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男「財布を拾ったんだが」2

男「財布を拾ったんだが」

405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:12:13.01 ID:A9GaRN1w0 [5/64]
男「……」

父「うーむ。やっぱり水温がなぁ……低いところから出てこなかったもんなぁ…絶対あれも原因の一つだ……」

男「父さん」

父「お、なんだ?食い終わったか?すまんなぁアユとか釣ってくるつもりだったんだが」

男「いや、それはいいんだけど。あのな」

父「? なんだ?どうした?」

男「あいつらに会ったんだ。さっき」

父「え?……ああ」

男「まだ、俺の事あんまりよく思ってないみたいだった……」

父「……すまんなぁ、こういう所だから」

男「そうじゃない。それはいいんだ……俺、あの」

父「どした?」

男「また、父さんとか母さんが……村の人達から、その……なんか嫌がらせとかされてるんじゃねぇかって」

父「お前…」

男「大丈夫か?その、いろいろ」


406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:16:35.58 ID:A9GaRN1w0 [6/64]
父「お前は馬鹿だなぁ」

男「いや、でもさ」

父「お前はそんな事を心配する必要はないんだ、大丈夫だよ」

男「……」

父「俺はお前があの学校に合格してくれて、とっても鼻が高いんだ。村の人からもよく羨ましがられる」

男「嘘だ」

父「嘘じゃない。本当だぞ?」

男「……なんかあるんなら、言ってくれよ。父さんと母さんが嫌な思いしてるのは、キツいから」

父「お前は自分の目の前の事をこなしていくだけでいい。要らない心配だ。俺はお前の親父だぞ?少し親をなめてるな」

男「そんなつもりじゃ」

父「大丈夫だ。何も問題はない」

男「……」

弟「あれ?どしたの?」

男「あ、いや」

父「何でもない、さてと!昼寝でもするかな」

408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:25:14.93 ID:A9GaRN1w0 [7/64]
弟「にーちゃん、さっきから変だぜ?」

男「え?」

弟「ぼーっとしてるぞ?どうしたんだ?」

男「別に。ちょっと疲れただけだ」

弟「後でお祭り行くのに大丈夫か?そんなのでさー」

男「だからその為に今休憩してるって事だよ」

弟「なるほど!兄ちゃんは頭いいな!」

男「お前もどうせはしゃぐんだから今はのんびりしといた方がいいぞ」

弟「うん!そうする!」

男「……」

女「……どうしたの?」

男「え? あ……」

弟「ん?おおー!お姉ちゃんが浴衣着てるー!」

母「ふふん、我ながら素晴らしい着つけだったわ」

田中「お綺麗ですお嬢様」


409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:31:51.89 ID:A9GaRN1w0 [8/64]
女「大丈夫?男」

男「うん」

女「そ、その……どう?これ」

男「めちゃくちゃ綺麗だな、似合ってるよ」

女「あ…そう?」

男「うん、かわいい。髪まとめたんだね」

女「ええ。その方がいいだろうって男のお母さんが」

男「うん、綺麗だ」

女「……ありがとう」

男「どういたしまして、かな。よく分からないけど」

女「うれしいわ、とっても」

男「俺も綺麗な着物姿の女性が見れて幸せだ、田中さんも似合ってます」

田中「どうもありがとうございます。……どうだ坊主」

弟「きれいだと思うぞ!」

田中「よろしい」

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:40:25.29 ID:A9GaRN1w0 [9/64]
母「お祭りは6時頃から行ったら楽しめるわよ。あと数時間あるからみんな休憩しなさいな」

田中「そうですね、夜の方がお祭りは華やかでしょう」

男「あ」

女「どうしたの?」

男「あと数時間あるんだけどその間女と田中さんはずっと浴衣のままだろ?このままお祭りに行くんだし……母さん、椅子」

母「ああ、そうだったわね良く考えたら……ごめんなさいねぇ、今持ってくる」

田中「なるほど」

女「言われてみれば確かに……ちょっとこの恰好で数時間休憩というのも」

男「ゆったり座れる簡易椅子があるんだ。だからそれに腰かけててくれればそのままでもゆったりできるよ」

田中「それはありがたいです」

女「よかった」

弟「しかしお姉ちゃん達おしっこ行きたくなったら浴衣脱がなきゃだぞ?」

田中「その点は大丈夫だ坊主、着る前にすませたからな」

弟「そっか!じゃあ大丈夫だな!」

田中「そういう事だ……ん?」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:52:46.78 ID:A9GaRN1w0 [10/64]
女「?」

男「どうしたんですか?」

田中「ちょっと失礼」

弟「たなかー?」

田中『私だ、どうした?』

田中『……大丈夫そうか?ああ。出来るだけ干渉はするな、いいな……こちらも注意はする。まぁ大丈夫だろう』

男「?」

女(……どうしたの?)

田中(何にもないわ)

女「……」

弟「たなかー!今のはえいごだろ?俺知ってるんだ」

田中「ロシア語だ」

弟「うん!ろしあごだろ?俺知ってるんだ」

田中「そうか。坊主は賢いな」



413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 15:59:40.94 ID:A9GaRN1w0 [11/64]
6時

男「さてと!そろそろ行くか!」

女「ふぇ?」

男「あ、ごめん。寝てた?そろそろ6時だよ」

女「あ、うん……そうか!お祭り」

男「そうそう」

女「夜店とかあるのかしら?」

男「あるある、一緒に行こう」

田中「坊主、起きろ」

弟「んにゃー……」

田中「まったく、お前が起きないと私が動けないだろうが」

弟「んんー」

男「げ、すみません田中さん。ほらっ、起きろ。祭り行くぞ祭り」

弟「まつり、行く」

女「ふふっ」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 16:07:47.41 ID:A9GaRN1w0 [12/64]
会場

男「ここらへんからがお祭りって感じだね」

女「わぁ!」

田中「これはこれは……美味しそうなものがたくさんありますね」

弟「たなか!あれ食べようあれ!わたがし!」

田中「ふむ、よし、食べよう坊主」

男「あ、結局どうします?田中さん」

田中「はい、予定通り弟君と一緒にまわりたいと思っています、お嬢様はお任せできますか?」

男「いい?」

女「ええ。い、一緒がいいわ」

男「だそうですから、大丈夫だと思います」

田中「お願いします。何かあればこの番号に連絡をください」

男「分かりました。弟を頼みます」

田中(お嬢様……頑張ってね、アピールが大事よ。かわいい子アピール)

女(そ、そんなのしないわよ!ばか!)


415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 16:17:04.53 ID:A9GaRN1w0 [13/64]
男「それじゃ、行くか」

女「そ、そうね」

男「久しぶりだなぁこの雰囲気も」

女「そうなの?」

男「1年ぶりだからね」

女「あ、そっか」

男「去年は弟と二人だったけど、今年は女と来れてすごく幸せだ」

女「え…ぁ……そう」

男「うん、こうやってるとまるでカップルみたいだし」

女「な!そ、そんなの……だって……あの…ええ?」

男「あははっ、ごめんごめん。慌てる女の姿が見たくて」

女「ちょ、ちょっと男!もう!」

男「だってかわいいから」

女「だ、だからぁ……もう……あ」

男「ん?たこ焼き?食べる?」

418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 16:25:15.80 ID:A9GaRN1w0 [14/64]
「お、いたいた」

「へー、結構かわいいな」

「俺かなりタイプだわー」

「へへっ、いつ仕掛けるよ?」

「昔みてぇに皆で囲んでボコすのは?」

「んで女をひきはがして目の前でってか、ははっ、エグいなそれ」

「ま、とりあえず。あの裏切り者を容赦なく叩けばいいんだよ。最高の祭りだろ」

「いいねぇ、去年もやればよかったな」

「親父たちがうるせぇからな。バレない様にやりゃいいんだよ」

「ま、とりあえず神社裏に集めとけや」

「もう5,6人いるから大丈夫だろ。俺達と合わせて10人だ」

「よし、ま。もうすぐだ」



424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 16:35:19.65 ID:A9GaRN1w0 [15/64]
男「はい、熱いから気をつけて」

女「ええ、美味しそう…いただきまーふ…~~ツ!!」

男「大丈夫!?」

女「ん……ん」

男「えっと……あ、お茶くださいそれ。はい……ほらっ!」

女「……ぷはっ!」

男「だから熱いって言ったのに」

女「ごめんなさい…中がここまで熱いとは思わなくて…」

男「大丈夫?舌やけどしてないよな?」

女「ええ……ああびっくりした」

男「女はこういうお祭りは体験した事ないの?」

女「そうよ。フランスであるお祭りとかは参加した事があるけど」

男「そっか、じゃあもっといろんな事しよう。えっと……お!あっちに射的あるぞ!やってみない?」

女「たこ焼きを食べ終えたらにするわ。男も食べよう?ふふっ」



425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 16:57:29.25 ID:A9GaRN1w0 [16/64]
男「うまいうまい!」

女「やったぁ!取れたわ!」

男「お見事!ははっ」

女「ふふっ、次は……スーパーボール掬い?……なにこれ」

男「金魚掬いってあるだろ?あれのスーパーボール版だよ。俺はこっちの方が好きだな、金魚はすぐに死んじゃうから」

女「なるほど。私もこっちの方がいいかも」

男「よし!競争しよう!多く掬ったほうが勝ち!どう?」

女「分かった。よーし!勝った方が…えっと……相手の言う事を一つ聞く。どう?」

男「のった!」

女「ふふっ」

男「あちゃー……」

女「やったやった!ふふっ、私の方が多いわよね?これ」

男「俺の早く破けすぎだと思うんだけどなぁ、ちっくしょう」

女「あー楽しかった」

男「それじゃ、女が勝ったから。何か命令していいよ、どうぞ」

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:02:17.61 ID:A9GaRN1w0 [17/64]
女「あ、そっか」

男「俺に出来る事なら何でもするから、遠慮なく言って」

女「え、ええ。それじゃあ……えっと……」

男「ん?」

女「……ぁ……んと……」

男「女?」

女「い、今は思いつかないから。また今度!だめ?」

男「ははっ、いいよ。それじゃあ覚えとくよ」

女「ふふっ……あれ?この音楽は?」

男「ああ、これは神社前の広場で盆踊りを……! 女」

女「え?」

男「行ってみない?盆踊り」

女「で、でも私踊れないから」

男「まぁまぁ」

女「ちょ、ちょっと男!?」

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:08:02.92 ID:A9GaRN1w0 [18/64]
男「ほらっ!」

女「で、でも!」

男「音楽に合わせて回ったりすればいいだけだよ。皆適当だからこんなの」

女「……」

男「ね?」

女「わ、分かった。やってみる」

男「よし!行こう!手、つないで」

女「あ……」

男「どうした?」

女「何でもないわ」

男「?」

女「ふふっ」



428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:13:57.59 ID:A9GaRN1w0 [19/64]
男「ふー」

女「あははっ、疲れたけど」

男「楽しかった?」

女「もちろん!ありがとう」

男「それはこっちのセリフだって、女と祭りに来れて盆踊り踊って……」

女「……」

男「すげぇ楽しいから」

女「うん、私だって……男と日本のお祭りに来れてその…一緒に盆踊りとかも踊って、とっても楽しい」

男「よかった」

女「え?」

男「俺の田舎なんかに来て、楽しめないんじゃないかと思ってたから。なんとか楽しんでくれてるみたいで、さ」

女「そ、そんなの男がいるから」

男「え?」

女「!……別に、なんでもない。そんな事気にしなくても、大丈夫って事よ。うん」

男「はは……最後に神社でお参りでもする?」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:21:57.98 ID:A9GaRN1w0 [20/64]
神社

女「ここには人がいないのね」

男「そうなんだよ。この時間は皆盆踊りの為の広場に集合してるから、この場所は空くんだ。休憩にもちょうどいい」

女「ふふっ、疲れたんだ?」

男「ちょっとね」

女「実は私も」

男「だろ?ははっ」

女「ふふっ」

男「もう少しここで休んだら、もう一回夜店を回って、帰ろうか」

女「ええ、分かった」

「ええ、分かった。だってよぉ!かわいいねー」

女「え?」

男「!?」

「はいはいこんばんわー」

「久しぶりだなぁ男」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:32:15.85 ID:A9GaRN1w0 [21/64]
女「え?誰?男の知り合い」

男「……」

女「男?」

「おいお前らさっさと出てこいよ」

「へへ、やっとかよ。待ちくたびれたぜ」

「さっさとやらせろ……へへ」

男「……何か用?」

女「……」

「別にー?特に用はねぇよ?昔みたいに遊ぼうぜ男。久々の帰省だろ?地元の友達も大事にしなきゃあ駄目だぜ?そうだろ?」

「はははっ」

女「男…」

男「ごめん。俺が合図するからその瞬間……いや、何でもない(浴衣じゃ走れないか)」

女「何なの?この人達…」

「何なの?だってよ!誰か教えてやれよ!なぁ?」

「俺たちは男の友達だよ。お友達って奴だ、ぎゃはははっ!」

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:41:56.54 ID:A9GaRN1w0 [22/64]
男「……下がって」

女「え、ええ」

「どしたー?虐められまくりだったお前が一丁前に女を庇うってか?」

男「虐め?俺達友達なんだろ?何の事だよ」

「……」

男「俺は過去、お前らから虐められた事はない。そうだろ?」

「はっ…」

「何言ってんのこいつ」

「ま、いいんじゃねぇの?ある意味こいつのおかげで色々学校でめんどくさい事にならなかったんだからよ」

「ははっ」

「ま、自分が悪いって言う自覚があっての事だろ……そうだぜ男。俺たちは同じ村出身の友達だもんなぁ?」

女「……何なのあんたたち。男に何をしてきたのよ!」

「おひょー!かわい子ちゃんが怒ったぞ?」

「かわいいー」

女「くっ…あ!」


438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:46:26.72 ID:A9GaRN1w0 [23/64]
「おっと!かわいいねぇ、肌も真っ白だ」

男「おい!」

女「男……やめ…離して!!汚らわしい!」

「汚らわしいだぁ? おいおい」 ドンッ

女「あ…」

「はいキャッチ、ふーん。可愛いね……おっぱいどれぐらいあんの?ん?」

女「や、やめ…」

男「いい加減にしろ」

「あ?どした?」

男「その子は関係ない」

「あー?いいじゃねぇか。友達の俺たちに女貢ぐ位訳ねぇだろ?」

女「やめな…さ…(もうやめて!)」

「ん?なんか喋ったぞ?英語か?」

「うひょー、マジもんの外人さんかよ。俺燃えて来た」

男「……」 


440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 17:55:04.30 ID:A9GaRN1w0 [24/64]
「ん?なんだなんだぁどうした男……女がヤられるのがそんなに嫌か?お?」

「裏切りもんが村に帰ってきただけでうぜぇのに女なんか連れてくるからこうなんだよ」

「てめぇらの一家は村中から嫌われてるもんなぁ?お前のせいで!ははっ」

女「……」

男「……」

「さてとぉ……ま、そこで大人しく見てろや男。今からお前の大事な女を俺がヤってやっから」

女(いや!いや!やめ……いやあああ!!!!)

「へへっ、大人しく!? ぎゃっ!!」

「!?」

男「……やめろって」

「こいつっ!!」

男「グッ……おらぁあ!!」

「う、うわっ!……てめ」

女「男!」

男「大丈夫?ごめん」 

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:01:44.07 ID:A9GaRN1w0 [25/64]
「へー?何?」

男「何が?」

「反抗するんだ?」

男「……反抗って程じゃないけどな」

女「……」

男「俺の大切な女を傷つけるってなったら……守るだろ?普通」

「けっ!気持ちわりぃなおい、大切な女……てめぇがそんなもん手に入れようってのが端からおかしいっつー話よ。おい」

「むかつくわ、ぶっ飛ばす」

「俺もやっていい?こいつ昔から嫌いだったんだよね」

「やれやれ。女も好きに犯してやれ」

女「……」

男「大丈夫。心配しないで」

女「でもっ…」

男「俺が合図したら……田中さんに連絡して。ここに来てもらって、いいね?」



444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:08:02.86 ID:A9GaRN1w0 [26/64]
女「……」

男「……大丈夫。ごめん、巻き込んで」

女「そんなのはいいから、無理しないで」

男「無理は、するよ。そんなの当たり前だろ」

女「え」

「何ごちゃごちゃ言ってんだカス」

「おらおらぁ!!」

男「今だ!あの木の下へ走って!」

女「っ……」

「へへ、なんだぁ?女逃がそうってか?そうはグハァ!!」

男「かかって来いよ。女を追うのは俺が動けなくなってからの方がいいんじゃないの?」

「調子乗ってんじゃねぇよ裏切り者がぁ!!」

男「……あああああ!!!!!」

447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:13:03.04 ID:A9GaRN1w0 [27/64]
弟「んおお!!たこ焼きうめぇぇぇ!!」

田中「しかし熱くないかこれ?」

弟「それがいいんだろたなかー、分かってないなぁ」

田中「いや、確かにおいしいけどな?私はあれなんだ、熱すぎるものが苦手でな。ふーふーしないと食べられないんだ」

弟「たなかは猫舌なのか?」

田中「猫舌……ああ、確かそうだったかな?」

「おい!神社付近で乱闘だってよぉ」
「観に行ってみるか?」
「いや、それがなんかヤンキー共に足止めされてて行けないらしいんだ」

ざわざわ ざわざわ

弟「何か乱闘騒ぎだって」

田中「ふむ…お祭りでの乱闘騒ぎといえばあれだろう?そのお祭りでは必ず起こるっていう類の」

弟「このお祭りそんなのないぞ?」

田中「え?違うのか…じゃあ……!!!」

弟「たなか?どうした?食べないのか?」

田中(お嬢様!!)


450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:19:58.22 ID:A9GaRN1w0 [28/64]
弟「……たなか?」

田中「弟、そこにいてくれ。あとで迎に来る」

弟「え?ちょ、ちょっとたなか?たなかー?」

田中(ちぃ!盗聴器を浴衣につけるのを怠った私のミスだ……あいつは何をしてる!!) ピッ

田中『おい!私だ!お嬢様は今どこにいる!?』

『すまない、危険分子共が独自のルートを走り抜けて行った様で、この人ごみで追いつけずに見失った』

田中『馬鹿!神社だ!急げ!お嬢様に何かあったらお前も私もただではすまないぞ!!』

『神社…分かった、すぐに行く』

田中(くそっ、使えない奴ばっかりだ……私もか……畜生…!?)

ピッ

田中(お嬢様!!ご無事ですか!?)

女(ローラ、今私、神社にいて……男が……男が……)

田中(すぐに行きます!!)




451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:24:52.47 ID:A9GaRN1w0 [29/64]
田中(あそこかっ!!)

「おいてめぇ、ここは今立ち入り禁止…」

田中「うるさい殺されたいのかどけ」

「え?」 ゾクッ

田中「どけ!」

「ぎゃあっ!」

田中「あいつは……」

『こっちだ』

田中『この能なし!』

『お互い様だろう。話はあとだ』

田中『ちっ!!』

田中(お嬢様!!……!?)

『……これは……』




456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:30:41.32 ID:A9GaRN1w0 [30/64]
「はぁ……はぁ……」

「くっ……くそ……んだよ……」

「こいつ……」

男「はぁ……はぁ……あ……がっ……はぁ……」

「……ちくしょうがあああ!!!」

男「……ぐぁ!!………」

「へ、へへ……はぁ……はははあ!!ゴフッ!!」

男「おらあああああああああ!!!!!!!!!!」

「うっ!!ぐ……あああ」

男「あああああああ!!!!!」

「や、やめ……」

男「らあああああああああああああ!!!!!」

「う……あ……」 

田中(おい!!)

男「……あ……へへ………は」

457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:34:32.55 ID:A9GaRN1w0 [31/64]
「……このやろ」

男「……田中…さん?……」

田中(お嬢様は!?お嬢様はどこに!)

男「……あ、そこ…」

田中(あの木の下か!? 『おい!』)

『ああ……いたぞ!』

田中(お嬢様!!)

女「……ローラ…」

田中(お怪我はありませんか!?何かされましたか!?)

女(大丈夫……彼が……それよりも男が) ガクガク

田中(大丈夫です、すぐに病院へ運びます)

『ご安心を』

女「え?」

「ああ失礼、ご安心を。彼はすぐに病院へ運びます」



458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:39:15.39 ID:A9GaRN1w0 [32/64]
女「ほん、とう?」

「ええ。もう大丈夫です。ご安心を」

女「そう……よかった……」

田中(お嬢様!?)

「気を失っただけだ」

田中「お前…日本語が喋れたのか」

「少しな…それよりも……彼を」

田中「!そうだ……!」

「ぐっぐ……」

男「ち……くしょ…」

田中「もうやめろ2人とも!やめろ!!」

「……くそ……ら"ぁ!!!」

男「ぐぇ……はぁ……はぁ……」

田中(……ど、どうすれば……)

男「ふざけ…んなよ……」


462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:49:37.24 ID:A9GaRN1w0 [33/64]
田中「え?」

「……」

ガシッ

男「お前らが……ずっと……村の掟を守ってきたのは…知ってる」

「くっ」

男「でも、時代は動いてんだ……俺みたいに村を出て行く奴だって大勢出てくる時代になったんだ」

「う、裏切り者が……ほざくな…」

男「俺が何を裏切ったか言ってみろ……言ってみろ!! 裏切り者ってレッテル貼ったらお前らは俺を昔みたいに何年も何年も虐めてよかったってのか!!あああ!?」

「……」

男「最初は俺もしょうがないと思って受け入れてた、お前らの気持ちだって分からなくは、ねぇから……でも、俺は村の外に出て勉強したかった。それがいけないとは思わなかった」

「………うるせぇ」

男「我慢した……我慢してなるべく親に被害がいかないようにな、俺は我慢してたんだよ……それをお前らは……お前らは……」

「グッ……あ…ぁぁ……」

男「お前らに……お前らに何の権利があんだよ……お前らが自分の親に俺の事を言いふらし!俺の親を村でのけ者にしたんだろうが!!!」



463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:50:13.81 ID:A9GaRN1w0 [34/64]
「や、やめ……」

男「それでも親は俺の事を責めやしなかった!こんな村に産んですまないとまで言った!!それがどれほど惨めな事か分かるか……」

「ぐ……すま……」

男「お前らには、俺の親を悪者に追いやる資格なんて端からねぇんだよ!!!!ずっと我慢してきてやったのに……」

「……あ………う……」

男「我慢してきてやったのに……それにも気づかず……ふざけんじゃねぇぞおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

「ぎゃああああああああああああ!!!」

田中「やめろ!!もういいから!!」

男「ぐっ!」

田中「もういいよ。分かったから、男さん」

男「……くそったれ……ちくしょう………ちく…しょう……」

田中「……」

「おい、逃げるぞ。警察ざたはごめんだ」

田中「……ああ。お嬢様を頼む。男さんの家に」

「了解」

465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:54:38.88 ID:A9GaRN1w0 [35/64]
男の家

男「!」 

男「……ここは…」

男「俺の部屋?」

男「えっと……あれ?……!女!!」

男「ツッ……って……」

弟「あ!」

男「……弟?」

弟「兄ちゃんが起きた!!起きたぞ!!母ちゃん!!」



466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 18:58:50.77 ID:A9GaRN1w0 [36/64]
母「男!!」

男「あ……」

母「この馬鹿!心配させてっ……もぅ…」

男「母さん……女は……」

母「隣の部屋で寝てるわ。田中さんもそこに」

男「……父さんは」

母「警察の人と下で話してるわ。大丈夫、あんたは何も心配しなくていい」

男「……」

母「気づかなくて……ごめんね男……駄目なお母さんで、ごめんね」

男「馬鹿、俺が全部悪いんだよ。母さんが悪いところはない」

母「ごめんね……ごめんね……」

弟「か、母ちゃんなんで泣いてんの?ねぇ……ねー」

男「弟、母さんを部屋に連れてってあげてくれ。んで一緒にいてあげてくれ」

弟「兄ちゃん?」

男「頼むわ

468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:07:40.04 ID:A9GaRN1w0 [37/64]
男「ッ……1階……」


警官「じゃあ、お宅のお子さんは正当防衛だったと」

父「そうだ。間違いない、相手は10人ほどでうちの息子と息子の友達に襲いかかったんだ。それで息子は友達を守ろうとした」

警官「ふむ……」

父「息子も怪我をしてるんだ。もういいだろう」

警官「……分かりました」

父「……」

警官「何かあれば、また伺います。まぁ、ないでしょうがね」

父「え?」

警官「この地域のガキ共の間では、こういうの。よくあるんです。あなたの息子さんも村から出ている側でしょう?」

父「あんた……」

警官「うちの息子もそうでね。お互い苦労しますが……ま、何とか折り合いをつけてやっていくしかありませんよ。それでは」

父「……」

男「……」

469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:13:06.31 ID:A9GaRN1w0 [38/64]
父「はぁ……」

男「……父さん」

父「! おう、大丈夫なのか?歩いて」

男「まだちょっとキツいけど…なんとか」

父「そうか。座れ座れ、腹減ってないか?何かつくろうか?」

男「いいよ」

父「そう、か」

男「……」

父「……大丈夫だ」

男「え?」

父「お前は女ちゃんを守ったんだ。すごいことだよ」

男「結果として、守れたって事になるんだろうけど……俺は……その…」

父「それもいいんだ」

男「え?」




473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:19:58.37 ID:A9GaRN1w0 [39/64]
父「田中さんに聞いたよ」

男「え?」

父「お前が神社で相手の子に向けて言った事だ」

男「あ……」

父「母さんが泣いて泣いてしょうがなかったんだぞ?まったく」

男「……」

父「虐められてたんだってな」

男「……」

父「すまない」

男「だから嫌だったんだ」

父「え?」

男「父さんや母さんが謝ることなんて何もないのに……何で俺に謝ってんだよ。だから嫌だっったんだ……言いたくなかったんだ…」

父「……」

男「この村に好きで生まれたわけじゃないけど、そんなの皆どこで生まれ様が一緒だ!
  そんなので父さんたちが……俺のせいで責められるのは嫌だった……何で謝るんだよ。やめろよ」

父「お前は優しいな」

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:25:53.86 ID:A9GaRN1w0 [40/64]
男「優しいとかじゃない。おかしいだろそんなのって話だよ」

父「……そうだな」

男「俺は、父さんたちがのけ者にされたのは俺のせいだってのは分かってるんだ。
  でも、俺は……街へ出たかった……どうしても」

父「分かってる」

男「……謝るんなら、俺の方だろ………俺が……俺が」

父「お前は優しいが、馬鹿だな」

男「な!?」

父「息子が勉強をしたいと街へ出たいと言う。その希望を受け入れない親がどこにいようか。
  そんな事もわからないのか?」

男「……」

父「お前は自分の思うように、精一杯生きればいい。前に進めばいいんだ。俺はそれを父親として、誇りに思っている」

男「……」

父「そのままでいいんだよ、男。俺と母さんの事は心配するな。弟の事も心配するな、俺達は大丈夫だ。
  知ってるか?弟は小学校で今ガキ大将みたいな所にいるんだぞ?本人が言ってた」

父「あいつもお前の事を嫌ってない。むしろ尊敬しているだろう、あいつも将来街へ行きたいと言ってるんだ。
  お前は、何にも心配しなくていい。頑張れ。俺はいつもお前の味方だ」

479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:33:34.66 ID:A9GaRN1w0 [41/64]
男「……ふっ……くっ……」

父「泣く奴があるか」

男「…………くぅ……」

父「お前はまっすぐだ。何事もまっすぐで有ることは、俺は素晴らしいことだと思っているんだよ?男よ」

男「……父さん」

父「お前は俺の自慢の息子だ。母さんもそう言ってる、あいつはちょっと今回の事で、ショックが大きすぎたみたいだけどな。
  なぁに、すぐにまた笑顔になるさ」

男「……」

父「村の掟がなんだ。そんなものは時代と共に移りゆくものだ。そんなものに縛られて、お前の人生の選択肢を摘む事になるなんて
  考えられない。お前はまだまだ子供だが、これから先数年で大きく成長するだろう。俺には分かる」

男「……」

父「最後に一つだけお前に言うことがある」

男「?」

父「人と対話をする際、相手の事を考えて話せとはよく言ってきただろう?もう一つだ。どうしても譲れない事柄があった時は、
  相手の立場と、自分の立場にそれぞれ立ってみて。その事柄がどれほどの価値を持っている事かを見極めろ。
  そして、相手よりも自分がその事柄について価値を持っていると感じたときは、譲るな。突き進め」

父「今回の事では、お前は……良くはなかったが、悪くもなかったと思っているよ俺は。これで話は終わりだ。上に行って、休みなさい」


481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:38:51.46 ID:A9GaRN1w0 [42/64]
男の部屋

男「……」 ガタッ

男「……」

コンコン

男「……はい?」

田中「……」

男「田中さん」

田中「入っても?」

男「はい……ッ」

田中「ああ、男さんは起き上がらなくても結構」

男「……じゃあ」

田中「はい。そのままでいいです」

男「あの、女は?」

田中「大丈夫です。男さんのおかげで怪我はしていません」

男「よかった…」


482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 19:58:08.35 ID:A9GaRN1w0 [43/64]
田中「……」

男「……すみませんでした」

田中「え?」

男「女を、危険な目にあわせてしまって」

田中「……」

男「え?」

田中「あなたって人は……どうしようもなく、優しい方ですね」

男「はい?」

田中「あなたがお嬢様をここへ誘ってくださった時点で、我々お嬢様側の人間は全員お嬢様を常にお守りするという任務を遂行するべく動いていました」

男(あれ…田中さんの雰囲気が……違う?)

田中「それで今回の事。今回の失態は危険分子共を見失った事による失態と私がお嬢様の状態を常に把握しておくという任務を怠った事から起こった。
    私たちは任務遂行を失敗するところでした。それを、男さんのおかげで免れたのです……感謝すべきなのは私達の方です」

男「……それは、違いますよ」

田中「まだそんな事を」

男「今回の事は、俺が恨みというか……その、田中さん達は分からないでしょうけれど、この村の事でいろいろゴタゴタを昔から持っていて…
  それが表面化した結果の事だったわけで……俺がゴタゴタを起こさなかったら」


484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:04:30.24 ID:A9GaRN1w0 [44/64]
田中「男さん……」

男「ですから、今回の事はすべて俺のせいです。本来なら田中さんにも純粋にお祭りを楽しんでもらいたかった」

田中「……」

ギュッ

男「え?ちょ?田中さん?」

田中(なんであなたはそういう考え方が出来るの?何故そこまで自分を責めて私たちを責めようとしないの?どうして……)

男「あ、あの?俺フランス語がその……」

田中「失礼しました」

男「けほっ……?」

田中「失礼ながら、私は男さんの生まれ育ったこの村の事をすべて調べさせてもらっていました。お嬢様がここへ来る前にです」

男「ああ……はい」

田中「そして、先程の男さんの……その葛藤の言葉とでも言いますか…相手を殴りかかりながら言っていた台詞の意味も理解しています」

男「父さんや母さんに伝えたのは田中さんだと聞いたので、はい」

田中「そして、本当に申し訳なかったのですが。先程の男さんのお父様との会話も」

男「あ……聞こえちゃってました?……ま、まいったな……家族のプライベートな事ですよ?あれ、あはは」

486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:17:58.52 ID:A9GaRN1w0 [45/64]
田中「私は、今回の事。二つの立場から言える事があります」

男「え?」

田中「まず、お嬢様の護衛兼教育係からですが。男さんは本当によくやって下さいました。感謝します」

男「いや、そんな」

田中「そして、私個人として私自身の考えで今回の事を言うと」

男「言うと?」

田中「男さんは、確かに今回の事で少し失敗をしたと思っているかもしれません。が、私はそれを失敗だとは思わないでほしいと思います。
    ……私があなたの立場でも、あの葛藤は芽生えていたはずです。それどころか、もっと早く事を起こしていたかもしれません」

男「ははっ、そんな物騒な」

田中「でも、これが私の本心です。私は多少、男さんに感情移入しすぎているのかもしれないので……公平な判断かどうかは定かではありませんがね」

男「……」

田中「男さん、あなたはお父様の仰る様に……優しい、芯を持っている方だと私は思います」

男「そんなに、いい人間じゃないですよ俺は」

田中「いいえ」

男「……ありがとうございます」

田中「ふふっ……ところで、どうします?先程から、お嬢様が扉の向こうで聞き耳を立てているのですが」

487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:26:59.21 ID:A9GaRN1w0 [46/64]
男「え!?」

ガタッ

田中「ちなみに、本当にこれも申し訳ないのですが、男さんの現在の状況、なぜああいう出来事が起こったのかの説明をする際。
   全部話させて頂きました」

男「……マジですか」

田中「あと、私と一緒に男さんとお父様との会話をお聞きになっていましたので。もうお嬢様はすべてを理解なさっています」

男「……それは、困るな」

田中「何故です?」

男「だって、彼女なら……」

田中「それでは私はこれで、寝室へ戻らせてもらいます」

ガチャッ

タタタッ

男「……」

女「……ヒック……ヒッ……エグッ……」

男「やっぱり……」

田中「お嬢様を宥められるのは男さんしかいません。頼みます」

488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:32:46.09 ID:A9GaRN1w0 [47/64]
田中「……さてと……!」

弟「……」

田中「ごめんね。途中で放ってしまって」

弟「いい。お姉ちゃんと兄ちゃんを助けに行ってくれたんでしょ?」

田中「……」

弟「ふたりとも無事でよかった……」

田中「お母さんはどうしている?」

弟「寝ちゃった。泣いてたから、寝るのがいいよ」

田中「ふふっ、坊主はえらいね」

弟「えらくないよ、俺は」

田中「?」

弟「俺よりも、兄ちゃんの方がえらい。兄ちゃんは俺はよく分からないけど俺よりいっぱい苦労してるから。
  それでも優しいから、俺よりも全然すごいんだよ」

田中「……」

弟「……俺は、兄ちゃんを尊敬してる」

田中「この家族の人たちは、なんでこう……ふふっ。坊主は、男さんに負けず劣らずで、優しい子だ」

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:36:15.62 ID:A9GaRN1w0 [48/64]
弟「だからー俺はそんなに優しくもないぞたなか」

田中「ふふっ」

弟「え?なに?わっ!」

田中「坊主、今日はたなかと寝ない?」

弟「え?いいの?」

田中「いいよ」

弟「んじゃそうするー」

田中「よしよし」




女「……」

男「お、落ち着い…た?」

女「ううー……」

男「な、なに?」

女「なんでそんな感じなのよ!もう!」

男「ええー?」

491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 20:51:26.41 ID:A9GaRN1w0 [49/64]
男「そんな事を言われても」

女「男は何にも悪くないじゃない!なんで自分を責めるの?意味わかんない!」

男「……そんなに単純でもないって」

女「単純よ!私たちを襲った人達は男が村を出て行くのが裏切りだって言ってたけどそんなの嘘!
  男が村をでて一人で進学校へ行くのが妬ましかったんだわ!きっとそう」

男「うーん」

女「それで勝手に逆恨みして……ひどい!」

男「んー…」

女「だからなんでそこでそうだねって言わないのよあなたは!」

男「俺が相手の立場に立ったとして、俺の事を見たらまぁ、行動は起こさないけどムカつくかもとは思うから、かな?」

女「そんな悠長な事言っちゃだめよ!だから襲われるんじゃない!」

男「厳しい事をおっしゃる」

女「……心配したんだから……ほんとよ?」

男「ま、女が守れたから。俺はそれでいいよ」

女「……」

男「それで満足」

493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 21:00:41.00 ID:A9GaRN1w0 [50/64]
女「……さっき、田中に言ってたわね」

男「ん?」

女「俺が女をここに誘ったのが悪かった、みたいな事」

男「ああ」

女「田中も言ってたけど、私はそんな考え方をしてほしくない!私は来たくて此処に来たの」

男「でも、俺の村の事を先に知ってたら?それでも来たいと思った?」

女「思った!まだ分からないの?」

男「え?」

女「私は……わ、私…は……」

男「女?」

女「あなたがいたから、来たいと思った。それだけなんだもん」

男「それ……」

女「会って数日で、こんな感情を抱くなんて、自分でも変だと思う。……でも……だって」

男「……」

女「しょうがないじゃない……好きになっちゃったんだから。しょうがないじゃない……もう!言わせないでよ!」


516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 21:47:16.28 ID:A9GaRN1w0 [51/64]
男「好きって……え?」

女「そ、そうよ。好きなの」

男「俺…が?」

女「男以外に誰がいるのよ……」

男「でも、俺……あの」

女「男は私の事、嫌い?」

男「嫌いじゃないよ。勿論」

女「わ、私は……あなたの事が、好きです」

男「……」

女「もう、自覚しちゃった」

男「……」

女「男が、もし……私の事が好きじゃないって言っても……私があなたの事が好きっていうのは変わらないわ」

男「……」

女「なにか言ってよ!」

男「俺だってそれは……でも、女はフランスの貴族様の娘なんじゃなかったっけ?
  俺自身は、只の日本人だよ?」

517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 21:51:52.83 ID:A9GaRN1w0 [52/64]
女「そんなの関係ない!」

男「!」

ギュッ

女「さっき、あなたのお父さんが言ってたじゃない。掟とかに縛られて人生の選択肢を摘むのは考えられないって」

男「……」

女「似た様な事だと思う。私が貴族の娘だからってなに?あなたが普通の只の日本人だからってなに?」

男「女……」

女「私は、あなたが好き。あなたの人間性が好き、あなたの性格が好きなの。あなたの家族の方もみんな素晴らしいと思うわ」

男「……」

女「それ以外に、何か問題はあるの?」

男「俺は……」

女「あなたの気持ちだけが大事なの……私の事をどう思ってくれるか……それだけが私は、知りたい」

男「……正直に言っていい?」

女「え、ええ」

男「正直、分からない」

519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 21:56:14.70 ID:A9GaRN1w0 [53/64]
女「……」

男「俺は、その……女の事は好きだ」

女「うん」

男「でも、愛してるかどうかって言われたら。分からない」

女「つまり、愛してないって事?好きじゃない?」

男「それが違うって事は、分かってくれると信じてる」

女「……ごめん」

男「俺こそごめん。その、はっきり答えられなくて」

女「……」

男「でも、これだけは言えるよ」

女「なに?」

男「俺は、女の事が異性として、一番大事な存在になってる」

女「!」

男「だけど、俺はまだその……未熟な奴だから……はっきり自分の気持ちが説明できない。
  でも、大事なんだ……君が大事だ」

520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:00:21.70 ID:A9GaRN1w0 [54/64]
女「……」

男「君の事をかわいいと思うし、綺麗だと思うし、内面だって、とても優しい人だ思う。
  俺なんかの事を好きって言ってくれて、それもすごくうれしい」

女「……」

男「だからこそ、その……大事だから。簡単にはい俺も好きですって言うのは違うって言うか……
  もっと、俺の中でのまとまりがついたら……言いたいって思った……というか」

女「…分かった」

男「うん……え?ちょ!女?」

女「なに?」

男「な、なんで泣いてるの?や、やっぱり俺の言ったこと何か傷つけちゃった?」

女「違う」

男「……」

女「男が、私の事を大切に思ってくれてるってのが……分かったから。嬉しいから……その」

男「そう、か」

女「うん、ありがとう男……好きよ」

男「……うん」


522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:04:21.12 ID:A9GaRN1w0 [55/64]
翌日

男「じゃあ、戻るから」

母「体には気をつけてね?」

父「また冬にでも帰ってこい。な?」

男「分かった。父さん、母さん。ありがとう」

父「いいから」 母「私は男が息子でよかったと思うわ、ほんとよ?」

男「はは、ありがとう」

田中(……素晴らしいご家族ですね)

女(ええ、ホントに)

父「田中さんと女さんも、またこんな所で宜しければ、いつでもいらしてください」

田中「はい」

女「是非、また来ます。絶対に」

男「……」

女「ふふっ」

田中「そういえば……弟くんは?」

524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:07:21.80 ID:A9GaRN1w0 [56/64]
男「あれ?さっきまでそこにいたんだけど……弟ー?もう俺達戻るから出てこいー」

父「どこ行ったんだあいつ」

母「弟ー?」

田中「ふむ」



弟の部屋

弟「……」

ガチャッ

田中「おい」

弟「……なんだよ」

田中「私たちは帰るぞ。お見送りしてくれないのか?」

弟「ふん……勝手に帰ればいいだろたなかは」

田中「つれないなぁ」

弟「う、うるさい!ほっといてくれよ!」

田中「そういう訳にもいかない……さてと」

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:09:59.08 ID:A9GaRN1w0 [57/64]
弟「わぁ!何するんだ!」

田中「泣いてるのな」

弟「うるさいー!」

田中「たなかがいなくなるから寂しいのか?」

弟「ちがうー!」

田中「よしよし」

弟「ちがうったら……ぅー」

田中「お前は本当に最初から最後まで可愛いな坊主」

弟「子供扱いするな!」

田中「じゃあ大人扱いすればいいのか?」

弟「え?」

チュッ

田中(じゃあね、素敵な小さなジェントルマンくん?)

バタンッ

弟「…………へ?」

526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:12:55.31 ID:A9GaRN1w0 [58/64]
男「あ、田中さん」

田中「弟くんはお部屋で眠っていますね」

女「それじゃあ無理に起こすのも悪い、かな?」

男「いやいや、別れのあいさつの時ぐらいちゃんとしないと」

ガシッ

男「え?」

田中「問題ないです」

男「はい?」

田中「もうあいさつは済ませてきたという事です」

父「ふむ、まぁそれじゃあ……そろそろ行くか?電車の時間が」

母「本当にこんな田舎まで来てくださってありがとうございました」

女「いいえ、本当に素敵な所でした。また来ます。それでは」

男「じゃあな母さん。冬にはまた会えるから」




527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:15:34.69 ID:A9GaRN1w0 [59/64]


父「じゃあ、私はこれで」

田中「ありがとうございました。……また、近いうちにお会いするかもしれませんが」ボソッ

父「え?」

女「本当にお世話になりました」

父「あ、ああ」

男「んじゃ帰るわ。ありがとうな父さん、いろいろ」

父「私はなにもしてない。また向こうで頑張ってこい男。じゃあな」




父「……また近いうちに?……どういう事だ?」


530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:20:32.10 ID:A9GaRN1w0 [60/64]
男「ふー……やっと着いた」

女「男……」

男「ありがとう、ここまで送ってくれて」

女「ねぇ、聞いていい?」

男「……田中さんがいない所なら」

田中「! ふふっ……下の車でお待ちしています」

女「分かった」


男「何?」

女「私、明後日フランスへ帰るの」

男「……そう」

女「で、そこで私はある決断をしようと思ってる」

男「え?」

女「自分勝手で、この決断が成功に終わるのか失敗に終わるのかは……分からないけれど。
  やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいいし。それに……」

男「え?」

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:23:00.52 ID:A9GaRN1w0 [61/64]
チュッ

男「!?」

女「……」

男「女……?」

女「絶対に、成功させてみせるって誓ったから。私……」

男「……」

女「また、会いましょう?男……大好きよ」

男「……」

女「じゃあね。ふふっ」



ガチャッ

にゃーにゃー

男「……」

にゃーにゃー

にゃーにゃー
男「………………どういう…事……だよ」

532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:27:48.01 ID:A9GaRN1w0 [62/64]
3ヶ月後


大家「男くん?」

男「はーい!」

大家「今日からお隣さんが入るからねー。ゴミ出しの日とか教えてあげてね?」

男「あ、はい了解しましたー」

大家「もうすぐ来るはずだから家にいてねー」

男「はいはいー」

にゃーにゃー

男「どしたタマ。まーたツナ缶か?」

にゃー



533 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/29(日) 22:28:50.48 ID:A9GaRN1w0 [63/64]
男「ねぇよ。ほら」

にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー

男「まぁ待て。今日はお隣さんが来るからその人にゴミ出しの日とかを教えた後だ。ツナ缶買いに行くのは」

なー   にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃーーーーーー!!!

男「うお!こ、こいつ……あーーー!!分かった分かった!そこのコンビニ行って買ってやるよ!!(高い出費だぁぁ…)」

にゃうん!!!なーなー!!

男「現金な奴め……待ってろよったく」


ガチャッ


ポトッ


男「あ………」




男「……財布、拾ったんだけど」


女「それ、私の。ふふっ」



おまけ?

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 22:53:46.42 ID:chJVpDpyQ [4/5]
もしこれで終わりなら明日秋葉原でマッパになってVIPからきますたー!て叫びながら突っ走る

542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 22:54:25.81 ID:KWF0GHP/0 [4/5]
>>541
付き合うぜ


543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 22:55:16.91 ID:A9GaRN1w0 [64/64]
>>541-542
応援してる

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