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唯「ギャオス?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:25:57.37 ID:yIUIu7Cc0 [3/67]
― 6月8日

テレビ『昨日敦賀に入港した英国のMOX輸送船、パシフィック・ブラザーズが日本に向けてのMOX輸送中に、

フィリピン海溝東にてエンジントラブルから数時間にわたり漂流していたことがわかりました』


憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「おはよー…」


うららかな6月の朝、平沢家ではいつもの日常が始まった。


テレビ『長崎県の姫神島で非常に大型の鳥の目撃情報が相次ぎ、県は九州大学の―』

憂「朝ご飯早く食べないと遅刻するよ」

唯「うん…」

憂「もう!ほらほらお姉ちゃん座る座る食べる食べる」

唯「ねむーい」


テレビ『大型の環礁が漂流している問題について、海上保安庁では―』

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:26:56.78 ID:yIUIu7Cc0


律「おっ唯」

澪「おはよう」

紬「唯ちゃんおはよう」

唯「おはよー!」

憂「おはようございます」

梓「あれ?おはようございます唯先輩」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:27:34.27 ID:yIUIu7Cc0
― 昼休み 職員室

テレビ『航空自衛隊新田原基地に所属する第301飛行隊のF-4戦闘機が大型の鳥と接触し―』

校長 「ふーん」

さわ子「…校長暇そうですね」

堀込「お前も校長見てないで仕事しろ」


― 放課後 


梓「先輩達って…受験に向けてこう…なんか…」

律「おいおい。そういう無粋なツッコミはなしだぜ?」

唯「そうだよー。私はあずにゃんと貴重な高校生活最後の時間を」

紬「そろそろお茶にしない?」

澪「はぁぁ…」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:29:27.06 ID:yIUIu7Cc0
ガチャッ


さわ子「ちょっとちょっとー。聞いてよー」

律「おっ!飢えたハゲタカ!」ボソ

さわ子「なによーハゲタカってー。変圧器の修理が入るから停電になるわよ」

梓「はぁ」

さわ子「よってみんな一斉下校よー」

律「さわちゃんこのタイミングで言うか」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:30:20.41 ID:yIUIu7Cc0
さわ子「私だって好きで言ってるんじゃないわよ。でも」

紬「残念ね」

唯「えー!さわちゃんの鬼!」

澪「仕方ないだろ」

律「しょうがない。帰ろうぜ」

さわ子「えっ帰るの!?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:31:00.67 ID:yIUIu7Cc0
― 帰り道

午後4時20分、初夏の太陽はじんわりと汗ばむ。


律「はぁー参っちゃうよな。少ない癒しの時間がー」

澪「律、お前にはこう、受験に対する緊張感とかないのか」

唯「あっ、なんかやってるよ」


「掘り出し物市」唯の指さした方向にはそう書かれた看板があった。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:32:28.49 ID:yIUIu7Cc0
紬「面白そう!」

律「おっ!見に行こうぜ」

澪「…私もちょっと見たいな」

唯「じゃあ行こうよ!」

梓「」

5人は連れ立って会場の神社へ向かった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:33:02.06 ID:yIUIu7Cc0
― 掘り出し物市 会場。

神社の参道には出店が立ち並び、様々な骨董品がところ狭しと並んでいる。

梓「…」

唯「あっ、これ綺麗だよねあずにゃん」

梓「勾玉ですね」

店主「あーそれ百円…いや、お嬢ちゃん可愛いからあげるわ」

唯「わあい!ありがとうございます!」

梓「いいんですか?」

店主「普通のだしねぇ。お嬢ちゃんはなんか買わないの?この玄武の置物とか―」


梓「・・・いらないです」

店主「そう?お嬢ちゃんなんか骨董品好きそうなのに」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:33:39.88 ID:yIUIu7Cc0
― 夜 平沢家

唯「見て見て憂!」

憂「わぁー。綺麗だね。でも勾玉なんてどこで買ったの?」

唯「貰ったんだよ~」

憂「ちゃんとお礼言った?」

唯「もちろん!」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:34:27.69 ID:yIUIu7Cc0
憂「せっかくだから紐付けてあげるね」

憂はそばにあった紐を手際よく勾玉に通して唯に渡す。

唯は勾玉を首にかけた。

憂「似合ってるけど学校につけて行っちゃだめだよ?」

唯「ええっ・・・」

テレビ『姫神島で島民、福岡県警の警察官、九州大学の調査隊など合わせて25名が行方不明になっていた事件は―』

インタビューされる女性『鳥じゃありません!羽毛がなく牙がある、あんな鳥はいません!』

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:35:00.37 ID:yIUIu7Cc0
― 6月9日 朝 職員室


テレビ『長崎県五島列島姫神島で、姫浜地区を襲撃したのではないかと思われる大型の鳥は―』

さわ子「恐ろしいですね…」

堀込 「人食い鳥とはまたなぁ」


― 昼 桜高 3の2


生物教師「伝書鳩なんかはどうして正確に方向がわかるかっていうと地磁気を読み取ってるからでしょ」

唯(早く終わらないかなー…お腹すいた…)

生物教師「あの巨大な鳥も同じように地磁気を読み取ってるらしいね。だけど―」

唯「…」

唯「ぐう…」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:37:25.98 ID:yIUIu7Cc0
― 同日 夕 長崎県 姫神島上空

パイロット『ハリーホーク、こちらハーキュリー1。飛び立ちました!』

3機のUH-1多用途ヘリコプターがサーチライトを使い三羽のギャオスの誘導を開始する。

隊長「2機を展開させてフォーメーションを作らせろ!」


その頃博多湾には60メートルはあろうかと言う巨大生物が白波を立てて侵入していた。


― 福岡県 福岡ドーム

麻酔弾を装填した対人狙撃銃片手に狙撃隊員達が一斉にベンチへ展開する。

上空に差しかかった鳥たちは、サーチライトに誘導され暗闇となったドームの中へと飛び込んでくる。

小隊長「射撃用意」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:40:30.65 ID:yIUIu7Cc0
― 同 管制室

自衛隊員「電源切り替え、天井封鎖願います!」

警備員「了解!」

大型モーターが起動し静かに可動式天井が閉まり始める。


― 同 福岡ドーム


自衛隊員A「撃て!」

鳥類学者「まだ天井が」

自衛隊員B「1羽逃げるぞ!」

小隊長「撃て!」

対人狙撃銃から麻酔弾を撃ちこまれ二羽が落下する。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:41:22.12 ID:yIUIu7Cc0
閉まりきっていないドームの隙間からは飛び出した1羽は湾外へと向かっていく。

それを待機していたUH-1がすぐさま追跡を始める。


しかし鳥の目の前に巨大な生物が現れた。


パイロット「!?」


生物はいきなりギャオスを片手で叩き落とす。

鳥はそのまま油槽所に並ぶ配油管に叩き付けられ炎上した。


パイロット「巨大な生物出現!博多港に巨大生物!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:42:10.14 ID:yIUIu7Cc0
― 福岡市街


市民「逃げろ!」

DQN「うぎゃああああ」

テキ屋「なんだありゃ!」

市民「うわああああああ」

警察官「落ち着いて避難してください!」

市民「家が燃える!」

福岡市は完全な不意打ちを受けた格好となり大混乱に陥った。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:43:09.90 ID:yIUIu7Cc0
― 夜 平沢家

テレビ『ボールペン!』プッ

アナウンサー『番組の途中ですが、今入りましたニュースをお伝えします。先程博多港に、え、亀?

…大型の生物が出現しました。現在自衛隊が出動しています。繰り返します』

憂「は?」

唯「ええー?」

『生物は福岡ドームを目指しています。現在福岡ドームでは姫神島まで発見された鳥の捕獲作戦が進行中で―』

テレビには火災を背に、ドームへ向かって進む巨大な生物が映し出されていた。
『―博多湾沿岸の西区、中央区、早良区、博多区の住民に避難勧告が出されています』

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:44:22.36 ID:yIUIu7Cc0
― 

サイレンが響く中、探照灯が一斉に生物を照らし出す。

自衛隊員「退避ー!全員退避ー!」

巨大な生物は福岡ドームに襲い掛かり、その可動式天井を叩き落とす。

そのまま黒煙を背に、鳥までもが目を覚ましドームから外へと飛び立った。


それを見るや否や巨大生物は凄まじい噴煙と、強烈な下降気流を起こし回転しながら飛び立っていく。

その一部始終はテレビ中継され、日本国民に巨大生物への強い恐怖感を植えつけた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:46:19.72 ID:yIUIu7Cc0
― 深夜


テレビ『福岡ドームにおける鳥捕獲作戦は巨大生物の出現により失敗しました。

私はその現場である福岡ドームのグラウンドにおりますが、檻は切断されまたドームの天井部分も生物によって破壊され―』


憂「福岡の人大変だな…」

憂は唯の弁当の仕込みをしながら呟いた。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:54:52.23 ID:yIUIu7Cc0
― 6月11日 朝

朝日『福岡市民恐怖の一夜』

読売『ドームに巨大生物出現 被害甚大、死傷者多数』

毎日『行方不明の巨大生物追跡』

共同『英MOX輸送船漂流事故は巨大生物との接触が原因』

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 10:57:14.64 ID:yIUIu7Cc0
― 同 平沢家

テレビ『福岡を襲撃した巨大生物は―』

憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「これ…」

憂「なんか福岡の方大変みたいだね」

テレビ『朝になって被害状況が次第にはっきりするにつれ、この惨事の大きさに関係者は大きな衝撃を受けています。

福岡市災害対策本部では―』


唯「…あれ?なんかダルいなぁ」

憂「どうしたの?」

唯「うん、なんかダルい…」

憂「学校休もっか?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:00:18.09 ID:yIUIu7Cc0
― 同 夕方 街

マルチビジョン『現在生物は瀬戸内海に潜伏しているとの見方が強まり、付近を航行中の船舶に厳重な注意を呼びかけています。

また衆議院では怪獣に対する自衛隊の攻撃を承認する決議案が提出されました。

この決議案は現在提出されている全ての法案より優先して審議され、決議され次第、日本初の本格的な実戦が行われる可能性が―』


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:05:37.45 ID:yIUIu7Cc0
― 6月12日 朝

テレビ『―瀬戸内湾一帯での原因不明の電圧低下は落ち着き、電力各社では原因の調査を継続すると発表しました』

憂「お姉ちゃんだるいの治った?」

唯「うん。良くなったよー。憂のおかげだね」

キャスター『環境省で緊急対策審議会が開催されましたが、専門家同士の対立から終始紛糾しました』

画面が切り替わり、審議会の様子が映し出される。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:06:43.68 ID:yIUIu7Cc0
環境省審議官『空想的な話でしょう!そもそも名前が石版に書かれたガメラとギャオスというのが―』

防衛省幕僚『福岡を襲撃した海の生物の方が脅威が大きい!

仮に生物が鳥を退治しに来たとしても瀬戸内海に潜伏したままなのはどう説明するんですか!?』


有識者『長い眠りから目覚めたばかりで、エネルギーをチャージしているのでしょう?』

環境省審議官『世間では何でもあの生物に結びつけておりますが』

鳥類学者『先日の姫神島で発見された卵と雛の同位体分析によると、発生から一万年は経っています。そ

れよりも気になるのは雛の全てがメスであることが』

環境省審議官『繁殖しないならトキ以上に重要な野鳥とも言える!』

国会議員『トキは人を食べないだろうが!』


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:17:26.03 ID:yIUIu7Cc0
― 同時刻 桜ヶ丘女子高等学校 音楽準備室

澪「なんでずっとワンセグ見てるんだよ!せっかく日曜に集まってるんだぞ!こういう時こそ練習だろ!」

律「災害対策には情報収集が一番なんだぞ」

梓「律先輩、画面を観たままで…」

澪「画面から顔をあげろ!」

ワンセグ『という訳で、八洲火災海上損害保険など合同4社の調査中に発見された石板には古代文字の―』

紬「あ、こういうの古代のロマンみたいでいいよね」

澪「あ、古代文字。ルーン文字…ではないか…」

律「昔、本で読んだからだな!?」

澪「」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:19:36.18 ID:yIUIu7Cc0
梓「…ロマンかぁ」


唯「…災いの影 ギャオスと共に目覚めん…1万2000年前 時のゆりかご ガメラ」

梓「え?」

澪「唯、お前何を・・・?」

唯「あれ?読めちゃった…」

澪「ま、まさか?これ正確なルーン文字じゃないだろ!?」

梓「な、なんで読めたんです!?」

紬「すごい!唯ちゃん」


律「…あれ?その勾玉光ってないか?」

澪「ま、まさか」

唯「…んっ、なんかこれ暖かくなってるよ」

澪「体温だろ!」

梓「…でもやっぱり光ってた気が…」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:47:02.50 ID:yIUIu7Cc0
律のイリスをやりたいけど一応こっちをやっておかないとアレなのでつまらずとも続ける


― 6月13日 昼 紀伊水道 第14護衛隊 護衛艦うらかぜ CIC

ソーナー員『目標捕捉!急速浮上中!』

レーダー員『浮上!』

ガメラ浮上は紀伊水道を哨戒する護衛艦により探知された。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:47:36.17 ID:yIUIu7Cc0
― 10分後 桜が丘 桜が丘女子高等学校 3の2教室

ワンセグ『ただいま入りました情報によりますと、紀伊水道で潜伏していた生物が発見され―』

姫子「おっ怪獣、見つかったらしいよ」

律「おっ」

和「自衛隊が本格的に動き出すのかしら」

紬「あれだけ人が亡くなってたら・・・」

唯「わ、私ちょっと行ってくる!」ガタッ

澪「え?行くってどこに?」

唯「ちょっと!」ダッ

律「え?どこに?」

和「唯!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 11:48:53.98 ID:yIUIu7Cc0
― 東京都府中市 航空自衛隊航空総隊 作戦指揮所

RF-4EJ/P『クロノス。こちらテルスター。目標をロスト』

要撃管制官『ラジャー。テルスター、RTB』

要撃管制官「偵察航空隊のRF、目標を見失いました」



― 桜が丘 桜が丘女子高等学校 廊下


憂「え?お姉ちゃんがどこか行ったって」

和「そうなのよ。急に飛び出して…」

律「憂ちゃんなんか知ってる?」

憂「なんか様子がおかしいとは思ってたんですけど…」

澪「…何がどうなってるんだ?」


ワンセグ『未確認ながら木曽山中にも鳥が現れたとの情報が―』


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:36:28.14 ID:yIUIu7Cc0
― 木曽 某村


山中には半鐘の音と防災無線のサイレンが響き渡る。

村人「ぎゃああああああああ」

村人「鳥だあああああああああ!」

村民は逃げ惑う中、ギャオスは逃げ遅れた調査隊員や村民を啄んでいく。


ギャオスが悲鳴に呼応するように森から顔を出す。

その嘴には人が何人もぶら下がっている。

一旦嘴を開き、食事を口に流し込むとギャオスは更に逃げ惑う村民へ向かって飛び立つ。

村人「こっちくるぞ!」

駐在警官「早く逃げろ!」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:38:52.35 ID:yIUIu7Cc0
ギャオスがあと一歩で次の獲物にありつこうとしたとき、横からプラズマ火球が襲いかかった。

消防団員「まだおったか!?」

駐在警官「もうだめだ逃げろ!」

突然森の中から現れたガメラに食事を台無しにされたギャオスは超音波メスを放つ。

ガメラは村人が逃げ惑う吊り橋を守るように手を翳し、超音波メスを手に受ける。

ギャオスはメスの直撃を見届けずにそのまま飛び去り、ガメラも緑色の血を滴らせながら

村の安全を見届けて後を追って回転ジェットで飛び去っていった。


駐在警官「えーガメラはギャオスを一体落として飛び去りました!はい!南方向です!」

消防団員「ガメラは味方だったのか…」

村人「おったまげた…」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:43:12.80 ID:yIUIu7Cc0
― 東海道新幹線 こだま

東海道新幹線こだまの車中には財布の全財産を叩いて飛び乗った唯の姿があった。

唯(うーん。行かなきゃならない気はするんだけど…どこにいけばいいんだろ…?)

「痛っ!?」

唯が悩んでいると、突然手に痛みが走る。

手の甲には何かで痣が出来る程度に切られたような傷が出来ていた。

(…あれ?手に傷があるよ…?)

唯が手の傷にハンカチを巻いていると車内放送が入る。

車内放送『―播磨灘に再出現した生物は、東海地方に向かい移動するとの情報が入りました。

安全のため列車は次の三島に緊急停車します。列車は次の三島に緊急停車します―』

乗客「おいおい」

乗客「なんだよーふざけんな!」

唯(そんな!)


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:45:06.50 ID:yIUIu7Cc0
― 静岡県 三島駅

「現在、運行再開の見通しは立っていません―」

列車が停まったせいで駅構内は乗客でごった返している。

テレビ『これに伴い安全確認のため、東名中央両自動車道への通行止め、東海道新幹線は上下とも最寄駅で緊急停車などの措置が取られています』


唯「あーもうっ!」

ロビーではテレビが淡々と速報を流し続ける中、唯は人をかき分けて駅の外へ向かう。


『なお、政府の通達に従い、海の生物をガメラ、鳥型の生物をギャオスと、呼称します。繰り返します。

6月10日、福岡ドームを急襲し、瀬戸内海に潜伏していると思われていた巨大生物『ガメラ』は先程播磨灘より浮上し、東海地方へ飛行中です―』

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:48:25.96 ID:yIUIu7Cc0
― 静岡県郊外某所 陸上自衛隊 第1高射特科大隊 陣地

偽装網を被り展開する81式短距離誘導弾、通称「短SAM」

索敵を行っていたフェーズドアレイレーダーがガメラを捉えて回転を停止し、発射機にSAMが装填される。


レポーター「日本で初めてのミサイル攻撃が迫っています!

標的はもちろん、平和を脅かす敵であると衆参両院で決議されたガメラです!」


射撃管制装置により上空を飛ぶガメラは完全にロックオンされ、諸元がSAMに送信される。

自衛隊員「発射!」

号令と同時に飛び立った2発の短SAM改は、マッハ2.4でガメラを猛追する。

日本初のミサイル攻撃の任を負った短SAMの直撃を受けたガメラはそのまま浮力を失い墜落していった。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:54:34.00 ID:yIUIu7Cc0
― 三島駅 駅前

男「チヌークだ・・・」

男A「すごい数だな…」

凄まじい数の大型ヘリコプターが羽音を立て上空を通過していく。

ワンセグ『先程陸上自衛隊の81式短距離誘導弾、通称短SAMが発射され、駿河湾上空で飛行中のガメラに命中しました。

ミサイルの直撃を受けたガメラは富士山の裾野へ墜落した模様です。

航空自衛隊並びに陸上自衛隊はこれを追って現在ガメラを包囲し、間もなく一斉攻撃に移ると思われます。

自衛隊ではこの圧倒的な火力をもっての攻撃によりガメラを完全な行動不能の状態にできると考えています。

なおこの攻撃に伴い富士山付近の一般道並びに高速道路は通行止め、富士山上空を飛行する旅客機も規制が行われています―』


62 名前:ごめん亀はトンちゃん存在できなくなるからこのクソSSでは生かしてる[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:57:28.03 ID:yIUIu7Cc0
画面には資料映像として89式装甲戦闘車が機関砲を一斉射撃する映像が映っている

唯(ああ…ひどいよぉ…)

更に轟音を響かせ上空を戦闘機が数機飛び去っていく。

(行かなきゃ…行かなきゃ…でもどうやって行こう…)

左右を見回すとタクシー乗り場があった。

唯「あっ!」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 12:58:37.03 ID:yIUIu7Cc0
唯は手近なタクシーに乗り込んだ。

唯「富士山は遠いですか!?」

運転手「遠いっちゃ遠いけどあそこは今ホラ、行けないから」

運転手は振り返るなり露骨に嫌な表情をする。

唯「行けるところまででも構いません!」

運転手「ダメダメ。怪獣見物はお断りだよ」

唯「どうしても行かなきゃダメなんです!お願いします!」


運転手「…」

唯が必死に頼み込むと、運転手は渋い表情でドアを閉め、タクシーは走りだす。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:00:31.26 ID:yIUIu7Cc0
― 夜 富士山麓

SAMにより撃ち落されたガメラは富士の森の中に立ち尽くしていた。

それを掃討作戦の主軸となった陸上自衛隊駒門駐屯地の第1戦車大隊の74式戦車を先頭に戦車部隊が包囲する。

戦車隊が配置に付くと、数発の照明弾が発射され、辺りを白く照らし出す。

それに合わせてガメラも咆哮する。

大隊長「第一次攻撃開始!」

通信士「各部隊、射撃開始」

号令と同時に51口径105mmライフル砲が一斉に火を吹いた。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:02:34.74 ID:yIUIu7Cc0
― 富士山麓 富士山スカイライン 静岡県警察 検問所

警察では富士へ通じる有料道路の料金所にバリケードを設置し、検問所を設置していた。

警察官A「検問190から富士宮―」

警察官B「はい止まってー!この先は行けないから」

警察官は物見遊山にやって来る野次馬を片っ端から検問所でUターンさせる。

警察官C「はい通行止め。Uターンして」


その料金所手前で減速するタクシー。

車中には唯の姿があった。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:03:56.63 ID:yIUIu7Cc0
唯「…もう行けないや」

パトカーが赤色灯を点灯させて横付けされ、開いたレーンには厳しいバリケードが置いてある。

唯「あの…降り…」

唯が言う前に運転手は無言でギアを落として急加速し、みるみるバリケードと棒立ちしていた機動隊員が迫って来る。

唯「えっ、ちょっと!」


警察官C「止まれ止まれ!」

機動隊員「うっわあああああ!?」

唯が止める間もなくタクシーはそのままトライアングルバリケードとカラーコーンを蹴散らし検問所を突破した。

機動隊員「待てこらー!」

警察官A「ちくしょう!」

警察官B「至急至急!検問108より富士宮!突破車あり!伊豆かもめ交通のタクシー!―」

運転手「ハハハハハハハッ!いっぺんこういう事やってみたかったんだよ!」
唯「…」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:11:25.25 ID:yIUIu7Cc0
― 富士山麓 富士スカイライン 橋梁

タクシーが急停車すると、飛び出す唯。

唯「…ガメラ」

激しい戦車砲の発射音と着弾の爆炎の中にガメラがいる。

発射光と照明弾が時々白く辺りを照らす。


それに続いて航空支援攻撃を担うF-2が轟音を立て飛来する。

6機で三角形に編隊を組んだF-2はそのまま立て続けに爆弾を投下する。

森は激しく吹き飛び、次々と投下される爆弾に遂にガメラは転倒した。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:14:42.35 ID:yIUIu7Cc0
自衛隊員「ギャオス、上空接近」

弱ったガメラを狙ったようにギャオスが現れる。

大隊長「撃ち方待てェ!」

通信手「各部隊、撃ち方待て!」

自衛隊はギャオスへの被弾を避け攻撃を中止する。


唯「逃げて!」

自衛隊という邪魔が入らないギャオスは、そのままガメラめがけて急降下する。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:16:21.43 ID:yIUIu7Cc0
勾玉を唯が強く握りしめると、勾玉はぼんやりと光り始める。

ガメラが飛び立とうとジェット噴射を始める。

しかし倒れたまま依然起き上がれないガメラにギャオスは超音波メスで攻撃を始める。


ガメラの腕を超音波メスが掠る。

唯「痛っ!」

唯の手の甲からは血が滴っていた。

運転手「おい!?」

飛び去るギャオスを追いかけるようにガメラもそのまま転げつつ飛び立った。


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:17:00.13 ID:yIUIu7Cc0
偵察隊員「ガメラ逃げます!」

大隊長「第二次攻撃開始ィ!」

通信手「各部隊射撃開始!」

しかしそのガメラに追い打ちをかけるように戦車砲が殺到する。

激しい爆発の中ガメラはふらふらと飛び去って行った。

唯「…」

勾玉の光が消えると同時に唯の意識もそのまま遠のいて行き、唯は倒れこむ。

運転手「おいっ!大丈夫か!おい!?どうした!?」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:19:41.17 ID:yIUIu7Cc0
― 病院

憂「お姉ちゃん…」

唯「ガメラは?」

憂「海に逃げたよ。ギャオスは富士の樹海に降りたみたい」

唯「手遅れにならなきゃいいけど…」

憂「手遅れ?」

唯「早くしなきゃ…」

唯「でも…ガメラも私も休まなきゃ…」

憂「え?ガメラ?」

唯はそのままベッドに横になり、眠りについた。

憂「…どういうこと?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:28:05.86 ID:yIUIu7Cc0
―6月15日 夜

アナウンサー『こんばんは。政治暴論政治争論の時間です。

今日のゲストにはギャオス対策の責任者である斎藤雅昭審議官にお越しいただいています』

斎藤『どうも』

アナウンサー『今日はよろしくお願いします』

斎藤『ええ、こちらこそよろしく』

アナウンサー『まず、お伺いします。ギャオスの捕獲を継続するのですか?』

斎藤『ギャオス捕獲の決定はまだ生きているんですよ』

アナウンサー『ギャオスの凶暴性と大きさは倍化しており、保護を中止するべきだという意見がありますが』

斎藤『むしろギャオスのおかげでガメラを撃退できたのでは?』


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:30:41.07 ID:yIUIu7Cc0
アナウンサー「撃退すべきはギャオスの方では?」

斎藤『根拠がないことより、現実的な提案をすべきではありませんか?』

アナウンサー『では、ギャオスに対する警戒はなさらないんですか?』

斎藤『ギャオスの光を嫌う性質を利用し、人口密集地に多数の投光器を設置して、警戒に当たっています。

しかしギャオスは誰もが捕獲を望む現代において貴重な生物であると―』

斎藤『例えば、犠牲者とそのご遺族には申し訳ないがティラノサウルスが現れたとき、誰もが捕獲を望むでしょう?』

憂「…」

テレビでは無神経な発言が流されている。

ふと唯の様子が気になり唯の部屋へ向かう。

眠っている唯の手に握られた勾玉。


憂「…まさかこの勾玉でガメラと通信できる?」

憂はそんなことを考えながら唯の寝顔を見つめていた。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:37:16.61 ID:yIUIu7Cc0
― 6月1日 朝 平沢家


憂「まさかとは思うんですが…」

律「確かに勾玉が光ったとかって一度あったよな」

澪「ま、まさかあの勾玉か!?」

梓「唯先輩が突然静岡まで行ったのも…」

澪「唯が巫女みたいな役割ってことか」

梓「実際私達が触っても特別なにもありませんしね」

憂「偶然じゃない気がしませんか…?」

紬「…」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:51:43.46 ID:yIUIu7Cc0
梓「可能性はあるよ…元々の出所もわからないような勾玉だし…」

紬「憂ちゃん!それを調べさせてもらえないかしら!何かわかるかも知れない」



和「話を腰を折るようで悪いんだけど、巫女ってことはガメラの受けたダメージがそのまま唯に直結してるって事かしら?」

憂「そんな気がします…妹の勘ですが…」

澪「テレビでしか観ていないけど、富士山でガメラが血を流してたのって腕だったよな。そして同じように唯も腕をケガした…」

和「じゃあもしガメラに何かあったら唯は…」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 13:52:39.76 ID:yIUIu7Cc0
― 6月16日 夕方 平沢家


憂「どうでしたか?」

紬「調べてもらった結果、この勾玉は金属で出来てるらしいわ」

律「え?透明っぽいのに」

和「でも…金属?」

紬「そうなの。しかも現在知られてる金属の中にこれと同じ物はないらしいわ…」

和「未知の金属…」
 
澪「まさにオリハルコンだな…」

紬「ところでまだ唯ちゃんは…?」

憂「目を覚ましません…」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:05:58.28 ID:yIUIu7Cc0
― 夜 東京都中野区 中央線

家路へ急ぐ乗客で混み合う中央線快速、2022H電車は軽量ステンレスの銀色の車体を輝かせながら東京駅に向かって疾走していた。

乗客A「眠い…」

乗客B「ふう…遅くなっちゃったな」

乗客C「…」

乗客D「あれ?外…」

乗客E「え?」

乗客B「何あれ!?」

乗客C「ぎゃ…ギャオスだ!」

窓の外で電車と並んで羽ばたく巨大な飛行生物、ギャオス。

乗客たちは車窓の光景を見てパニックに陥った。

ギャオスは車窓からフレームアウトすると獲物に襲い掛かる鷲のように先頭車を引っ掴んだ。

今や当初とは比べものにならないほど巨大化したギャオスの爪はいとも簡単にステンレス製のドアや天井を押し破る。

そのまま急上昇したギャオスに後方の車両は引っかけられ、次々と側壁を押し破り高架下へ落下し、下で逃げ惑う人々を一瞬で押しつぶした。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:10:16.90 ID:yIUIu7Cc0
JR無線『こちらは東鉄指令です、指令から中央線防護無線発報の情報です。

これは中央線では中野付近、ギャオスと2022H電車が接触の模様。防護無線受信中の全列車は―』


警察無線『警視庁から各局、管下に対し、一斉指令を発令する。午後9時50分頃中央線中野駅付近、ギャオス、ギャオス飛来。

中央線電車を襲撃し、現在―』


作戦通信『―巨大な飛行生物はギャオスと確認。現在、新宿から銀座方面上空を移動中。翼長約一〇〇米に成長と推定。

投光器使用のもと、着地を阻止するよう指導されたし』



首都、東京は一瞬でパニックに陥り、都民が逃げ惑う中、街頭に設置されたギャオス払い用の大型投光器が一斉に点灯する。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:12:11.47 ID:yIUIu7Cc0
F-15Jパイロット 『―こちらカペラ。ギャオス攻撃許可を要請』

要撃管制官 『カペラ。市街地上空での攻撃は許可できない。繰り返す―』

F-15J戦闘機ががスクランブルするものの、列車を襲撃したギャオスを追尾することしか出来ない。


ギャオスは各所に設置された投光器の光に追い払われるように暗がりの日比谷公園に降り立つと、

大事に掴んでいたクハE233の屋根板を缶詰でも開けるかのように器用に嘴で引き剥がし、遅めの夕食を決め込んだ。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:43:15.66 ID:yIUIu7Cc0
― 深夜

テレビ『政府は先程、ギャオスの捕獲中止を決定、自衛隊によるギャオスへの攻撃が決定しました。これに伴い夜間から早朝にかけての外出自粛を―』


― 6月17日 午前 東京都港区港南 陸上自衛隊天王州戦闘指揮所

鳥類学者「ほとんど完全な遺伝を持った古代の遺伝子工学の産物です。並の適応能力ではありません!不意を突く攻撃を行わないと…」

一等陸佐「大丈夫です。81式なら空に逃げても追尾できますから」

通信手A「A地区、B地区避難完了」

鳥類学者「…目に遮光板のようなものが」

通信手B「81短SAM、配置完了しました!」

中隊長「発射!」

通信手B「発射!」

数キロ離れた陣地に陣取る81式短距離誘導弾発射機から立て続けに短SAMが発射される。


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:44:24.57 ID:yIUIu7Cc0
「着弾まで後、5、4、3―」

急降下した短SAMは立て続けにギャオスの元で炸裂し、濛々たる煙が立ち込める。

唯「…」

視認されるよりも先に対空レーダーがその姿を探知した。

通信手A「目標、新橋上空を南下!」

通信手B「SAM、第二波、目標を追尾中」

中隊長「なんで昼間なのに飛べる!」

鳥類学者「遮光板…!なんて適応能力…」

直撃を物ともせずギャオスは空へ舞い上がっていた。

中隊長「芝公園に墜とす!」

ギャオスは東京タワーを軸に急旋回を見せる。

猛追するSAMはそれぞれギャオスを中心に追尾し、東京タワーの方へと誘導され向かっていく。



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:45:43.60 ID:yIUIu7Cc0
― 短SAM陣地


自衛隊員1「急旋回!?」

自衛隊員2「まずいタワーに当たる!」

班長「自爆させろ!」

自衛隊員1「間に合いません!」


SAMは全弾東京タワーの至近距離でレーザー近接信管を作動させて炸裂した。

鉄骨の構造体は焔によって引き裂かれ、東京タワーは展望台より上が飴のように折れ曲がり、周辺のビルに倒れこんだ。


やがてギャオスは折れ曲がった東京タワーの上に戻ってくると、辛うじて残った展望台の上に着地し、そのまま巣づくりを始めた。


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:49:27.45 ID:yIUIu7Cc0
― 同 桜高 3の2

ワンセグ『自衛隊の対空ミサイルが!タワーに!東京タワーに命中しました!』

画面には煙を上げる見事に折れた東京タワーが映し出されている。

姫子「お、折れた…」

律「嘘だろ!」

和「…昼間も飛んでる…もう太陽は味方してくれない」

澪「ホントにガメラが最後の希望になった…」

紬「唯ちゃん…」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:52:29.02 ID:yIUIu7Cc0
― 夕方

テレビ『ギャオスから逃れ東京を離れる人達で各交通機関は年末以上の混雑を見せています。

 東京発の下り新幹線は各線とも軒並み180%を超す乗車率で、JRでは臨時列車を増発し、避難する人たちの対応に追われています』

『道路の方は東名高速下り線沼津インターを先頭に100キロの渋滞、東北縦貫道も下り線同じように100キロ程度の』

『現在羽田国際空港は閉鎖されています。これは離発着便がギャオスに与える影響を考慮しての―』

『兜町証券取引所の閉鎖に伴いダウ平均が暴落、各地の証券取引所では売りが殺到しパニックになっています。また円の暴落も日銀の介入―』

『夕方から朝にかけては、決して外に出ないようにしてください。とりわけ広い道路ではギャオスに襲われやすく、厳重な注意が必要です』


『全都民の避難には一週間ほどかかるという試算もあり、わずかギャオス1匹に大混乱となった危機管理体制―』

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:58:12.89 ID:yIUIu7Cc0
人々がギャオスに右往左往する中、東京の日は暮れていく。

夕日に照らされタワーに鎮座するギャオスの姿は、まるで人類の勝利を確信しているようだった。

広報車『ギャオスの移動に伴い、港区を中心に交通規制が行われています。都民の皆さんは出来るだけ外出を控えてください―』



中隊長「ちくしょう!」

鳥類学者「東京が空っぽになったら次の餌場に移動と、首都圏近隣の各都市を襲撃する可能性があります」

一等陸佐「警戒範囲を広げなければ…ガメラもいる状況じゃ部隊もまともに割くことが出来ん」

通信手A「ギャオスが産卵しているようです!」

一等陸佐「!」

鳥類学者「!」


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 14:59:39.46 ID:yIUIu7Cc0
― 6月18日 早朝 平沢家

『今朝のJR、私鉄各線の運行状況をお送りします。まずJR、中央線はギャオス襲撃で高架が大破したため―』

憂は連日唯につきっきりで眠っておらず、さすがにまどろんでいた。

『ではここで、ギャオス関連のニュースをお送りします。政府は今朝7時を以てギャオスとの総力戦に臨むことをを決定しました。

この作戦は同時かつ多重的な攻撃によりギャオスを圧倒することが骨子とされています。

これにともなって港区周辺は非常に危険な状態となることが予想され、付近住民の避難の徹底と』


憂「…え?」


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 15:21:53.06 ID:yIUIu7Cc0
― 唯の部屋

『―区では避難勧告が出されています。まだ避難されていない方はテレビラジオの報道に従って、速やかに避難してください』

テレビの声が遠くから聞こえてくる。

憂「…お姉ちゃん」

憂は布団の外に出ていた手をしまってやろうとすると、唯の手に握られた勾玉が光り始めた。

憂「光った!?」

唯「…ガメラ」

眠っていた唯がうなされ始める。

憂「お姉ちゃん!」

強く揺さぶると唯は目を覚ました。

唯「うい…」

憂「お姉ちゃん…」

時を同じくして体力を回復したガメラも、海底で目を覚ましていた。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 15:23:37.50 ID:yIUIu7Cc0


紬「とにかく目がさめたのは良かったわ…」

和「でも…ガメラと意志疎通がはかれます、なんて言っても・・・」

憂「ガメラの動きが予知できる、みたいな体裁で・・・」

和「無理だわ…やって見せでもしなきゃ到底信用されない…」

唯「でもギャオスが!」

和「悔しいけど見ているしかないわ」

紬「唯ちゃん、今もガメラの動きがわかる?」

唯「うん。ガメラが東京に向かってるよ」


紬「父から官房長官に掛け合ってもらえばいいのよ!」


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 15:25:49.62 ID:yIUIu7Cc0 [67/67]
― 同 午前

防衛省幕僚「平沢唯さんですね。防衛省の佐竹です。古澤官房長官より直命があり、お伺い致しました」

唯「は、はい」

防衛省幕僚「これから天王洲の戦闘指揮所へいらして頂けますか?」

唯達はパトカーが先導する防衛省の黒い公用車に押し込まれた。

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 15:30:01.31 ID:yIUIu7Cc0
― 6月18日 正午 東京港区 陸上自衛隊天王州戦闘指揮所

通信手A 「1200、機動巡察、ギャオス、動きなし!終わり」

通信手B 「三沢8飛行隊、F-2爆装準備完了、発進待機に移行します」

憂「…お姉ちゃん」

紬「…」

唯は黙って勾玉を握り締め、窓の外を見つめている。

防衛省幕僚A「…本当にわかるのか?」

防衛省幕僚B「今はすべてあの娘に懸かってる」

唯「来た!」

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 15:39:00.35 ID:yIUIu7Cc0
唯の一言で突然地震のような揺れが起こった。

マンホールは吹き飛び、道路は隆起し、基礎から揺さぶられたビルが倒れていく。

自衛隊員「なんだ!?」

指揮所内でも皆が右往左往する中、唯ただ一人が何事も無いかのごとく立っている

憂「お姉ちゃん…?」


揺れが収まると一瞬の静寂に辺りは包まれる。

ギャオスが何かを察知したように甲高く鳴くと、芝公園の地面を突き破りガメラが現れる。

ギャオスは待ち構えたように素早く空に舞い上がった。

そこへガメラは躊躇いなく火球を放つ。


火球はタワーに命中し、炎上するタワーからは鉄骨の残骸に混じり巨大なギャオスの卵が辺りに落下して中身を撒き散らした。

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:00:38.03 ID:yIUIu7Cc0
通信手「ガメラとギャオス、秋葉原方面に移動中!」


飛び立ったギャオスとガメラは大通りに沿って低空で飛行し、ガメラは飛行しながら火球を連続発射する。

ギャオスがそれを回避する度に火球は建ち並ぶビルや道路に命中しあちこちで火柱が立つ。

幹線道路閉鎖のために要所に立っていた警察官達は大慌てで迫って来るギャオスから逃げ惑う。


そして遂に指揮所の窓ガラスからは二体の戦いが見えなくなる。

唯「もっとガメラに近づけませんか!?」

防衛省幕僚「ヘリを用意します!」

隊員「おいヘリだ!」


すぐに唯達を乗せて、多用途ヘリUH-60JAがヘリポートから飛び立った。



109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:05:40.21 ID:yIUIu7Cc0
―機内

無線『ガメラとギャオス、六本木方面に戻ります』

唯「…ガメラ」

ヘリは二体の空中戦が見えるギリギリの位置に到着する。

ギャオスは高速で旋回し、ガメラを追随する体勢を取ると執拗に超音波メスを発射した。

その一発がガメラの顔を掠った。


唯「あっ…」

同時に唯の頬にも切り傷ができ、血が垂れる。

憂「お姉ちゃん!」

更に超音波メスが命中したガメラはそのまま港区のビル街に落下する。

ビル街には真っ白な砂塵が立ち上った。

落ちたガメラが立ち上がったところにギャオスが襲いかかる。

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:07:44.44 ID:yIUIu7Cc0
二体の争いは高速道路の橋桁を落としマンションを圧し潰し、凄まじい砂煙や粉塵が巻き上がる。

パイロット「接近は非常に危険です!」

唯「お願いします!」

唯の懇願にパイロットは頷くとヘリはガメラに接近する。

一同が見守る中、ギャオスも地面に降り立つと、二体が再び真っ向からぶつかり合う。

ギャオスの異様な唸り声が都内に響き渡り、巻き添えを食らった周辺のビルやマンションは崩壊していく。

ギャオスは羽を使いガメラを牽制するが、そのままガメラに放り投げられる。

今度は羽ばたいて空に舞い、今度は爪でガメラの顔面を襲った。

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:12:50.43 ID:yIUIu7Cc0
それをガメラは爪で振り払うと、ギャオスはそばのビジネスビルに激突する。

ビルにはまり込んだギャオスは苦悶するように超音波メスを乱射し、ビルを真っ二つにした。

唯「…」

そして二体は次の瞬間には急上昇した。

『ガメラ再び上昇。ギャオス、ガメラに追随』

『ギャオス急上昇。追尾不能!』

成層圏まで達するとガメラはギャオスの脚に喰らいつくとそのままギャオスもろとも急降下を試みる。

ギャオスは振りほどこうと何度も超音波メスをガメラに発射する。



115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:14:22.13 ID:yIUIu7Cc0
― ヘリ機内

唯「っ!」

唯は頭を苦しそうに抱え込む。

憂「お姉ちゃんもういい!やめて!やめてお願い!」

「なんでお姉ちゃんがそんな事しなきゃならないの!?この勾玉なの!?この勾玉のせいなの!?」

憂は引きちぎらんばかりに勾玉を引っ張る。

唯「ガメラは私達のために戦ってるんだよ!だから!」

その途端、何かに気づいたように唯はヘリの天井を見上げた。

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:23:19.33 ID:yIUIu7Cc0
パイロット「おい!あれ!」

白い煙を上げながら二体が降ってくる。


その落下のさなか、ギャオスは自らの脚をついに切断し、ガメラから離れる。

ギャオスを尻目にそのままガメラは落下し、真下のコンビナートに突っ込んだ。


コンビナートに建ち並ぶタンクが衝撃で激しく爆発し、更に誘爆を繰り返して施設全体を火に包む。

ギャオスはトドメを刺すようにその上空を旋回しタンクや送油管を切断して回り、更に火勢を強める。


その爆炎に巻き込まれないように離れた場所にUH-60JAも着陸する。

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:26:31.81 ID:yIUIu7Cc0
スライドドアを添乗していた隊員が開けるやいなや唯は外に飛び出す。

護衛の隊員と憂も続く。

「憂」

唯はやってきた憂の手を握った。

左手は勾玉をしっかりと握り、その勾玉は強く輝き出す。

コンビナートの火の海がまるで渦巻くように流れると、炎は急速に小さくなり、黒い煙の中からガメラが現れる。



121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 16:29:31.88 ID:yIUIu7Cc0
ギャオスはそれを見ると、燃え上がるコンビナートのさなかに着地し、

完全に息の根を止めようと超音波メスの貯めこみを始める。

光の粒子といったような物体がギャオスの嘴に集まっていく。その甲高い音が響く中、ガメラはそれを睨む。


唯は憂の手を更に強く握った。

憂「…!」

同時にガメラは火球を放ち、ギャオスも強化超音波メスを発射した。

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 17:00:29.90 ID:yIUIu7Cc0
プラズマ火球は超音波メスを退け、ギャオスに命中する。

凄まじい爆発と同時にギャオスの頭部が燃え上がり、やがて全体が激しい炎に包まれていった。

その猛烈な炎の中からは上空に向け断末魔のように超音波メスが立ち上がるが、それも間もなく消えていった。


自衛隊員「…勝った!」

爆炎が晴れ、隊員達が喜ぶ横で憂は立ち尽くしていた。

唯「ありがとう…憂」

憂は思わず唯に抱きついたところでガメラが短く咆哮する。

憂「!」


125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 17:01:12.39 ID:yIUIu7Cc0
唯は歩み出て勾玉を握りガメラを見る。

それを見たガメラは頷くように首を動かすと、唯の頬と腕に出来た傷が消えて行った。

唯「…」

唯の傷の治癒を見届けたように、一際強く咆哮するとガメラは海に入っていく。

唯「ガメラが行っちゃう…」

憂「海に帰るんだよ」

 「…どこも何でもない?」

唯「でももうガメラの心が見えない…」

ガメラは海面に白波を立てながら湾外へと進んでいく。


126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/19(木) 17:03:16.96 ID:yIUIu7Cc0
― 天王洲指揮所

指揮所では戦勝ムードの中、自衛隊員たちが撤収準備を始めていた。

その指揮所の片隅には浮かない顔をした数人がいた。

紬「…古代文明が滅んだ後、もしギャオスが渡りを行っていたら…」

鳥類学者「そう。ギャオスの卵はどこへあってもおかしくない…。備えが必要よ…」

和「大幅に悪化した地球環境。これがギャオスにとって適した環境だったら…」

憂「次にまたガメラが来てくれるとは限らない…?」



唯「来るよ!ガメラはきっと来るよ…」

唯のその言葉は自信に溢れていた。

                                    糸冬


コメント

No title

なんという俺得SS
作者乙。
管理人さんありがとう

No title

も~い~ちど~で~き~る~なら~

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