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唯「じーくじおん!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:41:03.93 ID:gxQzLdqe0 [1/18]
私、平沢唯。
サイド3にある桜高の3年生でした。
戦争が激化した今、もう年齢も性別も技術も関係ないと言われ、学徒兵としてMSに乗っています。
数ヶ月前、地球の友軍に物資を送り届けたんだけど、マ・クベ大佐率いる地上侵略軍は、私達とすれ違うように宇宙に脱出してしまい、
今さわちゃんを中心とした我がHTT部隊は他の友軍を宇宙に脱出させるための殿を務めています。
今私達の後ろに見えるのはこのあたりで最後のHLV(大重量貨物ロケット)発射台。
3つ見えるHLVのひとつひとつに、何百人もの人間やMSが積まれているため、あれを落とそうと連邦が集まってきているのです。
それを陽動し、無事にHLVを宇宙に脱出させるのが私達の仕事なのです……。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:43:27.77 ID:gxQzLdqe0 [2/18]
「以上が、通達された命令です。」
ちょっとした平地に作られた簡素なテント。積まれた土嚢に座るのはラフに軍服を着流す女性達。その前に立って、指令を伝えるメガネの少女。
「つまり……私達が囮になって、HLVを逃がすと。」
埃っぽい風を黒い長髪に絡ませ、澪が言う。
「要約すると、そうなります。」
「和ちゃん、そんな他人行儀にしないでよ。」
唯が立ち上がり、腰に手を当てる。
「いえ、今は貴女達が上官ですので。」
「んなこと言ったって、今はそんなこと気にする奴いないぜ?ほら、見覚えある顔ばっかりだろ。上官様なんてのは、みんなあの中さ。」
律は親指を自らの後ろに突き立てる。その先にあるのは、もちろんHLVだ。
「そのお偉い方のために、私達はここにいるのよ。実際、あの人達にとっては他の人も物資もどうでもいいの。」
珍しく、紬が愚痴をこぼす。
「……そうね、じゃあ普通に話させてもらうわ。と言ってももう時間はあまりないけど。」
和が振り返った先には、レーダーとにらめっこしたままの梓がいる。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/03(金) 22:45:22.96 ID:gxQzLdqe0
「敵MS部隊、センサーに引っかかりました。まだソナーには反応ありません。」
「そんな……まだお姉ちゃんやみなさんといっしょにいたいのに。」
憂がうつむき、つぶやく。
「おいおい、縁起の悪いこと言うなよ憂ちゃん。」
「そうそう、私達はぜっったい宇宙に帰るからね!」
律は頭を押さえ、紬は鼻息荒くそう言う。
「……みんな、そろそろ時間よ。パイロットはすぐに搭乗して。」
「了解。」
立ち上がる5人。言うまでもなく、HTTのバンドメンバーだ。
「みんなごめんね……。隊長なのに指揮ができなくて。」
「ううん。さわちゃんは和ちゃんと憂をHLVに送り届けるのが任務なんだから。」
「そーだよさわちゃん。あたしのかわいい和と憂ちゃんをよろしくな。」
「こんな時に何言ってんだ!」
「あいたー☆」
全員、笑った。涙が出そうだったけど、無理矢理笑った。そうしなきゃいけない気がした。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:48:10.76 ID:gxQzLdqe0
爆発音が聞こえる。
「哨戒のマゼラ・アタック(ジオン軍の主力戦車)隊が敵戦車部隊と戦闘を開始したと……。まだHLVの物資収容も、ザクの補給も終わっていないのに……。」
梓がつぶやく。
「よーしみんな行くぞー!」
「「おー!」」
各々がザクに向かい歩く中、梓が憂を呼び寄せる。
「何?梓ちゃん。」
「これ、持ってて。もしかしたら、役に立つかも。見つかったら没収されちゃうかもしれないからさ……。」
憂は梓に手渡されたそれを、しっかりと握りしめた。
「では先生。先に行っててください。」
『りょーかい。』
一機のザクが立ち上がる。その足下でエンジン音を鳴らすジープ。運転席に座る和が、憂を呼ぶ。
『ジオンの栄光を君に。』
「ジーク・ジオン。」
梓の後ろに4体のザクが立ち上がる。
『あーずにゃん!早くしないと置いてくよ!』
「はい、今行きます。」
梓もまた、自らのザクに向かい走り出した。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:52:35.54 ID:gxQzLdqe0
「くぅー!さすがに敵さんもがんばってんな!」
律の声が、各々のコクピットに響く。
「軽口叩いてる余裕があるおまえがすごいよ!唯!2時の方向から敵機!」
「りょーかい!」
唯機がマシンガンを構え、引き金を引く。澪機に気を取られていたジムは、あえなくスクラップになった。
「さすが澪ちゃん!」
「澪は昔からザクの操縦うまかったもんな。」
「昔っていつだよ。」
束の間の休息。息が詰まりそうなこの空間が、一瞬あの音楽室に戻る時間。
「私……怖いんだ。」
「?」
澪の震えた声。
「こうして、ザクのパイロットとしてここにいること……いつみんなが死んじゃうかもしれないこと……。それももちろん怖いけど……。」
すすり泣くような声。
「人を……人を殺すのが普通になってしまったこの私が……一番怖い。」
「……。」
全員黙り込む。その沈黙を破ったのは梓だった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:56:07.19 ID:gxQzLdqe0
「気持ちは分かります……。でもやらなきゃ……やらなきゃ行けないんです。祖国のため、仲間のため……そしてなにより、自分の為に。」
うつむき、モニターを見つめる澪。そのとき、モニターに表示されたレーダーに、高速で移動する点が現れた。
「なに?この機体……。」
同じく、それを見つけた唯が言う。
「……これってまさか。」
「……!澪ちゃん!!よけて!!」
「え」
紬の声が響いた。が、もう遅かった。朱色の閃光がザク達の隙間を縫い、後方で立ち尽くしていた澪機の右腕に直撃する。
「ビーム兵器!?」
「散開しろ!!狙い撃ちにされるぞ!!」
そう命令を下し、岩陰に隠れる律機。
最大望遠で確認されるその機影。白い体。そして、特徴的なアンテナ。
「なんで……なんで白い奴がここに?」
「澪!落ち着け!早く脱出しろ!!」
「いやだ!!いやだ!!死にたくない!!」
無理矢理立ち上がり、走り出す澪機。
「澪!まだ動くな!」
「イヤアアアアアアア!!」
もう一筋の朱い閃光が、澪機のランドセルに突き刺さる。
轟音とともに、澪機は光になった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/03(金) 23:00:16.22 ID:gxQzLdqe0
「澪!澪!!」
「律先輩!!だめです!!もう……だめです。」
岩陰から飛び出そうとする律機の肩を押さえつける梓。
「そんな……澪ちゃん……それに、むぎちゃん……あの機体。」
「えぇ。“あの”白い奴じゃないわ。でも……ジムタイプとは比べられない性能を持ってることに違いはないわ。」
ゆっくりと歩を進める陸戦型ガンダム。
「梓……もうわかった。離してくれ。」
「……。」
梓機がゆっくりと離れる。
「何にしろ、このままここに隠れているわけには行かないだろう。……梓、お前のシュツルムファウスト(対MS用ロケット弾)くれないか。」
「はい……。」
梓機から渡されたシュツルムファウストを腰に装着する律機。
「あたしが突っ込む。唯、むぎ、梓、後方支援を頼む。」
「!なにする気ですか!?」
「なんだよ、そうでもしなきゃ奴を倒せねぇだろ!!」
律の荒い息づかいだけが、各々のコクピットに響く。
「ごめん……なーに、死にはしないさ。あたしを誰だと思ってる?天下無双の田井中律様だぞ☆」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/03(金) 23:04:43.62 ID:gxQzLdqe0
「……ふふ。」
重い空気を砕いたのは、紬の笑い声だった。
「やっぱり、りっちゃんはりっちゃんなんだね。」
「そうだね、りっちゃんはりっちゃんだよ!!」
「ちょ、唯先輩……むぎ先輩……。」
まだ、梓は納得が行かないようだった。
「さわちゃんがいない以上、あたしの命令に従ってもらう。……それが部長としての、最後の仕事だ。」
律機が飛び出し、ヒートホークを抜く。
「おらおらおらぁー!!」
不意を付かれた先頭のジムが切り裂かれ、爆発する。
そのまま体勢を上げ、その後ろのジムも真っ二つになる。
「唯ちゃん!」
「うん!」
四方から現れたザクに混乱する連邦のMS。
「そこか……白い奴!」
陸戦型ガンダムを見つけ、ヒートホークを振りかぶる律機。しかし、一瞬で、ガンダムは、その場から、消えた。
「!?」
朱色の刃が、律機の左腕を切り取る。空中でバランスをとれなくなったそれは、そのまま倒れた。
「りっちゃん!?」
「なに、まだいけるさ。」
律機は立ち上がり、そのまま敵の中に突っ込んでいく。陸戦型ガンダムのビームライフルが、その背中をねらい撃つ。
直撃はしない。ギリギリでよけながら、律機は、律は走った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:09:40.51 ID:gxQzLdqe0
「唯ちゃん……りっちゃんとの通信を切りなさい。」
「いやだよ……そんなのいやだよりっちゃん!」
「早く切りなさい!!」
『自爆スイッチオン。30秒後、この機体は消滅します。早く脱出してください。』
「いやだよりっちゃん!!」
『はは……ゴフっ……悪いな、唯。こっちから……っ!!回線……切るぜ……。今まで……ありがとな。』
回線が切れる。
「りっちゃん!りっちゃあああああん」


──澪、今行く。


残燃料。バズーカのマガジン。そして、シュツルムファウスト。全てが粉々に吹き飛んだ。
ガンダムを含む、連邦のMSを巻き込んで。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:13:26.03 ID:gxQzLdqe0
「……。」
「りっちゃんのおかげで……敵に大損害を与えられたわ。もう撤退が始まってるみたい。もう一息、がんばろ。」
スピーカーから聞こえる、天使のような優しい声。その声が、唯の心をギリギリのところで支えていた。
「……唯先輩?」
「ねぇ……私たちなんで戦ってるの?」
「……。」
「……あのままでよかったよ……あのままがよかったよ……。みんなでさ……ぐ……好きな音楽(こと)やってさ……うぐ……お菓子食べてさ……ひっく……。」
「……唯先輩。」
「……毎日が宝物だったんだよおぉぉお!!うわああああああん!!」
唯の心が、壊れた。
「……唯ちゃん。その幸せを、後世に伝えるために、今、私たちは戦ってるの……。だから……ね、泣かないでよ……。」
紬も涙声になる。
「うぅ……わかた……泣き、泣きや……うぅ。」
「……むぎ先輩。私達も撤退しましょう。弾薬も燃料ももうないですし、MSの収容は最後ですから、今ならギリギリ間に合います。」
「……そうね……!?危ない!!」
紬機が、唯機の肩を押さえ、覆い被さる。
鋭い音が響き、細いビームが紬機の胴を凪ぐ。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:19:43.03 ID:gxQzLdqe0
「……むぎ……ちゃん?」
かなり遠くに、動くものがある。
「伏せて!」
梓機が2機を押さえ、その方向にマシンガンを放つ。
「……むぎちゃん?」
「……うん。大丈夫。コクピット直撃は免れたから。」
しかし、荒い息づかいと液体の滴るような音、そしてザクの挙動から、紬が無事でないことは明らかだった。
「だめです!敵が遠すぎます!」
「きっと……スナイパータイプのジムね……。」
紬機が立ち上がったとき、梓機が飛び出し、マシンガンを構える。
「あれだ!見えました。」
その瞬間、崖の上でなにかが動いた。
「梓ちゃんダメ!!」
紬機のタックルが梓機に入る。紬機を再びビームが貫く。
「っつ……むぎ先輩!?」
「……ふふ、だめじゃない。ダミーなんかに……引っかかっちゃ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい……。」
「梓ちゃんは……悪くないよ……。」
紬の喘ぎが激しくなる。痰が絡んだような声。もう喉まで血がたまっているのだ。
「唯ちゃん……最期にひとつだけ、いい?」
「なに?」
「私ね……唯ちゃんが好きだったの。お友達としてじゃなくて……もっと……もっと──。」
「むぎちゃん……。」
紬はもう、返事をしなかった。


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:25:33.94 ID:gxQzLdqe0
「あずにゃん……。」
「はい……。」
岩陰に隠れながら、唯は言う。
「あずにゃんは先にHLVに向かって。」
「!?なにを言ってるんですか!!燃料もギリギリなんですよ!?」
「スナイパーの狙いは多分HLVなんだよ?今あいつを倒さなきゃ、みんなみんな死んじゃうんだよ!?」
「なら私も残ります!!」
発射台からサイレンが聞こえる。もうじき、一機目のHLVが飛び立つのだろう。
「私は……ひとりで大丈夫だよ。」
「でも!」
「先輩の言うことが聞けないの!?」
沈黙が、走った。
「……あずにゃんはね。HTTを、HTTの歌を、ずっと伝えなきゃいけないの。大丈夫だよ。あずにゃんならできるよ。」
「……こんなときだけ、先輩だなんてズルいです。今までそんなふうに見たことないくせに……。」
「えへへ、ごめんね~。」
梓機が、体勢低く立ち上がる。
「……憂に小型通信機を持たせてあります。周波数は138.96。ではお先に失礼します。ジーク・ジオン。」
「ジーク・ジオン。」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:30:16.81 ID:gxQzLdqe0
梓機がHLVに向かい走り出すのを見ずに、唯機は崖に向かい走り出す。通信機の周波数を合わせながら。
「……憂?聞こえる?」
「お姉ちゃん!聞こえるよ!!」
HLVの中で声を上げてしまう憂。隣の和がそれに気づく。
「憂、いつの間に……。」
「ご、ごめんなさい……。」
「……もっと小さな声で話しなさい。没収されるわ。」
憂は小さく頷く。
「ははは~憂怒られてる~。」
「お姉ちゃん、こっちに向かってるの?」
「……ううん。一機だけ残しちゃったからさ。でもあずにゃんはそっちに向かってるよ。」
唯のコクピットの警報がなる。残燃料が底をつきかけているのだ。
「……もう燃料ないんでしょ?聞こえるよ。警報。早く……早く帰ってきてよ……。」
「もう間に合わないよ。それにあのジムを倒さないと、HLVが落とされちゃう……あ。」
唯は見つけた。HLVに狙いを定める、ジムスナイパー。
「通信切るね。HLVの中の私の荷物の中にあるギー太、憂にあげるよ。」
「そんな……嫌だよ……。」
「憂、ばいばい。」
「お姉ちゃん、どうしたの?お姉ちゃん!!」
憂はシートベルトを外そうとする。
「憂!やめなさい!!」
「いや!!お姉ちゃんのところ行く!!」
「やめなさい!!」
和の平手が、憂の頬を叩く。
「なんで……なんでお姉ちゃんが戦わなきゃいけないの!?」
「これは……戦争なのよ。」
「戦争だからなに?戦争だからお姉ちゃんが死んでも仕方ないって言うの?ねぇ和ちゃん!!」
「口を慎みなさい!!私は上官です!!」
騒ぎを聞き、ほかの兵士がざわつく。憂はなにも言わずに和から顔を背けた。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/03(金) 23:32:03.60 ID:gxQzLdqe0
ジムスナイパーは唯機に気づいていないようだった。
「でも武器はない……ヒートホークに回すエネルギーもないし……よし!」
ジムスナイパーの指が引き金にかかった瞬間、唯のザクが飛び出し、ジムスナイパーに突っ込み押さえつける。ロングレンジ・ビームライフルから放たれたビームは地面をえぐり、山を溶かす。
ジェネレーター出力をギリギリまであげるために、ジムスナイパーがビームサーベルを装備していなかったことが唯一の救いだった。
一機のHLVが飛び立つのが見える。
「下肢電源カット……耐えて……ザっ君。」
全てのエネルギーを上半身につぎ込み、ジムスナイパーを押さえつける唯機。ジムスナイパーは自衛のためにそばに置いてあったマシンガンに手を伸ばす。2機目のHLVが青空に吸い込まれる。
「うぅ~きつい~。……でもね、ザっ君。私達、このジムを絶対絶対止めなきゃいけないんだよ……。さわちゃんや、和ちゃんや、あずにゃん、憂のために。それに私達を守って死んでくれた、みんなのために……絶対、HLVは落とさせない。」
3機目。最後のHLVが飛び上がる。燃料がほぼ尽きたザクの、テンションが落ちる。
「あと少し……あと少しだけ保って!!」
ジムスナイパーの手が、マシンガンにふれる。
「ふふ……。何だろうね、ザっ君。こんな時なのにさ……。」


──歌いたい。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:38:37.89 ID:gxQzLdqe0
「……キミを見てると、いつもハートDOKI☆DOKI……揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ……。」
『お姉ちゃん。』
「う、憂!?」
『唯、通信機の電源間違えたんじゃない?』
唯はちらりとモニターを見る。
「あらら~。間違えちゃったよ。全部聴いてた?」
『全部聴いてたわよ。』
ザクの体が、震える。最期の力を振り絞るように。
「……憂、和ちゃん。一緒に歌おっか。」
「……うん。」
「……わかったわ。」
全てを悟ったように、憂と和は頷いた。

「じゃ、行くね。」


──あぁカミサマお願い
──二人だけの
──Dream Timeください☆


ザクの活動が完全に止まる。


──お気に入りのうさちゃん
──抱いて
──今夜もオヤスミ……。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:44:53.65 ID:gxQzLdqe0
ジムスナイパーはマシンガンを掴み、ザクの背に当てて引き金を引いた。
その音が聞こえた直後、和は憂から通信機を取り上げ、電源を切った。憂はなにも言わずに俯き、泣きじゃくる。
地上ではジムスナイパーが最後尾のHLVに狙いを定めるが、そこにはロックオン可能距離からギリギリ離れたHLVが、小さく小さく見えるだけだった──。

──唯遅いぞ。

──待ってたぞ~。

──唯ちゃん、早く早く!

──あれ?みんな!

──早く練習始めるぞ!

──まだお茶タイムだぜ、澪。

──このバカ律!

──あいたー☆

──あはははは!!


ユイ・ヒラサワ少尉
改め平沢唯
戦死
享年18


──。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/03(金) 23:46:32.63 ID:gxQzLdqe0
平沢憂です。
お姉ちゃんが命を張って私達を守ってくれたあの日から、たった3日後の0080年1月1日。
月面都市グラナダにて、地球連邦政府とジオン公国政府の間に終戦協定が結ばれました。
私と梓ちゃんと和ちゃんは、先生の作った小さな喫茶店で働いています。
そして毎晩、梓ちゃんと一緒にギターを持って駅前に座ります。
ユニット名はもちろん、『放課後ティータイム』。和ちゃんは怒るけど、使ってあげなきゃギー太もかわいそうだから……。


「じゃ歌おう、梓ちゃん。」
「うん。」


──ふわふわ時間 ふわふわ時間……





─完─

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 23:51:58.21 ID:gxQzLdqe0 [18/18]
なんか、駄文並べてすまんかった

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 00:44:40.82 ID:ElgS5cuz0
ちっ、全然間に合わなかったか…
ジークジオン!

コメント

やばい・・泣けた

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