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姉「もっと甘えてもいいんだよ?」

1 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:31:21.67 ID:P0zcuBmW0
弟「ただいま」

姉「どうしたの?暗い顔して」

弟「……」

姉「…何かあった?」

弟「別に」

姉「そう」

姉「……」ギュッ

弟「……ぅ」

姉「おかえり」ナデナデ

弟「……ん」

2 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:33:58.55 ID:P0zcuBmW0
姉「夕飯、もうすぐできるから」

弟「……ん」

姉「部屋で待ってる?」

弟「……ん」

姉「じゃあ、できたらノックするね」

弟「……わかった」



5 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:37:46.80 ID:P0zcuBmW0
姉「(もう一品、増やそうかな…)」

姉「(何か、弟のすきなもの、すきなもの…)」

姉「(冷蔵庫に何か……)」

姉「(あ、ナスがある。細く切って、炒めてあげよう)」

姉「(……)」

姉「(……はぁ)」

姉「(また、元気ないなぁ)」

10 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:40:08.73 ID:P0zcuBmW0
 コンコン

姉「できたよ」


姉「……」


姉「じゃあ、下で待ってるね」


姉「(……食べにきてくれるかな)」

13 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:43:03.75 ID:P0zcuBmW0
姉「……」

姉「……」

姉「……」ピッ

TV「…今日のトピックスは………」

姉「……」ピッ

TV「……プチッ」

姉「……」

姉「…さめちゃう」

姉「まぁ」

姉「いつものこと」

姉「うん、うん」

14 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:46:47.77 ID:P0zcuBmW0
姉「……」スースー

弟「……」

姉「……」スースー

弟「はぁ……」

弟「しにたい」

弟「しにたいしにたい」

姉「……」スースー

弟「……」

弟「あ、ナス」

弟「…ナスかよ」

弟「しにてぇ」

15 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:50:25.05 ID:P0zcuBmW0
 チーン

姉「……んっ」

姉「あ、れ……いまの、電子レンジの…」

弟「……」

姉「…あらら、ごめんね、お姉ちゃん眠っちゃってた」

弟「もう寝たら?」

姉「ううん、大丈夫。一緒にたべよっ」

弟「……」

姉「電子レンジでご飯あっためたんだ。お姉ちゃんもあっためようかな」

姉「あ、おかずも暖めなおせそうなやつは、いまやるね」


16 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:53:50.68 ID:P0zcuBmW0
姉「おいしい?」

弟「…別に」

姉「そ、う…」

姉「……」

弟「……」

姉「…あ、そうだ」

姉「その、ナスの炒め物、好きでしょ?どうかな?うまくできてるかな?」

弟「さぁ」

姉「…そっか」

姉「へへ、ごめんね。お姉ちゃん料理へたくそで」

弟「……」

18 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 02:57:43.98 ID:P0zcuBmW0
姉「…えっと」

弟「……」

姉「きょう、学校で…どんなことあった?」

弟「……」

姉「あー、ほら。授業とか」

姉「どんな授業だった?」

弟「……」

姉「えへへ」

弟「……」

姉「…あはは」

20 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:00:03.56 ID:P0zcuBmW0
弟「……寝る」

姉「え、っあ。…ごちそうさま?」

弟「……」

姉「…あ、まって」

姉「おやすみなさい」ギュッ

弟「……ぅ」

姉「いい夢見てね」ナデナデ

弟「……ん」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:06:31.10 ID:P0zcuBmW0
姉「(……今日も、弟は学校で何かあったらしいです)」カキカキ

姉「(いつもより、落ち込んでいました)」

姉「(わたしも、いつもよりがんばってみました)」

姉「(でも、だめでした)」

姉「(ごめんなさい)」

姉「……」

姉「…ふぅ」

姉「明日の朝ごはん、何にしようかな」

27 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:10:41.11 ID:P0zcuBmW0
 朝

姉「……んっ」

姉「まぶし」

姉「……」

姉「(ちょっと、さむいな…)」

姉「(布団からでたくない)」

姉「(もうちょっとだけ……)」

姉「……」

 ガバッ

姉「…んっ」パンッパンッ

姉「痛っ~~~っ」

姉「ううぅ、お姉ちゃん、おきますっ!」

31 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:17:24.30 ID:P0zcuBmW0
 トントントントン

姉「(今日は和食にしよう)」

姉「(冷え込む朝だから、あったかいお味噌汁)」

姉「(具は……やけどしない程度の、あつあつのお豆腐)」

姉「(おかずは…、昨日の残り物にプラスで何か)」

姉「(んー、昨日炒めたナスに、ひき肉あえて、辛めにしてご飯が進むようにしよう)」

姉「(あとは、やっぱり定番のだし巻きたまご。デザート代わりにもなるし)」

姉「(そうだ、ぬかづけがちょうどいい感じに漬かってるといいなぁ)」

32 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:21:47.94 ID:P0zcuBmW0
 ドン   ドン

姉「(…あ)」

姉「(上で弟が起きた音がする)」

姉「(……)」

姉「(…いよっし、もうできるぞ~)」

姉「(間に合った♪)」

弟「……」

姉「おはようっ」ニコニコ

弟「……ん」

姉「朝食できてるから。もう並んでるの食べちゃって平気」

弟「食欲ない」

姉「だ、……よ?」

33 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:24:02.21 ID:P0zcuBmW0
弟「……」

姉「…そ、そう」

弟「……顔洗ってくる」

姉「う、うん…」

姉「……」

姉「……パンの方が、良かったかな」

姉「メニュー見て、言ったよね」

姉「食欲ない、って…」

姉「……」

姉「……あはは」

36 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:29:07.70 ID:P0zcuBmW0
姉「あはは…」

弟「……」

姉「……」

弟「……なぁ」

姉「…へっ!?」

弟「……?」

姉「わ、わわ…。な、なにかな?」

弟「やっぱ、少し食ってく」

姉「……」

弟「少しな。…ご飯、一口くらいでいいから」

姉「…う」

姉「うんっ」

38 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:32:37.86 ID:P0zcuBmW0
姉「これ、お弁当ね」

弟「……ん」

姉「忘れ物ない?」

弟「……ん」

姉「あはは、大丈夫だよね。」

姉「おせっかいだぁ、お姉ちゃん」

弟「……」

姉「じゃあ…」

姉「いってらっしゃい」ギュッ

弟「……ぅ」

姉「気をつけてね」ナデナデ

弟「……ん」

41 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:37:15.47 ID:P0zcuBmW0
姉「……さて」

姉「私も用意しよーっと」

 タッタッタッタ

姉「おっきがえおっきがえ」

姉「セーラー服って着るの簡単だから好き~♪」

姉「ぱっぴっぽーっ☆」

姉「……ん、よっし」

姉「戸締りOK、ガス水道電気OK」

姉「いってきま」

姉「――っけないっ、お弁当忘れてた」

姉「……ふぅ。これでOK」

姉「いってきますっ!」

44 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:47:30.02 ID:P0zcuBmW0
 キーンコーン

姉「…ひゃあぁああっ」タッタッタ

 カーンコーン

姉「……ついたっ」ガラッ

姉「(よし、まだ先生も来てない)」

姉「(…今日は、遅刻じゃなかった)」

姉「(よかった……)」

姉「(うん、…今日もがんばる)」

姉「……」

姉「……」

姉「……」

姉「(弟は、どうしてるでしょうか)」

46 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:50:25.20 ID:P0zcuBmW0
姉「……」

姉「……」

姉「……」スースー

先生「じゃー今日はここまで」

姉「(……はっ)」

姉「(授業、終わってた…)」

姉「(もう、昼休みかぁ)」

姉「(今日はどこでご飯たべようかな)」


47 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:54:22.77 ID:P0zcuBmW0
姉「(うーん)」

姉「(うーん…)」

姉「(たまには中庭で食べようかな)」

姉「……」

姉「(……この辺でいいかな)」

 「んでさ、そのセンコーがさー」

 「はは、マジウケルー」

 「あ、ここで食うべ」

姉「(…う。隣だ)」

 「ってか、それヤバゲ」

 「マジバナマジバナ」

姉「(……失敗した)」

48 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 03:59:16.39 ID:P0zcuBmW0
姉「(……空、青いなぁ)」

姉「(朝は寒かったけど、あったかくなってよかった)」

姉「(きもちいい)」

 「うーわ、それナエル」

 「キモイ通りこしてもうキモチワルー」

姉「(キ、キモ…?)」

姉「(……むぅ。気にしたら負け負け)」

 「アヒャヒャヒャッ!!」

姉「(…ぅ)」ビクッ

 「ナイわー、ヒャヒャヒャ」

姉「(……ぁぅ)」

49 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:05:22.44 ID:P0zcuBmW0
 「あーマジまじぃー、このパンもーいらネー」

 「んじゃもーいこーゼ、ここまぶしスギー」

姉「(……)」

姉「(……ふぅ)」

姉「(やっと静かになった)」

姉「(……あぁ。空。青い)」

姉「(この同じ空の下で、弟もご飯を食べてる?)」

姉「(お友達と仲良く食べていますか?)」

姉「(楽しく食べていますか?)」

 キーンコーンカーンコーン

姉「(あ……)」

姉「(まだ全部食べれてないよ……)」

50 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:10:49.60 ID:P0zcuBmW0
先生「…んじゃ、終わりー。帰っていいぞー」

姉「(…終わった)」

姉「(よしっ、ちょっぱやでスーパーいくぞっ)」

姉「(夕飯はもう決めたから、買うものも決まってるもんねっ)」

姉「(…弟より、早く帰らなきゃ)」

姉「(レジ空いてるといいなぁ)」

52 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:14:02.92 ID:P0zcuBmW0
弟「ただいま」

姉「おかえり」ニコニコ

弟「……」

姉「ん?」

弟「……いや」

姉「……」ギュッ

弟「……ぅ」

姉「おかえり」ナデナデ

弟「……ん」

53 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:17:24.84 ID:P0zcuBmW0
姉「夕飯、もうすぐできるよ」

弟「……」

姉「ん?」

弟「……あの、さ」

姉「どうしたの?」

弟「……」

弟「……いや」

姉「あっ。ご、ごめん」

姉「ごめんなさい。…でも、なんでもはなして」

姉「おねえちゃんに、なんでも…」

弟「……いや」

弟「……なんでも、ない」

姉「……」

姉「そう……」

55 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:22:13.85 ID:P0zcuBmW0
弟「……あ、でもひとつだけ」

姉「え」

姉「う、うん!」

姉「なんでも聞いて!!」

弟「あの、さ」

姉「うんうん」

弟「姉ちゃんさ」

姉「なになに?」

弟「彼氏いたことある?」

姉「……」

姉「……か」

姉「かれすぃっ?」

56 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:25:04.96 ID:P0zcuBmW0
弟「……」ジッ

姉「か、かれ、すぃ?」

弟「ん」

姉「あー、えー」

姉「そのですね」

弟「……」ジー

姉「……」

姉「い」

姉「いるはずないじゃない!」

姉「お姉ちゃんどんくさいもの、あはははははは」

弟「だよね」

姉「だ、だよ……」

姉「だよ?…ね…?……ねー!あははははははは」

57 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:28:35.19 ID:P0zcuBmW0
姉「もーいきなりなんでそんなこときくの弟ったらあはははは」

弟「別に」

姉「あはははは、もしかいて、あれかな」

弟「……」

姉「恋かな。恋の悩みかな」

姉「あはははははは」

弟「……」

弟「……///」カァーッ

姉「あはははははは」

姉「あはは………はは…」

弟「……じゃ。それだけ」タッタッタ

姉「あはは」

姉「あ、は……」

姉「……」

姉「え?」

58 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:33:43.74 ID:P0zcuBmW0
姉「(なんだろうかなんだろうか)」

姉「(なんだろうかなんだろうか)」

姉「(なんだなんだんなんだ)」

姉「(さっきの質問はいったいなんだなんだろうか)」

姉「(わからないわからないわからない)」

姉「(なになになにいったいなんなの)」

姉「(恋?恋してる?お姉ちゃんから経験談?)」

姉「(聞きたかった?そんな感じ?なんで?なんでいきなり?)」

姉「(ううううううううう)」

姉「(わからんわからんわからなーーーい!!!)」ジタバタ

 ドンッ!

姉「……う、ぐぅう……いたた…。足の指角にぶつけたぁ」

姉「……」

姉「(なんだよぅ、…なんなんだよぉ、この気持ち)」

姉「(ばかばかばか、弟のばか…)」

59 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:39:51.90 ID:P0zcuBmW0
姉「(……ばか)」

姉「(ほんとうにばか)」

姉「(自分勝手で、わがままで)」

姉「(ろくに返事もしないで)」

姉「(お姉ちゃんがいないと、何にもできないんだから)」

姉「(それなのにそれなのにそれなのにぃいいいいっ!!!)」

姉「(……)」

姉「(……ちょっと)」

姉「(姉離れがはやすぎやしないかい)」

姉「(あぁ~ぁ)」

姉「(もっと、甘えてほしかったな)」

姉「(いくらだって、受け入れてあげるのに…)」

姉「(弟のためなら、いくらだって……なんだって……)」


第一話「お姉ちゃんは」 おわり

61 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:44:49.45 ID:P0zcuBmW0
女「ねぇ、たしか国語委員だったよね?」

弟「…え?」

女「え……って」

女「自分の委員会、…覚えてない?」

弟「…あ、あぁ…そういえば、そうかな。うん」

女「それは」

女「あなたが、国語委員で間違いないってこと?」

弟「う、うん」

女「……そう」

女「(弟君ってはじめて話したけど)」

女「(すっごく、……どんくさい)」

62 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:49:55.50 ID:P0zcuBmW0
女「…そんなわけで、国語準備室の掃除をやらなくちゃいけないの」

弟「へー」

女「へー、って」

女「あなたがやるのよ?」

弟「……え?」

女「……」

女「(…あー、これ、イラっとくる)」

弟「あ、…え、っと…」

女「なに?」

弟「あー、あの。ごめん」

女「いいけど」

女「(何に対して謝ってるの?ただとりあえず謝っておけばいいと思って…)」

女「(あー、もう)」

63 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 04:54:57.05 ID:P0zcuBmW0
女「…だから、あなた一人じゃ大変だろうって、学級委員の私が手伝うことになったの」

弟「あ、……そう」

女「わかった?」

弟「うん」

女「…じゃあ、放課後。国語準備室ね」

弟「……ん」

女「……」

弟「……」

女「……」ムッ

弟「なに?」

女「それだけ?」

弟「え?」

女「…べつに」

64 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:03:40.61 ID:P0zcuBmW0
女「(普通は手伝ってもらうんだったらお礼くらい言うよね?)」

女「(…なのになんなのあいつ)」

女「(さも当然のようにさ…)」

友「なんだかむくれてますね?」

女「友ちゃん!」

友「おはようございます」

女「おはようおはよう!ねぇねぇ聞いてよ!」

友「ふふ、いいですよ」

女「さっきさー、はじめて弟君と話したのさ」

友「弟君ですか。たしかに私も話したことがないですね」

女「でしょー?」

女「っていうか、男子の半分も弟君と喋ったことないんじゃないかな…」

65 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:11:43.46 ID:P0zcuBmW0
友「そうですね」

友「そういうスタンスなんでしょうね、彼は」

女「スタンス」

友「はい。何か信条があるのでしょう、彼なりに」

女「そういうもんかなぁ…」

女「ただ単に根暗でどんくさいだけだと思うんだけど」

友「さぁ。どうでしょうか」

女「……ま、それはいいんだけどさ」

女「放課後さぁ、弟君と一緒に国語準備室を掃除しなきゃいけなくなったのよ」

友「それはそれは」

女「あーーもう、気まずいよ。あんなやつと話す事とか無いし」

女「無言の掃除になりそう」

友「ふふふ。想像に難くないですね」

66 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:17:14.94 ID:P0zcuBmW0
女「もー、笑ってないでさぁ」

女「友ちゃん助けてよぉ…」

友「助けたいのはやまやまなんですが」

友「放課後はすぐに部活の集まりにいかなければいけないのです」

女「そんなぁ……」

友「大丈夫ですよ」

友「女さんなら、ちゃんと尻にしけます」

女「むっ」

女「どういう意味だっ」

友「女さんは強い子だ、っていう意味ですよ」

69 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:24:09.01 ID:P0zcuBmW0
先生「……ほらー席つけー」

女「あ、…じゃあまた」

友「はい」

女「……」

先生「んじゃー出席とるぞー」

女「……」チラッ

弟「……」

女「(窓際の席だから、……空、見てるのか)」

弟「……」

女「(のんきだね。何考えてるやら)」

71 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:30:35.03 ID:P0zcuBmW0
 昼休み

女「友ちゃん、お昼食べよっ!」

友「はい。隣いいですか?」

女「もちろん」

友「……機嫌、直ったみたいですね?」

女「え?」

女「あー、そうね。いつまでもあんなやつの事、引っ張ってられないしね」

友「そうですか」

女「でもでもでもね、やっぱ放課後のお掃除タイムを考えると」

女「あ~~、憂鬱ぅ」

友「ふふふっ、ではお昼の時間に、放課後の事について触れないことにしましょう」

女「そうそう。休めるときには休まないと!」

72 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:37:45.25 ID:P0zcuBmW0
女「…でね、昨日の9時からのドラマでさー」

友「あらら、ちょうど見逃してしまったんです」

女「えー、もったいない。すっごくかっこよかったよぉ」

友「そんなにですか。来週は絶対見ますっ」

女「うんうん、要チェック」

友「忘れないように、メモ帳に書いておきましょう」

女「……」チラッ

弟「……」モグモグ

女「(一人でお弁当食べてるよ…)」

女「(さびしくないの…?っていうか、友達いないのか)」

友「来週、月曜、九時、ドラマ、っと」カキカキ

74 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:42:34.64 ID:P0zcuBmW0
友「できました。今から楽しみです」

女「……」

友「……あ」

女「…ん、あ、そうそう。うん」

友「ふふふっ。昨日のドラマで何があったか、来週から見ても分かるように解説をお願いします」

女「そうだねっ、うん。えーっと…」

弟「……」モグモグ

弟「……」モグモグ

弟「……」

弟「……」ボーッ

友「……なるほど。息を呑む展開です」

女「でしょー?」

女「(またあいつ、空見てるよ…)」

76 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:48:17.16 ID:P0zcuBmW0
女「ふー、ごちそうさま」

友「ごちそうさまです。…もうすぐ、貴重な昼休みも終わってしまいますね」

女「ほんとだよー、あっという間すぎるよ」

女「お昼寝タイムがほしいーっ」

友「ふふふっ、食べてすぐ寝たら太っちゃいませんか?」

女「いいよー、どうせ授業中寝ちゃうし」

友「それもそうですね。ふふっ」

女「あははっ」

弟「……」ボーッ

女「(……あいつ)」

女「(空が友達なのか?)」

78 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:54:15.01 ID:P0zcuBmW0
先生「…というような流れで、藤原家は……」

女「……」

女「(…午後の一発目が、歴史)」

女「(……これは、ある意味いじめ…)」

女「(クラスのみんなも寝てるし…いいよね……?)」

友「……」ニコニコ

女「(わぁー、友ちゃん元気そう。あはは…、私はもうだめだわ)」

女「(……)」チラッ

弟「……」ボーッ

女「(あいつは…)」

女「(眠くないのか……)」

女「(空ばっか、見て……て……)」

女「(……ん…む…)」

女「……」スースー

79 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 05:58:49.80 ID:P0zcuBmW0
友「…女さん」ユサユサ

女「……」スースー

友「女さん、起きてください」ユサユサ

女「…むにゃ、む?……んむ?」

友「もう、放課後ですよ。国語準備室にお掃除に行ったほうがいいのでは?」

女「ん…………ふぁああっ!!!」ガバッ

友「わ」

女「……はぁ、はぁ、はぁ…」

友「びっくりしました」

女「びっくりしたのはこっちのほうだーっ!」

友「えっと…?」

80 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:03:06.22 ID:P0zcuBmW0
 放課後 国語準備室前

女「ごめんっ、弟君っ!」

弟「……」

女「はぁ、はぁ、はぁ…」

弟「…もう、俺が鍵借りたから」

女「え、本当?…ありがとう。……ふぅ」

弟「……開ける」

女「うん」

 ガチャッ ガラッ

弟「……う」

女「うーー、ケホッケホッ」

女「なにこれ、すごい、ホコリっ…ケホケホ」

81 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:06:44.90 ID:P0zcuBmW0
弟「……」

女「ま、まずっ、換気を良くしよう」

女「こんなんじゃ、作業できない……ケホッケホケホッ」

弟「…え、っと…」

女「窓っ!窓開けるのっ!」

弟「……あぁ」

女「(換気って言ったらそういう事じゃない…。なんで分かんないの?)」

弟「……」ガラッ

女「ケホケホッ、うぅぅ…」ガラッ

84 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:15:37.77 ID:P0zcuBmW0
女「……ふぅ」

女「なんとか、空気が吸えるようになったわね」

弟「……」

女「(くっ……一応話しかけてるんだけど…)」

女「し、しっかし、…思った以上に汚いわね」

弟「……」

女「どこから始めようか?」

弟「……」

女「(おいぃぃぃぃ、少しは投げたボールを返してくれよおぉぉぉ)」

85 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:19:42.72 ID:P0zcuBmW0
女「(カチーン)」

女「(もうこうなったら…!!)」

女「うーん、どこも汚いしね。どこからがいいかな?」

弟「……」

女「どうやって掃除したら効率がいいと思う?」

弟「……」

女「雑巾とか、持ってきた方がいいかな?」

弟「……」

女「ねぇ」

弟「……任せる」

女「えっ?」

87 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:22:57.47 ID:P0zcuBmW0
弟「……任せる」

女「……あ」

女「そう」

弟「……」

女「(な…、なんなの…?任せる?なんで私が?)」

女「(本来は私って国語委員であるあなたのお手伝いのはずだよねぇ?)」

女「(なんで私が決めなきゃなんないのかなぁ?分けわかんないよっ!)」

女「…あのさ」

女「弟くんは、どう掃除すればいいと思うの?」

弟「……」

弟「……分からない」

女「……」

88 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:26:38.33 ID:P0zcuBmW0
女「じゃ、じゃあさ」

女「…えっと」

女「弟君は、部屋の片付けはいつもどうやってるの?」

弟「……」

弟「……姉ちゃんが」

女「お姉さんが?」

弟「全部してる」

女「……」

女「(自分の部屋もお姉さんがしてるってこと?)」

女「(まったく掃除しないってこと?)」

女「(っていうか)」

女「(こいつは自主的な掃除をしたことが無いのか!?)」

女「(だから、分からない、などと…!!)」

90 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:29:53.51 ID:P0zcuBmW0
女「へ、へーそうなんだ」

弟「……」

女「じゃあ、えっと…あー、そ、そうだなー」

女「とりあえず、雑巾もってきて、バケツに水入れて」

女「机の上のホコリでも、雑巾で拭こうか」

弟「わかった」

女「うん」

弟「……」

女「……えっと」

女「じゃあ、バケツに水をお願い」

弟「わかった」

女「(あくまでも受動的なのねあなたは!!)」

91 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:35:43.25 ID:P0zcuBmW0
女「(普通、『じゃあ俺がバケツに水を汲むよ』とか自分から言うよね?)」

女「(なんでそういう気遣いができないのかなー?)」

女「……」フキフキ

弟「……」フキフキ

女「…なんかホコリがすごいから、すぐバケツの水が汚れちゃう」

弟「……」

女「ちょっと、水かえて来るね」

弟「わかった」

女「(『俺が行くよ』ぐらいないんだー、へーふーん)」

92 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:39:25.43 ID:P0zcuBmW0
女「くんできたよ」

弟「……ん」

女「(『ありがとう』でしょそこは……くそぅ…)」

弟「……」フキフキ

女「……」フキフキ

弟「……」フキフキ

女「…お姉さん」フキフキ

弟「……ん」フキフキ

女「いるんだ?」フキフキ

弟「……まぁ」

女「(そこは答えてくれるんだふーん)」

94 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:42:35.49 ID:P0zcuBmW0
女「お姉さん、なにしてるの?」

弟「……高校生」

女「へー、元チュー?」

弟「……?」

女「あーごめん、ここの中学出身?」

弟「……そう」

女「へぇ……3コ上くらい?」

弟「……ん」

女「そっか……へぇ…」

女「(ほんとどうでもいい情報だったわ…)」

女「(でも会話があるだけましか)」

96 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:49:05.39 ID:P0zcuBmW0
女「なんか、お掃除とかもしてくれるみたいだし、いいお姉さんっぽいね」

弟「……」

女「(あれ…?)」

女「私一人っ子だから、兄弟とかあこがれるんだよね」

女「ちょっとうらやましい」

弟「……」

女「どう?お姉さんいて、やっぱりよかった?」

弟「……水」

女「え?」

弟「水、かえてくる」

女「……え、あ……うん」

女「(へぇ……)」

98 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:55:05.63 ID:P0zcuBmW0
女「…よし」

女「机とか棚とかに積もったホコリは拭いたし」

女「散らばった本類もちゃんと収納したし」

女「あとは、掃き掃除だけだね」

弟「……ん」

弟「……ホウキ」

女「あぁ、…たぶん、あの掃除用具入れっぽいところに入ってるんじゃないかな」

弟「……あぁ」

 ガコンッ

女「ほらほら、たんまり入ってる」

女「しかも、あんまり使われてない教室だから、古い機材なのにピカピカしてて新品っぽいし」

弟「……」

100 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 06:59:35.04 ID:P0zcuBmW0
 サッ サッ サッ

女「……」

弟「……」

女「(なによ、掃き掃除はできるのね)」

女「(まぁ、そうか…)」

女「(教室でいつもやってるものね)」

弟「……チリトリ」

女「あ、あぁ…おねがいね」

弟「……ん」

女「(な、なんだろう…?)」

女「(こいつは一体、何を考えてるの…?)」

女「(なんか、完全に気が利かない奴ってわけでも無いみたいだし…)」

101 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:05:31.92 ID:P0zcuBmW0
女「……よしっ、と」

女「チリトリありがとう。…このごみを捨てて…っと」

女「あとはゴミ袋を焼却炉に……」

男「……」ボーッ

女「……ぁ」

男「……」ボーッ

女「ねぇ」

女「なんでそんなに、空ばかり見ているの?」

男「……え」

女「授業中も、休み時間も、……今も」

女「あなたずっと、空を……」

女「(……って)」

女「(私はなにを言ってるのよーーっ!!!)」

女「(そんなの『ずっとあなたを見てました』って言ってるようなものじゃない!)」

女「(ばかばかばか!わたしのばかっ!)」

104 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:07:24.29 ID:P0zcuBmW0
やべ男にしちまった

そまそ

106 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:12:48.99 ID:P0zcuBmW0
弟「……」

女「あ、きょ、今日たまたまね、気づいたのよ!」

女「た、たまたまよ、ほんとにたまたま」

女「たまに弟君をみたらね、空をみてるからさ、なんだろうなーって、気になってね!」

女「(わ、私みぐるしぃいい…。でも言わずにはいられないっ……)」

弟「……あ」

弟「う」

弟「………///」カァーッ

女「……?」

弟「………うぅ///」

女「え、っと……?」

女「あれ……///」カァーッ

女「(私…)」

女「(やだ……何してるんだろう…。なんでこんなに恥ずかしいっ……)」

108 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:16:59.94 ID:P0zcuBmW0
女「……///」

弟「……///」

女「(……何か言ってよ)」

女「(顔、熱い……)」

弟「……なんでもない」

女「……え?」

弟「ほんとに、なんでもないんだ」

弟「なんでも、ないんだ」

弟「ほんとに………///」

女「(うそだ)」

女「そ」

女「そっか……う、ううん。なんだか気なってただけだから」

女「なんでもないならいいんだ。うん」

109 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:24:09.12 ID:P0zcuBmW0
女「じゃあ……」

弟「……ん」

女「また明日」

弟「……ん」

女「(結局あれからぎくしゃくして、ほとんど話せなかったな)」

女「(……ほんとに、どうしちゃったのかな、私…)」

弟「女さん」

女「ほえっ!?」

弟「……掃除、…手伝ってくれて、あり…がとう」

女「……」

弟「……じゃ」

女「……」

女「……///」



女「(それからだ。…弟君が私の心に、否が応でも沁み込んでくるようになったのは)」

111 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:29:48.75 ID:P0zcuBmW0
 約一ヵ月後

女「……はふぅ…」

友「ふふふっ、溜息の森に迷い込んでしまいましたか?」

女「友ちゃん…」

友「元気がないですね」

女「このところ、良く眠れないのさ」

友「そうなんですか?…ちゃんと寝ないと駄目ですよ」

女「わかってるよ。……でも」

友「でも?」

女「……名前で呼んでくれた」

友「?」

女「あ、いや…なんでもなくて」

友「ふふふっ、いいですよ。話せるようになったら、言ってください」

友「なんでも相談に乗りますから」

女「うん…」

112 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:34:49.05 ID:P0zcuBmW0
女「(友ちゃんは、優しいな)」

女「(それにおしとやかだし、美人だし、礼儀正しいし、私のために色んなことしてくれるし)」

女「(……いいお嫁さんになるんだろうなぁ)」

女「(それに、引き換え私ったら…)」

女「はぁ……」

友「……ふふふっ、ひとついいですか?」

女「……ん?」

友「溜息の森から抜け出すためには、どうすればいいか」

女「…どうすればいいの?」

友「簡単です」

友「道に迷わなければいいのです」

115 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:41:31.72 ID:P0zcuBmW0
女「(道に迷わない)」

女「(道……?)」

女「(そもそも、私が歩きたい道って何なの…?)」

女「(……)」

女「(……)」チラッ

弟「……」ボーッ

女「(あ、また空見てる)」

女「(そんなに空っていいのかなぁ…?)」

女「(私も今度、窓際の席にならないかなぁ…、そしたら分か)」

弟「…っ!」ビクッ

女「…っ!」ビクッ

女「……///」

女「(い、いま……)」

女「(目が合った……合っちゃった……///)」

117 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:46:20.48 ID:P0zcuBmW0
女「……」ドキドキ

女「……」ドキドキ

友「…女さん」

女「……」ドキドキ

友「女さん、お昼ご一緒しても…?」

女「は!?」ビクッ

友「……よ、よろしいですか?どこか、具合が…?」

女「だだだだ、大ジョブ大ジョブ!なんてこと無いんだよ!」

友「そうなんですか?…あの、あまり眠られてないみたいですし、ご無理は…」

女「そんなんじゃないんだよ。ぜんぜんっ、チョー元気だよ私っ!」

友「……」

118 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:52:27.65 ID:P0zcuBmW0
友「元気ならいいんですが…」

友「やはり、何か気にかかっている事がおありみたいですね」

女「……うぅ」

女「わかる?」

友「女さんのことですもの」

友「……もっとも」

友「もう何週間も前から、なんとなく気づいてましたが」

女「友ちゃん……」ウルウル

友「そ、そんな赤ん坊みたいな瞳で覗いてこないでください…」

女「頼りになるのは友ちゃんだけだよ……もう、わたし駄目かもしれない」

友「大丈夫ですよ。いつも言ってるじゃないですか」

友「女さんは強い子ですよ」

120 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 07:59:36.69 ID:P0zcuBmW0
女「……みたいな事をしたいんだけど」

女「どうかな?」

友「いいんじゃないですか?」

女「えっ、いいの?」

友「では早速、行きましょう」

女「えっ、えっ…えええっ!?」

友「行動に移さないと、ちっとも先に進みませんよ」

友「……さっ。さっさっ、はやく」グイッ

女「ひゃあっ!」

女「もう、…友ちゃん強引す…」

弟「……?」ジッ

女「……わわっ!」ビクッ

122 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:04:38.61 ID:P0zcuBmW0
女「……」ドキドキ

弟「……?」

女「……あ、あー…えと」ドキドキ

弟「……何」

女「な、…な、何!?」

弟「……?」

友「こんにちは。弟君とは、あんまり話す機会なかったですね。知ってると思いますけど、友っていいます」

弟「……ん」

友「それでですね。女さんからひとつ提案があるそうなんです」

弟「……?」

女「(わー、わー、友ちゃんそれハードル上げすぎ!!)」

123 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:09:18.15 ID:P0zcuBmW0
友「さぁ、女さん。遠慮なくどうぞ」

女「(だーかーらーっ!)」

弟「……?」

友「……」ニコニコ

女「(も、もしかしたら友ちゃん、この状況楽しんでる!?)」

弟「……何?」

女「う…、え、えと…」

女「その……」

女「(そ、そうだ)」

女「(道に迷っちゃだめだ……、自分の歩く道を、信じないと)」

女「(じゃないと、いつまでたっても…っ)」

女「あのっ…」

女「お、お昼を一緒に食べましょうっ」

弟「……」

女「(い、言えた……)」

125 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:14:19.46 ID:P0zcuBmW0
弟「……」

女「…ど、どうかな?いっしょに…」

弟「何で?」

女「…え?」

弟「……?」

友「それはですねぇ、一緒に食べたほうが楽しいからですよ」

女「(おー、友ちゃんやるな!楽しんでるだけじゃないのね、見事な援護射撃!)」

弟「……俺は別に」

友「そうなんですか?いやあ、そういわれてしまいましたら、どうしようもないですねぇ」

女「(おいーっ、あっさりそこで引き下がるのかーっ!)」

女「(友ちゃんはいまいち頼りにならない…。こうなたら……)」

126 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:17:34.95 ID:P0zcuBmW0
女「……も、もう」

女「いいよっ。…別に私達が好きで弟君のそばに食べに来てるだけってことで!」

女「弟君はいつも通り食べてなよ」

弟「……」

女「……そういうわけだから、隣の席にすわるからねっ」

弟「……」

女「友ちゃん、食べよ」

友「は、はい。…分かりました。お弁当持ってきますね」

女「……」

女「…ねぇ、いいよね」

女「迷惑じゃ、ない……よね」

弟「……」

弟「……ん」

女「……あ」

女「………///」カァーッ

129 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:24:29.12 ID:P0zcuBmW0
友「…で、やっぱりあのドラマはいいですね。月曜日が楽しみです」

女「でしょでしょ?私も月曜は、ちょっと特別なんだー」

弟「……」

女「……お、弟君は、ドラマとか見たりしない?」

弟「……しない」

女「そ、そう…。じゃあ、ほかのTV番組とか」

弟「……見ない」

女「……そう」

友「そうですねぇ。では、好きな音楽のジャンルはないですか?」

弟「……聞かない」

女「……へぇ」

友「あらあら」

130 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:28:37.49 ID:P0zcuBmW0
女「じゃあ、家で何してるの?退屈じゃない?」

弟「……寝てる」

友「まぁ」

友「女さんも寝るのが大好きなんですよ」

女「あ、こら友ちゃん!」

友「ふふふっ」

弟「……」ニコッ

女「(あ……笑った)」

女「(や、やばい、わたしなんか……す、すごい…すごく……)」

女「……///」カァーッ

友「あらあらまぁまぁ」

弟「……?」

133 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:32:32.00 ID:P0zcuBmW0
友「…あら」

友「弟さんのお弁当、なかなか美味しそうですね」

弟「……ん」

女「あ、……ほんとだ」

友「お母様がおつくりになってるんですか?」

弟「……いや」

女「……お姉さん」

弟「……」

弟「……ん」

友「あら、お姉さまがいらっしゃるんですか」

弟「……ん」

女「(お姉さん、3つしか年が違わないのに)」

女「(なんでこんなに素敵なお弁当が作れるの…?)」

135 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:39:24.52 ID:P0zcuBmW0
女「(い、いやいやまてまて)」

女「(もしかしたら、見かけだけかも。…味はいまいちかも)」

女「ねぇ弟君。…お弁当一口もらっていい?」

弟「……いいけど」

弟「……交換」

女「えっ…、う、うん。いいよ。じゃあ、おかずの交換しよっ」

弟「……ナス」

女「ナス?…私のお弁当の、このナスの煮びたし?」

弟「……ん」

女「じゃあ、ナスの煮びたしをあげるかわりに……」

女「エビチリが食べたいな」

弟「……分かった」

136 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:48:16.43 ID:P0zcuBmW0
女「(……エビチリ)」

女「(普通は、お弁当用に作られた冷凍もので済ますのに)」

女「(これは、ちゃんとイチから作られたエビチリだわ…)」

女「(でもっ、それが必ずしも美味しいとはかぎらっ………)」

友「わー、じゃあ、私も交換してもいいですか?」

弟「……ん」

友「彩り豊かで素敵なお弁当ですね。どれをいただくか迷います」

女「おいしい」

友「…え?」

女「ねぇ、弟君。ナスの煮びたし好きなら全部あげるっ!」

女「だからコロッケとカボチャの煮つけと肉ニラ炒めと人参……いやニンジンはいいや、をください」

弟「……ん」

138 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 08:54:34.81 ID:P0zcuBmW0
友「……女さん、わたしコロッケ狙ってたんですけど」

女「(エビチリだけ、こだわって作ったのかもしれない)」

女「(…だったら、ほかのおかずも食べてみれば、その正体が露呈されて……)」パクッ

友「あー、コロッケ……ぐす」

弟「ニンジン…」

友「あ、ニンジンはいらないです」

弟「……」ポリポリ

女「(美味しすぎる…っ!)」

女「(おかしいっ……、何?この美味しさの秘密は何!?)」

女「(お母さんが作る料理なんかより、よっぽどうまいよーっ!!)」

女「ねえ、弟君。ナス好きなの?」

弟「……ん」

女「……どんなナス料理でも?」

弟「……ん」

女「(…いよっしっ!)」

139 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 09:01:54.39 ID:P0zcuBmW0
 翌日 早朝 

女「(包丁握るの、家庭科の調理実習以来だぁ…)」

女「…んしょ、……んしょ」トン トン

女「ナス、ナス、マーボーナス」

女「弟君のために……マーボーナスッ」トン ブスッ

女「痛ちっ」

女「いたた……指切った」

女「……」チュパチュパ

女「絆創膏どこだっけ…」

女「……あぅ」

女「(がんばろ)」

142 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 09:13:36.24 ID:P0zcuBmW0
 昼休み

女「今日はねっ、マーボーナスがたまたまあってさ。よかったら食べない?」

女「ほら、私も弟君のお弁当食べたいし」

弟「……ん」

女「じゃ、じゃあこれとこれとこれもらうね。……はい、マーボーナス」

弟「……ん」

友「友ちゃん、その指の傷……」

女「……ど、どう?美味しいかな?」

女「ちょっと辛めにしてみた……あー、いや辛めにしてあるそうだけど、口にあうかな?」

弟「……ん」

弟「……んまい」

女「……ん」

女「んぅ~~~~~~しっ」

友「……」ニヤニヤ

145 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 09:17:39.63 ID:P0zcuBmW0
友「…ねぇねぇ、女さん。本当はそのマーボーナス、女さんが作ったんですよね?」

女「え、…えぇ!?……な、なにを言い出すんだねチミわっ」

友「だって、その指の傷どうしたんですか?…何本も」

女「こ、これはっ……そのおお」

友「ねぇ、弟さん。女さんのことほめてやってあげてくださいよ」

友「そのマーボーナス、作ってきたの女さんらしいですよ」

弟「……ん」

弟「……んまいよ」

女「……はっ」

女「はぅっ………///」

友「ふふふっ」

146 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 09:23:45.92 ID:P0zcuBmW0
女「……///」ドキドキ

弟「……」モグモグ

友「……ふふ」

友「そういえば、女さん」

女「……///」ドキドキ

友「帰りに映画を見に行きたいって言ってましたよね?」

友「ですが、今日は部活で忙しくなるかもしれませんので」

友「…あの、弟さん」

弟「……ん?」

友「よかったら、女さんを映画につれていってあげていただけませんか?」

弟「……ん」

友「ですって。よかったですね、女さん」

女「……///」ドキドキ

174 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 14:55:31.25 ID:IkVpNHkD0
友「はい、これチケットです」

弟「……ん」

友「女さんを、よろしくお願いします」

弟「……」

女「……///」ドキドキ

友「女さん、女さん」ボソッ

女「…ひぅっ!」ビクッ

友「はやく食べないと、お昼休み終わっちゃいますよ?」

女「そ、そうだねっ!たべるたべるよっ。あはははははは」

男「……」

女「あははははは…」

男「……」ジッ

女「え、えっと…な、なにかな?……なにか、顔に着いてるかな……///」

男「……別に」

176 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 14:59:12.53 ID:IkVpNHkD0
くそまた間違えた
脳内変換よろ

178 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:02:06.67 ID:IkVpNHkD0
女「……ぅ…///」カァーッ

弟「……」

友「ふふふっ」

友「女さん、はやくお弁当食べてくださいね」

女「え?…うん、うんっそれはもちろん」

友「まだいっぱい残ってますよ?」

女「…だ、大丈夫。食べれるっ」

友「ふふふっ」

弟「……」

弟「……」ボーッ

女「……」モグモグ

女「(また空見てる…)」

179 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:04:51.48 ID:IkVpNHkD0
 放課後

女「やっと終わったー」

友「では、私は部活に」

女「あれ?今日一緒に映画…」

友「あらあらふふふっ」

友「やっぱり聞こえてなかったんですね?」

女「え?どういうこと?」

友「今日は、忙しくなった私の代わりに、弟さんが映画に行ってくれますよ」

女「……」

女「……?」

女「……ほへぇ」

友「ふふふっ」

181 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:09:34.79 ID:IkVpNHkD0
弟「……どこ」

女「うわびやぅえふああっ!!!」ビクッ

女「ちょ、ちょっと、びっくりしたよぉお!」

弟「……すまん」

女「え」

女「……ま、まぁ」

女「……うん///」

友「ふふふっ」

友「駅前の映画館に行く予定でしたよ」

弟「……ん」

友「それでは、いってらっしゃい」

女「え、えええっ?…ちょ、ちょっと、ええ!?」

弟「……いく」テクテク

女「わわわっ、ちょ、ちょっとまってっ!!」タッタッタ

友「……」

182 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:13:59.07 ID:IkVpNHkD0
弟「……」テクテクテク

女「…っ…うーっ」スタスタスタ

弟「……」テクテクテク

女「……ちょ、ちょっ!」スタスタスタ

弟「……?」ピタッ

女「ご、ごめん……、弟君、あるくの、はやいぃ」

弟「……あぁ」

弟「……うん」

女「もうちょっと、ゆっくり行こう?」

女「な、ならんで……歩かなきゃ」

弟「……」

弟「……ん」

185 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:18:48.84 ID:IkVpNHkD0
女「……」

弟「……」

女「……」チラッ

弟「……」

女「……ぁ///」

女「……にひっ」

弟「……」

女「(今、弟君のとなり歩いてる…っ)」

女「(胸、どきどきする……、なんか、高揚感…)」

女「(すごい、ふしぎっ)」

女「(えへへー)」

弟「……」ボーッ

186 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:25:30.99 ID:IkVpNHkD0
女「……」ニコニコ

弟「……着いた」

女「…えっ…あ、うんうんっ。着いたね!おぉ、いつのまに映画館っ」

弟「……わからない」

女「え?」

弟「……」

女「あ、そっか。映画館入ったこと無い?」

弟「……ん」

女「えっと、まず、あの電光掲示板で時間をチェックして…」

女「ありゃ」

弟「……?」

女「まだ上映開始まで1時間ぐらいある……」

女「まぁでも、とりあえずチケットをとっておこうか」

189 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:33:20.09 ID:IkVpNHkD0
女「良い席取れたねっ」

弟「……えと」

弟「……チケット、くれたのは?」

女「え?…あぁ、これと引き替えをしたんだよ」

女「友ちゃんがくれたチケットと引き替えに、劇場の席の予約券をもらった」

女「…みたいな感じかなぁ」

弟「……ん」

女「でも、良い席とれたはいいんだけど」

女「一時間かぁ…。弟君、なにかしたいことある?」

弟「……別に」

女「そ」

女「そか…」

女「(どうしよう)」

女「(どうしようどうしようどうしようどうしよう)」

190 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:37:50.19 ID:IkVpNHkD0
女「……」

弟「……」

女「……」

弟「……」

女「(さ、さっきからボーッと突っ立ってるだけじゃない…っ!)」

女「(あせっちゃだめあせっちゃだめっ)」

女「(どこか、いい場所…暇つぶせる場所、場所場所場所っ)」

女「(あーーもうわかんない何考えてるのか全然わかんないよっ!)」

女「(弟君の趣味もわかんないしっ……、変なとこ行けないしっ……)」

女「(もうやだ、どうすればいいの…うぅぅぅ…)」

弟「……」

弟「……あそこ」

弟「……なに」

女「え、……ふぇっ?」

192 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:43:26.46 ID:IkVpNHkD0
女「あ、あぁっ、あそこね、あそこはー、えーーっと」

女「そ、そうだ……いわゆるひとつのっ、げ、げーむせんたーっ!」

弟「……げーむせんたー」

女「いいいいいってみる?」

弟「……ん」

女「…えーとねー、ほら、人形とかキーホルダーとかの景品があったりとかー」

弟「……ん」

 ズギャギャギャガガガギャバズバババババ

女「うひゃーー、中にはいるとうるさーい」

弟「……?」

女「うるさいねー?」

弟「……?」

女「うるさいねーーっ!!」

弟「……?」

女「(…ここはだめだ、出よう)」

195 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 15:49:48.15 ID:IkVpNHkD0
女「……ふぅ」

女「うるさかった、ね……」

弟「……ん」

女「あはは…」

弟「……」

女「(しっぱいだ…)」

女「あ」

弟「……?」

女「くまちゃんのストラップっ!!」

弟「……え」

女「ほらほら、このUFOキャッチャーの景品っ」

女「かわいいーーーっ!!!」

弟「……?」

197 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:00:11.91 ID:IkVpNHkD0
女「あーいいなぁ、このシリーズ好きなんだよネェっ」

女「友ちゃんはこういうの得意なんだけど、わたしは苦手でさぁ…」

弟「……」

女「……でも」

女「一回、やってみようかな」

女「いいかな、やってみても」

弟「……ん」

女「よーし、がんばるぞ」

 チャリン キュイキュイキュイ キュイキュイキュイキュイ

女「(ここだっ)」

女「(取れる取れる絶対とれるっ)」

女「あ」

女「全然だめだ…」

弟「……」

198 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:04:23.19 ID:IkVpNHkD0
女「……はぁ」

女「まぁしょうがないっかー」

女「つぎ、どこに行こうか?」

弟「……俺」

弟「……やってもいい?」

女「えっ?やったことあるのUFOキャッチャー」

弟「……ない」

女「大丈夫?一回100円もするよ?」

弟「……ん」

女「ま、まぁ……弟君がやりたいなら」


200 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:08:07.93 ID:IkVpNHkD0
弟「……」

 チャリン キュイキュイキュイ

弟「……」

女「……」

 キュイキュイキュイキュイキュイ

弟「あ」

女「(…行きすぎちゃった!)」

弟「……」

女「や、やっぱり初めては難しいよねっ!」

弟「……ん」

女「あ、あはは、あはははは」

女「はは、は………あれれっ?」

弟「……?」

202 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:14:16.80 ID:IkVpNHkD0
女「すごいねー、もしかして狙ってた?」

弟「……いや」

女「偶然でもすごいよ。こんな小さいヒモに引っ掛かるなんてさっ!」

女「ああいう時、店員さんに言えばちゃんと取ってくれるんだねっ。ストラップが宙ぶらりんだから、ちょっとあわてちゃった」

弟「……ん」

女「あははっ」

女「……にひっ」

女「(とってもらっちゃったーっ)」

女「(弟君に、クマチャンのストラップ……もらっちゃった!!)」

弟「……」

女「……」ニコニコ

弟「……どこ」

女「あっ、…そ、そうだ。何処行こうか!?」

弟「……別に」

弟「……どこでも」

205 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:22:42.52 ID:IkVpNHkD0
 CDショップ

女「ほらっ、この試聴機で聞けるんだ」

弟「……ん」

女「ヘッドホンつけてみて。…結構好きなバンドなんだけど」

弟「……」

女「……」

女「(どうかな…気に入ってくれるかな)」

女「(…うわ…けっこう、ドキドキするなぁ、これ…)」

女「(ちっちゃい頃から好きなバンドの新曲だし…、最近はこの曲ずっと聞いてるし…)」

女「(弟君にも、好きになって欲しいなぁ…)」

弟「……♪」

女「(あっ)」

女「(いいのかな、いいのかな?)」

女「(気に入ってくれそうかなっ…?)」

207 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:25:19.80 ID:IkVpNHkD0
女「……どうだったかな?」

弟「……ん」

女「ダメだった?」

弟「……いや」

弟「……嫌いじゃない」

女「…えー、えーと、それはつまり」

女「好き、ってこと?」

弟「……」

弟「……ん」

女「(~~っ!!)」

女「わたし持ってるから、今度貸してあげるねっ!!」

弟「……ん」

女「(えへへえへへえへへえへへっ)」

女「(やったやったーやった!!)」

210 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:32:03.35 ID:IkVpNHkD0
 本屋

女「……でね、こっちの漫画はもう泣いちゃうくらい切なくてね」

女「こっちはすごく続き楽しみにしてるんだけど、結構熱い戦いしてるんだよねっ!」

弟「……」

女「弟君はあんまり、本とか漫画とか読まない?」

弟「……ん」

女「そっか…」

女「じゃあ、あんまり興味ないかな」

弟「……別に」

女「じゃ、じゃあさじゃあさっ!」

女「迷惑じゃなかったら、これとこれの漫画を貸すよっ。よかったら読んでみてよ面白いから!」

弟「……ん」

女「(うひゃ~~~っ)」

女「(にひひっ、にひひひひひっ」

213 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:37:52.51 ID:IkVpNHkD0
女「…で、まぁこういうストーリーなんだけど、結構オチがしびれるんだー」

女「あーあとそうそう、この本もけっこう面白くてねーっ」

弟「……時間」

女「え?……あ、やだっ。もうこんな…っ」

弟「……走る」

女「えっ?」

弟「……」ギュッ

女「へ?」

弟「……ん」

女「……え、………え?」

弟「……行く」グイッ

女「ひあっ!?」

弟「……」タッタッタッタ

女「(なになになになになになになに!?なにが起こってるのっ!???)」

女「(わわわわわ、わたし、わたしなんでなんで弟君と手をつないでるのっっ!!!?)」

214 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:43:36.73 ID:IkVpNHkD0
弟「……」タッタッタッタ

女「……」タッタッタッタ

女「(ひあぁぁぁぁ…)」

女「(あったかいおおきいかたいでっかいぬくぬくつよい弟君の手ふぁぁぁぁぁ……)」

女「(手を繋ぐのって、こんなに、ドキドキで気持ち良いことだったなんて……っ)」

女「(それに…)」

弟「……」タッタッタ

女「(走る速さを私に合わせてくれてる…)」

女「(やさしい…)」

女「(はぅ)」

女「(この、むねのどきどきは)」

女「(はしってるからじゃないよぉ…)」

女「(……こんなの、はじめて…)」

217 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:47:07.41 ID:IkVpNHkD0
弟「……ついた」

女「……」ギュッ

弟「……?」

女「……」ギュゥゥッ

弟「……女さん?」

女「え!?あっ!!?…はいっ!!!」パッ

弟「……ついた」

女「え、う、うんっ!!そう、そうですね!!」

弟「……どう、すれば」

女「えー、あーえっと、このチケットをあそこの入場口でみせればっ!!」

弟「……ん」

女「(ま、また…)」

女「(名前呼ばれちゃったあぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!)」

221 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 16:52:38.16 ID:IkVpNHkD0
 2時間後

女「(ぜんぜん映画見れなかった)」

女「(……何の映画だったのかすら覚えてないよぉ)」

女「……」チラッ

弟「……」

女「(…はぅ)」

女「(何度見ても飽きない…)」

女「(何時間見てても飽きない…)」

女「(映画なんかより、弟君みてるほうが、ずっと……)」

弟「……帰る?」

女「……」

女「……あ、そっか」

女「おわりか…」

弟「……?」


226 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:01:33.78 ID:IkVpNHkD0
 帰り道

弟「……」

女「……」

女「(あぁ……また、握りたいなぁ…)」

女「(握っちゃだめかなぁ…)」

女「(あったかそうだな……、ぎゅってしてほしいなぁ…)」

女「(頼んでみようかな)」

女「(あーだめだめっ、がまん……変な子だとか思われる)」

女「(でも……)」

弟「……俺」

弟「……こっち」

女「え、あ……?」

女「……あ、わたしの家、あっちか」

女「そっか。そっかあ…」

弟「……」

227 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:04:38.48 ID:IkVpNHkD0
女「……」

弟「……」

女「……」

弟「……」

女「やだ」

弟「……え」

女「……送る」

女「そうだよ、送ってく!」

弟「……でも」

女「今日は映画に付き合ってもらったんだもんっ!家までおくらせてよ!!」

弟「……」

女「だめ」

女「か、な…………」

弟「……」

228 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:08:39.55 ID:IkVpNHkD0
女「……」

女「あはは」

女「ごめん、なんでもない。あはは」

弟「……送るよ」

女「……」

弟「……俺が」

弟「女さんの家まで」

女「……い」

女「いいのっ!!?」

弟「……ん」

女「(~~~っ!!)」

弟「……」トコトコトコ

女「あ!……ま、まってっ」

弟「……ん」

女「えへへーっ」

231 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:16:23.82 ID:IkVpNHkD0
女「(あぁ……)」

女「(幸せ)」

女「(でもまた、この時間にも終わりがきちゃう)」

女「(……こんな時間、次はいつくるのかな)」

女「(次は、来るのかな)」

女「……」チラッ

弟「……」ボーッ

女「(また、空を見てる)」

女「(わたしは、弟君をみてるよ…?)」

女「(ねぇ)」

女「(……弟君も、わたしを見てよ)」

女「なんで、いつも空を見てるの?」

弟「……ぁ」

女「……わっ」

女「(また言っちゃった…)」

232 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:22:27.08 ID:IkVpNHkD0
女「ご、ごめんっ……。また……」

弟「……」

弟「……///」カァーッ

女「……え」

弟「……///」

女「やだ、もう。弟君、顔真っ赤だよっ」

女「あはははっ」

弟「……ぅ、うぅ…///」

女「あはは、ほんと、ほんとにっ……そんなのまるで」

女「空に恋してるみたいじゃない」

弟「……」

弟「……ぅ」

女「(いつもいつも、飽きずに空ばっかり見つめて…。まるで私が弟君を見てる時のようで…)」

女「(……あれ?)」

女「(あっ、そうか。そうだったんだ)」

234 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:28:17.22 ID:IkVpNHkD0
女「わたし、弟君のこと好きみたい」

弟「……」

女「……」

弟「……っ?」

女「ありゃ」

女「あれれれれれれれ」

女「あははははははは、わたし何言ってるんだろっ、な、何をっ……」

女「(ほんとだよ!なんで思ったそばから口に出してるんだよっ!)」

女「(お前は小学生かっ…なんでも思ったこと口に出さなきゃ気がすまないガキかっ!)」

女「(ちがうでしょー!…ちがうんだよーっ!!)」

女「(でもでもでもでもでもっ!!)」

女「(わたしがずっとずっと弟君を見ていたのが、恋だって分かって!)」

女「(弟君が、空をいつも見ているのが恋なら、わたしのそれも恋だなって分かって!!)」

女「(まるで世紀の大発見ノーベル賞なんか屁の河童ぁみたいに思えてっ!!)」

女「(すぐに伝えたかったんだもんーーっ!!!!!!!!!!!)」

235 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:33:39.86 ID:IkVpNHkD0
弟「……」キョトン

女「ご、ごめんねほんとに、きゅうにこんなこといいだしたりして」

女「めいわくだよね、うん、ほんとにわたしもそうおもうよ、でもなんかいいたくなっちゃって」

女「でもそのごめん、ついついってやつでそのーあのーでもきもちはほんとうで」

女「あのその」

女「あの…」

弟「……」

女「……」

弟「……」

女「……」キッ

弟「……?」

女「好きです」

女「大好きです。ずっと一緒に居たいです」

女「こんどは」

女「手を握り合って、ゆっくり歩きたいです」

240 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:47:37.09 ID:IkVpNHkD0
女「(今わたしは、人生初の告白をした)」

女「(遠い遠い、ずっと遠い世界の、漫画やドラマだけの話だと思っていた、愛を告げる瞬間)」

女「(こんなにはやく、自分がこの瞬間を迎えられるとは思ってなかった)」

女「(あぁ…)」

女「(弟君と出会ってから、ずっとずっと、私の心に沁み込んで、侵食してきた意味不明のわだかまり)」

女「(それが、今、この瞬間に)」

女「(想いになって、男君にぶつかっていった)」

女「(言葉を待つまでの時間、そんな風に思えなくもないんじゃないかと思ったのであった)」


弟「すきとかきらいとか、よくわかんなくて」

弟「でも」

弟「ごめんなさい」


女「(やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ)」

女「(もっとそばで見てたい!もっと一緒に居たい!また手をつないでほしいよ!もう手を弟君の手を握れないなんてやだやだやだ!!!!!)」


第二話 「おもいびと」 おわり

243 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 17:55:30.78 ID:IkVpNHkD0
 Trrrrrr Trrrrr

友「(…着信)

友「(女さんからだ)」

友「(あぁ……神様)」

友「(私はいつでもあなたの罰を待っています)」

 ピッ

女「とも、ぢゃん……う、うぅっ……ひっ………ひぐっ」

女「わだじっ……わだっ……びぃっ!」

友「わわ。なにがあったんですか?」

女「どもぢゃー……う、うぇ…っうびぇっ…」

友「なにか、弟さんとの間になにかあったんですね?」

女「あい゛だひっ……どもぢゃんに、あい゛だひよぉっぉっ…うっ、うう゛ぇ……」

友「大丈夫、今すぐ行きますから。何処に居るんですか?」

251 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 18:04:27.08 ID:IkVpNHkD0
 友の部屋

女「う゛っ……う゛ぅっ……、うっびぃっ…」

友「……ティッシュ、いくらでも使ってくださいね」

女「う、うんっ……ありが…ひっ……」

 ツーン

女「…う゛ぅ」

友「…おちついてきましたか?」

女「わ゛、わかんな……んぐっ…うっ…」

友「(ひどい顔…。でも)」

友「(どしゃぶりの中に捨てられた、子猫みたい…)」

女「う゛、うぐひっ……うぇ……うっ……、ご、ごめ…ごめん゛ね、ども、ぢゃん…」

友「落ち着くまで、待ってますから。…ゆっくり、ゆっくりでいいんです」

女「う゛ん、っ……う゛……ぅ……」

253 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 18:08:19.12 ID:IkVpNHkD0
ごめんお風呂入ってくる!!
ぷかーっ

267 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 19:26:17.13 ID:IkVpNHkD0
携帯が魔界に落っこちて探すのに手間取った

もうちょっとまって!ご飯も食べちゃう!
もぎゅりんこ

273 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 20:15:37.72 ID:IkVpNHkD0
友「…土手で鼻水と涙でぐちょぐちょになった女さんを見つけたときは、いったい何事かと」

女「……うん」

友「そんなにショックだったんですか」

女「……うん」

友「そんなに、好き……だったんですね」

女「……うん」

友「見る目ないですね、弟君は」

女「……そんなことないよ」

友「そうでしょうか」

友「少なくとも、私が弟君だったら」

女「大丈夫だよ」

女「……ありがとう。でも、大丈夫だから」

友「……」

274 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/07(日) 20:22:22.21 ID:IkVpNHkD0
友「今日は、泊まっていきますか?」

女「……いいの?」

友「もちろんです」

女「ありがと」

女「……たぶん、今日は一人じゃ寝れないとおもうから」

友「そうだろうと思いました」

友「女さんは、神経が太くて繊細な方ですから」

女「む。どういう意味っ」

友「言葉どおりです」

友「……話したい事があったら、話して下さいね」

友「聞きますから」

女「……うん」

友「お風呂は、どうしますか?」

女「どうしよう」

友「入った方が、さっぱりしますよ」

314 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 00:26:42.84 ID:IPSWyWeC0
女「でもなんか、さっぱりするの嫌かも」

女「もうちょっと、この感じ味わってないと」

女「……弟君のこと、忘れちゃうみたいで」

友「そうですか」

友「……せっかく、一緒に入ろうと思ったんですけど」

友「残念です」

女「ごめんね、友ちゃん……このまま寝るの、汚いかな」

友「いえ、良いんですよ」

友「いいんですけど……」

友「いつまでも、そんな状態だと」

女「わかってるよ!」

友「……です、よね」

友「ごめんなさい」

女「うん……」

316 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 00:38:03.18 ID:IPSWyWeC0
友「(かわいそうな女さん)」

友「(はじめての失恋で、心を痛めて)」

友「(純粋で、ひたむきで、いつも一生懸命で、視野が狭くて猪突猛進だけど)」

友「(……すごく、心が綺麗な人)」

友「……」ナデナデ

女「ちょ、ちょっと……、いきなり」

友「寝ましょうか?」

女「…ねれないよ」

友「お布団、入りましょう」

友「寝れなくてもいいです。……朝までずっと傍に居ます」

女「……うん」

女「あはは」

女「友ちゃん、やさしいね…」

友「(違う)」

友「(これは優しさじゃない)」

318 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 00:43:29.71 ID:IPSWyWeC0
友「……電気、消しますね」

女「うん」

 パチッ

女「……わ。まっくら」

友「できるかぎり暗くなるようにしてあるんです」

友「……明るいと、気になって眠れなくて」

女「そうなんだ。……うー、友ちゃんどこー」

友「ここですよ」

女「ひゃっ!、…思ったより近かったぁ」

友「ふふふっ、怖かったらここにライトスタンドがありますから、点けてくださいね」

女「うん…」

女「……」ギュッ

友「……」ドキッ

女「手……繋いで寝ていい?」

友「もちろんです」

320 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 00:51:19.50 ID:IPSWyWeC0
友「(女さんの手から伝わる、優しい温もり)」

友「(真っ暗で、すぐ隣で寝ている女さんは、あまりよく見えないけれど)」

友「(このぬくもりが、はっきりと、女さんが隣にいるって私の胸に訴えかけてくる)」

友「(ただあったかいだけなのに、どうしてこんなに……)」

女「友ちゃんは、失恋したことないの?」

友「ありませんね」

女「そっかぁ…」

女「じゃあ、好きな人はいるのかな?」

友「……えっ」

女「いままで、私たちって……そのぉ、私があんまり興味なかったからさ」

女「恋の話とかしなかったよね。だから、気になるなぁ…、なんて」

友「……」

友「ひみつ、です」

女「あ、ずるーいっ!」

友「ふふふっ」

322 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 00:59:06.16 ID:IPSWyWeC0
女「……でも、きっと、友ちゃんなら私みたいに振られたりしないよ」

友「そんなこと」

女「いいんだよ、謙遜しなくても」

女「友ちゃんの可愛さは、私がよく分かってるもの」

女「……いつも、友ちゃんは私にかまってくれるけど」

女「本当だったら、友ちゃんって、なんだか私からずっと遠い人のような気がするの」

友「……」

女「な、なんてね」

女「……ほんとの所をいうと、いつも友ちゃんが私の為に、いっぱいの事をしてくれるから」

女「なんだか、不思議で…」

友「私だって」

友「……女さんと仲良くさせてもらってるのは、今でも信じられないくらいなんですよ?」

女「え、そうなの?」

友「はい」

324 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:06:11.79 ID:IPSWyWeC0
女「じゃあ、お互い様なのかなぁ」

友「そうです」

友「女さんだけじゃないですよ。私も、女さんのことを大事に思ってるんですから」

女「てへへ、照れちゃうにゃぁ…」

友「ふふふっ」

女「ね、友ちゃん」

友「はい」

女「……ずっと、親友でいてね」

女「ずっと、ずっと」

友「……」

友「(ずっと)」

友「……」

女「友ちゃん?」

友「あっ…いやいや、うれしくてついつい、感動してしまいました」

女「あはは、そこまで大げさじゃないよぉ」

327 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:18:41.32 ID:IPSWyWeC0
友「(だめだな、私……徹せてない。迷っちゃダメ、ちゃんと上手にウソをつくの)」

友「(女さんが正直に生きる分、私は、ウソをつかなきゃいけないんだから)」

女「…なんで、振られたのかな」

女「好きな人でも、いたのかなぁ……」

友「聞かなかったんですか?」

女「あんまりよく覚えてないんだけど」

女「ごめん、って言われただけで」

女「……そのあと、すぐに走って逃げちゃったし」

友「ごめん、ですか…」

女「うん……」

女「どういう意味なんだろ……なんで、謝るんだろ……」


330 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:24:30.92 ID:IPSWyWeC0
女「あ~、なんか、もう、すごいぐるぐる回ってる」

友「……大丈夫ですか?」

女「ずっと、考えちゃう」

女「何がだめだったのかな、何がいけなかったのかな、何をしたらよかったのかなって……」

女「弟君の反応の一つ一つが細かくよみがえって」

女「私は、どうすればよかったんだろうって……」

女「でも、一番後悔してるのは……」

女「告白なんかしちゃったことだよ」

女「なんで、告白なんかしちゃったんだろ……振られるのなんて、よく考えれば分かってたのに」

女「私なんかが、好かれようとしちゃいけなかったんだ」

女「もっと、弟君を好きでいる時間を、長く、大切にしていれば良かった…」

女「もう遅いけど」

女「もうあの時間は、帰ってこないんだ……」

333 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:32:59.68 ID:IPSWyWeC0
女「ねぇ、友ちゃん」

女「ほんとに、ほんとにね、私はずっと、一人よがりだったんだって」

女「気づいたの。気づいちゃったの」

女「すっごくドキドキしててね、デートしている間、ずっとずっと、夢の中に居る気分だったの」

女「だから」

女「私がうれしい事は、弟君にとってもうれしいんだって、知らず知らずに思ってて」

女「いっぱい、いっぱいの、押し付けがましいことをしちゃったかもしれない」

女「弟君の気持ちを考えずに、一方的に、私の気持ちを押し付けちゃってたかもしれない」

女「なんで、あんなに、あんなこと、しちゃったんだろ……」

女「もうわかんないよ……、恋って、なんなの……。私、どうすればよかったの……?」

友「(女さん、たぶん、その答えは、何処にいったって無いんです)」

友「(女さんのしたことは、間違いだったかもしれませんが、正解でもあったはずなんです)」

友「(それよりも……)」

335 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:38:05.56 ID:IPSWyWeC0
友「一ヶ月」

女「……え?」

友「弟さんと出会ってから、一ヶ月です」

友「……どうでしたか?」

女「……」

女「……楽しかった」

友「(そうです、それでいいんです)」

友「(だって)」

友「(私が与えた一ヶ月だったんですから)」

女「でも、だからこそ、もっと好きでいる時間が欲しかったよ……ずっと、好きで居たかったよ」

女「自分も好きになってもらいたいとか、思わなければよかった」

友「(いい夢、見れましたか?)」

友「(女さんは、一ヶ月で目が覚めることができたんですよ……?)」

338 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:47:54.67 ID:IPSWyWeC0
女「……」スースー

友「(寝ちゃいましたか)」

友「(このところ、弟君に夢中で気を張り詰めてましたし)」

友「(その上、この失恋ですから……精神的に疲れてたんでしょう)」

友「……」

友「(……本当に、よかった)」

友「(賭けだった。私の短い一生の中で、最大の賭けだった)」

友「(私の勝ちです)」

友「(……いえ、まだ本当の勝ちではありませんが)」

友「(もう少しで手に入る)」

友「(永遠の夢が)」

友「(醒めない夢が)」

339 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:52:48.95 ID:IPSWyWeC0
友「(……愛しい)」

友「(この人を、私の自由にしたい)」

友「(この人の愛を、独占したい)」

友「(今、手のひらから伝わっている温もりを、私の全身に焼き付けたい)」

友「(好き)」

友「(…でも、そんな単純な言葉じゃない。この胸の苦しさは、もっと別次元)」

友「近くに寄っても、いいですか?」

女「……」スースー

友「(……もっと、女さんを感じたい)」

友「(女さん)」

友「(あなたの全ての悲しみ、私が全部、受け止めますから)」

友「(どうか……)」

345 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 01:59:20.22 ID:IPSWyWeC0
友「(女さんの、うなじ……)」

友「(いい、におい)」

友「(髪…洗ってなくて、ボサボサだけど、それがいっそう愛しい)」

女「……」スースー

友「(あぁ…、こんなにも寝息を近くで感じられるなんて)」

友「(……んっ)」

友「(唇に……指を、当てるくらいなら)」

友「(………)」

友「(……やわらかい)」

友「(鼻の息が、指にかかってる…)」

友「(この指を)」

友「(私の、口に……)」

 クチュ

友「(んっ…)」

349 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:03:56.94 ID:IPSWyWeC0
友「(……は、ぁ………)」

友「(……)」

友「(こんなんじゃ、足りない……)」

友「(もっと、近くに)」ギュッ

友「(あったかい…)」

友「(でも)」

友「(よけいに、切ない)」

友「(もういっそ)」

友「(襲ってしまおうか)」

友「(……)」

女「……」スースー

友「(だめ)」

友「(今じゃない。…苦しいけど、今じゃない……)」

354 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:11:06.35 ID:IPSWyWeC0
女「…ん」

友「……」

女「……ん、んぅ……あ、れ……?」

友「おはようございます」

女「おはよう」

女「……って、わわ、近いっ」

友「ふふふっ」ニコッ

女「あ、れ……私…」

友「朝食できてると思いますから、一緒に食べて、学校に行きましょう?」

女「……ん?…あ、そっか、私……」

友「大丈夫ですか?」

女「……う、ん…。それより、友ちゃんよく寝れた?ベット半分もらっちゃってごめんね」

友「はい。女さんに添い寝してもらいましたから。もちろんぐっすりです」

女「あはは、添い寝だなんて、恥ずかしいよぉ」

友「(元々不眠症なんですよ?……寝れるはずないじゃないですか)」

358 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:16:53.64 ID:IPSWyWeC0
友「シャワー浴びますか?」

女「うん。いいかな?」

友「もちろんです」

友「用意しておきますね」

女「友ちゃん」

友「はい」

女「……ありがとう」

女「ほんとに、ありがとね」

友「水臭いですよ。昨日もいっぱいお礼言ってもらいましたし」

友「何より、私は女さんの為に何かできるのがうれしいんです」

女「……」ニコッ

友「(あ……)」

友「(きれいな笑顔だな)」

359 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:22:50.00 ID:IPSWyWeC0
友「いってきます」

女「おじゃましましたっ」

友「……では、行きましょうか」

女「うんっ」

友「すこし、明るくなりましたね」

女「そうかな?……あ、でもそうかも」

女「ちょっとね、今日する事を決めたの」

友「……というと?」

女「シャワー浴びてる間ね、昨日のことを整理してみたの」

女「……昨日はぜんぜん頭が落ち着いて考えられなかったから、整理どころじゃなかったしね」


361 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:33:53.32 ID:IPSWyWeC0
女「今日ね、弟君と、またちょっと話してみようと思って」

友「……え」

女「昨日の私って、一人で勝手に舞い上がっちゃって馬鹿みたいだったから」

女「……もうちょっと、ちゃんと話したくて」

友「で、でも」

友「また傷つくかも」

女「うん、そうかも」

女「でも、このまま何もしないであきらめてるよりはいいかなーって」

女「そう思って」

友「……」

363 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:39:40.32 ID:IPSWyWeC0
友「(やめてほしい)」

友「(…これで、万が一、弟さんが女さんに傾くような事があったら……)」

友「(いや、それはそれでいい。…当初の予定にもそれは想定済みだった)」

友「(だって、二人がうまくいくはずがないのだから)」

友「(だとしたら)」

友「(ここで、もう一度弟さんと話して、もうチャンスは無いのだと自覚させられれば)」

友「(私もやりやすくなるかもしれない)」

女「…どうかな?友ちゃんはいいと思う?」

友「はい」

友「いいと思います」

友「がんばってくださいね!」

女「うん。ありがとう」

366 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:49:12.28 ID:IPSWyWeC0
友「うまく、想いが通じるといいですね」

女「うん……。期待はしてないけど、そうなると、いいかな」

友「(私も、こんなに愛されたい)」

友「(女さんに……)」

女「ねぇ、友ちゃん。彼氏とか彼女とか……付き合うとか恋人とかって、どういうことなのかなぁ」

友「むずかしいですね」

女「だよねぇ」

女「私もね、考えてみても、よく分からないの」

女「漫画やドラマの世界では、好きあう男女が恋人になってハッピーエンド…ってよくあるけど」

女「肝心の、付き合ってからの事って、あんまり書いてないから、ちょっと想像しにくい」

友「そういえばそうですね」

367 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:56:17.96 ID:IPSWyWeC0
女「でもね、ちょっと、想像してみたんだけど」

女「昨日のデート……デートって、言えるのかな」

女「すっごく、楽しかったのね」

友「…そうなんですか?」

女「あ、でも、デートそのものが楽しいってよりは」

女「弟君の傍にいられることが楽しいっていうか…」

女「そんな感じだったの」

友「……」

友「(これは、もしかすると…)」

女「だから」

女「付き合うってことは……ずっと傍にいてもいいよ、ってことだから」

女「とりあえず、楽しくて……幸せなんじゃないかなーって、思うんだよね」

友「(二人が上手く行く可能性もあり得る……?)」

友「(少なくとも、私が思っている以上に、女さんは弟さんに)」

友「(魅かれてしまっている)」

369 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:03:21.51 ID:IPSWyWeC0
友「(……いや、考えすぎか)」

友「(大丈夫。弟さんは……)」

女「どきどきする」

友「あらあら」

女「……昨日もどきどきしてたけど、なんか、夢の中みたいだったから」

女「でも、今日は現実の中だから」

女「……あぅ」

友「心配なんですか?」

女「いつ、なんて、言ったらいいかな」

女「朝教室で会ったら、挨拶した方がいいかな」

女「お昼は一緒に食べてもいいのかな…」


371 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:06:54.03 ID:IPSWyWeC0
友「気負う必要ないですよ」

女「そうかな」

友「いつもどおりの女さんでいいんです」

友「振られたからって、躊躇することないんですよ」

友「女さんのしたいように、したほうがいいです」

女「でも、迷惑かも」

友「そうかもしれませんね」

友「でも、女さんが気を使うほうが、相手も逆に気を使ってしまいますよ」

女「……なるほど」

女「友ちゃん、賢いっ!」

友「お褒めに授かり光栄です。ふふふっ」

女「あははっ」

372 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:12:40.26 ID:IPSWyWeC0
女「おはようっ、弟君!」

弟「……っ」ビクッ

女「……」ジッ

弟「……」

弟「……おはよ」

女「……」ニコッ

女「昼休み、一緒に屋上でお弁当食べよ?」

弟「……」

女「いいよね?」

弟「……でも」

女「……お願い」

弟「……」

弟「……ん」

友「(はてさて、どんな目が出るのか……)」

375 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:21:10.11 ID:IPSWyWeC0
女「……いえた」

友「素晴らしいです」

女「えへへ」

女「でも、ここからなんだよね」

友「私も屋上に行きましょうか?」

女「…大丈夫」

女「うん、大丈夫」

友「……そうですか」

女「ごめんね、今日はお昼……」

友「大丈夫ですよ。今は私のことなんていいですから」

友「……でも、ちゃんと結果は教えてくださいね?」

女「うん…」

376 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:29:06.58 ID:IPSWyWeC0
 昼休み

女「……じゃあ、行って来る」

友「はいっ」

女「がんばれ、わたし…っ」

友「(……女さんをここまでさせる原動力は、いったいなんだろう)」

友「(弟君の顔立ちやスタイルは特に優れているわけではなし)」

友「(性格的には、よく言えばもの静か、悪く言えば根暗……魅力的とはいい難い))」

友「(でも、どうして、……女さんをここまで突き動かせるのだろう)」

友「(何もしなくても女さんが惹かれていくなんて)」

友「(私が、こんなにも必死で繋ぎとめている大切な人なのに)」

友「(なんて、なんて……不公平!)」

友「……」

友「(あぁ、…二人が教室を出て、屋上へ向かっていった)」

友「(神様…)」

377 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:39:50.73 ID:IPSWyWeC0
 屋上への階段

友「……」

友「……」

弟「……あ」

友「終わりましたか?」

弟「……」

友「…ご苦労様です」

弟「……?」

友「後の全ての役は、私が引き受けました」

友「あなたは降板。もうニ度と舞台に上がる必要はないんです」

友「ふふふっ」

383 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:46:39.60 ID:IPSWyWeC0
 屋上

女「……」ガタガタガタ

友「(かわいそうに)」

友「(…でも、私もいつああなるか)」

友「(いつまでも叶わぬ望みを抱いているよりも)」

友「(いま望みを断ち切られた事を、感謝する時がいつか来るかもしれないですよ…?)」

友「女さん」ギュッ

女「…あ………あぁ……」

友「……」ギュッ

女「う、……うぅ……えぐっ…」

友「……」ナデナデ

女「ひぐっ……ひっ、う、うっ……ううぅぅ」

386 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 03:52:59.14 ID:IPSWyWeC0
女「…どもぢゃん……だめ、だった……だめだった、よぉ…」

友「そうですか」

女「何をい゛っでも…どんな゛にたのん゛でも…だめ、らった…」

女「やだ…」

女「やだよぉ…、つらいよぉ…」

友「……」

女「くるしいよぉ、かなしいよぉ」

女「もう、弟君の手をにぎれないなんてっ」

女「かんがえられないよぉ…」

友「……」

友「手なら、私が握ってあげますから」

女「ちがうの…」

女「弟君の……おとうとくんのがいいの!!」

友「(……落ち着け、焦るな。まだ、まだチャンスはまだ…、まだだから)」

389 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:01:38.22 ID:IPSWyWeC0
女「ひっ…、ひぐっ……」

女「わすれられないよぉ……もっと、もっといっしょにいたいよぉ…」

女「どうしたら、いいのっ…?」

女「どうしたら……っ」

友「どうしようもないんです」

友「人の気持ちを動かすことが、星を動かすことより難しいときもあるんです」

女「そんなのやだ……わかってる、でも、やだ……」

女「しんじたくない、しんじたくないよぉっ!」

友「(ほんとうに、女さんは無垢だ)」

友「(ほとんどの人なら知っている裏切りの痛みを)」

友「(こんなにも嘆いている)」

友「(本当に、愛しい…)」

391 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:11:04.65 ID:IPSWyWeC0
女「こんなことなら、しらなければよかった」

女「弟君も、弟君の優しさも、弟君のあったかさも」

女「全部、私の記憶から消えてしまえばいいんだ」

友「……」

女「そうすれば……」

女「……」

女「空、青い」

友「……空、ですか」

女「うん」

女「まぶしくて、きれい」

友「そうですね。素敵な晴天です」

女「……授業さぼっちゃおうかなぁ。ここで、ひなたぼっこしてたい」

友「ふふふっ、素敵な案です」

393 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:19:33.90 ID:IPSWyWeC0
女「……きもちいいね」

友「そうですね。あったかくて……猫になった気分です」

女「……」

女「…よく、弟君は空を見てるの」

女「私が弟君の事を見たときのほとんどが、弟君が空を見ている姿だったよ」

友「なんで、そんなに空ばかり見てるんでしょうね」

女「わからない。…空に恋してるのかな、とも思ったりしたんだけど」

女「そうなると、私はお空に負けたってことになっちゃうんだよね」

友「ふふふ、ファンタジーですね」

女「あはは、そうだね」

女「恋は、ファンタジー」

女「あははっ」

友「……?」

395 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:25:35.09 ID:IPSWyWeC0
女「私、弟君のお姉さんに似てるらしいよ」

友「(……え?)」

友「そうなんですか?」

女「うん。だから他の人よりも、打ち解けられたんだって」

女「おかしいよねぇ」

女「わらっちゃうよ」

女「お姉さんにも勝てない私が」

女「……恋人になんか、なれるはずないよねぇ…」

女「結局、弟君は、私じゃなくて」

女「……」

女「私じゃなくて……」

女「私……」

女「……」

396 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:36:50.40 ID:IPSWyWeC0
友「私は、女さんをちゃんと見てますよ」

女「……」

友「いつも、ずっと、見てますから」

女「……うん」

友「……気休めにも、ならないですけどね」

女「そんなことないよ」

女「…友ちゃんが見ていてくれてると思うと、こころがあったかくなるよ」

友「……」ドキッ

女「手、つないでいい?」

友「は」

友「はい」

女「やった」ギュッ

友「(……うれしい)」

397 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:45:45.43 ID:IPSWyWeC0
女「さっき、ごめんね」

友「……?」

女「友ちゃんの手、拒否っちゃった」

友「あぁ、でも…あれは」

女「私の事をちゃんと見ててくれてる人の手を、拒んじゃったんだよ」

女「……だめだよ、私。ごめんね」

友「いいですよ。あれくらい」

女「友ちゃんの手、気持ちいい」

女「お日様なんかよりも、ずっとあったかいよ」

友「女さんの手も、気持ちいですよ」

女「不思議だね」

友「……覚えてますか?私たちが、仲良くなった時の事」

女「えっと…」

友「あの時も、今みたいに手を握ってくれました」

400 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:59:04.39 ID:IPSWyWeC0
女「……あれれ?そういえば、いつからだったかな」

友「マラソン大会。覚えてませんか?」

女「マラソン…?」

友「ふふふっ、私は、はっきり覚えてますよ」

友「運動が苦手な私は、やっぱりマラソンも苦手で」

友「……半分も走りきらないうちに、足がふらついて、転んでしまったんです」

友「その時、周回遅れだった私の手をとって、起こしてくれたのが、女さん」

友「……忘れられません」

女「あの時かぁ。あれ?でもあの時はそれだけじゃなくて……」

友「そうですよ。私の手を握って、引っ張ってくれて……ゴールまで一緒に走ってくれました」

女「そうだよね……あはは、今思うと、ちょっと恥ずかしいかも」

友「……でも、女さんはあの頃とそんなに変わってないですよ?」

女「う、うそだぁあっ!!」

友「ふふふっ、これは、うそじゃないです」

402 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 05:15:37.93 ID:IPSWyWeC0
友「はーはー息が上がってる私を、がんばれがんばれーって、励まし続けてくれました」

友「……おかげで、完走なんかできやしないって思ってたマラソンを、はじめて完走することが出来たんです」

女「別に私が居なくたって、友ちゃんなら一人でやれたよ」

友「まさか」

女「そうかなぁ…」

友「(そうですよ)」

友「(完走をあきらめて臨んだマラソンなのですから、ゴールの価値なんか、無いにも等しかったんです)」

友「(…でも、走っていれば、ゴールまであなたの手を握っていられるじゃないですか)」

友「(今度は)」

友「(私があなたの手を引っ張っていきますからね)」

友「(どこまでも)」

403 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 05:16:33.37 ID:IPSWyWeC0
おねむの時間みたい

ごめん

残っていたら続きをまた書かせてください

444 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:42:22.19 ID:IPSWyWeC0
友「(1ヶ月。女さんが変わった)」

友「(普通の人から見れば、どこが?というくらいの差異だったけれど)」

友「(いつも女さんを見ている私には、容易に分かった)」

友「(女さんは、恋をしていた)」

友「(ショックだった)」

友「(相手は、弟さん。おそらく国語準備室の掃除を一緒にやったときに、何かあったのだろう)」

友「(私は嫉妬に狂った)」

友「(…そして同時に)」

友「(私は女さんを、狂おしいほど愛しているのだと)」

友「(自覚した)」

友「(……それから、今に至るまで)」

友「(私は自分の狂気を、今のこの状況を導き出す為に利用した)」

友「(もっというと)」

友「(女さんに「失恋の苦痛」を味わってもらうために)」

友「(私は暗躍したのだ)」

445 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:43:14.81 ID:IPSWyWeC0
>>444
1ヶ月→1ヶ月前

448 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:55:43.24 ID:IPSWyWeC0
友「(恋の相手が弟さんだと分かった私は)」

友「(すぐさま、弟さんの情報をできる限り入手した)」

友「(…そして、ひとつの確信を掴んだ)」

友「(それは、弟さんが)」

友「(人並みの幸せを求める意思が無い)」

友「(という事だ)」

友「(それは)」

友「(たとえ、女さんが弟さんに思いを告げたとしても)」

友「(弟さんが女さんを――ありえない事かも知れないが――好きになったとしても)」

友「(恋人となるには至らないという事を意味していた)」

友「(……なら、いっそ)」

友「(女さん想いが否定できない以上、恋はいつか燃え上がらなければいけないもの)」

友「(ならば、できるだけ早い方がいい。そして、失恋の痛みを経験させればいい)」

友「(そうすれば、きっと―――)」

451 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:07:34.21 ID:IPSWyWeC0
友「……」ギュッ

女「友ちゃん…?」

友「……」

女「どうしたの?」

友「なんでもないんです」

友「ただ……」

女「ん?」

友「……いえ。一つ、聞いてもいいですか?」

友「女さんは、なんで弟さんを好きになったんですか?」

女「……むずかしいなぁ」

女「なんだろう」

女「それが、今でもよく分からないんだよね」

453 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:14:43.40 ID:IPSWyWeC0
女「きっかけは、弟君が何を考えてるのか分からないから」

女「それが知りたいなー、って事だった」

女「でも、それはきっかけだよね」

女「……でも、漫画でも、ドラマでも」

女「男の人に恋した理由なんて、はっきり描かれてないものばかりだよね」

女「きっかけはあっても、理由とか……理屈じゃないんだなぁって、実感したかも」

友「……そうですか」

友「なら、私と一緒ですね。理屈じゃないです」

女「一緒?」

友「私の」

友「好きな人」

女「あぁ!……ひみつ、って言ってたよね」

友「ふふふっ、そうです。……でも、特別に女さんだけに、教えてあげますよ」

458 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:19:43.41 ID:IPSWyWeC0
女「えー、誰なのかなぁ。クラスの人?」

友「実は、一緒のクラスです」

女「知らなかった」

友「……女さんと同じで、きっかけは些細なことでした」

友「でも、好きになるのは、理屈じゃないんですね」

友「どんどん好きになるのに、理由なんか無かったんです」

女「そうだよね、そうだよね。…えへへ、私応援するよっ」

女「今回のことで友ちゃんにいっぱい迷惑かけちゃったし」

女「よかったらその恋、応援させてよ」

友「……本当ですか?」

女「うん、もちろんだよ」

友「うれしい」

463 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:26:20.04 ID:IPSWyWeC0
友「じゃあ、いいますね」

女「うん、……どきどきするなぁ」

友「せっかくだから、もっと近くに寄ってもいいですか?」

友「内緒話は耳打ちでするって、相場が決まってますから」

女「うんうん。いいよ」

友「それでは…」

女「……」

友「……」ギュゥッ

女「……?」

友「……」

女「友ちゃん?」

友「――――」

女「……」

女「……」ビクッ

466 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:30:51.41 ID:IPSWyWeC0
友「(あぁ、予想通りの反応だ)」

友「(困ってる、すごく、困ってる)」

友「(でも、もう私は決めた)」

友「(あなたが私に応えてくれるまで)」

友「(私は、この手を離さない……!)」

女「と、も………ちゃ……?」

女「それ……あ……?」

女「そ、そっか。冗」

友「冗談じゃないですよ」

女「…ぅ」

友「本気ですから」

女「……で、……でも、……え?…え?」

468 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:41:52.81 ID:IPSWyWeC0
友「きっかけなんか、些細なことです」

友「好きになるのに、理屈や理由は無いんです」

友「……女さんが、言った通りなんです」

女「で、も私たち、お、おんな」

友「女同士ですね」

友「だからなんですか?そんなこと私だって知ってます」

女「……でも」

友「でもでもでも、なんでなんでなんでなんで」

友「頭の中で何千回と繰り返して来ましたよ、そんな問答は」

友「それでも理由なんか分からないんです」

友「分からないけど……女さんと同じですっ」

友「もっと、もっと近くで、女さんを感じたいんです……」ギュッ

女「友ちゃん……」

470 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:48:45.45 ID:IPSWyWeC0
友「私じゃだめなんですか?」

友「……弟さんの代わりでもいいんです」

友「私じゃ、女さんの相手は務まりませんか?」

女「……」

女「ごめんなさい」

友「……っ」

女「どきどきが、違うの」

女「たぶん、弟君をこんなに近くに感じたら」

女「息が出来ないくらい、どきどきする」

女「……でも、友ちゃんは違うよ」

友「それでもいい」

友「それでもいいんです」

友「ただ、私の想いを受け入れてくれれば」

友「いつもより、ほんのちょっと距離を縮めてくれれば」

友「私はそれで満足ですから」

473 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 13:57:02.07 ID:IPSWyWeC0
女「…受け入れる」

友「ダメですか?」

女「友ちゃんのこと、好きだよ?……でも」

友「言わないで!!」

女「……っ」ビクッ

友「好きだよ、で止めてください……」

友「そこから先は、聞きたくありません」

女「でも」

女「私が友ちゃんだったら、満足なんか」

友「出来ないに決まってるじゃないですか!!」

女「……」

友「女さんが受け入れてくれるまで」

友「もう、離しませんから」

475 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:05:11.61 ID:IPSWyWeC0
友「……女さんが、弟さんと、ずっと手を繋いでいたいという想いと同じくらい」

友「私も、女さんと繋がっていたいんです」

友「あの日」

友「マラソンのゴールをくぐった時に」

友「私の気持ちはスタートしてしまった」

友「あの時女さんの手を握っていた、左手の喪失感」

友「その衝動が、今の私を作ってるんです」

女「……そんな、そんなのって…」

友「さぁ、私を拒否してください」

友「その方が、きっとお互い、幸せです」

女「でも、でも……」

友「でも、………できませんよね!」

女「とも、ちゃ、ん……ともちゃん」

女「まさ、か……」

477 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:12:52.43 ID:IPSWyWeC0
友「私は」

友「自分なりの愛の形を貫いてるだけです」

女「……うそ」

女「ウソだって言ってよ!!」

友「ウソは、いっぱいつきました」

友「だから、神さまが居るならきっと、私は罰せられるはずです」

女「そんなことじゃない、そんなことじゃなくて……」

友「大事なのは、嘘か本当かじゃありません」

友「私の気持ちと、女さんの気持ちと、女さんは私の気持ちに応えるしかないという事」

友「それだけです」

女「できないよ……できるはず、ないよ…」

友「そうですよね」

友「優しい女さんは、分かってくれますよね」

友「女さんから拒まれたとき、私の気持ちがどうなるか…」

481 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:16:47.55 ID:IPSWyWeC0
女「……私が振られるのを待ってた」

女「私が振られるって知ってた」

友「それも」

友「愛の形です」

女「……ひどい」

友「嫌なら、いいんですよ」

友「どうぞ私から逃げてください」

女「……」

友「逃げないなら」

友「私の気持ち、受け止めてくれますか?」

女「……」

友「ふふふっ」

482 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:23:39.69 ID:IPSWyWeC0
友「女さん、好きですよ……」

友「ずっと、この日を待ってました」

女「……」

友「……ん」

女「っ…」


友「……ファーストキス」

女「う……うぅ…」

友「じっとしててくださいね」

友「私の愛を……受け取ってください」

女「………あ」

女「…あ、……あっ」




第3話 「愛のかたち」 おわり

488 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:40:01.49 ID:IPSWyWeC0
女「……も、もう」

女「いいよっ。…別に私達が好きで弟君のそばに食べに来てるだけってことで!」

女「弟君はいつも通り食べてなよ」

弟「(この人は、どこか姉ちゃんに似ている。…でも、こういう強引なところは、姉ちゃんにはない)」

女「……そういうわけだから、隣の席にすわるからねっ」

弟「(なぜ、そんな事をするのだろう)」

弟「(いつも一人で食べている俺に同情して?)」

弟「(正直、いい迷惑だ)」

女「友ちゃん、食べよ」

友「は、はい。…分かりました。お弁当持ってきますね」

女「……」

女「…ねぇ、いいよね?」

弟「(……卑怯だ)」

弟「(姉ちゃんの困ったときの表情と、そっくりじゃないか)」

弟「(調子、狂う……)」

490 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:48:44.17 ID:IPSWyWeC0
女「わたし、弟君のこと好きみたい」

弟「(…あぁ)」

弟「(そういうことか)」

弟「(人に好意を向けられたことなんてないから、分からなかった)」

弟「(そういうことなのか)」

弟「(こういう事になるのなら)」

弟「(やっぱり、あの時)」

弟「(もっと強く、拒めば良かったのだ)」

弟「(だって俺には……)」


弟「すきとかきらいとか、よくわかんなくて」

弟「でも」

弟「ごめんなさい」


弟「(俺には…)」

弟「(姉ちゃんが居れば、それでいいから)」

495 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:52:54.80 ID:IPSWyWeC0
弟「ただいま」

姉「どうしたの?暗い顔して」

弟「……」

弟「(告白された、なんて言えない)」

姉「…何かあった?」

弟「別に」

姉「そう」

姉「……」ギュッ

弟「……ぅ」

弟「(いつも姉ちゃんは、事あるごとに俺を抱きしめてくれる)」

姉「おかえり」ナデナデ

弟「……ん」

弟「(あぁ……、うん。やっぱり、俺には姉ちゃんしかいない)」

499 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 14:56:19.58 ID:IPSWyWeC0
姉「夕飯、もうすぐできるから」

弟「……ん」

姉「部屋で待ってる?」

弟「……ん」

姉「じゃあ、できたらノックするね」

弟「……わかった」

弟「(あ……)」

弟「(もっと、抱きしめててもらいたかった)」

弟「(今日は、そんな気分だった)」

弟「(でも、どういえば…)」

弟「(……)」

502 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:03:44.19 ID:IPSWyWeC0
 弟の部屋

弟「……はぁ」

弟「(はじめて、告白された)」

弟「(断ってしまった)」

弟「(泣いてたな…)」

弟「(すごく、泣いてた)」

弟「(すぐ逃げて行った)」

弟「(……人の気持ちに応えられないって、こんなに辛いものだったんだな)」

弟「(胸が痛い)」

弟「(俺まで、泣きたくなってくる)」

弟「(何でだろう)」

504 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:09:33.36 ID:IPSWyWeC0
弟「(女さんのこと、嫌いじゃない)」

弟「(俺に、色んな事を教えてくれる)」

弟「(そう、……嫌いではないんだ)」

弟「(だから、いっそう)」

弟「(苦しいんだな)」

弟「……今日、楽しかったな」

弟「(そう)」

弟「(女さんと一緒に過ごす時間は、楽しかった)」

弟「(それは否定できない)」

弟「(もし、付き合ったとしたら)」

弟「(あんな時間を、もっと過ごせる)」

弟「(それはいいな…)」

505 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:13:51.87 ID:IPSWyWeC0
弟「(きっと、幸せだろうな)」

弟「……」

弟「……幸せ」

弟「幸せ」

弟「(俺とは、もっとも縁遠い言葉だ)」

弟「(…あぁ)」

弟「(そうだ、俺に幸せになる資格なんてない)」

弟「(俺なんか、早く死んだ方がいい)」

弟「(…死んだほうが、いいんだ)」

弟「(……よかった)」

弟「(迷わないで……女さんを、拒否、でき…て)」

弟「(ほんとうに、よか……た……)」

弟「……」

弟「……」スースー

506 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:17:17.35 ID:IPSWyWeC0
弟「……ん」

弟「…寝て、た……?」

弟「(今……もう、こんな時間か)」

弟「(あっ)」

弟「(夕飯の時間……)」

弟「(しまった)」

507 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:21:52.65 ID:IPSWyWeC0
姉「……」スースー

弟「……はぁ」

弟「(あぁ…姉ちゃんを、台所で寝かせてしまった)」

弟「(姉ちゃん、ごめん)」

弟「(待っててくれたんだね…)」

弟「(俺なんかのために、……ごめん、ごめんなさい)」

弟「(俺なんか、死ねばいい。死ねばいっそ……)」

弟「しにたい」

俺「(……くそっ!)」

弟「しにたいしにたい」

弟「……」

弟「(あ、あれは……)」

弟「(ナス…)」

509 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:25:16.15 ID:IPSWyWeC0
やっちまった(^q^)あえてスルー力を試したのじゃ


いやごめんなさいです

510 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:26:58.26 ID:IPSWyWeC0
弟「(…女さんが作ってくれたマーボーナス、美味しかったな)」

弟「(一生懸命作ってくれたんだろうな)」

弟「(俺のために)」

弟「(……なんで)」

弟「(俺なんかのために)」

弟「(俺は死ぬべき人間で)」

弟「(そんな人のために、なんであんなことしてくれるんだよ)」

弟「(ほんとに)」

弟「(もう……)」

弟「(いやだ……)」

弟「(死にたい)」

512 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:30:28.94 ID:IPSWyWeC0
 チーン

姉「……んっ」

姉「あ、れ……いまの、電子レンジの…」

弟「(起こしてしまった)」

弟「(電子レンジなんか使うんじゃなかった。飯くらい、冷たいまま食えばよかった)」

姉「…あらら、ごめんね、お姉ちゃん眠っちゃってた」

弟「もう寝たら?」

姉「ううん、大丈夫。一緒にたべよっ」

弟「(こんな時間なのに、ずっと食べてなかったのか)」

弟「(俺の為に……)」

姉「電子レンジでご飯あっためたんだ。お姉ちゃんもあっためようかな」

姉「あ、おかずも暖めなおせそうなやつは、いまやるね」

弟「(なんで姉ちゃんはこんなに優しいんだろう)」

弟「(……女さんも、姉ちゃんも。なんでこんな俺に優しくしてくれるんだろう)」

513 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 15:31:47.83 ID:IPSWyWeC0
ごめんなんか食ってくる
もしゃもしゃ

521 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 16:15:48.79 ID:IPSWyWeC0
ごめんちょい忙しくなる
もうしわけない

550 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:12:08.29 ID:IPSWyWeC0
姉「おいしい?」

弟「…別に」

姉「そ、う…」

姉「……」

弟「(いつもそうだ)」

弟「(美味しいって、言ってあげればいいのに)」

弟「(どうして冷めた言葉しか出てこない)」

弟「(……姉ちゃんは)」

弟「(優しすぎるから)」

弟「(俺なんか)」

弟「(酷い扱いを受けて当然なんだ)」

弟「(それなのに、姉ちゃんは……)」


552 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:15:31.84 ID:IPSWyWeC0
姉「…あ、そうだ」

姉「その、ナスの炒め物、好きでしょ?どうかな?うまくできてるかな?」

弟「(……ナス)」

弟「(もう、見たくも無い)」

弟「さぁ」

姉「…そっか」

姉「へへ、ごめんね。お姉ちゃん料理へたくそで」

弟「……」

弟「(違う、姉ちゃんのせいじゃない)」

弟「(違うんだ)」

弟「(くだらない理由なんだ)」

弟「(思い出したくもない事を思い出しちゃうから)」

弟「(だから……)」


554 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:23:49.39 ID:IPSWyWeC0
 弟の部屋

弟「(明日……)」

弟「(気まずくなるな)」

弟「(女さんとは、もう話せないだろうな)」

弟「(それは、しょうがない)」

弟「(ずっと、ひとりだったんだ)」

弟「(今更…今更だ)」

弟「(でも)」

弟「(昨日と、今日。久しぶりにほかの人とご飯を食べて)」

弟「(正直、楽しかった)」

弟「(……だから)」

弟「(よかった。楽しい食事なんて)」

弟「(俺には分不相応だ)」

557 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:29:36.41 ID:IPSWyWeC0
 朝

弟「……」

弟「(……眠れなかった)」

姉「おはようっ」ニコニコ

弟「……ん」

弟「(姉ちゃん、いい笑顔だな)」

弟「(寝不足の俺には、ちょっとまぶしい)」

姉「朝食できてるから。もう並んでるの食べちゃって平気」

弟「食欲ない」

姉「だ、……よ?」

弟「(あ……)」

弟「(一瞬で、姉ちゃんの瞳の奥が)」

弟「(……馬鹿野郎。死ね。俺……死ね。死んじまえ)」

558 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:36:36.45 ID:IPSWyWeC0
 洗面所

弟「(ナスがあった…)」

弟「(昨日ほとんど手をつけなかったナス)」

弟「(気に入らなかったと思ったんだろう)」

弟「(作り直してくれていた)」

弟「(でも、……もう、ナスは見たくない)」

弟「……俺」

弟「……なにやってんだ」

弟「(洗面所の鏡に映る、俺の顔)」

弟「(酷く地味で、目つきが悪い)」

弟「死ね」

弟「(鏡の向こうの俺に言ってみても)」

弟「(まったく気持ちは晴れない……)」

560 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:42:00.18 ID:IPSWyWeC0
姉「これ、お弁当ね」

弟「……ん」

姉「忘れ物ない?」

弟「……ん」

弟「(自分の学校もあるっていうのに、弁当まで作ってくれる)」

弟「(朝飯だって、もっと簡単でいいのに)」

弟「(俺の為にやってくれてると思うのは……うぬぼれだろうか)」

弟「(いや)」

弟「(やってもらうに値しない人間なのに、どうしてこんなに……)」

姉「あはは、大丈夫だよね。」

姉「おせっかいだぁ、お姉ちゃん」

弟「(……ちがう)」

弟「(俺にかまいすぎなんだよ、姉ちゃんは!)」

561 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:48:08.69 ID:IPSWyWeC0
女「おはようっ、弟君!」

弟「……っ」ビクッ

弟「(予想外……)」

弟「(昨日、あんなことがあったのに)」

弟「(教室に入った瞬間に、声をかけるような人だとは思わなかった)」

女「昼休み、屋上でお弁当食べよ?」

弟「……おはよ」

女「……」ニコッ

弟「(なんで、笑う)」

女「いいよね?」

弟「……でも」

女「……お願い」

弟「(何考えてるんだ)」

弟「(なんで俺なんかにしつこくかまうんだよ……)」

564 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:53:01.35 ID:IPSWyWeC0
 昼休み 屋上

弟「……」

女「えへへ。待ってたよ」

弟「(今日は、いい天気だな)」

弟「(女さん、日差しをめいっぱい浴びてる)」

弟「(……こんな人が、俺の目の前にいるのが不思議で仕方ない)」

女「昨日は、突然変なこと言ってごめんね」

弟「……ん」

女「……あ」

弟「……」

弟「(やめろ)」

弟「(そんなに俺を見るな)」

566 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:01:46.09 ID:IPSWyWeC0
女「ご、ごめんねっ、馬鹿だね私」

女「こんなところに呼び出したりなんかして」

女「諦め切れないって、言ってるようなものだよね」

弟「(そうだよ)」

弟「(俺は引きずる価値の無い男なんだから)」

女「で、でもね」

女「どうしても……伝えたいことがあってね」

女「昨日は、逃げちゃったから」

女「でも今日は逃げないから」

女「……聞いてほしいなって」

弟「……」


567 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:05:17.11 ID:IPSWyWeC0
女「昨日、一緒にいて」

女「短い間だったど」

女「楽しんでくれたかな?」

弟「(楽しかった)」

弟「(楽しくは、あった…。でも。)」

弟「……別に」

女「そ、っか……。ご、ごめん」

女「やっぱり、私一人で盛り上がってただけなんだね」

女「あはは……」

弟「……っ」

弟「(本当に)」

弟「(この人は、姉ちゃんに似ている……)」

570 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:29:32.33 ID:IPSWyWeC0
女「…もし」

女「もし、ね」

女「私と、弟君が……その、付き合ったりとか、したらね」

女「弟君は、……やっぱり迷惑だよね」

弟「(俺と…女さんが、付き合う…?)」

女「あのねっ、付き合うってどういう事かなって、考えてみたの」

女「そうしたらね」

女「二人で過ごせる事なんだと思ったの」

女「……昨日みたいに」

女「あはは。でも、昨日の二人の時間を」

女「弟君はそんなに楽しんでくれなかったんだよね…」

女「だとしたら、やっぱり、好きとか以前の問題になっちゃうのかな…」

572 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:36:30.97 ID:IPSWyWeC0
女「あ、…でも、でもね」

女「私はね、…ずっと弟君の傍に居たいの」

女「誰よりも近いところで、弟君をみていたいの」

女「……そうできるだけで、幸せだから」

女「だめかな」

弟「……」

女「……昨日、弟君言ってたよね」

女「好きとか嫌いとか、よく分からないって」

女「……っていう事は、私の事、嫌いじゃないって事だよね?」

弟「……まぁ」

女「あ、う、うん。だったら、さ」

女「嫌いじゃないんだったら」

女「……とりあえず、でいいから」

女「私を傍に置いてみてくれませんか?」

573 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:38:00.01 ID:IPSWyWeC0
うおー
30分あける


580 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:14:22.44 ID:IPSWyWeC0
女「……」ジッ

弟「……」

弟「(別にいいじゃないか)」

弟「(楽しかっただろ?一緒に居て楽しかっただろ?)」

弟「(一緒に居てもらえばいいじゃないか)」

弟「(人並みの幸せを、享受すればいいじゃないか)」

弟「(……いいじゃないか)」

弟「(この人に、救ってもらえば)」

弟「(甘えれば)」

弟「あのね女さん」

女「…っは、はいっ」


583 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:32:17.51 ID:IPSWyWeC0
弟「女さんは、姉さんに似てる」

女「……お姉さん、に?」

弟「だから」

弟「ちょっと、どこか、安心する」

弟「……でも」

弟「それだけだから」

女「……それって」

弟「……」

女「私を、見てくれてなかったってこと…?」

弟「(だからそんな風に)」

弟「(俺を見るな)」

587 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:44:43.50 ID:IPSWyWeC0
弟「……ん」

女「……そか」

女「そ、だよね」

女「ずっと、空ばかり見てた弟君だもんね」

女「私なんか見てないの、分かってたよ」

弟「……」

女「分かってた……分かってたけど」

女「……」

女「ねぇ」

女「私、なんでもするよ」

女「弟君が望むことだったら、私、何だってできる」

女「だから……だからっ!」

女「おねがいだよぉ…」

女「そばにいてよぉ…」

589 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:51:17.20 ID:IPSWyWeC0
女「わたしのこと見てなくたっていいよ…」

女「わたしのこと、好きになってくれなくていいよ」

女「ただそばにいてくれるだけでいいから…」

女「その代わり、私、弟君の為になんでもするから……」

女「だから」

弟「……ごめん」

女「……っ」ビクッ

弟「そういう問題じゃないんだ」

弟「……」

弟「……迷惑」

女「……ひっ」

女「………………」

女「あはは」

弟「(やめろ)」

593 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:56:11.68 ID:IPSWyWeC0
女「何をしてもだめ?」

弟「……ん」

女「そっか」

女「なんで?」

弟「……」

女「……好きな人、いるの?」

弟「……」

女「じゃないと納得できないよ」

弟「……ごめん」

弟「じゃあ」

女「いかないでよ!!」

弟「……」

女「いっちゃ」

女「やだぁ…」

596 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:01:27.94 ID:IPSWyWeC0
弟「女さんは」

弟「幸せになっていい人だ」

女「…それって、どういう」

弟「じゃあ」

女「やだっ!まって!」

女「おねがいっ!」

弟「……」

女「弟君が傍に居ないと、この気持ちの行き場わかんないのっ!」

女「だからおねがい!!」

女「なんでもするっ……なんでもするから」

弟「(女さんは姉ちゃんに似ているけど、姉ちゃんみたいになってはいけない)」

弟「(俺みたいな奴を好きになってくれて、ありがとう)」

弟「(……もっと、俺が違った人生を歩んでいたら)」

女「好きなの、大好きなのっ」

女「いかないでよぉ…」

601 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:12:14.26 ID:IPSWyWeC0
弟「(……空。青い。綺麗だ)」

女「―――っ」

弟「(女さんが何かを言っている)」

弟「(……聞いちゃだめだ)」

弟「(姉ちゃん)」

弟「(この、同じ空の下に)」

弟「(姉ちゃんがいる)」

弟「(……姉ちゃん)」

弟「(幸せな時間を過ごしてる?)」

弟「(俺は……)」

弟「(俺は……………)」

弟「(……)」

弟「(なんで俺は生きてるんだ)」

604 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:17:29.01 ID:IPSWyWeC0
友「あとは私の役です」

友「あなたは降板。もうニ度と舞台に上がる必要はないんです」

友「ふふふっ」

弟「……何か」

弟「知ってる?」

友「……知ってたら、何だって言うんですか?」

弟「……いや」

友「そうですよね」

友「私が何を知っていたとしても、詮無いことです」

友「あなたが立つ舞台はもうないんですから」

弟「……どうか」

弟「大事にしてあげてください」

友「もちろん」

友「感謝してますよ。……あなたが居なかったら、舞台は整わなかったのですから」

607 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:21:38.55 ID:IPSWyWeC0
弟「ただいま」

姉「おかえり」ニコニコ

弟「(姉ちゃん……)」

弟「(姉ちゃん、姉ちゃん、姉ちゃん…)」

姉「ん?」

弟「……いや」

姉「……」ギュッ

弟「……ぅ」

姉「おかえり」ナデナデ

弟「……ん」

弟「(あったかいよ……)」

弟「(姉ちゃん)」

弟「(ごめんよ、姉ちゃん)」

611 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:33:22.29 ID:IPSWyWeC0
弟「(いつも、姉ちゃんは俺の事ばっかりで…)」

弟「(俺の中学より高校の方が遠いのに、帰ってきたらなぜかいつも居て)」

弟「(料理も洗濯も掃除も、全部姉ちゃんがやってくれて)」

弟「(……なのに、俺は)」

弟「あの、さ」

姉「うんうん」

弟「姉ちゃんさ」

姉「なになに?」

弟「彼氏いたことある?」

姉「……」

姉「……え?」

弟「(姉ちゃん)」

弟「(俺の事なんかどうでもいいから)」

弟「(彼氏でも作りなよ…)」

619 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:53:57.57 ID:IPSWyWeC0
姉「もーいきなりなんでそんなこときくの弟ったらあはははは」

弟「別に」

姉「あはははは、もしかいて、あれかな」

弟「……」

姉「恋かな。恋の悩みかな」

弟「(恋…?)」

弟「(女さんのこと……姉さんには話せない)」

姉「あはははははは」

弟「(そういえば、女さん……)」

弟「(あ……やべっ)」

弟「……///」カァーッ

姉「あはははははは」

姉「あはは………はは…」


620 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:59:19.22 ID:IPSWyWeC0
 弟の部屋

弟「恋の悩み……」

弟「恋、か……」

弟「くそっ」

弟「(なんであそこで赤くなっちまったんだよ)」

弟「(なんでもしていいよ、とか…)」

弟「(ただでさえ、姉さんに似てんだから……卑怯だろ。思い出しちまったじゃねえか)」

弟「(あーーっ、もう)」

弟「(…むしろいっそ)」

弟「(あそこで女さんを犯してしまえば)」

弟「(俺は、堕ちてしまえたんだろうか)」

弟「……ぷっ」

弟「(馬鹿か。……そんな中途半端でどうする)」

弟「(結局、姉ちゃんに迷惑をかけるだけじゃないかよ)」

621 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/08(月) 23:03:50.88 ID:IPSWyWeC0
弟「(…どうやったら俺は)」

弟「(誰にも迷惑をかけずに消えてなくなれるだろう)」

弟「(もういっそ)」

弟「(すべての人に、……姉ちゃんに、忘れられてしまえばいいのに)」

 コンコン

弟「……」ビクッ

姉「……ねぇ、いいかな」

姉「入っても」

弟「(姉さんが俺の部屋に……?)」

弟「(珍しい)」

弟「いいよ」

655 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 00:56:45.48 ID:Qlvq6UxF0
姉「えへへ~」

弟「…う」

姉「おじゃましまーす」

弟「……姉ちゃん」

弟「酔ってる」

姉「酔ってないよ失礼なっ!」

弟「……酒なんてどこに」

弟「あ」

弟「(棚に残ってたな)」

弟「(でも、あれは……)」

姉「えへへー」

姉「弟の部屋ひさしぶりに入ったぁ」

657 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:03:48.99 ID:Qlvq6UxF0
弟「……どうしたの」

姉「えー、なにが?」

弟「……いや」

姉「まーいーじゃん、たまには一緒に遊ぼうよっ」

姉「昔みたいにさ」

弟「……」

弟「……ご飯」

姉「ごめんねー、まだ出来てない」

弟「(姉ちゃん)」

弟「(どうしちゃったんだよ)」

姉「あははっ、この部屋、相変わらずなんにもないねー」

658 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:10:44.72 ID:Qlvq6UxF0
弟「……」

姉「どうしちゃったのー、ムスッてして」

弟「……別に」

姉「もー」

姉「別に、じゃわかんないよ」

弟「(う…)」

弟「(この姉ちゃんは、めんどくさい姉ちゃんだ)」

姉「いっつもそう」

姉「弟は自分のこと、なーんも話してくれない」

姉「お姉ちゃんは弟のこといっぱい知りたいのにさっ」

姉「ぷんぷん」

弟「(酔ったらこんな風になるのか…)」

弟「(いったいどんだけ飲んだんだよ)」

660 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:16:52.01 ID:Qlvq6UxF0
姉「むっ」

姉「なんか言ったらどうなのー?」

弟「(なんか、って言ったって)」

姉「…うぐ」

姉「そんなに怖い顔しなくたっていいじゃん」

弟「(…そんな怖い顔してたか?)」

姉「弟は学校でいっつもそんな感じなの?」

弟「……別に」

姉「友達居るの?」

弟「……」

姉「答えてよー」

弟「……別に」

姉「だからもう」

姉「別に……」

姉「は禁止ーっ!」

662 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:24:43.24 ID:Qlvq6UxF0
弟「……」

姉「ねー、弟はお姉ちゃんのこと嫌いなの?」

弟「……別に」

姉「別に、は」

弟「嫌いじゃない」

姉「そーか、そーか、大好きかっ」

弟「(誰もそこまで言ってない)」

姉「あはははは、でもあれだねー、やったね」

弟「……え」

姉「ついに彼女?恋?恋人?…なにがあったのかい?」

弟「な、なに言って…」

姉「とぼけても無駄だって!」

姉「あはははっ、ネタはあがってるんだよーっ」

665 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:36:17.92 ID:Qlvq6UxF0
弟「ネタって…」

姉「さっき、彼氏について聞いてきたでしょー?」

姉「顔赤くして」

弟「……あ」

姉「なんであんなこと聞いてきたのさー」

姉「好きな人でもできたんでしょ、そうなんでしょ?それとも告白された?」

姉「正直に言ってごらんよっ、お姉ちゃんが相談のるよ!」

弟「……」

弟「(困った。ネタは無いわけじゃない。…でも話せるネタじゃない)」

弟「(かといって、何か話さなきゃ姉さんは引いてくれないだろうな)」

姉「おねーちゃんね、弟の恋の話を聞くのが夢だったんだから」

姉「弟もいい年になったことだし、そろそろかなー、とは思ってたけどね」

姉「あははは、ねー、お願い」

姉「聞かせてよぉ」

667 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:37:13.59 ID:Qlvq6UxF0
おっと弟に姉さんとか言わせちまった。姉ちゃんな。

669 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:44:50.02 ID:Qlvq6UxF0
弟「……俺の話なんか」

姉「弟の話だから聞きたいんだよっ」

弟「……」

弟「(どうする)」

弟「(どうすれば、姉ちゃんは大人しく帰ってくれる…?)」

弟「それより」

弟「……姉ちゃんの話が聞きたい」

姉「えっ?私の?」

弟「……ん」

姉「わわわ、私?私のなにっ?」

弟「……学校とか、友達とか」

弟「恋とか」

姉「へ?……ふぇっ?へへ?」

672 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:52:40.82 ID:Qlvq6UxF0
姉「え、えー」

姉「ええっとだね」

姉「私はね、フツーの高校生だしっ」

姉「友達もフツーにいるし、恋は…あー、奥手というか、得意じゃないけどフツーだよ!」

弟「……もっと」

弟「具体的に」

姉「……う」

姉「い、いやいやいや」

姉「今は弟の事を話す時間なのっ、私の事はいいの!」

弟「(ちぇ、強引だなぁ…)」

姉「だからねっ、聞かせてよ。…お願いっ!」

673 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:56:36.11 ID:Qlvq6UxF0
弟「なんで、俺の事なんか……」

姉「そりゃだって、ねぇ…私の弟だから」

姉「大事なかぞくだしっ」

姉「二人暮しで支えあってるし!」

弟「(俺が一方的に支えてもらってる気がするけどな)」

姉「むすぅ」

姉「どうしても話してくれないなら、当分夕飯は抜き」

弟「……別に」

姉「別に、は」

弟「いいけど。夕飯くらい」

姉「……むすっ」

677 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:04:08.53 ID:Qlvq6UxF0
姉「そっちがその気なら、お弁当も当分作らないから」

弟「……」

姉「どーう?結構キツイでしょ?」

弟「……いいよ」

弟「朝飯もいらない」

姉「……え」

姉「ど、どうしてそんなこというの?」

姉「そんなことしたら、死んじゃうじゃん……」

弟「いいよ、別に」

姉「……え」

弟「俺なんか死ねばいいんだって」

 バチンッ

弟「…痛っ」

姉「……なんで」

姉「なんで!?」

682 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:11:01.37 ID:Qlvq6UxF0
姉「取り消しなさいよ!死ねばいいはず無いじゃない!」

弟「……姉ちゃん、酔って」

姉「酔ってる酔ってない関係ない」

姉「……謝んなさいよ」

姉「お母さんに謝んなさいよ!!」

弟「……だから」

弟「だから、余計俺なんか死んだ方が」

 バチンッ

弟「……っ」

姉「ふざけないでよ」

弟「……ひさしぶりに、ぶたれた」

弟「ぶって、くれた」

姉「謝ってよ、訂正してよ」

姉「お願い……お願い、弟ぉ……」ギュッ

弟「……ぅ」

689 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:19:36.89 ID:Qlvq6UxF0
姉「もう、そんな悲しい事言っちゃやだよ…」

姉「お父さんも、お母さんも、……私も」

姉「皆、弟に幸せに生きて欲しいって思ってるんだから」

弟「……ん」

弟「でも、やっぱ、俺なんか…」

姉「なんでそうなの?」

姉「どうして?」

弟「……迷惑しかかけられないから」

弟「姉ちゃんにも、…………母さんにも」

姉「迷惑だって、思ってるの?」

弟「……姉ちゃんは俺のこと迷惑だって思ってる」

姉「それは違っ」

弟「口でならなんとでも言えるよ!」

姉「……」

弟「たまには友達と遊びにでもいけばいいんだよ。俺なんかほっといてさ」

692 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:31:36.50 ID:Qlvq6UxF0
弟「毎日毎日、家事ばっかりやってさ」

弟「…俺のことばっかりかまって」

弟「自分の事なんて何にもじゃないか」

弟「そんなの……そんなのって…」

姉「普通の事だよ」

弟「そんなはずは」

姉「ねぇ」

姉「もっと甘えてもいいんだよ?」

弟「今でも、十分…」

姉「全然だよ。……弟は、いつも私に遠慮してくれてる」

姉「それはうれしいけど、…すごく苦しいの」

姉「友達と遊ぶ?恋をする?……そんなことより、私は弟が大事だよ」

姉「……だって、弟の幸せが、私の生き甲斐なんだから」

姉「だから」

姉「もっと甘えて欲しい」

698 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:43:15.74 ID:Qlvq6UxF0
弟「……ふざけんな」

姉「え…」

弟「結局、俺が居ないほうが幸せなんだよ」

弟「俺が居るから、姉ちゃんは俺を大事にせざるをえないんじゃねーか!」

弟「俺が居なけりゃ、遊べるし彼氏も作れるし勉強も出来るし!」

弟「やっぱり……俺はあの時死ねばよかったんだ!」

姉「…違っ」

弟「なにが甘えろだ……」

弟「こうやって、ことある事に抱きついてくるのも」

弟「頭を撫でるのも」

弟「偽善者ぶって俺が一番大事とか言うのも」

弟「……っく」

姉「や、やめ……言わな」

弟「全部母さんの真似事じゃねーかよ!」

姉「ひっ…」

700 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:48:39.61 ID:Qlvq6UxF0
姉「……ち、ちが…ちがう…」

弟「違くねーよ!」

姉「う、うん……違わない、違わないけど…」

弟「もう」

弟「家族ごっこはうんざりだ」

姉「ご、ごっこ……って」

弟「ごっこだよ」

弟「……母さんの代わりなんて、どこにもいねーよ」

姉「だ、め………?だめ、だった……?」

姉「わ、わたし……ず、ずっと……ずっと…」

弟「迷惑なんだよ」

姉「…………………う、…そ」

弟「俺」

弟「この家出るから」

705 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:00:13.76 ID:Qlvq6UxF0
弟「(……間違ってない)」

弟「(俺は、間違ってない)」

弟「(……)」

弟「(姉ちゃん、ごめん)」

弟「(大好きだ)」

弟「(姉ちゃん、大好きだよ)」

弟「(だから、…だからずっと、苦しかった)」

弟「(でも、これできっと)」

弟「(姉ちゃんも、俺も…)」

弟「(……)」

弟「(俺は……間違って、無い)」



第四話 「もう甘えたくない」 おわり

708 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:11:27.84 ID:Qlvq6UxF0
女「(……空)」

女「(もう、まっくら)」

友「……ここ、どうですか?」

女「ん、んっ……ぅ」

友「気持ちいい、ですか?」

女「……わ、かんな、…い」

友「…女さん、……んっ、んぅ」

女「……んっ…」

女「…ん、ん……」

女「(友ちゃん……、ごめんね、友ちゃん)」

女「(ごめんね)」

女「(わたしがんばるから……)」

712 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:16:51.79 ID:Qlvq6UxF0
友「……もうそろそろ、帰りたい、です……か?」

女「どうだろう」

友「今日も、泊まりに来て下さい」

女「……」

女「うん」

友「ふふふっ」

友「好きですよ。……女さん、わたし……ほんとに、うれしい」

女「(よかった)」

女「(喜んでくれてる)」

女「(……ほんとに、友ちゃんうれしそうにしてくれてる)」

女「(うれしいな)」

友「……ん」

女「んぅ」

友「…キス、上手くなりましたね。行きましょうか?」

女「……」

714 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:24:13.56 ID:Qlvq6UxF0
友「服、着れましたか?」

女「うん」

友「スカート、ちょっと汚れてますね。家に着いたら洗ってあげますからね」

女「ありがとう。…いこっか」

友「待ってください。あと、一つだけ」

女「……?」

友「……これ、あげます」

女「これは……」

女「(クマチャンのストラップ)」

友「代わりに女さんの携帯に付いてる、それ」

友「貸してください」

女「や」

女「やだ」

717 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:33:23.90 ID:Qlvq6UxF0
友「どうしてですか?新作ですから、女さんの為に苦労して取ったんですよ」

女「やだ」

友「……まぁ、いいでしょう。」

友「わかりました。帰りましょう」

女「……」

友「さっ」ギュッ

女「(あ…手……)」ドキッ

友「……警備員さんなんかに、見つからないように出ないとですね」

女「……う、うん」

友「ふふふっ、どきどきしますね」

女「……」

女「(どきどき、……か)」

女「(弟君からもらったクマチャンのストラップ)」

女「(私は……やっぱり、引きずってる)」

718 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 03:46:51.05 ID:Qlvq6UxF0
ごめ
またちょっと待って

あとこの調子だと1000で収まるのギリギリかもしれないので
今のうちに減速していただけると大変うれしいです

融通利かなくてしょっちゅう中断して申し訳ない

745 名前:ちぢれ@毎度すみません[] 投稿日:2010/03/09(火) 12:40:21.11 ID:Qlvq6UxF0
 帰り道

友「…今日は一緒にお風呂に入りましょうね」

女「うん」

友「あらいっこしましょうね」

女「うん…」

友「ふふふっ、楽しみです」

女「そうだね。…あはは」

友「……」

友「……」ギュッ

女「(……あ、手…また…)」

女「友ちゃん…」

友「……っ!」バッ

女「あ、…や、止めてっ!け、携帯っ!」

女「なんでっ、取るの……っ、んぅっ!」

友「こんなのがあるから…っ」

747 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 12:46:57.22 ID:Qlvq6UxF0
友「…は、はなしてっ!」グイッ

女「やだっ、ぜったいやだあっ!!」

友「っ!」

女「やだもんっ!ぜったいっ…ぜったいやだもんっ!」

女「弟君とのつながりなんて、それしかないもんっ!!」

女「絶対っ……絶対はなさないっ…」

友「弟さんのことなんかっ…すぐに私が……」

友「…私がぁあっ!」

女「や、やめっ…」ズルッ

 ドサッ

女「(あっ……)」

友「……ぁ…」

 キィィィイッィイィィッッ!!!

女「(轢かれちゃ…)」

750 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 12:55:41.11 ID:Qlvq6UxF0
弟「……はぁっ……はぁっ…」タッタッタッタ

弟「(くそっ……くそっ、くそっ!)」

弟「(俺は正しいっ…俺は、間違ってなんか無い)」

弟「(だから、……もう、いいんだ)」

弟「(姉ちゃんに言いいたいことは全部言った)」

弟「(だから、もう、俺は……っ)」

弟「(……)」

弟「(……全部?)」

弟「(本当に?)」

弟「(うるさい)」

弟「(うるさいうるさいうるさい)」

弟「(……うるさいっ…)」

弟「(もう、いいんだよ、全部が全部…いいんだっ)」

弟「(……ん?)」

弟「(あれ、は……)」

751 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:02:32.40 ID:Qlvq6UxF0
友「…は、はなしてっ!」

女「やだっ、ぜったいやだあっ!!」

友「っ!」

弟「(…女さん。……それと、友さん)」

弟「(どうしてこんな時間に、……よりにもよって、こんなところに)」

弟「(今、一番会いたくない人だった)」

弟「(ここは、一度…)」

 ドサッ

 キィィィイッィイィィッッ!!!

弟「…!?」

女「……っ」

弟「……な…」

752 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:11:53.40 ID:Qlvq6UxF0
弟「……」ダッ ダダッ

弟「(間に合え)」

弟「(せめて、車の盾に)」

弟「(死ぬな、死ぬな…)」

弟「(俺なんかどうだっていい)」

弟「(いっそ、死んでいいっ)」

弟「(でも、あなたは死んじゃだめだ…)」

弟「(死んじゃだめだ………)」

弟「…姉ちゃん!!」

 キュィイィィィイィィィッ!!

女「―――」

弟「とど、けぇっ!!」

753 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:20:59.51 ID:Qlvq6UxF0
女「――――っひ」ガクガク

弟「…はっ、はっ、はっ…はっ…」ガクガク

 「バカヤロー轢き殺させるつもりかっざけんなーっ!!」

 「……ちっ」

弟「……はぁっ…はあっ……うっ……」

女「わ、わた、し……た、たすか……」

弟「(す、げ……震えてる……なんだ、これ…)」

弟「(た、すかった…?)」

弟「(しな、なかった……)」

友「……今更」

友「今更なんなのよあんた!!」

弟「……」

女「と、も……ちゃ、……」

757 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:29:16.15 ID:Qlvq6UxF0
友「(……いまさらのこのこ出てきて)」

友「(女さん助けてヒーロー気分?)」

友「(ふざけないでよ……)」

友「ふざけないでよっ!!」

友「なんで……なんで、今なの?」

友「全部うまくいくはずだった、あなたが二度も振ったから……っ!」

友「三度目なんか都合よすぎ!…もう、これ以上私にっ……女さんにっ…」

友「……辛い思いをさせないでよ……おねがいっ」

友「お願いです……う、…うっ…」

女「……」

弟「……ここ、どこだか知ってたんじゃないのか?」

友「……ど、どこって…」

友「(そんなこと、知ってるもなにも……)」

友「(――あ)」

友「(まさか)」

758 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:35:19.08 ID:Qlvq6UxF0
弟「……やっぱ、全部知ってたんだな」

友「で、でも」

友「ここだとは…」

女「なに…、何の…?」

弟「……手」

女「……あ」

友「(……っ!)」

弟「つかまって」

女「……でも」チラッ

友「(……はぁ。女さんの、バカ…)」

友「……いいよ」ニコッ

女「……」ギュッ

弟「……ん」グイッ

女「……ふぁっ」

760 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:42:57.06 ID:Qlvq6UxF0
女「……あ、の…」

弟「……」

弟「……ここで」

弟「死んだんだ、母さん」

女「……ぇ」

友「(やっぱり…)」

友「(事故死なのは知っていたけれど、ここ…)」

弟「……それだけ」

女「……あ、の……ご、ごめ…」

弟「死ななくて、本当によかった」

弟「……それだけ」

女「ありがとう…」

女「でも、ごめん。もう、…行くね」

友「えっ…」

762 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 13:49:52.66 ID:Qlvq6UxF0
友「(…なにそれ。なんなの。折角惚れた男が、命をかけてくれたのに、一言お礼を言って満足?)」

友「(それって……何なの?私に同情して?)」

友「(私はもう、覚悟できてるっていうのに)」

友「(女さんを死なせてしまうくらいの事したんだから、…当然の報いだって、覚悟してたのに)」

女「行こっ、友ちゃん」

友「え、…う、…うん」

女「……」ギュッ

友「(あ…)」

友「……///」ドキッ

女「……それじゃ、弟君。……………学校で」

弟「……学校で」

友「あっ」

友「ありがとう」

友「……女さんを、助けてくれて。ありがとう、ございました…」

弟「……ん」

765 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:02:19.49 ID:Qlvq6UxF0
女「(出会ってから弟君は私の心に沁み込み続けて。あっという間に、弟君の色に染まっちゃってたな)」

女「(…でも、それだけだった)」

女「(弟君の心に、私の色は、ちっとも沁み込んでなかった)」

女「あはは、……姉ちゃん、だって」

友「……いいの?」

女「良くないよ。…でも、すっきりした」

女「……」ギュッ

友「……う」

女「ねぇ、友ちゃん」

女「友ちゃんがくれたストラップ……弟君がくれたストラップと、一緒につけちゃダメかな」

友「え……?」

女「あはは、ごめんね。……でも、しばらくは、…もう少しだけ……」

女「(弟君のことを、……初恋の気持ちを、忘れたくないから)」

友「うん……っ」

友「うんっ」

767 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:08:22.91 ID:Qlvq6UxF0
女「…あははっ」

女「ありがとう」

友「……お、お礼を言うのは……私の方です」

友「それに、謝るのも…」

女「変な友ちゃん」

友「だ、だって…」

女「……」ギュッ

友「……ぅ」

女「えへへ、ゆっくり、歩こうか」

姉「……」

友「あっ」

女「……?」

768 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:18:06.62 ID:Qlvq6UxF0
 姉弟宅

姉「(いっちゃやだ…)」

姉「(いっちゃやだよっ…お姉ちゃんから、離れちゃやだよ……)」

姉「どこ行く気だろ…」

姉「……」

姉「(死にたいって言ってた)」

姉「(すごく、思いつめてた)」

姉「(……だとしたら)」

姉「やだっ……!」

姉「お願い母さんっ」

姉「弟を守って!」

769 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:26:27.66 ID:Qlvq6UxF0
姉「はぁ、っ、はあっ…はっ、はっ」タッタッタ

 キィィィイッィイィィッッ!!!

姉「…っ!?」

姉「(…もしかしてっ)」

姉「(……弟っ、……っん、しんじゃやだっ…)」

姉「(無事でっ……どうか、無事で…)」

姉「…わたしがっ……ごめんなさいぃっ…」

姉「お母さんの真似なんかしてっ…、何にもできなくて…っ」

姉「弟の事なんにもわかってあげられなくてっ…」

姉「なんにも、なんにもっ…してあげられなくてっ…」

姉「おねえちゃんが、ダメだったよっ…」

姉「でも、これからお姉ちゃん、もっとがんばるからっ…だから」

姉「だから、……だからしんじゃ」

姉「やだよ……!!」

771 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:32:30.93 ID:Qlvq6UxF0
姉「はぁっ……っ、は、っ……はぁっ……っぅ…」

姉「(よか、……った)」

姉「(…そばにいる、二人の娘)」

姉「(誰だろう…?)」

姉「(何、してる?)」

姉「(あ……こっち、来る)」

女「えへへ、ゆっくり、歩こうか」

姉「……」

友「あっ」

姉「(あれ?私の事知ってる人?)」

姉「……弟の…お友達?」

友「……え、と…」


772 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:40:15.93 ID:Qlvq6UxF0
女「(弟君の?)」

女「(……そうか、この人が)」

女「はじめまして。弟君にいつも仲良くさせてもらってる、女っていいます」

女「こちらは、友ちゃん」

友「は、…はじめまして」

姉「…よろしくね。弟のお姉ちゃんです」」

女「はいっ」

姉「……えへへ」ニコッ

女「あははっ」ニコッ

姉「気をつけて帰ってね」

女「ありがとうございます」

女「……お姉さんも」

773 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:46:01.73 ID:Qlvq6UxF0
友「……」

女「どうしたの?」

友「う、ううん。なんでもない」

友「いいお姉さん……でした、ね」

女「えへへ、そうだねぇ」

女「(でも……)」

女「(ちっとも私に似てないと思うんだけどなぁ…)」

友「……」ギュッ

女「……ひあっ」

友「私は女さんだけですからっ!」

女「……もぅ…友ちゃん、…こんなところで抱きつかないでも。恥ずかしいよ…」

女「こういうのは、これから友ちゃんちで、ゆっくり、……ね?」

友「……ぁ」

友「……ぁぅ」

女「えへへ…」ナデナデ

776 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 14:55:21.06 ID:Qlvq6UxF0
弟「……」ボーッ

弟「(母さん……)」

弟「(ちゃんと、空から守っててくれてるんだね)」

弟「(ありがとう)」

姉「…やほっ」

弟「……姉ちゃん」

姉「あはは、元気そうでよかったぁ」

姉「姉ちゃん心配したよ」

弟「……ごめん」

姉「ほんとに、ほんとに心配したんだよ」

弟「……ん」

姉「ほんとに、ほんとのほんとのほんとにっ……ほんとにぃっ!!」

姉「………………よかった」ギュッ

弟「……ぅ」

777 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:08:17.09 ID:Qlvq6UxF0
弟「……姉ちゃん」

弟「あったかい」

姉「弟も、あったかいよ」

姉「生きてるあったかさだよ」

姉「……母さんは、…すごく、冷たくなってた」

姉「……だから、……だからっ」

弟「母さんの事、ごめん」

弟「俺、…」

弟「俺のせいでっ!」

姉「そんなこといいからっ!」ギュゥッ

弟「……んっ」

姉「母さん言ってたよね、空から見てるって」

姉「……ちゃんと、見てるんだよ」

弟「……ん」

778 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:16:30.25 ID:Qlvq6UxF0
弟「……死ぬの」

弟「すごく、怖かった」

弟「でもっ、母さんは………そんな怖い、思い、してっ」

弟「俺の……俺なんかの、為にっ……」

弟「ぐっ……うっ…」

姉「弟だからだよ…」

姉「私も、弟のためなら、死ぬのなんか怖くないよ」

姉「……それくらい、大切なんだよ」

弟「ごめん、ごめんっ……ごめん姉ちゃん」

弟「俺、間違ってた……全部、間違ってた…、もう死にたいとか言わない…」

弟「絶対、思わないっ……母さんに、誓って思わないからっ…」

姉「うん……、うん」ナデナデ

弟「……ん」

弟「姉ちゃん……姉ちゃん、姉ちゃん姉ちゃんっ…」ギュゥッ

姉「……うん、いるよ。お姉ちゃん、ずっと弟の傍にいるよ」

780 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:27:32.68 ID:Qlvq6UxF0
 友宅 お風呂

女「……事故」

友「はい。…なんでも、弟さんをかばって、車に轢かれてしまったらしいのです」

女「……」

友「お父さんは、弟さんが生まれてすぐに亡くなられたらしく」

友「ずっと、母子家庭だったそうなのです」

友「……その上、4年前にお母さんがお亡くなりになったので」

友「弟さんと、お姉さんは、親戚をたらいまわしにされたとか」

女「……でも、今あの家には」

友「はい。二人しかいません」

友「……お姉さんが、二人で暮らしたいと強く希望したらしいのです」

女「……」

女「そっか……」

781 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:32:06.22 ID:Qlvq6UxF0
女「(弟君は、ずっと空を見てた…)」

女「(もしかすると…)」

友「……」モギュッ

女「ひあっ」ビクッ

友「……今、弟さんのこと考えてましたね」

女「あー、えっと。……えへへ」

友「……」モギュモギュ

女「ひぅっ!……ん、…あっ……も、もうっ」

友「忘れろとはいいませんけどっ、二人きりのときくらい…」

女「も…、もぅ………んっ」

友「……っ!」

女「……えへへー、唇奪っちゃったーっ」

友「…ぁ、ぁぅ……」

783 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:41:37.33 ID:Qlvq6UxF0
弟「ただいま」

姉「……おかえりっ」

弟「……おかえり」

姉「た」

姉「ただいまっ」

弟「……おなか、減ったな」

姉「うんっ、すぐ夕飯の準備しちゃうね」

弟「……俺も、手伝う」

姉「えっ」

弟「……だめかな」

姉「ううん」

姉「ううん、…ダメな分けないよ。一緒に作ろうっ!」




 第五話 「それぞれの想い」 おわり

786 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 15:52:07.29 ID:Qlvq6UxF0
弟「ごちそうさま」

姉「ごちそうさまでしたっ」

弟「……おいしかった」

姉「弟才能あるかもよ。いいフライパン捌きしてたもんっ」

弟「……そうかな」

弟「俺は、料理よりも」

姉「…ん?」

弟「あ、いや」

弟「……小さいころさ、よく一緒に、おままごとをしてたの覚えてる?」

姉「え、…どうしたの、突然」

弟「……昔は遊ぶって言ったら、姉ちゃんが『おままごと』って言って聞かなかった」

姉「うーん、そういえば、そういう頃もあったね」


787 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 16:01:00.28 ID:Qlvq6UxF0
弟「…姉ちゃんはさ、いつも、お母さんの役やりたがってたよな」

姉「えへへー、そうそう。お母さんになるのは私の憧れだったしねっ」

弟「……んで、俺はいつも子供の役やらされてた」

姉「……そうだっけ?」

弟「そうだよ」

姉「じゃあさっ、今だから聞くけど」

姉「本当は何の役がやりたかったの?」

弟「……俺は」

弟「……ぅ」

弟「……///」

弟「風呂、入る」

姉「あーーっ、自分から話題振ってきたのにっ!」

弟「……じゃっ」

姉「ぷんすかーっ」

788 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 16:08:12.54 ID:Qlvq6UxF0
 お風呂

弟「……ふぅ」

 チャポン

弟「……だめだ」

弟「……」

弟「……あー、くそ…」

姉「ここに、バスタオルおいとくねー」

弟「……っ」ビクッ

弟「お、……おぅ」

姉「……ねぇ」

弟「……ん?」

姉「久しぶりに、一緒に入ろうか?」

弟「……なっ!」ビクビクッ

789 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 16:13:33.59 ID:Qlvq6UxF0
弟「…ば、馬鹿なこと言うなよっ!」

姉「そっか…」

弟「……も、もう。いい年だろ」

姉「……むす」

弟「……」

姉「……わかったよ。お風呂の蓋しめないでいいからね。すぐに私入るから」

弟「わかった」

弟「……ふぅ」

弟「……」

弟「……くそ」

792 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 16:23:20.97 ID:Qlvq6UxF0
またちょっとまってー
いつも悪いです

797 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 16:54:17.33 ID:Qlvq6UxF0
弟「……あがった」

姉「……じゃあ」

姉「入ってくるね」

弟「ん?」

弟「……あ、あぁ」

弟「……」

弟「……なんだ?」

弟「……寝る」

弟「か」

798 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:00:49.94 ID:Qlvq6UxF0
 弟の部屋

弟「……」

弟「……もう」

弟「……姉ちゃんは、姉ちゃん」

弟「……なんだよな」

弟「……」

弟「……色々」

弟「ありすぎた」

弟「……疲れた」

弟「……」

弟「……」スースー

799 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:07:37.67 ID:Qlvq6UxF0
 お風呂

姉「……」

 チャポン

姉「…弟」

姉「何、考えてるんだろう」

姉「知りたい」

姉「……」

姉「ほんとは」

姉「覚えてるよ、昔の事」

姉「……」

姉「…はぅ」

姉「いいのかな」

姉「でも」

姉「知りたい」

姉「……」

801 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:13:55.47 ID:Qlvq6UxF0
 コンコン

姉「……」

姉「……入るね?」

弟「……」スースー

姉「…寝ちゃってる」

姉「寝顔、可愛いなぁ…」

姉「……」

姉「ごめんね」

姉「今日は、お姉ちゃん、弟に甘えたいかも」

姉「一緒に寝ても……いいよね」

姉「……」

姉「……」スッ

803 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:22:12.95 ID:Qlvq6UxF0
友宅 脱衣所

友「いい湯でした。ごちそうさまです」

女「……うぅ」

友「続きは、また部屋で……」

友「いいですよね?」

女「……友ちゃんが、したいなら」

女「でも、ちょっと怖いよ…」

友「怖くないですよ」

友「優しくします」

女「……今日も、屋上でそう言ってたけど」

女「ちょっと乱暴だった…」

友「うぐ」

友「……ちょっと、ショックです」

805 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:28:38.42 ID:Qlvq6UxF0
友「……」

女「……ぅ」

女「落ち込んだ?」

友「……」

女「……うー」

女「で、でも、ちょっと、……ちょっとだけ」

女「気持ちよかったよ!」

友「……よかった」

女「そう、うん。よかったよ友ちゃん、よかった」

友「よかった」

友「生きててくれて……」ギュゥッ

女「……あ」

女「友ちゃん…」

807 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:40:09.16 ID:Qlvq6UxF0
女「友ちゃん。私ね、気づいたの」

女「最初、友ちゃんに私の気持ちを利用されて…、酷いことするな、って思った」

友「…うん」

友「……ごめん。ほんとに…」

友「私が、あんな事したから…、女さんを、死なせちゃうとこだった…っ」

友「だから、女さんが、本当に……っ」

女「でもね、違った」

友「……え」

女「いままで近すぎたのかな。…それで、わかんなかったみたい」

女「……確かに、弟君のそばに居られないのは嫌だよ。でも」

女「それ以上に、友ちゃんの傍に居られないのは、もっと嫌だなって…」

女「気づいたんだ」

女「私たち女同士だし、今はまだよくわからないけど」

女「……私、友ちゃんの気持ちに、応えたいなって…思うんだ」

811 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:44:26.61 ID:Qlvq6UxF0
女「あはは、…ごめんね。稚拙で」

女「友ちゃんと頭の出来がちがうけど、…自分なりに考えてみたんだ」

友「ううん、ううん。……うれしいっ。うれしいです」

友「……すき、…好きっ」

女「うん」

女「……私も、好きだよ」

友「……ふふふっ」

女「あははっ」



 第六話 「それぞれのふるまい」 おわり

813 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 17:49:07.95 ID:Qlvq6UxF0
弟「(……)」モニュ

弟「(……?)」

弟「(……??)」モニュモニュ

姉「ひんっ」

弟「……え?」

弟「………………あ」

姉「えへへ」

弟「……な」

弟「なんで」

姉「……一緒に」

姉「寝よっ?」

弟「………………」

816 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:00:26.47 ID:Qlvq6UxF0
弟「……どうした」

姉「たまには弟に甘えちゃおうと思って」

弟「……甘えるって…」

姉「だめ、かな」

弟「……」

姉「……」ウルウル

弟「(な、なんか…)」

弟「(女さんにも、こんな感じで…)」

弟「……別に」

姉「えへへ」

姉「やった」

817 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:06:29.74 ID:Qlvq6UxF0
姉「(……久しぶりだな)」

姉「……」ギュゥッ

弟「……ん」

姉「(へへーっ、弟の胸っ)」

姉「(いつも、立ちながら抱きしめてるから、胸に頭乗せられないんだよね)」

弟「……」

姉「……えへへ」スリスリ

弟「……ぐ」

姉「(気持ちいいなぁ…)」

姉「(あったかくて)」

姉「(ちょっと、固くて……でも、男らしくて)」

姉「~~~っ」スリスリ

821 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:14:07.87 ID:Qlvq6UxF0
弟「…ね、姉ちゃん」

弟「ほんと、どうしたんだよ」

姉「え?」

姉「お姉ちゃんは、お姉ちゃんに戻ろうと思って」

弟「……それで?」

姉「お姉ちゃんって、弟に甘えるものだよねっ!」

弟「……」

姉「(ふっふっふっ、驚いて声もでないのね!)」

姉「もちろん、弟もお姉ちゃんに甘えてもいいよっ」

姉「……でも、お姉ちゃんも女の子で、弟は男の子だからっ」

姉「お姉ちゃんも甘えていいんだよっ、うんうん」

弟「……へ」

弟「へぇ…」

822 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:19:31.47 ID:Qlvq6UxF0
弟「(なんなんだ、その理屈……)」

弟「(姉ちゃんの中では、甘える=一緒に寝るとかなのか?)」

弟「(抱きついてきて、胸にスリスリしてくるとかなのか…?)」

姉「……むぅっ」ギュッ モニュッ

弟「……うっ」

姉「えへへーっ」スリスリ モニュモニュ

弟「(や、べ……)」

弟「(むね………胸、さっきから……くそっ)」

姉「きもちーっ」ムニュムニュン

弟「……うおおおおっ!!」バサッ

姉「きゃぁっ!」

825 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:24:37.68 ID:Qlvq6UxF0
弟「……はぁっ、…はぁっ…」

姉「(…わ。……怒らせちゃったかな)」

姉「ご、ごめん…」

弟「……姉ちゃん、自分で言ってたけど」

弟「……俺は男で、姉ちゃん女だろ」

姉「……うん」

弟「だったら、こういうの……」

姉「あっ……」

姉「(そ、そっか……そう、だよね…)」

姉「ひぁぁっ………///」カァーッ

弟「あ、いや、その……」

姉「(そう、だよね……弟はもうそういうの気にする年だよねっ…)」

姉「(それに……お姉ちゃんのこと……やっぱり)」

姉「……うぅ…///」

826 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:32:45.46 ID:Qlvq6UxF0
姉「ごめん、ごめんね…私、弟の気持ち、全然かんがえないでっ…」

弟「(え?…な、何言ってんだ…?)」

姉「あのねっ、……寂しかったの」

姉「すっごく、ね…ずっとね、寂しくてっ…」

姉「ずっと、ずっと、我慢してて…」

姉「今日、お母さんの役から、お姉ちゃんに戻っていいって分かった時から」

姉「もう……我慢しなくていいんだって」

弟「(……あっ)」

姉「こう見えてもね、お姉ちゃん……」

姉「すっごく、寂しがり屋の、…んっ…泣き虫、だからぁ……」

姉「だから、……弟が、すっごく、恋しくて…恋しくて…ひぐっ…」

弟「(そっか…)」

弟「(……ずっと、俺の為に強がっててくれたんだな…)」

弟「ん、わかった」ギュッ

姉「…わゎっ……///」

832 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:42:55.82 ID:Qlvq6UxF0
姉「(弟から、抱きしめてくれた……)」

姉「えへへっ……」スリスリ

弟「こんなんで、いいの?」

姉「うんっ………。うんっ」

姉「(ずっと、ずっと、待ってたもの)」

姉「(こうやって、弟に甘えられる日を……ずっと)」

弟「……」ナデナデ

姉「……はぅ…」

姉「ん……///」ポーッ

姉「それ、きもちぃ…」

弟「いつも、姉ちゃんにやってもらってたことだけど?」

姉「……えーっ。いっつも、弟ばっかりずるいんだぁ…」

弟「これからは、いつでもするよ」

姉「……ほんとに?ほんとのほんとっ?」

弟「……ん」

835 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:48:42.89 ID:Qlvq6UxF0
姉「えへへーっ」ギュゥッ モニュッ

弟「(……うっ…)」

姉「うれしっ」ニコニコ

弟「(……ぐ、…姉ちゃん、そんな、微笑み方っ……卑怯っ…)」

姉「……ねぇねぇ」

弟「な、なんだよ」

姉「おままごと、何の役がしたかったんだっけ?」

弟「………い、いきなりっ」

姉「お父さん役でしょ?」

弟「…………」

弟「(バレてた………)」

弟「(うあああああああ)」

838 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 18:55:27.04 ID:Qlvq6UxF0
弟「ち、ちがっ…」

姉「(あははっ、図星図星っ)」

姉「うそだぁ」

弟「……ぐっ…」

姉「知ってるよ」

姉「あの頃の、弟の気持ち」

弟「で、でも、……今、はっ…」

姉「(照れて顔真っ赤にしちゃって……、ほんとに……)」

姉「かわいい」

弟「……え…っ」

姉「ねぇ」

姉「今は?」

姉「今は、お姉ちゃんに、どの役をやってほしいの?」

姉「弟は、何の役を」

姉「やりたい…?」

840 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:05:09.32 ID:Qlvq6UxF0
弟「(姉ちゃん……、姉ちゃん、何を考えて…っ)」

弟「(わけ、わかんねっ……これっ、どういう状況!?……えっ…うええっ!?)」

姉「…なんでこんな事聞くか、鈍感な弟に、分かりやすく教えてあげよっか?」

弟「……ぅ」

姉「お姉ちゃんね」

姉「弟の、気持ちが知りたいの」

弟「(気持ち…?)」

弟「きもち、ったって…)」

姉「そうだね、ちょっと、曖昧だったね」

姉「もっと具体的に言うね」

姉「…お姉ちゃんを、どう思ってるのか」

姉「知りたいな?」ニコッ

弟「(…………………えっ)」

弟「(え、…ええっ…?)」

841 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:11:57.50 ID:Qlvq6UxF0
姉「(言っちゃった……もうこれ、『好き』って言ってるのと同じだよね……)」

姉「(でも、後悔はないよ)」

姉「(親戚の人たちに頼らずに生きていくって決めて)」

姉「(二人で暮らし始めたときから……うぅん、ずっとずっと、弟が生まれたときから)」

姉「(言い出せなかった気持ち)」

姉「(……今日はよかったけれど、いつ、弟がどこかへ行ってしまうかわからないもの)」

姉「(だから……っ)」

弟「……姉ちゃん、酒に酔ってる?」

姉「よっ」

姉「酔ってないよばかああっ!!」

姉「お父さんの形見なら夕方にもう飲んじゃったしっ!」

姉「それにっ……それにいっ!」

姉「…こんな、大事なこと……お酒の力借りて言いたくないもん」

姉「ばかぁ………///」カァーッ

弟「……そう、だよね。ご、ごめん…」

843 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:18:31.10 ID:Qlvq6UxF0
弟「(……ってことは…)」

弟「(え、……でも。……でも)」

弟「母さん…見てるよ」

姉「うん」

弟「……いいの?」

姉「いいっ」ギュッ

弟「(……姉ちゃん)」

姉「きっと、…姉弟がずっと一緒に居る方が」

姉「母さん喜んでくれる」

弟「……姉さんが、そこまで考えてるなら」

姉「うん。……大丈夫。一緒に居るほうが、母さん空から見守りやすいって言ってた」

弟「嘘」

姉「嘘じゃないもん」

姉「嘘じゃ、ないもん……」

844 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:21:08.16 ID:Qlvq6UxF0
うおおおお、ごめん30分あける

849 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:44:34.86 ID:Qlvq6UxF0
姉「……でも」

姉「大事なのは、そんなことじゃない」

姉「……弟の気持ちだよ?」

姉「(そうだよ。……私は、とっくのとうに、覚悟はできていたんだもの)」

姉「(ダメダメなおねえちゃんだけど……、弟の傍に、ずっと居たい…)」

姉「弟が望むなら、私…」

姉「いくらだって、なんだって……」

姉「するよ?」

弟「……」

弟「姉、ちゃん…」

姉「うん」

弟「俺、……姉ちゃんが、好きだ」

弟「大好きだ」

姉「私も」

姉「弟が大好きだよ」

854 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 19:57:50.13 ID:Qlvq6UxF0
弟「あ……///」カァーッ

弟「(すごい……これ…)」

姉「……ふぁ…///」カァーッ

姉「(すごく、……うれしい…)」

弟「(姉ちゃん、…俺、姉ちゃんの弟でよかった)」

姉「(弟のこと、…ずっと好きでよかった)」

弟「(……もっと…近くに)」

姉「(もっと……弟を、感じたい…)」

弟「(いつもと、ちがって…)」

姉「(弟に触れてるところが、しびれるくらい)」

弟「(気持ちいい…っ)」

姉「(好き……好きっ……。もっと、もっと近づきたい!)」

弟「(好きだっ…誰よりも好きだ。…だから、誰よりも近くに感じたい!)」

姉「(…弟)」

弟「(姉ちゃん)」

856 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:07:44.87 ID:Qlvq6UxF0
女「…友ちゃんの髪、櫛の通りいいね」

友「そうですか?……照れます」

女「こんなに長いのに…ほとんど枝毛もないし」

女「(…うらやましいな。でも、やっぱり友ちゃんだな。…素敵)」

友「女さんの髪も、私好きですよ」

女「もぅ。友ちゃんに比べたら…」

友「髪だけじゃないです」

友「女さんの全部、好きですよ」

女「……えっ」

女「(は、はずかしいっ……。よくそんな台詞平気でいえるよぉっ…)」

友「顔……真っ赤ですよ?」

女「えっ…ふぇっ?///」カァーッ

友「鏡に映ってます。…かわいい」

女「や、やだ……///」

858 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:24:33.65 ID:Qlvq6UxF0
友「(あぁ…、私の思うとおりに慌ててくれる女さん)」

友「(ほんとに、可愛いですよ…?でも……)」

友「なんだか」

友「ちょっと、信じられないです」

女「どうしたの?」

友「女さんが、私の近くに、当然の如く居てくれて」

友「私の気持ちを、受け入れてくれて…」

友「なんていうか……その、…夢なんじゃないかなって」

女「夢?」

友「……今でも、…その、信じられないんです」

友「ホントに、その……」

女「現実だよ」ニコッ

友「……う」

友「……う、ぅっ…///」

女「えへへっ」

863 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:32:08.44 ID:Qlvq6UxF0
友「……もっと、感じたい」

女「えっ?」

友「女さんを、もっと…近くで感じたいです」

友「夢じゃないって……実感したいです」

女「(友ちゃん…)」

女「(いつも、私を引っ張ってくれているのに……)」

女「(こういう時だけ、そういう顔して。ずるいよ…)」

女「うん…」

女「いいよ」

友「……っ」スリスリ

女「や、やだっ……くすぐったいよぉ…」

865 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:39:04.48 ID:Qlvq6UxF0
友「(あぁ…。心まで、私に許してくれてるなんて、思わなかった)」

友「(ほんとに、ほんとに好きになれてよかった…)」

友「ベット……」

女「う、うん……」

友「女さん、私」

友「……わたしっ…」

女「いいよ」

女「友ちゃんの好きにしていいから…」

女「私も、友ちゃんの事、もっと、感じたいっ…」

友「(あぁぁぁぁっ……これ以上の幸せってある?……無いっ、絶対無いっ!)」

友「(好きな人に、私のすべてを受け止めてもらえる…っ)」

友「(これだけでっ……それだけでっ…)」

友「すきっ……」ギュゥウッ

女「うん……好き。私もすき……」ギュゥウッ


869 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:46:24.17 ID:Qlvq6UxF0
 ドサッ

女「……あ」

女「(……友ちゃん、ほんとにうれしそう…)」

女「……」ニコッ

友「あ、あぁぅ……き、す……して、、いい、ですか?」

女「うん…、いいよ」

友「……ぅ……、~~~っ」

女「……んっ…」


友「……ふぁっ……はぁ……」

女「……んぁ…」

女「(唇、友ちゃんの…いつもよりやわらかくて、震えてた)」

女「(……あ…)」

女「(友ちゃんの、うれしさ……今のキスで、伝わったよ…)」

女「……えへへ」

友「う、……あぁ……、もっと…っ…」

871 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 20:55:20.86 ID:Qlvq6UxF0
友「もっと……」

女「うん」

友「(あぁぁぁっ……すき、すきすきっ……夢じゃないっ!夢じゃないからっ…うれしくてっ!)」

友「…っ、…んむっ」

女「……んぅ…」

友「(女ちゃんの…首っ…うなじっ……ずっと、綺麗だって思ってた…)」

友「んっ……ん……」

女「あ……う、うん……友ちゃんっ…」ギュッ

友「ぱ、パジャマっ……脱がす……っ」

女「ん……」

友「(ぼ、ボタン……っ、ボタン……はぅううっ…)」

女「あはは、友ちゃん手が震えてる」

友「……ぁ」

友「……///」

872 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:01:59.11 ID:Qlvq6UxF0
女「いいよ、私自分でぬぐから…」

友「で、でも…」

女「……じゃあ、友ちゃんのパジャマ、私が脱がしてあげる」

友「……ぇ」

女「(可愛いな。……そんなに、震えるくらい、私の事好きでいてくれてるのかな?)」

女「(はずかしいけど、…うれしいな)」

友「……ぅ」

女「……やだった?」

友「い、いえっ、……全然、そんなことないです」

女「えへへ」

女「……これで、お互い裸だね」

友「……は、ぃ」

女「(お風呂の時とちがって、…実は、…その、すごく…恥ずかしいかも…)」

友「い、いいですか……?」

女「うん。……きて」

877 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:18:34.58 ID:Qlvq6UxF0
友「……どうっ、……ですか…?」

女「うん、……そこ、…気持ちいい、かも…」

友「……っ」ギューッ

女「ふぁ……」ギュッ

友「(もっと…もっと一つに…。もっともっと、女さんと溶け合えるくらいっ…)」

女「(……うん)」

女「(うん、うん……もっと、抱きしめて。もっと、私と友ちゃんの距離を縮めて…っ)」

女「(友ちゃんが思ってること、すべて、分かるくらいにっ…)」

女「ん…っ……は、ぅぅっ……、気持ちいいっ、よぉっ…、好きっ、大好きぃ……」

友「わ、わたしもっ……きもちよく、って……んぁっ!……あ、あ、っ…な、なに、か…っ」

女「わたしもっ……わたしもっ……きちゃ―――っあ!」ビクッ

友「あ、あ、あっ……すきすきすきですっ……んんっ!!」ビクビクッ

友「(すき……すき……だれよりっ…ずっと、ずっと…すきぃ……)」

女「(うん…わかるよ。友ちゃん、全部わかるよ……。すき、私も、好き、すきだよ…)」

友「(うれしい…、もっと……もっと、もっと――――)」

880 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:25:21.71 ID:Qlvq6UxF0
弟「……すごい」

弟「姉ちゃん、綺麗」

姉「は、はずかしい…から…っ。はや、く…」

弟「ほんとに…?」

姉「ん……、受け取って」

弟「大事にするから」

姉「うん……、知ってる」

弟「ぐ、……い、いれる」

姉「………」ブルッ

弟「(姉ちゃん……好きだ)」

姉「(あ……当たって。入って、く………っ!)」

弟「(すきだっ…!)」

姉「(う、うん……私も好きだから……、そのまま、一気に…、いいよ)」

弟「(あつ、い……姉ちゃん、すごく、あついよ…っ、奥まで、もっと、奥までっ…)」


886 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:36:34.05 ID:Qlvq6UxF0
弟「(どろどろだよ…、溶け合ってるよ俺達っ…)」

姉「(うん……、うん、…一つだよ、私たち…)」

弟「(もっと、もっと…大好きな姉ちゃんと……っもっと……)」

姉「(来てっ……ずっとずっと、待ってた。弟の心に触れられる距離っ…待ってた)」

弟「あ、ああっっ………姉ちゃんの、中っ…幸せすぎて…もうぅっ…」

姉「いいよ、いつでも、私はっ……私も幸せだからっ…!!」

弟「(…っく………もぅ、ぁぁぁあ!!!)」

姉「(全部、頂戴……、弟の全部……わたしにっ…、私と、一つにぃっ…)」

弟「っはぁあぁっ!!」

姉「んっ………あ、…」

弟「はぁ、はぁ……はぁ…」

姉「中、出しても良いって……」

弟「大事に、するっ……て、言った、し」

姉「……あ」

姉「えへへっ」

887 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:39:19.97 ID:Qlvq6UxF0
弟「………ん」

弟「……あ、……れ」

弟「おれ、……」

弟「……夢?」

弟「姉ちゃん?」ガバッ

弟「いない…」

弟「昨日、一緒に寝て…」

弟「寝て……」

弟「あ、…れ…?」

弟「夢……」

891 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:42:56.84 ID:Qlvq6UxF0
弟「……夢…」

 トン トン トン

姉「あ、おはよう。もうすぐ朝食できるよ」

弟「……姉ちゃん」

姉「…あはは、まだ眠そうだねっ」

弟「……姉ちゃん、あの……」

弟「変なこと聞いてるかもしれないけれど…」

弟「昨日の夜、俺……姉ちゃんと…」

姉「えっ……」

姉「……」

姉「……///」

弟「……///」

893 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:47:50.07 ID:Qlvq6UxF0
 キーンコーン

姉「…ひゃあぁああっ」タッタッタ

 カーンコーン

姉「……ついたっ」ガラッ

姉「(よし、まだ先生も来てない)」

姉「(…今日は、遅刻じゃなかった)」

姉「(よかった……)」

姉「(うん、…今日もがんばる)」

 「あの……」

姉「え?……あ、はいっ」

 「姉さんって、たしか美化委員ですよね?」

姉「えぇ…まぁ」

 「よかった、合ってた。よかったら、放課後――――」




最終章 「とけあう想い」 おわり

899 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 21:53:39.45 ID:Qlvq6UxF0
 エピローグ

女「弟君、ご飯たべよっ!」

弟「……うん」

友「今日のオカズはなんですかね、気になります」

弟「……開いてみる」

女「わっ……相変わらず、お姉さんおいしそう」

友「女さんも、腕を上げたじゃないですか」

女「そ、それは……、友ちゃんが教えてくれたからっ…」

友「女さんががんばったからですよ」

弟「ごちそうさま」

女「え?もう食べたのはやい!?」

弟「……違う意味だ、馬鹿」

女「バカ言われた……友ちゃん、慰めてぇ…」

友「はいはい、いいこですねー」

905 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 22:00:17.90 ID:Qlvq6UxF0
女「いつの間にか、クラスの皆公認の百合カップルになっちゃったねぇ…」

友「ふふふっ、嫌ですか?」

女「いやじゃないよ。……むしろ、うらやましーだろっ!……っていう気持ちが強いかも」

友「ふふふっ、私もです。でも……ほんとに、幸せですね。幸せすぎて…」

女「すぎて?」

友「いつ神さまに天罰が下されるか心配です」

女「……天罰」

友「何か、思うところがありますか?」

女「ううん、……ちょっと、弟くんの事が心配で」

友「……む。嫉妬してもいいですか?」

女「そんなんじゃないって。……ただ、……ううん、ねぇ、キス、しよ?」

友「ふふふっ、いいですよ」

女「(……友ちゃん、大好きだよ)」

友「(……女さん、大好きです)

907 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 22:05:33.52 ID:Qlvq6UxF0
姉「ただいまっ」

弟「お帰り姉ちゃん」

姉「今日ね、今日ねっ、友達連れてきたよ」

弟「えっ、…それはすごい」

姉「でしょでしょ。さ、入って!」

 「はじめまして」

弟「あ、どうも。弟です。姉ちゃんがお世話になってます」

姉「自慢の弟なんだぁ」

姉「それからね…」

弟「あぁ…、言うのか…」

姉「えへへっ、もちろん」

姉「…私の恋人なんだよっ!」



 おわり

921 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/09(火) 22:17:57.70 ID:Qlvq6UxF0
 あとがき兼言い訳

かなり悔いが残るトコ→口調が一定しない(特に友)、姉にいつも掃除されてるくせに「久しぶりに部屋はいった」の矛盾

また、ずいぶん勝手なSSを書いてしまいました。

読んでくださった方々、本当にありがとうございます。そして支援保守etcが無ければSSは成り立たないですから

書き込んでくださる方すべてに、本当に感謝してます。


初めて、姉ものを書かせていただきました。

初めはもっと甘甘甘えさせてくれるお姉ちゃんもいいかな、それで、甘えんぼの弟にイラッときた幼馴染が姉さん怒る!

…みたいなストーリーとかどうかなーとか妄想してたんですけど、自分の精神状態が異常だったので、欝な弟にしちゃいました。

今回、色々と試みた事があります。その辺は、見た方々が、それぞれの感じ方で受け取っていただけたらと想います。

あと、相変わらず誤字脱字というか、そういうのが目立って死にそうです。なんで最後だけ「最終章」やねん。話じゃろが!

女さん編書いてて、すごく楽しかったんですよねー、うん、でもこれ姉スレじゃんっていう

想定していた分量とかオーバーしちゃって、全体的に姉分が少なめになってしまったのは、ちぢれが妹派だから?さてさて

ながくなりました。言いたいことはいっぱいありますけど、これでも少ないほうで、今回は途中であまり弱音吐かなくて、俺がんばった。

重ね重ねになりますが、読んでいただいて本当にありがとうございました。

あ、そうそう。途中で減速に協力していただいた方、特に。いつもすいません。こんな融通利かないひとで。おやすみーバタッ


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