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心理掌握「うそ・・・上条先輩生きてたんですか!?」上条「?」【神の奇跡編】

860 名前:戦闘のアマだぜ![sage] 投稿日:2010/08/16(月) 00:06:29.97 ID:Y8FbeKA0
みんなスレがうまらないように気遣っているな。


861 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 22:30:49.02 ID:SUwoI2so [1/6]
>>860
人がいないだけかとオモタ
んじゃ一応言っておく。
麦野編が35レスだったから、【神の奇跡編】は次スレ誘導含めて90レスくらいあればいいかな
埋めないように気を使ってくれんのは嬉しいけど、俺のモチベーションはみんなの感想から来るんだぜ(キリッ  マジでね
感想があれば完走ってな

862 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/16(月) 22:52:05.46 ID:SUwoI2so [2/6]
【神の奇跡編】

青髪サイド――

青髪ピアスの少年は、夜道を歩いていた。

「最近のアニメはオーディオコメンタリ―が多いなぁ」

街中から外れ、暗く狭い道を通る。

「いや、悪い事やねえへんけどな?」

一人、腕を頭の後ろに組んで独り言を言い続ける。

「あのアニメだって有名声優起用してるだけやん、ていうかにゃーにゃー言ってる事に萌えるしかないってどーいうことや。なーんて思ってたんやけど」

細い目をカッ、と開く。
鷹のような、鋭い眼光が夜闇に光る。

「正直、オーディオコメンタリ―が一番おもろかったわ」

断言すると目をまた元に戻す。
歩きながら、足元に転がった石を蹴る。

「いやね、このヒロインの口癖はないわーと思うとったんやけど」

蹴る。
石は何バウンドかすると、路地に転がった鉄パイプにぶつかって音を響かせる。
静かだった夜に、しばらく音が反響した。

「ん?いやいや何ゆうてんねんボクぁ!アカンアカン!あの主人公が消えた回!そう、あれ!あの回は何気に良回やなかったか?」

音が鳴ったことなど気に留めず、青髪は頭を抱えて悶える。

「そうや!帰ったらまた見よう!――さーてとそうと決まったらとっとと終わらせますかぁ」

ドタバタと足音が聞こえる。
青髪ピアスは、ある倉庫の前で立ち止まる。
倉庫の中からは無数の足音と、少年らの声。
青髪ピアスは「OP感染者やでー」とケタケタ笑い、


そして、その扉を思い切り蹴り飛ばした。


「「「ッッ!?」」」

扉は内側に砕け、そのまま倉庫内を転がる。
青髪ピアスの少年は、ニタァァアアと笑いながら倉庫内に入って行く。
その瞳を光らせながら。

866 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/16(月) 23:13:14.82 ID:SUwoI2so [3/6]
「なんだテメェは!」

一人の少年が怒鳴る。
青髪は倉庫内を見回した。
五人の少年。
いずれもあまり素行の良さそうな見た目ではない。

「対暗部――雨蛙や。潰しに来たで?暗部組織〝スクエア〟」

青髪の言葉に動揺が走る。
少年ら――暗部組織スクエアの顔付きが、変わった。

「対暗部だと……!どうしてここがわかった!」

狼狽する少年。
それに青髪は答えない。
答える義理もない。

――まぁこっちにも情報通がいるってことや

「金持ちからの依頼で、恨みやら復讐の手助け――まぁ簡単に言えば殺し屋ってとこかいな」

彼らの行いを口走る青髪。

「――お?」

そんな青髪を、彼らは囲んだ。

「どんな能力者か知らねえが、一人でやって来たのは間違いだったな!」

一人の少年が手の平をかざした。
炎が噴射した。
青髪に一直線に火炎が迫る。
対し、青髪は、


「ふぁああ……」


何をするでもなく、欠伸をした。
それだけで、

「ぎゃぁああああっ!!」

火炎は、方向を変え――他の少年の腕を焼いた。
青髪はリミッターを解除していない。
この状態は、レベル3のAIM抵抗(AIMレジスト)である。
それは、自動でAIMを掻き乱したりできる。
青髪ピアスの本気は、こんな少年らが束になっても敵わない。

867 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/16(月) 23:27:56.47 ID:SUwoI2so [4/6]
「あははー演算止めればええ、なーんて思うたか?」

青髪がクイッ、と人差し指を動かす。


同時、青髪を囲む五人の少年全員に向けて――大きな炎が噴出した。


「がぁああああっ」

「ぎゃあぁぁ!」

「あ、熱ちぃいいっ、し、死ぬぅぅうう!」

青髪は「あはははははー」と笑いながら、炎を消す。
少年らは火傷に悶え、床を転がる。
空気が変わった。

「ほぉ?念動力か」

青髪を飛ばそうとしたのだろう。
青髪には効かないが、何をしたのかは空気の流れで分かった。
脚に火傷を負いながらも念動力を放った少年。
青髪は彼に手の平を向ける。
少年も青髪に対抗しようと手の平を向けた。

「ごばァッッ……!」

直後。
その少年は吹き飛び、倉庫内のドラム缶にぶつかってドラム缶を凹ませる。
少年は気を失い、ぐだりと手足を床に下ろして停止した。

――この程度かぁ。つまらんなー

リミッターを解除するまでもない。

青髪ピアスは、残り四人をどう料理するか考え――ニタァァアアと笑った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
沙耶――

雨蛙の本拠地。
とある病院に、沙耶はやって来た。
時刻は深夜1時。
能力を発動させ、3階の病室まで上昇する。
窓枠に乗ると、能力で磁力操作し、窓の鍵を開ける。
そして――その部屋に侵入した。

〝アヤ〟の眠る部屋に。

869 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/16(月) 23:39:28.36 ID:SUwoI2so [5/6]
「動かないで」

突然聞こえたその声に、沙耶はビクリと腰を浮かす。
声の主は、ベッドの隣に位置する椅子に座っていた。
ベッドの上では、アヤが寝息を立てている。

「……ビックリしたなぁ。どうしたの?」

沙耶は馴れ馴れしくその人物に話しかける。
黒いヒールの少女――テレポーターに。

「この子を攫いに来たの……?」

やや緊張した面持ちで、黒いヒールの少女が訊く。
彼女の体は、あちこちに包帯が巻かれている。

「そうだよ。あと、」

ニコリ、と沙耶が笑う。


「生きてたんなら、あなたも回収にね?」


ゾクッ、と黒いヒールの少女は震え――ボタンを押した。

「ん?」

ピッ、という小さな音。
それは、少女の持つ小さな機械から鳴った。

「今、何をしたの?」

黒いヒールの少女は答えない。
やがて、足音が響いた。
誰かが病院の廊下を走って来る。

――ちっ、面倒な。

沙耶は影を展開させる。
病室内の床を、黒一色にする。
黒いヒールの少女が慌てて脚を持ち上げる。
これで、誰が入って来ても、入って来た瞬間に意識を飛ばせる。
ガラッ、と扉が開いた。

――え?

ひとりでに。
それは念動力。
わずかに浮きながら、病室に入って来たのは――吹寄制理だった。

870 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/16(月) 23:51:57.35 ID:SUwoI2so [6/6]
ガラスが破裂した。

「なっ!?」

吹寄は病室に入った直後、室内のガラスが一斉に割れたことに驚く。
窓際のガラスが全て砕けた。
そして、外に落ちた。
突然の騒音。
警備員などがすぐに駆け付けるだろう。
バチン、と紫電が弾けた。

「あぅっ……!」

黒いヒールの少女は、電気ショックで意識を失った。
そして、それらを起こした沙耶はケタケタと笑った。

「どいつもこいつも裏切ってくれちゃってさぁー」

身構える吹寄。

「麦野もこの子もさぁ、私の物にならないなら――壊しちゃうよ?」

吹寄は表情を変えない。
沙耶を睨む。

――戦ってる暇はなさそうだね。

沙耶は黒いヒールの少女と、アヤを抱える。

「んしょっ」

そして――窓から飛び降りた。

「っ!」

突然の行動に吹寄が一瞬遅れる。
沙耶は空中で〝手〟を生み出す。
そして重力操作を行う。
二人を抱えた沙耶は、ゆっくりと地面に着地する。

「待て貴様!」

ズドン、と大きな音がした。
吹寄が飛び降りたのだ。
骨折一つなく、その能力でコンクリートの地面を抉り――吹寄は着地した。
沙耶はアヤを肩に担ぎ、片手を吹寄に向ける。

「あんまり、暗部を舐めないでよ」

そして、能力を放った。

871 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 00:02:57.89 ID:Z2H3CFwo [1/9]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある実験施設――

「はぁ……疲れた。アレイスター、連れて来たよ?」

沙耶は実験施設内の通信で、アレイスターに連絡を取る。

『ふむ。では始めようか――〝天使〟の出現を』

アレイスターは無機質な声だが、どこか楽しげに思えた。

「任せといてー。〝アヤ〟に、こいつを入力すればいいんでしょ?」

ケタケタ笑い、沙耶はアヤに学習装置を取り付けた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
吹寄サイド――

「はぁ……!ごほッ……!」

吹寄は、地面に倒れながら携帯電話を取り出す。
コールするのは青髪ピアスの少年。

『……はーい何か用かいなー?吹寄ちゃん』

能天気な声がする。
いつもなら「もっとシャキッとしなさい馬鹿!」と怒鳴るが、こんな状況ではその声は吹寄を安心させた。

「……はぁ……!ごめ、ん……」

『……吹寄ちゃん?どないしたん?』

青髪の声からふざけの色が消える。


「ごめん……!アヤが――暗部に連れ去られた!あたし……!守れなかった!」


涙が零れる。
悔しくて悔しくて、吹寄は拳を握り締める。
しばらく沈黙し、

『……吹寄ちゃんはよく頑張ったで?――後はボクらに任せてくれや』

青髪ピアスの力強い言葉が返って来た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

872 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 00:16:57.77 ID:Z2H3CFwo [2/9]
ジジッ、

ジジジジジジッ、

ジジジジジジジッジジジジジジジジジジジジジジッ、

それが――姿を現し――浸食を開始する――。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
窓のないビル――

『ついに天使の出現かぁー』

通話。
アレイスターと通話するのはレベル6。

『そういえばアレイスター、天使ってどんなんだぁ?』

「……」

アレイスターは答えない。

『……ん?おいアレイスター。なんか来たんだが』

アレイスターは答えず、

『な、なぁんでこの時空にやって来れるんだぁ?これは何だ?』

ただ、笑った。

『お、おいアレイスター!なんだこの黒い、データの集合体みたいなやつはぁ!?』

答えない。

『て、てめえ!まさかこの俺をぉぉ!?レベル6であるこの俺を裏切るのかぁぁぁ!?アレイスター!!』

プランの進行に、アレイスターは笑った。

『や、やめろぉぉぉぉ!!――ぎゃぁぁっぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

――レベル6を、天使が喰らったか。

――予定通り。私はね、貴重な物を手元には置かない主義なのだよ。

――手元に、籠に入れて大事に取って置くのは――より貴重な物への〝餌〟だけだ。

――さぁ、始めようか。

アレイスターは、培養器の中で――薄く笑った。
駒は揃った――。

885 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 22:25:16.09 ID:Z2H3CFwo [5/9]
ジジジッ、

「sdfghji9876542wse358ujhbfd78ijhgfdew7uikjfde567ude」

ジジッジジジジジジジジジジッジ、

「e4567890pol46kmn4bvfdsw23456y6yuw5877jry57itgfdsw21qasdhy789okm」

黒いデータの集合体が、学園都市に姿を現す。

午前1時42分。

多くの学生が、眠りについている。

または、眠りにつこうとしている。

レム睡眠、ノンレム睡眠。

彼ら彼女の夢の中が、

AIM拡散力場が、

学園都市に現れた黒いデータの集合体〝天使〟の元に集まる。

データが集まる。

「1357896136805685782705787-068058701701856917687106169-16791-671-568-957-24578-54927891750176028-681-861-9861-67143768918375014957301957096816710」

だが、まだ足りない。

自意識が沈んでいる状態では足りない。

それでは、天使にとって足りない。

現在起きている学生は、約31%。

まだ足りない。

もっと、人の意識が必要だ。

それは――いつになったら手に入る。

朝だ――日が昇れば学生らは目覚める――。

ならば――と天使はデータ採集を中断し――スリープ状態になる――。

朝を――待とう。



886 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 22:36:20.76 ID:Z2H3CFwo [6/9]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
沙耶サイド――

「およ…?天使消えちゃったよ?」

『構わない。一時的なスリープ状態になっただけだ』

「そうなの?それじゃー今日はすることないか」

沙耶は研究所のソファに腰を下ろす。

『……また連絡する』

「あいさー」

沙耶が適当に返事をすると、アレイスターからの通信が切れた。

「……」

「そんな警戒しなくてもいいよ。別に取って食おうって腹じゃないからさ」

黒いヒールの少女に、笑いかける。
黒いヒールの少女は、一つの椅子に座ったままこちらを警戒している。

「私を、連れ戻したのはなんで……?」

「必要だから。結構人手不足なんだよねー」

「そう……」

「それだけじゃないけど」

「?」

沙耶はそのまま横になり、眠りの姿勢に入る。


「こっち側(暗部側) にいないと――死んじゃうからね」


見捨てたくないしねー、と呟くと、沙耶は眠りに落ちた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青髪サイド――

道端に落ちいていた機械を拾い上げる。
黒いヒールの少女に持たせておいた物だ。
ご丁寧にも、それとは別に服や靴に付けておいた発信機まで落とされている。
青髪ピアスの少年は、それを手近なゴミ箱に放る。
そして――とある少女に電話をかけた。

887 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 23:03:32.93 ID:Z2H3CFwo [7/9]
『――今何時だと思っているんだ?』

少しムッとした少女の声。
対し、アレイスターは何をしているのか、と青髪ピアスは訊く。

『私の第一声は無視か。まぁお前の気持ちはわかるけど?』

知っていることを話してくれ、と言う。

『私が知っている事を全て話すには時間がかかり過ぎるけど?というか全てを話すつもりなんてないけど』

雨蛙の協力者なんだろう?

『面白いことになっているからね。目に付いた馬に馬券を賭けるようなものさ。都合の良い情報屋になったつもりはないけど?』

アヤが連れ去られた。

『ふむ。始まったようだな』

何がだ。

『アレイスターの計画の一つ。レベル6と天使、あとは幻想殺しといったところか』

何!?

『安心したまえ。夜中にやっても意味がない。恐らく、今は準備段階を終えた所。夜中でもなければ病院に侵入できなかったというのが理由だと思うけど』

……その通りだろうな。

『ではおやすみ。――始まるなら、明日だよ』


そう言って、雲川芹亜は通話を切った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アレイスターサイド――

数日前の事だ。
ローマ教皇が、神の右席二人を引き連れてやって来た。
もちろんアレイスターが招いた。

「私には少し先が見えている。――君らの出番はまだ先だ」

アレイスターは、彼らにそう言い放った。
そして、彼らを国に返した。
案ずるな、魔術サイドに影響は出さない、と。
これからアレイスターが行うことは、あくまで学園都市内で納めると。
そんな数日前の出来事を思い返し――そして、天使の出現から日が昇るまでを静かに待った。

888 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/17(火) 23:20:25.83 ID:Z2H3CFwo [8/9]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌日――
上条サイド――

「ふぁぁ……眠ぃ」

歩きながら垣根が欠伸をする。

「そんなんで映画なんか見れんのか?」

上条は少し呆れる。

「つか、俺が寝た後何時までゲームしてたんだよ」

「んー、上条が寝たのって何時だっけ?」

「確か、12時くらいだったか」

「あーすると5時までだから、ちょうど5時間ぐらい」

「どんだけ起きてんだよ!」

「大ー丈夫だって」とヘラヘラする垣根に上条は嘆息する。
夏休みということもあり、二人は私服だ。
数日前の心理掌握とのデートの日。
みんなで帰り道、今度全員で遊びに行こうと話した。
心理掌握は学園都市外にある海辺の別荘を提案。
それは外出許可など面倒なので保留。
そして麦野は、学園都市にある巨大室内プールを提案した。

「ウォータースライダー面白かったよなぁ」

そして、先日行って来た。

「上条は心理掌握のやつとイチャイチャしてたしなぁ?」

ニヤニヤと垣根が笑う。
上条は少し赤くなりつつも、反撃。

「か、垣根だって女の子連れて来たじゃねえか!なんか凄い仲良さそうに見えましたよーワタクシには!」

「バッ、あ、あいつはそんなんじゃねーよ!メジャーハートはよ、なんか暇だ暇だうるさいから連れて来ただけだって!」

あーそうかいそうですねー、と上条は適当に流す。
ふざけて言ってみただけだが、もしかすると本当にそういう関係なのか?と上条は疑問に思った。
もちろん口には出さない。だって垣根はツンデレなのだ。
上条と垣根はバスに乗り、映画館の方向に向かう。
今日は――心理掌握、上条、垣根、フレンダ、麦野、の5人で映画を見ることになっている。
夏休みの昼間は、学生で賑わっていた。

893 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/18(水) 00:55:49.01 ID:FVqnDnEo [1/5]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
黒いヒールの少女――

冗談じゃない、と少女は思った。
沙耶からの命令はこう、

『心理掌握を連れて来て。テレポートすれば楽だよね?』

そして、黒いヒールの少女は現在――心理掌握を追っていた。

――どうやって連れて行くのよ。

心理掌握の能力については、ある程度知っている。
半径5メートル以内に近づけば、即座に考えていることがばれてしまう。
それだけでない。
操るには、特殊な光みたいなものを当てるか、手で触れないといけないようだが、単純な〝命令〟ならば5メートル以内に入れば行使できるのだ。

――地面に伏せ!なんて言われたらその場でアウトよ……。

隙がないのだ。

――遠距離から攻撃するしか……ん?あれは麦野ッ!?で、あ、なんかもう一人合流した!?

ひとまず攻撃は中断。
しばらく離れた位置から後を追う。

そして、心理掌握たちが、幻想殺しと第二位と合流した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上条サイド――

「おーう早かったなぁ」

上条は心理掌握たちに手を振る。
心理掌握の顔がパァと明るくなる。

「なぁ垣根――」

ふと、上条の視界から垣根が消えた。

――お?

直後。

「がはぁっ!?」

黒いヒールの少女が、ゴミ箱に激突した。
スタッ、とその少女を蹴飛ばした張本人――垣根が上条の隣に舞い戻る。
上空から上条に迫った少女を、脚力だけでジャンプして蹴り飛ばしたのだ――。

894 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/18(水) 01:13:52.38 ID:FVqnDnEo [2/5]
「ぐっ……!」

黒いヒールの少女がフラフラしながら起き上がる。
垣根だけでなく、上条も警戒する。

――つってもあの包帯姿、痛々しいな……。

心理掌握とフレンダも警戒を。
麦野も元仲間だからか、嫌そうな顔をする。

「来て、もらうわよ……心理掌握」

呟くと、黒いヒールの少女の姿が消えた。
心理掌握の背後に回る。

「〝跪け〟!」

ビクッ、と気配に即座に反応した心理掌握。
骨の折れる嫌な音とともに、黒いヒールの少女が地面に伏せた。

「ッッ!ぐぁっ!」

突然の命令を神経回路に通され、腕が折れまがった状態で地面に伏せてしまう。
だが、それでも、黒いヒールの少女はニタァアと笑った。

「気を付けろッ!」

上条は慌てて心理掌握に駆け寄る。
だが遅い。
黒いヒールの少女は、心理掌握に触れただけ。
それだけで――その場から消えた。


ズダダダダッッ、とマシンガンのような騒音が響いた。
垣根が4枚の羽を展開している。
そして、そこから小さな羽根の礫を弾丸のように発射した。
ビルの一角に。
上条は目でそこを追う。
そこには心理掌握をかかえた黒いヒールの少女。
垣根の羽根が届く前に少女は心理掌握を抱えて姿を消す。
そして、隣のビルに。
今度は心理掌握の姿がない。

――やられた!別の場所にテレポートさせやがった!

改めて黒いヒールの少女が上条達から少し離れた地面に姿を現す。
再び、姿を消す。
今度は――麦野の背後に回った。
ヒュッ、という音とともに麦野の姿が消える。
黒いヒールの少女は、邪魔者を消しているのだ。

895 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/18(水) 01:27:55.44 ID:FVqnDnEo [3/5]
「上じょ――」

言いかけたフレンダも、消されてしまう。

「テメェ!」

上条が黒いヒールの少女を睨む。
黒いヒールの少女は、体のあちこちを壊している。
それでも、冷や汗をかきながら――ニタァアアと笑った。
垣根と上条を見遣る。

「これで、駒は揃ったわ……!」

「あいつらをッ!どこにやりやがった!?」

「ふん、少し離れた場所よ。殺す気なんかないわ……しばらく離れててもらうだけ」

そう言うと、黒いヒールの少女が姿を消した。

「くそっ!あいつどこに!」

「落ちつけ上条!今、調べる」

垣根が取りだしたのは一つのデバイス。

「AIMキャプチャーだ。これで、心理掌握の能力を検索すれば……」

「そうか!心理掌握が必要なら心理掌握と一緒にいるってk――」

言いかけた上条。
そして、垣根。
それだけでなく、上条達の騒ぎを遠巻きに見てた学生たち。


全員が――上空を見上げた。


そこには、巨大な――黒いデータの集合体がいた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
心理掌握サイド――

ここは……研究所?
なんでこんな場所に私が――って拘束されてる!?
様々な機器が取り付けられていて、私の周りには誰もいない。
当たり前だ。近くに誰かいれば操れるもの。
そして、私は辺りを見回し、

アヤを発見した――。

896 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/18(水) 01:42:23.19 ID:FVqnDnEo [4/5]
「な……!なんでアヤがここに!?」

くっ、動けない!
アヤは頭に装置を付けられ簡易ベッドの上に寝かされている。

「誰が、こんなことを……!アヤを離しなさい!」

いた。
私を拘束する機器から、恐らく7メートルほど離れた位置に。
ソファに悠々と座る少女。

「こんにちは、心理掌握さん。私は第三位の未知源発――あなたのこと、ずっと探してたんだぁー」

ニタニタと笑う。
そして、リモコンのような機械をこちらに向けた。


「そして――さようなら」


ピッ、と小さな機械音がした。
そして、私の視界をヘルメットのような機械が覆った。


「ッッッッッ!?がッアアぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


学園都市の全ての――――声が頭に飛び込んできた。

『あっちぃ……』『バイト辞めたいなー』『ていうかぁ、あいつ最近付き合い悪いっつーの』『ア、アイス……』『だりぃ……』『やばっ!一一一かっこいいー!』
『結局こいつと別れよう、とか思ってたけど別れないなぁ。やっぱメンドーなんだよな、別れ話とかさ。あーあーつっまんねー。つか、こいつは俺のことどう思ってんだろ』
『新しい男に乗り変えようかなー、なんて思ってたけど何故かこいつと一緒にいる私。もういっかなー新しい関係築くのも大変だし』『よーし勉強頑張るぞー!』
『能力上がんねーなー』『あの教師マジむかつく!なんであたしだけ補習なのよ!絶対あたし目当てだろエロ教師死ね!』『図書室で勉強しようかなぁ』『殺した跡は灰にすればいいんだ』
『ゲコ太!?ふ、ふっふふー。私としたことが見逃しそうになったわ。えーとガチャガチャするには小銭あったかなー?』『あぁっ!クッソうぜえ!なんで研究費カットなんだよ死ねや老いぼれ!』
『スキルアウトのリーダーっていつからいるんだろ』『ひぃぃっ!なんでこの僕がカツアゲされんだよぉぉ!くそっ、役に立たない風紀委員め!』『あー!彼女欲しい!』
『だぁー!この店品揃え悪ぃな!他の店でタバコ買わなきゃじゃねえか!』『補習マジしんどいー早くおわれー』『お昼は冷やし中華でも買ってくるかな』『暑いですの……』
『あの野郎!逃がさねえ!』『うっわ、あれレベル4相当じゃねえか!こんな街中で能力使ってんじゃねえよ!』『理事会の他の連中がどう動くかによるな』『演算パターンを応用すれば……』
『お、新しいスレ発見。――ん?レベル3だけど質問ある?……だと?ナメてんのかコラ。レベル4のフリして書き込んでやろ。俺、無能力者だけど』『暗部組織の相次ぐ壊滅か、厄介だ』
『ふっーいい汗かいたじゃん。ったく、あいつらこのくらいでバテてやがる。まだサボりにサボりやがった体育の授業の補習はこれからじゃん』『やべ!合併号また買っちまった!』
『この服可愛いー……どぅええっ。高っ』『あ、このクレープ美味しいっ。アイス入りってのも結構イケるね』『今日は調理実習が多い日なんだなー。面白い料理覚えたら兄貴に作ってやろー』
『うー早く次のシステムスキャン来ないかなぁ。せめてレベル2にはなりたいよぉ』『全く!超駄作でした!あれでB級映画なぞ名乗らないで欲しいですね!やるならもっと超弾けて欲しいものです』
『学園都市でライブやるってマジなんだー、あー、恵美子も誘おっかなー』『あ、切れた。――そろそろコイツも寿命かなぁ、新しいギター欲しい』『プレ4の新作ゲーム発売かぁ。金が……』

声、声、声、声、声、st;hjりjちはhてほkphてほえあkh@てhけあ@hけた@hけt@thけth@えhか@phgぁ@phぁphぁ@えhlたp@hぁ@pgkておhこhけあhこてp@へk@えhこえあ。

学園都市の全てが――心理掌握に注ぎ込まれる。

そして――それらが〝天使〟の元へと送られる――。

学園都市を――巨大な闇が覆った――。

909 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 22:07:42.85 ID:G7G.5hYo [1/8]
上条サイド――

「な……なんだよアレ…」

上条はしばらく、開いた口が塞がらなかった。
上空に何かいるのではない。
空が、黒いのだ。
雲も、青い空も、強い日差しも、何も見えない。
あるのは黒い霞。
漆黒というわけではなく、電流で砂鉄を集めたかのような集合体。
その大きさは計り知れない。
少なくとも目の届く範囲は全て、これに覆われている。
一学区丸ごとどころか、もしかしたら学園都市の全てを覆っているのではないかと思える。
それが、黒い霞に見えるのは上条の視界が真っ暗でないからだ。
黒い霞には、夜空に浮かぶ星々のような小さな光が浮かんでいる。
それがまばらに点々とあり、輝き、パチパチと電気のように光る。
いや、恐らく電流であっている。
何故ならそれは、この黒い霞はデータの集合体を思わせるからだ。
黒い霞に覆われていても、小さな光が上条らを照らす。
だからこそ上条は辺りの状況が目に見えた。
昼間でも、店などの電子看板は光を発している。
上条の近くに位置するコンビニや、ファミレス、駅などのそういった部位が黒い世界で怪しく光る。

「うあぁぁ」

「な、何が起こってんだよぉ……!」

「に、日食か!?それにしてもあの光は、一体……」

学生らは、コンビニや駅に逃げて行く。
まるで空襲が始まった最中、防空壕に逃げるように。
建物の中に避難していく。

――くそっ、何が起こってやがる。

上条はようやく、ピンと張っていた脚を動かせた。
ジャリ、と地面を擦る音が鳴り、その音でより現実感を取り戻せた。

「上条、大丈夫か?」

垣根がこちらに走って来た。

「ん、ああ。なんなんだアレは。日食ってわけでもなさそうだが……」

「日食ってのは太陽と月が重なるから起こる。だが見てみろ上条、見えるか?あの光と黒い霞、隙間があるだろ」

「……わっかんねえ」

「そうか。あの向こうに、わずかながら光が見える。てことはこれは日食でも雲でもない」

910 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 22:23:45.20 ID:G7G.5hYo [2/8]
「だったらアレは何なんだ?」

「わっかんねえ。――だが、タイミングが合っているな」

「タイミング?」

「心理掌握のやつを連れて行かれたのと、だ。もしかしたら、これが心理掌握を『レベル6の鍵を握っている』と言わせるものなのか……」

「レベル6!?」

とんでもないことを聞いた。

――あ、そういえばレベル6を目指すために能力開発ってされてるんだっけか。

「つか、レベル6云々って本当に目指してたんだな」

「ん?まァな。俺だってスペアプランなんて言われてるし。レベル6になれる、な」

「と、いうことは心理掌握のやつはレベル6候補じゃないのか?」

「そうだな。――あぁーっとこれは上条の護衛に付く前のことなんだがな」

と、垣根は石ころを蹴飛ばして話す。

「上条。つまりは幻想殺し、そして心理掌握。この二人がレベル6の鍵なんだとよ」

「えぇええ!?俺が!?」

――なんで!?ただのレベル0だぞ!?

「詳しく話すにも時間はねえし……それに俺だってアレイスターの全てを知ってるわけじゃねえからなぁ」

垣根は髪をかきむしる。

「――つまりだ。今回のコレは、心理掌握を利用して行(おこな)ってんだろうな」

「レベル6の鍵である、心理掌握を……ん?ということは奴らの狙いは……!」

垣根がニッ、と上条に笑いかける。

「おぅ、俺か第一位だろうな」

「ったく、とんでもないな。理事長は」

「俺たちはもっととんでもないことをするがな」

垣根が人の悪い顔をする。
そして、上条に当たり前のことを確認した。

「俺達はこれから学園都市統括理事長に逆らうんだからよ。――そうだろ、上条?心理掌握の奴を助けにさ」

911 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 22:39:00.88 ID:G7G.5hYo [3/8]
「あぁ、もちろんだ!」

「んじゃ、行くぜ!」

垣根が再び四枚の羽を展開する。
そして上条に手を差し伸べる。

「あのぉ……上条さんにはこの右手があるのですが」

「それなら俺の脚に掴まってるか?そうすりゃ羽に右手が触れるこたぁねえだろ」

「めっちゃ脚痛くなるぞ?」

「はッ、天下のレベル5にとっちゃ余裕だ」

ということで。
垣根が羽を羽ばたかせる様子を上条は見ていた。
やがて、ヘリコプターが真上に飛ぶように飛び上がる垣根。
しばらく低空飛行を続ける。
それに向かって上条が走りだす。

「行くぞッ」

ダンッ、と地面を蹴る。
低空飛行する垣根の脚を掴む。
ぐら、と少し垣根の体が傾く。
垣根はそれに合わせて調節するように、羽の羽ばたきを強める。
しばらく、上条のスニーカーが地面を擦った。
そして、飛行機のように上条の脚が地面から離れた。
そのまま垣根は上条に掴まれながら飛び上がる。

「うっひゃぁ!最高だな上条!」

「こえぇぇぇええええええ!ちょっ、マジ怖い!死ぬ死ぬ死ぬ!」

「あれー?上条ってば高い所苦手?」

「そう言う問題じゃねええ!なんだこれ!速度凄いから顔面に風当たって目が開かねえし!脚ぶらぶらして超こええし!ていうか脚ずっと掴んでるとかよく考えたら俺の握力死ぬ!!」

「あーなるほどなー」

「なんでそんな涼しい顔してんだよ!」

「とりあえず、落ちそうなら俺の膝辺りまで登って上半身で抱きついとけ」

「ぐぅ……!こ、このままじゃ落ちる…!そ、そうする」

「おう。てことで倍速ぅー」

「ぎゃぁーーッ!」

912 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 22:54:04.97 ID:G7G.5hYo [4/8]
「む、麦野やフレンダはどうするんだ!?」

上条は目を瞑って唇を震わせながら大声で尋ねる。
振動が強い。
上条のトレードマークのツンツン頭も後ろになびいている。

「そうだなー!あいつらなら放っておいても大丈夫だろー!」

風が強いなかで垣根も大声で返答する。

「そうかぁ!そうだな……!」

「おーう!それに上条は!……おっと……上条は麦野にもう人殺しさせたくねえんだろ!?」

垣根が途中で方向転換する。

「できれば……!俺は!お前にもそうして欲しい!」

「…………」

しばらく、垣根が押し黙った。

「勝手なことを言っているのはわかってる!何も知らないくせに!俺のエゴを押しつけているのも分かってる!」

「…………」

「でも!お前にそうして欲しい!」

「な……ぜだ……」

小さな、垣根の声がした。
わずかだが、そう聞こえた。
バタバタと上条の服がはためく。
そんな中で、上条は大声を上げる。
垣根にちゃんと、聞こえるように。


「友達だからに、決まってんだろぉぉぉ!!――お前が!俺の…!大切な友達だから!だから!勝手なエゴでも!なんでも!」


上条は思いっきり、叫ぶ。
喉が潰れそうになるほど。

「お前と……!!ずっと一緒にバカやって笑っていたいんだよ……ッッ!!……なぁ垣根!!」

「……ッッ!…………ッッ!」

垣根は、言葉を返せない。
ただ、嗚咽を漏らした。
垣根から自然と流れた大量の涙が――上条の頬にかかった。

913 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 23:05:44.12 ID:G7G.5hYo [5/8]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――麦野サイド

「ここは……」

どこか、と思ったらセブンスミストの前だ。

――ということは、上条たちと一緒にいた場所からそんなに離れていないか。

空を見上げる。
黒い霞の空。
わずかな光。

「嫌な空ね」

次に辺りを見回す。
たくさんの学生。
大人もいる。
彼ら彼女らは、慌てふためき建物の中に逃げ込んでいく。
麦野の横を通り過ぎ、多くの人間がセブンスミストの中に入って行った。

「……痛っ」

だれかが麦野の脚を蹴った。
これだけの混雑だ。有り得ないことではない。
ムカッとした麦野はすぐにその人物を発見し、ヒールでその少年のスニーカーを踏む。

「ぎゃぁっ!いってええ!」

フン、と麦野は興味をなくしてその場を去る。
昼間っから電気を使いまくって明るい店内へ、ではない。

「とりあえず、上条達のいたところに行くか」

歩き出した麦野。
突然、様子が変わった。
上空を見上げている連中の。

――あん?何にビビってんのよ。

麦野もそれにならって空を見上げた。
どうせさっきと同じでしょ、と口にしながら。

「なっ……!?」

黒い霞が、降って来た。
雨のように、雪のように。
バチバチと電流が流れているかのような、黒い霞が街中に降って来た。
人にはぶつからず、地面に付くと他の霞と引き付け合い――大きな塊になっていく。
その大きさは人間一人分くらいだ。

914 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 23:15:33.89 ID:G7G.5hYo [6/8]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
フレンダサイド――

黒い雨が降り出した。

「なんなのコレ!?」

フレンダは取り壊し中のビルにいた。
テレポートされた場所がここなのだ。
そこに、つい先ほどから黒い霞が上空から降って来るのだ。
いや、違う。
見渡す限りの黒い空。
ここから見える限り、学園都市全体にその霞が降って来ている。

「な、何が起こってる訳?」

地面に落ちた霞。
バチバチと青い電流を弾かせ、霞同士が引き寄せ合う。
やがて人間大の大きさになると、他の霞とは引き寄せ合わなくなる。
それぞれ、別の霞も、人間大の大きさを目指している。

「こ、こわぁー」

それが段々とフレンダに近づいてくる。

「きゃあぁぁーーー!マジ怖い怖い!」

逃げるも、反対方向から、人間大の霞がやって来る。

「な、ななな何なのよぉー!結局どうなってる訳ー!?」

一つの霞が、フレンダの前で止まった。
そして、バチバチと鳴らしながら形を変えていく。
粘土のように、ぐにゃぐにゃと。
やがて、人間の体付きになっていく。
頭、肩、腕、腰、脚、と徐々に人間の形を作る。
さらにはフレンダと同じ身の丈にまでなる。

「――――ッ!?」

黒い霞が、輝いた。
霞のあちこちで輝く、光が。
霞はさながら宇宙のように見えた。
光は星々。
その光が、フラッシュのようにフレンダの視界を光で照らす。
目を開けると、

「な、なんで……!?」

邪悪に笑む自分自身――もう一人のフレンダがフレンダの眼前にいた。

915 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/20(金) 23:32:32.68 ID:G7G.5hYo [7/8]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
沙耶サイド――

「いらっしゃーい。なんちって、あはは」

沙耶は、研究所内でソファに座ったまま笑った。
入り口が吹き飛ばされた。
ガラスも壁も砕かれ、扉という扉をぶち壊された。
機械という機械を砕き、燃やし、粉々にされた。

「ようこそ――第二位垣根帝督」

それを行った人物、垣根帝督が沙耶の元に辿り着いた。

「それと、幻想殺し」

幻想殺し、上条当麻もその傍らにいる。
上条当麻は怒りを露わにした。

「あいつは……!心理掌握はどこにいる!」

「よくここがわかったねえ」

温度差があった。
沙耶はそんな上条に対し、飄々としている。

「俺がAIMキャプチャーを持っていることを忘れたわけではないだろ、第三位」

垣根が手近にあった机を蹴り飛ばす。
机は一つの大きなマシンにぶつかり、マシンを凹ませた。
バチリ、と紫電が弾けた。コードがむき出しになっているのだ。
何千万するかわからない機械を、また壊された。
それでも沙耶は笑むを崩さない。
何故なら、

「わかってんだよ第三位。テメェ、俺と上条を呼び寄せたかったんだろ?だから麦野たちをどかした」

予定通り、第二位と幻想殺しをここに連れて来られたから。

「なんでアレイスターに従ってんだ!お前だって学生なんだろ!?こんなことして、お前に何の得があんだよ!」

上条が牙をむき出しにする野生動物のように、吠えた。

「そりゃ得があるからだよー。ていうか、私はアレイスターの駒として作られた。――だから垣根みたいな超能力者とは訳が違うの。故に自分勝手に行動したりしないってこと」

パチン、と沙耶が指を鳴らした。
それを合図に、研究所内の奥から暗部の面々が姿を現す。
上条と垣根を相手に、沙耶たちは薄く笑んだ。

「さぁ、始めようか?」

929 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 00:46:35.55 ID:Yj1CPuAo [1/24]
上条サイド――

「心理掌握のやつはどこだ」

垣根が沙耶に尋ねた。
沙耶はニタニタと笑うだけで答えない。

「……上条」

「わかった。そいつはお前に任せる」

「大丈夫か?上条一人で二人を相手してもらうことになるが」

「心配すんなって。あいつらは計画とやらに俺が必要なんだろ?なら殺せないはずだ」

上条が拳を握り締める。
よし、と垣根は一息吐くと沙耶に目線を固定した。
垣根の背から四枚の羽が飛び出す。

「いいよ、私を倒せたら教えてあげる――」

沙耶が〝手〟を研究所の天井に向ける。
ギィン、と低音が響く。
重力を操り内側から天井を弾き飛ばした。
ガラスの破片が黒い空に散る。
パラパラと光を浴びたそれが幻想的に輝く。
その元で、沙耶が飛び上がった。

「――心理掌握とアヤの居場所をね。来なよ未元物質、私たちの戦場にするにはここは狭すぎる」

〝手〟が沙耶の体を掴んだ。
握り締め、上昇。
研究所内を突風が襲う。
垣根は黙って。
黙って、そのまま飛翔。

「あっはは!幻想殺しは任せたよ!」

沙耶と垣根の姿が暗闇の外に消えて行く。
違う、消えない。
彼らの存在はあまりにも大き過ぎる。
バチッ、バチッと二つの力がぶつかっていた。

「よそ見もそれくらいにするんだな?」

「ッ!が、はッッ!」

暗部の連中から目を逸らした上条。
突き刺すような強い蹴りが、上条の腹を抉った。
そのまま後方の機器にぶつかって、上条は呻く。

930 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 01:13:53.36 ID:Yj1CPuAo [2/24]
「うぐぁっ……!ぐ、が……」

激痛で、上条はしばらく動けなかった。
今までにこんな強い蹴りを喰らったことがあったろうか?
それほどまでに、鋭い蹴り。

「あ……・んた……何者、だ……?」

上条は腹を押さえ、ふらふらと立ち上がる。
対し、その男は冷静。
サングラスをしたスーツの男だ。
歳は二十代後半から三十代といったところか。

「甲賀だよ、甲賀の末裔さ」

ギュッ、とグローブを付けた拳を握り締める。

「私の名前は杉谷。正義を行う者だ」

「せい、ぎ……だと……?」

「そうだ」

杉谷はカツカツと足音を立てて近付く。

「おい」

その後ろからもう一人の暗部が声をかけた。
パイロキネシストの大男だ。

「なんだ」

極めて冷静に、どうでもよさそうに杉谷が振り返る。

「幻想殺しは俺にやらせろ」

「くだらんな。お前は一度裏切りをしている。幻想殺しの重要性も知らずに殺そうとしただろう?そんなお前に任せられるか」

「な、ならなんで俺をここに連れて来た!」

「人手不足、と聞かなかったか?それと――」

杉谷がスーツのポケットに手を入れた。
取りだしたのは拳銃。

「てめっ……!」

「生きているなら回収。――お前には他の裏切り者の排除をさせたからな。喜べ、お前の役目は今、終わった」

パイロキネシストが能力を使うより先に、杉谷の拳銃が火を噴き――大男の眉間をぶち抜いた。

932 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 01:31:23.90 ID:Yj1CPuAo [3/24]
「なっ!?仲間を、殺しやがったのか!?テメェ!!」

激昂する上条。
対し、杉谷は涼しい表情で拳銃を上条に向けた。

「仲間?あれはただのクズだ。あんな悪人が存在を許される必要がどこにある」

「お前にそれを決める権利があんのかよ!テメェが悪としたら、そいつは生きてちゃいけねえのか!?」

「奴は悪だ。悪が存在して良い理由など、この世のどこにも存在しない」


「そんなことねえよッッ!!そんなこと、絶対にねえんだよ……!!」


上条が拳をモニターに叩きつけた。
モニターは画面が割れ、大きな音を立てて床に落ちた。


「なんでだよ……!なんで、なんでテメェらはいつもそうなんだ……!」


「何が言いたい」


「悪だとか……、罪だとか……、罰だとか……、どうして、どうしてそんなにルールを敷きたがるんだ!?なんでそんなに厳しいんだよ!!」


上条のそれは、怒りだけではなかった。
そこには、悔しさと悲しさが。


「俺にはわかんねえよ……。どうして、そんなに悪だ正義だと主張したがる……!?俺たちは物語の主人公じゃねえんだよ……!どんなに間違っても、やり直していいだろ……?それが人生だろ!?わけわかんねえよ……」


「それはお前が暗部を知らないからだ。罪を知らないから。人を殺したことのないお前が、何を知れると言う?」


冷笑を浮かべる杉谷。


「ふん、笑わせるな。誰だってそうだ。死刑制度を撤廃しろと言うやつがいるだろ?それを見てどう思う?俺にはエゴの押しつけにしか思えんね。カワイソウ、なんて言って見下せる自分が堪らなく心地よい立場なんだろう」


上条に、口を挟ませない。


「卑屈だとでも言うか?それもいい。だがな、幻想殺し。人を殺した事のない人間に、人を殺した人間の気持ちなど理解できない。お前がどんなに吠えようと、それは大きなエゴ、偽善の押しつけ、罪と罰も理解できぬお前にこの世界に首を突っ込む権利はない」

933 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 01:48:32.88 ID:Yj1CPuAo [4/24]
「権利なんて関係ねえよ……」

「そうか」

「お前は……!権利が無いと誰かに言わて、諦めんのか!?テメェの大切なモンを奪われて、それを取り返そうとして、そこに権利だ悪だ罪だなんてゴチャゴチャ言われて……引き下がれんのか……!?」

「さて、どうかな。私には大切なモノなど己の信念しかない」

「信念、だと……?」

「そうさ、正義を行うことだ」

ギリッ、と上条が奥歯を噛み締めた。
拳を握り締める。

「俺には、正義なんて理解できねえ……」

「お前は正義ではないからな。お前は、ただのヒーローだ」

「うるせぇ……!俺はそんな肩書いらねえ!」

「いいや、教えてやろう。正義とはな、悪を罰することのできる者だ」

杉谷が拳を構える。
上条は床を蹴り、杉谷に向かう。
杉谷が上条に向けて、拳を繰り出した。
拳が、三つに分身したかと思えた。
防げた分身は一つ。
だがそれは上条の腕に触れる前に姿を消す。
残りの二つ。
どちらが来るか、わからない。

――くぁっ!?

一つは、上条の眼球の直前までやって来た。
思わず目を閉じてしまう。


「ごふぉッ!?」


そして、怯んだ上条の腹に正拳突きが炸裂した。
吐き気を通り越して頭痛すらした。
そのまま床に転がってジタバタと脚のもがれた昆虫のように呻く。

「悪を許した時点で、お前は正義を気取ることはできない。悪を罰する覚悟もなしに、正義は語れない。お前は、誰かれ構わず目に入った者を独善で助ける――その場限りのヒーローに過ぎない」

静かな杉谷の声が響く。
そこには、感情の高まりが垣間見えた。
上条は痛みに苦しみながらも――拳を強く握る。

934 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 02:00:26.56 ID:Yj1CPuAo [5/24]
「ごほっ……!ぐ、がぁああっ……!」

立ち上がるのも、辛い。

「……わからんな」

そんな上条を見て一言。

「どうしてヒーローになどなりたがる?お前が仲間と豪語する連中は、揃いもそろってクズばかりだ」

その一言が、上条の胸を抉る。
どんな否定の言葉よりも。

「クズなんかじゃ……ねえ……」

フラフラとしながらも、その脚は前へ。

「アイツらは……!俺の大切な友達だ!それを助けるのに、理由なんかあんのかよ」

「友達?はっ、笑わせるな。違う、それは間違っている。お前のその眼」

上条の眼を指さす。

「そんな眼をしたヒーローに、あいつらは相応しくない。お前とあいつらは、相容れない。お前には、もっと光ある世界の人間が相応しい」

「知るかよ……」

「いつか絶対に破滅の時が来る。ヒーローと悪が、手を繋いでハッピーエンドなんて幻想はありない」

「幻想なんかじゃ、ねえ……!」

「そして後悔する。お前は、そしてアイツらは、絶対に後悔する」

「しねえよ……」

「出会わなければ良かったと、な――!」

上条に拳が向かう。
上条はその拳を避けられないと知った。
だから、上条は脚の力を抜く。
驚いた顔をする杉谷。
拳は空振り。
上条を踏みつけようとした杉谷。

「これ、なんだと思う?」

上条が手にしたのはバチバチと電気を弾かせる、ケーブルの束。
上条がモニターを壊した際、床に転がった物。
杉谷が声をあげるより先に、電流が杉谷に流れた。


935 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 02:18:55.53 ID:Yj1CPuAo [6/24]
「……それで、勝てるとでも思ったか?」

数秒間電流を浴びるも、即座にその場を離れた杉谷。
大した効果は見られない。

「そんなチンケな電流で、私を倒せるものか」

「……」

上条は無言で立ち上がる。

「やめておけ」

無言で、立ち上がり、思い返す。

銀髪の男は言った――。

――だから俺は――闇に落ちた。

そう、薄く笑って言った。
たくさんの人間を殺して来た彼は、

――……安心しろ幻想殺し、もう俺が他人を殺すことはねえよ。

そう言った。
けれど、最後に見せた表情は、

――あばよ。

その顔は、人生に幕を引こうとしているかのようだった。
これで、終わりだと。

垣根は、いつだって飄々としていた。
彼は、いつだって孤独を感じさせた。
けれど、一体どれだけの人間が垣根の優しい一面を知っているのだろうか?

フレンダは、ずっと寂しそうだった。
そして、罪悪感を感じていた。
上条の監視という立場、麦野との離別。
それらを終わらせて、再び麦野や上条と笑いあえて、フレンダの本当の笑顔を上条は久しぶりに見た。

麦野はフレンダが唯一の支えで。
父を殺され、復讐に身を焦がした。
さらにはフレンダすら奪われ、どうしようもなくて、出口のないトンネルをひたすら走り続けた。
そんな彼女が、もう一度笑っているのだ。
この前なんて転んだ少女に手を貸して、大丈夫?なんて声をかえてあげて。
そんな優しい彼女に、生きてはいけないと言うのか?

上条は、それらを思い返して――やはり拳を握り締める。
正義だ悪だなんて、関係なかった。

936 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 02:29:17.32 ID:Yj1CPuAo [7/24]
「やっぱり、関係ねえんだよ」

「……」

「俺にとって、あいつらは友達でしかない。確かに、お前の言う通りなのかもしれないな」

上条は、拳を強く握りながらも、笑った。

「あいつらは、間違いを犯した。――その罪は拭えないよ。でもな、アンタも言ったろ?」

上条が、拳を眼前に構える。


「俺は正義なんかじゃないんだってな――テメェの大切な友達が連れ去られるなら意地でも取り返す。そこに正義なんかねえよ」


「……」


「俺は、悪だの正義だのを名乗る誰が相手だろうと、同じことをする。正しいやつが相手だろうと、俺は友達を取り返す。たとえ――」


「……」


「俺が悪者だと、言われようとな」


「……なるほど、良い心がけだ」


「だから、アンタが俺の大切なモンをクズだと言い、殺すのなら――俺は全力で喰いとめる」


そして、


「そして、アイツに……心理掌握のやつに手を出すなら、絶対に許さない」


「ほぉ?目付きが変わったな。そこに何があるのか、聞くのは野暮か?」


「構わねえよ俺はただ、」


上条は、大声で叫ぶ。


「心理掌握のやつのことが好きだぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!だから大切な恋人を、俺はッッ――守るッッ!!」

937 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 02:36:20.16 ID:Yj1CPuAo [8/24]
「くっくく……」

杉谷が笑い声をあげる。

「くっく、あっはは……!」

清々しそうに、心から楽しそうに。


「素晴らしいよ、幻想殺し。いや、上条当麻と呼ぼうか。私はお前を認めよう。喜べ、私に認められるなんてそうそうないぞ?」


「はっ、おっさんから求愛されても嬉しかねえよ。こちとらめちゃくちゃ可愛い彼女がいるんでね」


「あっはっは!そうかそうか、それは失礼」


だがな、と杉谷は前置きする。


「お前に心理掌握は、守れない」


「……」


「この計画は絶対だ。今回だけは諦めな、お前に彼女は救えない」


「いいぜ」


上条は、ニタリと笑った。
それは了承ではない。


「テメェが俺たちに バッドエンド しかないと言うのなら――」


右手を、大きく振りかぶる。


「まずは――その 幻想(バッドエンド) をぶち殺すッッ!!」

950 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:03:52.68 ID:Yj1CPuAo [12/24]
「……」

「……!」

杉谷が、拳銃を構えた。

「どうした?動けないか?」

だが、おかしい。

――杉谷の目線は、俺からずれてる?

そこで上条はようやく、異変に気付く。
沙耶が壊した天井。
そこから黒い霞が降って来ている。
それは研究所内に音もなく落ち、他の霞と融合する。

「これは……」

「言ったろう?私の目的は幻想殺しを殺すことではないと」

「これが、計画とやらなのか?空からこんなもんを降らせることが……」

上条の影が、重なった。
杉谷の持つ拳銃が火を噴く。
轟音。
弾丸は上条の腕と腹の合間をすり抜ける。

「なっ……!」

上条は後ろを振り向き、知った。
背後には――もう一人の上条当麻がいた。
だがそいつは、拳銃で腕を撃ち抜かれていたのに――傷一つない。

「フン、なるほどな……」

杉谷が拳銃をポケットにしまう。
上条はもう一人の自分の後ろの壁に、弾丸が突き刺さっていることに気付く。

「な、なんだよこいつ!」

「触れてみろ、自慢の右手でな」

ニヤッ、と杉谷が笑った。

「言われなくとも!」

音は、した。
けれどそれは、消えない。
もう一人の自分は――打ち消しきれない。

951 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:15:33.56 ID:Yj1CPuAo [13/24]
「な、なんで消えないんだよ!」

「俺もここにいてはマズイな」

杉谷はそう言うと携帯電話を取り出す。
上条の右手は、ずっともう一人の自分を打ち消そうとしている。

――こいつ!背中からひも状に伸ばして天まで届けている!?

もう一人の上条。
それは背中から黒いひもみたいな霞のものを、空高くまで伸ばしているのだ。
有線のラジコンのように。
常に幻想殺しがそれを消そうとしても、そのひもの先の空一面を消しきれないのだ。

「くっそぉぉ!」

「私だ。迎えに来い。座標は今回の研究所のD―3αルームだ」

「おい!逃げる気か!?」

「そんな化け物を相手にするつもりはないのでな」

「くっ」

上条は背中から床に転がり、右手をもう一人の自分から離した。

「はぁ……はぁ……ぐ、ぐぁああっ」

ドクン、と心臓が跳ねた。
何が起こったのか、わからない。
右手に痛みは特にない。
けれど、右手が、震えていた。
麻薬使用者のように、ピクピクと震えている。

「迎えに来たわ」

ヒュンッ、と空気を切る音とともに黒いヒールの少女がやって来た。
テレポートだ。

「見せてみろ、上条当麻。どこまでその信念が通るのか」

杉谷はそう言うと、口元を上げて笑い――女とともに消えた。

「ちっくしょう!なんだってんだよお前!」

霞で出来たもう一人の自分に上条は吠える。
だがソイツは笑うだけ、そして上条に近づいてくる。
上条は飛び退くと、研究所内を走りだした。

「心理掌握のやつは、どこにいるんだ……!」

952 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:24:53.37 ID:Yj1CPuAo [14/24]
「はぁ……はぁ……」

走り回る。
霞のソイツの速度は、あまり速くない。
だが確実に追って来る。
まるで、自身の影のように。

「ここは……!さ、さっき通ったか……!後はどこだよ、もう施設内全部見たぞ!?」

愚痴る間にも、ソイツは追ってくる。
椅子を投げつけてみた。
椅子はソイツをすり抜けて床に落ちる。

「実体が無いってのかよ!」

再び走る。

「どういうことだ……?これだけ見て回っても見つからないなんてまるで……」

垣根のAIMキャプチャーでここに来たのだ、間違いはないはず。
そして、沙耶は垣根と上条を呼び寄せたかった。
それは何故だ?
計画に必要だから。
心理掌握はならどうしている?

「くっそ!わっかんねぇ!」

辺りの機器を蹴り飛ばし、駆け回る。

「ぐぁっ」

何かに躓いて、その場に転んでしまう。
霞のソイツが追ってくる。
立ち上がろうとし、床に触る。

――ん?なんだかここの床、おかしくないか?

広い一面、何もないのだ。
それだけではない。
タイルがずれているのだ。

「ここって……あのソファからしてあいつらと会った場所か」

見上げれば黒い空。
戻って来たのだ。
こちらにやってくる霞のそれを無視し、タイルを取り上げる。
見つけた。

「なるほど、地下への入り口ってわけか」

953 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:37:38.25 ID:Yj1CPuAo [15/24]
鉄製の扉を開き、その中に飛び降りた。

「暗……くないのか。まるで誘導されてるみたいだな」

扉は広く、そして、地下にはレールのような物があった。
もしかしたら研究所内にあった機械ごと心理掌握を連れ去ったのかもしれない。

『追うのかい?』

「ッ!?」

背後に、ソイツがいた。
霞でできたもう一人の自分。
邪悪に笑み、声をかけてきた。

「喋れんのかよ」

『気付かないのかとヒヤヒヤしたよ。あんな研究所内を走り回らなくても、もっと早く扉を見つけられると思ったんだけどね』

「そりゃバカですみませんねー」

――ん?ということはこいつは俺のコピーじゃないのか?

『そう、その通り。俺は幻想殺しと同じ見た目をしているだけの、ただの――〝天使〟だ』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
垣根サイド――

羽をマシンガンのように撒き散らす。
上空。
闇に紛れながらも居る、沙耶を発見したのだ。
ギィインと低音が響く。
垣根はその場を離れる。
垣根が放った羽根を含め、先ほどまで垣根がいた場所が歪んだ。

「それが、自慢の擬似第一位の能力ってか?」

「厄介でしょ?君の羽根なんて簡単に消し飛ばせるんだよ」

「ふん、なら接近戦はどうかなァお譲ちゃん!」

羽を後方に向け、羽ばたく。
空気を切り、風を生み出す。
人間大砲のように、垣根は沙耶に一直線に向かう。
まただ。
沙耶を掴む〝手〟が指を開く。
沙耶は指の一本にぶら下がる。
そして、低音が響く。
垣根は急きょ方向転換し、それでも接近を試みる。

954 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:46:11.40 ID:Yj1CPuAo [16/24]
「接近戦なら勝てるって?」

ピンッ、と何かを弾いた音がした。
近づく垣根にはわずかにそれが見えた。
一枚のコインだ。


「ねぇ、〝超電磁砲(レールガン)〟って知ってる?」


「う、そ…だろ……?」


弾かれたコインに、電撃が迸る。
飛び出したのは紛れもなく超電磁砲。

「くっ」

羽を二枚、防御に当てる。
残り二枚で飛び続ける。

「はっ、なんだこの程度なのか」

そこまでの脅威ではない。
そう判断した垣根に――二本の超電磁砲が飛び込んで来た。

「効かねえよ!」

羽を回転させ、大きく方向転換。
水中に潜るように降下し、海面に飛び出す魚のように急上昇。

「ちょっとやってみただけなんだよねーまぁオリジナルより先にやってみたかったっていうか?」

バラバラと、沙耶が何かを撒き散らした。

「こんな暗闇で、裁縫針を見切れるかな?」

宙に撒いたのは、何百という裁縫針。
紫電が走る。
宙で停滞させたそれらが、垣根に向かう。
垣根は羽を二枚、前方に向ける。
それだけで全面完全防御だ。


ギィインと、低音が響いた。


「や、っべ!?」

垣根の二枚の羽が、撃ち砕かれた。

955 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 22:56:42.40 ID:Yj1CPuAo [17/24]
重力をぶつけられ、羽がミシミシと音を立てて潰れた。

「前より威力上がってんじゃねえか」

「前回から随分時間があったからね、誰かさんみたいに遊んでいたわけじゃないし」

垣根は再び上昇。
背中から先ほどやられた二枚を再生。


「消し飛べ、雑魚が」


その全てを、放った。


「なっ……!」


沙耶に向かうのは無数の羽根。
その数はあまりに多い。

「くっ……」

低音が響いた。
沙耶は全てを撃ち落とすことはできない。
一点集中。
自身に迫るものだけに重力を押し当てる。


「ひゃっはぁ!」


そんな沙耶のわき腹に、垣根の蹴りがめり込んだ。


「ごほぉっ!?」


演算が中止される。
〝手〟が消える。
四枚を放ち、即座に羽を再び展開して迂回した垣根。
蹴り飛ばした後――さらにまた四枚の羽全てを放つ。


「ぐ、がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


垣根の笑い声とともに、上空で大量の鮮血が飛び散った。
沙耶の体はそのまま地上に落ちて行く。

956 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:02:44.34 ID:Yj1CPuAo [18/24]
「はっはぁ!死なせるかよォォ!」

垣根も沙耶の後を追う。
風を切り、その羽を一直線に伸ばして。



低音が響いた。



「くぁっ……!?」

それは、眼下の沙耶から。
いつの間にか姿を顕わした〝手〟。



垣根の体に、正面からそれは当たった。


「ぐがぁっ!?」


骨がイカレた。
心臓が圧迫され、口から血を噴き出す。


「ごぼっ……!て、めぇ……」


沙耶が両手を広げている。


そこには、無数の針が、紫電を浴びている。



「バカだね、君」


電流を浴びた針の礫が、垣根を撃ち抜いた。


「ぎゃ、ぁああああああああああああああ!!」


羽が消えた。
今度は垣根が降下。
沙耶はニタニタ笑い、さらにコインを弾いた。

957 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:12:05.80 ID:Yj1CPuAo [19/24]
迫るのは、超電磁砲。


超電磁砲が、垣根の腹を貫いた。



「がぁぁああああああッッ!?」


超電磁砲の攻撃範囲は50メートル。
物理学で分かる通り、コインが溶けてしまうからだ。
その、ギリギリの範囲内。


垣根の背から、四枚の羽が飛び出す。


「はぁ……!はぁ……!んだよ、大したことねえなぁ、レールガンってのもよぉ……」


唾とともに血を吐き捨て、垣根は不敵に笑う。


「だよねぇ!それら含めてイロイロな能力を扱える私、ダークエネルギーには敵わないよね♪」


「はっ、言ってろ雑魚が」


「あれれー?不思議に思わない?どうして超電磁砲の真似事ができるのか、って」


「……それだけじゃねえだろ」


「お?」


「ダークエネルギー、宇宙に存在し、未だ解けない謎の存在。エネルギーなのか物質なのか、それすらわからねえ代物だ」


「うんうん」


「そいつを操るなんて無理だ。――せいぜい学者どもが名付けたのは、幾つもの化学現象を引き起こせる能力って意味だろ」


「そだねー宇宙のそれを操れるってことは――星の力すら使えるってことになっちゃうし――ただの超能力者の私には無理だ、あははー」

958 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:23:49.80 ID:Yj1CPuAo [20/24]
「ただの、超能力者ねえ」


「うん?」


「それ、言ってしまえば実現不可能と言われた――デュアルスキル、だろ?」



「うん、それが何?」


呆気なく、そう言った。
どうでも良さそうに、そう言った。
垣根は、そんな沙耶を見て、


笑った。



「あっはははははははははははははははは!!そりゃそーだ!!あっはっはあっははあはあはは!!確かに、ただのデュアルスキルに過ぎねえなぁぁああ!!」



「そうだよ、ただのデュアルスキル。――君や第一位みたいな、レベル6の可能性もない、ただの超能力者だよ」



「宇宙の力を、操るねぇ。あっははは!笑わせるよなぁ!それが何だってんだ!エレクトロマスター?シンクロトロン?いくらでも探しゃぁいるよなぁ!!希少価値も飛び抜けた計算能力もねぇ!」


「しかも、実際にはデュアルスキルに分類されてない、ってね♪」


「そうだろーよぉ!だってんなもん、エレクトロマスターが磁力を操れるのと変わらねえ!パイロキネシストでうめえやつが熱を使って風を生み出すようなもんだ!何の不思議もねえ!」


「そうゆーことさ、だから……ただのダークエネルギーなんだよ」


「様々な化学現象を引き起こす力、か。でもまぁダークエネルギーなんだろぉなー、あっはははは!だってよぉそれらを一人で行えるヤツなんざいねえ!確かにお前は超能力者の頂点に立っていい!俺や第一位がおかいしんだ!」


「全くだね。能力の強さ?実験に利益を生み出す云々?そんなものは関係ない!この街はレベル6を生み出すために存在してる!ならこんな〝たかがダークエネルギー〟なんて存在しな物質を操れることに比べたら不思議も消し飛ぶよ!」


「解読不能の原石ってぇ訳でもねえしなぁ!いや、そうか!原石という解読に難航する能力があるなら、一人で宇宙に関連する多数の力が操れる程度、本当にただの超能力だなぁ、あっはははははははは!」

959 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:31:25.46 ID:Yj1CPuAo [21/24]
二人は笑って、能力をぶつけ合った。


超能力者の第二位と第三位は、――未元物質と未知源発は、――――ダークマターとダークエネルギーは、


上空を舞台に、闘っていた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
青髪サイド――

「平助遅いでぇ!」

「悪い!」

「他の連中は?」

「これだけの騒ぎだ、色々と被害が出ていてな!」

「そかぁ、ならしゃーないな」

青髪は、ビンを取り出す。

「おいそれって、先生に使うなって言われてたやつだろ?」

平助が心配する。
青髪ピアスは笑って誤魔化すと、――白い粉末を飲んだ。


ギラッ、と鋭い両目が夜闇に輝く。


「くっくくぅくくくくく!!こっから近いでぇ平助ェ!!」


「そ、そうか。行こう!」


「まァちょっち待ってぇな」


演算、開始――。


「そこのジョウチャン、能力借りるでぇ?」


テレポートを手に入れ、平助とともに――ある研究所へと飛んだ。

960 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:37:26.30 ID:Yj1CPuAo [22/24]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
窓のないビル――

アレイスターは、画面に映る少年を見ていた。

幻想殺し、である。


「さて、本来の力を見せてもらおうか?――幻想殺し」


薄く、笑った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ある研究所、その地下奥――


「ぐ、ぁあああ……」


心理掌握の少女は、呻いた。

アヤはそれを見て――嗤った。


「どぅ?苦しいぃ?くっきゃきゃきゃ!」


嗤う。


心理掌握の少女は、床に崩れながら、転がり呻く。

「がぁ、あっぁぁあああああ――!」


学園都市の、全てをその頭に。

機械は外した。

それでも、心理掌握の少女には、学園都市の『声』が聞こえてしまう。


「苦しみなよ!もっともっとさぁああ!あひゃひゃっかかっきゃきゃきゃ!」


アヤが、狂ったように嗤う。
心底嬉しそうに、心理掌握を見下して。

961 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:44:12.73 ID:Yj1CPuAo [23/24]
「どぉしたのぉぉ?くっきゃきゃあっひゃひゃはひゃぁああ!」


狂って、狂って、狂って、嗤う。


「ぐ……な、んでこんな事に……!」


「だぁかぁらー、苦しんでろって!」


アヤが、その場にあったモニターを振りかぶる。


「ッ!?」


その場を転がり、避けた心理掌握の――手をそれが押し潰した。


「がッがぁああああああああああああああああああああああああああッッ!?」


「くっはややはやあひゃひゃひゃ!!」


「い、痛い痛い痛い千切れるぁあああああああ!骨が、ががぁあああああああ」


押し潰れ、血管が千切れ、骨が砕け、血が噴き出す。


心理掌握の少女が、もう片方の手を伸ばす。

アヤは避けない。

その手で――心理掌握の能力では、光を飛ばさなくとも、その手で触れれば記憶の読心・人格の洗脳・想いの消去・意思の増幅・思考の再現・感情の移植、なんでもできてしまう、必殺の手を――アヤは避けない。

そして、


「無駄だよぉ?わかってるくせにぃ♪」


嗤った。

962 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/24(火) 23:52:30.91 ID:Yj1CPuAo [24/24]

そうだ、無駄なのだ。


第一位や、幻想殺しでもないのに。


電子ロックで脳内の電気信号を制御できる、エレクトロマスターでもないのに。


世界で、一人だけ――アヤには心理掌握の能力の全てが効かない。


心理掌握は、思い出す。

始まりの日曜日、上条とファミレスで話した時の事を。


――それで、例の女の子に〝心〟を入れたのか。

上条が、言った。

心理掌握は、上条に教えた。


――知っていますか?私が半径五メートル以内の人の思考を読み取れること。上条先輩には効きませんけど。


それを、


――私は彼女の心が視えるのが怖かった。だから彼女に〝心〟を入れて〝アヤ〟を生み出した時――、


ただの、怖さからやってしまったことを。


――彼女の思考が私に視えないようプロテクトを構築したんですよ?


そう、ただ一人。


アヤに、心理掌握の能力は効かない。


精神感応系の最強の能力者、心理掌握の能力が生み出した最強のプロテクトを持ってして――。


始まりの日曜日は、アレイスターにとっての――計画の大きなステップだったのだ。

963 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/25(水) 00:02:27.30 ID:LBQE2cQo [1/5]
「あっひゃはははっひゃぁあ!全ては計画の通り!」


もはや、心理掌握の片手は感覚を失っていた。


その手は、死んでいた。


「あの日、なーぜかあんたはアヤが気に入らなかった!ん?アヤの前の名前、なんだっけ?まぁいいやぁ」


心理掌握の少女は、脳内をスパークする声と、アヤの声に絶望を覚える。


「そして、心を壊した!あっひゃひゃ!なぁーにがレベル5だぁ?全ては計画通り、あの時感情を増幅された事にも!気付いていやしない!」


アヤが、嗤う。


「そして、幻想殺しとの接触。――銀髪のレベル5と接触」


嗤う。


「あいつが心理掌握を殺せる場所の情報を得ただぁ?送ったのは暗部だ!そして、それを幻想殺しが打ち破り、心理掌握とくっつく!全て計画通り!」


それは、アヤなのか?


「幻想殺しと心理掌握の交差は絶対に必要だった。交差しなかったパラレルワールドでは、アレイスターは失敗している!だからやり直した!何度でもやり直せる!あれが!天使〝アバター〟がいる限り!」


アヤの中に潜むそれは、なんなのか?


「出来そこないのレベル6、時元転覆を喰らった天使は、その能力を手に入れる!出来そこないの人間がそれを行使しても、脳みそから血ぃ吹いて死にかけるからなぁ!だからレベル6を喰らうのは、計画の内!」


現在、心理掌握の能力をアヤに媒介させ――天使を発生させている。そのアヤは、何が入っている?


「何度もやり直した!幻想殺しが途中で死んだり、右手が覚醒しなかった際!第二位や、第一位が死んでしまったり、となぁ!」


今、ここにいるのは――誰だ?

964 名前:pasuta ◆QXQDE8vvhs[saga] 投稿日:2010/08/25(水) 00:12:30.65 ID:LBQE2cQo [2/5]
「幻想殺しの覚醒の条件、それはぁ、一定量の幻想を殺し!右手を凌駕する物を打ち消すこと!」


果たして、誰がいる?


「そうして――幻想殺しは真の姿見せる!もうすぐだ!現在、アバターが幻想殺しと衝突している!全ての計画は、回っている!」


アレイスターか?いや違う。


「あとは、上空の第二位が覚醒すれば!計画は順調に進むんだぁぁああああひゃっひゃひゃ!」


「……ねぇ」


ポツリ、と心理掌握が声をかけた。







「床、こんなに黒かったっけ?」



「く、ひゃ……ひゃはっはははあっはははhっははははははっはははははははははははははははははっははっははっははははは気付きやがったかぁああああっはあはhっははっ!!」


アヤを――遠隔操作しているのは、第三位沙耶。

心理掌握の能力を機械を通して自分に強化させ、それを元にアヤを遠隔操作。


「第二位との戦闘なんて片手間で十分なんだよぉおあっはっはっはひゃひゃあっははは!」


けて、と心理掌握が呟いた。

「あぁ?」


「助けてぇええええ上条せんぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!」


ドアを蹴散らし、雄たけびを上げて――上条当麻がそこに飛び込んで来た。

972 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/25(水) 00:29:51.52 ID:LBQE2cQo [5/5]
書き忘れたけど、



幻想殺しが、一定量の幻想を殺した→これは心理掌握の領域のことね。
常に自動で発生する領域を、一緒にいる間、ずっと消し続ける。
それだけで計画の速度をかなり短縮できるってわけ



大切な伏線回収の一部分を描き忘れたのが悔しいッ

コメント

No title

続きはまだ作者が書かれてないんでしょうか?
すごく先が楽しみです!  

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