたー」

一方(木原クンの受け売りタイム入りましたァー)

58 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:41:25.13 ID:jD2WPog0 [6/13]
店員「失礼します、お待たせいたしましたオメガポテトでございます」

店員「料金のほう、お先に頂いてもよろしいでしょうか」

一方「ン」

店員「……600円頂きまして20円のお釣りです。ありがとうございましたー」バタン

垣根「思ったより多いな、オメガポテト」

一方「あったけェ内に食えよ。ただ熱いから気ィつけな」モグモグ

垣根「お、うめぇ。思ったよりうめぇ」モグモグ

一方「確か徳用スーパーかどっかで売ってたンじゃねェかなこのポテト」モグモグ

垣根「マジで?」モグモグ

一方「おゥ」モグモグ

垣根「……」モグモグ
一方「……」モグモグ

59 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:48:51.69 ID:jD2WPog0 [7/13]
垣根「よっしゃ、どっちが先に歌うよ」

一方「ここは勢いあまって俺が先に入れてやらァ」ピピピピピッ

垣根「なぁにを突っ込みやがった・か・な、と……。エメラルドソード?」

一方「『ァ、ァ、ァー』……ちょっと音でけェな」カチカチ  テッテッテテテテーテテテーテテレレレテー

垣根「うおっ、やけに激しい曲始まってんじゃねえかよ」

一方「こォいう曲風のバンドだからなァ」


一方『アーイクローダ、ヴァーリーズダダースオブミッラーン』
一方『オンダウェーイトゥダグローリーアイローノーマイソーゥ』
一方『フォーザーキーンフォーザーラーンフォーザーマーウンテンズ』
一方『アイウィルサーチフォーディーイーメーラルソーーーゥ』


一方「今日は喉の調子が良いぜェ」

垣根「んだよ、全部英語で一瞬だけビビっちまったがお前歌上手いじゃねえか」ピピピピッ

一方「やっぱ歌は練習だァ。原曲聞き込ンで下手でも自分の歌聞きながら悪ィとこ考えりゃァ嫌でも上手くなる。楽しンでたらもっとだ」

垣根「それはそうと……やけにメルヘン……いや、ファンタジーな歌詞の曲だったな」

一方「心配すンな、自覚はある。それはそうとさっきお前が入れてたのはなンの曲だ?」

垣根「BUMPだな。こないだゲーセンの音ゲーに入ってたの聞いてから」

一方「ほォ…………」


垣根『ガラッス玉ひーとつ落とされた、追いかけてもひとつおっこちた』
垣根『奪わーれないよーに、まもーりー続けってーるー』
垣根『必ずー、僕らーはでーあうだろー』
垣根『僕らーはー、ひとつーになるー』

61 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 01:56:10.51 ID:jD2WPog0 [8/13]
垣根「ふぅ、歌いきってやったぜ」

一方「白ける程じゃねェけどオマエも良いじゃン。でも、少し元曲意識しすぎかもな」

垣根「無意識の内に、元曲の歌い方に似せる方向に行き始めると時たまキモい歌い方になるときあるよな」

一方「どっかで誰かに止めてもらわねェと取り返しつかなくなるもンな。……飲み物取り行こうぜ」

垣根「おう。……あ、俺トイレ行ってるから先行っといてくれよ」

一方「ン」ガチャバタン




削坂『ブレイクゥゥゥゥ、ブレイクゥゥゥゥ、んァああなたのむわァあああちぬうォおおおおおお!!!』


垣根「隣やけにエキサイトしてやがんな……」

削坂『かいたいィィィィかいたいィィィひィィィとやくかいたいィィィYYYYYYYYY!!!』

垣根「まあいい、トイレトイレ……」

64 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 02:03:56.68 ID:jD2WPog0 [9/13]
垣根「――――ふぅ」

垣根「カラオケ来るとトイレが近くなるのはなんでなんだろうなぁ」シャー ガチャバタン

垣根「次の飲み物は何を選択するか……、同じメロンソーダで攻めるのも芸がねえ。かといってウーロン茶に回ると糖分が足りん」

垣根「紅茶にガムシロ増し増しの手もあるが……、ん?」




垣根「こりゃぁ…………」

垣根「コーンポタージュ…………?」

65 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 02:06:55.06 ID:jD2WPog0 [10/13]
垣根「――――――」ガチャバタン

一方「ン、おかえりだァ」

垣根「…………一方通行、認めざるを得ない。俺はSダックスを舐めていた」

一方「ァ? …………テメェそれはまさか」

垣根「ポタージュまじうめぇぞwwwwwwwwwwwwwwwwなんだこのまろやかさwwwwwwwwwwww」

一方「そこに気づくとは……やはり天才か……」

67 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 02:11:47.96 ID:jD2WPog0 [11/13]
垣根「ポタージュだけで生きていける気がしてきた」

一方「コーヒーうめェ」

垣根「そういやオマエはカラオケとかよく来んのかよ?」

一方「木原クンとたまにな」

垣根「木原クン? 誰だそりゃ?」

一方「俺ン能力開発者の一人だよ。一応、保護者みたいな事になってる」

垣根「ほぉ…………、こないだのタバコのか。更に良い奴じゃねえの」

一方「うっとォしいだけだろォ……、次の曲でも入れンぞ」ピピピピピッ

68 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 02:18:56.35 ID:jD2WPog0 [12/13]




一方「おーおー、太陽の光が眩しいなァ」

垣根「二時間か……、思ったよりあっという間に過ぎるもんだな時間ってやつは」

一方「ほンのちっと歌い足りない位が丁度良いンだ、又誘いやすくなるし何より歌う歌が無くなって時間が余ってる時の気まずさはヤベェ」

垣根「ほうほう。中々参考になる意見だな」

一方(って、木原クンが(ry )

垣根「今三時半過ぎか……、三時のおやつって時間でもねえし」

一方「オマエどっか行きたいとことかねェのかよ?」

垣根「そうだな……。>>70とかどうだ?」

70 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 02:24:14.10 ID:4afq0iAo [2/2]
ボーリング


80 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 21:51:07.49 ID:QGoCjBc0 [2/36]
垣根「よし、お疲れさんだ」

一方「まだレーンに座ったばっかじゃねェか。…………ガッコンガッコンうるせェな」

垣根「この音が鳴り響く空間こそがボウリング場だと定義できる。深々としたボウリング場はむしろホラーだ」

一方「誰もいない学校やら街角と同じ怖さか。常日頃のギャップがあるからこそ怖さが倍増するンだな」

垣根「怪奇! 誰もいない友達!」

一方「自虐ネタはよしとけよ。それより……この画面のボタン押しゃァ始まンのか?」

垣根「おい何だよ、情けねえな。学園都市第一位のはボウリング一つしたことありませんってかよ」

一方「仕方ねェだろ一回も無い訳じゃねェが全く覚えてないンですゥ、ボウリングなンざ普通に生きてりゃそうそう行かないもンだろうが」

垣根「まあな、俺もほとんど来たことないし」

一方「おいィィ、なンでボウリングなんかに誘ったンですかァ!?」

垣根「したくなったもんはしょうがねえだろ。そろそろ始めようぜ」ピッ

81 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 21:56:43.02 ID:QGoCjBc0 [3/36]
ゴロゴロゴロゴロガコァーン


垣根「ちっ、六本しか倒れやがらねえの」

一方「よし、次ァ俺の番だな――――よっと」

垣根「腕前の程を見せてもらうぞ一方通行」

一方「こンなンど真ん中にボールをぶち当てりゃ良いだけだろ、頗るイージーだァ」フラフラ

垣根(ふら付いてんじゃねえか……下手するとコケるぞありゃ)

一方「行くぜェ…………」スススス

垣根(ボールを投げてるってよりボールに振り回されてるって見た目してんな……)

一方「――――ハッ!」


ダンガコンッ ゴロゴロゴロゴロゴロ


一方「」

垣根「どう投げりゃ四十五度の角度でガーターにボールが突撃してくんだよ……下手すりゃ隣のレーンにボールが突っ込んでんぞ……」

一方「画面の中のウサギにまで笑われてンだが」ビキビキ

垣根「大人しくボールもっと軽いのに換えてこい、オマエにそのボールは重すぎだ」

一方「くっ……」フラフラ

82 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:03:17.64 ID:QGoCjBc0 [4/36]
垣根「おう、一番軽いのにしてきたか? 今度のはまあさっきのより持ててるんじゃねえの」

一方「……下から四番目にしてきた」

垣根「また中途半端な所のにしたな」

一方「俺にもプライドがあンだよ」

垣根「まあいい、次は俺がなげんぞ」スッ

一方(はずせはずせはずせはずせはずせ……)

垣根「――――オラッ!」


ゴロゴロゴロゴロゴロ  ガコーン!


垣根「よしストライク! ラッキーだな、良い跳ね方しやがった」

一方「くそったれ…………」

83 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:08:05.11 ID:QGoCjBc0 [5/36]
一方「…………」

垣根「おい第一位、この勝負は俺の勝ちみたいだなあ」フフン

一方「――――勝ち誇るには早ェぞ、第二位」

垣根「アン? ……27点差で最終フレームだぞ。こりゃ決まっただろ」

一方「カカッ」スッ

垣根(最終だから三回投げれたとと考えても27差だぞ……、ストライク三連発しかまくれねえ)

垣根(自慢じゃないが俺もさっきの一回以外ストライクは出せてない……、もちろん一方通行もだ。こんな土壇場で三連発なんざできるはずが…………)


一方「………………」ニヤニヤ

垣根(なんだ? 今回はやけに無言で投げやがる……、あ)

垣根「一方通行テメェまさか――――っ!!」

一方「ベクトル操作ァァァァああああ! 例え何をしても勝てばよかろうなのだァァァァ!!」 ブンッ

84 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:11:15.80 ID:QGoCjBc0 [6/36]




――――まさにその瞬間に隣のレーンで友人さんと共にボウリングに興じていた少女、佐天涙子氏。後日彼女はこう語っている。


「ええ、斜め後ろから私はあの時の投球を見ていました」

「上手に説明する自信は無いんですが……」

「なんていうかこう……それまでの投球のフォームは、例えるなら……小学生?」

「ボールの重さ、そうですね。自身の体重のおよそ三分の一に迫ろうというようなボールをですね」

「それを一生懸命、ぶるんぶるんと振り回して投げる……そんな風に見えていたんですよ。その瞬間までは」

「その一投だけは違いました。はい、一目で見てわかるくらいにです」

「擬音で表すなら……スッ、と?」

「信じられますか? まったく無駄なくスイングされる腕が綺麗な弧を描いてボールと地面が接触する音すらも曖昧になるほどの華麗な投球技術」

「いえ、信じられないでしょうね。なんせ、自分の目で見た私ですら完全に信じてはいないんですから。――――伝聞などではとてもとても」

85 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:17:26.76 ID:QGoCjBc0 [7/36]




「そこからは私がお話しましょう」

同時刻、同じ場所の違う角度から彼を目撃していた初春飾利氏は語る。



「私は彼の投げる隣のレーン……、ほとんど真横から彼が投げる様子を目撃していました」

「ですから彼の表情とか、仕草とか、細かい様子を見ることができたのですが……」

「白い髪の彼は、投げた瞬間に。……こう、こんな感じにガッツポーズをしました」グッ

「傍から見ていた私がわかったんです、投げた本人からすればこれはもう確信を通り越して予知とも言ってもよかったでしょう」

「『この一投は、間違いなく完璧なものだ』という予知です」

「しかし、結果は少し違いました。――――いえ、確かに一番ピンを完璧な角度で打ち抜きましたよ、彼の一投は」

「ですがボウリングという遊戯はそこまで甘くなかった、そういうことなんじゃないかな……ははっ。なんだかおかしいですね、こんなこと語っちゃって」


「結論から言うと、彼の投球は恐らく完璧すぎたんです」

「ボウリングという遊戯の目的が、一分の無駄も無く僅かな狂いも無く垂直に水平に中心にボールを投じる、そんな遊戯だったなら間違いなく100点満点でしょうね」

「でもそれはあくまで仮定の話です。この遊戯の目的は、いかに多くのピンを倒すかと言うこと」

「よくありませんか? ど真ん中を捉えたと思ったのに全てのピンが倒れず、ピンが残ってしまう」

「まさに…………そんな感じでしたよ。アプローチで固まる彼の表情といえばそれはもう悲劇的過ぎて見ものでした」

「もう、あんな面白いもの見る機会なんか訪れないんでしょうかね――――」


86 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:22:19.95 ID:QGoCjBc0 [8/36]
・   ・
・  ・



垣根「……見事に左右対称にピンが残ったな。四本残りで俺の勝ち確だ」

一方「」

一方「ば、バカな……完璧なベクトル演算を持ってして180度の進入角で頂点のピンにヒットした筈だってのに……」ヨロッ

垣根「プロだってストレートなボールは投げてねえじゃねえか、曲げて投げたほうがストライク出やすいんだろ? 多分」

垣根「それよりオマエ能力は無しだろうが。しかも使ってヘボけりゃ世話ねえぞ」

一方「う、うるせェ! 勝負はこのゲームだけじゃねェぞ!!」ピピピ

垣根「お、次のゲームだな」

一方「あーあ、なンか必殺魔球みたいなのねェかな。……消える魔球、ピンの手前までまっすぐ転がってってパッと消える。ンで、ピンの後ろに出現」

垣根「野球板じゃねえんだぞ、しかも何の意味があるんだそりゃ」

一方「意味はゼロ。次は負けねェぞ、ケリをつけるか未元物質」

垣根「ほえ面をかく、歯噛みをする、地団駄を踏む、どれでもいい。選んで無様を晒せよ、一方通行」

87 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:22:51.94 ID:QGoCjBc0 [9/36]
左右対称にならなかった。死にたい。

88 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:29:43.12 ID:QGoCjBc0 [10/36]



垣根「あー、だいぶ遊んだな。日も良い感じに暮れてきた」ゴキゴキッ

一方「腕がちょっくら重いな……腹ァ減ってっか?」

垣根「まあまあってとこだな、大分動き回ったしよ」

一方「ンな軽い気持でいると地獄を見ンぞ。オマエ、油オオメのラーメンとか大丈夫だよなァ」

垣根「ラーメンはこってり豚骨を良く食うぜ」

一方「よしきたァ、行くぞ未元物質」スタスタ

垣根「あ、おいちょっと待ちやがれ」タッタッタッ

89 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:36:13.20 ID:QGoCjBc0 [11/36]
一方「ここだァ。今日の晩飯はここで食う」

垣根「黄色い看板がシンプルだな。――――二郎学園都市店? 夜にラーメンとか腹にたまるのか?」

一方「その心配はねェ。ま、とりあえず並ぶぞ」

垣根「やけに行列だな……人気の店みたいだな」

一方「うーン、そォいうのとはまた違うンだが」

垣根「?」

90 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 22:44:21.33 ID:QGoCjBc0 [12/36]
垣根「やあっと店内か。随分待ったからもう腹ペコだ」

一方「そいつァいいこった。そこの食券買って店員に見せろ」

垣根「食券か。……なんだかんだでカラオケは払わせちまったからな、ここは俺が払う」

一方「ハッ、別に良ィのによ」

垣根「大人しく奢られとけよ。その方がこっちも良い気分に浸れる。大盛りで良いか?」

一方「…………」

一方「死ぬ気かテメェ…………」

一方「何も悪いこと言わねェから大人しく普通にしとけ」

垣根「……?? じゃあオマエも普通ので良いんだな」

一方「ン」

店員「次の人食券見せてー」


91 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:02:58.03 ID:QGoCjBc0 [13/36]
垣根「それはそうと、なんかやけに店内が殺伐としてるのはなんでだよ……、刺々しい空気だ」

一方「ここはいつもこンなもンだぞ、気にすンじゃねえ」

垣根「それに正直なんかここ店汚くねえか?」ボソボソ

一方「ここはいつもそンなもンだぞ、気にすンじゃねえ」

垣根「床の滑り方がやばかったじゃねえか、こけかけたし。油でも撒いてんのか?」ボソボソ

一方「ここはいつも(ry」

店員「ニンニクは入れますか」

一方「ン。あ、俺ァ野菜マシで」

垣根「え? あ? お、俺は普通で」

店員「あいよ。ニンニクありね」

92 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:06:46.10 ID:QGoCjBc0 [14/36]
垣根「野菜マシとかってタダで出来んのか、サービス精神旺盛ってやつだ」

一方「まあそォだな」

垣根「俺は取り合えず最初だしそのまま食うか、ってな。もし次来た時増やしゃいいし」

一方「ま、何回来ても増やさねェ奴ァ一生増やさねェよ」

垣根「どういうこった」

一方「増やせねェ、のが正確だな」


93 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:07:51.06 ID:QGoCjBc0 [15/36]
店員「はいどうぞ、ラーメン普通と野菜マシね」

一方「ン」
垣根「」

垣根「え? なにこのモヤシマウンテン?」

垣根「え?    …………え?」

一方「初めての奴は大抵そンな反応すンだよなァ」

垣根「麺が見えねェ」

一方「とりあえず食えよ」ズルズル

垣根「あ、ああ……なんつう極太麺、まるでうどんじゃねえか……」ズルズル

一方「あ、モヤシは最初に食おうとすンなよォ、麺と一緒に食うンだ。後で泣き見るぞ」ズルズル

垣根「おう。なんつうか濃いとかこってりとか以前に……大味なラーメンだな」ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(にしても量が多い……、食べても食べても無くならねえぞ……。あ、この肉うめえ)モグモグ

一方「……」ズルズル

垣根(モヤシとか具の性か中々冷めねえな)ゴクゴク

一方「……」ズルズル

垣根(……なんか最初はキツかったが段々美味しく感じてきやがる)ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(……)ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(……あ、やっぱこれキツい)

94 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:10:57.42 ID:QGoCjBc0 [16/36]
垣根「苦しい……、動けねえ、動きたくねえ……」

一方「おーおー、アツいのに吊られて水飲みすぎるからだろォが。ンでも完食した根性は褒めてやるぜェ」

垣根「普通でアレとか大なんざどんな人外魔境だっつんだ…………」

一方「素人さンが大に手を出すのは間接的な自殺だ、判って進むなら止めはしねェが知らずに行くなら全力で止める」

垣根「あそこまで印象が二転三転するラーメンは初めてだ……」

一方「また今度来るか?」

垣根「今は食いもんの話をしないでくれ、リアルに人間ポンプになっちまう」

一方「そォか、頑張れ」サスサス

垣根「背中さすってんじゃねえぞぉ、そりゃ吐く時じゃねえかリアルやべえぞ……」

95 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:11:42.47 ID:QGoCjBc0 [17/36]
垣根「だいぶ落ち着いてきた」

一方「おォ。ンじゃどっか入るか」

垣根「私、貴方にはもうついていけないの」

一方「メシ食うわけじゃねェ、コーヒーが飲みてェ」

垣根「オマエ胃に穴開くぞ、中毒じゃねえか」

一方「テメェは間違いなく糖尿病だな」

垣根「ま、じゃあ昼のジョジョで良いか」

一方「よしきた」

垣根「んじゃ、行くとするか」ドッコイショ

一方「オヤジくせェな」

垣根「うっせえ」

97 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:15:49.84 ID:QGoCjBc0 [18/36]
二人「」カランカラン

店員「いらっしゃいませー、二名様でしょうか」

一方「ン」

店員「かしこまりました。喫煙か禁煙かご希望はございますか?」

一方「禁煙で。ァ、あそこの席良いスか」

店員「はい、ごゆっくりどうぞ」


二人「」スタスタ、ガタガタン

垣根「何度目かわからねえがとりあえず儀礼的に言っとく。お疲れー」

一方「ン」

垣根「とりあえずドリンクバー二つで良いよな」

一方「構わねェ」

垣根「」ピッ    ピンポーン

店員「お待たせいたしました」

垣根「ドリンクバー二つで」

店員「かしこまりました、ドリンクバーの(ry」

一方「――――し、行くかァ」

垣根「うし」

98 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:21:01.07 ID:QGoCjBc0 [19/36]
垣根「抹茶ラテうめえ」
一方「コーヒーうめェ」


垣根「にしてもよ、さっきのラーメン屋。二郎っつったか」

一方「ン?」

垣根「結構ヤバかったが、今考えてみればアレはアレでアリ、だな。悪くはねえ」

一方「――――テメェ『入門』したな? ジロリアンの『世界』に」

垣根「いや、暫くは食べたくねえぞ。そもそもジロリアンってそりゃなんだ」

一方「あそこに連れて行かれた人間は、おおよそ二種類に分類できてなァ」

垣根「ほぉ」

一方「二度と行くかと覚悟を決める奴と、いつか来ようと思う奴にな」

垣根「俺は後者だった訳だ」

一方「俺も一番最初はなンだあの体に悪そうなのは、と思った。小で精一杯だった」

一方「が、徐々に体が適応していくのを感じた。『人の意思』とはッ! それが望む方向へと伸びていく。そして、あの二郎! 確かにあのラーメンには『意思』があるッ!」

一方「オマエも、このままやがて時を経る内に体が二郎のラーメンを求めて行くンだァ……」

垣根「なにそれこわい」

99 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:21:59.93 ID:QGoCjBc0 [20/36]
垣根「……」←抹茶ラテ二杯目
一方「……」←コーヒー二杯目

垣根「――――ん、オイ」

一方「どォしたァ」

垣根「ケータイ光ってんぞ」

一方「ァ? …………ンだよ、木原くンじゃねぇか。ちょっと悪ィ」

垣根「良いぜ」



ンダヨ、キハラクゥーン  カエルジカンダァ? ンナモンワカンネェ、テキトーダァ ン、ン、ンジャナ

垣根「…………」ズズッ

100 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:24:38.93 ID:QGoCjBc0 [21/36]
一方「終わった」

垣根「おう」

一方「…………? なンか変なメールも一緒に来てやがった、……ンだこりゃ」

垣根「どうしたよ」

一方「『絶対能力進化! 20,000回の単純かつ簡単な作業をこなすだけで、楽々レベル6へシフトアップ! 貴方だけに与えられたチャンスです! 連絡先はこのURL~~~~』云々だってよォ」

垣根「典型的なスパムじゃねえか。ほっとけよ、相手すんのも馬鹿らしい」

一方「それもそォだな」


101 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:29:16.89 ID:QGoCjBc0 [22/36]
一方「そォいやよ」

垣根「ん?」

一方「オマエのそのパッと見チャラチャラした感じじゃン」

垣根「そうか?」

一方「それとダチ無しってのがどうも結びつかねェンだよな」

垣根「服とかはたまに見た雑誌やら店やらの組み合わせてるセット一式丸ごと買ってっからな。見本通りに間違いはねえよ。ま、多少は自分で組み合わせて着るが」

一方「それができるなら勝ち組じゃねェか。お前素材は悪くねェ筈なンだからオサレに気ィ使ってそうな気がしたンだよ」

垣根「そうか? ガチガチの能力開発から開放されて即中二病突入したから客観的にはよくわかんねえわ」

一方「その単語俺に聞かせんな。悪くねェと思うぞ。ってか髪染めてハネさせてンのはオサレじゃねェの?」

垣根「床屋に雑誌持って行ってこの髪型でって頼んだ、伸びた部分も色そのまんまなのは未元物質」

一方「ふーン。俺の今着てるシャツとかの模様? 木原くンにいつもボロクソ言われンだけど」

垣根「それはテメェが悪い」

102 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:34:02.50 ID:QGoCjBc0 [23/36]
垣根「……今渡ってる中にはコレって子はいねえな」

一方「またやってンのかよ、飽きねェ奴」

垣根「あーあ、そろそろ彼女の一人や二人欲しいわ」

一方「二人もいてどォすんだ」

垣根「まあ二人は置いといても……、童貞だけはさっさと捨ててえもんだぜ。これだけは俺の未元物質でもどうにもならねえ……」

一方「マジで言ってるンですかァ!? ――――いやいやいやァ、俺らにはまだはえェンじゃねそういうの」

垣根「いや、むしろ俺達程度の年齢又は少し下を境に『始まる』らしいぞ」

一方「なン……だと……?」

103 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:36:37.60 ID:QGoCjBc0 [24/36]
垣根「かといって金に物言わせて素人童貞になるのも負けた気がすんじゃん」

一方「え……、待て、でもよォ」

垣根「つまりだ、俺達の戦いはまだまだこれからなわけよ。覚悟は良いか一方通行、これは戦争だ」

一方「ダチもいない奴が彼女なンざ笑わせやがる」ハッ

垣根「発言のベクトルを反射する」バーリア

一方「……不毛な争いはよそォぜ」

垣根「人間は決して分かり合えない生き物、そう考えていた時期が俺にもありました」

一方「口寂しくなってきた、ポテトでも頼むかァ?」

垣根「ヤリイカの唐揚げ行こうぜ。コレにマヨネーズ頼んでつけて食うとやべえ。思わず翼が飛び出る」

一方「ンじゃそれ行くか」ピッ  オマタセイタシマシタ-

104 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:38:10.86 ID:QGoCjBc0 [25/36]
一方「ォお……イカ舐めてたわ……」

垣根「テメェ全世界のイカ様にジャンピングスパイラル土下座な」

一方「このマヨネーズがまた合うな……マヨラーは理解できねェけど」

垣根「前マヨネーズキッチンなる店に行った事が一回だけあるんだけどな、ヤバかった。何がヤバいって何もかもがヤバかった。略してマヨキチ」

一方「マヨネーズ基地外の間違いじゃねェのそれ」

垣根「出るもん出るもん全てがマヨネーズ味、あの時程コーラが美味しかった事はねえ」

一方「始まりすぎてンな」

垣根「ピザもグラタンも全てマヨネーズ、カクテルにもマヨネーズ味あったな、飲んでみたかったぜ」

一方「油っぽそォなカクテルだ」

垣根「あー、イカうめえ」

106 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:41:13.58 ID:QGoCjBc0 [26/36]
垣根「そういやお前の番号まだ聞いてなかったからたちどころに教えな」

一方「ン、あァ。赤外線で良いか」カチカチカチ

垣根「お、おう。………………」カチカチ


一方「どォしましたかァ」

垣根「……やり方わかんね」

一方「貸してみろォ――――――、登録完了ってなァ」

垣根「……サンキュ」



垣根(よし、よし、さり気なくアドレスと番号ゲットォ……)
一方(赤外線使った事ねェっつー事は……、まァ俺も人の事ァ言えたもンじゃねェが)

107 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:42:11.46 ID:QGoCjBc0 [27/36]






垣根「……もうこんな時間かよ」

一方「ン……? あァ、良い子はネンネの時間ですってか」

垣根「今日はお開きにすっか、日ぃ跨ぐにしてもお前の保護者サンが心配すんだろうよ」

一方「木原くンがァ? ま、今日はこのへンにしといてやるよ」

垣根「なんで痛めつけた後の不良風なんだよw」

一方「今日はこンくらいで切り上げておこォか! 体に悪ィからねっ!」ハハッ

垣根「爽やか通行気持ち悪いです。まじ無いわ」

一方「オマエ、オマエェェェェェェええええ!」

111 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:45:06.31 ID:QGoCjBc0 [29/36]
二人「」カランカラン アリガトーゴザイマシター



垣根「さて、今日は色々とお疲れ様デシタってなあ」

一方「おゥ」

垣根「今回は色々と収穫が多かったな。……今度は、いつにする」

一方「明日明後日はなンか実験が入ってるとかで無理だな。それ以降の暇な日なら良いンじゃねェの?」

垣根「……おう、じゃあメールするわ」

一方「ン」

113 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:46:22.17 ID:QGoCjBc0 [30/36]
ファミリーレストランから方向も特に意図無く少し歩いた所で、垣根帝督はふとその歩みを止めた。
平行して歩いていた一方通行は、なんの前触れも無く唐突に止まった彼に向かって訝しげに振り向く。

一方「どォしたンだよ、急に止まって。腹でも痛くなりましたってかァ?」
垣根「なあ、一方通行。一つばかり質問がある。ま、小指の先の爪の垢程度の大した質問じゃあねえんだが」
一方「やけに勿体振りやがる。さっさと言え」


一度開きかけた口をまた閉じる垣根帝督を見て、一方通行は同じく口を開きかけてからまた閉じた。ここは、彼が何かを言おうとしている所だ、そんな予感が頭をよぎる。
普段の軽薄な態度、一方通行に喧嘩を売る時の乱雑な態度、そのどれとも違う様子で垣根提督は佇んでいた。どこかで見覚えがある、と一方通行は思った。
そして思い出す。ファミリーレストランでコーヒーを飲んでいた彼に突然やってきた彼が声をかけたとき、その時も彼は最初今と同じような様相を呈していた。
注意深く見なければ判らない程だが、確かに垣根帝督の視線は小刻みに揺れている。何か言葉を捜しているようにも見えた。ならば、自分は待っていてやろう、と。

一方通行がそう結論付けるまで、およそ五秒。そして暫くの後、垣根提督は口を開いた。

114 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:48:16.75 ID:QGoCjBc0 [31/36]
垣根「とりあえず、俺達今日カラオケ行ったよな」

一方「おゥ、次はバラードでも歌うかって話した」

垣根「その後ボウリング行ったな、俺の勝ちだったけど」

一方「強調するンじゃねェよ。まあ次は負けねェがな」

垣根「んで、メシ食ってダベった訳だろ」

一方「又一人、ジロリアン予備軍がこの世に誕生しちまったなァ」

垣根「でもって、次の約束を取り付けてる、と」

一方「…………」

垣根「お前が言ってたんだよなあ、一方通行。友達を作るには、知り合って、過ごして、それを繰り返す事だとよ」


垣根帝督は、そこで一旦言葉を区切った。しかし、一度開いた口を閉じることはしなかった。微妙に合わせていなかった目線が、はっきりと一方通行を向く。



垣根「っつう事はだ、それに即して判断を下すなら。その……、俺達、もう、友達みたいなもんじゃねえか?」

117 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:51:24.90 ID:QGoCjBc0 [33/36]

ほんの少しだけ、一方通行が目を見開く。絶対時間にして数秒もたっていない筈だったが、垣根帝督にとってはどれだけの相対時間の経過に感じていただろうか。

果たして、一方通行は表情を崩す。ほのかに、頬が赤い。そして彼が良くする、挑発的な笑みの色を浮かべて



一方「おい知ってっかァ、『垣根帝督』。本日最後の授業だ。ダチとか友情っつゥクソッタレな代もンはな」

こう言った。





一方「態々友情を確認したりなンか、しねェもンなンだぜ?」

118 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:52:54.89 ID:QGoCjBc0 [34/36]
今度は垣根帝督が、目を見開く番だった。
言葉をかみ締めるように反芻していたのだろうか。しかし、次の瞬間には彼も普段の彼らしい表情へと戻っている。

……しかし、何時も通りの表情に戻るまでの一瞬の境界から、本当に嬉しそうな笑顔が覗いていたのを見た者は果たしていたのだろうか。



垣根「そーかよ、そいつは目から鱗が飛び出ちまった」

一方「そォいうこった、な」

垣根「俺はこっちだから、行くぜ。――――――じゃあ、またな」

一方「……おゥ、またなァ」


背を向けて歩き出す二人ではあったが、そのそれぞれに浮かんでいたのは、柔らかい表情で。共に口は、自然な弧を描いていたのである。

122 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/17(木) 23:56:55.27 ID:QGoCjBc0 [36/36]
垣根「…………」メルメルメル
垣根「…………」メルメルメル
垣根「…………」メルメル ピッ


『とりあえず明々後日が空いてるから、次会うのはその日にしようぜ。何するかはその時決めりゃいいだろ』

垣根「これでよし、と」
垣根「…………」
垣根「…………」
垣根「…………」ブーン、ブーン
垣根「!」カチカチカチ
垣根「んだ、スパムかよ」
垣根「…………」
垣根「…………」ブーン、ブーン
垣根「…………ぉ」カチカチ

『わかった』


垣根「あいつ……」メルメルメルメル ピピッ


『てめぇ返信短すぎんだよwww マメじゃねえとモテねえぞwwww お疲れさん』
To 一方通行 

垣根「…………メール振り分けか」

垣根「…………」カチカチ

垣根「友達、っとぉ」

125 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:01:29.91 ID:0uALgWw0 [1/12]





木原「随分と遅いお帰りじゃねぇか一方通行」

一方「…………チッ」

研究者兼、同居人兼、保護者たる木原数多の声が帰宅した一方通行にかけられる。
舌打ちと同時にその横を通り抜ける様子を見て、木原数多は内心ため息をついた。
『今日は、晩飯はいらねェ』と、突然言い出した一方通行に何があったのかを問いただしたい気持ちはあるにはある。しかし、聞いたからといって素直に答えるような少年では無い事を彼は経験に裏打ちされた形で熟知していた。
だから恐らくこのまま自室に向かって、そのまま明日の朝まで出てくるまい。そう断じた木原数多の未来予測はしかし、早々に破られる事になる。

一方通行は、今のソファに乱暴に座ってからボソリと口を開いた。

一方「なァ、木原くン」
木原「どうした?」


近頃めっきり自分から話しかけてこなくなっていた一方通行が、珍しくも自分から口を開いている。
そんな程度の事に喜んでいる自分に苦笑しつつ、木原数多はそのいかつい顔に気付かない程度の喜色を乗せて一方通行の様子を窺った。

126 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:03:55.39 ID:0uALgWw0 [2/12]
一方「俺さァ……、今日ダチができたわ」

木原「――――そいつぁ」



聞き返したくなる衝動を何とか押さえ込んだ木原数多の顔が、今度は一目見てわかるほどの驚きに歪んだ。
一方通行は相変わらず視線をこちらに向けずそっぽを向いたままだが、木原数多の経験上この仕草をとるときのこの少年は、およそ間違いなく照れているのである。


驚きが、喜びに変わるまでそう時間はかからなかった。学園都市第一位というあまりにも大きすぎる枷を負っている少年は、その業故にこれまでまともな人間関係を構築していたとはとてもいえたものではない。
そして自信過剰でも自慢でもなく木原数多は自分が只一人、一方通行の周りで打算も遠慮もなく『このクソガキ』と接しているのだという自負があった。

だから。だからこそ、この人よりも優しいはずの――――それこそがもしかしたら親バカ故の意識過剰なのかもしれないが――――少年に友達と呼べる存在が出来たことを、木原数多はその心から祝福した。
その時の彼は、世間において『父親』と呼ばれる存在がよく浮かべる表情をしていたように思う。依然そっぽを向く一方通行の目にその表情はは映ってはいなかったが。


木原「そうか……テメェにもとうとう友達がな……。赤飯でも炊いてやろうか?」

一方「喧嘩売ってンですかァ!? このクソッタレが!」

木原「目上にそういう口調は良くねぇと、んど言やぁ理解するんだァアン!?」ゴンッ!

一方「――――ってェ! ……ったくゥ、反射が利かねェとかなんでそんな技法身に付けやがったんだか」

木原「ガキはな、痛い思いしねえとわっかんねぇからな。これも愛の鞭ってやつだ」

一方「……ケッ。――――ン、メールか? …………」メルメルメル



木原数多は、喜んでいた。そして同時に、願っていた。
この素直ではない少年の、友人が出来たという喜びがどうか裏切られませんように、と。
だが勿論そのような危惧が全くの杞憂である事は、貴方達もご存知の通りであるのだが。









                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ


129 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:13:05.09 ID:0uALgWw0 [3/12]
読んでくれた人マジでありがとうな、コメントくれた人マジでありがとうな
こういう感じでスレに文章投下するのとか初めてだから実は心細かったんや

元々よくある小ネタスレに落としたネタがここまで膨らんでくれて良かった、楽しんでくれてたら嬉しい。
構成上、後四部位ネタとかはあるのだけど、ただドンドンキャラ崩壊が進んでいく感じがしてたからここまでで終わらせるのも一つだと思うんだ

どうだろう、一応もし書くなら次の話は
麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」
なんだけど

132 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:31:07.12 ID:0uALgWw0 [4/12]
マジで? 上条さんは四部目のキーキャラなんやまあこの次のには出ないけど

一応書かせてもらう、ありがとう。だけどキャラ崩壊とか酷そうだったら誰か途中で言ってくれよな、ある程度の矯正はできるだろうから

続ける意思表示に序盤だけ投下してくな

133 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:32:31.40 ID:0uALgWw0 [5/12]
あ、どっかで見たような展開があってもかんべんなwww

134 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:34:34.70 ID:0uALgWw0 [6/12]
麦野「もう細かい話は良いよ……」

絹旗「麦野、私達はこの件について断固とした決意を新たにしています。一言で言い表すなら、超麦野も程ほどにして下さい」

フレンダ「いくら麦野でもそろそろ直すべきだよそういうのは!」

麦野「良いじゃない別に……、限定だか何だか知らないけどお菓子食べただけでしょ?」

絹旗「でもあの時滝壺本当に落ち込んでたんですよ! 超鬱だったんですよ!」

麦野「ああもう、また新しいの買ってあげれば良いんじゃない! それで文句出ないわね?」

フレンダ「結局そういう問題じゃないんだって……」

絹旗「そんな考え方ずっとしてたらいつか後悔しますよ?」



麦野「…………っせえ」

麦野「うっせえんだガキ共!! 仲良くピーチク雑音垂れ流してんじゃねえぞ!!」


135 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:35:40.26 ID:0uALgWw0 [7/12]
フレンダ「で、でもそうやって嫌な事からずっと目を背け続けられる訳ない訳よ!」

絹旗「ち、ちょっフレンダそれ超言い過ぎですって!」

フレンダ「こっちだって少しは麦野の事を本当に思って――――」

麦野「纏めて明日のゴミに出されたいのかよ!? ァア!?」ブンッ

フレンダ「…………!!」ビクッ

滝壺「…………そうやって、力を振りかざすの?」

麦野「ぐッ――――――!」



絹旗「麦野……」

フレンダ「……」

麦野「ァァ判った! こんな場所ごときッこっちから願い下げってなァァァ!! テメェら纏めて野垂れ死にやがれ畜生共がッッ!」ゴガァァァァァァン!


136 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:36:54.45 ID:0uALgWw0 [8/12]



絹旗「超凄い勢いで出て行きましたね…………」

フレンダ「あっちゃあ。ごめん、ここまで言うつもりは無かったんだけどつい……」

滝壺「でも、むぎのは私達に危害を加えなかった」

絹旗「にしては玄関のドアが超ボロボロ……、物に当たって人に当たらず、ですか」

フレンダ「ま、なんにしても暫くすれば帰って来ると思う訳よ。今は優先度高い依頼も無いし、アイテムは開店休業って所ね」

滝壺(むぎの大丈夫かな……)

フレンダ「当面の問題は、開けっぴろげ風通しが良くなった扉をどうするか、って訳かー」

絹旗「とりあえずござでもぶら下げときますかね」ガサガサ

137 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:39:10.92 ID:0uALgWw0 [9/12]
学園都市において七人のみ認められている超能力者(レベル5)。その第四位、麦野沈利は鼻息も荒く都市を闊歩していた。

事の発端、そしてその理由は至極単純なものだった。
彼女が、彼女の属している『アイテム』、その組織のメンバーである滝壺理后という少女が大切にしていた(らしい)お菓子を食べてしまった、というものである。

落ち込む滝壺理后を慰めたのは絹旗最愛とフレンダという同じく『アイテム』所属の二人の少女。彼女らにも何か溜まったものがあったらしく、三人は結束して麦野に直訴しに来たというだけの話だった。
勿論、そこで麦野沈利が己の非を認めて謝罪していたならば違った道があったのかもしれない。

しかし、かもしれない、というのは起こり得なかった仮定の話で、実際に麦野沈利の口から飛び出たのは「代わりの品を買ってくれば文句無いでしょう」との発言だ。それは、世間一般で言うところの見事なまでの逆切れである。
その一連の流れの結果として、麦野沈利は感情の赴くままに自身の住まうマンションを後にして冒頭に至る、そういう訳だ。



暫く当ても無く歩く事で、彼女の頭も適度に冷え始めている。だからといって、つい先ほど飛び出してきた場所に引き返すつもりなど毛頭無い。
そんなことは彼女のプライドが許さないし、何より帰ったとしても気まずいことこの上ないだろう。その空気を霧散させる為にやるべきことは一つだと彼女の明晰な頭脳は弾き出してはいたが、それこそやはり彼女のプライドが許す行為ではなかった。

ただ、あの時。フレンダの発した言葉に我を忘れた麦野沈利を止めたのは。
激情に任せて振りかぶった手を止めさせたのは、恐怖でも威嚇でもなかった滝壺理后の自身を見る静かな眼差しだった。
その眼差しを思い起こした彼女は、辺りをはばからず忌々しげに大きく舌打ちの音を響かせた。


138 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:40:59.47 ID:0uALgWw0 [10/12]


それから少しの時間がたった時。麦野沈利は、第六学区にあるゲームセンターまで足を伸ばしていた。
理由は特にない。徒歩でブラブラとしていた時に、目についたのがこのゲームセンターだったからだ。

麦野(ゲーセンかぁ……、暫くこんなとこにも来てなかったなぁ)

そんな思考に導かれるように入った店内は、一瞬その中の喧騒で音が聞こえなくなるような錯覚を覚えるという懐かしいものだった。
適当にぶらついていると、いくつもの機種、筐体が目に付く。逆に、全く見たことも無いような目新しい機種等も同様だ。
ふと目に入った横一列に並ぶダーツのゲームは、以前『アイテム』でゲームセンターに赴いた時に皆それなりにできる中でもフレンダが異様なまでの実力を発揮していたものだった事を思い出す。

麦野沈利は、ズキリ、と胸が痛むのを感じた。唇をかみ締めている彼女の端正な顔は僅かに歪んでいた。

彼女が漠然と感じていたのは、孤独だった。
誰一人自分を理解しようとせず、恐る恐る遠巻きに眺めてはこちらの視線に気がつくと体を震わせてその身を隠そうとする。擦り寄ってくる奴らは皆すべからく下心の持ち主だ。
『アイテム』等といっても、所詮は恐らく同じようなものだったのだろう。彼女達は麦野沈利の能力の下に集っているのであり、決して彼女の人格が認められているわけではない。
今日の事が良い例だ。あの瞬間のフレンダの、恐怖に硬直した表情。あんなものを、これから自分は永遠に見ていかねばならないのか。それも生きている限りずっと。

いや、コレこそがきっと学園都市において七人しかいないレベル5、超能力者の背負うべき業なのだ。
絶大な力には、当然絶大なる責任が伴う。そのツケを自分は払っているだけなのだ――――――、と。
麦野沈利は自身を守るため、そう無理やり自分を納得させた。心に残る寂しさから目を背けたままに。

139 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:43:59.14 ID:0uALgWw0 [11/12]
「――――――!」
「――――――!」
「――――――!」

麦野(……あぁ、うるせぇな)



騒いでいるバカの声が耳障りだ、と彼女は思った。同時に、これだけ機嫌の悪い自分の側で騒いでしまった事を悔いろ、とも。

彼女が行おうとする事を有体に言えば、完全な八つ当たりだ。腹が立っている側で騒がれた。ムカつく。ぶち殺し確定だ。ただそれだけのシンプルな理屈だった。
哀れな子羊のツラを拝ませてもらおうと俯いていた顔を上げた彼女は、途端ぽかんと口を開いたまま硬直する。

自身の目が節穴になったかと錯覚した。寧ろ、錯覚していて欲しいとも願った彼女の思いとは裏腹にそれは間違いなく現実のものだった。

一方「ァァァァァ! なンでこういうときに限ってトリプルに当たるンですかァァァ!?」デレレンッ

垣根「ひゃはは! ざまあ見やがれ神様ってのはなぁ、日ごろの行いとやらをちゃぁぁぁんとご覧になってるってなあ!!」

一方「ほォ、吠えやがるか未元物質」

垣根「今更真面目に言ってもおせえんだよ! この俺の華麗なる投擲で勝利をこの手に掴むところを刮目してやがれ!!」

一方「クソがァ……、勝ち誇るにはまだはえェぞ……」

垣根「オマエこそ諦めが悪い。どこに当たっても俺の得点はお前の得点を下回る、ヤバげなら態と外しちまえばいいってなあ……。――――絶望しろ、一方通行」ビュッ ポウンッ バキーン

垣根「なん……だと……?」

一方「ぎゃははwwwwwww神様ァ見てるもンだなァ、垣根くゥゥゥゥゥゥンwwwwww 一発目からど真ん中とァ流石の俺でも予想だにしなかったぜェ!!」



騒ぐ子羊達の正体は、そう。泣く子も黙る我らが学園都市第一位第二位のコンビであったのだ。
ハイテンションに騒ぐ彼ら。空いた口が塞がらない彼女。ゲームセンターの喧騒から切り離されたこの不思議空間。そんな奇妙な光景から、この物語は始まる――――


140 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/18(金) 00:46:25.99 ID:0uALgWw0 [12/12]
以上が導入部なんや
また二日三日用事が入っててペース投下は出来ないけど、頑張って書き進めていくんで頑張るぜ

だいぶハイペースに投下した性で貯金も大分使い込んじゃったので今日はここまでです
またねー

垣根「友達が欲しいんだが」-2
続きます

コメント

No title

噂通りおもしろかったwww抹茶ラテw

No title

めっちゃいいなこれ
垣根クンと一方さん仲いいと微笑ましすぐる

木原くンンンン!
この世界観すごい好きだ。

おもしろい!最近の記事の中じゃトップだわ

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