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律「…イリス」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:16:58.72 ID:pEXLzDfc0 [2/67]
― 8月24日 沖ノ鳥島近海 深海調査研究船「かいれい」

クルーA「光量不足だ…カメラ感度を…」

無人潜航艇のカメラモニターには異様な物体が浮かび上がった。

クルーA「ガメラ!?」

クルーB「骨だ…」

チーフ「まさか…」

クルーB「ここは…」

クルーA「ガメラの墓場…」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:17:58.28 ID:pEXLzDfc0
― ???


『―番組の途中ですが、今入りましたニュースをお伝えします。先程博多港に大型の生物が出現しました。現在自衛隊が出動しています。繰り返します』

『―現在生物は瀬戸内海に潜伏しているとの見方が強まり、付近を航行中の船舶に厳重な注意を呼びかけています―』

『―なお、政府の通達に従い、海の生物をガメラ、鳥型の生物をギャオスと、呼称します。繰り返します―』

『―夕方から朝にかけては、決して外に出ないようにしてください。とりわけ広い道路ではギャオスに襲われやすく、厳重な注意が必要です』

『―政府は今朝7時をもってギャオスとの総力戦に臨むことをを決定しました。

 この作戦は同時かつ多重的な攻撃によりギャオスを圧倒することが骨子とされています―』

『これに伴って、作戦行動の中心となる港区周辺では戦場と化すことも予想され―』



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 22:18:29.75 ID:pEXLzDfc0
『―隕石の1つは日本北部の北海道、札幌市、南約50キロの山間部に落下しました。樹木が燃える被害の他死傷者はいない模様です―』

『―札幌市営地下鉄の南北線は現在、全線運転を中止しています。構内で危険物が発見されたためということですが、まだ詳しい情報は―』

『―札幌を飛び立ったガメラは石狩湾に墜落し、異生物の夥しい死骸が海岸に打ち上げられました。ここ石狩市厚田区の望来浜では―』

『―共生する大勢の者達、レギオンと仮称される生物は、ガメラの出現によって根絶されたと見解が出されていますが、その一方で飛翔し―』

『―突然姿を現した植物体を中心に半径6キロの地区には避難命令が、半径10キロの地区には避難指示が出されています。該当地域には―』

『―この度のレギオンの侵攻は我が国の基本的生存権の重大な危機と受け止め、

また、憲法九条の下において許容されている自衛権を発するにあたっての要件、すなわち我が国に対する急迫不正の侵害であること―』

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 22:19:38.48 ID:pEXLzDfc0
― 9月15日 4時02分 桜ヶ丘 平沢家

憂「…お姉ちゃん!」

9月の空が白む中、憂は悪夢にうなされて目覚めた。

ギャオスの悪夢。レギオンの襲来。

二度の怪獣襲撃に際してガメラと「交信」できる唯が果たした役割は大きかった。

しかしレギオン戦の最中、唯の勾玉は砕け散り、唯はガメラと交信する術を喪ったものの、憂の中には漠然とした不安は残り続けた。

憂「…さ。今日も頑張ろう。」

憂は不安を振り払うように大きく深呼吸して立ち上がった。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:21:29.79 ID:pEXLzDfc0
― 同 8時05分 同 田井中家

律「あー、眠いー」

聡「姉ちゃん遅刻するぞ」

律「うっさい!」

聡「じゃあ、いってきます」

律「はいはい。いってらっしゃい」

まだ準備をしている律を尻目に聡は元気よく家を出て行った。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:23:05.13 ID:pEXLzDfc0
― 同日 10時59分 東京都中央区 八洲火災海上損害保険

社員「専務より承っております。私、生瀬と申します」

恵「曽我部恵です」

社員「わが社が所有する勾玉状の物体についてご質問があると」

恵「拝見できます?」


― 同 資料室


社員は金属のキャビネットからひとつの木箱を取り出した。

恵「これが…」

社員「ご覧の通り、先のレギオン戦の際に全部自壊しまして、発見当時の原型は残ってません」

仕切られた箱の中には砕け散った勾玉が並んでいた。

恵「…これと同じ物がいくつか流出したと」

社員「ええ。合同調査でしたし、環礁自体も最終的に処分しましたからいくらでも…」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:23:48.91 ID:pEXLzDfc0
恵「平沢唯さんはご存知ですか?」

社員「ええ、同じ物を持っていらっしゃったとかで…琴吹家の方を通じて彼女も一度いらっしゃったことが」


社員「…でも今になって、なぜこんな?」

恵「天地否、それ滅びなん」

社員「はっ?」

恵「天と地とが背きあう、亡びるかも知れぬ」

社員「え?はぁ?」

恵「平穏に見えて危機はすぐ目の前にある。五経のひとつ『易経』にある言葉です」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:25:01.60 ID:pEXLzDfc0
― 同日 13時16分 桜が丘女子高等学校 3の2教室


風子「あ、これこれ。桜が丘最古の神社って」

ぎっしり書き込まれたフィールドノートと挟まっていた写真を机に並べる。

澪「そういうのはオカ研に任せておけよ…」

和「随分古そうな神社ね」

澪「何だこの神社?」

結局澪もそれを覗き込んだ。

風子「柳星神社、柳星張が寝てるっていう言い伝えがあるの」

和「柳星張?」

風子「去年の学園祭の郷土研究会の出し物で調べて覚えてたんだ」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:26:07.05 ID:pEXLzDfc0
和「へえ」

風子「これ、東町にあるんだよ」

澪「うん」

風子「ところが柳星張って名前は…大きな災いを意味しているの。蘇ったらこの世が滅ぶようなものを封印してて―」

澪「わ、災い!?」

風子「うん。石が祀られてるんだけど、その石が動くとき、この世は滅ぶって」

澪「…」

風子「江戸時代になって力自慢の相撲取りがこの石を動かそうと挑戦したけどやっぱり動かない」

和「当然石が動いたら滅ぶ時ってことね」

澪「…」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:26:47.33 ID:pEXLzDfc0
風子「ええ…澪ちゃん聞いてないよ…」

和「まだあんまり怖いところじゃないわよ…それで柳星張ってどんな意味なの?」

風子「あ、それで、柳星張の意味なんだけど…」

フィールドノートをめくった。

風子「まず、月は28日で天球を一周するので昔の中国や日本では28宿って分けられていたの。

で、その中の南方三宿、西洋の星座だとうみへび座になるものが柳星張。

柳は頭、星は赤い南斗、南の守護神、張は羽根を広げた姿を意味してるみたい。

守護神は東に青龍、西に白虎、北に玄武、南は朱雀、鳳凰と言われてるので、柳星張は朱雀になる、ってことみたいだよ」

和「じゃあ、朱雀を封印してるってこと?」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:28:02.31 ID:pEXLzDfc0
風子「そうそう。確か、南北は対立の関係とされてるんだって」

和「じゃあ、朱雀は南から来る敵への備えってことかしら」

和がそう言うとチャイムが鳴った。

和「ん…」

風子「あ…」

澪「…」


澪「…」

律「おい澪?」

律が気づくまで澪は固まったままであった。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:28:56.47 ID:pEXLzDfc0
― 同日 同時刻 東京都府中市 航空総隊司令部 作戦指揮所

パイロット「トレボー。アンノウンとの速力差大。捕捉不可能」

要撃管制官「ラジャー。ワイバーン、次の指示があるまで現状を維持せよ」


― 同日 16時30分 東京都千代田区霞が関 中央合同庁舎5号館 会議室

環境省審議官「どうも。長峰さん。お久しぶりです。

この場は一応ガメラに限らず、様々な巨大生物への対策を考える場として設けました。

何故立て続けに日本が怪獣に襲われるのか、抜本的解決策は存在するのか、と。

あれ以来…省内で私はこれの専門家扱いされてまして」

鳥類学者「…お久しぶりです。斎藤審議官。ところであの人は…?」

審議官「あの人ですか…曽我部恵…国交省のガメラ対策室のオブザーバと聞きました。

なんでも日本の根っこのポジションにいる人だとか…。

審議会への参加もかなり上の方からねじ込まれました。うむ。好奇心を持たない方が身のためだ」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:29:58.92 ID:pEXLzDfc0
恵「…」

恵は配られたレジュメに目を通していてこちらには気付いていない。

鳥類学者「…」





恵「既存の概念は通用しない今、ガメラと交信した少女という話ももう一度見直すべきではないでしょうか」

文化人類学者「マナ、と呼ばれる太平洋島嶼地域のアジア先住民が持っている古代のエネルギー概念、この―」

防衛省一佐「防衛省技本では巨大生物対策研究室を設置、新型装備の開発への予算分配を変更し」

警察庁局長「福岡、札幌と政令指定都市で相次いで発生したケースも踏まえて巨大生物出現時の一次対応を」

会議は淡々と進められていった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:30:42.61 ID:pEXLzDfc0
― 同日 23時30分 桜が丘 真鍋家


『イギリス国内で初のギャオスが確認されました。ギャオスが確認されたのは南部の―』

『次のニュースです。政府は今日、巨大生物被害対策審議会を開き、先月沖ノ鳥島沖海底で発見されたガメラと思われる大量の―』

テレビには審議会の会場が映し出されている。

その中には見覚えのあるひとりの女性の姿があった。

和「あれ?」

僅か一瞬映り込み、すぐにフレームアウトした参加者。

しかしその姿は和にとって明らかに見知った誰かであった。和が考え込んでいるうちにニュースは次の内容に移った。

『続いてのニュースです。航空自衛隊のスクランブル発進の回数が今月に入ってから78回と極めて異常なペース―』

和「曽我部先輩…」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:31:50.67 ID:pEXLzDfc0
和は呟いた。

(恵「唯ちゃん…ガメラと交信できるんですって?聞いちゃったわよ―」)

レギオンが仙台を襲撃した際の恵の言葉が脳裏をよぎる。

そういえば何故曽我部先輩は唯のことを?

機密事項にされたはずのことを何故?

和は携帯電話を取ると、紬にメールを打ち始めた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:32:24.51 ID:pEXLzDfc0
― 9月16日 8時59分 桜が丘女子高等学校 3の2教室


紬「和ちゃん…」

和「曽我部先輩が審議会にいようがいまいが、構わないけど…唯は…」

紬「とにかく今調べてもらってるからもう少し待ってて」

和「巻き込んじゃってごめんね」

紬「あ、返事来たわよ」

和「どう?」

携帯電話を見つめる紬を和は覗き込んだ。

紬「調べてもらったらやっぱり…曽我部先輩…政治関係に関わってるみたいよ…」

和「まさか…?」

紬「間違いないわ…それに和ちゃん見たんでしょ?」



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:33:23.89 ID:pEXLzDfc0
― 同日 15時45分 桜が丘女子高等学校 廊下


恵「あら、唯ちゃん」

唯「あっ!曽我部先輩!お久しぶりです!」

恵「元気?」

唯「はい!とっても」

鼻息荒く唯は答えた。

恵「近々また改めて会う事になると思うからよろしくね~」

恵はそれを見て微笑むと去っていった。

唯「はい!」


和「唯!今曽我部先輩いた!?」

唯「うん!いたよ~」

和「!?」

和(やっぱり唯のことを知ってる…)


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:35:13.63 ID:pEXLzDfc0
― 同日 16時42分 桜が丘女子高等学校 音楽準備室

律「おうじゃあ、私が死にかけたら助けてくれよ」

澪「律こそ私が死にかけたら助けてくれるのか」

律「たはっ!もちろんこの田井中律、地の果てまでも澪姫を助けに参ります!」

澪「ハハハ」

律「なぁ、澪…」

澪「ん?どした?」

律「いや…大切な人を失うって恐ろしい事だよな…」

澪「なんだよ急に」

律「いや…なんか…」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:35:59.88 ID:pEXLzDfc0

― 同日 16時59分 同 東中学校

聡「ねーちゃんに誕生日プレゼント買ってやろうと思ってさ」

友「お、姉ちゃん誕生日か?」

聡「…先月の21日」

友「え?お前まさか…」

聡「忘れてた…」

友「なら明日渋谷行く時買っちゃおうぜ」

聡「あっ!それいいな!姉ちゃんもさすがに納得だろ」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:36:42.31 ID:pEXLzDfc0
― 同日 21時47分 桜が丘中央 コンビニ


姫子「いらっしゃいませこんばんはー」

純「これ下さい」

姫子「お会計20円になります」

(また2時間も立ち読みしてチロルチョコ…ジャズの2年だろお前…)

純「あ、レシートいらないです」

(絶対コイツ唯先輩のクラスにいる女だ…無断バイトかよこの茶髪…)

姫子「ありがとうございましたー」

(早く帰れ帰れ!)

純「どうもー」

(早く辞めろ辞めろ!)


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:37:20.65 ID:pEXLzDfc0
― 9月17日 18時59分 東京都渋谷区 代々木公園


ホームレスA「さこやん!愚痴やら身の上話やら聞きたくねぇぞ」

ホームレスO「貴様なんかに話せるか!」

酔っ払ったホームレス二人がベンチでクダを巻いていると火球と化したギャオスが上空を通過する。

ホームレスの片手にあったワンカップは滑り落ち、地面で砕け散った。

ホームレスA「あっ、もってぇねぇ」

ホームレスO「あ、あれはギャ…ギャオ…アレがこの上におるっちゅうことは…」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:38:37.37 ID:pEXLzDfc0
― 同 同時刻 東京都渋谷区 渋谷駅前


聡「我ながらいいセンスだと思う。うん」

友「お姉ちゃん喜ぶぜきっと。中学生でこんな高い物を…って」

聡「よし。早く帰ろうぜ」

聡と友人は渋谷駅の入口に向かって広場を歩いていた。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:39:15.12 ID:pEXLzDfc0
JKλ「おー花火?あれ、違うな?」

JKω「何あれ?」

ガキ「ママ、花火」

JKα「ねぇ、なんか落ちてくるよ」

JKσ「でっかくね?」

DQN1「あれ、ギャオスじゃね?」

DQN2「やべぇ!落ちてくるよパネェ」

その騒ぎに気づいた二人も空を見上げる。

聡「なんだ…あれ…?」

友「まさか…」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:40:15.79 ID:pEXLzDfc0
衆目の中、猛火に包まれたギャオスがそのまま渋谷駅へ落下した。

JR渋谷駅ホーム上屋は一瞬で押し潰されて落下し、停車中だった山手線の電車が上下線揃って成すすべもなくその下敷きになる。


更に駅の外では降下して来たガメラの回転ジェットの風圧に巻き込まれ、地下鉄銀座線の電車が急停車する。

そしてバス乗り場に並んだバスやタクシー、右往左往するその乗客達を踏み潰し、ガメラが降り立った。

振動で周囲のガラスは砕け散り、圧死を逃れた人々に上から襲いかかる。


真っ白い粉塵が晴れると、ガメラの姿が現れる。

咆哮を上げてその巨体を起こすと、様子を伺っていた野次馬も一斉に蜘蛛の子を散らすかのように走りだす。

そして渋谷駅の瓦礫の中ではギャオスが断末魔の声を上げていた。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:41:52.94 ID:pEXLzDfc0
リア充ア「逃げろ!」

リア充イ「うわああああああああああああ」

リア充ウ「ガメラだああああ!」

JK「たすけてー」

DQN「やべえええええええええええええ」

クラクションや怒号が響き渡る中、ガメラは辺りを踏み潰しつつギャオスに歩み寄る。

ギャオスは火球の直撃とガメラの攻撃により、目は飛び出し、羽は折れ、血を流していた。

ガメラはそれを睥睨すると、全く躊躇いなくプラズマ火球を発射した。

その火球は凄まじい火炎旋風を巻き起こし、ハチ公と渋谷駅にいた人々を一瞬にして飲み込んでいく。

その地獄が迫る先には聡とその友人の姿もあった。

二人も逃げる雑踏に混じって走りだす。



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:42:50.74 ID:pEXLzDfc0
聡「逃げよう!」

友「うわぁ!」

聡は転んだ友人をかばって覆いかぶさったものの、聡の抵抗はほんの少しだけ友人を死から遠ざけただけであった。

次の瞬間には聡もろともその友人すら焔の中へ消え去った。


ガメラが勝どきをあげようとしたところで更に二体目のギャオスがガメラに襲い掛かる。

ガメラの移動と共にその破壊の舞台も渋谷センター街に移る。

身動きがとれないほどの雑踏の頭上でギャオスの超音波メスは建ち並ぶビルを切り裂き、ガメラの火球はセンター街を焼き払う。

そして二発目のガメラの火球は口元と同じ高さのビルを巻き添えに二体目のギャオスも撃破し、その巨体を空中で四散させた。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:43:35.08 ID:pEXLzDfc0
そのギャオスの肉塊は炎の塊となって一帯に降り注ぎ、ようやく安堵しかけた人々を更に押しつぶした。

ガメラが去り、焔に包まれた阿鼻叫喚と化した渋谷センター街。その片隅。

ガキ「ガメラが助けてくれたよ!」

― 実際には渋谷にいた人々でガメラの恩恵に預かったのはほんの僅かであった。

ガメラとギャオスの戦いは僅か2時間で聡を始めとした2万人の人生を大きく書き換え、その多くは儚く潰えていった。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:44:57.82 ID:pEXLzDfc0
― 同 21時19分 桜が丘 平沢家

憂「お姉ちゃん!テレビ!テレビ!」

唯「うーいーなぁーにー」

床に寝そべっていた唯はテレビの方に転がって向きを変えた。

テレビ『渋谷現場より繰り返しお伝えします。週末金曜日の夜、街が賑わう時間帯に惨劇が起きました。

まだ公式な発表はありませんが、目撃証言などから代々木公園に落下した巨大生物はギャオス。

渋谷周辺に多大な被害を与えたのはガメラであるという見方が強まっています』

唯「ギャオスにガメラ!?」

唯は思わず起き上がった。

『渋谷から飛び立ったガメラと思われる生物の映像です―』

憂「ガメラ…また…」

憂は沸き上がってくる不吉な予感を感じた。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:46:03.78 ID:pEXLzDfc0
― 9月18日 8時55分 桜が丘女子高等学校 3の2

ワンセグ『この突然の災害による死傷者数は一説に一万五千人とも二万とも言われ、正確にはどれほどの数になるのかまだ全くわかりません。

消防、自衛隊による必死の救出活動が続く中、被害に遭った肉親や友人を探す人々や―』


律「聡が昨日渋谷に行ってたんだ…」

澪「え?」

唯「聡君が!?」


『――私鉄、JR各線でも線路の破断等から帰宅難民状態が続き――主要幹線道路――も麻痺

――携帯電話各社も基地局に大きな被害を受け、通信回線が輻輳状態となっているため――171、災害伝言ダイヤルの――』

律「まだ帰って来てない…」

紬「繋がりにくいみたいだから…」

唯「…」


『――首相官邸前です。古澤官房長官は緊急記者会見を行い、菅原首相は本日中に現場を視察する意向を明らかにしました―』

重苦しい空気は徐々に広がっていった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:47:18.71 ID:pEXLzDfc0
― 10時40分

2時間目の授業が終わった休み時間、さわちゃんが現れると、律を廊下へ連れだした。

さわ子「たいなかさーん、ちょっと…」

廊下でボソボソとした二人の声が聞こえる。

「え?またまたぁ」という律の声だけがはっきりと聞こえた。

そして戻ってきた律の表情はこわばっていた。

律「さわちゃん…何言ってんだよ…何言ってんだ…」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:47:58.96 ID:pEXLzDfc0
澪「ん?どした」

澪は意図的に軽い調子で聞いた。

律「まさか…そんな…間違い…」

律はボソボソと呟いている。

澪「律?」

唯「りっちゃん?」

紬「りっちゃん…」

律「帰る…」

出際に振り返った律の顔は蒼白だった。

澪「…」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:49:30.41 ID:pEXLzDfc0
―9月19日 8時55分 桜が丘 平沢家

テレビ『今日未明、沖ノ鳥島付近を哨戒中の海上自衛隊がガメラを捕捉、これを攻撃しました。

現時点でこの攻撃がガメラに与えた効果はわかっていません。その後ガメラは航空機、護衛艦の追跡を振りきり公海上へ逃走しました』

テレビには護衛艦が速射砲を連射する資料映像が映し出されていた。

唯「…」

テレビ『ロイヤルエアーシステム、シンガポール発ベルリン行きのエアバス機がエジプト上空で消息を絶ちました。

直前に機長から巨大な鳥が接近という交信があったことから、ギャオスの―』

憂「また…ギャオス…?」

いつの間にか背後には憂が立っていた。

唯「…そうだね」

憂「お姉ちゃんもう行かないでね…」

唯「あはは。もう私ガメラと話せないから大丈夫だよ…憂…」

唯は憂を強く抱きよせた。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:51:11.02 ID:pEXLzDfc0
― 9月20日 8時32分 桜が丘女子高等学校 3の2


月曜日、律は当然ながら学校を欠席した。

さわ子「田井中さんは忌引で欠席です。弟さんが亡くなられました」

さわちゃんが沈痛な面持ちでHRを始める

唯「りっちゃん…」

澪「律…」


― 13時16分


廊下の片隅で唯は泣きじゃくっていた。

唯「ガメラが…ガメラが聡君を…」

和「唯。あなたのせいじゃないの。あなたはもうガメラと関係ない」

唯「でも…でも…」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:52:20.90 ID:pEXLzDfc0
― 9月23日 8時55分 桜ヶ丘 桜が丘女子高等学校 3の2


聡の葬儀が終わった次の日、揃った面々は暗く沈んでいた。

紬「律ちゃんやっぱりお休みね…」

唯「りっちゃん…」

和「弟を亡くしたらそうそう…」

澪「私は何もしてやれないのか…」

律「あのー」

唯「…」

紬「大切な誰かを失う…そんな事…」

澪「律…私はなんもしてやれない…」

律「あの…おはようございます…」

唯澪紬和「「「「!?」」」」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:52:59.42 ID:pEXLzDfc0
澪「律!休むんじゃなかったのか!?」

唯「り、りっちゃん…」

紬「無理しないほうがいいわよ!?」

和「こういう時はゆっくりしないと」


律「あー、いや…一応葬儀も済んだし…あ、ごめんな。葬式はみんなもわざわざ休んで貰っちゃってな」


唯「…りっちゃあああん」

律「なんだよ唯!?」


一見律はいつもと変わらないような調子で振舞っていた。

しかし、学校が終わると同時に律は姿を消した。


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:54:05.80 ID:pEXLzDfc0
― 同 18時10分 桜ヶ丘東町 柳星神社


律「はぁ…」

気づくと律は郊外にある神社にいた。

古びた鳥居の額束には「柳星張」と刻まれている。

律「なんだここ…」

そのままかび臭い祠の上がり段に腰掛ける。

考えてはいけないとは思いつつも聡のことを考えてしまう。

律は耐えられなくなり頭を抱え込んだ。

ガメラのせいで…ガメラさえいなければ…。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:55:27.88 ID:pEXLzDfc0

「違う…ギャオスもいたんだ…仕方ないんだ…仕方ない…唯だってもう関係ないし悪くない…」

それを言い聞かせるように何度も口に出す。

更にあれ以来唯を責めたくなる気持ちが心の何処かに潜んでいるのは感じていた。

唯なら止めれたのではという思いが払拭できない。

それを誤魔化すように空を見上げると、空はもう暗くなってきていた。

律「…帰ろう」

一度は立ち上がった律だったが何かが気になり、祠の木の扉に手をかけた。

鍵はかかっておらず、渋い扉は開いた。


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:56:44.84 ID:pEXLzDfc0
中には卵形のゴツゴツした岩が奉られている。

近づいていこうとすると何かに躓いた。

亀の甲羅を象ったような石だった。

それをどかして奥の方へ進む。

「…」

そして何を思ったか祭ってある石を律は持ち上げた。

「うっ重い!…ちくしょう!」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:57:32.32 ID:pEXLzDfc0
律はそれをそのまま外に放り、踏み石に叩き付けた。

石にはバキバキと音を立てひびが入る。

取り上げて確認しようとすると、ますますひびは広がった。

「や…やばい!」

ようやく冷静になった律は自分の行為の重大さに気づき、

慌ててそれを放り出すと逃げ出した。

そんな律が石の裏側に彫られた朱雀の絵に律が気づくことはなかった。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:58:15.51 ID:pEXLzDfc0
― 同 23時47分 田井中家


テレビ『――内閣はガメラ掃討のため自衛隊の出動を決定しました』

『ガメラ掃討決定についてどう思われますか?』

『前回のギャオスの事件もありますけど…やはり脅威なのでは?』

『日本の敵は日本が始末するべき、当然ニダ!』

『ガメラですか?以前福岡に住んでたんですけどあの被害はひどくて…』

数人のインタビュー映像の後、画面には再び渋谷の炎を背に飛び立つガメラの映像が映し出された。

律「コイツ…」


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:59:00.14 ID:pEXLzDfc0
― 同 23時47分 平沢家

『一連のガメラ関連の損失は既に2兆4千万円という民間シンクタンクの試算が発表されました―』

唯「私が…私がガメラと…ガメラと交信できれば…こんなことにならなかったんだ…」

唯はソファーで膝を抱え込んでいた。

憂「お、お姉ちゃん?」


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:59:39.90 ID:pEXLzDfc0
― 9月24日 16時59分 桜ヶ丘東町 柳星神社

律「…」

学校が終わってからすぐに律は再びあの神社に来ていた。

自分が叩き付けた石への良心の呵責もあったが、それ以上に何かが律にとって引っかかった。

律は祠を覗き込んだ。

???「キュウ!」

律「う、うわぁ」

律はそのまま尻餅をついた。

祠の中に奇妙な生物がいた。

背中には渦巻き型の殻のようなものがあるが、足のようなものが数本見える。

律「…びっくりした…なんだこいつ?」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:00:31.72 ID:pEXLzDfc0
律「…びっくりした…なんだこいつ?」

かたつむりとも違う奇妙な生物は律の方におずおずと近づいてくる。

黄色い頭部につぶらな目、そしておずおずとした仕草は律の心を掴んだ。

律「は、は…お前可愛いじゃん」

律が近づこうとしたところ、生物は突然触手で触れてくる。

何かが目の前にフラッシュバックする。

ガメラだ。イリスはガメラを憎んでいる―、そう律は感じ取った。

律「お前も…ガメラに…?」

???「キュウ?」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:01:13.00 ID:pEXLzDfc0

生物は触れていた白くぬめぬめとした触手をそっと離し、別の方を指す。

その先を追っていくと黒く尖った勾玉が落ちている。

律「これ…勾玉か…?」


律「くれるのか?」

???「キュウウ」

生物は頷くように首を動かして擦り寄ってくる。

律「お前…」


???「キュ」

律「…ちょっとぬめぬめするけどかわいいなぁ!」

律は思わず生物を抱きしめていた。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:03:04.54 ID:pEXLzDfc0
― 9月25日 15時55分 桜ヶ丘 桜が丘女子高等学校 3の2


澪「アイリスだな」

和「ギリシア神話の虹の女神」

風子「そうそう。正解。アイリス。イリスって言う場合もあるよね」

澪「なんか綺麗な響きだよな」

風子「本当よねー」

少し離れたところで三人の会話を耳に挟んだ律。

律にとっては会話の内容よりも「イリス」という単語が重要であった。

律「イリス…いい響きだな…」

律「そうだ…あいつの名前をイリスにしよう!」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:04:28.02 ID:pEXLzDfc0
―15時55分 廊下


唯「あっ、りっちゃん帰るの?」

律「おう!」

和「気をつけてね」

律「じゃあ!」

そのまま律は朗らかに走り去った。

和「空元気かしら…」

唯「りっちゃん無理しなくてもいいのに…」


―16時09分 音楽室


澪「あれ?律帰ったのか…」

梓「はい。ちょっと部室に顔出してくれましたけど…」

梓がトンちゃんに餌をやりながら答えた。

澪「そうか…」


103 名前:>>97 そうです。春のに必死ですごめんなさい[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:06:11.46 ID:pEXLzDfc0
― 同 22時32分 桜ヶ丘東町

さわ子は夕方からの出張の帰り道、郊外にある隣町からの抜け道を走っていた。

東町の柳星神社を通る街灯もまばらな夜道、ヘッドライトに人影が照らされた。


さわ子「あれ?りっちゃん?」

さわ子は歩道を歩く人影を車で追い抜きながら、ミラーで確認する。

「えっ!ちょっとこんなところで何やってるのよー!」

間違いないことを確認するとさわ子は車を停めて律を取り押さえに向かう。


律「うわ!さわちゃん!?」

さわ子「待ちなさい!こんなトコで何してんの!」

律「散歩です!ただの散歩です!」

さわ子「こんな山奥まで散歩に来るわけないでしょ普通!こんな時間に!待ちなさい!」

律「あああああああ!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:06:27.12 ID:HYagjoGM0 [3/4]
ちょっとまてトンちゃんって

109 名前:>>106 亀滅亡設定嫌いなんだ。ごめん[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:08:11.66 ID:pEXLzDfc0
― 9月26日 13時09分 桜ヶ丘 桜が丘女子高等学校 職員室

さわ子「何してたの?」

律「いや…何も…さわちゃ…さわ子先生も大げさだな…」

さわ子「あんなところにいるのって尋常じゃないわよ。まして言っちゃ悪いけどあなたは肉親を亡くしたばかりだし」

律「いや…ホント、ほら、日本史の課題で」

さわ子「あなた部活にも出なかったでしょ」

律「…」

澪「失礼します」

律が完全に形勢不利となったところに澪が入ってきた。

律「あ、澪」

さわ子「あら?どうしたの?」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:09:21.02 ID:pEXLzDfc0
澪「あの、律が何か…?」

さわ子「何でもないわよー。大丈夫大丈夫」

律「あの、行っていいでしょうかさわ子先生」

さわ子「…仕方ないわね。と、に、か、く!何かあったらひとりで抱え込まないでね!わかった!?」

律「はい!さわ子先生!」


澪「?」


― 同 廊下


澪「律…なんかあったのか?」

律「あ、ああ…そうだ!澪に見せたいものがあるんだ!」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:10:33.93 ID:pEXLzDfc0
― 同 18時59分 桜ヶ丘東町 柳星神社

澪「り、律…なんだそれ…」

律の横には巨大なカタツムリがいた。

澪「ぎゃあああああああ」

近づいてみるとカタツムリとは違う上に、足が何本もあることに気づいた澪は思わず悲鳴をあげた。

律「お、おいやめろ!怯えてるだろ!」

澪「わ、私の方がよ、よっぽど!」

律「なぁ、可愛いだろ?」

澪「そ、そ、それ、なんだよっ!」

律「イリスって言うんだ。私が名づけた」

澪「…」

(風子『蘇ったらこの世が滅ぶようなものを―』)

風子の声が脳裏をよぎった。

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:11:39.91 ID:pEXLzDfc0
― 9月27日 13時46分 桜ヶ丘 桜が丘女子高等学校 3の2


澪「そ、そのりゅうせいちょう、ってあれ、ふ、封印とか出来ないのか」

風子「え?確かね…」

風子はノートのページをめくった。

風子「あ、あった。十握剣、とつかのつるぎ、ってあって。それが龍星張を封印する手段なんだって」


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:12:11.66 ID:pEXLzDfc0
― 同 17時46分 桜ヶ丘東町 柳星神社


澪「おい!あれどうしても育てるつもりなのか!?」

律「ほっといたら死んじゃうだろ」

澪「大きくなって食べられたらどうするんだよ!」

律「大丈夫だ」

澪「なんでそんなことわかるんだよ!?」

律「いいから…」

そう言いながら律は途中のコンビニで買った牛乳や缶詰をイリスの前に並べる。


イリス「キュウウ…」

律「食べないな」

澪「まだモノを食べられないくらい―」

いきなり触手を伸ばしたイリスはそのまま缶詰に突き立てる。

するとペコペコという音と共に缶詰はそのままペシャンコになった。

澪「な、中身だけ吸い取った…」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:13:06.35 ID:pEXLzDfc0
― 同 22時08分 桜ヶ丘 平沢家


『今日午後、海上自衛隊厚木航空基地所属のP3C対潜哨戒機が大島沖でガメラを探知、対潜爆弾で攻撃し―』

『ガメラについて世論の反応は―』

『いいんじゃないですか?追いかけて攻撃しても。日本の敵なら日本が倒さないと―』

『怖いですよぉ。おちおち外も歩けない』

『福岡での被害を考えたらどうにかしないと』

『しかし、ガメラがいなかったら今の私達の生活はなかった事も事実で―』

ガメラに対して好意的な発言をしようとしたインタビューは途中で切られ、再びガメラ攻撃についての内容へ戻る。

もはやガメラへの反感は強まっていることは明らかであった。

唯「…」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:14:07.56 ID:pEXLzDfc0
数分後。唯は和に電話した。

和『もう唯は何もしなくていいはず。だって勾玉は割れたのよ?』

唯「そ、それはわかってるけど…」

和『それに世間を見て。ガメラへの敵意で一杯よ。唯、あなたがわざわざそこに出ていく必要なんてない。もう自衛隊に任せればいいのよ』

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:14:45.39 ID:pEXLzDfc0
― 9月24日 16時18分 桜ヶ丘東町 柳星神社


律「イリス…」

学校から一目散にやってきた律が神社に着くと、イリスの姿はなくなっていた。

そして祠もめちゃめちゃに壊れている。

律(イリス…!)

律は直感で裏山に入っていった。


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:15:57.74 ID:pEXLzDfc0
― 同 神社裏・桜山


律「イリス!」

イリス「キュウウ…」

弱々しい声が聞こえる。

獣道を駆け登るとイリスは雑木林の中に座っていた。

「ごめんよ…寂しかったんだろ?」

「ごめんね…」

「私を捜してたんだね…もう離れないから…」

律はイリスを抱きしめる。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:16:47.53 ID:pEXLzDfc0
「キュウ」

イリスは首を振ると、律の腕を離れて宙に浮いた。

律「イリス…熱いよ…」

律はそれを見上げ、熱に浮かされたようにブラウスのボタンを外す。

その胸元には青く光った勾玉があった。

イリスは触手を伸ばして律を包み込むように抱き寄せる。

その傍らに無数の動物のミイラが転がっていたことを律は気づくことなく意識を喪った。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:18:24.67 ID:pEXLzDfc0
― 同 19時22分 秋山家

澪の携帯電話が鳴った。

律母『あ、澪ちゃん?こんばんは。田井中律の母です。

うちの律知らないかな?学校からまだ帰ってないのよ…』

澪「律がいないんですか!?」

律母『そうなのよ。聡のこともあるしちょっと心配で…』

澪「捜してきます!」

澪は話が終わらないうちに携帯をポケットに突っ込み、外に飛び出していた。


澪(そうか…あいつだ!)

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:19:17.20 ID:pEXLzDfc0
澪が面々に連絡をしつつ神社に着いた時には、既に8時を回り真っ暗になっていた。

頭の中には風子から聞いた封印の手段がぐるぐる駆け巡っていた。

(風子『十握剣、とつかのつるぎ、ってあって。それが龍星張を封印する手段なんだって』)

(澪『それってどこにあるんだ?』)

(風子『同じ祠の中にケースがあってそこに奉ってあるよ』)

懐中電灯に照らし出されたのは半壊した祠。

あの不気味な生物の姿が脳裏をよぎる。

澪は祠の中に入るとひっくり返ったケースのガラスを叩き割り、十握剣を掴んでそのまま祠の裏へ進む。


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:20:17.31 ID:pEXLzDfc0
澪「うわ!」

祠の裏にはくぼみがあり、そこには生々しい内臓と繭を掛け合わせたような異様な物体があった。

そしてその不気味な物体からは律の白い片足が覗いていた。


澪「!」

澪はためらわずその物体に十握剣を突き刺した。

裂けた物体からは不気味で変な匂いのする粘液が噴き出す。

そのまま澪は構わず頭を突っ込み、巻きついた紐のような内蔵を引きちぎりながら律を引っぱりだす。

「律!おい!」

「起きろ!律!」


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:20:54.81 ID:pEXLzDfc0

「律!」

頬を叩いても揺さぶっても律は目を覚まさない。澪は背負ってとにかく外へ出ることにした。

紬「澪ちゃん!?」

目の前を眩しく照らされる。

追いついてきたらしく懐中電灯片手に紬が現れた。

澪「ムギ来るな!」

紬「えっ!?」

澪が背負っている人影に気づき、紬は絶句した。

律だ。ベトベトした粘液まみれになり、意識を失った律の姿があった。

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:21:45.77 ID:pEXLzDfc0
― 同 21時55分 桜ヶ丘東町 柳星神社前


警察官A「誰か救急車に乗ってくれる?」

紬「私が!」

救急隊員「田井中さん!田井中律さん!?」

ストレッチャーに乗せられた律が救急車に運び込まれる。

警察官「君は何を見たんだ!?」

澪「律!律!りつぅ!」

救急隊員「閉めます!」

警察官「はい!」

警察官A「早く出して!」

サイレンを鳴らして救急車が走り去った。

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:23:28.83 ID:pEXLzDfc0
―22時16分 平沢家


紬『それで、律ちゃんが…』

唯「うん…わかった。ありがとうムギちゃん…」

唯は携帯の終話ボタンを押した。


テレビ『えー、我が国においても、今朝未明、―県―市において、ギャオスの亜種と見られる生物の目撃情報がありました』

   『佐久間県知事は先程、災害派遣出動要請を自衛隊に要請、陸上自衛隊の―』

   『生物を目撃した場合はすぐに110番、もしくは市役所の対策本部に―』


144 名前:>今朝未明 ”削除”[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:26:38.67 ID:pEXLzDfc0
― 9月26日 1時47分 桜台南 高橋風子宅

郊外の新興住宅地、桜台南に風子の家はあった。

風子「…ん」

深夜、ガラスの割るような音と木を引き裂くような異様な物音に風子は目を覚ました。

起き上がるとメガネをかけ、廊下に出ると階下に向かって声をかけてみる。

風子「お母さん?」

しかし誰の返事も帰ってこず、今度は妙に肉々しい異様な音が聞こえてくる。

深夜ということもあり、電気を点けずに真っ暗な階段を降りていった。

風子「お母さん?お父さん?」真っ暗な廊下に降り立つと両親の部屋に向かおうとした。

風子「…あ」

しかしそれよりも先に風子の背中をイリスの触手が捉えていた。

風子はイリスに抵抗する間もなく引き寄せられる。

風子「ひっ!」

そのまま風子は体液を吸いつくされ、無残にも廊下に放り出された。

手始めに高橋家を全滅させたイリスは夜闇の中、次の住宅を襲撃した。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/24(火) 23:27:36.13 ID:pEXLzDfc0
― 同 8時40分 桜が丘女子高等学校 3年2組


さわ子「はい、えーと今日は高橋さん、中島さん、遠藤さんが…あれ?遅刻?

おかしいなぁ…と、とにかく遅刻ね。3人遅刻。で、秋山さんは所用でお休みです。

みんなー。もう3年生です。推薦取る人も含め、人として遅刻はしちゃダメよー」

さわ子先生の冴えない朝礼で一日が始まった。


和「あれ?3人も…それに風子が?」

148 名前:>>146 微妙[] 投稿日:2010/08/24(火) 23:35:23.32 ID:pEXLzDfc0
― 同 9時50分 廊下

憂「どうでしたか!?」

紬「でね…調べたら…曽我部先輩の家系…昔は巫女なの…」

和「…まさかあれと交信できるとかないわよね」

紬「勾玉を介してるのはっきりしてるから…もしかしたら…」

憂「じゃああれ自体を操ってるとかどうです!?」

紬「わからない…あ、それでね、防衛省の分析によるとあれはギャオスの亜種みたいよ…」

和「私達がどうこうできる事じゃないだろうけど…」

紬「大切なのはこの気持ちだと思うの」

和「そうだよね」

憂「私、お姉ちゃんを守りたいです」


さわ子「はいみんなー教室戻ってー!警戒宣言が出たから今日は下校になるわよー!各クラスHRやるわよー」

176 名前:”復帰”しました[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:08:04.47 ID:fy8DZflQ0 [1/40]
― 同時刻 桜が丘東町

市道を走る自衛隊の車両。

その中の一台、高機動車の後部シートには澪の姿があった。

澪「…」

鳥類学者「…」

自衛隊員たちと向かい合わせになった澪はだんまりを決め込み、

車中にはエンジン音と風で暴れる幌の音のみが響いていた。

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:09:11.39 ID:fy8DZflQ0 [2/40]
― 同 10時07分 桜ヶ丘東町 柳星神社


汗ばむ日差しの中、自衛隊員が祠の残骸の周りに集結していた。


澪「ここの…窪みに」

律がいた祠の後ろの窪み。澪が指さした先を89式小銃を構えた防護服姿の自衛隊員が入っていく。

自衛隊員A「生物はもういないようです!」

その声に続いて化学防護隊員が歩み出る。

化学防護隊隊員①「窪みになにかあります」


178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:10:03.45 ID:fy8DZflQ0 [3/40]
鳥類学者「これは…」

鳥類学者がピンセットで落ちていた粘液質な塊を拾い上げる。

それを自衛隊員が受け取って別の隊員に渡す。

化学防護隊隊員②「おい、分析にまわせ」

化学防護隊班長「以前のギャオスとは様子が違うな…」

鳥類学者「見た目や印象で決めるのは危険です…」

澪「…」

通信手「班長!桜台南で民家複数が変異体に襲撃されたとのこと!転進命令です!」

化学防護隊班長「何!?」


180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:27:03.76 ID:fy8DZflQ0 [4/40]
― 同 10時36分 桜台南

澪を含め、化学防護隊が現場に到着した時には、先着した自衛隊員が半壊した家々から遺体を運び出す最中であった。

新興住宅地に建ち並ぶ真新しい家々はどこかしらが壊れている。

9月の妙に強い太陽の光と異様な匂いが立ち込める中、高機動車から降りてしまった澪が

所在無げに現場を見回していると、パトカーの車載無線機を使っている警察官の会話が耳に入った。

警察官「―43歳女、高橋風子、18歳女。計32名。以上です。どうぞ!」

澪「た…高橋風子!?」

本部『―了解。なお現在収容先不足につき、自衛隊方には一旦搬送待つようを要請を願いたい。どうぞ!』

警察官「桜585、了解」



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:27:45.91 ID:fy8DZflQ0 [5/40]
白ヘルメットの警察官は通話を終わらせると車載無線機のフックにマイクを戻す。

そしてため息を付いたのを見届けてから澪は警察官に話しかけた。

澪「あの。高橋風子さんって…桜が丘高校ですか?」

警察官「あー、そうだよ…。3年生の…あ、君は…桜高か。友達かい?」

ヘルメットの警察官は気を使っているのか曖昧だ。

鑑識課員「これ高橋風子さんね」

その声に振り返ると鑑識課員が遺体に掛けられた毛布にタグを付けようしていた。

鑑識課員「あっおい、見ない方が…」

澪は制止も聞かず遺体に掛けられたらくだ色の毛布をめくった。

その下には担架に乗せられている変わり果てた風子の姿があった。

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:29:16.99 ID:fy8DZflQ0 [6/40]
― 同 14時44分 寿町 三十七総合病院 特別室


医者「取り込まれた影響か、海馬体が異常に肥大してます」

唯「カイバタイ?」

和「記憶の形成なんかに関わる場所よ」

医者「ええ。その通りです」

医者「前回の平沢さんのケースとは違い、彼女はうわ言も繰り返してます」

医者「やはり…ガメラのケースと同じ、または近いのかも知れない…」

唯「ガメラと同じ?」

和「目を覚まさない理由がですか?」

医者「ええ…例の生物が精神的に何か干渉してるんかもわかりません」

紬「とにかくよろしくお願いします」

医者「もちろんです」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:30:51.39 ID:fy8DZflQ0 [7/40]
― 同 数十分後 某所

国道を走るクラウンマジェスタの車中。


唯「ねぇムギちゃん。りっちゃんあんな勾玉持ってたっけ?」

紬「私も初めて見たわ…」

ベッドに寝かされていた律の首には見慣れない勾玉が掛けられていたのだ。

和「大きさも形も唯のとは微妙に違うけど…」

和が助手席から振り返った。

唯「…あれってイリスの?」

唯は呟いた。

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:31:26.32 ID:fy8DZflQ0 [8/40]
― 同 15時22分 桜ヶ丘郊外 桜山ハイキングコース

ハイキングコースを歩くカップル。

森ガール「あれ?なんだろ」

リア充「お?」

女は森の中を見つめている。

男もつられるように森の中を見るが何も見当たらない。

リア充「おいなんだよ。なんもねぇ―」

森ガール「きゃっ!」

急に何かに引っ張られて女が雑木林に消える。

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:32:10.29 ID:fy8DZflQ0 [9/40]
リア充「え?」

女「きゃああああああ」

リア充「由紀恵!?」


激しく茂みの中からはガサガサという音と悲鳴が聞こえる。

リア充「おおい!」

男が慌てて森の中に分け入ろうとすると何かが放り出されて地面に転がる。


リア充「うわああああああああああああああ」

放り出されたのはミイラ化した女だった。


186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 20:33:27.98 ID:fy8DZflQ0 [10/40]
― 同 秋山家 澪の自室

澪は掛け布団を被って床にうずくまっていた。

瞼を閉じる度に変わり果てた風子の姿がフラッシュバックする。

「…ひどい」

思わず呟いた。

「私がケリをつける」

澪はやおら布団を振り払うと、机の上に置いてあった十握剣を取り上げた。

189 名前:サルってました[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:12:16.34 ID:fy8DZflQ0 [11/40]
― 同 16時24分 寿町 三十七総合病院 特別室

梓「律せんぱーい」

憂「お見舞いに来ましたー」


梓「あれ?」

憂「いない?」

病室に思えないほどだだっ広く、応接セットまで設えてある特別室の中は

がらんとし、誰かが入院していたような痕跡はなかった。

梓「あれ?ここだよね?部屋間違えたかな?」

憂「それはないよ」

二人は顔を見合わせた。

梓「ムギ先輩に聞いてみようか」

そう言って二人は部屋を後にした。

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:13:28.17 ID:fy8DZflQ0 [12/40]
― 同 17時24分 寿町 三十七総合病院 ナースステーション


紬「移送ってどういう事!?そんな指示誰が出したの!?」

廊下までムギの怒鳴り声が響き渡る。

医師「ええ…お嬢様の代理と名乗る方で…書類に不備もなかったし不審な点もなくて…申し訳ありません…」

医師はムギに目を合わせないようにしながら移送指示書を紬に手渡した。

紬「移送要請者…曽我部恵…?」

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 21:17:01.02 ID:fy8DZflQ0 [13/40]
― 9月25日 4時22分 中上町 マンション

マンションの一室。

カーテンで締め切られ、真っ暗な白い部屋の壁には異様な文字が四面に張り巡らされている。

その部屋の中央に置かれたベッドには律が横たわっていた。

恵はその前に立つと手を合わせる。

恵「海神の底に眠りし甲羅は悪しき魂の憑代なり。中つ国のために、悪しき魂を屠り、地の果てに追いやらん―」

経文のようなものを唱えながら恵は勾玉を強く握り締める。

律「…」

律はまるで何の反応も示さず眠っている。

その一方で恵は電撃が走ったように勾玉を手放した。

恵「はぁ…はぁ…」

その傍ら、恵はそのままベッドの律の横に突っ伏した。


192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 21:18:30.61 ID:fy8DZflQ0 [14/40]
― 同 5時47分 平沢家

『ギャオス、世界的規模で大量発生』、『きょう午前にも安保理緊急招集へ』

朝刊の一面にはギャオスの見出しが大きく載っている。

憂「…お姉ちゃん」

憂はポストから取ったその朝刊を片手に唯の枕元に立っていた。

唯は静かに寝息を立てている。

唯「むにゃ」

唯をしばらく見つめてから憂は再び朝食の支度と弁当の仕込みに戻っていった。


― 同 6時00分 桜台 陸上自衛隊桜ヶ丘駐屯地


通信手「了解。防衛出動命令発動。第54普通科連隊は1000を以って桜山まで前進する。終わり!」

朝日の中、防衛出動命令を受けた陸上自衛隊第54普通科連隊がイリスを掃討すべく出動した。

偵察バイクを先頭に、続々と車列が駐屯地の正門を走り抜けていくのを警衛が見送っていた。

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:25:52.95 ID:fy8DZflQ0 [15/40]
― 同 10時55分 桜山 登山口

静かな山間にV8ディーゼルエンジンの爆音が響く。

停車した73式大型トラックからは迷彩のフェイスペイントを施した普通科隊員達が飛び降りてくる。

「二班前!」

「了解!」

「一班止まれ」

「三班右!」

号令が響き、隊員達が分散するように雑木林の前に並ぶ。

小隊長「戦闘指揮所、こちら先遣。準備完了」

小隊長「…了解!」


戦闘指揮所からの返答を受けた小隊長は通信手にハンドマイクを渡すと、号令を下す。

小隊長「小隊ー!前進用意!前へ!」

それを合図に89式小銃を構えた小銃小隊員達は続々と雑木林に突入した。


196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:31:17.18 ID:fy8DZflQ0 [16/40]
― 同 同時刻 桜ヶ丘 桜が丘駅前

前日夜、和は恵と接触することを決意していた。

そして唯にははっきりと恵が何らかの形で噛んでいると考えられると伝えた。

唯は意外なことにそれを納得し、恵と会うことも快諾した。

その一方で憂には知られないようにした上で、二人は恵と会った。


中途半端な時間なのか乗客が閑散とした桜が丘駅の広場で三人は顔を合わせた。

和「お久しぶりです」

現れた恵に和は会釈する。

恵「久しぶりね」

唯「りっちゃんはどこですか?」

恵「あら。平沢さんも」

まるで予測していたような口調で恵は微笑んだ。

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:33:11.91 ID:fy8DZflQ0 [17/40]
― 同 13時20分 桜山 山中

OH-1が上空を飛び回る中、すっかり巨大化したイリスは雑木林に静かに佇んでいた。

その回りには様々な動物のミイラ化した死体が転がり、さながら地獄絵図と化している。

通信手「巨大生物、依然として動きなし」

通信手が額に汗を滲ませながら小隊通信機で定時報告を行う。

連隊長『こちら連隊長、目標と十分な距離をとり、監視を続行せよ!』

小隊長「了解!」

89式を構え、息を殺して隊員達はイリスを見つめていた。



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:34:44.83 ID:fy8DZflQ0 [18/40]
― 同 15時23分

まるで昼寝から目覚めるかのように生物は動き出した。

あくびのようなイリスの唸り声は低く雑木林に響き渡る。

小隊長は双眼鏡から目を離すと通信手からハンドマイクをひったくった。

「戦闘指揮所。こちら先遣小隊。目標、活動開始!」


イリスは先遣小隊に向かって緩慢ながらも向かい始める。

小隊長「射撃用意」


― 同 桜山 戦闘指揮所 82式通信指揮車


連隊長「先遣、詳細を報告せよ。先遣どした!?」

しかし先遣小隊からの連絡はない。

連隊長が山を見上げたとき、遠くから乾いた銃声が響いた。

連隊長「!?」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:36:08.34 ID:fy8DZflQ0 [19/40]
― 同時刻 桜が丘駅前通

曇り空の中、駅前通を三人は歩いていた。

恵「ギャオスは人類の天敵として創造されたとしたらどう?」

突然先を歩いていた恵が振り返った。

恵「増えすぎる人口を調節し、腐敗した人類の文明をリセットするために」

和「誰がそんな事を!?」

恵「私と同意見の人ね」

和「ならガメラはそういう傲慢な考えを打ち砕くために生み出されたんですね」

恵「正しいわ」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 21:36:54.01 ID:fy8DZflQ0 [20/40]
唯「ガメラをどう思ってるんです?」

恵「ガメラの墓場の話、聞いてるわよね?ガメラは古代人が創りだした地球の意思を受ける器。ガメラは人よりも地球の意思を優先する」

唯「ガメラは人との関わりを断ち切ったんじゃ」

恵「勾玉が壊れたときにね。でもガメラの復活を願ったのは人。それがガメラの最大の弱みよ」

恵「ついてきて…田井中さんのところに案内するわ」

再び恵は背を向けて歩き出した。


202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:02:02.58 ID:fy8DZflQ0 [21/40]
― 同 15時55分 桜山 山中

乾いた銃声が山間に激しく響き、89式5.56mm普通弾がイリスに降り注ぐ。

先遣小隊の面々は迫るイリスにじりじりと後退しながらも攻撃の手は緩めない。

隊員r「小銃てき弾、前方120!」

銃口に小さなロケット弾のような06式小銃てき弾を装着した隊員が進み出る。

小隊長「撃て!」

数発のてき弾はゆっくりと飛翔していき、イリスの至近距離で炸裂して対軽装甲用の調整破片がイリスに襲いかかる。

しかしイリスはそれを砂粒か何かの直撃のように受け流して進行する。

隊員r「効果なし!」

なおもミニミ機関銃、89式小銃からは真鍮色の薬莢が飛び、硝煙の煙が白く立ちこめる中イリスはゆっくりと先遣小隊へ向かってくる。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:02:42.59 ID:fy8DZflQ0 [22/40]
小隊長「無反動射撃用意!」

砲手「準備よーし!」

その号令と共に無反動砲組が狙いを付けて前に進み出る。

小隊長「テェッ!」

84mm無反動砲から発射された対戦車榴弾が立て続けにイリスに直撃するが、イリスはそれをも物ともしない。

その触手が雑木林を薙払ったのは一瞬の出来事だった。

隊員a「ぎゃあああああ」

隊員b「くそー!」

隊員c「おい!大丈夫か!?」

小隊長「連隊長に報告!小隊は第二警戒線まで交代する!」

通信手「こちら先遣小隊!損害多大!第二警戒線まで後退する!」

倒木で負傷者が相次ぎ部隊は戦力を一気に奪われる。

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:05:48.79 ID:fy8DZflQ0 [23/40]
隊員f「大丈夫か!?」

隊員d「しっかりしろ!」

そこに負傷した隊員の救出や分隊支援火器の弾切れが重なり攻撃の手が一瞬緩まった。

立て直しを始めて緩んだところを狙うように今度はイリスは直接隊員達を吹き飛ばした。

「退避!」

「飛ぶぞ!」

「う、わ!」

凄まじい風圧が隊員達を襲い、先遣小隊は遂に全滅した。

邪魔のいなくなったイリスは空へと舞い上がる。




205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:07:19.74 ID:fy8DZflQ0 [24/40]
― 同時刻 中上町 マンション 805号室

和「律…」

唯「りっちゃん…」

恵「…」

律はベットに腰掛けぼんやりと三人を眺めている。

しかしその目はまるでなんの感情を抱いていないかのようだった。


206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:09:18.27 ID:fy8DZflQ0 [25/40]
紬「曽我部先輩」

突然の声に恵が振り返ると、そこには数人の警察官とムギの姿があった。

恵「琴吹さん…」

紬「律ちゃんは病院へ運ばせて貰います」

恵「…」

紬「巨大生物は…ギャオス変異体は神経系統との融合を試みた可能性があります。命に関わるかもしれません!」

恵「生物は融合を試みてそれをどうしようと…?」


207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:10:20.65 ID:fy8DZflQ0 [26/40]
一瞬間をおいて和が口を開いた。

和「…融合した後、自己進化するのでは」

急に外を風が強く吹き抜け、ガラス窓を揺らした。

紬「何か来る!?」

和「!」

恵「!?」

ムギの一言で窓の向こうを見る。

空をイリスが飛び去っていくのが目に入った。


208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:13:59.33 ID:fy8DZflQ0 [27/40]
― 16時32分 航空自衛隊早期警戒機E-2C

数十キロ離れた上空を飛行する早期警戒機E-2Cホークアイ。

灰色のターボプロップ機の背中には回転する巨大な円盤の状レドームが搭載されている。

レーダーオペレーター「こちらセントラ。目標を捕捉、追尾開始」

その捜索レーダーにはしっかりとイリスが捉えられていた。


209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:16:51.10 ID:fy8DZflQ0 [28/40]
― 16時37分 東京都府中市 航空総隊司令部 作戦指揮所


LCD画面に明滅する表示。

先任要撃管制官「こいつか!?やりたい放題やってくれたギャオスは!」

幹部要撃管制官「ギャオスとは確認されていません。形態が著しく違うようです」

先任「セントラは追尾できるか?」

要撃管制官D「大丈夫です」

先任「近傍のFは?」

要撃管制官E「百里の15が東京湾上空でガメラ警戒中です」

先任「アプローチさせろ」

要撃管制官E「間もなく一帯は暴風圏に入りますが?」

先任「目標の進路は人口密集地だ。まずは市街地から引き離せ」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:18:22.10 ID:fy8DZflQ0 [29/40]
雲を突き抜け、透き通った空にイリスは躍り出た。

虹色の飛行膜を展開したイリスはそのままホバリングするように宙を漂う。


そこへ転進命令を受けたF-15Jが2機猛然と襲いかかる。


要撃管制官A「パルサー1、パルサー2接敵。射程距離です!」

先任「威嚇射撃を許可する」

F‐15のM61バルカン砲が唸り、タングステン合金製の20ミリM50榴弾が火線を引きイリスに殺到する。

要撃管制官A「目標、射撃に反応し、触手のようなもので攻撃して来ます!」

先任「回避させろ」

要撃管制官A「パルサー1、パルサー2、回避せよ」


パイロット「目標が再び攻撃してくる!」

飛行形態となったイリスは既に恐るべし飛行能力を持っていた。


212 名前:>>210 基本的にはそう[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:24:19.66 ID:fy8DZflQ0 [30/40]
先任「ミサイル発射を許可する」

しかしF-15は飛行を開始したイリスをロックオンするどころか

まともに後ろを取ることすらできずに苦闘していた。

パイロット「…目標の運動は当機を凌駕、ロックオンできません!」

触手の先端からはレーザーのようなものを発射し、凄まじい運動能力を持つイリス。

戦闘機相手の格闘戦とはまるで違う、生物相手の戦い。

2機のF-15は増槽を投棄してもなおギリギリの回避を強いられる。


215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:00:48.81 ID:fy8DZflQ0 [31/40]
イリスとF-15Jを一瞬雲が隔てた瞬間、雲が割れて突如黒い影が現れる。

雲が散っていくにつれその全貌が明らかになる。

パイロット「ガメラ!?」

F‐15のパイロットは思わず瞬いた。

月明かりに照らし出されたガメラはF-15とイリスの間に割って入り、イリスへ立ちはだかった。



要撃管制官C「目標付近に新たな飛行物体現出、500Ktで交戦域に接近中!」

同時にLCDの表示は二つになった。

要撃管制官A「パルサー1、ミサイル発射不能。パルサー2、ミサイル残弾なし」

要撃管制官C「目標転進!北上開始!」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:04:16.81 ID:fy8DZflQ0 [32/40]
遂に二体の守護獣、朱雀と玄武ことガメラとイリスが対峙する。

一瞬の静寂を置き、イリスとガメラは激しくぶつかり合った。



副司令「先程海自より東京湾沖合にガメラ現出との連絡があった。新たな目標はガメラだ。行動中の各機を誘導し排除行動に移れ!」

管制台に副司令がいきなり割って入った。

先任「するとこっちの飛行生物は!?」

主導権を奪われた先任が負けじと叫ぶ。

副司令「ガメラの掃討が先だ。第3高射隊にペトリオットの準備をさせろ!」

LCDに表示されるマーカーが静かにからに変更される。


その上空では激しい巨大生物同士の空中肉弾戦が繰り広げられていた。

回転ジェットでの体当たり、イリスの触手攻撃。

ガメラの血は何度も霧のように空中に舞い散った。

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:05:53.28 ID:fy8DZflQ0 [33/40]
― 16時55分 陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地 航空自衛隊第3高射隊ペトリオットPAC3陣地

隊員達が慌しく走りまわる中、並んだ発射機には電源供給用のメタルコンセントが接続され、

M901発射機は目を覚ますように立ち上がり、モーター音を立てて回頭した。

レーダー員「目標探知!」

射撃管制員「射撃用意!」



― 同時刻 患者搬送車 車中


律「はぁ…はぁ…」

何が起きているのか律の息は荒くなり、首にかけられた勾玉も青く光り出す。

和「律をまだ求めて…完全に融合しようと…」

唯「…」

紬「急いでください!」


運転手「はい!」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:09:45.86 ID:fy8DZflQ0 [34/40]
― 16時57分 航空総隊司令部 作戦指揮所

要撃管制官①「第3高射隊、ペトリオット発射準備完了」

副司令「発射を許可する!」


数秒後、発射機からは甲高いロケットモーターの音を響かせ、1発3億円のPAC3ミサイルが空へ真っ白な噴煙を残し飛び立った。



要撃管制官②「ペトリオット発射確認」

要撃管制官①「着弾まで20Second!」

LCDの画面上に現れたは高速でに移動していく。

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 23:15:37.39 ID:fy8DZflQ0 [35/40]
そして2発のミサイルはその使命を全うすべく、イリスと戦うガメラに躊躇うことなく突っ込んだ。

凄まじい爆発、ペトリオットの直撃を受けたガメラは失速する。


要撃管制官①「着弾を確認、ガメラ速力低下」

要撃管制官②「飛行生物、転進、降下します!」

先任「どこに降りるんだ!?Fで阻止させろ!」

要撃管制官①「…市街地、桜が丘方向へ戻ります!」

要撃管制官A「間に合いません!」


イリスは、失速し怒りのこもる咆哮を上げるガメラを引き離すと、Uターンして急降下を始めた。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 23:20:13.02 ID:fy8DZflQ0 [36/40]
― 17時47分 寿町 三十七総合病院 特別室

律が再び病院に戻された時には律の症状が収まっていた。


恵「人は緩慢な自滅の道を歩いている…ギャオスがいなくてもいずれ滅ぶ。しかし滅亡より悪い未来が舞ってるかもしれない。

そうなる前に人類の幕を引いてもらおうと言うのがギャオスを生んだ者の考え。ガメラがそれを止めるのは―」


唯「ギャオスに人類なんて滅ぼせません」


恵「ギャオスじゃない。もう新たな存在よ。あらかじめ用意されていたのか自己進化の結果か。

かつてガメラがそうしたように、人と交感してより強くなろうとした。

しかも融合してガメラを超えようとしている…」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 23:21:04.46 ID:fy8DZflQ0 [37/40]
唯「…」

恵「ガメラは勝てない」

和「どんなにみっともなくても生物は最後の瞬間まで生き延びます!人類だって!」


律「来た…」

その応酬の最中、突然律が窓の外を見上げた。


223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 23:25:04.82 ID:fy8DZflQ0 [38/40]
― 17時51分 桜ヶ丘駅前北口 コンビニ

降りしきる雨はガラス窓を濡らし、客足は鈍い。

姫子はレジで18時の現金チェックに勤しんでいた。

純「ふんふん♪」

店内にはいつもの立ち読み常連の癖毛爆弾爆発頭が20分ほど前から蔓延り、

客が1人になってからは鼻歌まで歌いだす始末、姫子の神経は激しく逆撫で続けられていた。

姫子「…」

雨というのもあり苛立った姫子は現金チェックを中断し、レジを片付けて売り場へ出る。

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 23:27:37.39 ID:fy8DZflQ0 [39/40]
姫子「あの、お客様―」

今日こそ癖毛爆弾頭を店内から駆逐すべく声をかけた瞬間だった。

凄まじい揺れが襲い、棚という棚から商品が大量に落下する。

姫子「な、何?地震!?」

二度目の揺れで今度は店内の照明が消える。

それは大雨の中、イリスが桜が丘に再び帰ってきた瞬間だった。

純「あ、あれ!」

姫子「!」

濡れた窓の外には巨大な生物がいた。

展開した虹色の飛行膜が光を受け艶かしく光る。

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:28:46.41 ID:fy8DZflQ0 [40/40]
― 同時刻 桜が丘駅前踏切

帰宅ラッシュとなり混雑していた桜が丘駅一帯は一瞬でパニックに陥った。

イリスの飛来は人々が目の当たりにした渋谷のトラウマを呼び起こし、一層混乱を拡大させる。

怒号と悲鳴、クラクションが鳴り響き、踏切では乗り捨てられた車が引っかかり、遮断機が降りきらず鐘を鳴らす踏切。


市民「逃げろー!」

市民「助けてー」

市民「わああああああああああ!!!」

逃げ場もわからず走りまわる人々で小さな駅は大混乱に陥り、自転車はところ構わず乗り捨てられ、傘や持ち物が辺りに散乱した。

そしてその中には阿鼻叫喚をかき分けて走る澪の姿があった。

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:12:26.06 ID:6HVfjX+d0 [1/10]
― 同時刻 寿町 三十七総合病院

澪「律!」

唯「りっちゃん!」

律は急に走り出す。

まるで何かに呼ばれたかのように廊下に飛び出すと、一目散に消えていく。

和「待ちなさい!」

唯「りっちゃん!」

その後を三人が追う。

時を同じくしてイリスは市街地を踏みつぶしながら何処かへ進んでいた。

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:12:57.38 ID:6HVfjX+d0 [2/10]
― 桜が丘女子高等学校


律「…イリス」

一行が律に追いついたのは桜高の屋上だった。


律が見つめるその先には美しくも巨大で禍々しい生き物がいる。


紬「あれが…」

恵「ギャオスを生んだ者達は滅ぼされたがその末裔はこの国へ来た!縄文弥生を生き抜いてかつて巫女だった者、あの怪物と交わる役割は本来私」

恵は叫ぶようにまくし立てた。

恵「しかし時は私の家の血を薄めた!交わって悪魔を産むにはこの時代の少女の方が相応しい!選ばれたのが田井中律だったのよ!」

振り返った恵の目には嫉妬とも憎悪とも取れぬ狂気があった。

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:13:43.45 ID:6HVfjX+d0 [3/10]
和「!」

その後ろ、凄まじい暴風雨の中、ほとんど直角に急降下してくるガメラ。

イリスはそれを迎え撃つかのように触手を振り上げた。

振り上げられた触手に沿って街並みには火柱が上がっていく。

律「…」

和「街が…」

イリスの長い腕は一瞬で慣れ親しんだ街を燃え上がらせた。


5人の頭上をかすめたガメラは住宅街を舐める様に水平飛行に移る。

その風圧によって信号機、屋根瓦、アンテナ、標識、電信柱、看板、自転車、車と、ありとあらゆるものが掠め取られて宙を舞う。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:15:24.55 ID:6HVfjX+d0 [4/10]
警察官「急いで!早く早く早く!」

人「ああああああああああああああああ!」

人「逃げろー!」


架空線を引きちぎり、電柱や家をなぎ倒しながらガメラが着地すると、咆哮を上げる。

桜が丘が炎に包まれる中、南北の二対が対峙した。

雨は止み、一瞬の静寂に包まれる。

雲は晴れ、濃青色の空には月が覗いた。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:18:36.21 ID:6HVfjX+d0 [5/10]
逃げまどう人々の雑踏をかき分けて進む澪には邪魔が入った。


警察官「ああー!?桜高の方は立入禁止や!止まりなさい!」

誘導灯片手の太った警察官が澪の前に立ちはだかった。

しかし次の瞬間には凄まじい咆哮とともに二対は再びその姿を表した。

警察官「出たああああああああああ」

警察官は驚きのあまりなのか澪の手を掴む力が弱まる。

それを振り払い澪は再び二体の怪獣の方へ走った。



誰もいなくなった生活道路の水溜りに二匹の影が映る。

がっぷり組み付いた二体はどんどん桜高の方へ進んでいく。

その足元では民家はマッチ箱か何かのように簡単に押しつぶされて瓦礫と化していく。

駅ではガメラが押されて、桜ヶ丘駅の小さな駅舎を押し潰して架線柱をなぎ倒す。

停車中の電車はそれに吹き飛ばされて宙を舞い近くの建物に落下する。


233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:19:31.00 ID:6HVfjX+d0 [6/10]
― 桜が丘女子高等学校 屋上

明々と燃え上がる街を背景に今や二体は直ぐ側まで迫り、その火災の激しさは夕闇の中でも詳細なディテールが見て取れる程だった

律「イリス。殺して!」

それに呼応するかのようにイリスは手甲をガメラの腹部に突き刺した。

ガメラの苦悶の声と共に夥しい緑色の血が飛び散る。

律「殺して!」

唯「りっちゃん!違う!」

唯は律の腕を掴んで引っ張った。

和「唯、ガメラとまだ!?」

律「…」

唯「違う、りっちゃんの方!」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:22:53.65 ID:6HVfjX+d0 [7/10]
唯「りっちゃんがガメラと戦ってる!」

和「!?」

唯「ガメラは誰も殺したくないの!りっちゃんがやめないとみんな死ぬの!あの火を見て!あの中には!りっちゃん!」

唯は街を指差しながら絶叫した。

和「律!」


恵「!」

恵は突然律が下げていた勾玉を奪い取った。

そして目の前に迫って来る二対。

和「律!」

和は咄嗟に律を引っ張った。

その瞬間、遂にガメラとイリスが桜高の敷地になだれ込んだ。


235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:24:58.02 ID:6HVfjX+d0 [8/10]
恵「我、直日神と交わりて、悪しき魂と戦わん!」

恵は屋上の端ギリギリまで歩み、律から奪い取った勾玉を上に掲げてガメラとイリスを見据えた。

だが、二体の戦いに何の変化も見えては来ない。

恵「無理なの?」

恵が絶望したように呟いたとき、勾玉が鈍く光りだした。

時を同じくしてガメラは甲羅まで貫いたイリスの手甲を無理やり引き抜く。


しかしそのまま押して来るイリスと共によろめいて校舎の方へ倒れこんだ。

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:27:36.90 ID:6HVfjX+d0 [9/10]
和「律!」

律「…」

和は咄嗟に棒立ちしている律を手前へ引っ張る。

一瞬空けて校舎が半分一気に吹き飛ぶ。

3年間の思い出が詰まる音楽室も何ら抵抗することなくそのまま一瞬で瓦礫の山と化す。

水槽のトンちゃん、律のドラムセット、梓が運悪く置き忘れたむったん、壊れた扇風機の果てまで、全てが破壊された。


恵「これが死…」

それは一瞬で端に佇む恵も消し去った。

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 00:31:16.52 ID:6HVfjX+d0 [10/10]
律「殺してくれ!そいつを殺せ!」

律の叫びは異常な熱気を帯び、その目は狂気に満ちていた。

唯「りっちゃんダメ!」

唯が叫んだ。

そこへ支持を失って落ちてくる校舎の一部が倒れこみ、和と律を遮る。

加えてその残骸は和に襲い掛かった。

和「!」


唯「く…」

和「…うっ」

唯「和ちゃん!?」

砂埃が晴れたそこにはコンクリート片に挟まれた和の姿があった。


243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:01:26.64 ID:oDarAEOL0 [1/17]


澪「はぁ…はぁ…」

更なる崩壊を目にして咄嗟にロッカーの陰に隠れた澪は無傷だった。


学校にたどり着いた時には既に校舎はほとんど崩壊し、イリスとガメラが取っ組み合っている光景に澪は目を疑った。

律「…」

そして校舎の屋上には律の姿があった。


澪「律…!」

それを確認した澪はそのまま傾いた階段を駆け上がり、ここに至っていた。



今や瓦礫の向こうでガメラはそのまま倒れこみ、死んだように動かない。

邪魔がいなくなったイリスは律の方に向き直る。

律「イリス…お前なのか…」

その声に呼応するようにイリスが金色の光を放ち始めた。

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:02:44.02 ID:oDarAEOL0 [2/17]


澪が押し倒されたロッカーをようやくどかしてスロープ状態となった3階から、

2階の廊下に降り立つと、廊下の先で律が呆然と立ち尽くしてイリスと見つめ合っていた。

律「…」

澪「律!」

しかし律は澪の声が耳に入らないのか全く反応を示さない。

この後起きる事態は最悪の結果しか生まないと悟った澪は、

思いっきり片手の十握剣をイリスに向かって放り投げた。

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:03:44.94 ID:oDarAEOL0 [3/17]
澪「なんとかして!」

澪の手を離れた十握剣は回りながらイリスに当たり、そのまま跳ね返った。

律「…!」

その切っ先が頬を掠めた律は急に目を覚ましたようにこちらを振り返る。

澪「律!」

十握剣がカランと床に落ちた。

律「澪…」

律はゆっくりと澪に向かって歩き出した。

246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:05:52.31 ID:oDarAEOL0 [4/17]
しかし油断していた二人の隙を突くようにイリスの腹部が開き触手が飛び出す。

澪が十握剣を拾い上げたときには既に遅かった。

律「イリス!ダメ!」

そしてイリスがもう律の言うことを聞くこともなかった。

澪「!」

澪はそのまま吹き飛ばされ、律はそのままイソギンチャクのような触手に引き摺り込まれる。

澪「…律」

澪は遠のく意識の中、必死に手を伸ばしていた。


247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:07:45.25 ID:oDarAEOL0 [5/17]
唯「り…り…りっちゃん…」

律が引きずり込まれていく瞬間を見た唯はへたり込んだ。

和「ゆ…融合した!?」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:09:32.91 ID:oDarAEOL0 [6/17]
律(イリス…)

律は気づくと奇妙な世界にいた。上も下もないような不気味な液体の中だ。

ふと目を開けると聡が見える。

手を伸ばそうとするとすぐに聡は焔の中に消えていった。


次に気づくと部室の真ん中に立っていた。

誰もいない音楽室。トンちゃんの水槽は空だった。

窓の外を覗くとガメラが立っている。ガメラはそのまま窓に向かって拳を振り上げた。

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:10:43.03 ID:oDarAEOL0 [7/17]
次に意識が戻るとイリスが見たであろう光景が広がった。

夜の住宅地。砕け散るガラス。振り向く風子の恐怖に満ちた表情。

(イリス…お前なのか?…私なのか…?)

続いて現れた光景でも登場する人々の表情は揃って絶望と恐怖に満ちていた。

(私がみんなを殺したのか…?)


律の意識はどんどん遠くなっていく。足元が崩壊し地面に向かって行くような異様な感覚に全身が包まれる。

(崩れる…助けて…誰か……)

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:12:43.40 ID:oDarAEOL0 [8/17]
その瞬間だった。ガメラのクローはイリスを貫いた。

イリスは苦悶の声をあげながら、そのまま返すようにガメラの左腕を己の触手で突き刺す。

唯「!」

二体は唸りながら再び睨み合う。

ガメラは腕にイリスのクローが突きさっているにも関わらず一歩も引くことはない。


和「巻き込まれる!唯!逃げて!」

和はコンクリートの下から叫ぶ。

唯「諦めちゃダメ!最後まで!」

唯はそばに落ちていた鉄骨をテコのように隙間へ突き刺した。

唯「ガメラも闘ってる!」


251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:15:33.24 ID:oDarAEOL0 [9/17]
ガメラの手を突き刺しているイリスの触手に異様な閃光が何度も走る。

やがてイリスの両方の触手からはまるでガメラのような火球が作り始められる。


しかし、それを阻止するかのようにガメラは至近距離で火球を放った。

ただ、その火球の行く先はイリスではなくガメラ自身の右腕であった。

手甲を突き立てられていた右腕は吹き飛び、ガメラは自由を取り戻す。


和「腕を!?」

唯「ガメラ!」

その弾みの振動で瓦礫がずれ、和が抜け出す。

唯は和の腕を引っ張り、二人は転がるようにそこから離れた。

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 01:20:12.99 ID:oDarAEOL0 [10/17]
遂にイリスはガメラのようにプラズマ火球を放った。

ガメラはそれを右腕の切り口で受け止めると、火球で燃え上がる腕をそのまま振り上げた。

その炎の拳はイリスの腹部に突き刺ささり、イリスはそのまま強烈な光に包まれた。


夜目に映える巨大な火焔が立ち昇り、市街地を明るく照らし出した。

その砂煙と爆炎が晴れたとき、ガメラは倒れこんだイリスにトドメを刺すかのようにその頭を踏み潰した。


和「…」

唯「…」

離れて見守っていた二人の下に近づいてきたガメラは、まるで拾った何かを渡すように和と唯の足元に手を下ろす。

その手にはイリスの一部と思われる肉塊があった。

ガメラはそれをそっと二人の前に置いて離れる。


和「まさか!?」

唯「和ちゃん!」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:32:15.88 ID:oDarAEOL0 [11/17]
さるってそのまま寝落ちてました
今日の仕事がなくなったのでちゃっちゃと貼り終わらせます

>>260
期待するものじゃないです。あれはあれでダメ臭が漂ってる

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:33:29.04 ID:oDarAEOL0 [12/17]
― 同時刻 東京都府中市 航空総隊司令部 作戦指揮所

今や作戦指揮所では総隊司令官以下、指揮所の全員がLCD画面を睨んでいた。

幕僚「司令官。長官よりお電話が入ってます」

司令官は片手をあげると手元の受話器を取った。

司令官「はい」


263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:34:51.73 ID:oDarAEOL0 [13/17]
― 同時刻

ガメラが見守る中二人は粘液質の肉塊を必死にかき分けた。

やがて律の姿が現れるとすかさず律を引きずり出す。

唯「りっちゃんしっかり!」

しかし律の息はない。

和「律!」

和が張り付いた粘液を払いのけて心臓マッサージを始める。


冷たい雨が再び降り出す中、ガメラはそれを黙って見つめている。




264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:35:35.78 ID:oDarAEOL0 [14/17]
その雨はまるで律の意識を暗黒から引き戻したかのようだった。

和の膝の上で律は再び目を開けた。

律「…」

?「律!」


和「まさか…」


瓦礫を押しのけて澪が現れた。

澪「律!」

唯「澪ちゃん!」


265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:38:11.71 ID:oDarAEOL0 [15/17]
律「どうして私を助けたんだ…?」

律はゆっくりと起き上がりガメラの方を見る。

ガメラはそんな律をただ黙って見つめている。

澪「律…」


澪は駆け寄ってくるとそばに座り込んだ。

澪「イリスは…?死んだのか…」

律「ごめんなさい…ごめんなさい…」

律はそう言いながら俯く。


右腕を失ったガメラはそれを見届けたかのように咆哮した。

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:44:26.85 ID:oDarAEOL0 [16/17]
―同時刻 東京都府中市 航空総隊司令部 作戦指揮所


司令官は直通回線の受話器を置くとしばらく黙りこみ、手をこねていた。

その沈黙に指揮所内の視線が一斉に司令官へ集まり、静寂が広がる。

幕僚長「長官はなんと!?」

幕僚長は待ちわびたように沈黙を破った。

司令官「アメリカ中国並びにロシア軍からの情報によると、わが国にギャオスの群れらしき多数の飛行体が向かってきているとの事だ」

幕僚長「その数は…」

指揮所の隊員達が一斉に色めき立つ。

司令官「把握されていない!」

そして司令官は立ち上がり、指揮所内を見回しながら声を張り上げた。

司令官「総理から命令が下った!直ちに攻撃目標をガメラからギャオスに変更、陸海空全自衛隊の総力を結集し、これに対処せよ!」

そしてLCD画面のマーカー、は不明敵を示す黄色から青に変わった。


268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 10:48:24.32 ID:oDarAEOL0 [17/17]


燃え上がる炎と雨の中、ガメラは去っていく。

和「ガメラは何か…」

和は唯に尋ねる。

唯「なにも…。でもわかってる。ガメラは闘うつもり。最後まで、独りになっても」

和「…ガメラは独りじゃないわ」


その後ろで律は小さく呟いた。

律「ガメラ…」


ガメラの次の敵は日本に迫るギャオスなのか。

ガメラは炎の中をどこかへ歩んでいく。

4人はそれを黙って見つめる。

そしてガメラは再び高らかに咆哮を上げた。


糸冬

コメント

まさかのガメラ3

No title

あまりにもそのまんますぎて何とも…

No title

だからといってアレンジされても困るといえば困る

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