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上条「義兄さんと呼べ!」第三部-2

上条「義兄さんと呼べ!」第三部

267 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:36:16.74 ID:P2VA8gDO [2/16]
――ホテル前――

研究員「パッと見なにかあるようには見えませんね」

美琴「おかしいわね。当麻が来てるならもっと騒がしくなっててもいいのに……」

研究員「所長、あのー」

美琴「ん?」

研究員「旦那さんは初めからここに来てないんじゃ……?」

美琴「……」

研究員「……」

美琴「そ、そそそそんなことないわよ! すれ違い、そう! すれ違いよきっと!」

研究員「あ、えーっと……自分様子見て来ますね」

美琴「いえ、それは私が行くわ」

研究員「そんな意地張らなくても……」

美琴「意地なんかじゃなくて、単純になにがあるか分からないからよ」

研究員「でもなにかあるようには見えませんが?」

美琴「こういうのは大抵VIPルームとかどっかの一室で事件が起きてるものよ」

研究員「はぁ、」

美琴「それじゃ車お願いね」

研究員「分かりました」

268 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:37:26.08 ID:P2VA8gDO [3/16]
――ホテル内――

美琴(確かになんの混乱もないようね。解決した後って様子でもないし、いつも通りって感じ)

美琴(やっぱり当麻は来てないんだぁ……って仕事仕事! その内来るかもしれないし!)

美琴「あの、ちょっといいですか?」

従業員「はい、なんでしょう?」

美琴「昨日か今日か、船瀬って人は泊まりに来てますか?」

従業員「どういったご関係でしょうか?」

美琴「関係……んー、夫の友人です」

従業員「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

美琴「上条美琴よ」

従業員「上条み、え? もう一度お願いします」

美琴「上、条、美、琴よ」フフン

従業員「! こ、これは知らなかったとはいえ大変失礼な態度を!」

美琴「いいのいいの気にしないで。それより船瀬って人は来てるのかしら?」

従業員「は、はい、ただいま確認します。……どうやらそのような記録はありません」

美琴(まぁ、そのくらいのデータなら容易く改ざん出来るからあてになんないか)

269 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:39:09.12 ID:P2VA8gDO [4/16]
美琴「ねぇVIPルームって空いてるかしら?」

従業員「二つ内の一つは空いていますが……」

美琴(思い通り! 思い通り!! 思い通り!!!)

美琴「その使われてるVIPルームは誰が使ってるの?」

従業員「お客様には誰が来ても取り合うなと言われておりますので、その質問にはお答え出来ません」

美琴「私でも?」

従業員「申し訳ございません」

美琴「そう……。あ、そうだ。もう一つの部屋は空いてるのよね?」

従業員「はい」

美琴「じゃあその部屋お願い」

従業員「え!? い、今からですか?」

美琴「そのつもりなんだけど……都合悪い?」

従業員「いえ、都合というか、こちらとしては事前に話があり部屋を整えさせてもらうという形がありまして……」

美琴「今日一晩だけなんだけどどうにかならない?」

従業員「ホテルですので料金さえ支払ってもらえれば……」

美琴「分かったわ。……はい。カード大丈夫よね?」

従業員「も、もちろんです」

従業員(ブラックカード……。そういえば昨日来た人達もブラックカードだったな)

従業員「……お待たせしましたこ。ちらが本日のIDとなっております」

美琴「ん、ありがと」

従業員「では、なにかございましたらお呼び下さいませ」

270 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:40:13.98 ID:P2VA8gDO [5/16]
――室内――

美琴(さて、ここまで来たけどどうしようかしら? 確証がないのに乗り込む訳にもいかないし……)

美琴(最上階でVIPルームの階だからセキュリティーも厳重だし、ガードマンもいる。能力者らしき気配も感じるわね)

美琴(昔だったら『どっせーい! おんどりゃー!』とか言って突入してたんだろうなぁ。……歳は取りたくないものね)

美琴(でも私もまだまだ現役よ。座して待つなんて性に合わないわ)

美琴(パソコンがあるんだからまずはハッキングよね。……船瀬って名前もそれっぽい名前もないわね)

美琴(となると次はカメラか。こういう覗き趣味はないんだけど……あ、ハッキングしてたら一緒か。緊急事態だから仕方ないわよね!)

美琴(えーっとどれどれ? ……居た! 今日の私は随分とついてるわね。それでも当麻に会えなかったから十分不幸よ)

――コンコン

美琴(!? 気づかれた!?)

従業員「ルームサービスです」

美琴「……。いえ、結構です」

従業員「では、置いて行きますね」

美琴「それでお願……え? 置いて行くって」

――カチッ

美琴「!?」

271 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:43:17.64 ID:P2VA8gDO [6/16]
――ドゴォォォン!!

従業員の意味深な言葉の後に聞こえた発火音と共に部屋の外から爆風が流れてくる。
その爆風は美琴のいる部屋を軽く吹き飛ばす程の威力だった。

「……やってくれるじゃない」

磁力を使ってとっさに周りの物を集め爆風を防いだ美琴は瓦礫を押しのけながら立ち上がった。

「残念だったわね! 私はこの通りピンピンしてるわよ!」

この状況で船瀬の状態が分からない今は反撃よりも自分に標的を向けさせるべきだと思い相手を挑発する。

――ガタッ

「ん?」

先の爆発で出来た瓦礫が振動しガタガタと不自然に動き出す。

「次はなによ!?」

振動は更に大きくなり、その振動によって動かされた瓦礫が次々と美琴に襲いかかる。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

更なる不意打ちに動揺しながら次から次へと襲いかかる瓦礫を避ける。

「あーもうっ! ちょこまかとおぉぉッ!」

痺れを切らした美琴はバリバリッ! っと周囲に電撃の幕を作り出し襲いかかる瓦礫を撃ち落としす。

「……さぁこれで不意打ちは通有しないと分かったでしょ? いい加減姿を見せたらどう?」

パンパンと服の汚れを払いながら再び相手を挑発する。
その挑発に乗ったのか、正面から攻撃することを選択したのか土煙の奥から人影が現れる。

272 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:44:44.30 ID:P2VA8gDO [7/16]
「あら、正装でお出迎えなんて悪いわね。こっちはこんな格好でごめんなさいね」

土煙の奥から現れた正装姿の男二人に対し美琴は、見下すように自らの髪を梳いてみせる。

「いやー、なかなか似合ってますヨ?」

前髪で左目が隠れた男が薄ら笑いで言葉を返す。

「それはどうも」

美琴はわざわざ大袈裟に頭を下げ余裕を見せる。

「……ピンク」

身長156㎝くらいの男がボソッと呟く。

「!?」

美琴は慌てて胸元を隠した。美琴の着ていた衣服はこれまでの一連の流れのどこかで破れてしまったのか下着が露わになっていたのだ。

「あんたらこの代償は高くつくわよ……」

美琴は服を適当に見繕い男達を睨む。

「逆ギレですカ? 怖い怖い」

「……幼稚」

「よくも私を馬鹿にしてくれわね……あんたらには脳味噌に直接電流を流してやるわ!」

「ククッ」

「……ふっ」

挑発していたはずなのにいつの間にか挑発される単純な美琴の姿に男達は笑いを堪える。

273 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:46:01.84 ID:P2VA8gDO [8/16]
「第三位くらいなら僕達の戦い方でも勝てるカナ?」

「……恐らく」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃないわよ!」

美琴が男達に向かって電撃を放つ。

「……防ぐ」

――ドゴォォォン!!

「爆発!?」

低身長の男は美琴の放った電撃に瓦礫を投げ込んで爆発を起こし攻撃を相[ピーーー]る。

「ちょうどいいネ。これで攻撃しやすくなった」

そう言うと左目の隠れた男は床に手を付ける。すると周辺の瓦礫が振動を始め美琴に向かって飛んでいく。

「一度やられたものに二度もやられるのは三流のやることよ!」

バリバリッ! っと再び周囲に電撃の幕を展開する。

「……今」

「ッ!?」

――ドゴォォォン!!

「くぅっ!!」

電撃の幕の前で瓦礫が爆発する。
美琴は瓦礫を防いだ後の二次的攻撃である爆発に対応が遅れ壁に叩きつけられる。

(いたた……。はぁ、面倒なことになったわね)

船瀬の状態も分からない。そしてここは一般人も普通に宿泊しているホテルの最上階である。
力をフルに発揮出来ない中で二人の能力者を相手にすることに美琴は溜め息を吐いた。

274 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:49:10.10 ID:P2VA8gDO [9/16]
「レベル5ってこの程度だったのカ」

「……余裕」

「さぁ、とどめをお願イ」

「……分かった」

低身長の男は瓦礫を手に取り美琴に放り投げる。

――ドゴォォォン!!

「楽勝だネ」

「……終わり」

「誰が終わりですって?」

「「!?」」

男達がその声に驚き振り向くと、先程まで倒れていたはずの美琴が立っていた。

「全く、獲物を前に舌なめずりなんて三流のやることよね」

「くそッ!」

左目が隠れた男は床に手を伸ばし瓦礫を飛ばす。しかしそこに美琴の姿は既になかった。

「もうまともに相手にするの面倒だからちょっと眠っててね」

「なああアアアッ!!」

美琴は男に触れ電流を流し気を失わせる。

「さ、次はあんたよ」

「……なにをした?」

「なにって、自分の生体電流を操作して身体能力を上げただけよ」

「……だ、け?」

「あんたには理解出来ないだろうけどこれがレベル5の力よ。よく覚えておくのね」

275 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:50:43.35 ID:P2VA8gDO [10/16]
「……っ」

――ドゴォォォン!!

低身長の男はまた瓦礫を美琴に向かって投げるが、やはりそこに美琴の姿はなかった。

「無駄よ」

「……あぐっ」

先程の男と同様に背後に周り電流を流して気を失わせる。

「ふぅ、随分と派手にやってた割に大した被害は出てないようね」

――ガラッ

「!?」

「ま、待ってくれ私だ! 船瀬だ!」

増援かと思い身構える美琴に船瀬は慌てて名を名乗る。

「あんたが? 探す手間が省けたわ」

「……これは君がやったのかね?」

「ほとんどはこいつらだけどね」

美琴は顎で気を失ってる二人を指す。

「ならやはり君は超電磁砲の御坂美琴なのだね?」

「上条よ。上条美琴」

276 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:51:52.67 ID:P2VA8gDO [11/16]
船瀬「ああ、そうだったか」

美琴「色々聞きたいことはあるんだけど、一体今なにが起きてるの?」

船瀬「色々話したいのだが君は急いだ方がいい」

美琴「はい?」

船瀬「同じレベル5の君なら彼等を止められるかもしれないのだ」

美琴「彼等?」

船瀬「未元物質と原子崩しだ」

美琴「え……? い、今なんて……?」

船瀬「驚くのも無理はない。私も驚いたのだ」

美琴「本当、なの……?」

船瀬「本当だ。彼等は今、白井と初春というレベル4の能力者の下に向かっているはずだ」

美琴「なんですって!?」

船瀬「知り合いかね? ならば尚更急いだ方がいい」

美琴「……。……打ち止め!?」

打止『お姉様! なんか色々起きてるみたいだけど大丈夫!?』

美琴「私は大丈夫。それより今すぐあの子達に動くように伝えて!」

打止『任せて! どうすればいい?』

美琴「黒子と初春さんを探して!」

打止『え、どうして?』

美琴「いいから早く!」

打止『わ、分かった!』

277 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:53:34.09 ID:P2VA8gDO [12/16]
美琴「どうして第二位と第四位が生きてるの!? どうして黒子と初春さんを狙うの!?」

船瀬「……落ち着いてほしいんだが」

美琴「そんな悠長な時間はないわよ!」

船瀬「……第二位と第四位が何故生きてるかは分からない。だが彼等が動いてるのは超能力者育成計画<レベル5グロウ>に沿ってのものだ」

美琴「超能力者育成計画……?」

船瀬「簡単に言うとレベル4をレベル5にしようという計画だ。そして彼等はその育成法に君達の研究データを用いていた」

美琴「なんですって!?」

船瀬「私は超能力者育成計画という目先の欲に駆られ彼等に協力をしてしまったのだ。殺したかったらいつでも殺していい。私はそれだけの罪を犯したのだからな」

美琴「……そんなことしても意味ないわ。まずはあんたを私達の所に連れて行く。アンチスキルに連れて行かれて情報手に入れられなくなったらあの二人を助けられないかもしれない」

船瀬「……甘いな」

美琴「なんでもいいわよ。それじゃあ飛び降りるから掴まって」

船瀬「わかっ……え?」

美琴「早く!」

船瀬「あ、ああ……」

278 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:54:51.98 ID:P2VA8gDO [13/16]
――とあるファミレス外――

黒子「今日のところはここまでにしてあげますの」

一通「はいはい、ご説法ありがとうございましたァ」

黒子「まだ分かってないんですの!? お姉様を姉と呼ぶ心得をあれほど説いたと言うのに!」

一通「分かったからこれ以上、精神攻撃<マインドアタック>はやめてくれェ……」

黒子「仕方ないですわね。次はあなたの家で説いてあげますわ」

一通「……お前、打ち止め達に会いたいだけだろ?」

黒子「もちろんですの」

一通「歪みねェな」

黒子「なんとでも言って下さいまし」

一通「そうかよ……」

黒子「では、黒子はこれにて失礼しますの」

一通「あァ、達者でなァ」

黒子「素直にさよならは言えませんの?」

一通「白井さン、サヨーナラ」
黒子「皆さん、サヨーナラ」

一通「小学生か」

黒子「今の振りではありませんの!?」

279 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:56:40.45 ID:P2VA8gDO [14/16]
――帰り道――

黒子「……」スタスタ

黒子「……、……」スタスタ

黒子「……。私、後を付けられるようなことをした覚えはありませんの」

??「……」

黒子「それともストーカーさんですの? 残念ながら私、お姉様とあの殿方以外に興味はありませんの」

??「……テレポーターは変態が多いのか?」

黒子「? よく分かりませんがそろそろ消えてもらえませんこと?」

??「それは出来ない相談だな」

黒子「では、どうすればよろしくて?」

??「俺をご自慢のテレポートで飛ばせばいい」

黒子「……野蛮なことは好きではないのですけれど、不審者を放っておくわけにはいきませんし相手になりますわ。ホスト崩れさん?」

??「……上等だ」

280 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/27(日) 11:59:19.23 ID:P2VA8gDO [15/16]
設定と補足


前髪で左目が隠れた男の能力は時限爆弾<タイムボム>。量子変速系統で強度はレベル3
火薬を操ってものを爆発させる能力。火薬の量によって爆発の大きさを変えられる
話の中では瓦礫に火薬をかけ能力を使って爆弾にし、美琴の電撃を相殺したりしていた


身長156㎝の男の能力は振動発進<オーダーバイブ>。ベクトル操作系統で強度はレベル3
半径10m以内の瓦礫程度のものを振動させ飛ばす能力。能力を使ってない美琴にかわされていることからそんなにスピードはないようだ
話の中では時限爆弾で出来た瓦礫を使うというコンビネーションで美琴を苛立たせた


暗部組織スクウェアのメンバーで主にコンビを組んで行動している。レベル4の設定にしなかったのは超能力者育成計画に引っかかるから


美琴の生体電流による身体能力の向上は狂経脈的な感じでありかなと


287 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:33:53.77 ID:qyq1vYDO [2/21]
「さぁ、お覚悟を!」

バッと勢いよくバッグから鉄棒を束を取り出す。

「そんなもん常に持ち歩いてんのか」

「淑女として当然の嗜みですの」

「そうなのか……」

――ビュン

黒子が手元の鉄棒をテレポートさせる。

――バキィ

「!? ……おい」

「あら、ホスト崩れさんの大事な腕時計を壊してしまったようですわね」

黒子のテレポートさせた鉄棒は男の腕時計に突き刺さっていた。男は黒子を睨みつけるがフンスと胸を張り意に介さない。

「自覚はあるが、ホスト崩れじゃねえよ」

「そうですの……。ではチャラ男さんでよろしくて?」

「いい加減にしねえとテメェの穴という穴を鉄棒で埋めるぞ」

「んまっ! なんて下品な!」

「なかなか初な反応を見せるじゃねえか」

そういった話にあまり抵抗がないのか黒子は男の言葉に顔を赤らめる。その黒子に向かって男は拳を構えながら走り出す。

「下品な殿方は嫌いですの!」

「変態には言われたくねえな!」

288 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:34:31.81 ID:qyq1vYDO [3/21]
――ビュン

「ぐっ!」

黒子は男の背後にテレポートして背中を蹴り飛ばす。蹴られた男は無様に倒れ込む。

「いってえな……少しは手加減しろよ」

男は服の汚れを払いながら立ち上がる。

「威勢の割には大したことありませんのね」

「だが『掴んだ』ぜ」

「はい?」

「もう一発行くぞ!」

男は再度拳を握り黒子に向かって突進する。

「まるで馬鹿の一つ覚えですのね」

――ビュン

黒子は目を細めテレポートをする。

「!?」

「どうした? 蹴らないのか?」

黒子の蹴りは男には当たらなかった。それどころか黒子の姿は背後ではなく男の目の前にあった。

「……一体なにをしましたの?」

「さあて、なんだろうな」

男はニヤリと笑って黒子を見下す。

「出来れば近寄らないで下さいませんこと?」

「おいおい自分で俺のところにテレポートしてきておいて、それは酷いんじゃねえか? 新手のツンデレかなにかか?」

「……っこの!」

黒子は男を拘束するために鉄棒の束を手に取り、テレポートのための演算を始める。

289 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:35:19.34 ID:qyq1vYDO [4/21]
「なっ!?」

「そうか、まだ気づいてねえのか」

「え? あぐっ!」

動揺に完全に思考が停止しまった黒子は男に蹴られ吹っ飛ばされる。

(テレポートが効かない……偏光能力ですの? ですがテレポート自体が無効とされるのはおかしいですの……)

黒子は腹部の痛みに耐えながら止まってしまった思考を働かせる。

「ヒントをくれてやろう」

「……ヒント?」

「常識を捨ててみろ」

「常識? 一体なにを言っていますの?」

「やはりその程度か」

男は三度黒子に向かって突進する。

「ッ!」

――ビュン

鉄棒が駄目ならと黒子は手元のマンホールの蓋をテレポートさせる。

「無駄だ」

「くっ!」

――ビュン!

(一体どうなっていますの!?)

鉄棒の時とは違いマンホールの蓋をテレポートさせることに成功したが、黒子がテレポートした時と同様に男の目の前に現れたのである。

黒子は近くの廃ビルに隠れ息を潜め現状を整理する。

(始めテレポートが効いたのは恐らく能力を使っていなかったから。その後の『掴んだ』の後からおかしくなりましたわ)

(テレポートが途中で中断されたかのようになったり、使えなくなかったりと色々おかしいですわ。それに常識を捨てろとは一体……?)

290 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:35:55.75 ID:qyq1vYDO [5/21]
「おーい! どこに行った! 返事くらいしたらどうだ!」

黒子の姿を見失った男が大声を出す。

(そんなことする馬鹿はいませんの。さて、どうしましょう)

黒子は自らの居る部屋を見渡す。
その部屋はなにかの部署だったのか机や椅子が大量に放置されてあった。

(直接が無理なら間接的に潰せばいいだけですわね)

黒子は未だ姿を発見出来ていない男の姿を確認し、手当たり次第に机や椅子をテレポートさせる。

「あ?」

月明かりによって映し出された不自然な影に男は眉を潜める。そして空を見上げると無数の物体が月明かりを隠していた。

「やってくれるじゃねえか!」

――バサァ!

男は数メートルに渡る三対の白い翼を広げ落ちてくる机や椅子を払い退ける。

「こそこそ隠れてねえで出てきたらどうだ!」

男は更に翼を大きく広げ、そして周囲の建物に対し無差別に翼を振るう。

「ほんとになんなんですの一体!?」

――ビュン

黒子は翼を避けるためにテレポートする。

「! そこにいやがったか!」

「何故!?」

テレポート先を読んだのか翼が方向を変え黒子に襲いかかる。黒子は体を捻って間一髪直撃を避ける。

291 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:36:30.66 ID:qyq1vYDO [6/21]
「くぅっ!」

突然の出来事に自身を制御出来なくなった黒子は地面に激しく叩きつけられる。

「これがレベル4の限界か」

「うっ、……あなた何者ですの?」

立ち上がれない黒子を踏みつけ言葉を吐き捨てる。

「学園都市第二位、未元物質の垣根帝督だ。覚えておけ変態」

「垣根……第二位……? 戦争で死んだはず、だと……」

ゾクッと血の気が引き、背中に冷や汗が流れるのを黒子は感じた。

「世間一般ではそうなってるらしいな。生憎、世の中は広く暗く汚くてな、そんな常識は通用しねえ世界もあるんだよ!」

「あうっ!」

垣根は踏みつけてた足を大きく降り黒子を蹴り飛ばす。

「テメェに生き延びるチャンスをやる。俺は少しの間、一切手を出さねえ。だからその内にテレポートでもなんでもして逃げてみせろ」

「……くう」

悠然と構える垣根の謎の提案に、黒子は痛みと恐怖に耐えながら演算を始める。

292 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:37:18.52 ID:qyq1vYDO [7/21]
「……どうした、逃げないのか?」

「何故、ですの……何故、テレポートが? あなた、私になにをしましたの……?」

「テメェにはなにもしてねえよ。それに未元物質はそんな能力じゃねえ」

「では、なにを……?」

「未元物質で周囲の11次元の物理法則を歪めた」

「はい!?」

「もっと言うと3次元のベクトルを11次元のベクトルに変換する時の物理法則を歪めた。つまりテメェの能力はもう使えねえんだよ」

「まさか……そんな、ありませんの……」

「ありえるんだよ。俺の未元物質を使えばな」

そう言うと垣根は翼をはためかせ体を浮かせる。
天使のような見た目とは裏腹に、建物を容赦なく破壊する三対の翼と未元物質が黒子に絶望を与える。

「……」

「既存の概念……今頭の中にある常識を捨ててみろ。そしてレベル4の壁を超えてみせろ」

「……先程から常識を捨てろだとかレベル4だとか私になにを求めていらっしゃいますの?」

黒子は地面の冷たさを感じながら垣根を見つめ問いかける。

「テメェをレベル5に導こうってんだよ」

「私を……レベル5に?」

「ああ」

「なんのために?」

「知る必要はねえ」

「……。……あーはっはっはっは!」

「あ? なにがおかしい?」

頭でもおかしくなったかと垣原は黒子に怪訝な顔を見せる。

293 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/06/29(火) 13:41:18.34 ID:qyq1vYDO [8/21]
「私がお姉様と同じレベル5ですって!? お姉様と同じ土俵に立つなんておこがましいにも程がありますわ!」

「はあ?」

「お姉様はお姉様として黒子の前に立つべき存在。故に黒子にはレベル5など意味はありませんの。それに……」

黒子はゆっくり立ち上がり垣根に対しはまるで勝ちを得たかのように笑う。

「あなたのようなメルヘン野郎と同じ序列になるなんて反吐が出ますわ!」

「そんなに死にてえか糞アマァッ!!」

――バサァ!

黒子の態度に垣根は怒りを露わにし数メートルのサイズに戻っていた翼を更に大きく広げる。

「能力が使えなくとも幾度の修羅場をくぐり抜けたこの白井黒子を楽に殺せるとは思わないことですのね!」

「楽に殺すつもりはねえ! さっきまでの絶望以上の絶望を与えてから愉快に脳みそを三枚に下ろしてやるよ!」

「その際は腐らないように立派な冷蔵庫に入れて下さいまし!」

上空に移動した垣根の翼が青白く光る。黒子は逃げも隠れもせず学園都市第二位の垣根帝督を見上げる。

294 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:41:53.72 ID:qyq1vYDO [9/21]
――帰り道――

一通(義姉さンを義姉と呼ぶ心得ってなンだよ……全っ然理解出来なかったしよォ)

一通(それにしても今日の義兄さンの話、未元物質、後を付けられる)

一通(なにか起きてンのは確実だなァ。忘れるとは言ったが打ち止め達に感づかれる前に義兄さンを問い詰めてみっかァ)

――Prrrr、Prrrr

一通(打ち止めから?)

一通「はァい」

打止『黒子お姉ちゃんと連絡が取れないんだけど、どこに行ったか知らない!?』

一通「はァ? なンだよいきなり……」

打止『なんでもいいから答えて!』

一通「あ、あァ。あいつなら飯食った後別れたが……」

打止『なんで一緒だったの!?』

一通「まァ、たまたま会ってなァ」

打止『まさか逢い引き!?』

一通「はァ!? さっきからなに言ってンだお前!?」

打止『イマソンナコトドーダッテイイワヨ! アハハーゴメンネ!』

一通(なンだァ?)

打止『と、とにかく今黒子お姉ちゃんが危なくて探してるの!』

一通「危ねェ、だと?」

打止『うん! それで下位個体があなた達が一緒に居るところを見たって言うから電話したの!』

一通「おい、早く詳しい話を聞かせろ」

打止『心当たりがあるの?』

一通「いいから早くしろォ!」

打止『う、うん!』

295 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:42:25.62 ID:qyq1vYDO [10/21]
――同刻――

佐天「初春のばかー」

初春「佐天さんが悪いんですよぉ……」

佐天「いやー皆帰ったから久しぶりにスカート捲ったらこんな大惨事になるとは思わなくてさー、あはは」

初春「もう、笑ってないで散らかった書類集めるの手伝って下さいよ……」

佐天「ごめんごめん。それにしてもデジタルな世の中なのに今時紙って。神じゃなくて紙って。神でも髪でもなく紙って」

初春「そこテストにでも出すんですか佐天さん?」

佐天「大事なことなので三回言いました。でもさ紙って必要?」

初春「端末を動かしてるのは電気ですし、記録してあるデータも0と1の集合体ですし確実にバックアップを残すのであれば紙は必要だと思います」

佐天「そんなもんかなぁ?」

初春「学生時代を思い出して下さい」

佐天「学生時代?」

初春「そうです。皆さん毎日教科書や参考書を持ち歩いてませんでした?」

佐天「持ち歩いてた」

初春「電子書籍化の方法もあったはずなのに、ずっとそうならず持ち歩いてましたよね?」

佐天「あ、言われてみれば」

初春「コスト面だとか色々あったと思いますが、きっと確実に残るものにするために電子書籍化にしなかったんだと思います」

佐天「私捨てちゃったけど……」

初春「えぇーっ!?」

296 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:43:13.26 ID:qyq1vYDO [11/21]
佐天「だって引っ越しの時に邪魔だったし、売れないし、あげるしても皆持ってるし、学園都市の外に持って行っても意味ないし……」

初春「それはそうですけど……」

佐天「初春は残してあるの?」

初春「はい、今までの全部ありますよ」

佐天「ほぇー。でも初春の部屋の漁った時は教科書なんて出てこなかったけど」

初春「な、なに勝手に漁ってるんですか佐天さん!?」

佐天「寂しい女の一人暮らしエロ本の一冊二冊くらいあるかなぁって」

初春「ありません!」

佐天「あの見た目可愛い感じの<自主規制>とか」

初春「あ、あるわけないじゃないですか! 仮にあったとしても佐天さん対策はバッチリですから!」フンス

佐天「私、対策ぅ?」

初春「あ、」

佐天「ほほぉ……あの初春が……なかなかやりおるのぉ」

初春「なにも、なにもないですからね!? それになんですかそのキャラは!?」

佐天「これからの予定変更! 今日は初春の家を家宅捜索させてもらいます!」

初春「へっ!?」

佐天「駄目なの?」

初春「当たり前です! 漁られると分かってて家に入れるわけないじゃないですか!」

297 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:44:05.89 ID:qyq1vYDO [12/21]
佐天「冗談だって。さすがの私でもそんなことしないよ」

初春「信じられません……」

佐天「ぬわっ! 長年続いた友情は私の一方通行だったのか!」

初春「もうっ、どうして佐天さんはそんなに極端なんですか! 私と佐天さんの間にはMNWよりも強い繋がりがあるじゃないですか!」

佐天「……へへ。そ、そうだよね初春」

初春「? 突然どうしたんですか佐天さん?」

佐天「どうって、ちょっと照れくさくなっちゃって……へへ」

初春「照れくさい? ……あ、」

佐天「はは……」

初春「あぅ……」

佐天「……」

初春「……」

――Prrrr、Prrrr

佐天「!!」ビクゥ
初春「!!」ビクゥ

佐天「電話! 電話だよ初春!」

初春「わ、分かってますよ!」

初春(非通知?)

初春「はい、どちら様ですか?」

沈利『私、沈利。今ドアの前にいるの』

初春「へ? ドア?」

――ビィン!

佐天「きゃあっ!!」

初春「さ、佐天さん!?」

298 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:45:00.07 ID:qyq1vYDO [13/21]
「大丈夫ですか佐天さん!?」

「肩……痛いよぉ……」

突然の攻撃に佐天が悲鳴を上げ倒れ込む。その佐天の肩からは血が流れていた。

「しっかり、かすり傷ですよ佐天さん!」

「うくぅ……」

初春は傷口の状態を確認し止血しながら佐天を励ます。
すると電話から沈利の声が初春と佐天を竦みあがらせる。

『おっと当たっちまったか?』

初春と佐天はギーっとドアの音がする方へと顔を向けると携帯電話を持った一人の女が立っていた。

「私、沈利。今あなた達の目の前にいるの」

沈利はやっと獲物に会えたジャッカルのような笑みを浮かべる。

「あなたが佐天さんを攻撃したんですか!?」

「どうやら結果的にそうなってみたいねー」

佐天の止血を終えた初春が沈利に負けじと睨み返すも流し目でかわされる。

「どうやらって……あなたはなんのためにこんなことをしたんですか!?」

「それを知ってどうするのかしら?」

「ジャッジメントとして、なにより大切な友達を傷つけたあなたを許す訳にはいきません!」

初春は両手を広げ周囲の原子を稼働させる。すると初春の前方に蜃気楼のような歪みが生ずる。

「こんな危険な能力、人に向けて使いたくなかったんですけど!」

――ジュォォン!

初春の前方の歪みが一点に集まりそこから熱線が噴出する。

299 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:46:07.41 ID:qyq1vYDO [14/21]
「ッ!!」

沈利の横の壁に握り拳程の穴が空いていた。ジュウっと壁から焦げ臭いにおいが沈利の鼻を刺す。

「これで分かりましたか? その壁のようにあなたの体に穴を空けることも出来るんですよ?」

「そうかそうか! それが私と同系統のレベル4か! お花畑の見た目によらずなかなかイカしてんじゃねえかッ!」

沈利は右手を初春に向け周囲の原子を崩す。そして右手から一筋の光線が放たれる。

――ビィィィィン!!

「……あ、ぁ……」

光線は初春の顔の横をかすめていった。

何度か見たことのある超電磁砲よりも遥かに強力でより凶悪な光線を目の当たりにした初春は言葉を失う。

「今のはさっきの能力を見せてくれたお礼だ。次はこれでテメェの処女膜を貫いてやるよぉォォッ!」

沈利は再度右手を構え原子を崩し光線を放つ。しかし初春は間一髪横に避け、周囲の原子を稼働させ熱線を放ち反撃する。
沈利は足元の原子を崩し横に飛び熱線を避け自らの光線を放つ。

「うっ!」

とっさに作った原子稼働の塊が光線に当たりその方向を逸らす。
それた光線が天井を裂きバラバラと破片が落ちてくる。

「それでいいわ。楽に死なれちゃ困るもの」

「……?」

「次の攻撃は防ぎきれるかしら?」

それまで右手の周りでしか発生していなかった曖昧な粒子が沈利の周囲に発生する。

「さぁ、もっと私を楽しませてヘブン状態にしてくれよぉォォッ!?」

300 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:47:28.46 ID:qyq1vYDO [15/21]
沈利の全身から光線が放たれる。

「はああああっ!!」

初春も負けじと周囲の原子を稼働させ熱幕を張る。

――バチン!

――バシン! バイン!

原子崩しと原子稼働がぶつかり合う。

――バッシィン!!

「きゃあっ!」

原子崩しが原子稼働の幕を突き破り初春の太腿を傷つける。

「初春!? 大丈夫、初春!?」

今まで隠れてた佐天が痛みに悶える初春に思わず駆け寄る。

「佐天さん、来ちゃ駄目です……隠れてて下さい」

「初春がこんなになってるのに隠れてるわけにはいかないよ!」

「佐天さん……」

「いいわねえ、そういう友情」

「あなたの目的はなんですか!? 私や初春があなたに何をしたっていうんですか!?」

腕を組み二人のやり取りを見ていた沈利に佐天が両肩を掴み問い詰める。

「佐天さん危ないです!」

(この子は無能力者? 余計な人間はなるべく巻き込みたくなかったんだけど、利用出来るなら別ね)

301 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:48:33.23 ID:qyq1vYDO [16/21]
「あなた名前はなんて言うの?」

「さ、佐天、です」

沈利は佐天の顎に指をつけまるでお姉様のように振る舞う。佐天はその行動にビクッとしながらもおすおずと答える。

「そこの初春……だっけ? 佐天って子は大切?」

「あ、当たり前です! あなたような人間が佐天さんに触れちゃいけません!」

「そう。……じゃあ死んでもらおうかしら?」

「え?」

「佐天さん!」

沈利の左腕の周囲の原子が崩し佐天に向かって加速させる。
佐天は部屋の角に置いてある観葉植物に弧を描き吹き飛ばされる。

「死体に花を添えてやるんだ! 感謝しろよ!?」

沈利は左手を佐天に向け原子を崩す。

「させません!」

「チッ!」

――バシィィイン!

佐天への照準を解除し電幕を張り初春の熱線を逸らす。

「残念だよ。私の後に次ぐ能力だと聞いて来たのにこの程度なんて……」

「……はぁ、はぁ。あなたもしかして、学園都市元第四位の原子崩しの麦野沈利さん……ですね?」

302 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:51:26.15 ID:qyq1vYDO [17/21]
「あら、よく分かったじゃない」

「私の能力を面白がって研究してた人が言ってました……」

「ふぅん」

「あなたの目的は恐らく私ですよね?」

「ええ、そうよ」

「では何故、佐天さんを傷つけたんですか!? 私が狙いなら私一人を傷つければいいじゃないですか!? 佐天さんが傷つく必要なんてないんですよ!」

初春は肩を震わせ目に涙を溜めながら沈利に声をぶつける。

「全部、あんたのためなんだけど」

「私の、ため?」

「そ。今までレベル5になれる可能性がありながら未だにその壁を破ることが出来ていない。あんたには決定的に足りないものがある」

「それはね『危機感』だよ。生温い現実ばかりを見てるからいつまでたってもレベル4止まりなのよ」

「では、私の『危機感』を煽ってレベル4からレベル5にしようとしたんですね?」

「そうよ。ありがたく思いなさい」

「……結構です」

「あ?」

「結構だと言ったんです。私はレベル5なんて望んでいません。レベル5を望んで佐天さん達との生温い現実が失われるなら私このまま……いえ、能力なんかいりません」

「……」

「ですが、佐天さんを傷つけたあなたには全力で能力を使わせてもらいます!」

初春は沈利と佐天の間に立ち両手を広げ原子を稼働させる。

「男も知らねえ乳臭えガキが言ってくれるじゃねえかよぉッ!? こっちはこの面倒な仕事で帝督と何日もお預けくらってんだ! テメェ如き格下に構ってる時間なんてねえんだよおォォッ!!」

沈利は声を荒げ周囲の原子を崩し無数の光線を放つ。初春もその光線に対し熱線を噴出させる。

304 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:51:53.99 ID:qyq1vYDO [18/21]
――帰り道――

皆川「……はぁ」

上条「いや、ちゃんとお金返すってば」

皆川「そういう問題じゃなくてですね」

上条「うっ、」

皆川「なにが『今日は男を魅せて上条さんが奢りますよ』ですか」

上条「……はい」

皆川「なんでいざ支払いって時に財布忘れてたことに気付くんですか?」

上条「なんというか、不幸と言うか……」

皆川「持ち合わせが足りなくて上条さんを質にせこせことお金を下ろしに行くなんて思いませんでした」

上条「返す言葉もございません」

皆川「『言葉』を返してるじゃないですか」

上条「……」

上条(俺の周りには怖い女の人しかいないんですかね……)

皆川「……すみません言い過ぎました。あの、顔を上げてくれませんか?」

上条「……」ツーン

皆川(拗ねてる上条さんもイイ! ……じゃなくて!)

皆川「あの、上を向いて歩かないと涙がこぼれ落ちますよ?」

305 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:53:05.85 ID:qyq1vYDO [19/21]
上条「……」ツーン

皆川「見て下さい、星が綺麗で……あれは?」

上条「……ん?」

皆川「上条さん、あそこ煙が」

上条「煙? どこにだ?」

皆川「あの看板の横の建物です」

上条「本当だ。人も大分集まってるみたいだな」

皆川「火事でしょうか?」

上条「それにしては人の集まりが不自然な感じだな」

――ジュォォォン!!

上条「!?」
皆川「!?」

上条(あの熱線どこかで見たことがあるような……それにあの建物も……)

皆川「あれは超能力ですよね? なにか揉め事でしょうか?」

上条(超能力者育成計画に暗部組織スクウェア……どうも嫌な予感しかしねえな)

上条「皆川、今すぐあの現場に向かうぞ」

皆川「え?」

上条「あそこに巻き込まれろって俺の右手<不幸>が言ってんだよ」

皆川「いいんですか!?」

上条「行ってみればわかるさ!」ダッ

皆川「あ、待って下さい上条さん!」

306 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 13:53:52.93 ID:qyq1vYDO [20/21]
初春の能力、原子稼働<メルトアップ>の補足


話の中でもあった通り基本的には麦のんと同質同系統の能力。だから広義の意味で電撃使いに入る

能力の違いは、原子崩しは電子を強制的に動かして特殊な電子線の光線なのに対し原子稼働は、電子を稼働させそこに生じた熱量を噴出させる熱線であること

レベル4とレベル5の差は破壊力と形成力。厳密には違うけど光エネルギーと熱エネルギーの絶対的な差による破壊力
電子を動かし留められる原子崩し対し原子稼働は、留めることかほとんど出来ない。なぜなら常に電子を稼働させなきゃいけないからため。話の中でも形成力に乏しい初春の熱幕は麦のんに貫かれている

学園都市でも恐らく珍しい部類に入るため能力がある程度使えるようになってからは、麦のんがいないこともありすぐレベル4認定されている
応用として触れたものの温度を調節できる。ただし自分の皮膚で触れないといけないため結局は保温程度にしか使えない


311 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 02:16:26.74 ID:Ts1/1wDO [1/33]
垣根は翼をはためかせながら空を見上げる。そこには雲一つない綺麗な星空と月が浮かび上がっている。

「月明かりってのは綺麗なもんだよなぁ? その月明かりが人に害を為す明かりになったらどうなるだろうな」

垣根は青白く光る翼を振るう。
月明かりを解析し、月光から殺人光へと変質させた光線が周りの廃ビルのコンクリートを溶かす。

「なんでもありですのね……」

黒子は奥歯を噛み苦笑いをする。

「さあ次はてめぇの番だよ!」

垣根は黒子に向かい翼を振るう。
殺人光が黒子に向かって飛ぶ。

「……ッ!」

黒子は覚悟して目を瞑る。しかしなに起きなかった。

(……? 私、助かりましたの?)

黒子が目をうっすらと開けると、さっきまで一緒にいた見慣れた後ろ姿がそこにあった。

「未だに似合わねェ翼生やして天使さンごっこしてンのかメルヘン野郎」

「一方、通行……?」

黒子の目の前には不気味な笑みを浮かべた一方通行が立っていた。

一方通行と黒子の周りのコンクリートは溶けていない。黒子は一方通行に間一髪のところで助けられたのだ。

「黒翼生やしてあはぎゃは言ってるてめぇには言われたくねえな、もやし野郎」

学園都市の第一位と第二位が再び対峙する。

312 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:17:49.02 ID:Ts1/1wDO [2/33]
「超能力者育成計画だったかァ? そンなチンケな計画に荷担するまでに落ちぶれたか格下ァ」

「化け物のくせして人として日の下で生きてやがってる格上さんには分からねえだろうな」

黒子の眼前には第一位と第二位が舌戦を繰り広げている。その様子に黒子はこの二人も一応は人間なんだと何故か胸をなで下ろす。

「おい、このメルヘン野郎は俺に任せてとっとと隠れるか逃げやがれ」

「その方が良さそうですのね。では気を付けて下さいまし」

黒子がその場から走り去る。

「……追わねェのか?」

「今回の対象はレベル5に至らなかった。その対象にもう用はねえよ」

「今回のってことは今朝の患者はやっぱりてめェの仕業か」

「今朝? ああ、あの肉体再生のレベル4か。あの程度の傷をどうにか出来ねえようじゃレベル5には程遠いな」

「愉快な死体から華麗に復活させてもらった体のくせによく言うぜ」

「あ?」

「今度こそ死ンだ世界戦線に送ってやるからそこで木原くゥンと仲良くやってろよ垣根くゥン!」

「一方通行ぁぁぁ!」

垣根は三対の翼を大きく振るって殺人光を一方通行に向けて放つ。

「てめェの攻撃は既に俺には届かねェンだよォッ!」

――キィィン!

垣根の放った殺人光は一方通行には当たらず、反射された殺人光が周囲のコンクリートを溶かす。

「チッ、相変わらずめんどくせえ能力だな」

「はっはァ! 死の淵から復活したら戦闘力が上がるベタな展開してもらえなかったことを恨むンだなァ!?」

一方通行は地面を踏みつけ瓦礫を上空にいる垣根に飛ばす。

313 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:19:05.28 ID:Ts1/1wDO [3/33]
垣根は翼を振るい飛んでくる瓦礫を払いのける。

「!?」

瓦礫に紛れて一方通行が飛んでくる。それを見た垣根は能力で作った物質を発光させ一方通行の目をくらませる。

「チッ」

標的を一瞬見失った一方通行の拳が空を切る。
体勢を入れ替え背後を取った垣根は一方通行に烈風を送る。

「くゥ!」

風を当てられ空中でバランスを崩す。垣根は更に烈風を送りビルへと一方通行を吹き飛ばす。

「ってェな……」

瓦礫の中で首に手を当て一方通行は愚痴る。

「まさかこんな単純な方法でダメージが通るとはな」

「おいおい、非常識が売りじゃなかったのかよ?」

「てめえには常識で挑む方が非常識だと思うがな」

「はっ、なるほどなァ」

垣根の行った攻撃は、反射に反応しないただの烈風と牽制のための未元物質で作った物質。

目くらましと烈風に体勢を崩された一方通行は、未元物質の物質を確認するために意識を向けた瞬間、更に烈風を送りビルへと吹き飛ばした。

デフォルトの反射で実際にはダメージは通ってはいないが、変な体制で体を叩きつけられた衝撃で首を捻る形になったのだ。

「次はてめェの首を540度捻ってやンぜェェッ!!」

一方通行は両手を突き出し垣根に向かって足元のベクトルを操作し跳躍する。

「来やがったな」

垣根は前方に未元物質で作った物質を展開させる。

「なにを企ンでるが知らねェが、てめェの未元物質は二度と俺には届かねェンだよ!」

314 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:19:49.27 ID:Ts1/1wDO [4/33]
一方通行は躊躇せず垣根に突っ込む。

「届かせるつもりはねえよ。届かせてもらうんだよ」

垣根は不適に笑う。

「ぐはァ!!」

一方通行の体は突然壁にでもぶつかったかのようにその場に無様に倒れ込む。

「反射したかったらしてみやがれ!」

垣根は未元物質で作った物質を一方通行に放つ。

「がァッ!!」

物質は一方通行に反射されずにダメージを与えることに成功する。

(なンで反射が適応されねェ!? あいつの演算公式は反射に組み込ンであるはずだ! だから攻撃は届くはずねェンだよ!)

「信じられねえって面してんな。教えてほしいか? お、馬、鹿、さん」

「あァ!?」

一方通行は垣根を睨みつけ床を叩く。するとビル全体がガタガタと揺れ始める。

――ズドオォォォン!!

まるで爆弾による解体ようにビルが崩れ落ちる。

――――

「てめえはここを新地にする気か?」

「うるせェよ。もうじきてめェも同じようにしてやるから黙れ」

土煙が収まりお互いの姿を確認しあった二人が言葉を交わす。

315 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:20:46.07 ID:Ts1/1wDO [5/33]
「お得意の反射してからほざけよ、低脳」

垣根はまた未元物質の物質を作り一方通行に向け放つ。

「チッ!」

一方通行は反射が適応されない物質を避けるために回避行動を取る。

「月夜にひょろっちいもやしが宙を舞っても幻想的でもなんでもねえぞ!」

垣根は翼を広げ大量の物質を作り一方通行に放つ。

(どうなってやがンだよ……そういやあの物質は未元物質としての反応を反射はほとンど示してねェな)

(『常識で挑む方が非常識』とか言ってやがったから、あれは割とこの世に近いもンなのは間違いねェな)

「いつまでケツ振って逃げてんだぁ!? 繋ぎを着たおっさんでも誘ってんのか!」

「てめェの寿命を延ばしてやってンだよ! ありがたく噛み締めやがれってンだ!」

一方通行は足元の瓦礫を飛ばし、飛んでくる物質にぶつける。
――ガァン!!

「!?」

瓦礫と物質がぶつかった途端、僅かだが二つは磁石の同じ極を近づけたかのような反発を起こす。それを見逃さなかった一方通行は瞬時に思考を巡らせる。

(なンだァ今のは? まるで力と力の向きが対極にあったみたいだったぞ。ン? 力の向き? ……ほォ、なるほどなァ)

「まさかてめェが木原くゥンと同じ手を使ってくるとは思ってもなかっぜェ!」

今まで反射出来なかった物質の法則を理解した一方通行は反射にその法則を組み込み垣根に弾き返す。

「気付きやがったか!」

垣根は反射された自ら作った物質を翼で防ぐ。

316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:21:35.00 ID:Ts1/1wDO [6/33]
「俺の反射に触れた瞬間に力の向きを逆にしてダメージを与える物理法則を練り込んだ未元物質をぶつけるたァ、さすがは俺に次ぐ第二位の脳みそってか」

「……いちいちめんどくせえ能力だな」

「なンとでも言いやがれ。今すぐあの世に送り返してやっから今の内に辞世の句でも考えとけ、ド低脳!」

「こんなところでてめえに殺られる訳にはいかねえんだ! 俺の前に立ち塞がるんじゃねえ!」

垣根は広げた翼を更に広げた。その大きさは十数メートルにも達していた。

「いいねいいねェ! 最っ高にハイってやつだァ! こうでなくちゃ面白くねェよなァ!?」

垣根の白い翼に対をなす黒い翼を一方通行は発現させる。

「一方通行ぁぁぁ!!」

「垣根帝督ゥゥゥ!!」

勝負は以前のような一瞬ではなくお互いの翼は激しくぶつかり合い、周りのビルを破壊していく。

「カカカキキクケコココカ!!」

「うおおおおっ!!」

変幻自在に動く一方通行の翼を全て凪払うかのように垣根は大きく翼を振るう。柔と剛が激しくせめぎ合う。

「ぐっは……!?」

柔よく剛を制す。
一方通行の翼が垣根の腹部を突き刺し、そのままその体を突き飛ばす。

317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:22:11.34 ID:Ts1/1wDO [7/33]
「ごはっ! ぐぉ、がっ!」

「はァ、はァ……」

自らの止血をする余裕もないほどのダメージを負った垣根を見た一方通行は翼を収める。

「……さァて辞世の句でも聞かせてもらおうかァ?」

「ぐぅ、……て、てめえ……!」

一方通行は垣根を踏みつけ辞世の句を聞くためベクトル操作で痛みを和らげる。

「いい句が聞けりゃァこれ以上苦しまねェように楽に殺してやる。だがなァ……」

一方通行が足を離す。

「あがっ! ごほっ、ぎぎ……はぁ、はぁ……ぐっ」

「つまらねェ句だったら痛みに悶えながらくたばれ」

一方通行はもう一度垣根を踏みつけ死に方を提示する。

「殺――な―でく―」

「あァン? 聞こえねェなァ?」

「頼む……殺さないでくれ……」

「はァ!? もう一度言ってみやがれ!?」

垣根の言葉に一方通行は耳を疑い聞き返す。

「死にたくない………いや、[ピーーー]ないんだ……沈利のため、に……頼む一方通行、助けて、くれ……」

まさかの命乞いに混乱する一方通行に後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。

「もういい、やめろ一方通行!」

318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:22:39.47 ID:Ts1/1wDO [8/33]
――同刻――

「ほらほらぁ、もっと頑張らないとその体ごと佐天も貫かれちまうぞぉッ!?」

「く、うぅ……!」

沈利の放つ光線を初春は必死に熱幕を張り防ぎ続けるが、時折突き抜けて来る光線に全身は傷だらけになっていた。

「大丈夫、ですよ佐天さん……。佐天さんが次に目覚めた時は全て解決して、ますから。だから、安心して眠ってて下さいね……」

初春は気を失っている佐天に優しく語りかける。

「健気だねぇ。だけどその頑張りもここで終わり。次は本気の一発をブチ込んで終わりにやるよ」

「え? ほ、本気? それじゃあ今までのは……」

「私が雑魚相手に本気を出すと思ったのかにゃーん?」

そう微笑みながら右手を構え周囲の原子を崩す。次第に右手が青白く発光しそこからはかつてない程の殺気が溢れていた。

「さあて! 二枚抜きされないように精々頑張れよ!」

今までの威力とは比べ物にならない程の光線が右手から放たれる。

(佐天さん……!)

「間に合えええええ!!」

――パシュゥゥン!!

「なっ!?」

「えっ!?」

319 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:23:19.37 ID:Ts1/1wDO [9/33]
「ふぅ、なんとか間に合ったようだな」

「……上条さん!」

初春がその声に目を開けると右手を突き出した上条が立っていた。

「幻想殺し……!」

沈利はこめかみに青筋を立て、予想外のイレギュラーを睨む。

「おい、お前なにやってんだよ……なに人を傷つけて楽しんでんだよ!?」

「幻想殺しはお呼びじゃないんだよおおおッ!!」

沈利は上条向けて光線を放つ。

――パシュゥゥン!

異能の力でである光線は上条の右手によって打ち消される。

「チッ! どうやら聞いた話は本当みたいね」

「そんな凶悪な力で俺の友達を傷つけて楽しんでやがったのかよ……!」

「だったらどうなんだよ」

「その腐った性根をぶち[ピーーー]に決まってんだろ!」

「やってみろ幻想殺し! 私は第三位みたいに甘くはねえぞ!」

沈利は周囲の原子を崩し上条に向けて光線を連射する。

――パシュン! ――パシュン!
――パシュゥゥン!

上条は常人とは思えない反応速度で沈利の放つ光線を右手で的確に処理していく。

320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:24:19.94 ID:Ts1/1wDO [10/33]
「ムカつく右手だな……」

「へっ、その程度だから美琴の下になるんだよ」

「この……っ!」

プライドを大きく傷つけられた沈利は思わず言葉を詰まらせる。

「上条さん、この人のことを知ってるんですか?」

佐天を庇っている初春が上条に尋ねる。

「ああ。元、第四位の原子崩しの麦野沈利だろ?」

「それじゃあこの人のやろうとしてることを止めに来たんですね!?」

「止める? なんのことだ?」

「へ? いや、私のようなレベル4をレベル5にっていう……」

「どっかで聞いたような……?」

「超能力者育成計画<レベル5グロウ>。こう言えば全て伝わるかしら?」

二人のやりとりを聞いていた沈利が髪をいじながら口を挟む。

「なんだって!? それじゃあ暗部組織スクウェアってのは……」

「そう、私達のことよ」

さらっと答える沈利に上条は右拳に力を入れる。

「あんな下らねえ計画のためにお前は俺の友達を……他のレベル4達を傷つけたってのか!?」

「下らないかどうかはあんたが決めることじゃないわ。私は仕事で動いてるだけだし」

「そうかよ……なら覚悟しろよ超能力者、無能力者がその下らねえ計画をぶっ潰して意味ねえことを証明してやる!」

上条は拳を握り直し沈利に向かって突進する。

321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:26:31.00 ID:Ts1/1wDO [11/33]
沈利は原子を崩しを光線を放つ。

――パシュゥゥン!

「うおおお!!」

上条は右手で打ち消し、その勢いで沈利を殴りにかかる。
沈利は足元の原子を崩し跳躍し、光線を放つ。

――パシュゥゥン!

上条は右手で打ち消す。

「チィッ!」

沈利は原子崩しで体を加速させ上条に突進する。
沈利は加速させた蹴りを上条にくらわせようとするが、上条はそれを屈んで避け、右ストレートで沈利を殴る。

「ぶはっ!!」

――ガタァン!
――ジリリリリ!

殴り飛ばされた沈利の体は消火栓に叩きつけられスプリンクラーが作動する。

「……勝負はついた。もう諦めろ」

「くそ……」

水が降り注ぐ。

「身柄を拘束させてもらうぞ」
上条が沈利に近付く。

「それ以上近付いてもいいの?」

「え?」

沈利は上条という盾が外れた初春達に照準を定める。

「しまっ――」

「fluele316! 抗うことなき清流!」

322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:27:34.87 ID:Ts1/1wDO [12/33]
沈利から放たれるはずだった光線は突然現れた水の塊によって阻止される。

「なんだこれは!?」

「皆川か!? 助かったよ!」

「水は全て私の味方ですから」
水の塊から姿を現した皆川が胸を張る。

「そうか……魔術か。どうなってんだが知らねえが、私はここで立ち止まる訳にはいかねえんだよおおォォッ!!」

沈利はもう一度光線を放つため周囲の原子を崩す。

「そうはいきませんよ!」

「なぁっ!?」

再び水の塊となった皆川は沈利に纏わりつき演算の邪魔をする。

「ちくしょう! 離れろ! 離しやがれ!」

「もう諦めろ麦野沈利」

「ああっ!?」

水の塊にもがく沈利に対し上条は静かに語りかける。

「お前は大切な人を悲しませたいたいのか?」

「……っ!!」

上条の口から出た意外な言葉に沈利は驚き言葉を詰まらせる。

「その右手の薬指の指輪さ、俺と美琴の結婚指輪と同じなんだ」

「た、たまたま同じなだけだっての。それに私にはそんな人はいない!」

「いいや嘘だね。学園都市で結婚指輪を扱ってるところなんて数が限られてるし、それに指輪に刻まれてるカスミソウの花言葉」

「……」

「想えば想われる。大切な人が居なきゃ普通そういう指輪はしない。そんで左手じゃなくて右手の薬指にしてるってことは訳ありだからだろ?」

上条は沈利を諭すように話を続ける。

323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:28:06.73 ID:Ts1/1wDO [13/33]
「大切な相手がいるならそいつを想ってそいつの為に生きろよ。暗部なんて日の当たらないところにいる必要なんてないんだよ」

「……もう無理なんだよ。今まで散々色んな人間をブチ殺してきた私に日の下を歩くことなんて出来ないんだよ。それに今更真っ当になんて生きられるかよ……」

「どうしてそうやって自分から闇に堕ちていこうとするんだよ。お前の大切な人はなんにも言わないのかよ」

「うるせぇ! なんの事情もしらねぇくせに知ったように語るんじゃねぇ! 私と帝督はなぁ、闇に堕ちて生きていくしかねぇんだよォォッ!?」

「どういう、ことだ?」

「私達の頭ん中には爆弾が仕掛けられててなぁ、私達に命令する連中の指一つで簡単に脳みそを吹き飛ばすことが出来んだよ!」

「なっ!?」

「しかもどちらかが死んだか脳みそを吹き飛ばされたらもう一人も自動的に吹き飛ばされんだ! だから私達はどんな仕事も失敗は許されないんだよ!」

「私も帝督も日の下を歩くことなんて出来ねぇんだ……これが暗部の生き方だ! 私達の生き方だ! てめぇが知ったように語っていいことじゃねぇんだっての!」

「麦野沈利……」

「気安く呼ぶな! 私に触れるな!」

「……お前、泣いてるじゃないか」

「はぁ!? 私が、え……あ、あれ? 本当だ……」

「本当に日の下を歩けないような人間は涙なんて流さない。お前は心のどこかで救いを求めてるんじゃないのか?」

「私は、私は……」

「俺がお前を暗闇から救い上げてやる」

「でも、どうやって……?」

「皆川、少し離れててくれないか? もう拘束する必要はないだろ」

「分かりました」

324 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:29:14.10 ID:Ts1/1wDO [14/33]
水の塊となって沈利を拘束していた皆川は拘束を解き、上条の二、三歩後ろに立って二人の様子を見つめる。

「今から頭の中の爆弾を取り除く」

「そんなことが出来るの?」

すっかり覇気を失った沈利が上条を見上げ問いかける。

「竜王の顎<ドラゴンストライク>って言ってな、俺もよくわかってないんだけど簡単に言うとチート技みたいなもんだ」

「そう……」

上条の説明になってない説明に沈利は一抹の不安を覚える。

「すぐに済むから少しの間目を瞑っててくれないか?」

「……分かった」

沈利は素直に目を瞑る。
上条は足元に落ちていた破片を適当に取り右手の手首を切る。

「っ! ……血はこれで十分だろ。さあ出て来い、竜<ドラゴン>さんよ」

上条の右手から竜が現れる。

「今からその悲しい幻想をぶち壊す」

上条は沈利に向け竜王の顎を解き放つ。

――――

「よし、もういいぞ。爆弾はもう存在しないはずだ」

「なにをしたの?」

あまりにもあっさりした出来事に沈利はきょとんと首を傾げる。

「ここじゃない別の世界に爆弾を送っただけさ」

「別の、世界? あ、右手……」

「ん? ああ、気にすんな。これは代償みたいなものだ。それにお前が気にすんのはまずはあの二人だろ?」

「……あの二人だけじゃない。全部……全部……」

「そう、だな」

「お兄様!」

325 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:29:40.96 ID:Ts1/1wDO [15/33]
上条「御坂妹? どうしてここに?」

御坂妹「どうしたもこうしたも、お姉様が携帯で上位個体がスクウェアで黒子さんと初春さんが一方通行で垣根帝督と麦野沈利!」

上条「待て待て待てぇ! 落ち着け御坂妹! それじゃあ俺にも読者様にもさっぱり伝わらねえぞ!?」

御坂妹「ですから、あれ? 初春さんどうしてここに? 佐天さん寝顔可愛いです。それに泥棒猫さんも!」

皆川「だれが泥棒猫ですか!」

御坂妹「そしてミサカの隣には水がかかって濡れ濡れになってる麦のんが!?」

沈利「誰が麦のんだ!」

初春「私だけいじりなしですか!?」

御坂妹「すいません、佐天さんがあまりにも可愛かったもので」

上条「だあっもう! 今は皆でアホやってる場合じゃないんだっての! まさか美琴になにかあったのか!?」

御坂妹「お姉様は眼鏡かけて白衣が多少乱れてるだけでなんともありませんよ」

上条「あーん! 誰か俺のイケナイ妄想をぶち壊してくれえええ!」

御坂妹「では、ミサカが……」スルスル

皆川「ちょっとちょっと今そんなことしてる場合じゃないでしょ!?」

御坂妹「そうでした、とミサカは落ち着きを取り戻します」

沈利「取り戻ししすぎだろ!?」

御坂妹「えーっと、一から説明させてもらいますと、ミサカ達はお姉様と上位個体の命でお兄様と初春さんと黒子さんに超能力者育成計画について知らせに来たのです」

326 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:30:19.89 ID:Ts1/1wDO [16/33]
上条「美琴達がなんでそれを!?」

御坂妹「詳しい経緯は分かりませんが盗まれたデータを追っていたら船瀬という人物に会ってそれを聞いたらしいです」

上条「ならなんでもっと早く連絡してくれないんだ!」

御坂妹「お姉様は何度もお兄様と連絡を取ろうとしてたみたいですが」

上条「へ?」ガサゴソ

上条「……電池が切れてる……」

御坂妹「……」
皆川「……」
初春「……」
沈利「……」
佐天「……キンセイガニー……」

上条「と、とにかく続きだ続き!」

御坂妹「はい。それで超能力者育成計画を行っているのが暗部組織スクウェアであり、そのメンバーの第二位の垣根帝督と第四位の麦野沈利が動いているから気をつけてと伝えるためにミサカ達は動いていました」

上条「え、ちょっと待てよ? 麦野沈利は初春さんを垣根帝督が白井を? ん、ん? 帝督ってまさか!?」

沈利「私の夫よ」

上条「」
皆川「」
御坂妹「」
初春「」
佐天「……アンタガエイムズダナ……」

327 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:30:55.37 ID:Ts1/1wDO [17/33]
上条「か、固まってる場合じゃねえ! 早く白井を助けないと!」

御坂妹「黒子さんなら別のミサカが保護したので大丈夫です」

沈利「え? じゃあ帝督はどうしたの?」

御坂妹「黒子さんの話によると一方通行に助けられたみたいですので今頃ドンパチしているのではないでしょうか?」

上条「なんだって!?」

沈利「ちょ、ちょっとそれ本当なの!?」ガシッ

御坂妹「い、痛いです……」

沈利「あ、ごめんなさい」パッ

上条「急がねえと手遅れになりそうだな」

御坂妹「ミサカには詳しいことはさっぱり分かりませんが、暗部の人間であっても大切な人を失いたくない気持ちは皆同じです」

沈利「帝督がどこにいるか分かる!?」

御坂妹「はい。お兄様を見つけ次第加勢させる予定でしたので」

上条「予定変更だ」

御坂妹「はい?」

上条「一方通行を止めて垣根帝督を救いに行く」

御坂妹「??? ますますよく分かりませんが外に車を停めてますので移動しながら詳しい話を聞かせて下さい」

上条「分かった、急ごう。皆川、初春さんと佐天さんを頼んだぞ」

皆川「あ、はい分かりました」

沈利(帝督、無事でいて……!)

――――

328 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:31:28.71 ID:Ts1/1wDO [18/33]
――――

上条「もういい、やめろ一方通行!」

一通「義兄さン!?」

沈利「帝督!」

垣根「沈利……!? どうして……」

一通「おいおいどういうことだよこりゃァ……」

上条「見ての通りもう争う必要はないんだ」

一通「はァ!?」パッ

垣根「ぐぁっ!」

沈利「帝督!?」

一通「おっと悪ィ」パッ

沈利「帝督になんてことをしてくれたんだよ!?」
一通「手ェ出してきたのはそっちじゃねェか! それに沈利と帝督ってなンですかァ!? 亡霊同士夫婦にでもなっちゃったンですかァ!?」

沈利「そうだよ! 文句あんのか!?」

一通「ンなっ!?」

上条「そういうことだ一方通行。多分お前も聞いてると思うが超能力者育成計画は失敗に終わった。もう争う必要はないんだ」

一通「納得いかねェが義兄さンが言うならそうなンだろうな。なら早くこいつを病院に連れて行け。そろそろ電池切れンぞ」

上条「分かってる。だけど一つやることがあるからもう少しそのままでいてくれ」

一通「なにすンだよ?」

上条「垣根帝督の爆弾を取り除く」

329 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:31:56.39 ID:Ts1/1wDO [19/33]
一通「爆弾だとォ?」

上条「ああ。どうにも垣根帝督の上司らは垣根帝督と麦野沈利の頭の中に爆弾を仕掛けたらしいんだ。それで仕事に失敗したりどちらかが死んだら爆発する仕組みになってるらしいんだ」
一通「なるほど、命乞いの理由はそれか」

垣根「……」

一通「ケッ、勝手にしやがれ」

上条「よし始めるか」

―――

一通「チート乙」

上条「黒翼(笑)」

一通「義兄さァァァン!?」

上条「まて、冗談だ! そうだ、早く運ばないと!」

御坂妹「もう少しであの先生を連れた救急車が来るはずです」
上条「それは良かった!」

沈利「あの……」

上条「ん?」

沈利「なんて言ったらいいのか……」

一通「てめェらはこれから全てを受け止め、それを背負って生きるンだな」

沈利「え……?」

一通「どンなクソッタレな人間でも死ンで悲しむ相手がいるなら生きるしかねェだろ。だが、ただ生きてるだけじゃ前には進めねェ。てめェのしたことを受け止めて背負ってこそ前に進めンだ」

沈利「まさかあの第一位に諭されるんなんてね……」

一通「ンだとォ!?」

沈利「でもありがとう。私達に生き方を示してくれて」

一通「お、おゥ……」

330 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:32:42.75 ID:Ts1/1wDO [20/33]
上条「なぁ御坂妹」

御坂妹「はい?」

上条「第一位と第二位と第四位が同じ場所にいるってすげえよな?」

御坂妹「第三位のお姉様がもう少しでここに着きますが」

上条「なんと! まるでレベル5のバーゲンセールだな」

――バタン、バタン

美琴「当麻!」

上条「おう、美琴! なんか色々大変だったみたいだな!」

美琴「なんで連絡くれないのよゴルァ!!」ダイビングー

上条「ごふぅ!!」

打止「お姉様! それタックルだよ!?」

御坂妹「上位個体、お姉様に事情は説明しまたか?」

打止「うん! 色々許せないところはあるみたいだけど納得してくれたよ!」

御坂妹「そうですか」

美琴「当麻怪我してるじゃない!?」

上条「美琴さんの素晴らしいタックルをもらって傷が開いただけです」

美琴「へ? あ、ごめん……」

331 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:34:17.38 ID:Ts1/1wDO [21/33]
一通「てめェらこンなところでイチャつくンじゃねェよ!」

沈利「……羨ましいの?」

一通「ちげェ!」

打止「私はそんな扱いなんだねってミサカはミサカは……」ヨヨヨ

一通「後で構ってやンよォォ!」

上条「」
美琴「」
御坂妹「」

打止「えへへ」

沈利「私も必殺技身に付けようかな」

垣根(俺いつまで踏まれてるんだろうな。沈利もなんも言わねえし。軽く死にてえ)

一通「こ、こっち見ンじゃねェ!!」

美琴「それにしても第二位と第四位が生きてて夫婦なんてなんでもありね……」

御坂妹「なんでもありってことで『れべるふぁいぶ』とか言ってバンドでも組んだら……」

上条「だめ、絶対! それはなんか色んな方面から苦情が来ますから!」

打止「それじゃあ学園都市四天王とか!」

御坂妹「七人のレベル5に四天王ですか。なんか語呂が悪過ぎるてぃーです」

一通「語呂が悪いのが続いたせいで語呂よく聞こえるが全然意味分かンねェぞそれ」

沈利「ええ、それに四天王なら私が最弱扱いとかねーわ」

美琴「それだったら私なんて第一位と第二位を際立たせるための噛ませ犬になるじゃない!」

垣根(早く救急車来ねえかな)

332 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:35:30.95 ID:Ts1/1wDO [22/33]
上条(だめだ、突っ込みが追いつかねえ!)

上条「先生ー! 早く来てくれー!」

医者「呼んだ?」

上条「うおっ!? いつの間に!?」

医者「たった今なんだけど……どうやら今回君はピンピンしてるねぇ。僕の患者はどこだね?」

一通「先生ェ! こっちだァ!」

医者「えーっと、君が踏みつけてる彼でいいのかな?」

垣根(やっとそこに触れてくれたか)

医者「随分派手にやってくれたもんだね。もう少しで/がついてもおかしくないよ」

沈利(てい/とく……)

一通「早くしてくれよ先生。もう電池切れそうなンだよ」

医者「それじゃあ運ぶからそれまでは電池持つかい?」

一通「あァ」

医者「では行こうか」

沈利「あ、私も!」

333 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:36:14.73 ID:Ts1/1wDO [23/33]
――――

一通「なンかすっげェ疲れた……」グテー

打止「第二位さんが相手だったもんね。お疲れ様」ナデナデ

一通「な、撫でンじゃねェよ!」ブンブン

打止「えー?」ナデナデ

御坂妹(口では抵抗してても体は正直なんですね)

上条「ところで美琴」

美琴「なに当麻?」

上条「なんでお前、普通の格好してんだよ」

美琴「……はい?」

上条「御坂妹が言ってたぞ。眼鏡で白衣が乱れてるって」

美琴「……」

上条「なに着替えてんだよ……! 俺すげえ楽しみしてたんだぞ!? 変なことばっか考えてたんだぞ!? お前はよくもその幻想<もうそう>をぶっ壊してくれたな!?」

美琴「そ、そんなこと大声で叫ぶんじゃないわよおおお!!」ビリビリ

上条「いてぇ! 右手超いてぇ!? ちょっとタイム!」

美琴「黙らっしゃい!!」ビリビリ

一通「あァ、ビリビリオチかァ」

打止「不幸オチじゃない?」

御坂妹「なんていうかまぁいつも通りですね」

美琴「私から離れるんじゃないわよおおぉ!?」

上条「なら電撃はやめろよ!? だはは、あーもう、不幸だー!」

334 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:36:50.91 ID:Ts1/1wDO [24/33]
――窓のないビル?――

「失敗か?」

「これで間違っていない」

「今度はなにをするつもりだったんだアレイスター?」

「ただの暇つぶしといったところか」

「幻想殺しを巻き込んでか?」

「……」

「なにを企んでるかは知らないがあんまり表の世界を巻き込むなよ。義妹に迷惑がかかる」

「私はただ学園都市が学園都市たればいいと思っているだけさ」

「それで暇つぶしか? どこの神々の遊びだよ」

「ふっ……」

「もしかするとわざわざ俺を呼びつけたのも暇つぶしか?」

「どうだろうな」

「実家の方が大変なんだからそんなことでいちいち呼ぶな。暇ならネトゲでもやってろ」

「あれは難しい」

「は?」

「ソロでは限界がある」

「ソロプレイを地で行ってるやつが言える台詞じゃないな」

「……」

「とにかく俺は義妹と遊んでから帰るから呼び出すんじゃないぞ」スタスタ

(さて、次はどんなプランを組もうか……)

335 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 02:38:06.70 ID:Ts1/1wDO [25/33]
補足
霊媒師の皆川の魔術は水を媒介にして自らを水の霊とする霊媒術。flueleは流れるって意味



上条さんの竜の能力は完全自己解釈で、別の世界の法則をこの世に適応させる能力。竜を出す代償として右手から右腕にかけての大量の血が必要。

幻想殺しは竜の能力の一部。異能の力が幻想殺しに触れると、別の世界の法則が異能の力を認めないため打ち消すことになる

話の中では別の世界の法則を用いて相手を傷つけることなく爆弾を取り除いた


ていとくんの木原神拳改めて木原物質が一通さんに効いたのは、一通さんが能力により反射膜に当たった瞬間に力の向きが逆になるというベクトルを反射に組み込んでいなかったから

木原神拳以外で、ましてや能力で反射膜を利用されることがなかったから反射の設定に組み込まれてないのをていとくんは利用して攻撃した

反射膜を利用する物理法則を偽装するために「能力じゃないただの攻撃」に見えるようにこの世に近い物質を作って惑わせた


そしてアレイスターは暇を持て余しているようです。誰か構ってあげて

336 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 02:39:15.15 ID:Ts1/1wDO [26/33]
これで広げた風呂敷畳編改めてアレイスターの暇つぶし編はこれにて終了


バトル描写と地の文ぽいのをこんだけやったのは初めてだから物凄い苦戦した。テンポは悪くなるし質は悪いし……


SSでは噛ませ犬になる美琴の活躍、最強説の流れるテレポートの打破、暖めてた初春と上条さんの能力ネタと木原物質、上条家のそれぞれの仕事の様子

こんだけ書きたいことを書けてたから俺は楽しんでたけど、最初のノリを期待して見てくれてた人には本当に申し訳ない。基本的には俺得スレなので……


義兄さん編、残骸回収編、垣根夫妻編、暇つぶし編ときて次は全国大会編、宇宙編、ドリル編と続きません
まぁとりあえずアホなノリを再開するのは確実なんで同じノリが好きな人はゆっくり見ていって下さい

コメント

No title

ほのぼのからのバトルってジャンプみたいだけど、絵が無いSSの場合だと途端にクソつまんなくなるんだよなぁ・・・

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