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佐天「独裁スイッチ?」

1 名前:プロローグ[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 01:57:46.63 ID:M8fc019H0
学園都市の一角を歩く佐天涙子。彼女は様々な超能力者が在住する
この街の中でも、まったくの無能力者―レベル0だった。

佐天「はぁ…。せっかく皆で遊びに行こうと思ってたのに、初春と白井さんはジャッジメントのお仕事」
佐天「御坂さんもそれについてって、私はひとりぼっちかぁ…」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:00:02.40 ID:M8fc019H0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「おっす、初春~!遊びに来たぞ~」
初春「あ、佐天さん」
佐天「あ、御坂さんも白井さんもお揃いで!ねぇ、これから皆でおいしいもの…」
初春「ごめんなさい佐天さん!緊急の連絡が入りまして、今から現場へ行くところなんです!」
佐天「え?」
白井「せっかく来てくれたところを、実に申し訳ありませんわ」
佐天「そ、そうなんだ…」
御坂「何か私も行っておいたほうが良さそうな案件だし。ごめんね佐天さん」
佐天「い、いやあ、ジャッジメントの仕事ですからね。仕方がないでしょう」
白井「では早速参りましょう」
御坂「ごめんね佐天さん、終わったらこっちからメールするからさ」
佐天「あ、ちょっと待って初春!」
初春「え、何ですか、今この時に?」
佐天「私も現場についてっていいかな?私ももしかしたら役に立つかも…」
初春「駄目です!! ただでさえ現場は危険な状態なのに! お願いですからここで大人しく待っててください!」
佐天「…!!」
初春「佐天さんはジャッジメントでも、能力者でもないでしょう? 怪我させたくないんです。分かってください!」
佐天「あ、ごめん…。じゃあ気を付けて…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:05:12.33 ID:M8fc019H0
佐天「あーあ…どうして私って無能力者なんだろうなあ…」
佐天「私も能力者だったら、スーパーマンみたいに、こうやってああやって、犯罪や事件から」
佐天「街の人たちを守るんだぁ!」

見よう見まねの型で空中を殴ったり蹴ったりする佐天。

佐天「てい!とう!やあ! 控えろ極悪人ども! 学園都市No.1…はちょっと調子乗りすぎかな?」
佐天「学園都市No.3の超能力者、レベル5、ジャッジメント佐天涙子のおでましだ!」

子供「ママー、あのお姉ちゃん、あんなところで何やってるの?」

母親「見ちゃいけません!早く帰りましょう!」

佐天「…………」

固まったまま動きを止める佐天。

佐天「はーやめたやめた。妄想ばっかりしてても変われるわけじゃなし。家帰ってアニメのDVDでも見ようっと」

ブーブーブー

佐天「ん?メールだ。あ、初春からだ!」
佐天「なになに『無事、事件が解決しました。今から皆で夕食でもとりませんか?19時にいつものファミリーレストランで』」
佐天「ん?追伸?『特別ゲストも参加しますので、楽しみにしてて下さい(´▽`*)ノ』」
佐天「特別ゲスト…え?誰だろ?もしかして芸能人とか?うわwすごい楽しみー」

一時の悲しみから解放される佐天涙子。
しかし、この時彼女はまだ知る由も無かった。
特別ゲストとの出会いが、彼女の運命を大きく変えてしまうことに。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:10:08.18 ID:M8fc019H0
ファミリーレストラン―19時

佐天「初春たちまだかな~? にしてもどんな芸能人が来るんだろ?ワクワクw」

初春「佐天さーん」

佐天「あ、初春ぅー。よくも一人待たせてくれたなー」

ガバアッ

初春「きゃー、止めてください佐天さん///!!こんな人前で!」

佐天「ふっふっふ、ペナルティだ」

白井「まあまあお二人とも。じゃれ合うのもその辺で」

佐天「あ、白井さん!」

御坂「いつ見ても仲いいわよね佐天さんと初春さん。うらやましいわ」

白井「何を仰いますのお姉さま。黒子とお姉さまの関係も二人に負けず劣らずの純粋な間柄ですわ~」

御坂「あんたの場合、純水に混合物が混ざってるのよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:16:34.75 ID:M8fc019H0
白井「まあまあまあお姉さまったら、ツンデレですわね」

御坂「誰がツンデレか!」ビリッ

白井「あうっ」

佐天「ははは…って、あれ、その人?」

初春「あ、紹介遅れました。この人が、特別参加ゲストの上条さんです!じゃじゃーん!!」

上条「えーあー、ただいま紹介に預かりました。世界一不幸な高校生、上条当麻です。よろしく」

ボサっとした髪に、頼り甲斐がなく幸薄そうな男子学生。
佐天涙子の上条当麻の第一印象はそれだった。

佐天「え?初春、芸能人??」

初春「芸能人?」

上条「あーなんか余計な期待させちゃったようで。今言ったとおり僕は普通の男子学生です」


佐天涙子の落胆は想像以上だった―。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:22:36.40 ID:M8fc019H0
レストランの座席で一緒に食事をとる女子中学生4人と男子高校生1人。
異様と言えば異様な光景とも言えた。

上条「いやー、何だか場違いな感じもするけど、久しぶりに豪華な料理にありつけるのは嬉しいよモグモグ」

御坂「あんた普段どんな食事してんのよ」

上条「あれ、もしかして心配して下さってるのですか、ビリビリさん?」

御坂「んな訳ないでしょ!誰があんたなんか!」

白井「(とか言いつつも上条さんが席に座った瞬間、光の速さで隣を確保したのはお姉さまでしょうに)」

上条「にしても、さっきから変な視線を感じるのは気のせいでしょうか」

佐天「え?」

上条「あのー何か言いたいことでも?もしかして男が混じってたら話しづらいかな?」

白井「確かに上条さんとは言え、殿方がお一人加わるだけで雰囲気が変わりますわね。特に初春と佐天さんは」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:28:25.05 ID:M8fc019H0
初春「だってー、御坂さんや白井さんみたく知り合いじゃないんですもん」

御坂「ま、まあ腐れ縁って奴? あんたもそう思うでしょ?」

上条「で、そちらのお嬢さんのお名前はまだ聞いてなかったけど何て言うの?」

御坂「(無視!?)」

佐天「え、あ、はい(お嬢さんて…)。佐天涙子です…初春と同じ学校の…」

上条「へーそうなんだムシャムシャ」

初春「実は上条さん、さっき、事件現場で運悪く巻き込まれてたんですよ」
初春「で、御坂さんと白井さんの知り合いだったようですし、せっかくならと食事に誘ったんです」

佐天「ふ、ふーん。そうなんだ。初春が『特別参加ゲスト』って言うからもっとすごい人かと…」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:31:15.70 ID:M8fc019H0
上条「いやいや全然すごくないから。でも驚いたなー」

佐天「え?」

上条「今時の女子中学生って、人前でも平気で友達のスカート捲ったり捲られたりするんだ」
上条「普通の男子高校生・上条さんもこれにはさすがに目のやり所に困りましたよ」

初春「わー!あ、あ、あれは違うんです!/// いつも不可抗力で/// って言うか見ました?」カァァ

上条「………」ニヤニヤ

御坂「変態」

白井「さすがの黒子も引きますわ」

上条「いや、違うって。その子が言ったように不可抗力で!…」

わいわい やいのやいの

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:37:13.64 ID:M8fc019H0
一時間後


初春「でも、今日の御坂さんと白井さんはかっこよかったですね」

白井「いえいえそれほどでも」

初春「さすがレベル4とレベル5です!レベル1の私なんて見てるだけで精一杯で…」

御坂「学園都市No.3の『超電磁砲』としては、ああいう奴ら放っておけないのよね!」

上条「……………ムシャムシャモグモグ」

佐天「……………(さっきから、ずっと今日の事件の話ばかり。いいなーみんなして)」
佐天「(私も能力者かジャッジメントなら話に混じれるのに…。なんかつまんないや)」
佐天「(特別ゲストも、芸能人が来るのかと思ったら、ただの普通の高校生だったし…)」チラッ

上条「ん?」

佐天「(やばっ!)」

上条「???」
上条「(俺の飯、欲しいのかな?)ムシャモグ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:41:14.74 ID:M8fc019H0
白井「ではそろそろお開きにしましょうか。誰かさんはまだ食事中のようですが」

御坂「あんた、いつまで食べてるのよ! 偏った生活してると、健康に悪いのよ!」

上条「んー?いいだろーたまには。今日ぐらい大目に見てくれよビリビリー」

初春「(何か本当の夫婦みたいですね…)」

上条「にしてもありがとな。みんなの奢りで、久しぶりにたらふく食えたぜ」

御坂「は?何言ってるのあんた?」

上条「ん?」

白井「私たちは自分の分しか食費は持っていませんわよ」

上条「えっ」

御坂「誰も一言も奢るなんて言ってないでしょーが」

上条「えっ」

白井「通りで不思議でしたわ。普段、金も持っていない人があれだけ食べれるなんて」

上条「不幸だあぁぁぁぁぁあああ!!!」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:47:39.90 ID:M8fc019H0
上条「今月の食費が…食費が…」

初春「でも私も久しぶりにたくさん食べちゃいました。やっぱり仕事帰りの外食はおいしいですね」

御坂「また何かあったら言いなさいよ。学園都市No.3の『超電磁砲』が駆けつけてあげるんだから!」

白井「お姉さまも懲りないですわね。ジャッジメントのお仕事なら私ひとりでも十分ですのに」

御坂「何だと黒子ー」

佐天「あ、あの!」

御坂・白井・初春「ん?」

佐天「ごめんなさい皆。ちょっと私これから寄る所あるから先帰るね!」

白井「あら、それは残念ですの」

御坂「気を付けて帰ってね」

佐天「はい。今日は誘ってくれてありがとうございました」
佐天「初春、また明日ね」

初春「もう帰っちゃうんですかー」
佐天「うん、ごめんね。じゃ!」トタタタ

上条「………」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:54:02.69 ID:M8fc019H0
とある公園のベンチにて―。

佐天「早く帰りたかったから嘘ついちゃった」
佐天「だって、何だか私だけ仲間はずれみたいに思ったんだもん」
佐天「レベルアッパーで懲りたけど、やっぱり私も能力者になりたいなあ」
佐天「…あつっ」

振り返る佐天。
そこには缶コーヒーを持った上条が立っていた。

上条「よう」

佐天「か、上条さん!どうしてここに!?」

上条「まあまあそんなことはいいからさ。隣、座っていいか?」

佐天「べ、別に構いませんけど…(何この人、ストーカーなの?)」

上条「あ、このコーヒーやるよ」

佐天「け、結構です」

上条「寒いだろ?暖かくなるからさ、ほら」

佐天「………どうも」
佐天「…………」

上条「なあ、何で嘘ついてまであいつらと別れたんだ?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/26(金) 02:57:00.67 ID:M8fc019H0
誰もいない悪寒…
需要あるのだろうか

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[たまにはageてみるかな…] 投稿日:2010/02/26(金) 03:01:28.78 ID:M8fc019H0
佐天「!?」

上条「一緒に帰ればいいのに。こんな所で一人で道草食ってさ」

佐天「べ、別に、そんなの上条さんに関係ないじゃないですか」

上条「君さ、レベル0だろ?」

佐天「!!」

上条「あいつらと食事してる時、ジャッジメントのこととか能力者の話になると、それまで元気に喋ってた君が急に黙りこくるんだ。大体分かるよ」

佐天「だったら何だって言うんですか!?仮にそうだとして、貴方に何が分かるんですか?あなただって、能力者でしょ!」

上条「いや、無能力者のレベル0だよ」

佐天「え?」

上条「まあ色々例外もあるけど、一応ここ学園都市の基準では、レベル0の無能力者なんだ」

佐天「そう…なんですか?」

上条「ああ、だからすぐ分かったぜ。君がビリビリや白井たちにコンプレックス持ってるってことをな」

佐天「…………」

上条「俺で良かったらさ、思いのたけぶちまけてみなよ。同じレベル0の無能力者として悩み聞くぜ」ニコリ

佐天「上条さん…」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>16ようやく人に会えたage] 投稿日:2010/02/26(金) 03:06:28.85 ID:M8fc019H0
それから数十分。佐天涙子は心のうちを打ち明け続けた。
今までどれだけ辛い思いをしてきたのか。どれだけ悩んだのか。
どれだけ能力者たちにコンプレックスを持ってたのかを。

佐天「だがら…私は…うっ…ぐすっ…悔しくて…レベルアッパーだって本当は使いたく…なかっだけど…ひぐっ」

上条「でも友達に迷惑を掛けたのは本当なんだろ?」

佐天「だっで…!だっで!」グス

上条「俺さ、思うんだ。確かにこの学園都市は、能力者がたくさんいるけど…同じように俺たちのようなレベル0の無能力者だって生活してる」
上条「能力が有るのと無いのとでは全く違うけど、共存は出来てるじゃん」
上条「佐天さんだって美琴や白井、初春さんたちと仲良く暮らしてるだろ?」
上条「レベルとか、能力とか、関係ないよ。あいつらは君の友達。それだけでも幸せだと思うぜ?」

佐天「…………」

上条「だからもっと素直になろうぜ。佐天さんが美琴たちと違うって思い込んでるから、無意識に距離を置いちゃうんじゃないか?」
上条「友達なんだからさ、もっとあいつらのこと、頼って信じてあげてもいいと思うけど。…なっ!」

佐天「…それじゃ駄目なんですよ」ボソッ

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:13:05.77 ID:M8fc019H0
上条「ん?」

佐天「私だって、初春も御坂さんも白井さんも好きです。…だけど!!」
佐天「彼女たちの存在は、私を見下してる気がするんです!」
佐天「もちろん本人たちにそんな気が無いのは分かってます!」
佐天「だけど、彼女たちの存在は…彼女たちが放つ雰囲気は私を見下してるんです!」

上条「………」

佐天「初春たちに罪は無いけど、知らない間に私が傷ついているのは事実なんです!」
佐天「それが分からない時点で、やっぱり初春たちは私を馬鹿にしてるのよ!!!」

上条「ふーん…存在かあ」
上条「残念だなあ…よっこいしょ」

佐天「え?」

上条「君はもっと賢い子かと思ってたけど」

佐天「何ですって?」ギリッ

23 名前:>18-21ありがとう[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:16:04.42 ID:M8fc019H0
上条「おー怖い怖い」

佐天「中学生だからって馬鹿にしてるんですか?」

上条「まさか。それより明日、同じ時間にここまた来れるかな?」

佐天「何を言ってるの?」

上条「君に渡したいものがあってさ」

佐天「渡したいもの?」

上条「多分今の佐天さんに必要なものさ。君の不満を解消してくれる」
上条「これ以上、君がレベル0であることに悩まなくなるとっておきの秘密道具さ」

佐天「え!?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:21:08.19 ID:M8fc019H0
翌日。同時刻―とある公園にて。

佐天「何よあいつ。全然来ないじゃない」

上条「るーい子ちゃん!」

佐天「ヒャウ!! う、後ろから急に出てこないで下さい!痴漢かと思いましたよ!」

上条「あっはー、ごめんごめんただの冗談ですよ」

佐天「私、30分近くは待ったんですよ。自分から来いって言っておいて遅れるなんて言語道断ですよ!」

上条「いやあ、居候をごまかすのに時間食っちゃって」
上条「さすがの上条さんも女の子とのデートの待ち合わせをすっぽかすのは良くないですよね」

佐天「デ、デート!?///」

上条「冗談冗談。でも、ここに来るのを決めたのは佐天さん自身だぜ?」

佐天「…う」

上条「まあいいや、はいこれが君に渡すもの」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:25:39.96 ID:M8fc019H0
佐天にとある物を渡す上条。
5立方センチメートルほどの小さくて柄もないただの箱だった。

佐天「え?何これ?ただの箱じゃないですか」

上条「大事なのはその中身さ。おーっと、今はまだ開けちゃ駄目だぜ」

佐天「??」

上条「家に帰って一人になって見てみな。そのほうが楽しみがあるだろ?」
上条「せっかくの上条さんからの愛のプレゼントなんだから、粗末にするなよ」

佐天「何それキモイです」

上条「…………」
上条「ま、まあいいや。じゃ、俺は用事が済んだからこれで。美琴たちに宜しく言っておいてくれよ」

佐天「え?これだけ?って、待って下さいよ!」

上条「出来ることならまた佐天さんと出会えることを祈ってるよ。じゃあなー」

佐天「何言ってんの?…変な人。でも、ホントに何だろこの箱…」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:30:17.59 ID:M8fc019H0
佐天宅―。


佐天「改めて見てみると、何の変哲も無い箱だけど」
佐天「爆弾…とかじゃないよね? …まさかね。ちょっと開けてみようかな」

パカッ

佐天「…何これ?…ボタン?」

箱を開ける佐天。そこには透明のプラスチックで蓋がされたボタンと一枚の紙が入っていた。

佐天「これが渡したかったもの?もしかしてからかわれたのかな?」
佐天「こっちの紙は…『説明書』?何これ、ただのオモチャじゃない!」
佐天「中学生だからって馬鹿にして!今度会ったら文句言ってやる!」

箱を放り投げベッドに横たわる佐天。
手元にあった携帯電話を取る。

佐天「あ、初春ー?聞いてよ。ちょっとさっきムカツクことあったんだけどさー」
佐天「え?今忙しい?ジャッジメントの仕事で?」
佐天「そ、そうなんだ。じゃあ仕方ないよね。分かった。うん、また明日ね。バイバイ」

佐天「はーつまんないなー。初春もこんな遅くまで仕事なんてしなくていいのに」
佐天「…………」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:35:49.20 ID:M8fc019H0
  ―『これ以上、君がレベル0であることに悩まなくなるとっておきの秘密道具さ』―
  ―『君の悩み事も一気に解決してくれる、おあつらえ向きのね』―


黙ったまま床に転がっている箱を見続けていた佐天。
が、しばらくするとベッドから足を降ろし箱に入っていた説明書を取り出した。

佐天「なになに?…

『このボタンは、新しい人生を探している方、退屈な日常に飽きた方、仲間から疎外感を感じて
いる方、疲れた現代社会に飽きた方、そして、気に入らない人間が身近にいる方にピッタリの道具です。
使い方は簡単。プラスチックのケースの蓋を開け、特定の人物の名前を叫びボタンを押すだけです。
それだけで、名前を叫ばれた人間は瞬時に消失します』
                                                」
佐天「…消失?」

佐天「

『誰を消すかは貴方次第。例えば、身近に嫌な人間がいれば消すのも良し、嫌いな政治家がいれば消すのも良し。
もちろん、貴方の一言で総理大臣も大統領も消すことが可能です。その他、死刑にならなかった殺人犯がいて個人
的に納得できないのなら消すのもまた一つの道です。世界の人口が過剰に溢れていると思ったら、人工の半分を
消すことも出来ます。好きな人と二人だけで過ごしたいならご自身と好きな人以外の全ての人間をこの地球上から
消すことも可能。もちろん、使い方によってはこの世界を貴方の独り占めにすることだって夢じゃない。さあ、手始め
に身近な人間を消して試してみましょう!この世は全て貴方次第!さあ、貴方の理想の世界を創り上げましょう!
貴方は今日から神様です!!!』

                                                       」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:41:40.07 ID:M8fc019H0
佐天「何これ…趣味わる…。そもそもどこのメーカーがこんな誰にも需要が無いオモチャ作ってるんだろ?」
佐天「って、どこにもメーカー名書いてないし。変なの。上条さんも何でこんなの私に…。嫌がらせ?」
佐天「待てよ…このオモチャと同じようなものを何かで聞いたことがある…あれは確かアニメだったっけ」
佐天「昔見たアニメだけど、何だったっけかなあ? 確か主人公の男の子がこれに似た道具を使って」
佐天「嫌な同級生を消していくとかいうストーリーだったような…。確かその道具の名前って…」



佐天「  独  裁  ス  イ  ッ  チ  ?  」



佐天「って、まさかねー。あんなのアニメの話だし。んなもん実際に存在してたら、犯罪者が悪用してるって!……」
佐天「…………」

ボタンを見つめる佐天。

佐天「ま、持ってるぐらいなら、いっか。さ、寝よ!」

カサカサカサカサカサ
佐天の目の前を黒いものが横切る。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:45:35.42 ID:M8fc019H0
佐天「きゃーっ! 何々!??」

カサカサカサカサカサ

佐天「ゴ、ごきぶりいいいい@〇×※〒drftgyふじこ」
佐天「や、やだ、こっち来ないでよ!」

カサカサカサカサカサ

佐天「ふぇーん初春ーーーー!!!」

カサカサカサカサカサカサカサ

佐天「キャーもう、『ゴキブリ』なんて消えろー!」

ピッ

カサカサk…ピシュン!!


佐天「……って、え?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:48:43.97 ID:M8fc019H0
佐天「あれ?ゴキブリは? え?え?今までそこにいたのに」

ふと手元を見る佐天。
右手に収められたボタン。佐天の親指はそれに添えられていた。

佐天「ま、まさか『ゴキブリ』って叫んだから消えちゃった…?」
佐天「まさかね…。うん、そんなはずないもん」
佐天「きっと隠れてどっか行っちゃっただけ。…そうだよ。そんなこと実際あるわけないじゃん…」
佐天「寝よう。このボタンは早いとこ上条さんに返そう」


電気を消す佐天。
不安を残しつつ彼女は眠りに就いた。

45 名前:第1部[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:52:58.78 ID:M8fc019H0
翌日―。


佐天「うーーーーいーーーーはーーーーるーーーー!!!」

バサアッ

初春「キャーーーーー///佐天さん!!」

佐天「お、今日はクマちゃんかー」

初春「もう!!大きな声で言わないで下さい!///」

佐天「昨日私との電話を拒否したペナルティーじゃ!」

初春「きょ、拒否なんてしてませんよ。ただ、ジャッジメントの仕事が忙しくて…」

佐天「大丈V!! 佐天さんは初春さんの事情ぐらいちゃーんと分かってるから!」

初春「あ、ありがとうございます。助かります」


佐天「でも、あんまり仕事ばかり優先してると、初春を 消 し ち ゃ う よ ♪」


初春「…え?」ゾクッ

46 名前:一応この話は元ネタをベースに多少設定をアレンジしてます[] 投稿日:2010/02/26(金) 03:56:50.57 ID:M8fc019H0
佐天「なーんて冗談冗談!もう、何真に受けてるの?はは」

初春「そ、そうですよね。私ったら…はは」

佐天「ところでさ初春は上条さんの連絡先知らない?」

初春「上条さんですか?知りませんけど…」

佐天「そっかー、だよねー」

初春「何か用事でもあるんですか?」

佐天「ん、ちょっとねー」

初春「もしかしたら、御坂さんか白井さんなら知ってるかも」

佐天「あ、なるほどー。次会いに行ったとき聞いてみようっと」

キーンコーンカーンコーン

佐天「あ、朝礼のチャイムだ!ほら、急がないと遅れるぞ初春!」

初春「ふぇーん待って下さいよー佐天さーん!」
初春「(にしても、さっき一瞬だけ佐天さんの言葉に悪寒を感じたけど…あれは何だったんだろ?)」
初春「(何か嫌な予感がするけど…気のせいですよね…)」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:02:30.01 ID:M8fc019H0
放課後―。

佐天「はぁぁぁあああ、ま・た、初春はジャッジメントの仕事かあ。最近多すぎだよホント」


 ―『何でもスキルアウトの一部が自棄を起こしてるらしいです。集団で一人の女の子を執拗に追いかけて
   疲れたところを一網打尽にするという卑劣な手段で。佐天さんも気を付けてくださいね』―


佐天「そりゃ確かに私は可愛い女の子だからさ、危ないのは承知だよ。でも初春、お前はどうなんだあ!」
佐天「ま、初春には白井さんや御坂さんがついてるし、大丈夫だよね」
佐天「それに私には何てったって、この秘密兵器『独裁スイッチ』があるのだー!」

ボタンを取り出し空中に掲げる佐天。

佐天「って、こんなオモチャが役に立つわけないじゃん。早く上条さんに返さないと」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:05:02.00 ID:M8fc019H0
Grrrrrr

佐天「え?」

Grrrrrrrrrrr

佐天が振り返ると、そこには大きな牙を向いた2匹の野良犬が唸っていた。

佐天「の、野良犬!? なんか怒ってるし!」

Grrrrrrr

佐天「ちょ、何?私、餌なんか持ってないよ?」

ガウガウガウガウガウ!!!!!

佐天「きゃああああああああああ!!!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:08:03.70 ID:M8fc019H0
初春「!?」
初春「………!」

白井「どうしました初春?」

初春「いえ、何か今、嫌な予感がして…」

白井「相手は半錯乱化したスキルアウト。嫌な予感がしてもおかしくありませんわ」
白井「気を付けなければ我々もいつ襲われる対象になるのか分かりませんし」

初春「はい、そうですよね…」
初春「(何だか佐天さんのことが心配…でもそれとは別に嫌な予感がする)」
初春「(まるで朝会ったときに感じたような…)」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:11:26.78 ID:M8fc019H0
佐天「…………っ」

顔を覆っていた腕をゆっくりと降ろし、恐る恐る目を開ける佐天。
が、しかしそこに野良犬の姿は無く…

佐天「…あれ?犬が…いない?」
佐天「確か私…」

――――――――――――――――――――――――――――――
ガウガウガウガウガウ!!!!!

佐天「きゃああああああああああ!!!」
佐天「野良犬なんか消えちゃえー!!!」

ピッ

ガウガウg…ピシュン!!
――――――――――――――――――――――――――――――

手元に目をやる佐天。
するとそこには、昨夜のゴキブリのときと同じく、あのボタンが握られていた。

佐天「嘘…嘘よ…」
佐天「私が犬を、消しちゃったの…?」
佐天「そんな…」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:16:29.57 ID:M8fc019H0
そのボタンが、消したいものを本当に消す能力があるということを知った佐天。
翌日、彼女は意気消沈しながら学校に登校していた。

先生「では次の問題、佐天、解いてみろ」

佐天「…………」ボーッ

先生「佐天涙子!」

佐天「え、あ、はい…何ですか先生?」

先生「もういい、授業中にボーッとして。前田、お前答えてみろ」

佐天「すいません…」

初春「(佐天さん、どうしたんだろ元気がないな…)」
初春「(もしかして最近一緒に遊べなくてふてくされてるのかな?)」
初春「………」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:19:22.04 ID:M8fc019H0
放課後―。

初春「佐天さん♪」

佐天「あ、初春…」

初春「何一人で帰ろうとしてるんですか?」
初春「一緒に帰りましょうよ」

佐天「…うん、そうだね」

初春「何だか元気無いですね。もしかして最近会えないから怒ってます?」

佐天「………」

初春「佐天さん?」

佐天「え、あ、ん?」
佐天「そんなことないよ!ないない!いつも通り佐天さんは元気一杯で可愛いですよ!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:22:58.49 ID:M8fc019H0
佐天「ほらこの通り!」

バサアッ

初春「キャーーーーーー!//また佐天さんはー!///」

佐天「今日やってなかったからその分ねー」

初春「もう!///」
初春「…ふふ。でも良かった」

佐天「ん?何が?」

初春「何だか今日一日、佐天さん元気無かったから。何かあったのかと思って」

佐天「あー、あれ?大丈夫大丈夫、気のせいだったみたいだから」

初春「何かお困りごとでも?」

佐天「違うの違うの。それよりさあ、御坂さんと白井さん、次いつ会えるかな?」
佐天「早く上条さんの連絡先知りたいんだけど」

初春「あーその件ですが、御坂さんと白井さんに聞いておきましたよ」

佐天「本当?さすが初春、手際いい!で、どうだった?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 04:28:17.24 ID:M8fc019H0
初春「でも残念ながら二人とも知らないようです。結構、上条さん神出鬼没らしくて…」

佐天「えーそうなんだー……」

初春「ごめんなさい」

佐天「あーうん、気にしなくていいよ。別にこの世からいなくなったわけじゃなし」
佐天「同じ学園都市にいたらいつか会えるっしょ」
佐天「(まあ、当然と言えば当然か……。)」
佐天「(上条さんと連絡つくまでは、あのボタンは家の引き出しの奥にでも封印しとこう…)」

初春「でもどうして上条さんの連絡先が知りたいんですか?」
初春「もしかして佐天さん、上条さんのこと…」

佐天「んんんな訳ないじゃん!誰があんな冴えない高校生」
佐天「そう言っておいて本当は初春が好きだったりして。年上とか好きそうだし!なーんて…」

初春「…………////」

佐天「えっ」

62 名前:お待たせしました[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:07:23.71 ID:DeKTQnkd0
女子生徒A「やだーあいつ誰キモーい」
女子生徒B「幽霊みたーい」

佐天「ん?」

後ろから聞こえた女子生徒の声に反応した佐天が校門の方に注意を向けると、
そこにはマッシュルーム型の髪型をした男子学生が一人突っ立ていた。

佐天「あ、あの髪型は…鋼盾くん?」

初春「お知り合いですか?」

佐天「あー知り合いってまではいかないけど、前に特別講習でちょっとね…」

初春「何かこっちの方見てません、あの人?」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:13:24.68 ID:DeKTQnkd0
佐天「んー??…あ、行っちゃった」

初春「幽霊みたいに消えましたね」
初春「もしかして佐天さんに用事があったんじゃ?」

佐天「まさかー。きっと初春に声を掛けたかったんだよー。初春モテるし」

初春「冗談よして下さいよー佐天さん。佐天さんの方がモテますよー」

佐天「お世辞かこの、生意気な小娘め。頭から生えてるお花引っこ抜くぞー」

初春「生えてませぇぇぇえええん」

佐天「(にしても何だったんだろ??)」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:18:46.71 ID:DeKTQnkd0
とある喫茶店前にて―。


佐天「あーおいしかったー」

白井「久しぶりに食べるパフェはまた格別ですわね」

初春「御坂さんなんておかわりもしてましたしね」

御坂「だっておいしいんだもーん。今が旬なんだから食べる時に食べとかないとね!」

白井「またまたそんなこと言ってお姉さまは。あの類人猿が聞いたら余りの羨ましさに死にそうですわね」

御坂「べべべべべべべ別にあいつは関係ないでしょ///」
御坂「あ」
御坂「そういや佐天さんごめんね、あいつの連絡先知らなくて」

佐天「え?あー、別にいいです。また会った時にでも聞いといて下されば」

御坂「本当は今すぐ教えてあげたいんだけどね(本当は私が一番知りたいんだけど…)」
御坂「あいつ、いつもどっかでフラついてるからその内会えると思うけど(っていうか、これを口実に私もあいつのメアドGET出来るんじゃ…)」
御坂「ま、会ったら聞いといてあげるから(でもどうして佐天さんはあいつの連絡先知りたがってるんだろ?)」
御坂「まさか佐天さんもあいつのこと好きなの!?(まさか佐天さんもあいつのこと好きなの!?)」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:24:27.15 ID:DeKTQnkd0
佐天「え?」
佐天「あー無いです無いです。そんな大きな意味はありません。些細なことですし」

御坂「なーんだ、てっきり勘違いしちゃった(ビックリしたぁ…)」
御坂「そうだよね。佐天さんにはもっといい男が似合ってるしね(つい口に出しちゃったじゃない!)」
御坂「ま、あんな奴好きになる物好きなんてそうそういないだろうし…(いたらこの目で見てやりたいわ!)」

初春「…………」

白井「やれやれですの。とにかく今日はこれでお開きですの」

佐天「また近い内に4人で来たいですね!」

御坂「そうね。時間が出来たらまた来ましょ」

白井「では今日はこの辺りで」

初春「さよならー」

佐天「バイバイー」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:30:48.62 ID:DeKTQnkd0
別れる4人。しかし、この時、彼女たちは誰一人気付いていなかった。
遠くから4人を羨望の眼差しで見つめる男の気配を…。

男「ハァハァハァ…佐天さん…」


その後、佐天は初春とも別れ自分の部屋に戻るのだったが、
彼女はいまだ自分の身に差し迫る脅威に気付いていなかった。

佐天「今日も疲れたー」
佐天「上条さんの連絡先はまだ分からないけど、久しぶりに御坂さんたちと食べたパフェは上手かったな」
佐天「そうだ、もう独裁スイッチのことなんて忘れよう。あんなのがあったら、おちおち学生生活も楽しめないよ」

ガチャッ

佐天は鍵を開け、中に入る。

バタン


「ハァハァハァ…」


佐天「え?」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 05:35:59.19 ID:DeKTQnkd0
振り返る佐天。
何とそこには、あの鋼盾掬彦が息を切らして立っていた。

鋼盾「ハァハァハァ…佐天さん…」

佐天「…鋼盾…くん?」

一瞬、何が起きたのか理解を得ないまま、佐天は言葉を搾り出す。
その声に押されるように、咄嗟に後ろを向いた鋼盾はドアの鍵をロックしチェーンを掛けた。
再びこちらに向き直った鋼盾のイッた目を見た瞬間、佐天は初めて恐怖を覚えた。

鋼盾「佐天…さん…」ニッコリ

佐天「何を…」

鋼盾「佐天さあぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁあぁああああん!!!」

佐天「きゃああああああぁぁああああああああああああ!!!」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:24:13.96 ID:vG1u/BFT0
腕を広げてきた鋼盾の突進を寸でのところですり抜ける佐天。
躓き、倒れた佐天に鋼盾が後ろから追い被さろうとする。
間一髪、体勢を起こした佐天は部屋の奥に逃げ込んだ。

鋼盾「佐天さん、逃げないでよ佐天さん…ハァハァ」

ゆっくりと部屋の中を進みゆく鋼盾。

鋼盾「僕たち、同じ落ちこぼれじゃない……ハァハァハァ」

佐天「やだ、来ないで…。鋼盾くん、どうしちゃったの…?」

鋼盾「僕さあ、初めて佐天さんを見たときから、佐天さんに惚れてたんだぁ。デュフフ」
鋼盾「ああ、こんな可愛い子も僕と同じなんだ、って。僕みたいに弾かれ者なんだって…デュフフフフ」
鋼盾「そう思ったら、いつの間にか佐天さんに恋してたんだぁぁ…ハァハァハァ」

ふと視線を動かす佐天。手が届く範囲に、台所の包丁があるのが目に入った。
佐天は咄嗟にその包丁を取り鋼盾に向ける。それが今、彼女に出来る精一杯の抵抗だった。

佐天「来たら、刺すよ…。お願いだから帰って」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:30:01.55 ID:vG1u/BFT0
鋼盾「…………」
鋼盾「あ、これがヤンデレって奴かぁ…。初めてみた。いいねぇ、そそるなあ…」
鋼盾「あらら、涙浮かべてどうしちゃったの?怖いの?刺しちゃいなよ」

佐天「くっ……泣いてなんか…ない…!」

鋼盾「いいねーその顔。でもどんな抵抗やっても無駄だけどね」

佐天「え?」

突如、佐天の両手から離れたかと思うと、包丁は部屋の隅にまで飛んでいった。

鋼盾「これが僕の能力。おどろいたぁ?特別講習のあと、いきなり開花しちゃったんだああああ」ニヤア

佐天「そんな…!」

鋼盾「君も能力者だったら、僕ぐらい何とか対処できたろうにね」
鋼盾「ホント、無能力者って可哀想ー」

佐天「(どうして私ばっかりこんな目に…!神様のバカ!)」

鋼盾「諦めなよ。諦めて僕のものになりなよ」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:36:04.13 ID:vG1u/BFT0
再び室内に注意を向ける佐天。すると、鋼盾が立っている位置より3歩ほど
間隔を開けたところに、学生鞄が落ちているのが見えた。さっき玄関で躓いた
時に落としたのか、その衝撃で中身が散らばっている。鞄のすぐ側には、携帯電話
が落ちていた。

意を決しそちらに飛び移った佐天。携帯電話を取り上げ着信履歴から「初春」の表示を
呼び出す。が、発信ボタンを押した瞬間、上から鋼盾が覆い被さってきた。

佐天「きゃああああ!!」

能力で浮かした携帯電話を佐天の手から奪い取った鋼盾は、通話ボタンを切ると
それを遠くに放り投げた。

佐天「やだ!!誰か助けてえええええ!!誰か来てえええええええ!!!」

頭を押さえつけ馬乗りになる鋼盾。

鋼盾「大人しくしなよ。デュフフ。これから楽しいことしようねー涙子ちゅぁああん」

佐天「やめてぇぇぇぇえぇえええ!!!」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:43:02.43 ID:vG1u/BFT0
叫んでも、みんな留守にしているのか誰も助けに来ない。

佐天「白井さぁぁああん!!! 御坂さぁあああん!!!」
佐天「初春助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」

鋼盾「ああ、さっき会ってたあの可愛らしいお友達のことかな?無駄だよ無駄」
鋼盾「ほら泣かないで。僕が癒してあげるからさ」

佐天「いやぁぁぁ、助けてー上条さぁぁああぁん!! 上条さぁぁああぁぁん!!!」

日村「上条!?この間公園で会ってた男のことか!!!この僕という人間がいながら!!!」

「上条」の名前を耳にし、急に暴力的になった鋼盾は佐天のセーラー服に手をかけた。
と、その時、目の前にとある物体を見つけた佐天。背中から押さえつけられながらも必死に
数cmほど這った佐天はその物体を両手に収めた。


鋼盾「お前は一生僕の奴隷だああぁぁぁああああぁぁぁぁああああ!!!!!!」


佐天「鋼盾なんか消えろおおおおおおおお!!!!!!!!」




ピシュン!!!

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:47:44.95 ID:vG1u/BFT0
ごめんなさい訂正です。
>>83の
>日村「上条!?この間公園で会ってた男のことか!!!この僕という人間がいながら!!!」

ですが当然「日村」じゃないです。鋼盾の名前を知るまでは「日村」で書いてたので、
修正し忘れてました。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:52:07.30 ID:vG1u/BFT0
佐天「…はぁ…はぁ…はぁ」

急に静まり返った室内。急に軽くなった背中。
しばらく息継ぎをし、ようやく落ち着くと佐天は後ろをゆっくりと振り返った。

佐天「………いない…」

恐る恐る両手を開けてみる。そこにはあのボタンが握り締められていた。

佐天「いやぁ!」

ガッ

ボタンを放り投げる佐天。怯えるようにボタンから後ず去った佐天は壁に背中を預け丸まった。

佐天「…ふふ…消しちゃった…消しちゃった…」
佐天「私、人間を消しちゃった…」
佐天「初春…私、鋼盾くんを、消しちゃった……フフフ」
佐天「ふふふ…ふ…う、うううう…グス…グス」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:56:01.45 ID:vG1u/BFT0
翌日―。


先生「佐々木!」

生徒「はい!」

先生「佐天!」

………シーン…

先生「佐天?……なんだ欠席か。あいつに限って珍しいな」

初春「(佐天さんが欠席…!?昨日はあんな元気だったのに…)」
初春「(そういや放課後、私と帰るとき何となく落ち込んでたっけ…。)」
初春「(それに昨日の夜、1秒だけ佐天さんからコールがあったけど何だったんだろ)」
初春「(あの後電話してもメールしても何の返事も無かったし…。何か嫌な予感がする…。放課後、行ってみよう)」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 08:59:32.49 ID:vG1u/BFT0
佐天の部屋―。鋼盾を消したことによる余りのショックからか、
佐天は学校を休み、一日中何も食べず部屋の中でボーッとしていた。

佐天「…………」
佐天「(…まさか、本当に人間が消えるなんて…思ってなかった…私、鋼盾君を殺したことに……なるのかな…?」
佐天「うっ…ひっぐ…グス…ひぐ…」

ピンポーン

佐天「!!」ビクッ
佐天「…だ、誰?」

ピンポーン

佐天「やだ…来ないで!来ないで!」

初春「佐天さーん!いないんですかー?」
佐天「初春…!!」

初春「(留守なのかな?)」

ガチャッ

佐天「…初春…」

初春「佐天さん、いるじゃないですか!」
初春「(…にしてもすごいクマですね…。何かあったんでしょうか)」

92 名前:>>91ありがとう[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:04:32.22 ID:vG1u/BFT0
初春「驚きましたよ佐天さん。普段は滅多に休むこと無いのに学校欠席してるんですから」

佐天「ごめん…」

初春「…………」
初春「そう言えば昨夜、電話かけませんでした?1秒ほど佐天さんからコールがあったんですけど…」

佐天「…そうだっけ?…」

初春「そうですよ!私気になってその後、電話したりメールしたのに何の返事も無いから心配しちゃって」
初春「おまけに今日、学校休むんですから。何か、あったんですか…?」

佐天「………」

初春「…佐天さん、悩み事があるなら相談してください。私、これでも佐天さんの一番の親友ですよ」

佐天「…う…」

初春「?」

佐天「初春ぅ!!」ガバッ

初春に抱きつく佐天。訳が分からないのか初春は拍子が抜けた顔をする。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:07:05.93 ID:vG1u/BFT0
佐天「初春…私ね、私ね…」

初春「は、はい…」

佐天「鋼盾くんを…消しちゃったの!」

初春「え?」

佐天「昨夜、家に戻ってきたら鋼盾くん、密かに私のこと尾行してたみたいで…それで襲われそうになったの」
佐天「だって、誰だってビックリするよね?いつの間にか部屋の中に入ってるんだよ!」
佐天「しかも変な目してて、いきなり私を襲ってきたんだ!だから、私、私…誤って消しちゃったんだ…」
佐天「消しちゃったんだよ鋼盾くんを!この、私が…!だって、うぐっ…ひぐっ…仕方ないじゃん」
佐天「怖かったんだもん!殺されると思ったんだもん!ひぐっ…だから、消しちゃったんだ…」
佐天「ねえ初春?初春はこんな私でも親友でいてくれるよね?ずっと友達だよね、私たち、ね?」

初春「佐天さん…」

佐天「グスッ…」



初春「  鋼  盾  く  ん  っ  て  誰  で  す  か  ?  」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:12:25.99 ID:vG1u/BFT0
佐天「え…」

初春「んーっと、イマイチ話が見えないんですけど…まず鋼盾くん?って誰なのかなーって」

佐天「何言ってるの初春!昨日、学校から帰るとき校門にいた男の子じゃん!」

初春「えーっと…えーっと…うーん、いましたっけ?」

佐天「いたよ!!ほら、マッシュルームの髪型で、校門から私のこと見つめてた…」

初春「???」

佐天「後ろの女の子二人も『幽霊みたい』って陰口言ってたじゃん!」
佐天「ほら、言ったでしょ?私が例の特別講習で一緒になった男の子!肥満気味の!」

初春「ごめんなさい…どうしても思い出せません」

佐天「何で!?いたよ!」

初春「昨日の放課後は確かに一緒に帰りましたけど、校門には誰もいませんでしたよ」

佐天「え?」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:18:36.23 ID:vG1u/BFT0
初春「あの時私たちは確か、今度行くセブンスミストでどんな服を買おうかって話をしてましたし」
初春「確か後ろを歩いてた女の子たちも、ずっと友達の話で盛り上がってたような…」
初春「少なくとも私は昨日、佐天さんが言うような鋼盾くんに合致する人は見てないんですけど…」

佐天「からかってるの初春?」

初春「からかってませんよ!……佐天さん、その…言いにくいんですけど、最近疲れてません?」

佐天「…どういう意味?」

初春「もし極度に疲れてるなら、一度、病院で診てもらったほうが…」

佐天「初春…?」
佐天「(はっ!…『消す』…あのボタン、説明書には『消す』って書いてあった…。『殺す』とか『死ぬ』じゃなくて…)」

初春「でも何者かに襲われたのなら、只事じゃありませんね」

佐天「(待って…もしかして、『消す』って、最初から存在しないようにすることなの!?)」

初春「とりあえず白井さんと連絡して、佐天さんを襲った人を捜してみましょうか?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:23:20.87 ID:vG1u/BFT0
  ―『貴方は今日から神様です!』―


佐天「(『神様』…『消す』…初めから生まれてきていない…『鋼盾』なんて男の子は最初からいない?)」
佐天「あああああああああああ!!!!」

初春「佐天さん!?」

頭を抱える佐天。初春は心配そうに顔を覗き込む。

佐天「やだ、頭おかしくなりそうだよ…いやだ…一体どれが現実なの?」

初春「どうしたんですか佐天さん!?大丈夫ですか!?」
初春「佐天さん!!」

佐天「来ないでええええええ!!!」

ボタンが入った箱だけ持ち、部屋を飛び出す佐天。初春は突然の行動に
拍子を抜かれ、反応が遅れてしまった。

初春「佐天さん!どこ行くんですか!」
初春「佐天さああああああん!!!」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:29:26.62 ID:vG1u/BFT0
初春から逃げるように必死に走った佐天は、
息を切らし人目につかない場所で休んでいた。

箱を開け、説明書を開く。

佐天「消えた人のことについては何も書いてない…何なのこれ…」

チラと視線を動かすと、一筋の小川が目に入った。

佐天「捨てちゃおうかな…捨てちゃえば、もう、誰も消さないで済む…」

不良A「よー子猫ちゃん!そこで何してんの?」

佐天「!?」ビクッ

不良B「俺らさ、近くの高校のもんなんだけどさ、今暇なんだよねー」

不良C「良かったら、俺たちと遊ばね?くひひひひ」

佐天「………っ」ビクビク
佐天「来ないで…」

                          
                        第1部・終わり

105 名前:第2部[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:56:17.38 ID:QQoQ+rcy0
翌日・ジャッジメント第177支部―。


白井「はー肩が凝りますわ」

固法「こらこら、まだ中学1年生にして何を言ってるの?まだ若いんだから」

白井「最近は、仕事が多すぎますの…。まったく、お姉さまと戯れる時間もない…」

ブブブブブブ

白井「あら、メール…初春からですの」
白井「

    『佐天さん、今日も学校を休んで家にいたらしいです。一応、放課後に訊ねてみたのですが、相変わらず
     元気が無くて困りました。たまに外出はしてるようですが、どこに行ってるのかも教えてくれなくて…。
     ただ、たまに「また消しちゃった」ってうわ言みたいに言ってて何だか怖いんです。白井さん、どうしましょう。
     やっぱり病院に連れて行くべきでしょうか?』

                                                          」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 09:59:32.10 ID:QQoQ+rcy0
白井「(佐天さん…一体どうしてしまったのかしら?私からのメールや電話にも出ませんし…)」
白井「(一度は尋ねてさしあげたいのですが、こちらも仕事が忙しくて抜け出せないですし…)」
白井「(そうだ!お姉さま………も確か、メールを送っても反応が無いんでしったっけ。)」
白井「(確か佐天さんの家に尋ねても初春しか面会を許されないとか…。むーとても心配ですわ)」
白井「

   『初春、原因はまだ分からないにせよ、貴女が佐天さんとの関係を繋ぎ止めているのは事実です。
   今はあまり刺激を与えずに様子を見てあげてください。その上で何か問題があれば、病院に
   入院させるのも一つの手でしょう』

                                                」
白井「送信…っと。ふぅ、心配ですわね…」

固法「何が心配なの?」

白井「はっ、い、いえ何も…」

固法「また、例の不思議なことが起こったわよ」

白井「例の…ああ、あれですか」

固法「今度は第五高等学校ね。しかも3人分」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:03:06.65 ID:QQoQ+rcy0
白井「確か初めに起こったのは4日ほど前でしたっけ?」

固法「ええ、何でもそのクラスは38人で全員なはずなのに、初めから39人編成で組まれてたのよね」
固法「机の数も39人分。出席簿にも39人分の枠が。でもそのクラスは4月の初めから38人でやってきてたのよ」

白井「確か注文した教科書の数も39人分でしたっけ」

固法「ええ、それだけでなく他にも諸々。とにかく、初めから39人いたようなことになってる」

白井「一応、書庫(バンク)で検索してみましたが、きっちりそのクラスの定員は38名でしたわよね」

固法「そう。これだけだったら別に勘違いで済むんだけど、3日前も違う高校で同じことが起こったのよね」
固法「クラスは初めから全員で40名のはずなのに、何故か43名いたような形跡が残っている」
固法「でも、その3人分が誰であるかはクラスメイトも知らないし先生も知らない」

白井「まるで怪談ですわね。まあこの学園都市で怪談など有り得ない話ですが」

固法「で、今日もまた違う高校で同じことが起こったわ。第八高等学校。」
固法「ここは、39人クラスであるはずなのに、まるで初めから42人いたような形跡がある」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:08:06.32 ID:QQoQ+rcy0
白井「でも、誰もその3人分の名前も存在も知らない…と。能力者の仕業でしょうか…?」
白井「と言っても、学園都市全ての人間の記憶を改竄するとなると、少なくともレベル5クラスの実力が無ければ不可能でしょうし…」
白井「不思議ですわね。まるでそれまでいた人間が、ある日存在を消されたような………」
白井「…消す?」


  ―『たまに「また消しちゃった」ってうわ言みたいに言ってて何だか怖いんです』―


白井「…………」

固法「どうしたの白井さん?」

白井「い、いえ何でも(まさかですわね)」

固法「そういえばこんな都市伝説知ってる?」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:12:19.99 ID:QQoQ+rcy0
白井「都市伝説?」

固法「そう。この学園都市には、自分が嫌いな人を消すことができる装置があるって」

白井「胡散臭いですわね」

固法「何でも、それを使うと自分が願った人が消えてくれるんですって。その代わり、消した人は二度と戻って来ない」
固法「密かに、学園都市の住人に次から次へと受け継がれ、今では誰の手元にあるのか、そもそも存在しているのかすら不明。何年も前から噂される都市伝説の一つよ」
固法「最近は鳴りを潜めてた都市伝説だけど、最後にそれを使った男の子は今もこの学園都市にいるって噂よ」

白井「下らない。科学が全てのこの学園都市においてそんな都市伝説」

固法「ふふ、そうね。じゃ、仕事の続きやってちょうだい」

白井「ふーやれやれですわ」
白井「(…人を消す道具ですか…馬鹿馬鹿しいことこの上ありませんわ)」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:18:28.21 ID:QQoQ+rcy0
都市伝説の噂を一蹴した黒子。いつも通り仕事を済ませ、今は帰路に着いていた。

白井「あうー肩が凝りましたの。さすがに初春の分も仕事をこなすと想像以上の忙しさですわね」
白井「でも何とか門限前には帰れそうですわ。帰ったらお姉さまにたっぷり甘えてやりますの!」
白井「あら…?向こうの歩道を歩くのは……佐天さんじゃありませんの!」

佐天「…………」トボトボ

白井「佐天さん!」ブンッ

佐天「…………」トボトボ

白井「??」

テレポートで佐天の目の前に現れた黒子だったが、彼女は気付いていないのか
そのまま素通りをしようとする。

白井「佐天さん!」ガッ

振り返り佐天の肩に手を置く黒子。一瞬ビクついた佐天は「ひっ」と声を上げ顔を向けた。

白井「?」
白井「貴女、こんなところで何をやってらっしゃるの?」

佐天「…白井さん…」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:23:15.37 ID:QQoQ+rcy0
白井「こんな遅くまで…。最近はスキルアウトの連中が凶悪事件を起こしているのですから気を付けて下さいな」
白井「聞いてますの?(何だか覇気がない顔をしてますね…)」
白井「みんな心配してますのよ。私とお姉さまからのメールや電話には応答しませんし」

佐天「………」

白井「というか貴女、初春はどうしましたの?今日は一緒に家にいたはずでしょう」

佐天「…初春…。初春が止めるのも無視して外に出て来ちゃった…。また、人といるのが怖くなったから…」

白井「??」

ブーブーブー

白井「あら電話。初春からですの。ちょっとごめんあそばせ」ピッ

佐天「初春…」

白井「もしもし初春?実は今…」

初春『白井さーん!!どうしましょう、佐天さんが出てったきり帰って来ないんです!!』

白井「ご心配ならさずに。今ちょうど一緒ですわ」

チラッと黒子は佐天を見る。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:27:50.68 ID:QQoQ+rcy0
佐天「…初春…」

初春『本当ですか!?良かったー!「散歩行ってくる」って言ったきり4時間も帰って来なかったから心配で』

白井「今から連れて帰るので待ってて下さいまし」

初春『あ、はい!ありがとうございます!あ…もし良ければ佐天さんと代わっていただけますか?』

白井「構いませんわ。ほら、佐天さん。初春が話しがってますのよ」

佐天「…初春…」

初春『佐天さん!もう心配したんですよ!携帯も家に置いたままだし!お願いだから心配かけないで下さい!」

佐天「…ごめん初春…今から、帰るから…」

初春「待ってますからね」

佐天「…うん」

白井「宜しいですか?」

佐天「はい。これ…」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:32:16.78 ID:QQoQ+rcy0
電話を黒子に渡す佐天。初春と話したというのに変わらず元気がない彼女を
怪訝に思ったのか黒子は「少し歩きますか」と言った。頷く佐天。

白井「(テレポートで送る手もありますが…少々気になりますし話だけでも伺いますか)」
白井「あの佐天さん…」

佐天「ねぇ…」

白井「な、何でしょう?」

佐天「上条さんの連絡先、まだ分かりませんか?」

白井「(またその話題ですの…。一体全体、佐天さんがあの方に何の用が?)」
白井「いえ、この間申し上げた通り、私もお姉さまも生憎の程ご存知ありませんの」

佐天「そっか」

白井「普段どこをフラついているのかも皆目検討がつきませんし」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:36:25.19 ID:QQoQ+rcy0
白井「にしても、あの殿方に何か用事でもあるのですか?」

佐天「あ、ううん。別に何でもないので気にしないで下さい…」

白井「………」
白井「とにかく、私も初春もお姉さまもみんな心配しているので、不安にさせるような行動はお控えなさって下さい」
白井「何があったのかは敢えて今はお聞きになりませんが、それだけは留意しておくよう宜しくお願いしますわ」

佐天「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」

白井「(またそんなことを…)」
白井「佐天さん、お願いですから私たちの気持ちも…いえ、初春の気持ちも考えてくださいまし」

佐天「初春が…どうかしたの?」

白井「彼女、とても貴女のこと心配してますわ。最近の貴女が様子が変なのを見てとても悩んでいらっしゃる」
白井「私たちの助言を聞いてどうすればいいのか迷ってるんですの」

佐天「どういう意味?」

白井「…………貴女にはきつい言葉かもしれませんが、私とお姉さまは佐天さんは一度、専門の病院で診てもらうべきなのでは、と考えていますの」

佐天「…え?」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:42:18.47 ID:QQoQ+rcy0
白井「このまま放置して、後で取り返しのつかないことになったら、私もお姉さまもいたたまれませんの…」
白井「だから初春に、貴女を一度病院に診させて見てはどうか、と薦めているのですが…」
白井「初春は貴女のことを思って決めあぐねていますの」

佐天「(…何それ?…私、そんな風に思われてるの?)」

白井「ですので、どうかこれ以上初春を苦しませるような発言は控えて下さいまし」
白井「私自身も、なるべく佐天さんを病院に連れて行きたくはありませんの…」

佐天「(初春が…?)」

白井「どうなされました?」

不意に立ち止まった佐天に違和感を覚え、振り返る黒子。
佐天は下を向いたまま黙っていた。

佐天「そうなんだ…みんなして、私に妄言癖があるとか思ってるんだ…」

白井「な、いえ…私はそんな意味で言ったんじゃ…」


佐天「うるさい!!!」


白井「!!」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 10:47:06.72 ID:QQoQ+rcy0
佐天「どうせ私が無能力者だからって、私にそんなことが出来るわけないって思ってるんでしょ!!」

白井「佐天さん…」

佐天「そうだよ。私いまだレベル0だもん。能力の欠片すらないですから、そう思われても仕方ないですよね」
佐天「でも、能力が無くても、人を消すぐらい今の私には簡単ですよ!」
佐天「実演してみましょうか!?今ここで、ここにいる学生全員消してあげましょうか!!??」

今まで見たことがない佐天の気迫に呑まれる黒子。
周囲にいた学生たちが何事か、と奇異の目を寄せる。

学生「何だあいつ?うるせーなー」
学生「頭おかしいんじゃねーの?プゲラw」
学生「こわーい」
学生「だからレベル0って嫌いなのよね。何考えてるのか分からないしー」
学生「スキルアウトだけじゃなくてああいうのもいるのは怖いわー」

白井「佐天さん…」

佐天「フゥ…フゥ…フゥ…」
佐天「(そうだ!消しちゃえばいいんだ。どうせ白井さんは無能力者の私の気持ちなんてちっとも分からない)」
佐天「(ムカツク…ムカツク…みんなムカツク…見せしめに、消してやる。私を馬鹿にしたこと後悔させてやる…!!)」


133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 12:34:04.00 ID:9Lzq5Wxj0
ポケットに手を突っ込む佐天。しかし、ボタンの感触を確かめた瞬間、
彼女の頭に今日消した3人の学生の顔が蘇ってきた。

佐天「………っ」
佐天「(私…何してるんだろ…また人を消そうとしてる…しかも、大事な友達の白井さんを…)」

白井「佐天さん?」

心配そうに覗き込む黒子の顔を視認すると、佐天はポケットから手を出した。

佐天「あ…あの…ごめんなさい…私、失礼なこと言っちゃって…ごめん…なさい」

白井「…い、いえ。私も不躾でしたわ。こちらこそごめんなさい」

佐天「いえ…そんな」

白井「でも、皆が佐天さんを心配してるってことは覚えていてくださいね」

佐天「………はい」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 12:43:28.63 ID:9Lzq5Wxj0
白井「では、帰りましょうか」

佐天「はい」

白井「そうだ、明後日にでも4人でまた例の喫茶店へ行きませんか?」

佐天「え、ああ…そういえば、近いうちに行こうって言ってましたね」

白井「ええ。明後日は何とか仕事を休めそうですの。お姉さまにはこちらから言っておきますから」

佐天「了解しました。私も初春に言っておきますね」

白井「宜しくお願いしますわ」ニコッ

佐天「(そうだよね…白井さんも、御坂さんも、初春も、みんな私の友達だもん…)」
佐天「(みんな私を見下してるとか、妄想もいい加減にしろっつーの私!んな訳ないじゃん!)」
佐天「(やっぱり友達っていいな…。良かった、白井さんを消さなくて…)」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 12:48:10.26 ID:9Lzq5Wxj0
佐天の家―。


まだかまだか、とそわそわしながら室内で佐天の帰りを待つ初春。
彼女の手には、携帯電話が握り締められていた。

初春「佐天さん遅いです…。白井さんからもうすぐ帰るはずってメールあったけど…」

ピンポーン

初春「!!佐天さんだ!」パァァ

ガチャッ

初春「佐天さ…ってあれ?いない?」

ドアを開け辺りを見回すものの誰もいない。
と、油断している初春に後ろから迫る姿があった。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 12:54:03.74 ID:9Lzq5Wxj0
バサアッ


初春「え!?」

佐天「うーーーいーーーはーーーるーーー!!!!」

初春「キャーーーー佐天さん!!!///」

佐天「えっへっへ!縞パンGET!」

初春「もう!ふざけないで下さい!私、心配してたんですよ!」

佐天「あっはっは、ごめんごめん」
佐天「…って初春?」

初春「グス…わだし…さでんさんに…何かあったんじゃ…ヒグッ…ないかと…ずっと…不安で…ヒグッ」

佐天「…初春…」
佐天「ごめん!!」

初春を抱き締める佐天。
彼女は泣き続ける初春の頭を撫でた。

佐天「ごめんねー初春ぅ。私、ちょっと精神的に参ってただけなんだぁ。だから、ね。泣き止んで」ナデナデ

初春「佐天さん……グスッ…」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 12:58:56.94 ID:9Lzq5Wxj0
風呂場―。

バシャアアアア

初春「きゃっ!もう!佐天さん!!」プンスカ

佐天「えっへっへ、シャワーに濡れた初春の顔もそそりますなあ」

初春「もう、どういう意味ですか!」プンプン

浴室で身体を洗う初春。佐天は浴槽に浸かっている。

佐天「いやあ、見ない間に随分大人な身体になったなあって」

初春「それを言うなら、佐天さんのほうがそうです。正直、羨ましいですよ」

佐天「そうかなー?」
佐天「あ、そろそろ浴槽入るよね。じゃあ私先にあがってるね」

初春「はい、分かりました」

浴槽から出る佐天。そのまま扉を開けるかと思われたが…

佐天「うっはー!初春の胸もかわゆすなあ」ペタペタ

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:07:35.59 ID:9Lzq5Wxj0
初春「キャー!!!佐天さんどこ触ってるんですかぁ///」

佐天「これなら上条さんも喜ぶかもね!」

初春「か、か、か、上条さんは関係ありません!///」

佐天「またまたぁ。顔赤くなってるぞ初春!」

初春「そういう佐天さんだって、本当は上条さんのこと気にしてるくせに!」

佐天「馬鹿!何言ってんのよ!誰があんな人……ハッ!」

初春「ふっふっふ仕返しです」ニヤニヤ

佐天「コラー!」

初春「キャー」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:16:07.70 ID:9Lzq5Wxj0
夜11時―。

風呂から上がった後、ずっとお喋りをしていた佐天と初春の二人。
もう遅いということで初春はそのまま泊まることになったが、今は
どっちがベッドで寝るか、ということで揉めていた。

佐天「いつも私寝てるし、今日は初春がベッドで寝なよ。私は床に布団敷くからさ」

初春「それは駄目ですよ。そんな贅沢受けるわけにはいきません」

佐天「うーんこれじゃあ平行線だな……あっ!」
佐天「一緒に寝ようよ!」

初春「え?」

少々狭かったが、中学生の女の子二人が横に並べるだけのスペースは十分にあり、
二人は一緒にしてベッドに潜り込んだ。窮屈に感じたのは確かだったが、佐天は
いつもより暖かい気がして気持ち良かった。

二人して暗い天井を見つめる佐天と初春。

佐天「ねぇ初春ぅ、もう寝た?」

初春「起きてますよまだ。何だか寝れなくて」

佐天「私も。この歳になって友達と一緒のベッドで寝るなんてなかったから…テヘへ」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:22:42.04 ID:9Lzq5Wxj0
初春「私なんて初めてですよ」

佐天「そうなんだ。でも何だか修学旅行みたいだね」

初春「今まで色々あったけど、やっぱり私、佐天さんと親友になれて良かったです」

佐天「照れること言っちゃって。私もそうだっての」

初春「ふふ、嬉しいです」

佐天「もうー可愛いんだから初春は!襲っちゃうぞこのー」ガバッ
佐天「コチョコチョコチョ」

初春「キャーははは、や、やめてください佐天さん!あはは、駄目ですって!」

佐天「へへへ。あーあ、初春が男だったら今頃彼氏にしてるのになー」

初春「私も佐天さんが男性だったら好きになってたかも」

佐天「へへ」

初春「ふふ」

佐天「………」

初春「………」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:29:12.34 ID:9Lzq5Wxj0
佐天「ねぇ初春」

初春「? 何でしょう?」

佐天「何だかごめんねいつも迷惑かけちゃって」

初春「そんな…気にしないで下さい」

佐天「馬鹿だよね。いつもレベル0だレベル0だって自分で言っちゃって。誰も私のこと見下してもないのに」
佐天「いつも一人で突っ走っちゃって、結果、初春や御坂さん、白井さんに迷惑かけちゃってるんだもん」

初春「………」

佐天「この間のレベルアッパーのことだってそう…。なのに私ったらまた初春たちに心配かけちゃって…」
佐天「自分が嫌になるよ」

初春「私はそうは思いません」

佐天「え?」

初春「佐天さんは、本当は、優しくて強い女の子だってこと私は誰よりも知ってます」
初春「レベルとか能力とかそんなもの無くても、とても魅力溢れる素敵な人です」
初春「いつも元気で、私が辛い目にあったときは励ましてくれる。能力者には無い絶対的な魅力を持ってるんです」
初春「ここ学園都市じゃどうしても能力者のほうが注目されちゃいますけど、そんなの関係無しに…」
初春「私にとってこの世で一番の親友は佐天さん以外いません。断言できます!!」
初春「じゃないと、私は佐天さんと友達になってなんかいません」

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:38:00.81 ID:9Lzq5Wxj0
佐天「初春…」

初春「だから、自分は駄目なんだって落ち込まないで。佐天さんはこの世にただ一人しかいないんですから」

佐天「(初春…そこまで私のことを…)」ウルウル
佐天「初春ーーー!!!やっぱり初春大好きだー!!」ガバッ

初春「キャー佐天さーん!私たち女同士ですよー///!!」

佐天「はっはっは、冗談冗談」

初春「もうー!」

佐天「えへへ」
佐天「あ、そうだ」

初春「何です?」

佐天「白井さんと話したんだけどさー、明後日、4人でまた例の喫茶店行かない?」

初春「あ、いいですねそれ。私もその日は開いてますし」

佐天「じゃあ決まりだ。楽しみだなー!」

初春「私も楽しみです」

佐天「へへ…」

初春「ふふ…」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 13:47:10.40 ID:9Lzq5Wxj0
佐天「ねぇ初春…」

初春「何でしょう?」

佐天「私たち、ずっと親友だよね?」

初春「当たり前ですよ。今更何を言ってるんですか。私たちはいつまでも親友です」

佐天「ずっとだよ?ずっとずっと…」

初春「ずっとです。ずっとずっと…」

佐天「良かった。ありがとう初春…」

佐天「(そうだ…私は、レベル0の無能力者でも、大切な友達がたくさんいるんだ)」
佐天「(御坂さん、白井さん、そして初春…。みんな、掛け替えのない私の大事な、大事な友達)」
佐天「(なのに卑屈になって…馬鹿だな私。そうだ、あのボタンはもういらない…私には必要のないもの…)」
佐天「(上条さんにまた会うまでしまっとこう)」

佐天「(……でももし、私が7人もの人間を消してたの知ったら、初春は何て思うのかな…。ちょっと心配だな)」
佐天「……ねぇ初春。もし…そう、仮にだよ。もし私が7人の人間を殺してた、って言っても初春は私と親友でいてくれる?」
佐天「…………初春?」

初春「スースースー」zzzz....

佐天「……何だ寝ちゃってたのか。……私も早く寝よう」
佐天「(消した人はもう戻って来ない…。それは私の責任…。もう、これ以上人を消さないようにしなきゃ…)」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:00:06.83 ID:9Lzq5Wxj0
翌日―。ジャッジメント第177支部。

白井「はうー仕事が多すぎて疲れますわ」
白井「初春が現場復帰するのは明後日ですから、とにかく今は我慢と忍耐ですわ」

御坂「佐天さん、どうやら調子戻ってるみたいね」

白井「ええ、ようやくメールにも返事をくれるようになりましたの。やはり初春のお陰ですわね」

御坂「まさに女の友情って感じね。まるで恋人みたい。羨ましいわー」

白井「何をおっしゃいますのお姉さま。お姉さまには私がいるではあーりませんか」

御坂「あんたは不純なのよ不純」

白井「至って純粋だと思われますが」

固法「白井さん!届いたわよ!例のテープ!」

白井「あら、本当ですの?」

御坂「何々?例のテープって」

白井「ほら、おっしゃったように、最近、学園都市の至る学校でクラスの人数の帳尻が合わない件が報告されているじゃありませんか」

御坂「ああー何か言ってたね」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:08:22.37 ID:9Lzq5Wxj0
白井「昨日も、その報告があったのですが、その報告から数時間後でしょうか」
白井「アンチスキルに匿名の電話がかかってきましたの。若い女性の声で」
白井「その音声が記録されたテープがようやく回ってきたんですの」

御坂「ふーん何か色々大変ねぇ」

固法「じゃあ白井さん、私、また現場へ戻らなきゃならないから代わりに聞いておいてくれる?」

白井「分かりましたわ」
白井「では早速」

ガチャッ ピー

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

御坂「ノイズが多すぎて聞き取れないわね」
白井「オリジナル音声ではないので仕方ありませんの。ではもう一度」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「……!?」

御坂「女の子が喋ってるぐらいしか分からないわね。ねぇ黒子?」

白井「…………」

御坂「黒子?」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:16:03.48 ID:9Lzq5Wxj0
白井「この声どこかで……。もう一度ですわ」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「(何だか非常に聞き覚えがある声ですの。いえ、確証はありませんが…。そんな気が…)」

御坂「何かこの人さあ、『わたし消しちゃった』って言ってるように聞こえない?」

白井「!!」
白井「消しちゃった…?」


  ―「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」―
 
  ―「そういえばこんな都市伝説知ってる?」―
  ―「そう。この学園都市には、自分が嫌いな人を消すことができる装置があるって」―


ガチャッ ピッ

御坂「黒子?」

白井「………」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「この声やはり…」
白井「…『消しちゃった』…7人…一度目の報告が1人、次が3人、その次も3人…足すと…」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:21:53.14 ID:9Lzq5Wxj0
白井「!!」

白井「ちょっと本部へ行ってきますわ!」ブンッ

御坂「え!?黒子!?」


ジャッジメント本部―。

白井「これですの。『学園都市計画中止道具目録』」
白井「やはり…。過去に流された都市伝説の道具のほとんどが、ここに記載されてますわ」
白井「以前、初春と一緒に固法先輩に連れてもらってここへ見学に来たときに、一度拝見していたのが助かりましたわ」
白井「しかし、実際に私の目的のものが載っているかどうか」ペラペラ

白井「!?」
白井「『人間消失器』―ありましたわ!…学園都市の上層部が独裁を敷くためにつくられたと言われている」
白井「でも非科学的すぎて上層部から計画中止を言い渡されている…。そしてその後、一度盗難に遭いそのまま」
白井「もしこれが本当なら、佐天さんは恐らくこの道具を入手したことに…。いけませんわ」


ジャッジメント本部を出、黒子はテレポートを繰り返し支部への帰路に着く。

白井「初めに事例が報告されたのは、5日前。佐天さんが学校を欠席し家に引きこもったのもその辺り」ブンッ
白井「佐天さんが言った『これで7人目』は、今までに起きた事例の数の合計と合致してますわ」ブンッ
白井「そしてあのテープ…恐らくは昨日、3人の学生を消した直後に衝動的にアンチスキルに入れたものだとしたら…」
白井「…あの声はどう考えても佐天さんのものですわ」ブンッ

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:27:34.99 ID:9Lzq5Wxj0
  ―「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」―


白井「何故、もっと早く気付いてやれなかったんですの?」ブンッ
白井「早く帰ってお姉さまに知らさなければ!これ以上被害が出たら…」ブンッ
白井「もしお姉さまと初春にも被害が及んだら、黒子、一生後悔することになりますわ!」ブンッ

白井「!? 今のは…」ブンッ


とある公園―。

その日も一人で外出していた佐天涙子。
彼女は今、とある公園のベンチにいた。

佐天「やっぱ駄目かー。ここなら上条さんに会えると思ったんだけど、今日は来ないのかな?」
佐天「早く、これ、返したいのに。…それとも押し付けられたのかな?」

顔を曇らせ、佐天は手元のボタンを見遣る。

白井「佐天さん!」

佐天「え?白井さん?何でここに?」

突如、掛けられた声に驚き顔を上げる佐天。
目の前には、白井黒子が息を切らして立っていた。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:32:18.24 ID:9Lzq5Wxj0
白井「はぁはぁはぁ…佐天さん…」

佐天「どうしたんですか、そんなに慌てて?」

佐天の手元を見る白井。そこには見慣れる形をしたボタンが握られていた。

白井「やはり…」
白井「佐天さん、申し訳ありませんが、今から私はジャッジメントとして貴女を連行します」

佐天「え?え?何言ってるの?」

白井「そのボタン…学園都市から7人の学生を消したのは貴女ですのね?」

佐天「!!」
佐天「ど、どうしてそれを…」

白井「例え貴女が消した人がこの世に初めから存在していない人間だったとしても、貴女が犯行を行ったのは事実」
白井「学園都市史上、前例のない事件ですが、このまま放っておいたら史上最悪の凶悪事件にもなりかねない」

佐天「史上最悪……」

白井「だから貴女を今から…」

佐天「待って!!」

白井「!?」

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:37:58.81 ID:9Lzq5Wxj0
佐天「それ本気で言ってるんですか?私、そんなこと…。確かに消したのは本当だけど…」
佐天「だって、仕方がないじゃないですか。私、無能力者なんだし…身を守る術くらい…」

白井「佐天さんの場合は、それがいきすぎてますの」

佐天「……そんな、だって、私…本当は不可抗力で」

白井「不可抗力であっても失った人は戻ってきませんわ。だから、佐天さん…」

佐天「白井さん、やめてよそんなこと言わないで。私たち、友達でしょ?ね、友達だよね?」

白井「…………」
白井「確かに、佐天さんは掛け替えのない友達ですわ」
白井「貴女がレベル0であった自分にコンプレックスを抱いているのも知っています」
白井「しかし、逆にレベル0であることを建前に、自分が好きなように人を消していたらそれは見逃せませんの」

佐天「!!」

白井「佐天さん、貴女は友達ですわ。ですが、今は心を鬼にします」
白井「これ以上被害が出ると、初春にも手が及びかねませんの」

佐天「…私が…初春を?」

白井「今は、友達ではなくジャッジメントとして対応させて頂きます。さあ、その手元の物を渡しなさい!!」

そう言い、一歩ずつ佐天に迫る黒子。逃げようとしても、相手はレベル4のテレポーター、
白井黒子から逃げ切るのは不可能だろう。そう考えているうちに、黒子は更に佐天に近付く。

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:44:04.65 ID:9Lzq5Wxj0
白井「さあ、早く」

佐天「やだ…」

白井の手が佐天の手元に伸びようとする。

佐天「来ないで!!これは私のです!!!」

突如、暴れ始める佐天。

白井「なっ!…暴れるのは止しなさい!」

空中を行ったり来たりするボタン。
白井は何とか掴もうとするが叶わない。

佐天「やだぁ!来ないで!!来ないで!!!あっち行って!!!!」

白井「早くそれを…私に」

佐天「来るなあ!!!来るなあ!!!!!!」

遂に白井が佐天の手を掴む。
と、その時。


佐天「来るなあ!!!!白井さんなんか消えちゃえええええええええ!!!!!!!」



白井「え?」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 14:50:51.66 ID:9Lzq5Wxj0
ピッ

瞬時、白井と顔を合わせる佐天。それが、彼女が白井の姿を見た最後だった。




ピシュン!!!




と、間髪入れずに再び暴れ出す佐天。

佐天「来ないで!来ないでよーぅ!!消しちゃうからね!!!私に近付くと白井さんでも消すからね!!!」

学生「おい、あの女、一人で何やってんだ?」
学生「昨日見かけたガイキチ女じゃねーか。やべーぜ近付いたら怪我するぜ」

佐天「……ハッ!」

我に返り、辺りを見回す佐天。
しかし、そこにはもう、白井黒子の姿はどこにもなかった。

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 15:00:33.44 ID:9Lzq5Wxj0
佐天「白井さん?」
佐天「……白井さん?」
佐天「……………」
佐天「ふ、ふざけないでくださいよ。隠れてないで出て来て下さい…」
佐天「白井さん!!!」


  ―「来るなあ!!!!白井さんなんか消えちゃえええええええええ!!!!!!!」 ―


佐天「…まさか私、白井さんを消しちゃったの…?」
佐天「ぅそ…嘘だよね…だって、今までそこにいたもん…そこにいたもん……」

ふと、最後に見た白井の顔が佐天の脳裏に蘇る。

佐天「やだ…そんなの…いや…うそ…」
佐天「やだよ!白井さん、ふざけないで出てきてよ!!白井さん!!!!出て来てよ!!!!」

立ち上がり、叫ぶ佐天。周囲にいた学生たちは怯え、次々と逃げていく。

佐天「お願いだから出てきてよ!!もう、馬鹿なことしないからさ!!…ねぇ…出てきてよ…」
佐天「出てき・・・ひっぐ…うぐ…白井…グスッ…さぁん…」

佐天「うわぁあああぁぁぁあぁぁああああああぁん!!!!!」

大声で泣きながら、佐天涙子はその場から逃げるように去っていった。
彼女の手には、「白井黒子」という人間の存在を抹消したボタンが握られていた。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:02:26.87 ID:RmCwRQJP0
翌日―。
佐天の家―。

佐天「…………」

一日中泣いていたのか、佐天涙子は布団の中でくるまり、
充血した目をトロンとさせていた。

佐天「…白井さんを消しちゃった……もし白井さんが消えたこと知ったら…」
佐天「御坂さんや初春は何て言うかな…それでも私と友達で…いてくれるかな…?」
佐天「…白井さん、ごめん…うぐ…ひぐ…だから、戻ってきてよ…」


  ―「ジャッジメントですの!」―


佐天「じらい…さん…グス」

 ピンポーン!

佐天「!!」
佐天「……白井さん?」

 ピンポーン!

佐天「白井さんだ!戻ってきたんだ!!」
佐天「願いが届いたんだ!」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:10:44.01 ID:RmCwRQJP0
急いでベッドから降り、走る佐天。
そのままの勢いで彼女はドアを開けた。

佐天「白井さん!」

初春「はい?」

佐天「………!!」
佐天「あ、初春か…」

初春「う、何だか残念そうな顔してますね」

佐天「…あ、ううん…そうじゃないの…気にしないで…」

初春「何だかまた元気がないですね。って、部屋の中どうしたんですか!?」

佐天「え?…あ、ああ。あれ…」

初春「こんなに散らかっちゃって!!」

佐天「(言えない…白井さんを消しちゃったことで自暴自棄になって暴れたなんて…いくら初春でも)」

238 名前:どんどん佐天さんを突き落としちゃうぞー[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:17:20.88 ID:RmCwRQJP0
佐天「ごめん、ちょっと探し物してたらさ…散らかっちゃったんだ」

初春「そうなんですか。ならいいんですけど」

佐天「(話題変えなきゃ…)」
佐天「で、何か用?初春…私、出来れば今日は一人で…」

初春「何言ってるんですか?今日、皆で喫茶店行くって約束してたじゃないですか」

佐天「あ、そういえば…そうだったね」

初春「御坂さんとの待ち合わせ時刻まで5分ですけど、飛ばせば間に合いそうですね」

佐天「(どうしよう……白井さんはもういないのに、何て釈明すればいいんだろ…)」
佐天「(白井さんのこと言ったら、初春でも怒るかな…?…怒るよね。きっと絶交されちゃう…)」

初春「さ、佐天さん。急ぎましょう。テレポートすれば今からでも間に合いますから」

佐天「(でも…このまま隠しててもいつかは……え?)」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:24:37.55 ID:RmCwRQJP0
佐天「初春、今、何て言ったの?」

初春「??」
初春「いえ、ですから、御坂さんとの待ち合わせ時刻に遅れますからテレポートで急ぎましょう、と」

佐天「な、何言ってんのあんた!?初春、テレポートなんて出来たっけ?」

初春「え、え、佐天さんこそ何を言ってるんです?? 私の能力は空間転移(テレポート)ですけど…?」

佐天「ちょっ、からかわないでよ初春!!その能力は白井さんのでしょ!」

初春「白井さん……?」

佐天「そうだよ!常盤台中学に通う、レベル4の風紀委員(ジャッジメント)、白井黒子さんだよ!」


初春「  誰  で  す  そ  れ  ?  」


佐天「…え?…」

初春「レベル4で風紀委員(ジャッジメント)、空間転移(テレポート)を得意とする能力者は…」
初春「この学園都市で私しかいないはずですけど…」

佐天「!?」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:31:53.40 ID:RmCwRQJP0
初春「というか白井さんって本当に誰です?佐天さんのお友達?」

佐天「な、何言ってるの初春!!白井さんだよ?初春のジャッジメントの先輩の!」
佐天「ほら、いつも御坂さんにくっついてる!ツインテールで背が小さくて童顔で、お嬢様口調の!」

初春「うーん…心当たりないんですけど…」

佐天「そんな…!」
佐天「(はっ…!!そう言えば、鋼盾くんのときも……。そうだ、あのボタンは、消した人を初めから存在させなくする…。そういう道具だったっけ……)」
佐天「(私、何てことを…本当に、何て事をしちゃったんだろう…!!!)」

初春「あ、もう時間がない!じゃあ行きますよ?」

佐天「え?」

ブンッ

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 20:37:18.79 ID:RmCwRQJP0
とある喫茶店―。

窓際の座席で時刻を確認する御坂。
そこへ、佐天と初春が現れた。

ブンッ

初春「ごめんなさい! 遅れましたか!?」

御坂「あ、大丈夫大丈夫。私もたった今来たとこだから」

初春「よかったー」

佐天「(本当に…テレポートした…あの初春が…白井さんみたく…)」
佐天「(もしかしてあのボタンは、誰か人間を消しちゃったら、別の身近の誰かが代わりの人間になるってこと…?)」
佐天「(そんな…それじゃ初春は白井さんの代わりにレベル4に……!! 私、何てことを!!何てことを!!)」

初春「じゃあ早速…」

御坂の隣の席に座る初春。

初春「お姉さまああああああああああ!!!!!! 会いたかったですぅううううううぅぅうううう!!!!!」

佐天「………え?……何コレ…」

257 名前:再開します[] 投稿日:2010/02/26(金) 21:25:06.16 ID:yG+5rfTk0
御坂「あーもうコラ!!あんたはいつもそうやって!!」

初春「いいじゃないですかお姉さま!! 私とお姉さまは相思相愛、身体を許した仲なんですからぁ!!」

御坂「誰が相思相愛じゃゴルァ!!! そして身体も許してない!!」ビリビリッ

初春「あーお姉さまの愛の鞭、気持ちいいいですぅ!!」ビクビクッ

佐天「何…これ…」

御坂「ん?どうしたの佐天さん?突っ立って」

佐天「…え…あ、ごめんなさい(完全に初春が白井さんのポジションになってる…)」

表情を曇らせたまま、佐天は御坂と初春の向かいの席に座る。

初春「そうそう、お姉さま、佐天さんったらおかしなこと言うんですよー」

御坂「おかしなこと?」

初春「ええ。何でも私は本当はレベル4じゃないとか、テレポートじゃないとか…」

佐天「………」

御坂「へぇー何だってそんなこと…」

初春「佐天さんによると本来私はレベル1らしいですけど…で、レベル4のジャッジメントでテレポーターと言えば、『白井黒子』という生徒しか思い当たらないとか…」
初春「佐天さん、何で急にそんなこと言ったりしたんですか?」

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 21:33:34.11 ID:yG+5rfTk0
佐天「…だって、私が知ってるレベル4のテレポーターは、白井黒子って人で、初春はレベル1のどちらかと言うとパソコンが得意で…。そうやって御坂さんに過剰になつくのも、本来は白井さんの役目で……」

御坂と初春は怪訝な表情をして顔を見合わせる。

御坂「あっはっは、佐天さんたら面白いこと言うわね。この子の行動にはウンザリしてるって言うのに…」
御坂「正直、この子以外の女の子なら、こうやって迫ってくるのも可愛いんだけどねー」

初春「お姉さま、それどういう意味です!?」

御坂「そのままの意味よー」

初春「残念です。でもこの初春、いつか必ずお姉さまの心と身体をこの手に…!」

御坂「だから、それがウンザリだって言ってんのよ!!」ビリビリッ

初春「ああああーいいですぅ、とても気持ちいいですぅうう」

佐天「こんな馬鹿なやり取りも、いつもは御坂さんと白井さんがやってるのに……」

御坂「…………」

初春「…………」

御坂「ねぇ、佐天さん…気になってたんだけど…」

佐天「…はい?」

御坂「本当に、その『白井黒子』って誰なの?」

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 21:39:53.67 ID:yG+5rfTk0
佐天「………!!」
佐天「どうして知らないんですか!!??どうして御坂さんが白井さんを知らないんですか??」

突如声を荒らげる佐天。その気迫に御坂と初春は一瞬、気圧された。

初春「わっ」

御坂「!!!」

佐天「何で…御坂さんが知らないんですか…どうして…何で…あんなに…仲が良かったのに…」

御坂「ごめんなさい佐天さん…。私は、本当に、『白井黒子』って言う子は知らないの…」

佐天「………」

御坂「生憎、いつも私にベタついてくるのは、この飾利のみ…」

佐天「(…飾利…下の名前で呼んでるんだ…)

初春「えっへっへ」

御坂「いや、褒めてないから」
御坂「とにかく今は落ち着いて、一緒にパフェでも食べましょ?ね?」

佐天「………(本当に、何も覚えてないんだ御坂さんも……)」
佐天「(何だか、頭がおかしくなりそうだよ…白井さん…)」

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 21:47:00.52 ID:yG+5rfTk0
しばらくして―。御坂の隣で嬉しそうにパフェを食べながら御坂にくっつく初春。
それを嫌々ながらもどこか愛がこもった言葉で制止する御坂。
そんな中、佐天はただ一人、黙々とパフェを食べていた。

初春「お姉さまー私のパフェと一口交換しません?ほらぁ、私のスプーンを使って…えへへ」

御坂「だーもうあんたは!同じの食べてるのに交換なんて意味無いでしょ!」

佐天「(何だろうこれ…目の前の二人を見てると、何だか、言葉では言い表せない気持ちが湧いてくる…)」
佐天「(初春…いつもは私の隣の席なのに…。どうして御坂さんとそんなに仲いいの?…)」
佐天「(そういやこの初春はレベル4なんだっけ…。御坂さんはレベル5。…対して私はレベル0…)」
佐天「(どんなに状況が変わろうと、私のレベルだけは変わらないんだね…。何だろこの疎外感・・・)」

初春「ほらーお姉さま恥ずかしがらずにー」ベタベタイチャイチャ

御坂「恥ずかしがってないから」

佐天「(何だか…よく分からないけど…イライラするな…何でだろう…)」
佐天「(二人して、まるで私がいないみたいにして…。何かムカツク……早く帰りたいなもう)」

御坂「? …どうしたの佐天さん?あんまり食べるの進んでないみたいだけど…」

佐天「え?あ、な、何でもないです。あまりにもおいしいからゆっくり食べてるだけで…」

初春「佐天さんも私とお姉さまのあまりの仲の良さに嫉妬してるんですよー」

御坂「ないから」

佐天「………っ」イラッ
佐天「(人の気も知らないで…)」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:00:10.55 ID:yG+5rfTk0
数十分後―。

店員「ありがとうございました」

御坂「さて、これからどうしようか」

初春「お姉さまが仰るのならどこへでも行きますよー」

佐天「あ、あの…」

御坂・初春「ん?」

佐天「ちょっと用事があるので私はこれで帰ります」

御坂「そうなんだ。それは残念ね」

佐天「ごめんなさい」

御坂「いいのいいの。私たちも特に行くとこないしねー。どうする飾利?」

初春「別にどっちでもいいですよー」

御坂「じゃ、やることないし私たちも帰ろうか」

初春「はい」

佐天「え?」

御坂「それじゃ佐天さん。私たちも寮に帰るから」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:07:08.20 ID:yG+5rfTk0
佐天「ま、待って下さい!」

御坂「どうしたの?」

佐天「う、初春は確か私と同じ方角じゃ…」

御坂・初春「?」

初春「何言ってるんですか佐天さん。私はお姉さまと一緒の寮ですよ」

佐天「…え、いや、だっておかしいじゃん。御坂さんの寮は常盤台女子中学の生徒しか入れないはずじゃ…」

初春「そうですけど…何かおかしいですか?」

佐天「えっ!?」

御坂「何だか今日の佐天さんおかしいわね」
御坂「ほら、忘れちゃったの?飾利は私と同じ常盤台中学の生徒じゃない」

佐天「!!??」

初春「しかも同じ部屋なんですよねお姉さま」

御坂「不可抗力だけどね…」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:13:07.30 ID:yG+5rfTk0
佐天「そんな、だって、初春……制服は?常盤台の生徒は制服着用の義務があるはずじゃ…」

初春「今、常盤台では『私服試行期間』ってやってるんですよ。だから今日はお気に入りの服で決めてきたんです!」

御坂「私はそんな暇なかったから今日は制服だけどね」

佐天「………(初春が…常盤台の生徒…?)」

御坂「じゃ、そろそろいいかな?」

佐天「え?」

御坂「また暇があればここに集まりましょ。じゃ佐天さん。私たちはこれで失礼するわね」

初春「また食べに来ましょうね」

手を振り、踵を返す御坂と初春。初春は御坂に腕を組んでいる。
佐天はただ二人が離れていく姿を茫然と見ているしかなかった。
遠くなっていく二人の会話が耳に届く。

初春「にしても今日の佐天さん、何だかおかしかったですねー。一体『白井黒子』って誰なんでしょうか」

御坂「さあ…変わった名前してるけどね。まったく覚えがないし、佐天さんの勘違いじゃない?」

二人が豆粒大の大きさになるまで、佐天はただずっと黙ってその場に立っていた。

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:20:04.13 ID:yG+5rfTk0
翌日、佐天涙子は学校へ登校していた。
久しぶりの彼女の登校に教師や友人たちは励ましの言葉を贈ったが、
彼女自身の心が晴れることはなかった。

教師「で、これがこうだからして、つまりこうなるわけだ」

佐天「(…やっぱり、初春が来ていない…)
佐天「(…当然、だよね…。初春は常盤台中の生徒なんだから……)」

――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「うーいーはーるー!!」
初春「キャーーーーー佐天さん!!」
佐天「おお、今日は可愛らしい花柄パンツかぁ。涙子ちゃん眼福ー」
初春「もう、やめてくだしあ佐天さん。恥ずかしいです」
佐天「あっはっは、苦しゅうない苦しゅうない」
――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「あ、宿題忘れちゃったー。初春見せてー」
初春「もう、佐天さんたら。今回だけですよー」
佐天「分かってる分かってるって」
――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「学食空いてなかったし今日はパンが昼ごはんかー」
初春「でもたまにはいいかもしれませんね」
佐天「って、初春結構パン買ってるね。太るぞー」
初春「ふ、太りませんよ!これでもきっと足りないくらいです」
佐天「あはは、初春、華奢だもんねー」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:25:06.69 ID:yG+5rfTk0
――――――――――――――――――――――――――――――
教師「と、いうわけで、明日までペアを決めておくように」
佐天「ねーねー初春ー」
初春「何です佐天さん?」
佐天「あのペア一緒にやろーよー」
初春「いいですよもちろん」
佐天「やったー!」
――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「(初春がいないだけで、こんなに違うんだね、学校って……)」

ブブブブブ

佐天「(…ん?メール…あ、初春からだ…)」
佐天「『佐天さん元気ですか?何だか昨日元気がなくて心配だったんですけど…(><)』」

佐天「(初春…前の初春と違っても、優しいのは変わらないんだね……)」

佐天「『そこで、今日一緒にセブンスミストでも行きませんか?(`・ω・´) クーポンも持ってますし(´▽`*)』」

佐天「(……セブンスミストかあ…今日学校つまらなかったからなあ…初春にも会ってないし)」

佐天「『追伸、お姉さまも来るそうです!!!やったぁぁあぁあああああああヽ(゜▽゜*)ノ』」

佐天「(なんだ、御坂さんも来るのか……。別に御坂さんが嫌ってわけじゃないけど…何か急に行きたくなくなっちゃったな…)」
佐天「(どうしよう…)」

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:31:09.93 ID:yG+5rfTk0
セブンスミスト―。

初春「あ、お姉さま!来ましたよ佐天さんが!」
初春「佐天さーん!ここでーす!」

初春「来てくれて良かったですホント。昨日、佐天さん元気なかったから」

佐天「初春…」

御坂「こんちにわ佐天さん」

佐天「御坂さんも…」
佐天「初春…その制服…」

初春「ん? ああ、今日は学校帰りですから」

佐天「(初春がずっと憧れてた常盤台中の制服…)」
佐天「そう、似合ってるよ…とっても」

初春「ふぇぇ?何ですか今更!恥ずかしいなぁもう///」

佐天「ふふ(対して私は柵川中の地味なセーラー服か…)」

御坂「じゃあ早速見て回りましょうか」

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:38:53.77 ID:yG+5rfTk0
佐天「お、可愛い服発見。ねぇ初春ー、これ、初春に似合いそうだよ……ってあれ?初春?」
佐天「あ、あんなところに…」

初春「お姉さまー、これなんてどうでしょう?お姉さまにピッタリだと思いますよー」

御坂「うーん、私的にはこっちがいいっていうかー」

初春「お姉さま、それはさすがにセンスが如何なものかなーと」

御坂「そうかな?可愛いと思うけど…」

佐天「なんだ、また御坂さんとくっついてんのか……。まるで本当に御坂さんと白井さんの関係みたい……」
佐天「私は一人で物色することにしますか…」

そう言ってその場を離れる佐天。
御坂と初春はそんな彼女に気付かずに、変わらず服選びに没頭している。

佐天「はーあ…まただ…またイライラする……何かムカツクんだよね…」
佐天「何か私に合った服ないかなー?……って、私なんでこんなところにいるんだろ?」
佐天「ん?」

佐天が視線を向けた先―そこにはどこか見覚えがある一人の少女の後姿があった。

佐天「(あの背が小さい子……常盤台の制服…ツインテール……」
佐天「まさか…!白井さん!?」

駆け寄る佐天。

佐天「白井さんだ!戻って来たんだ!白井さん!!白井さん!!!」

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:45:23.36 ID:yG+5rfTk0
少女の肩に手をかける佐天。少女が驚き振り返る。

佐天「白井さ……」

少女「はぁ?誰ですかあなた?」

佐天に声をかけられた少女は、白井とは似ても似つかない顔を持ち驚愕と困惑の表情を佐天に向けていた。

佐天「(別人……)」
佐天「ごめんなさい…人違いだったみたい…」
佐天「(そうだよね…白井さんは私が消しちゃったんだ…こんなところにいるわけない…)」

客「きゃー!!!」

佐天「ん?」

客「なんだあいつら?」
客「何やってんのあれー」

突然うるさくなった周囲に気付き、佐天は騒ぎの中心である服屋に目を向けた。
3人の不良たちが店員に向かって脅しをかけているのだ。
1人は店員の胸倉を掴み、もう2人は暴れながら店の商品を倒したり散らかしたりしている。

不良A「オラァ!!今おれたちは機嫌が悪いんだよ!!俺様ご所望の服がねぇなら金よこせや!!」

店員「おおおおお客様、もも申し訳ありませんがそれは無理でございます!! あー服を散らかさないで!!」

不良B「俺たちの言うことがきけねえならもっと酷くしてやるぜ」ガシャーン

不良C「さっさと金払え金ー」ドガラシャーン

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 22:50:12.88 ID:yG+5rfTk0
客「何あれー感じわるーい」
客「ただの言いがかりじゃん」

次々と客たちが逃げていく中、一人だけそこに近付く姿があった。

不良C「あ?なんだてめぇ?」

佐天「あ、あ、あの…いい加減そのあたりにしたらどうでしょうか?」

不良B「はぁあああ?てめぇ、殴られたいのか?」

佐天「………こ、こわくないですよそんなの(そうだ、いざとなったら私にはこのボタンが…)」

佐天はポケットに手を突っ込み、ボタンの感触を確かめる。が、ポケットは空っぽだった。

佐天「(無い……!?そうか、白井さんを消したあと、家の引き出しに閉まってるんだった…)」
佐天「(でも、ここまできたら引き下がれないもん)」
佐天「……や、やめなさいよ…」

「佐天さんは下がっててください!!」

佐天「え?」

「危険ですから後ろにいて下さい!!」

突如、佐天の目の前に現れた一人の少女。彼女の腕には腕章が巻かれていた。



初春「ジャッジメントです!」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:00:59.15 ID:yG+5rfTk0
佐天「初春!!」

初春「あなたたち、今すぐその馬鹿げた行為をやめなさい。これ以上やったら許しませんよ!!」

不良C「ああああ?ジャッジメントが何だってんだよ!?」

そう言い、一人の不良が懐から取り出したナイフを構え初春に向かって突進してきた。しかし、突如消える初春。

不良C「消え…」

初春「こっちです!!」

不良C「後ろ…?いつの間に!?」

態勢を悪くした不良の足を引っ掛け、次いで顔に当身を食らわす初春。バランスを失った不良が床に崩れ落ちる。

不良A「こいつぅ!!能力者のテレポーターか!!」

店員から腕を離し、動こうとしたのも束の間、不良は壁に叩きつけられる。
はりつけにされた不良の袖やズボンは、鉄の矢で壁と固定されていた。

不良A「くっ動けねぇ!!ちくしょう!!」

初春「2人。残るはあと1人……お姉さま!!!」

その場から逃げ出す残された最後の不良。

御坂「任せなさい!!」

目の前に御坂を視認すると、不良は雄叫びを上げ、突進していった。

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:07:51.67 ID:j764pDLr0
御坂「ほんの少し我慢してよね!」

ビリビリッ

不良B「うおおおおおお」

力を極限にまで抑えた御坂の電撃が不良を襲う。

不良B「う…ぐ…お」ガクッ

そして最後の不良もその場に倒れ込んだ。

初春「終わりですね。何とも容易い」

御坂「ま、常盤台のレベル5とレベル4に掛かればこれぐらい、朝飯前よね」

佐天「(すごい…完全に二人の息が合ってた……私の出る幕なんてなかった…)」

パチパチパチ

佐天「え?」

客「すごいぞ二人とも!!」
客「見てあれ、常盤台の制服よ!!」
客「あの子、学園都市第三位の超電磁砲じゃない?」
客「すごーい」

野次馬から湧き起こる歓声と拍手。御坂と初春は照れ臭そうに目を合わせる。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:12:15.01 ID:j764pDLr0
佐天「…………」

佐天も一応、周りに合わせ拍手をするが、彼女の表情は少々曇っていた。
初春が店員に事の顛末を伺い始めると、御坂は佐天に近付いてきた。

御坂「大丈夫、佐天さん?」

佐天「………」

御坂「怪我なかった?……どうしたの?」

伸ばそうとした腕を佐天が振り払った。

御坂「佐天さん?」

佐天「わ、私だって無能力でもあれぐらい一人で撃退できてましたよ!!」

御坂「えっ……」

それだけ言い残し、突如逃げ去る佐天。あっという間のことに反応が遅れた
御坂は、彼女を追いかけることが出来なかった。

客「何あの子?感じ悪いわね」
客「無能力者だって生意気なこと言っちゃって」
客「本当は怖気づいて動けなかったくせにー」

野次馬の声を後ろでにエスカレーターを駆け下りていく佐天。そんな彼女の後姿を、御坂はただ目で追うしかなかった。
しかし、御坂は見逃さなかった。御坂の腕を振り払った佐天の目にうっすらと浮かんでいた涙を。

御坂「佐天さん……」

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:19:30.97 ID:j764pDLr0
夜・常盤台中学女子寮―。

御坂「飾利ー、あんたまだ寝ないのー?」

初春「すいませんお姉さま。今日の件で報告書を書かなければならないので」

御坂「あーあれねー。大変ねジャッジメントも。まあ私も飛び入り参加しちゃったけどさ」

初春「その分も含めての報告書なんです…ってお姉さま、どうしました?」

御坂「………」
御坂「うーん…ちょっと佐天さんのことが気になってねー」

初春「そう言えば佐天さん、いつの間にか帰ってましたね。何かあったんですか?」

御坂「いや、大したことじゃないけど、不良を片付けた後佐天さんのところに行ったら、腕を振り払われてさ…」
御坂「『無能力でもあれぐらい一人で撃退できてましたよ』って怒られちゃって…」

初春「そんなことがあったんですか?」

御坂「うん…しかも何か涙目になってたし」

初春「それはまた…。でも佐天さんはレベルアッパーの件もありましたし最近は元気無かったですからね」

御坂「そう、それよそれ。そこが気になるのよ。特に、あの子が言ってた『白井黒子』っていう女の子のこと」

初春「あーそう言えば言ってましたね。一体誰なんでしょうね『白井黒子』って」

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:24:03.09 ID:j764pDLr0
御坂「まったく覚えがないんだけど、佐天さんのあの言い様…なんか嘘にも思えないのよね」

初春「正直、私としては佐天さんが心配ですね…その『白井黒子』さんについても、彼女の情緒不安定な状態が生み出した妄想の人物、と考えられませんか?」
初春「佐天さんには悪い言い方になっちゃいますけど…能力者に対するコンプレックスによって作られた架空の存在だとか…」

御坂「確かに…私とあんたが高レベルの能力者で、佐天さんがレベル0であることに劣等感を抱いているのなら考えられなくもない話だけど…そう、疑ってかかるのも悪いしね」
御坂「よし決めた!明日、佐天さんの家に行ってくるわ!」

初春「え?明日ですか」

御坂「うん、あんたは明日ジャッジメントの仕事があるでしょう?だから私一人でちょっとね。色々と心配だし」

初春「なるほど分かりました。私も佐天さんのことは心配ですし、何か分かったら教えてください」

御坂「ええ、そうするわ」

初春「にしても…」

御坂「?」

初春「さすがは私が見込んだお姉さま。とても優しいですね」
初春「どうかその優しさで私の身も心も包んでくださぁあああい!!!」ガバッ

御坂「調子に乗るなーーーーー!!!!」ビリビリビリッ

初春「あぁぁぁうううぅうう…ああ、気持ちいいですお姉さま」ガクッ

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:31:10.01 ID:j764pDLr0
翌日―。放課後―。

佐天「この!この!くらえ!」
佐天「こんなの!こんなの!壊れちゃえ!!」

その日もまた学校を休んだ佐天涙子。
彼女は今、例のボタンを叩き、投げ、踏みつけ、必死に壊そうとしていた。

佐天「お前のせいだ!!お前のせいで私がこんな目に!!!!」
佐天「お前のせいで…白井さんは消えたんだ!!!初春は私から離れたんだ!!!」
佐天「フーフーフー」

しかし、ボタンが壊れることはない。

佐天「…………」

部屋に視線を巡らす佐天。
机から引き出しを抜き出し、中の物を全て床にばら撒くと彼女はそれを手に持って掲げた。

佐天「こんなボタン…あっても私は能力者になれない…なら、壊れちゃえ!!!」

引き出しを振り上げる佐天。と、その時。

ピンポーン

佐天「!!」

彼女は寸でのところ動きを止める。

佐天「………」

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/26(金) 23:37:28.44 ID:j764pDLr0
ピンポーン

佐天「チッ、何だようるさいなあ…人の邪魔して……消しちゃおっかな…」

ボタンをポケットに仕舞い、彼女は玄関に向かった。覗き穴から外を窺う佐天。

佐天「御坂さん!?…何でここに……」
佐天「……………」

ガチャッ

御坂「あ、佐天さんこんにちわー。今、いいかな?」

佐天「あまり時間とらないなら…いいですけど…」

御坂「じゃあ上がらせてもらうわね」

佐天「………」

御坂「わっ、どうしたのこれ…引き出しの中身が散らばってるけど…」

佐天「ちょっと掃除してて……。今、片付けますから…」

御坂「あ、ううん。気にしないでいいよ」

佐天「………(何だって御坂さんが一人で私の家に…?)」
佐天「(初春がいるくせに…)」

316 名前:保守と支援ありがとうございます。感謝します。再開です[] 投稿日:2010/02/27(土) 02:47:37.01 ID:pL3+RSl60
佐天「はい…これ…粗茶ですけど…」

御坂「あ、わざわざ気を遣わせてごめんね」

机を間に対峙する佐天と御坂。

佐天「……それで…何か用ですか?」

御坂「あ、うん。ちょっとね…」

佐天「用が無いならなるべく早く帰ってくれませんか?私、これでも忙しいので…」

御坂「あー分かった、ごめん。じゃあ単刀直入に言うわね」
御坂「『白井黒子』って女の子について教えて欲しいんだけど…」

佐天「えっ…」

御坂「その…実はさ、佐天さん、最近何だか元気が無いようだからさ、私も飾利も心配してるのよ」
御坂「あ、別に悪い意味じゃないから気にしないで。ただ、ちょっと本当に心配で…」

佐天「…………」
佐天「で、今日は御坂さんが様子を見に?」

御坂「まあ、そんなとこかな。それで…」

佐天「それで、今更白井さんのこと聞いてどうするんです?」

御坂「えっ?」

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 02:53:41.99 ID:pL3+RSl60
佐天「一昨日、私が白井さんのことについて話しても全然信じてくれなかったじゃないですか。それを今更…」

御坂「あーうん、まああの時はそうなんだけど。よくよく考えたらさ、佐天さんがあそこまで本気になって嘘つくなんて考えられなかったから。今度は真面目に聞こうと思って」
御坂「あ、飾利、今日は来てないけどあの子はジャッジメントの仕事だから」

佐天「(今更何?白々しい…。しかも初春との仲まで自慢しちゃって。何かムカツクなあ…)」

御坂「だから、ね。お願い!」

佐天「で、私の話を聞いたら信じてくれるんですか?」

御坂「えっ…それは…」

佐天「信じられないなら帰って頂いて結構ですから」

御坂「分かった!信じるから…話してくれる?(…本当かどうかは分からないけど、「信じない」って言ったら話すら進まないから仕方がないわよね)」

佐天「………分かりました。全てお話します」

御坂「ありがとう(良かったー)」ホッ

佐天「と言っても一昨日話した内容と一緒ですけど…」

御坂「うんうん」

佐天「私が知る白井さんは、優秀で、勇気があって、ジャッジメントの鏡とも言うべき人でした」
佐天「ツインテールをリボンで結んで、背が小さくて可愛い顔してて、でも、ジャッジメントの仕事の時には中学生とは思えないほど凛々しい顔つきになる人でした」

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 02:59:22.21 ID:pL3+RSl60
御坂「確か、レベル4なんだっけ?」

佐天「…そうです。レベル4のテレポーター。御坂さんと同じ常盤台中学の1年生で、いつも御坂さんを異常と思えるぐらい慕ってました」
佐天「『お姉さまお姉さま』と御坂さんにくっついては電撃を食らわれて…本当の姉妹みたいでした」

御坂「な、何だか私と飾利の関係みたいね」

佐天「ええ、本来なら白井さんの役であるはずが、今は初春になってしまってるんです」

御坂「どういうこと?佐天さんが知る飾利は違ったの?」

佐天「初春は元々、私と同じ柵川中学の1年生で親友でした。姿外見、花飾りだけは違ってませんが、いつも私と同じセーラー服を着ていて…。能力はレベル1のジャッジメントでした」

御坂「レベル1…」

佐天「ジャッジメントに入ったのも白井さんに憧れてです。いわば、白井さんと初春はジャッジメントにおける先輩と後輩のような仲でした」

御坂「そうなんだ…じゃあ、佐天さんが知る飾利は私にベタベタすることなく、それは白井さんの方だったんだ」

佐天「そうです」

御坂「そっか。あの子と白井さんがそっくりそのまま入れ替わったことってことね」
御坂「飾利が私にひっつかないなんて想像できないわね。いやあ、信じられないなあ…」

佐天「…………」

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:08:11.33 ID:pL3+RSl60
佐天「…………」

御坂「あ、違う違うの!おしとやかな飾利がイメージ出来ないで、ちゃんと信じてるから。ね!ね!」

佐天「………」

御坂「でもそんなこともあるのね。この学園都市で言うのもなんだけど、一種のパラレルワールドって奴かしら?」
御坂「ほら、平行世界とか言うじゃない。もしかしたら、佐天さんは本来は別の平行世界の住人?それともこっちの世界が丸ごと、佐天さん一人に干渉してるとか?」
御坂「こう考えると結構、科学的かもねー」

佐天「平行世界がどうとか、私、頭悪いからよく知りませんけど…白井さんがいたのは事実ですよ」

御坂「じゃあ何でこんなことになっちゃったのかしら?」

佐天「多分、矛盾を解消するためじゃないですか?」

御坂「矛盾?」

佐天「ええ。白井さんが消えたから、その穴を埋めるために初春が代わりに選ばれた…。それだけだと思います」

御坂「難しいわね…。でも、どうしてその『白井黒子』って子は消えちゃったの?」

佐天「 私 が 消 し た か ら で す よ 」

御坂「……え?」

余りにも淡々と述べられた口調だっただけに、御坂はすぐにその言葉を理解できなかった。

佐天「私が、彼女の 存 在 そ の も の を 、 消 し ち ゃ っ た ん で す 」

326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:14:32.54 ID:pL3+RSl60
御坂「ん?え?ちょ、ん?(何言ってるんだろう佐天さん?)」

佐天「これを見て下さい」

そう言って佐天が机の上に取り出したのは、例のプラスチックの蓋がついたボタンだった。

御坂「何…これ?」
御坂「(何の特徴もない、ただのスイッチだけど…何だろこの禍々しさは…)」ゾクッ

ボタンを手にし、よく観察する御坂。

佐天「あ、気を付けて下さいね御坂さん。誤ってそのボタン押したら、人を消しちゃうことも有り得ますから」

何の感情も窺わせず、佐天はただ事実だけを述べる。

御坂「…え?…わっ!」

ふと手を滑らせた御坂はボタンを机の上に落としてしまった。

御坂「…人を…消す?」

佐天「ええ、簡単に」
佐天「この世でそのボタンと並んで、余りにもか弱く、繊細なものは、人の魂しかありませんよ」

御坂「…………」

冷静な佐天の口調と、目の前のボタンの恐ろしさのギャップに御坂は戸惑いを見せた。
御坂には、今の佐天がまったく感情がないロボットのように見え、それが彼女の恐怖心を一手に煽った。

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:20:40.56 ID:pL3+RSl60
同時刻―。ジャッジメント第177支部―。

初春「はぅぅぅぅぅ」

固法「あら、どうしたの初春さん?」

初春「なかなか仕事が終わらなくて……。それに…」

固法「それに?」

初春「い、いえ何でもありません…」

固法「そう、なら、あと頑張ってね」

初春「はい!頑張ります!お姉さまにも早く会いたいですし!」

固法「うふふ。本当に仲がいいのね初春さんと御坂さんって」

初春「えへへ」

   ―「そうやって御坂さんに過剰になつくのも、本来は白井さんの役目で……」―

初春「(佐天さん、本当にどうしちゃったんだろうな…。お姉さまが好きなのはこの私なのに…)」
初春「(何だろう…何だか嫌な予感がする…まるで空間が震えているような…)」
初春「(あれ?何これデジャヴ?何日か前にも同じような感覚を覚えたような…)」

  ―「そうだよ!常盤台中学に通う、レベル4の風紀委員(ジャッジメント)、白井黒子さんだよ!」―

初春「(気のせい…だよね。レベル4のテレポーターは私しかいないもん…。白井なんて子知らないもん)」
初春「佐天さん……お姉さま……」

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:29:15.86 ID:pL3+RSl60
佐天「読み終えました?」

佐天宅―。
口元を歪める佐天の目の前で一枚の紙切れを黙読する御坂。
彼女の手は、僅かに震えているように見えた。

御坂「読んだけど…」

佐天「じゃあ分かったでしょう?その説明書に書かれている通り、このボタンは特定の人間の存在を消せるんです」
佐天「その代わり、消された人間については、消した本人以外一切覚えてないんですけどね」

さもそれは現実だ、と言いたげに微笑む佐天の顔を見、御坂は恐怖を覚える。
目が合い、視線を逸らす。

佐天「これで御坂さんも私が言ってること…」

御坂「有り得ない…」

佐天「?」

御坂「こ、こんなのどう考えたって有り得ないわよ!」

佐天「………何言ってるんですか?さっき貴女、私が言うこと…」

御坂「ここは、科学の街・学園都市よ!それがこんな、簡単に人を消せる道具なんて…」
御坂「そんなの……私、信じないわ!!」

佐天「御坂さん、『信じる』って言ったの嘘だったんですね……」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:37:32.53 ID:pL3+RSl60
御坂「だって、そんな…こんなこと!現に私は『白井黒子』なんて子知らないし、今まで遊んで来たのも私と飾利と佐天さんの3人だけで…」

佐天「怖いんですか?」

御坂「えぇっ?」

佐天「分かります、怖いんですよね。私も最初は怖くて信じられませんでしたもん…」
佐天「でも大丈夫ですよ。未知のものに恐怖を覚えるのは、学園都市の能力者であっても人間である限り当然のことですし」

御坂「べ、別に私は怖いわけじゃ…」

佐天「じゃあ何でそんなうろたえてるんですか?」

御坂「そ、それは…私は学園都市第三位のレベル5の超能力者としてこんなこと信じられるわけが…」

佐天「…………」イラッ
佐天「はぁーやっぱり『信じる』って言葉、嘘だったんですねー」

御坂「………っ」

佐天「いいですよー科学漬けの貴女に、現実を見せて目覚めさせてあげますから」

御坂「…な、何を」ゾクッ

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:43:07.45 ID:pL3+RSl60
立ち上がる佐天。一瞬ビクついた御坂だったが、佐天は御坂を無視し窓を開け放った。

佐天「さあこっちへ」

不気味な笑みに誘われるかのように、御坂は窓に近付く。
そこからは、外の景色が一望できた。

佐天「今から私が指差したものを次々と消していきます。だから、 見  逃  さ  な  い  で  ね  」ヒソヒソ

御坂「………!!」

佐天「さあ、『佐天さんの消失マジックショー』の始まり始まり~ わーパチパチパチ」

プラスチックの蓋を開ける佐天。彼女の行動を、御坂は顔面を蒼白にしながら目で追う。

佐天「駄目ですよ御坂さん。外を見ておかないと」
佐天「ほら、まずは目の前の水銀灯に止まってるカラス、あれを消しますね」
佐天「カラスなんか消えろ!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「………!!」

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:48:11.55 ID:pL3+RSl60
佐天「見ました?見たでしょ?消えましたよね?」
佐天「じゃあ次…空飛んでるあの鳥、行きますね」
佐天「空を飛んでる鳥、消えろ!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「!!」

佐天「消えましたね~。じゃあ次はっと…あ、あの野良猫なんかいいですね」
佐天「消えちゃえ!!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「………っ」

339 名前:>>335事情を知る当事者は例外ということで…[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:53:33.77 ID:pL3+RSl60
佐天「どうです?すごいでしょう?じゃんじゃんいきますよ」
佐天「消えろ」

ピシュン

佐天「消えろ」

ピシュン

佐天「消えろ」

ピシュン

次々と目の前から消えていく動物たち。御坂は目を動かすだけで精一杯だった。

佐天「あはははは♪消えろーよ♪消えろーよ♪全てよ消えろ~♪」

御坂「…(狂ってる)」

佐天「あ、見てくださいちょうどいい所に、ほら、あそこに学生が一人歩いてますね~」
佐天「御坂さんに信じてもらうために、一回、あの人にも消えてもらいましょうか」
佐天「せ~の♪」

342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 03:58:07.72 ID:pL3+RSl60
御坂「待って!!」

佐天「………」
佐天「どうしました?まだ人間を一人も消してませんけど」

御坂「分かった。信じるから…信じるから…もう、止めて…」

佐天「だって御坂さん…」

御坂「もう十分に分かったから。佐天さんが人を消せるのも理解出来たし、『白井黒子』って言う子が存在したことも分かったから…」

佐天「そっかー、ならいいや」

御坂「…………」
御坂「どうして…」

佐天「ん?」

御坂「どうしてこんなことが出来るの?」

佐天「…………」
佐天「ねえ御坂さん。貴女は覚えてないでしょうけど、白井さんは貴女にとって、とても大事な後輩で親友だったんですよ」
佐天「そして私の友達でもあった。そんな彼女を消してしまって、何か吹っ切れたのかもしれませんね」

部屋を歩く佐天。

御坂「…………」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:02:50.65 ID:pL3+RSl60
佐天「ついさっきまではこのボタンも憎らしかったんですが、御坂さんが来て分かりましたよ。このボタン、私におあつらえ向きの道具ってことが」
佐天「もしかしてこれは私に与えられた使命なのかもしれませんね」

御坂「使命?」

佐天「ええ。私には能力はないけど、この道具がある。だったら、私に『決定権』があるということ」

御坂「何を言ってるの?」

佐天「世の中って、嫌な奴ばかりで溢れてると思いません?この学園都市なんて、存在するだけで人に迷惑かける人間がたくさんいる」
佐天「彼らは果たして、生きてる意味があるのでしょうか?」

御坂「佐天さん、貴女…」

背中を見せ、御坂に話し続ける佐天。彼女の手にはボタンが握られている。

佐天「白井さんが消えたことで、世界は変わっちゃったけど、私はその責任をとってこのボタンを正しく使っていかなきゃならない」
佐天「レベル0の無能力者である私がようやく見つけたやるべきこと。それが、これなんです」
佐天「だからさ、御坂さん…」


チャリン


佐天「ん?」

バチバチッ

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:08:51.90 ID:pL3+RSl60
振り返る佐天。そこには右手にコインを持ち、体中から電気を発している御坂が
額に皺を刻みつつ立っていた。

佐天「…な、何?御坂さん…」

御坂「佐天さん…貴女、正気じゃないわ」

佐天「………な、そ、まさか私を殺そうって言うんじゃないですよね!?」

御坂「貴女を放っておいたら、いずれ暴走して街の不良だけでなく無実の人や飾利にまで手を出すわ」バチバチッ

佐天「私が…初春を?」

御坂「だからここで、私が貴女を止めるわ佐天さん。学園都市第三位の超電磁砲(レールガン)として!!」

佐天「…………」
佐天「そう、またですか。そうやって貴女はまた自分が超能力者であることをいいことに、レベル0の私を馬鹿にするんですね。で、今回は遂に殺しますか」

御坂「佐天さん、本当に貴女、それで人を消していくつもりなの?」

佐天「そうですよ。まだ深く考えてないですけど。実行したら一年も経たずに学園都市の治安は良くなりますよ」

御坂「無理ね。強大な力を手に入れた人間は、いずれ暴走するもの」

佐天「今の、御坂さんみたいな状態ですか?」

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:15:23.37 ID:pL3+RSl60
御坂「違う!! ……私には、超能力者として、レベル5としての誇りがある!貴女と一緒にしないで」
御坂「ここで貴女を逃がしても、私はずっと貴女を止めるため追いかけるわ!」

佐天「………」イラッ

御坂「貴女は、神になった気でいる」

佐天「その言葉、そっくりお返ししますよ。ここに来てまで超能力者自慢ですか。くどいですね」

御坂「もしここで貴女が止まらないのなら、私はそのボタンも、佐天さんも一緒にこのレールガンで撃ち抜くわ!!」

佐天「…………」

御坂「…………」

二人の間に静寂が流れる。御坂のレールガンはいつでも発動可能状態にあり、
佐天もまた手元にあるボタンを即座にでも押せることが出来た。
一瞬の判断が勝負の行く末を決めることは明らかだった。

御坂「(名前を叫んだ瞬間、コインを発射する…。でも、狙いは彼女の手元のみ。殺したりはしない。ちょっと火傷を負ってもらうことになるけど…)」

無限にも思える時間がただひたすら流れていく。
焦りの色を見せる御坂に対し、佐天は無表情で御坂の顔を見つめている。
やはりそれはどこか生気のないように見えた。

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:20:11.80 ID:pL3+RSl60
佐天「…………」

御坂「(何よ…何でずっと黙ってるの?)」

佐天「………ふふふ」

御坂「!?」

佐天「あっはっは」

突如、腹を抱え笑い出す佐天。
御坂は呆気に取られた。

御坂「何??」

佐天「あははははーひーおかしいー!」
佐天「ごめんなさい御坂さん!」

御坂「え?え?」

佐天「まさか御坂さんがここまで本気になるなんて思わなかったから、ごめん…ふふふ」
佐天「御坂さん、くく…ごめんなさい脅かして。冗談だよ全部じょーだん!」

御坂「冗談?」

顔を崩した佐天を見、御坂が身に纏っていた電気も薄れていく。

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:25:10.73 ID:pL3+RSl60
佐天「そ! ちょっとからかおうとしてみただけ。まさかそこまで怒るとは…もう、真面目だなあ御坂さんは!」

御坂「………そ、そう…ふ、ふふ…何だ、冗談か…」
御坂「…ふふ、ごめん。私の方も馬鹿だったみたい」

纏っていた電気を完全に消し、御坂は腕を下ろす。

佐天「いえいえ気にしないで」

御坂「でも、本当、そのボタンはどうするの?」

佐天「あ、もう私には必要ないし。持ってても気味悪いだけですから、一応今は御坂さんが管理しといてくれます?」

御坂「あ、それならいいわよ」

佐天「ありがとうございます。あ、決して悪用したりしたら駄目ですよ」

御坂「大丈夫大丈夫。そんなことしないから」

佐天に近付き、腕を伸ばす御坂。佐天がボタンを御坂に渡そうとした時…

佐天「なーんて」

御坂「え?」



佐天「これだから常盤台のお嬢様は馬鹿だよねー」

354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:32:37.76 ID:pL3+RSl60
その言葉を理解し、顔が蒼くなった御坂が反射的に放電しようと
した瞬間だった。


佐天「御坂さんなんて消えちゃえええええええええええ!!!!!!」


ピッ

ピシュン!!!



一瞬の出来事だった。御坂が反応するより早く、佐天は彼女の名前を叫んでいた。

そして1秒後……そこに、御坂美琴の姿は無かった。
主を無くした一枚のコインが、特徴的な金属音を鳴らし床に落下した。

佐天「…………」
佐天「最後まで油断して馬鹿みたい。所詮、超能力者なんてこんなもんか~♪」

佐天は床に落ちたコインを拾い上げる。

355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 04:38:26.68 ID:pL3+RSl60
佐天「御坂さん、私、アカデミー主演女優賞なみに名演技だったでしょ?」
佐天「プププ…『与えられた使命』とか『責任をとる』とか『決定権』とか、ぜーんぶ嘘に決まってるじゃないですか」
佐天「貴女を激昂させといて、その直後に安心させれば隙を見せると思いましたよ。見事にはまっちゃってまあ…馬鹿ですね~♪」

コインをじっくりと見つけ一人、呟き続ける佐天。

佐天「これが最初から定められた私と貴女の運命だったんですよ御坂さん。傲慢な王様はいつの時代も無力な革命家によって倒されるものです」
佐天「ありがとうございます御坂さん。当初はもうボタンは使わずに壊すつもりだったんですけど、丁度いいタイミングで来てくれましたね。お陰で心置きなく貴女を消すことが出来ましたよ」
佐天「御坂さんが悪いんですよ。最後まで人を見下すから」

そう言い、佐天は手にしていたコインを窓から投げ捨てた。

佐天「さ・て・と~どうしよっかな。これで私は無能力者でありながら学園都市第3位のレベル5を倒したことになるのよね」
佐天「このまま残りの第1位から第7位も適当な理由つけて呼び出して消しちゃおうかな?」
佐天「…と、消したところでどうせレベル4の誰かが代わりになるだけだろうから無駄か…」
佐天「まあいいや。多少の誤差はあったけど、これでもう当初の目的は全部果たせたし…処分しちゃうか」
佐天「そうだ!これでもう初春も私の元に戻ってくるよね!!やったー!」

佐天「……………」


佐天「…………ハァ…早く捨てに行こ……」

374 名前:保守&支援ありがとうございます。いけるところまで投下します。[] 投稿日:2010/02/27(土) 10:36:35.79 ID:FtE/U6+20
その後、部屋を出た佐天は近くの用水路の側まで歩いてきていた。

佐天「いつの間にか夜になっちゃってる……」

ボタンを見つめる佐天。

――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「それでー初春ったら、そこで泣いちゃったんですよー」
初春「あぅー思い出させないで下さい佐天さん!!///」
白井「まぁまぁまぁ初春ったら、恥ずかしがり屋さんですわね」
御坂「佐天さん、もっと聞かせて!」
佐天「いいですよ!それでその後初春は…」
――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「御坂さーん、クッキー焼いてみたんですけど食べてみません?」
御坂「どれどれ。ハム…うーん美味しい!!」
佐天「ホントですかー?!よかったー」
御坂「あ、良かったら今度作り方教えてくれない?私も作ってみたいんだ」
佐天「もちろんいいですよ!で、作って誰かにプレゼントですか?もしかして好きな人?」
御坂「ちちち違うって!!!あいつはそんなんじゃなくて…」
佐天「フフフフ」
――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「私、レベル0ですから…」
御坂「そんなことないよ佐天さん。貴女にはレベルが無くてもいいものを持ってる」
佐天「そう…ですか?」
御坂「うん、その素直な元気は貴女だけにしかないもの。もっと誇りにしなさい」
佐天「えへへーありがとうございます!」
――――――――――――――――――――――――――――――

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 10:43:06.53 ID:FtE/U6+20
佐天「……もう終わったんだもん…もうこれ以上使わないもん…」

ボタンから視線を外し、目の前の用水路を見つめる佐天。
彼女は気付いていなかった。後ろから何者かが近付いて来てるのを。

「よー姉ちゃん」

佐天「え?」

振り返る佐天。そこには、いかつい格好をした5人の男が立っていた。

佐天「な…え…だ、誰?」

「俺たちはな…スキルアウトさ!!」

佐天「ス、スキルアウト…」

スキルアウト「こんな夜中に女の子が一人で出歩くのは危ないぜ」

スキルアウト「そうさ、何たって俺たちみたいなゴロツキがうろついてるからなあ!!!」

佐天「(やだ…怖い…)」

目の前の屈強な身体を持つ男たちを目にし、震え出す佐天。
彼女はまだボタンを手の中で握り締めていたが…。

スキルアウト「おほ、震えちゃってるぜこの子」

スキルアウト「兄さんたちが遊んでやるから一緒に来な!」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 10:50:03.56 ID:FtE/U6+20
一人のスキルアウトが手を伸ばした瞬間。
佐天はそれを振り払い一団の隙をつき逃げ出した。

スキルアウト「おいおい逃げちゃったじゃねえか」

スキルアウト「安心しろ。いつもの手を使う」
スキルアウト「こちら山本…聞こえるか?…ターゲットがそっちに向かった。全員、準備に掛かれ」


佐天「ハァ…ハァ…ハァ」
佐天「(どうして…いつも私ばかりこんな目に…)」

必死に走る佐天。彼女は手に持ったボタンをチラッと見やる。

佐天「(駄目!…それはもう駄目!…御坂さんを消したんだよ私…これ以上は駄目…)」

スキルアウト「いたぞあそこだー!!」

佐天「ひっ!」

後ろを振り返ると、2人のスキルアウトが鬼の形相で近付いて来ていた。

佐天「いつの間に…」

路地裏の多い通りを走り抜ける佐天。
助けを求めようにも、周囲に人はいない。

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 10:57:22.63 ID:FtE/U6+20
佐天「ここだ」

路地裏を右に曲がろうとした時、一人のスキルアウトが飛び出してきた。

スキルアウト「バア!!」

佐天「きゃあ!」

急いで方向転換する佐天。尚も後ろから追いかけてくる3人のスキルアウトを視認し、
佐天は別の道をひた走る。と、その時、左の角から一人のスキルアウトが飛び出してきた。

佐天「やだ!!来ないで!」

間一髪すり抜け、更に走り行く佐天。
角を曲がるとそこはネットの網で道が塞がれ、行き止まりだった。

佐天「どうしよう…」

そうこうしている間も、スキルアウトが彼女を探す声が近付いてくる。

佐天「よし…」

ネットを登ろうとした時。

ガシャアアアン

スキルアウト「うへへへへへお嬢さん、いらっしゃーい」

佐天「きゃああああああ!!」

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:03:39.87 ID:FtE/U6+20
ネットの向こうからまた現れたスキルアウトに驚き、佐天は来た道を戻って行った。

佐天が行く道曲がる道、どこを通ろうとしても、スキルアウトは
必ず現れ、彼女の逃げ場を塞いでいく。挙げ句、追っ手はいつの間にか
5人まで増え、佐天の足ももはや限界に近かった。

佐天「どうして……行くところ行くところに…いるの?」

すさまじく連携が取れているスキルアウトの行動に疑問を持つ佐天。
その時、彼女の脳裏にある言葉が蘇ってきた。


  ―『何でもスキルアウトの一部が自棄を起こしてるらしいです。集団で一人の女の子を執拗に追いかけて
    疲れたところを一網打尽にするという卑劣な手段で。佐天さんも気を付けてくださいね』―


佐天「まさか…そんな…」
佐天「やだ…そんなの…」
佐天「やだよ…恐いよ…誰か助けてよ…白井さん…御坂さん…初春…助けて」

考え事をしていた彼女に、物陰から現れた男に気付く間は無かった。

スキルアウト「捕まえたぁ!」

佐天「きゃーーーーー!!!」

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:11:41.49 ID:FtE/U6+20
佐天の右腕を強い力で掴む男。
いくら振り払おうとしても、彼女の細腕では叶わない。

佐天「やだ来ないで!!離して!!」

スキルアウト「つれないなあ…兄さんと遊ぼうぜぇ」

佐天の顔に鼻をこすりつけ、臭いをかぐ男。佐天は必死に叫ぶ。

佐天「やめてぇ!!誰か、助けてー!!」

と、その時、佐天は自由になっている左手にあのボタンが握られていることに気が付いた。
彼女は左手だけで器用に蓋を開けた。

佐天「お前なんか消えろおおおおおおおおお!!!」

ピシュン!!

その言葉と同時に押されたボタン。瞬時に男は消失し、腕を離された反動で佐天は
疲れた身体をよろめかせた。
涙目になって今まで男がいた物陰を見つける佐天。

佐天「ハァ…ハァ…ハァ」

スキルアウト「捕まえろおおおおおおおおお!!!」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:18:36.61 ID:FtE/U6+20
佐天「!!」

依然、追いかけてくるスキルアウトに気付き、佐天は再び走り出す。

佐天「ハァ!ハァ!ハァ!」

スキルアウト「ここだあああああああ!!!」

路地裏に曲がったところにいたのは2人のスキルアウトだった。

佐天「!!」

腕を広げ迫ってくる男たちに驚き、佐天は再び手元のボタンを押す。

佐天「お、お前らなんか消えろー!!!」

ピシュン!!

佐天「……ハァ…ハァ」

スキルアウト「あそこだ!捕まえろ!」

我に返ったのも束の間、聞こえてくるスキルアウトたちの声。
彼女は開いた道を突き進む。

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:26:53.34 ID:FtE/U6+20
そして、男たちが現れる度、佐天は次々とボタンを押していく。

スキルアウト「うりゃああ!!」

佐天「消えろ!!!」

スキルアウト「見つけたぜお嬢さん!!!」

佐天「消えろー!!」

スキルアウト「こっちだ!!!」

佐天「消えろーーーー!!!!」

スキルアウト「ゲームセット!!!」

佐天「消えちまえぇぇぇぇえええええ!!!!」

我を忘れた佐天が、スキルアウトの男たちを次々と消していく。
そしてようやく彼女は開けた場所に辿り着いた。

佐天「あ、あそこまで…逃げれば…」

しかし、彼女は路地裏から出た瞬間、転倒してしまった。
その衝撃で、目の前を転がっていくボタン。

佐天「あ…やだ…駄目…」

起き上がろうとする佐天。が、彼女は頭を地面に叩きつけられてしまう。

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:33:30.40 ID:FtE/U6+20
スキルアウト「ついに捕まえたぜぇぇえ」

スキルアウト「へっ、さんざん逃げやがって」

スキルアウト「ここまで逃げ切れた女はお前が初めてだぜ」

上から押さえつけられ、微動だに出来ない佐天を、10人にも近い
スキルアウトたちが取り囲む。
状況を打開しようにも、ボタンは今、彼女の手元にない。

佐天「あ…う…いや…助けて…」

スキルアウト「心配すんな!俺たち全員で交代で楽しませてやるからよ」

その言葉の意味を理解し、暴れ出す佐天。

佐天「いやだぁ!!やだぁ!!誰か!!!助けて!!!離して!!!やだぁ!!!!」

スキルアウト「へっへっへ諦めろ」

佐天「(……どうして…どうして…)」

スキルアウト「見ろよこいつ、泣いてやがる」

スキルアウト「げっへっへ。待ってろ、今夜お前は大人になるんだから楽しみにしてろ」

佐天「(もしかして、これは罰なの神様?……たくさんの人を消した……だって、仕方がないじゃない…)」
佐天「(みんな…みんな…私を馬鹿にするんだもん…)」
佐天「誰か、助けて…白井さん…御坂さん…初春…」

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:38:01.58 ID:FtE/U6+20




ビリビリビリビリッ!!!!!!
ズゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!






391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:43:48.25 ID:FtE/U6+20
スキルアウト「!!??」

スキルアウト「な、何だ!?」

突如、発生した光と轟音。
驚いたスキルアウトたちが辺りを見回す。

佐天「…あれは…」

佐天はしかと目撃していた。青白い光を纏った電気が目の前を通り過ぎて行くのを。

佐天「…御坂さん…?」

暗闇から現れる一人の少女。
怖気づいたスキルアウトたちが立ち上がり、それぞれナイフや鈍器を取り出す。

スキルアウト「誰だおめぇは!!!」

徐々に、その輪郭が明らかになっていく。

スキルアウト「おい、やべぇよ…こいつ、学園都市第3位のレベル5だ…」

スキルアウト「何ぃ!!??」

少女「無事ですか、佐天さん?」

佐天「!!??」
佐天「(…御坂さんじゃ…ない!?)」

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 11:50:01.67 ID:FtE/U6+20
唐突にかけられた声に驚愕する佐天。
彼女が耳にしたその声は、明らかに御坂美琴のものとは違い、
どちらかというと、おとなしめの少女を窺わせる今にも掻き消えそうな優しい声だった。

少女「今すぐ佐天さんを解放し、どこかへ行きなさい!!」

その気迫と威圧に呑まれるスキルアウトたち。
少女の頭の花飾りがギャップを覚えさせる。

少女「さもないと…」


初春「ジャッジメントにして学園都市No.3の超能力者、常盤台の超電磁砲(レールガン)・初春飾利が容赦しません!!!」


佐天「初春…貴女…」

目の前で起こっている現実を理解する間もなく、
佐天は薄れていく意識の中で、頭に花飾りをつけた親友・初春飾利の姿を目に焼き付けた。


                                   第2部・終わり

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 18:44:12.97 ID:bQt0OBUC0
佐天「う…うーん…」
佐天「…………」
佐天「ここは……?」

初春「あ、佐天さん、ようやく気付きましたね!!」
初春「良かったー」

靄が視界にかかったような違和感を覚え、佐天は
徐々に目を開いていく。
女の子の声が聞こえたかと思うと、次に目に飛び込んできたのは
誰かの頭と花飾りだった。

佐天「うい…はる…?」

佐天「初春!!!」ガバッ

上体を起こす佐天。
目の前にいたのは、親友の初春飾利だった。

初春「わっ、びっくりした…」
初春「駄目ですよ佐天さん。安静にしとかないと…」

佐天「ここは…病室?」

初春「そうですよ。お医者さんの話によると、特に命に別状は無いようですから安心しました」

佐天「私……」

425 名前:第3部(※書き忘れですが、>>424から第3部始まってます)[] 投稿日:2010/02/27(土) 18:52:12.13 ID:bQt0OBUC0
初春「佐天さん、スキルアウトに追いかけられてたんですよ」
初春「たまたまジャッジメントの仕事で現場近くにいたら、佐天さんの声がして…行ってみたら佐天さんがスキルアウトの人たちに囲まれてて驚きました」

佐天「!!」

佐天の脳裏に気絶した直前の記憶が蘇る。
スキルアウトに追いかけられたことも、ボタンを用水路に捨てようとしたことも、御坂美琴も消してしまったことも。

佐天「………っ」
佐天「…初春…貴女、あの時、電気で攻撃してなかった?」

初春「?? そうですよ。だって私の能力は電撃を操ることですから。何てったって私はレベル5の超電磁砲ですから!佐天さんを苛める男の人なんかちょちょいのちょいです!」

佐天「……!」
佐天「…そっか…そうなんだね…また、この世界、変わっちゃった……いや、変えちゃったんだ…」

初春「何を言ってるんですか佐天さん?」

佐天「ちょっと聞くけどさ…」

初春「何です?」

佐天「『御坂美琴』、っていう人知ってる?」

初春「…御坂…美琴」

429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:02:01.04 ID:AGhJqC5s0
佐天「…………」

初春「いえ、知りませんけど」

佐天「(やっぱりか…)」

初春「佐天さんのお友達ですか?」

佐天「ううん、気にしないで」
佐天「(……そうだよ、御坂さんは確かに消えた。でも。その穴埋めとして代わりに初春がレベル5の超電磁砲(レールガン)になった…よくよく考えれば、そうなるのも最初から分ってたことじゃん…)」

初春「お医者さんが言うには、今日中には退院出来るそうですから、安心して下さいね!」

佐天「うん、ありがとう初春…」
佐天「(でも、常盤台の制服着てて、レベルも5になったけど、それ以外は前と変わらない初春…。)」
佐天「(これでまた…初春と二人で楽しく過ごせるのかな……?)」
佐天「(そういやあのボタンは……あ、そうか。スキルアウトに襲われた時、無くしたんだっけ。ならいいやもう。これでやっと楽になれる)」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:07:01.31 ID:AGhJqC5s0
初春「じゃあちょっと私、お医者さんとお話してきますね」

佐天「あ、うん、分かった」

初春「あ、そうだそうだ…」

佐天「?」

初春「これ、現場に落ちてました。佐天さんの忘れ物ですよね?」コトッ

佐天「!!!!」

初春「じゃ、行ってきまーす」

ガラガラガラ ピシャッ

佐天「これ……何で…」

佐天の目の前に置かれた忘れ物。
それは、佐天を何度となく苦しめ、多くの人間の存在を消してきた禍々しきボタンだった。

432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:13:00.52 ID:AGhJqC5s0
午後・佐天の家―。

初春「今日は、私が佐天さんの代わりにご飯作ってあげますねー」

佐天「うん、ありがと…」

初春「何だか元気ないですねー?」
初春「でも、私が作った料理食べたらきっと佐天さんも元気が出るはずです!」

作り笑いを見せる佐天。
彼女は初春に背中を向けると、ポケットからボタンを取り出した。

佐天「(結局…持って帰って来ちゃった…もう、いらないはずなのに…)」
佐天「(でも、もう、使わなきゃいいんだ…使わなきゃ…)」

初春「あ!」
初春「佐天さーん、食材がほとんどありませんよー」

佐天「え? あ、そうか…うん、ごめん。ここ最近、食欲無かったから」

初春「もう駄目ですよ!」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:20:24.58 ID:AGhJqC5s0
佐天「ちょっと買ってくるよ…」

初春「駄目です。佐天さんは病み上がりなんだから。私が買ってきますからここで待ってて下さいね」

佐天「…分かった」

そう言い、初春は部屋を出て行く。

佐天「初春…ああ見るといつもの初春なんだけどな…本当にレベル5になったのかな?」

ズキッと胸が痛むのを佐天は感じた。
レベル1だった親友が自分を差し置いて、レベル4からレベル5に進化する。
周りの世界が変わっても自分自身は何も変わらない今の佐天にとって、その事実は思ったより痛かった。



とある公園―。

初春「佐天さん、いつもより元気ないなー。ここは元気がつくもの作ってあげないとね」

「ふふふん♪ふふふん♪ふんふんふーん♪」

初春「ん? あ、あれは…」

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:29:03.10 ID:AGhJqC5s0
上条「ふふふん♪ふふふん♪ふんふんふーん♪」

ビリビリビリッ ズオオオオオオン!!!!!

上条「ぎゃああああああああああああ!!!!!」
上条「な、な、何だぁ???」
上条「ビ、ビリビリか!?」

煙が晴れていく。
その中から出てきたのは、初春飾利だった。

上条「あれ?初春さん?」

初春「今日こそ決着を着けてもらいますよぉ!!」

上条「はぁ?」

初春「いつもいつも私からちょこまか逃げて…たまには私と正々堂々と勝負して下さい!!!」

上条「何だこりゃ?」
上条「あ、もしかしてそういうことか?」

初春「貴方の右手と私の超電磁砲、どっちが強いか今日こそ明らかにするときです!!」

上条「あっはっはっは」

初春「何がおかしいんですか!!??」

437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:35:38.16 ID:AGhJqC5s0
上条「あはははははは!!!!!ヒーおかしい~」

腹を抱え笑う上条。それを見て更に怒りを上げた初春が恐い顔で叫ぶ。

初春「ふ、ふざけないで下さい!!こっちはシンケンなんです!!!」

上条「プククク…い、いやごめん…くくく」
上条「まあ大方、あいつの代わりに初春さんがレベル5になったんだろうが…プククク」

初春「何を訳の分からないことを仰ってるんですか!!??」ビリビリッ

上条「だーーーーーっはっはっは!!!!迫力ねーーーー!!」

初春「ななななな」バチバチッ

上条「あいつらならいざ知らず、初春さんが怒っても迫力ないなwwww 寧ろ可愛いwwww」

初春「か、可愛い!?///」

上条「カオス過ぎだ……って、うわああああ!!!!」

飛んでくる電撃。
上条は急いで右手を突き出し、能力を消滅させる。

上条「ふー危ねー。能力だけは変わってないんだな。寧ろ凶暴になったような…」
上条「頭の花飾りが笑いを誘うが…」

445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:42:18.75 ID:AGhJqC5s0
初春「また私の電気が効かない…」

上条「どっちみちヤバそうだし逃げるか!」

走り出す上条。

初春「あ、待ちなさいコラー!!!」バチバチバチビリビリビリッ

上条「上条さんの不幸は相変わらずか」
上条「なー初春さ……じゃないのか。ここは…ビリビリ~」

初春「何ですかもう!!」プンプン

上条「佐天さんは元気にしてるかー?」

初春「佐天さん!? あ、そうだった…」

立ち止まる初春。
それにつられ、上条も足を止める。

上条「ん?」

初春「料理の材料買いに行く途中だったんだ…佐天さん、元気ないから…」

上条「ふーん(やっぱりな)」

初春「今日の勝負はお預けです!」プンスカ

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:48:20.38 ID:AGhJqC5s0
上条「ププッww」

初春「何ですかもう!!!」

顔を赤くし、頬を膨らませる初春。

上条「あー同じレベルでも人間違うだけでここまで可愛くなるものなのか」

初春「か、可愛い/// ま、また貴方はそんなことを!!!///」
初春「はっ! じゃなかった。急いで帰らないと…。とにかく次こそはちゃんと勝負して下さいね!」

上条「あーわぁったわぁった。いつでも勝負してやるよププ」

初春「むー」

ふてくされ、帰っていく初春。
上条はその後姿を見送る。

上条「あの子が常盤台の制服着てると違和感たっぷりだな…可愛かったけど」
上条「にしても、佐天さん、やっぱりあのボタン使ったようだな」
上条「それも  修  復  不  可  能  なレベルで」
上条「ま、俺には関係ねーや」

上条「ふふふん♪ふふふん♪ふんふんふーん♪」

踵を返し、上条はそのまま帰路に着いた。

452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 19:55:43.47 ID:flMjR0rp0
佐天宅―。

初春「じゃじゃーん!!!初春さん特製元気がもりもりつく夕飯メニューでーす」

部屋の中央にセットされた机の上に並ぶ料理の数々。そのどれもが初春が意気揚々として作ったものだった。

佐天「わー初春すごいよ。ありがとー」

初春「いえいえこれぐらい。さー召し上がれ」

佐天「いただきまーす」
佐天「パクッ…もぐもぐ…うわぁ、おいしいよ初春ぅ、とっても美味しい!」

初春「えへへ、良かったー」

佐天「ありがとうね初春…私、とても嬉しいよ……私の為にこんなにも…」

初春「だって佐天さんは私の親友なんですもん。当然じゃないですか」

佐天「初春……(やっぱり、どんなに世界が変わっても、初春は私の親友なんだ…うう)」ポロポロ

初春「わ、泣いてるんですか佐天さん」

佐天「だって…嬉しくて…とても…感激しちゃって…グス」

初春「佐天さん…」

佐天「よーし!初春がここまでやってくれたんだ!元気を取り戻さないと失礼だもんね!!食うぞー」

初春「おかわりは一杯あります。どうぞじゃんじゃん召し上がれ」

453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:00:37.42 ID:flMjR0rp0
夕食後―。

佐天「ごちそうさま。あーおいしかったー」

初春「ふふふありがとうございます。わざわざ遠くまで食材買いに行って良かった」
初春「にしても、あの人には毎回毎回、腹が立ちますねー」
初春「たまには私と正々堂々勝負したらいいのに…」

佐天「ん?何のこと?」

初春「ななななな何でもないです///」

佐天「?」

佐天「あ、そうだ!ねぇねぇ初春ぅ」

初春「何です佐天さん?」

佐天「私たち、親友だよね?」

初春「もちろんですよ♪」

佐天「じゃあさ、今夜はまた一緒にベッドに寝ない?」

454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:06:16.70 ID:flMjR0rp0
初春「一緒に?」

佐天「駄目かな?」

初春「いいですよ」

佐天「やったー」

初春「えへへ」

佐天「ふふ」
佐天「では早速…枕を二つ用意しますかゲヘヘ」

初春「えーまだ早いですよー佐天さん。それにその言い方、なんか変態親父さんみたいです」

佐天「うふふ今夜は寝かせないぞ♪」

初春「もー……」
初春「!!!!」

佐天「ん?どうしたの?」

不意にスクッと立ち上がったかと思うと、初春は
真剣な顔つきで窓に近付き、カーテンの隙間から外を覗き見た。

佐天「な、なに?」

458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:12:50.56 ID:flMjR0rp0
窓を開ける初春。
そのまましゃがみ込み、彼女はベランダに落ちた何かを拾った。

佐天「何それ?」

初春「何かが窓にぶつかる音がしたんですけど…これ、ナイフですね」

佐天「え…私こんなナイフ知らないよ…」

初春「先端が欠けてる……もしかして窓にぶつかった時に欠けたのかも…」

佐天「ちょ、ちょっと待って。ここ何階だと思ってるの?誰かが投げたとして、上手く先端が窓に当たるかなあ?」

初春「……………」

佐天「初春?」

ヒュッ

ガァン!!!

佐天「!!!!」

その時、空中から飛来した物体が初春の頭に衝突した。
部屋の中に倒れ込む初春。

佐天「初春!!!大丈夫初春!!??しっかりして!!!」

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:19:32.17 ID:flMjR0rp0
初春「う…大丈夫です…」

佐天「でも、額から血が…」

初春「ちょっとしたかすり傷です…消毒したら治ります」

佐天「はっ!!これは…石?」

見ると、床に一つ、子供の拳大の石が落ちていた。
それが初春の頭にぶつかったのは火を見るより明らかだった。

佐天「誰がこんないたずらを…!!」

立ち上がる佐天。
しかし、それを初春が制止した。

初春「駄目です佐天さん!!窓から離れて下さい!!」

佐天「え…でも…」

初春「とにかく、早く窓とカーテンを閉めてください!あ、外に気を付けながらで!」

佐天「わ、分かった…」

しゃがみながら、佐天は窓とカーテンを閉めた。

ガラガラガラ ピシャッ

佐天「閉めたけど…ねぇ初春ぅ…このナイフと石って一体……初春?」

462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:25:07.02 ID:flMjR0rp0
黙りこくり、何かを考え込むように石を見つめる初春。
佐天には、彼女が何らかの事情を抱え込んでいるように見えた。

初春「…………」

佐天「初春…もしかしてストーカーの被害とか受けてるの?」

初春「そんな生易しいもんじゃありません……」

佐天「え?」

初春「ごめんなさい佐天さん。私、今日は帰ります」

佐天「えええ?そ、そんな何で…」

初春「ホントごめんなさい。また明日か明後日、ジャッジメントの仕事がない時に会いましょう」
初春「では」

そう言い、立ち上がったかと思うと、初春は急ぐように佐天の部屋を出て行った。

佐天「あ、初春…」
佐天「何で…せっかく、初春とまた二人だけで楽しく過ごせると思ったのに……」

床に置かれたナイフと石を恨めしそうな顔で見、佐天は一つ、大きな溜息を吐き出した。

466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:31:23.38 ID:rTA44ueZ0
翌日・柵川中学校―。

佐天「(初春とは別の学校だけど、前みたいに仲良くできるんだから、いつまでも我が儘言って学校休んでちゃ駄目だよね…)」
佐天「(これからはちゃんとした生活送らなきゃ…)」
佐天「(にしても初春、あの後大丈夫だったのかな…?何か心配だな…本当にストーカーにでも遭ってるのかな…)」
佐天「(まあ初春は今、学園都市第三位のレベル5だもんね…大きな悩み抱えても仕方ないか)」

ブブブブブブ

佐天「(あ、メール。初春からだ)」
佐天「 

   『佐天さん、昨日はごめんなさい(>人<) 怪我も大したことなかったので安心して下さい(^^)
    ところで今日、ジャッジメントの仕事が開きそうなので、一緒に買い物でも行きませんか?
    そのあといつもの場所でパフェでも食べましょう!ヽ( ̄(エ) ̄)ノ』

                                                       」
佐天「なーんか…はぐらかされた感じだけどまあ、この様子見る限り大したことなさそうだしいっか」
佐天「それより初春と二人だけでショッピングかあ♪久しぶりだな」
佐天「『もちOK』っと…送信」

佐天「えへへ、楽しみだなあワクワク」

470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:37:56.99 ID:s4NR0Dj20
放課後―。

初春「佐天さん、まだかなあ…」

待ち合わせ場所で佐天を待つ初春。
そんな彼女に近付く一つの影があった。

バサアッ

佐天「うーーーいーーーはーーーるーーー!!!」

初春「へ?」
初春「ひゃあぁぁぁぁまた佐天さんはもう!!!///」

佐天「うっはぁ…常盤台のミニスカでパンチラも結構そそりますなぁ」

初春「もももももう!!!佐天さんの馬鹿ぁ///」

佐天「あっはっは、可愛い可愛い」ナデナデ

初春「うー……」ビリッ

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:42:47.15 ID:s4NR0Dj20
佐天「あいた!こら、今放電したな?」

初春「さあ?何のことでしょう?」ピリッ

佐天「またやったこのー」グリグリグリ

初春「ぎゃん、痛いです佐天さぁん」

学生「おい見たか今の!」
学生「ひゃー常盤台の超電磁砲のパンチラとかすげー」
学生「いいもんみたぜ」
学生「パンツもレベル5だったな」

佐天「ありゃりゃ」

初春「佐天さんのせいですよ!!///」プンスカ

佐天「ごめんごめん。じゃ、気を取り直していきますか」

初春「はい!」パァァ

佐天「(こうして見ると前の初春と変わらないはずなんだけどな……でも、レベル5なんだよねこの世界では…)」

472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 20:45:03.03 ID:s4NR0Dj20
佐天「見てー初春ぅーこのパンツ、初春に似合ってそうじゃない?」

初春「わわわわ///なんてもの手にしてるんですか!そんなもの似合いませんよ><」

佐天「あはははは冗談冗談」

初春「逆にこれなんか佐天さんに似合ってそうです!」

佐天「そ、それは幼すぎだろどう見てもー」

初春「私を馬鹿にした罰です!」プンプン

佐天「ふふふふふ」

初春「えへへへへ」

486 名前:再開します[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:05:59.07 ID:cjKoo2kM0
とある喫茶店―。

佐天「よーし佐天さん今日はパフェ2つ食べちゃうぞー」

初春「2つも食べたら太りますよ」

佐天「ふっふっふ私の能力は体重維持(ウェイトキーパー)、何を食べても太らないレベル5なのだ!」

初春「ぬっふぇ!!そうだったんですかぁ?」

佐天「な訳ないじゃん!」
佐天「でもたくさん食べたほうが、小さいものも色々と大きくなるかもよ」チラッ

初春「へ?」
初春「あ、うー…い、今は歳相応に小さいだけです/// 佐天さんが大きすぎるんですよ/// 私も一年ぐらいしたらそのうち…」

佐天「あ、初春、今日花飾り違うんだね」

初春「って無視ですか!!」

佐天「こうやって話している間にも頭から生えた花は初春本体の養分を吸い取っていく…」

初春「生えてません!! そして本体は私です!!」

佐天「あははー」
佐天「(何だか久しぶりだな…こうやって笑って初春と話すのなんて…)」

初春「??」
初春「どうしたんですか佐天さん?真剣な顔して」

487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:12:33.40 ID:cjKoo2kM0
佐天「あ、ううん。ちょっとねー…」

初春「もし、悩みがあるなら聞きますけど…」

佐天「いや、悩みっって言うかなんて言うか」

初春「遠慮せずになんでも話してください。私たち、親友じゃないですか」

佐天「初春……ありがとう…」
佐天「…………(初春が心配してくれてる…私も本音で語らないと駄目だよね…)」
佐天「……ちょっと最近さ…私、ずっと自暴自棄というか利己的というか、そんなんになってたんだ…」

初春「はい」

佐天「変えられない現実から目を背いて、幼稚な誘惑に負けて、間違った方法で自分の中のストレスを解消してた…」
佐天「間違いに気付いても、自分は何も悪くない、悪くないって見て見ぬ素振りをしてずっと逃げてた。なのに、反省するどころかそれを何回も繰り返してさ」
佐天「失ったものもたくさんあるんだ。もう、取り戻したくても絶対に取り戻せないものが…」

初春「佐天さん…」

佐天「で、ずっとふてくされてた…。だけど、こうやって久しぶりに初春と二人だけで買い物とかしたりパフェを食べに来たりしたら気付いたんだ」
佐天「ああ、私は別に不必要な人間じゃないんだ。こうやって、初春みたいに私を必要としてくれる人間がいるんだ、って」

初春「…………」

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:18:42.49 ID:cjKoo2kM0
佐天「嬉しかった。とても嬉しかった…」
佐天「ねぇ初春…」

初春「何です佐天さん?」

佐天「私たち、親友だよね?」

初春「もちろんですよ!」

佐天「絶対?」

初春「絶対です!!」ムムッ

佐天「ずっとだよ?」

初春「ずっとです」

佐天「ずっとずっとずっと?」

初春「ずっとずっとずっとずっとです!」

佐天「信じていい?」

初春「当然です!!」

佐天「そっか…ありがとう…初春」

目頭を押さえる佐天。
初春は黙って佐天の次の言葉を待っている。

491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:25:06.22 ID:cjKoo2kM0
佐天「初春がずっと親友でいてくれるなら、私、自分に正直に生きれる気がするよ」
佐天「辛い現実にも向き合って、逃げたりしない。もう、絶対に間違った方法で自分の悩みを解消しようとしないから」
佐天「初春がいてくれる限りずっと…………誓うよ」

初春「佐天さん…」
初春「安心して下さい。私は佐天さんの親友としてずっと側にいますから」

佐天「初春…」

初春「だから、もう泣かないで。ね」

佐天「うん…ありがと初春…グス…」

初春「(佐天さん、ありがとうございます。私も貴女のお陰で救われる思いです)」
初春「(佐天さんは私を信じてくれた…。なら、 あ の こ と は話しておくべきなんじゃ…)」
初春「(…でも、佐天さんはレベル0で能力が全く使えない…。そんな佐天さんに余計なこと話して、下手に巻き込んだりしたら私は……)」

佐天「グス…どうしたの初春?」

494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:30:10.36 ID:cjKoo2kM0
初春「え、あ、ううん。何でもありません。これからも親友ですよ佐天さん!」

佐天「うん…」

初春「………(ごめんなさい佐天さん、貴女を巻き込みたくないので、今は言えません…)」

店員「お待ちしました」

佐天「あ、来たようだね。さ、食べよ食べよ」

初春「はい!」

それからも二人は、パフェを食べながらずっと話していた。
彼女たちにとってそれは時の流れを忘れるようなひと時だった。
お互いを褒め合ったり、からかったり、時にパフェの中身を
交換して食べてみたり。二人にとってそれは幸せ以外の何モノでもない時間だった。

497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:38:19.50 ID:OrPt4Eme0
佐天「あーたくさん食べたね!!」

初春「もう、何杯頼むんですか佐天さん。冗談抜きで太っちゃいますよ」

佐天「まぁまぁまぁ。でも吹っ切れた感じだからいいんだ」

初春「ならいいんですけど」

佐天「さて、これからどうしようかねー」

初春「どうしましょうかねー」

佐天「常盤台の門限は大丈夫そうだけど…そろそろ帰る?」

初春「うーん、それも何だか…」

学生「おい、あれ見ろよ」
学生「なんだかやばくないか?」
学生「ぐらぐらしてやがる」

佐天「何だろ?みんな何を騒いで…」

初春「さぁ…」
初春「!!!!」

次の瞬間、初春の目に飛び込んで来たのは信じられない光景だった。
風に飛ばされたかと思われる、ビルの看板が今まさに、背後から
佐天に衝突しようとしていたのだ。

500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:46:00.11 ID:OrPt4Eme0
佐天「初春?」

咄嗟にコインを取り出す初春。
即座に彼女は超電磁砲を看板に向けて解き放った。
その行動を目の前にして、佐天は微動だに出来なかった。

学生「あぶねー」
学生「あれ常盤台の超電磁砲だよな?」
学生「ちょっとでも遅れてたらあの女の子死んでたわよ」
学生「二次災害も無いし、さすがはレベル5だな」

周囲の喧騒から聞き取った声を耳にし、振り返る佐天。
そこには道の中央で半ば焼け焦げたビルの看板が
小さな電気を所々発し黒くなっていた。

佐天「…何…これ…」

初春「怪我はありませんでしたか佐天さん!!!」

佐天「大丈夫だけど…これ、初春が助けてくれたの?」
佐天「初春?」

504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:52:07.97 ID:OrPt4Eme0
初春「…………っ」
初春「佐天さん、私、今すぐ寮に帰ります」

佐天「え?」

初春「佐天さんも急いで家に帰って、なるべく夜間は外出を控えて下さい」

佐天「え、そんな、いきなり…」

初春「約束ですよ!!」

それだけ言い残し、その場を立ち去る初春。
一人残された佐天は、訳も分からずそこで茫然と立っていた。

初春「(あんなの…ビルから落下地点までは距離にして何十メートルも離れてた……)」
初春「(ただの風であれほど重さがあるものがあそこまで飛ぶわけない……)」
初春「(あれは明らかに佐天さんを狙ったものだった…!! やっぱり、佐天さんを巻き込めない……)」
初春「(ごめんなさい佐天さん!!)」

506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/27(土) 23:59:50.69 ID:OrPt4Eme0
夜・佐天宅―。

佐天「あんなに慌てて…何だったんだろうな初春…」
佐天「でも久しぶりに初春と二人だけのお出かけは楽しかったな♪」
佐天「……まあ、二人だけじゃ物足りない、って気がしないでもないけど………仕方ないしね……」
佐天「これからは初春と一緒に人生を楽しく謳歌するんだ。早く私も元気を取り戻さないと…」

ドゴオオオオオオオオン!!!!!!

その時だった。唐突に激しい大音量が爆ぜ、重なるように背後から突風が吹き込んできた。
室内に飛び込んだ巨大な物体を視認するより早く、部屋の電灯が切れ暗闇が佐天を包み込む。
意識が混濁する中、佐天はキッチンに衝突した物体を確認した。

佐天「…何これ……コンクリートの一部…?」

次いで、振り返ると、そこにあったはずの窓が無くなっていたのだ。

510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:04:42.53 ID:4C1DVYNZ0
冷たい風が室内に流れ込み、佐天を冷気に浸らせる。

佐天「………っ」ゾクッ

もし、立ち位置が違えば佐天は飛んできたコンクリートに押し潰され即死していただろう。
佐天の背中を一筋の冷や汗が流れ落ちた。

佐天「何でこんな…」

「あら…どうやら死ななかったようねぇ…運のいい子」

佐天「だ、誰!?」

「あいつへの脅迫として貴女の死体を見せたやろうと思ったけど計画変更。貴女、人質になってくれるぅ?」

明らかに殺意のある声。
その女の、人を逆撫でするような声に恐怖を覚えた佐天は、
例のボタンの存在を思い出した。今、ポケットに入ってるはず。
しかし、ポケットに手を入れるだけの時間を、その女が許すとも思えなかった。

513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:10:33.94 ID:4C1DVYNZ0
常盤台中学女子寮―。

ベッドの上に座り、考え事をする初春。

初春「佐天さん…怒ってるかな…」

rrrrrrrrrr.......

初春「電話…佐天さんからだ!!」
初春「もしもし、佐天さん、今日はごめ…」

「あら…どうやらこの番号で正解だったようねぇ」

初春「あ、貴女は誰ですか!?」

「貴女のお友達は預かったわ」

初春「!!??」

「助けたかったら今すぐにでも来たらぁ?」

初春「………佐天さんに手を出したら許しませんよ!!!」

「うっふっふ」

518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:17:53.07 ID:BB6K4rdo0
とある廃工場―。

「貴女もいい友達を持ったわね…佐天さんだっけぇ…」

突如、佐天の部屋に襲撃を掛け、人質にとった一人の女。
その女を前にして、佐天は身体を縄でぐるぐる巻きにされていた。
爪を鑢で研ぐその女は、佐天とそう歳も変わらないように見える。
制服も着ていることから、学園都市の学生であることは想像できた。
唯一つ、佐天と違う点は不思議な能力を持っていることだった。

佐天「貴女誰よ!!! 初春に何の用なの?」

「私はね…超能力者よぉ…」

佐天「え!?」

女超能力者「貴女気付いてた?私がたびたび密かに初春さんにちょっかいかけてたの…」

佐天「…まさか!」

女超能力者「そうよ…昨夜、貴女の家にナイフを投げ込んだのも、石で初春さんの頭を傷つけたのも…」
女超能力者「今日の昼、ビルの看板で貴女を殺そうとしたのも全部わたしぃ…」

佐天「…そんな…」

女超能力者「もっとも、本当はずっと前から初春さん一人にちょっかいかけてたんだけどねぇ」
女超能力者「恐らくあの子も、超能力者の仕業だって気付いてたでしょうねぇ」

佐天「でも、初春は何も言ってなかったのに…」

521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:24:24.45 ID:BB6K4rdo0
佐天「!!」
佐天「(…そんな…初春…)」

女超能力者「お喋りはこの辺りで終わりにしましょう。本日の招待客さんがようやく来たようだから」

佐天「!」

顔の向きを変える佐天。
そこには鬼の形相をした初春が一人、立っていた。

佐天「初春…」

初春「貴女ですね、ここ最近ずっと私の命を狙っていたのは…」

女超能力者「こわいこわい…可愛い顔が台無しよぅ」

初春「一体何が目的なんですか!?」

女超能力者「さぁて…何でしょう…」

初春「正直、目的なんてどうでもいいです。別に私を狙っていたことも特に問題ではありません」

女超能力者「じゃぁ何で貴女、そんなに怒ってるのぅ?」

初春「私の親友の佐天さんに手を出したからです!!!」

佐天「初春…」

522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:31:29.54 ID:tLcduvUx0
超能力者の女を前にし、啖呵を切る初春。
彼女の姿はまさに、学園都市第3位のレベル5の名に恥じないものだった。
それは、佐天が知る以前の初春とは明らかに違っていた。

初春「佐天さんを、返して下さい」

女超能力者「私を倒せたら、ねぇ…もっとも、レベル5と同等の力を持つ私、物体操作(オブジェクトコントローラー)を倒せるのは容易ではないと思うけど?」

女超能力者「いいでしょう。その勝負…ジャッジメントにして常盤台の超電磁砲(レールガン)、この初春飾利が承ります!!!」

ヒュウウウウウ……ドガアアアッ

ズオオオオオオオン

唐突に、何の合図も無く戦火の火蓋は切って落とされた。
佐天がそれを理解するよりも早く、初春と女超能力者は既に戦闘状態の真っ只中にあった。

女超能力者「くらいなさい!!」

物体を自由に操り、攻撃を行う女超能力者。
ただの空き缶や空き瓶から始まって、石、自転車、車のタイヤが次々と初春を襲う。
が、怯むことなく初春は次々とそれらを電撃で撃ち落としていく。

佐天「初春…すごい…まるで御坂さんみたい…」
佐天「危ない初春!!!」

523 名前:失礼。>>522訂正[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:32:55.20 ID:tLcduvUx0
超能力者の女を前にし、啖呵を切る初春。
彼女の姿はまさに、学園都市第3位のレベル5の名に恥じないものだった。
それは、佐天が知る以前の初春とは明らかに違っていた。

初春「佐天さんを、返して下さい」

女超能力者「私を倒せたら、ねぇ…もっとも、レベル5と同等の力を持つ私、物体操作(オブジェクトコントローラー)を倒せるのは容易ではないと思うけど?」

初春「いいでしょう。その勝負…ジャッジメントにして常盤台の超電磁砲(レールガン)、この初春飾利が承ります!!!」

ヒュウウウウウ……ドガアアアッ

ズオオオオオオオン

唐突に、何の合図も無く戦火の火蓋は切って落とされた。
佐天がそれを理解するよりも早く、初春と女超能力者は既に戦闘状態の真っ只中にあった。

女超能力者「くらいなさい!!」

物体を自由に操り、攻撃を行う女超能力者。
ただの空き缶や空き瓶から始まって、石、自転車、車のタイヤが次々と初春を襲う。
が、怯むことなく初春は次々とそれらを電撃で撃ち落としていく。

佐天「初春…すごい…まるで御坂さんみたい…」
佐天「危ない初春!!!」

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:41:06.81 ID:fbgXesLg0
前方からの攻撃に集中していたのか、初春は背後から飛来する
鉄骨に気付かなかった。
しかし、初春は刹那の速さで振り返り、上体を後ろにそらしたまま
いつの間にか手にしていた蹉跌の剣で鉄骨を真っ二つに叩き切った。

女超能力者「油断大敵ねぇ!!」

正面に身体を向けた初春の目に写ったのは、飛来する自動車のバンパーだった。

初春「くっ」

咄嗟にコインを取り出し、初春は超電磁砲を自動車に向けて撃ち放った。

ズオオオオオオオオオオオン!!!

爆発を起こす自動車。爆風に巻き込まれ、初春は何十メートルも飛ばされてしまう。

初春「きゃぁぁぁあああああ!!!」

佐天「初春ーーーーーーー!!!!!」

女は空中に浮かした幾つかの廃棄物を階段を昇るように駆け上がり、
初春の直上に来ると、先が尖ったパイプを振り下ろそうとした。

女超能力者「終わりよ!!」

しかし、女の動きを予想していた初春は新たに取り出したコインを
電気に乗せて上空の女に向け解き放った。

女超能力者「なっ…!!」

527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:43:13.22 ID:fbgXesLg0
ごめんね。修正ばっかりで。なんか疲れてるかも。
>>525
>しかし、初春は刹那の速さで振り返り、上体を後ろにそらしたまま



>しかし、初春は刹那の速さで振り返り、いつの間にか手にしていた蹉跌の剣で

です。消し忘れてました。

530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:48:21.44 ID:fbgXesLg0
再び超電磁砲が空を駆け抜ける。回避するのが精一杯だった女超能力者は、そのまま地上へ向けて5メートル落下した。

女超能力者「くっ…うっ……」

先程の自動車の爆発で飛び散った破片を身体中に浴びているのか、
初春の制服は所々破け、頬からは一筋の血が流れていた。
一方、女超能力者もまた落下の衝撃で何本か骨を折っているようだった。

初春「ハァハァハァ…(コインはあと一つ……もし次の大きな攻撃で使い切ってしまったら、もう切り札は残ってない……)

佐天「(どうしよう…初春が…初春があんなに血だらけになって……)」
佐天「(何で……あんなおとなしくて優しい初春がこんな目に……)」
佐天「(私のせいだ…私があのボタンを使って御坂さんを消したから、代わりに初春がこんな目に……)」
佐天「(やだよぉ……ごめん神様……もう、絶対に人は消さないから…初春を助けて…)」

初春「ここで引いて…くれませんか?」

女超能力者「なん…ですって…?…はぁはぁはぁ」

初春「これ以上やっても、お互い傷つくだけです。だから、ここでやめましょう…」

女超能力者「ふざっけんじゃないわよ!!! こんなところで終わってるなら、誰もこんなことしないわ!!!」
女超能力者「あんたには分かる?『レベルアウト』の気持ちが?」

初春「レベル…アウト?」

女超能力者「レベル5の力を持っていながら、その序列に加えられず、ゼロ落ちした超能力者の呼称よ!!」

初春「………?」

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 00:54:25.27 ID:fbgXesLg0
女超能力者「本来なら、レベル5として学園都市にその名を馳せるはずだった人間のことよ…」
女超能力者「将来性が見込めない、という下らない理由だけでレベル0まで格下げされた超能力者たち…その一人が私なのよ!!」
女超能力者「ある者は、『オチ零れ』と蔑まれ、ある者は犯罪に染め、ある者は学園都市上層部に粛清され、ある者は人体実験させられて、ある者は学園都市を去っていった」
女超能力者「それが私たちなのよ!!!」

初春「そんな……酷い」

女超能力者「同情なんかいらないわ!!あんたには分かる?夢の学園都市に来て、憧れのレベル5になるためにレベル0の無能力から必死に努力して、ようやくレベル5になれたかと思ったら、その途端レベル0に落とされた人間の気持ちが!!!」

佐天「!!!」
佐天「(あの人……まるで私みたい……)」

女超能力者「だから、見返してやるのよ!!!現役のレベル5を倒して私の実力を学園都市に見せしめるのよ!!!!」

初春「そんな…理由が…」

女超能力者「そのためには何だってやるわ。卑劣な手段を使ってでもね」

初春「!!」
佐天「!!」

佐天の方に顔を向ける女超能力者。
地面に落ちていたパイプが浮かび上がり、その先端が佐天の方に向いた。

535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:01:54.63 ID:HCZJhCze0
初春「佐天さん!!!逃げて下さい!!!」

佐天「え?」

高速で飛来するパイプ。空を飛ぶ槍のように、それは佐天に向かっていった。

初春「佐天さん!!!」

が、反射的に身体が動いたのが幸いだったのか、パイプは佐天の身体を貫くことなく、後ろの壁に突き刺さった。
しかし、寸でのところでかすったため、佐天の左腕からは血が吹き出した。

女超能力者「あらぁ残念……避けられたみたいね。もっとも私の力が弱っているせいもあるだろうけど」

暗がりの中、地面に上体を倒した佐天を見、初春は自分の中で何かがぶち切れる感覚を覚えた。
彼女には、佐天が死んだかのように思えたのだった。

初春「………佐天さん…?」
初春「……佐天さん………」

女超能力者「ん?」

初春「よくも…佐天さんを……」

佐天「…くっ……初春?」

初春「よくも佐天さんをおおおおおおおおお!!!!!!」

目を開けた佐天が見たもの。それは、我を忘れた初春の姿だった。

女超能力者「!!!!」

537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:07:28.42 ID:HCZJhCze0
最後のコインを取り出す初春。彼女はそれを女超能力者に向けた。

初春「死んじゃえええぇぇぇぇぇええぇええええ!!!!!」

佐天「だめぇぇ初春ぅううううううう!!!!!!」

女超能力者「…………っ」

ズオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!

数秒後―。永遠にも思われるような時が過ぎ、女超能力者は目を開けた。

女超能力者「し、死んでない……?」

女超能力者の数メートル先には、初春の身体に圧し掛かるように佐天の姿があった。

女超能力者「私、生きてるのね……」

それだけ残し、女の意識は切れた。

初春「佐天さん……どうしてこんな……」

佐天「駄目だよ……初春まで…私と同じようになっちゃ……」
佐天「初春は、本当は優しい女の子なんだからさ……」

そこで事が切れた。
佐天は初春の胸の中で、しばしの休眠に就いた。
薄れ行く意識の中、彼女は親友が自分の名前を呼ぶ声を聞いた気がした。

538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:12:01.56 ID:HCZJhCze0
蛙顔の医者がいる病院―。

佐天「はっ!!」

飛び上がるように目を覚ました佐天。
しばらく思考を停止した後、状況を確かめるように周囲を確認する。
どうやらどこかの病室であることは理解できた。

佐天「ここは…病院?また前とは違うところか…」
佐天「にしても、最近私気絶してばっかりだな…。私、助かったのかな…?」

初春「さて…ん…さ…ん?」

横から掛けられた声に反応し、振り向く佐天。
そこには、隣のベッドからこちらを見ている初春の姿があった。
佐天は投げるように布団をめくり、ベッドから降りた。

佐天「初春!!!無事だったんだね!!!」

初春「うん……私も……佐天さんが無事で…良かった…」

佐天「?? …どうしたの初春?何か様子が変だよ」

見ると、初春の目は空ろになっており、口調もたどたどしい。

蛙医者「出来るだけ今の彼女には安静にさせてあげてくれないかな?」

いつの間にか、蛙顔の医者が病室に入ってきていた。

佐天「先生!初春はどうしたんですか!!??」

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:19:00.16 ID:HCZJhCze0
蛙医者「なーに、ちょっと色々あったから一時的にショック状態にあるだけだ」
蛙医者「こちらの質問にもちゃんと答えてくれたし、脳に障害が出来たわけでもない。安心しなさい」

佐天「なら、初春は大丈夫なんですね」

蛙医者「ああ、もちろん」

佐天「でも…私、ずっと眠ってたみたいで…一体あの後どうなったのか、さっぱり…」

蛙医者「その子が必死になって説明してくれたよ。何が起こったのかね」
蛙医者「私は非番だったけどその子には色々互いに世話になってるからね?急いで救急車を向かわせたんだ」
蛙医者「彼女、救急車の中でずっと君の手を握り名前を呼んでいたようだよ?」

佐天「そうだったんだ…」

蛙医者「いいお友達を持ったね」

話を聞き終えると、佐天は初春の方に向き直った。

佐天「ありがとね、初春」

初春「……どういたしまして…」

空ろな目だったが、初春は笑顔で佐天に返事をした。

佐天「先生…そういえばその…」

蛙医者「何だね?」

佐天「もう一人…一緒に運ばれて来た人がいませんでしたか?」

542 名前:>>540もうあと少しで中断する予定です[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:24:01.13 ID:HCZJhCze0
蛙医者「ああ、いるよ。彼女も命に別状は無い。身体中のあちこちが骨折してたけどね」

佐天「もし出来るなら…会わせてもらえますか?」

蛙医者「本来は面会謝絶だけど…特別に許してあげるよ」

佐天「ありがとうございます!」
佐天「(あの人…とても怖い超能力者だったけど、一度話しておきたい…)」

蛙医者「じゃあこっちに来なさい」

佐天「はい」
佐天「ごめんね初春、ちょっとあの女の人に会ってくるや」

初春「…………(女の…人…)」

佐天「待っててね」

ガラガラガラ ピシャッ

初春「佐天……さん…あの人は…佐天さんに…佐天さんを…傷つけたのに…」
初春「…会いに……行っちゃ…やです…」

初春は部屋を見回す。ふと、ある物が目に入った。
佐天のベッドの横、窓際の棚の上に小さな物体が置かれてある。

初春「(あれ…確か、以前も佐天さんが持ってた…ボタン……)」
初春「(何だろう……前も思ったけど……どこかで見覚えがある…)」

543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:30:03.31 ID:HCZJhCze0
蛙医者「いいかね?ほんの少しだけだよ」

佐天「はい」

女超能力者「あら…あんたは…初春さんの…」

佐天「御身体の方は大丈夫ですか?」

女超能力者「別に…あんたに心配される筋合いないからぁ」

佐天「これからどうなさるんですか?」

女超能力者「何だか知らないけど、あの冥土返しが世話してくれるみたい。私みたいなレベル落ちの学生を面倒見てくれる組織とツテがあるとか…」
女超能力者「あの医者自身、学園都市上層部に多少、睨みが聞ける立場のようだしぃ」

佐天「それは良かったですね」

女超能力者「ふん別にどうでもいいし。っていうかあんた、何でここに来たのぉ?早く帰りなさいよぅ」

佐天「ちょっと言いたいことがあって…」

女超能力者「言いたいこと?」

545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 01:37:06.49 ID:HCZJhCze0
ベッドから、のそのそと身体を出した初春は佐天のベッドに近付き、
棚の上にあったボタンに手を伸ばした。

初春「(これ……以前、固法先輩に連れられてジャッジメント本部に行ったときに見せてもらった『学園都市計画中止道具目録』に載ってた道具じゃ……)」
初春「(確か……名前を呼んだ人の存在を消せるとか……)」

初春「……………」

初春「(本当にあったんだ……これ……)」
初春「(ふーん……)」





初春「一度ぐらい、使ってみてもいいよね」

584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 10:30:13.31 ID:MEsQNoB30
佐天「私さ…レベル0の無能力者なんだ」

女超能力者「言われなくても分かるわよそれぐらい」

佐天「うっ…で、さあ。貴女、言ってたじゃん。無能力から必死に努力してレベル5になったって」

女超能力者「正確にはレベル5じゃないわよ」

佐天「そ、そうですけど…」
佐天「何て言うか、私は、貴女が味わった全ての辛さや悩みは余りにも大きすぎて理解できないと思う。だけど、貴女が過去に味わった無能力者としての辛さだけは分かる気がするんだ」

女超能力者「…………」

佐天「私もこの学園都市を夢見て来て、レベル5を憧れてたけど、判明した私の能力値はレベル0。まったくの無能力者だったってわけ…」
佐天「悔しかった……とっても……。友達はみんな、高レベルなのに私だけ無能力。コンプレックス抱き続けてさ…レベルアッパーで友達巻き込んで……挙げ句、大切な友達を2人もなくしちゃった……」

女超能力者「…………」

佐天「馬鹿だよね…自分でやったことなのに……でも、もうあの2人は会えないし…仕方が無いよ…私が背負っていかなきゃならないことだから…」
佐天「これから先、もっと辛い人生になると思うけど、私、初春がずっと親友でいてくれたら必死に生きていけると思うんだ」
佐天「だから私頑張ろうと思う……もう、同じ過ちを繰り返さないように。だから、偉そうに言える立場じゃないけどさ…貴女も頑張ってほしいなー、って思ってたり」

女超能力者「馬鹿じゃないのぅ?」

佐天「なっ!!」

585 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 10:36:32.20 ID:MEsQNoB30
女超能力者「あんた、私を同列にみなしてるようだけど、一応は私、レベル5相当の力があるのよぅ」

佐天「そ、それはそうだけど…」

女超能力者「下賎な貴女と一緒にしないでくれる?」

佐天「…ご、ごめんなさい」

女超能力者「………でも」

佐天「?」

女超能力者「貴女の言う通りかもね。少しは元気出たわ」
女超能力者「一応ありがとぅ」

佐天「!!!」
佐天「いえ、こちらこそすいません」パァァ

女超能力者「用が終わったらさっさと行きなさい。もう、私に会いに来るんじゃないわよぅ」

佐天「はい!!分かりました!!」

女超能力者「しっしっ」

佐天「それではまた、お元気で」

女超能力者「ふん」

お辞儀をする佐天。病室の部屋を扉を閉め、佐天は戻っていった。

586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 10:42:48.04 ID:MEsQNoB30
佐天「ちょっと話すとき怖かったけど、後味悪い別れにならなくて良かった…」
佐天「最後に打ち解けた気がするし……あの人には幸せになってほしいな」

ガラガラガラ

佐天「初春ー!!戻ったよー!!」
佐天「………え?」

初春「あ、佐天さん、お帰りなさい…」

佐天「…何…やってるの、初春……」

病室の中央に立ち、いびつな笑みを見せる初春。
彼女の手には、ボタンが握られていた。

佐天「それ……」

初春「これですか?」
初春「佐天さん知ってます?このボタン、人を消す力があるんですよ」ニコッ

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 10:49:20.26 ID:MEsQNoB30
信じられない光景を目にし、信じられない言葉を耳にした佐天。
彼女の頭の中は今にも真っ白になりそうで、親友の行動を前にして
微動だに出来なかった。

佐天「初春……どうして知ってるのそんなこと…?」

初春「あ、佐天さんも既に使用してましたか」
初春「もしかして佐天さんが言ってた『御坂美琴』って女の子、佐天さんが消した人ですか?」

佐天「!!!」

初春「なんだぁー、佐天さん、知ってたんだー」

佐天「やめてよ初春……何するつもりなの?」

初春「何って?決まってるじゃないですか…」





初春「あ  の  女  の  存  在  を  抹  消  す  る  ん  で  す  よ  ♪」

588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:00:17.10 ID:MEsQNoB30
佐天「なっ…」

初春「佐天さんは私の親友なのに、あの女はその佐天さんを傷つけました」
初春「私だけならいざ知らず、まったくの無関係の佐天さんを…」

佐天「で、でもあれは…」

初春「私、許せないんですよ。常盤台の超電磁砲(レールガン)として。あの女が…仮にも私と同レベル相当の超能力者が、佐天さんを巻き込んだことを」
初春「私も確かに彼女のこと、可哀想だと思いますよ。でもあれだけの強大な力を持ちながら、レベル0の佐天さんを痛い目に合わすなんて、ほっとけませんよ」

佐天「初春……」

初春「何より佐天さんを巻き込んでしまった自分が許せません。だからその責任として、あの人を消しますね」

淡々と述べられる言葉に、佐天はただ息を呑むしかない。
そんな彼女を無視し、初春がボタンにつけられた蓋を開けようとする。

佐天「待ってよ!!」

589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:04:28.89 ID:MEsQNoB30
初春「…何ですか佐天さんもう…」

佐天「初春、今、戦闘のショックでちょっと混乱してるだけなんだよ…」
佐天「それに今、あの人と会ってきたけど、あの人根は悪くない人だよ。寧ろ純粋っていうか、彼女なりの信念があるって言うか…」

初春「…佐天さん」

佐天「な、何?」

初春「あの女を擁護するんですか?」

佐天「えっ…」

初春「だったら…」



初春「  佐  天  さ  ん  も  消  し  ち  ゃ  い  ま  す  よ  」



佐天「!!」ゾクッ

594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:13:23.00 ID:MEsQNoB30
初めて、消される側としての恐怖を覚えた佐天。
無論、初春には佐天を消す気は無かっただろうが、佐天には今の初春が別人のように見えた。

初春「邪魔しないで下さい」

そう言って、初春はボタンの蓋を開けた。

佐天「やめてぇ!!」

佐天が初春の腕を強く握った。

初春「離して下さい佐天さん!!! これが私なりの責任のつけ方なんですよ!!!」

揉み合う二人。

佐天「それだけは駄目だよ!!絶対駄目!!」

初春「どうして佐天さんはあの人を許せるんですか!!傷つけられたんですよ!!!」

佐天「だけど…駄目だよ…!!!」
佐天「初春は、私みたいになったら駄目だよ!!優しい子なんだから!!!」

初春「そんなの関係ありません!!!!」
初春「佐天さんだってこのボタン使ったくせに、何言ってるんですか!!」

佐天「!!」

597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:18:00.20 ID:MEsQNoB30
確かにそうだった。初春の言葉が佐天の胸を貫く。

佐天「…でも!!でも…!!私は初春には私と同じ目に合ってほしくない!!!」

初春「いい加減…離してください…!!!」

佐天「お願いだからやめて!!!」

いつの間にか佐天の目からは涙が零れていた。
しかし、彼女はそれに気付くことなく、腕を振り払おうとする初春にしがみつく。

そして……。


初春「あの女を消せえええええええええええ!!!!!!!!」

佐天「!!」



佐天「駄目えええぇぇぇえええ!!!!!初春うううううううううう!!!!!!」



最後の力を振り絞り、佐天が初春の腕を再び掴んだ時だった。
その衝撃で、初春はボタンを押してしまった。


初春「……え?…」

600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:25:03.74 ID:MEsQNoB30
ピシュン!!!!





…コトン…カランカラン…


空中に投げ出されたボタンは重力に従い、床に落下した。

佐天「きゃっ!!」

ドサアアッ

支えを失ったことで佐天はバランスを崩し、ベッドに倒れ込んでしまう。

佐天「……くっ…」
佐天「初春!!」

振り返る佐天。
しかし、そこには誰もいなかった。

佐天「うい…はる…?」

602 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:30:10.23 ID:MEsQNoB30
佐天「どこ…?」


  ―「駄目えええぇぇぇえええ!!!!!初春うううううううううう!!!!!!」―


佐天「まさか…そんな…」
佐天「嘘だよね初春!!」

立ち上がり、叫ぶ佐天。
しかし、彼女の声が空しく響くだけで誰も返事はしない。
と、彼女の足元に何かがぶつかった。

佐天「これ…」

ボタンの横に、一つの花飾りが落ちてあった。
それを佐天は拾い上げる。

佐天「……初春…やだよ…出てきてよ…」
佐天「私…初春まで…消しちゃったの……?」
佐天「そんなの…嘘……これは夢だよ……」


佐天「初春うううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!」

605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:36:14.24 ID:MEsQNoB30
病室を飛び出していく佐天。

佐天「初春!!!どこ!!!返事して!!」
佐天「お願いだよ!!もう、初春に迷惑かけないからさ!!!」
佐天「出てきてよ!!!」

医師「君、病院内では静かにしなさい!!!」

叫びながら病院内を駆け巡る佐天。
彼女に注意を喚起する医者や看護士の声は、もはや意識の外だった。

佐天「私、初春まで失ったら……どうやって生きてけばいいの!!??」

ガシッ

誰かが佐天の腕を掴む。

佐天「初春!?」

背後を振り返る佐天。しかし。

蛙医者「落ち着きなさい、君」

佐天「初春じゃない…。先生!初春はどこ行ったんですか!!」

蛙医者「ういはる?」

佐天「急に病室から消えたんです!!!知ってるならどこにいるのか教えてください!!!」

蛙医者「誰だね、初春って?」

607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:42:32.08 ID:MEsQNoB30
佐天「!!??」

佐天「先生…何言って……私と同じ病室に収容されてた初春飾利ですよ!!!」

蛙医者「おかしいね?君がいた病室には君以外誰もいなかったはずだが?」

佐天「…そんな!!」

蛙医者「お友達か見舞い客かね?」

佐天「(やだ…そんな…そんなの…嘘…有り得ない…)」

ダッ

蛙医者「どこへ行くんだ!」

蛙医者の声を背後に浴びながら再び走り出した佐天。
突如消えた初春の居場所。それを探し求め、佐天はとある病室に辿り着いた。

ガラガラガラ

病室の扉を開ける佐天。挨拶もなしに彼女は患者のところへ近付いた。

女超能力者「あら貴女は」

佐天「初春飾利」

女超能力者「はぁ?」

609 名前:>606こまけぇこた(ry 押した人に関わらず最後に叫ばれた名前によってと解釈して下さい[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:48:41.58 ID:MEsQNoB30
佐天「初春飾利です!知ってますよね?」
佐天「どこに行ったか知りませんか!?」

女超能力者「………また戻ってきたら何を言うかと思えば」
女超能力者「知らないわよぅ『初春飾利』なんて子…」

佐天「!!!!」

女超能力者「お友達?」

佐天「そんな……」
佐天「何で貴女が知らないんですか!!深夜、貴女と戦った常盤台中学のレベル5ですよ!!」

女超能力者「………?」

佐天「学園都市第3位の超電磁砲(レールガン)のことです!!! 何で昨夜戦った相手なのに覚えてないんですか!!??」

女超能力者「………何言ってるの?」

佐天「え?」

女超能力者「私は学園都市への見せしめとして、無差別に学生を狙っていたのよ。昨夜はたまたま貴女が目標だっただけでレベル5の超能力者とは戦ってないわよぅ」

佐天「な、え…そ…」

611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 11:55:15.60 ID:MEsQNoB30
女超能力者「あんたが私に説教してる間に気を取られて誤って能力で自爆して…その後、一緒にここに連れて来られたんでしょうがぁ」
女超能力者「そもそも初春飾利なんてレベル5の超能力者、常盤台…いえ、この学園都市にいたっけぇ?」
女超能力者「…まったく。何しに来たのかと思えば…もう人は襲わないって貴女と約束したんだからいい加減……どうしたの?」

佐天「やだ…そんなの…」

女超能力者「ちょっと聞いてる?」

抗いようの無い事実。
それを受け入れられる余裕は、今の佐天には皆無だった。

佐天「イやァああああああああああああ!!!!!」

女超能力者「ちょっと貴女!!!」

病室を飛び出していく佐天。
ただひたすら走り、走った。
自分が今どこにいるのか分からないまま、足の疲れなど
まったく意識の外にして、彼女は走り続けた。

佐天「(やだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!!!!!!!!)」
佐天「(初春は消えてない!!!!!今もどこかで隠れてるだけ…みんなで私を騙してるだけなんだ!!)」
佐天「(信じない!!私は信じないよ!!!すぐまた初春は出てくるもん!!!)」
佐天「(だよね初春…)」
佐天「初春うううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!」

615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:00:00.91 ID:MEsQNoB30
とある路地裏にて―。

佐天「グスン…初春…グス…出て…きてよ…初春ぅ…」

佐天が病院から逃げ出してから、何時間が経ったのか。
彼女にそれを知る術は無かった。恐らく半日はとうに過ぎていただろう。
走り疲れた今の状態ではまともに立ち上がることすら出来ず、佐天に
出来たのは泣くことぐらいであった。

 ―「ジャッジメントですの!」―

佐天「白井さん…グス」

 ―「何か困ったことあったら私に相談しなさいよ!」―

佐天「御坂さん…ひぐ」

 ―「当たり前ですよ。今更何を言ってるんですか。私たちはいつまでも親友です」―

 ―「だって佐天さんは私の親友なんですもん。当然じゃないですか」―

 ―「安心して下さい。私は佐天さんの親友としてずっと側にいますから」―

佐天「うい……はるぅ……」

佐天「うわぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

その日、佐天涙子は一晩中泣き通した。

617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:06:21.35 ID:MEsQNoB30
佐天宅―。

佐天「…………ただいま」
佐天「……朝の6時半か………私、何時間泣いてたんだろ……」
佐天「…部屋滅茶苦茶だな……そっか…初春が初めから存在してなくても……私があの超能力者に襲われた事実は…変わってないんだ……」

茫然としたままベッドに腰を降ろす佐天。

佐天「もう、初春と一緒に…ベッドで眠ることもできない…」
佐天「……なんかもう…どうでもいいや……初春もいなくなったし……もう、何もかも…どうでも…いい」
佐天「……でも、何だか……すっきりしないや……何でだろ…」

  ―「初春がずっと親友でいてくれるなら、私、自分に正直に生きれる気がするよ」―

佐天「………」

  ―「辛い現実にも向き合って、逃げたりしない。もう、絶対に間違った方法で自分の悩みを解消しようとしないから」―

佐天「………」

  ―「初春がいてくれる限りずっと…………誓うよ」―

佐天「………」

佐天「そっか……もう誓う相手いないんだ………だったら…守る必要……ないよね」

のそっと立ち上がったかと思うと、佐天はそのまま散らかった部屋を進み、机の引き出しを開けた。

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:12:48.02 ID:MEsQNoB30
彼女がそこから取り出したのは、一枚の紙切れだった。


『誰を消すかは貴方次第。例えば、身近に嫌な人間がいれば消すのも良し、嫌いな政治家がいれば消すのも良し。
もちろん、貴方の一言で総理大臣も大統領も消すことが可能です。その他、死刑にならなかった殺人犯がいて個人
的に納得できないのなら消すのもまた一つの道です。世界の人口が過剰に溢れていると思ったら、人工の半分を
消すことも出来ます。好きな人と二人だけで過ごしたいならご自身と好きな人以外の全ての人間をこの地球上から
消すことも可能。もちろん、使い方によってはこの世界を貴方の独り占めにすることだって夢じゃない。さあ、手始め
に身近な人間を消して試してみましょう!この世は全て貴方次第!さあ、貴方の理想の世界を創り上げましょう!
貴方は今日から神様です!!!』

619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:15:07.69 ID:MEsQNoB30
佐天「誰を消すかは……貴方次第…」

佐天「この世は全て……貴方次第…」

佐天「貴方の……理想の世界……」

佐天「貴方は今日から……神様…」

佐天「神様…」

佐天「神様……」

佐天「……神様………」




佐天「フフ…神様」

この日初めて、佐天涙子は笑みを浮かべた。

623 名前:>>622そうですよ[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:21:04.81 ID:MEsQNoB30
学園都市・とある大通り―。

周囲の学生たちが忙しなく動き回る中、彼女はそこにいた。

佐天「一応……喪服のつもりでセーラー服着てきたけど………別にどうでもよかったか……」
佐天「……これ…病院で捨てられてなくてよかった……昨日は、何も言わず飛び出してきちゃったからな……さて…始めよっかな…」

一歩、足を踏み出す。

「私の彼ったら、優しいでしょー」
「何言ってんの?私の彼こそ良い男よー」

佐天「うざい。恋人いるやつは消えちゃえ」

ピッ

「その彼ったr…    ピシュン!!!

さらに一歩、足を踏み出す。

「ジャッジメントの人間だけど、この間起こった事件について知ってることないかな?」
「えー…知らないっすよ」

佐天「ジャッジメントとか何様。ジャッジメントなんか消えろ」

ピッ

「いや僕たちも手掛かりになるこt…   ピシュン!!

佐天「いいざま」

624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:27:25.90 ID:MEsQNoB30
そうして、佐天は一歩一歩歩いていく。

「なー姉さんー僕かっこいいと思わへん?これから茶でもしようやー」

佐天「ナンパする人間は消えちまえ」

「ええやん、ちょっとぐらi…    ピシュン!!


「私……そろそろ……目立ちたい…」

佐天「空気キャラは消えろよ」

「空気キャラじゃな…   ピシュン!!

ボタンを使い、次々と目障りな人間の存在を消していく佐天涙子。もう誰にも彼女を止めることはできなかった。

「駄目じゃんそんなんじゃ……学生になめられるじゃん。分かってるじゃん?」

佐天「じゃんじゃんうっせーんだよ。消えちゃえ」

「そうじゃん。だから…   ピシュン!!


「ったく…あンのガキィ、どこ行きやがったァ? 見た目が幼女だから油断しちまったなァ…クソッ」

佐天「ロリコン死ね」

「見つけたらお尻百叩きd…  ピシュン!!

629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:34:35.97 ID:lLPkvq060
佐天「消えろ…」

佐天「消えろ……」

佐天「消えちまえ!!!」

歩き、歩き続ける佐天涙子。もう何時間経ったのかすら分からない。
彼女が地面を踏みしだくたび、前に進むたび、人間が次々と消えていく。

「明日はどっか行こu…  ピシュン!!

「はー昨日のテストの点数やばかt…  ピシュン!!

「マジ有り得…  ピシュン!!

「当麻ー!迷子になっちゃったんだy…  ピシュン!!

「昨日あのテレビ見t…  ピシュン!!


彼女がようやく歩みを止めたとき、太陽は既に沈みかかっていた。

佐天「……いっぱい…消しちゃったな……」
佐天「でも最後にやることが残ってる……」
佐天「……私をこんな目に遭わせた……全ての元凶……」
佐天「能力者ども」
佐天「どうか……私の憂さを晴らすために……消えちゃってね…」

そして、息を吸い、佐天は大声で叫んだ。

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 12:42:36.01 ID:lLPkvq060
佐天「能力者なんか全員消えちまえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」

皮肉にも全ての能力者は、レベル0の無能力者であった一人の少女によってその存在を抹消された。




こうして、学園都市は終わりを迎えた―。

                                                 第3部・終わり

670 名前:多分1000までには終わる筈。再開。[] 投稿日:2010/02/28(日) 15:35:13.77 ID:o1hYDKIG0
1週間後―。

とある公園―。

「ふふふん♪ふふふん♪ふんふんふーん♪」

一人の少年の鼻歌が風に混じって聞こえてくる。

「あ、今日はそういやお買い得セールの日だったっけ…」
「あとで急いで行かないと…」

少年が歩く公園の一角…日陰の目立たないところにあるベンチ。
彼女はそこでダンボールにくるまって横になっていた。

「………何の…鼻歌だろう…」

「アッーーーー!!! 今日補習だったんだ!!!」

「あの声…どこかで聞き覚えがある……」

「チックショー…忘れてた。どうする?今から戻るか?それともサボってセールを優先するか」

「あっ…もしかして…あの姿は…」

ごそごそと上体を起こし、彼女はしっかりと確認した。

「間違いない…あの人だ…」
「上条さぁぁぁああああん!!!」

671 名前:第4部(※書き忘れですが、>>670から第3部始まってます)[] 投稿日:2010/02/28(日) 15:40:54.53 ID:o1hYDKIG0
「ん?」
「どこから俺の名を呼ぶ声が…」

「ここです!上条さん!私です!!」

「誰だあれ?ホームレスに知り合いいたっけ…」

「私ですよ!佐天涙子です!!」

「佐天…さん!?」

駆け寄る上条当麻。
佐天涙子は久しぶりに見る知り合いの顔に笑顔を零した。

上条「佐天さん……こんなところで何やってんだ?」

佐天「ちょっと色々あって…」ヨロッ

上条「わっ、大丈夫か」ガシッ

佐天「ごめんなさい…」

上条「………酷いな」
上条「俺の家はすぐそこだが……寄ってくか?」

佐天「……ありがとうございます…私もずっと話したかったので…」

上条「…………」

673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 15:46:10.63 ID:o1hYDKIG0
上条宅―。

上条「すまんちらかってて…」

佐天「いえ…お構いなく…」

上条「茶だ。それとお菓子もある」

佐天「わざわざすいません。ここ数日あまり食べてなかったので」

上条「(随分変わったもんだな)」
上条「痩せた?」

佐天「ふふ…みたいですね…」

机を間にして座る佐天を見つめる上条。
セーラー服はところどころ汚れて破れており、明らかに顔はやつれていた。
目の下の隈も酷く、以前見た黒髪ロングの明るくて可愛らしい姿をした佐天涙子の面影は無かった。

佐天「にしてもあの公園で待っててよかったです。あそこにいればいつか上条さんに会えると思ってましたから」

上条「なんだってあんなところで生活してたんだ?」

佐天「行くところが無かったので…」

上条「どういうこと?」

佐天「…………」
佐天「上条さんは……それまで実在した人が急に消失してしまったらどうします?しかも、自分以外その人の記憶が無かったら…」

677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 15:51:05.74 ID:o1hYDKIG0
上条「………さあ。俺も記憶が無くなることの辛さは知らないわけでもないけど…発狂するかもな」

佐天「そうですか」
佐天「実は私、柵川中の関係者、学生も教師もみんな消してしまったんですよ…」
佐天「上条さんから貰った、あの人を消すボタンで…。だから学校にも行けなくて公園にいたんです」

上条「ああ…あれか。結局、使ったのか…」

佐天「驚くには早いですよ。それだけじゃなく、私、友達みんな消しちゃいました」

上条「…………」

佐天「白井さんも、御坂さんも、そして初春も……。全部、消しちゃった……」

上条「ふーん」
上条「あ、そういやあ…2週間…までは行かないか。とにかくそれぐらい前に初春さんと会ったぞ」

佐天「初春と…?どこで?」

上条「さっきの公園だよ。帰宅途中さ、歩いてたらいきなり電撃が飛んで来るんだよ」
上条「で、またビリビリか…と思ったら実は常盤台の制服着た初春さん! あれには一瞬拍子抜けしたよ」

佐天「そうなんだ…会ってたんですね」

上条「ああ。もう、それがおかしくてさ! だってあの初春さんがだぜ?あの可愛い顔でビリビリみたいに啖呵切ってくるんだ!あの時、あまりのギャップに笑い堪えなくなってさーだっはっは」

佐天「………」

上条「あれ、もしかして佐天さんがビリビリを消したからかな?あのボタン、ある人の存在を消したら、身近にいる人が代わりに成り代わることあるからさ」

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 15:57:06.49 ID:o1hYDKIG0
佐天「…だと思います。御坂さんを消したのは、初春を消す前だったから」

上条「やっぱりそうかー。道理であんなおかしいことになったわけだ」
上条「だけど、消したのは君の友達だけじゃないだろ?ん?」

佐天「…はい」

上条「1週間前だったか…その日を境に一気に学園都市の人口が目で見て分かるぐらい消えやがった」
上条「学生、教師、研究者、ジャッジメント、アンチスキル、スキルアウト…どんな人間か問わずにな」
上条「街に出ても、以前のような活気はなく、学生の数もあまりにも少ない。俺は集団失踪か宇宙人によるアブ抱くションでも起こったかと思ったが…あれ、佐天さんがやったんだな」

佐天「はい。学園都市にいる能力者、全員消しちゃいましたから…」

上条「なるほどね」
上条「お陰でこの学園都市も随分、寂しくなったよ。ま、人口200万人以上越す大都市から、その恐らくは半数以上がいなくなったんだから当然だよなー」

佐天「………」

上条「まあこっちはそのお陰で目まぐるしく世界が変わっていく様子が実感できたわけだけどな」

佐天「………」
佐天「…上条さんは嫌じゃないんですか?」

上条「ん?何が?」

佐天「だって、たくさんの人がこの学園都市から消えたんですよ?貴方の友人や知人だって消えたんじゃないんですか?」
佐天「しかもその元凶である私が目の前にいるのに…怒らないんですか?」

679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:02:48.27 ID:o1hYDKIG0
上条「怒ったってしょうがないだろ。それに佐天さんを殴りたくないからね」

佐天「………」

上条「俺がわざわざ説教したって意味無いしさ。だって、君はこれからずっと一生辛い思いしなきゃならないからな」

佐天「……え?」

上条「そうだろ?例え俺と君以外の人間が何も事情を知らなくても、実際に消えた人は100万人以上いるんだ。いくら最初からいなかった、と仮定しても殺しているのと大差ないからね」

佐天「そんな…私は…殺すなんて…」

上条「君がどう思っているか知らないけど、君はどの道一生その重みに耐えて生きてくしかないんだよ。死ぬまでね」

佐天「………っ」ゾクッ
佐天「…そんな…やだ…」

上条「まあ今更仕方ないだろ。さ、この話は終わりだ。佐天さんは何とかして新居を探すことだな。それより女の子がその姿は駄目だな。今から風呂沸かすから、入っていきなよ」

以上で終わり、と言いたげに立ち上がる上条。風呂場に行こうとした上条の足を佐天が掴んだ。

上条「ん?何?」

佐天「……消した人間を、元に戻す方法は…無いんですか?」

上条「はぁ?」

佐天「…私…嫌だ…こんな思いして一生生きてくなんて……どうしていつも…私ばかり」

上条「佐天さんさぁ……あまりふざけないでくれるか?」

681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:08:01.23 ID:o1hYDKIG0
佐天「え?」

上条「消えた人間が戻ってくるわけないだろ?頭で考えたら分かることじゃねぇか」

佐天「…そんな…」

上条「そう簡単に、人を消すだの復活するだの…ただの人間にできるわけないだろ?レベル5の超能力者ですら無理だと思うぜ」
上条「こっちだってなぁ、こう見えて辛い思いしてるんだぞ?事情知ってる分、消えた人間の存在の記憶も残ってるんだ」
上条「分かるかよ?知ってる人間がいつの間にか消えてる感覚が」

佐天「…………」

上条「友達も、クラスメイトも、先生も消えて…それこそ佐天さんの友達だった初春さんや白井やビリビリだって同じことだ」
上条「まあ我が家の居候がいなくなって家計が楽になったのは助かったが、それでもその本人たちが戻ってくることはない」
上条「それだけの人間が消えて、普通でいられるわけないだろ?おまけに残った周りの人間はいつも通り飄々と生活してやがる」

佐天「でも…でも、あのボタンを私にくれたのは上条さんじゃないですか」

上条「はぁ…」
上条「だけど実際に使おうと決めたのは君自身だろ?俺としては、そういう道具がこの世に存在する、ってことを君に知ってもらうのが本当の目的だったんだよ」
上条「だってまさか佐天さんが本当に使うとは思わなかったからな。俺は佐天さんを信じてたんだけどな……残念だ」

684 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:14:24.13 ID:o1hYDKIG0
佐天「そんな!そんな!」

上条「女の子だしビリビリの友達だからそんなことはしないけど、赤の他人だったらぶん殴ってるところだよ」

佐天「…!!」

上条「分かったろ?君の友達はもう戻ってこない。学園都市は能力者がいないまま衰退していく。それが全てなんだよ。そしてそれらは全部、佐天さんがやったことだ」

佐天「………」

上条「今もボタン持ってるんだろ?言っとくけど返さないでいいからな」

佐天はうなだれるように掴んだままだった上条の足を離した。

佐天「…………っ」

上条「気に入らないなら、俺も消してみろよ。自己責任でな」
上条「じゃ、風呂沸かしてくるわ」

佐天「…………」

数分後、上条が風呂場から部屋に戻ると、既に佐天は部屋から去った後だった。

685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:20:10.47 ID:o1hYDKIG0
とある公園―。

逃げるように上条宅から立ち去った佐天。
彼女はまた、ベンチの上でダンボールにくるまっていた。

佐天「…………」
佐天「…上条さんなんか大嫌い…」
佐天「御坂さんがいなくなっても、平然としてるんだもん……おまけに嫌なこと言うし」
佐天「寒い……」

寒風が吹き荒ぶ公園の中で、さすがにダンボール一枚では厳しかった。

佐天「……楽しかったな…みんながいた時は……」
佐天「初春と御坂さんと白井さんと一緒に遊んでたのが昨日みたいだ……」

手に持ったボタンを見つめる佐天。

佐天「……全部、このボタンと上条さんのせいだ……そして元を正せば能力者たちのせい……」
佐天「お陰で不幸になっちゃった……」
佐天「…もう…私を……いじめ…ないでよ…」

彼女はそのまま眠りに就いた。

687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:27:31.30 ID:o1hYDKIG0
佐天「あれ……ここどこだろ?あ、あの後姿は…白井さん!! 戻ってきたんですね白井さん!!!」

白井「近付かないでくださいまし」

佐天「え?」

白井「貴女とはもう友達でも何でもないんですの。無能力者はさっさとどこかへお行き遊ばせ」

佐天「そんな…何で…ん?あ、あれは…御坂さん!!私です!佐天です!!!」

御坂「来るんじゃないわよ!!!」ビリビリッ

佐天「きゃっ……何で……」

御坂「よくも私を消してくれたわね!」

佐天「あ、あれは…だって…」

御坂「あんたを友達だと思ってた私が馬鹿だったわ!!このレベル0の無能力者!!!!」

佐天「!!!」

御坂「無能力者の分際で生意気なのよ!!!次、私や黒子に近付いたら超電磁砲(レールガン)本気でぶつけるからね!!」

佐天「……御坂さん…」

初春「佐天さん…」

佐天「初春!?」クルッ

689 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:32:29.94 ID:o1hYDKIG0
佐天「初春!!良かった!!戻って来たんだね!!」

初春「佐天さん、どうして私を消したんですか?」

佐天「え?」

初春「ここ暗くて怖いです。何も見えないし何も聞こえないし動くことも出来ません」

佐天「………っ」

初春「私たち、親友だったはずですよね?何でこんな酷い目に合わせるんですか?」
初春「私、佐天さんのこと親友だと思ってたのに……」
初春「裏切り者…」

佐天「!?」


初春「佐天さんの裏切り者!!!」


佐天「待って初春!!違うの!!」

鋼盾「何が違うんだい佐天さん?」

佐天「鋼盾くん?」

鋼盾「君が僕たちを消したのは事実なのに。言い逃れなんて出来ないよ」

佐天「だって…」

693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:40:29.00 ID:o1hYDKIG0
「そうだよ!今更言い訳なんて卑怯なんだよ!!」
「このアマ…よくもウサ晴らしに俺たちを消してくれたな!!!」
「みじめだわぁ…やっぱり無能力者はやることが違うわねぇ」
「勝手に消された人間の気持ちが分かる?」

佐天「いや…やだ…」

「お前も消えろ!!!」
「そうだ苦しめ!!」
「この無能力者のクズが!!!」

佐天「みんなやめて…止めてよおおおおおおおお!!!!!!」


「「「「「「「「「「無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!」」」」」」」」


佐天「やだ…」

上条「佐天さん…」

佐天「上条さん!?」クルッ
佐天「上条さん助けて!!グス…みんなして…ひぐっ…私をいじめるんです!!グス…お願い助けて!!!」

上条「…………」



上条「知らねーーーーーよバーカwwwwwwwwwwwwクソ女がwwwwwwwwwwwてめぇの幻想ぶち殺すぞwwwwwwwwwwwwwww」

698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:45:07.06 ID:o1hYDKIG0
佐天「……!!!」

佐天「やだ…そんな…」

「「「「「「「「「「無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!」」」」」」」」

佐天「やめて…」

「「「「「「「「「「無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!」」」」」」」」

佐天「やめてよ!!!やめないと怒るよ!!!」

「「「「「「「「「「無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!」」」」」」」」

佐天「やめてええええええええええ!!!!!!」

「「「「「「「「「「無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!無能力!」」」」」」」」



佐天「みんな消えちまええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」




ピッ

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:51:29.45 ID:o1hYDKIG0
佐天「はっ!!!」

目を覚ます佐天。

佐天「ハァハァハァ……」
佐天「……夢か……」
佐天「どうせなら最初から全部夢だったら良かったのに……」

ふと、辺りを見回す佐天だが、何か様子がおかしい。
まるでサイレント映画のように静か過ぎるのだ。

佐天「……何で…こんなに静かなの…?」
佐天「いつもならこの時間帯、誰か一人ぐらいは見かけるのに……」

ふと、手元を見る佐天。
そこにはボタンに手が掛けられたままの親指があった。

佐天「!!」
佐天「嘘……だ、誰も消してないよね!?」

慌てるようにボタンから手を離し、蓋をする。


  ―「みんな消えちまええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」―


佐天「………!!」ゾクッ
佐天「…あ、あれは夢だよ……夢の中で叫んだだけなのに……」
佐天「……………誰かいるよきっと。気のせい気のせい……」

707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 16:59:33.78 ID:bX0kgBUk0
そう言って、震える足をダンボールから出す佐天。ベンチから降り、歩き始めた。

佐天「……本当に…今日は公園に人がいない……寒いからみんな家にいるんだよね…」

しかし、公園内を歩き回っても、それらしき人間は一人も見かけられず、猫のこ一匹すら
見つからなかった。

佐天「きっと、公園の外には誰かいるよ!うん」

公園を出る佐天。しかし、そこにも人の影はなく、いつもは賑わってるはずの
大通りや通学路も誰もいなかった。

佐天「………何か……災害でも起きて…屋内に避難でもしてるのかな?」

歩き続ける佐天。
人はいない、車も通らない、ビルの電光掲示板には何も映らない、モノレールも動いていない。
まるで世界が止まったようだった。

佐天「有り得ないよ…学園都市がまるで機能してないなんて……」
佐天「まだ夢の中にいるのかな?」

時々鳴り響く風の轟音だけが、彼女により一層の孤独感を与える。
耐え切れなくなったのか、佐天は叫んでいた。

佐天「誰かァあああああああああああ!!!!!」

しかし、彼女の声に気付く者はいない。

710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:05:15.05 ID:bX0kgBUk0
佐天「返事してよおおおおおおおおおお!!!!!」

返事の声もない。

佐天「お願いだからさああああああああああ!!!!」

やはり、彼女の悲痛な叫びに応える者は誰もいなかった。

佐天「きっと別のところに行けばいるはずだよ…そうだよ…」

佐天は尚も歩き続けた。しかし…。

佐天「どうして…誰もいないの…」

どこへ行こうが、どれだけ歩こうが、誰にも会うことはなく、ただ、無人の街が広がっているだけだった。

佐天「…………」

疲れたのか、佐天はビルの壁にもたれかかり、地面に腰を降ろした。

佐天「みんな…いなくなっちゃった………」
佐天「やっぱり…私があの時、消しちゃったんだね………」
佐天「…………」

空を仰ぎ見る。そこには青空が広がっていた。

佐天「綺麗な空……」
佐天「何でだろ……あまりショックがでかくないや……」
佐天「そっか…初春が消えた時点で……もうどうでも良くなってたからな…」

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:11:01.82 ID:bX0kgBUk0
しばらくの間、佐天はずっと青空を眺めていた。そして…。

佐天「――――――っ」

佐天「よし!!!」

両手で自分の頬を叩く佐天。

佐天「決めた!いつまでもクヨクヨしてたら駄目だ!!」

立ち上がり、道路の中央まで駆けていく。

佐天「もうやっちゃったことは戻らない……それは仕方ないけど……空はまだ青し!そして雲はまだ白し!」
佐天「どうせなら今の状況を楽しんじゃえよ涙子!!」

両手を広げながら、佐天はクルクルと道路の真ん中で回る。

佐天「今この学園都市…いえ、世界には私一人しかいないんだぜ!」
佐天「それはつまり、この世界の全てが私のものだということではないでしょうか!?」
佐天「あの説明書に書いてあったとおり、私は神、いわゆるゴッドになったというわけです!!」
佐天「だったら、その世界を思い通りに楽しまないのは損というもの!」

両手を広げ、道路を駆け抜ける佐天。

佐天「もう、私を見下す能力者なんて誰もいないし、何をやったとしてもジャッジメントもいない!」
佐天「文字通り、この学園都市は私、佐天涙子ちゃんのものになったのだ!!!わっはっはっはっは!!!」

笑い声を後に残し、彼女は走っていった。

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:17:59.51 ID:bX0kgBUk0
スーパーマーケット―。

佐天「まずはここ!!この数日、あまり食べてなかったからね!!!」
佐天「っふっふっふっふ、商品は選り取りみどり。しかも何と、その全てが…タダ!!これは涙子ちゃん、利用しない手はないんでしょうか?」
佐天「そうですねー佐天さん。これを利用しないのは、人として終わってるでしょう!」
佐天「ということで、狩りの始まりだあああああ!!!!」

カートを押し、広いマーケット内を走る佐天。

ゴシャアアアアアン

佐天「きゃっ」
佐天「あうーいきなりこけちゃった…。鼻が痛い…」
佐天「はっ!これが出鼻をくじかれた、という奴か!!」
佐天「よし、落ち着いていこう。別に食べ物が逃げるわけじゃないんだからね」

次々と、食べ物や飲み物をカートに入れていく佐天。

佐天「あらまァ…奥様見てくださいまし。この卵、2割引ですってよ」
佐天「まあまあ。でも全てがタダのあたくしには関係ありますぇーんことよ…ププッ。なんちゃって」

彼女がスーパーを出たのは2時間後だった。

720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:27:21.96 ID:bX0kgBUk0
次いで、洋服店にやって来た佐天。

佐天「いつまでもセーラー服じゃ女の子として駄目だよね。ちゃんとした服を着なきゃ」
佐天「おーっと、そう言ってるそばから可愛い洋服はっけーん!」
佐天「あ、こっちも可愛い。いや待って…こっちもいいかもー」
佐天「どれにしようかな…まあいいや。試着室で見て決めようっと」

佐天「うはーカーテン開けたまま試着室で着替えるのも開放的でいいねー」
佐天「だって誰にも見られる心配ないもんね!」
佐天「さあ、この服はどうかな…」
佐天「じゃあこっちー」
佐天「いやいやこれもいいんでは?」
佐天「って決められないよー。選んでくれる人がいるわけじゃないからなー」
佐天「………あ、全部持って帰れば済むことじゃん!!」
佐天「もう、私ったら間抜けなんだから!テヘ」


ゲームセンター―。

チャリン

佐天「よーし行くぞー涙子ちゃんのメガトンパンチくらえー!!」
佐天「えいっ!!」

ドカーン

佐天「70点!さっすが私!!」
佐天「お、このモグラ叩きおもしろそー」

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:37:39.52 ID:bX0kgBUk0
チャリン

佐天「さぁ来い!!」

子供のようにゲームに夢中になる佐天。
この後、彼女はモグラ叩きを10回連続ですることになる。

佐天「終わったー」

佐天「うーん点数があまり芳しくない。でも現在で学園都市第一位の成績だからいいもんねー」

チャリン

佐天「UFOキャッチャーやるのなんて久しぶりだな…」
佐天「よーし…あの可愛いぬいぐるみをゲットするぞー」

次々とゲームをこなしていく佐天。

佐天「あ、失敗しちゃった…」
佐天「もう一回やろっかなー…でもお金がもったいないからなー」
佐天「いやいやいや、お金なんていくら使おうが関係ないじゃん!もっとやっちゃえー」

佐天「やったー!!ぬいぐるみゲットー!!!1000円ぐらい使っちゃったけど痛くも痒くもないもんね」

725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:43:37.92 ID:bX0kgBUk0
夜・常盤台中学寮―。

佐天「わふー」
佐天「ああ、常盤台の布団ってこんなに気持ちいいんだー」
佐天「まるで本当のお嬢様になった気分♪」

ベッドに仰向けになる佐天。

佐天「夢みたいだなー」
佐天「以前はこんなこと出来なかったもんねー」
佐天「だけど今は、こうやってたくさん食べたいもの食べれて、好きなお洋服着れて、しかも常盤台の部屋に住めるんだから幸せだよねー」
佐天「何より私を馬鹿にする能力者がいないなんてさいっこう!!」
佐天「これで初春たちもいたらいいんだけどなー…」

佐天「……………」

佐天「って、今は私一人しかいないんだから無理は言わないの!」

ベッドを降りる佐天。机の上に置いてあった紙袋を手に取ると、それを床に広げた。

佐天「うっはー、お菓子だらけ。さてと、どれから食べようかなー」
佐天「あ、太らないように注意しないとね♪」
佐天「ふふふん♪ふふふん♪ふんふんふーん♪」

絶頂の幸せの只中にいる佐天涙子。
彼女は今、人生で味わったことのない楽しみに溺れていた。
が、しかし、その幸せがいつまでも続くとは限らなかった。

729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:49:27.34 ID:bX0kgBUk0
二日後―。

佐天「今日はどんなお洋服着ようかな♪」
佐天「出来ればセブンスミストも行ってみたいけどなー。電車動いてないし歩いて行くのはちょっとしんどいかも」
佐天「まあいいや。洋服なんてそこらへんでタダで貰えるし」
佐天「ん?」

鏡に近付く佐天。

佐天「おーだいぶやつれが取れてきたかもー。お菓子をいっぱい食べたお陰かな?」
佐天「でもいつまでもお菓子の生活続けるのも健康に悪いしなー」
佐天「そうだ!スーパーかコンビニでも行って食材買ってこよう」
佐天「たまには自炊しないとねー」


コンビニ―。

佐天「あちゃー…これも消費期限切れかー」
佐天「あ、これもじゃん」
佐天「なんだよーほとんど期限切れてるし。これじゃあ料理なんて作れないよ…」
佐天「ん?」
佐天「あっ、これは…!!」
佐天「『新発売・期間限定ゲコ太弁当』!!」
佐天「こんなの出てたんだー。御坂さんのために一つ持って帰ってあげよっかな?」
佐天「………って何言ってるんだろ私。御坂さんはもういないじゃん……」

佐天「……………」

佐天「まあいいや。消費期限切れてるけどこれだけ持って帰ろう…」

732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 17:54:55.71 ID:bX0kgBUk0
とある寮―。

佐天「常盤台の寮は居心地良かったけど、逆に落ち着かなかったからなー。引越ししちゃった」
佐天「ごめんね初春ー部屋借りるよー」

バッグに食材や衣服を詰めに詰め、移動してきた佐天。その部屋は、かつて初春が使っていた寮の部屋だった。

佐天「ふぅ…懐かしいなー。初春とよくここで話したっけ……」

佐天「…初春……」

佐天「なーんて止め止め。いつまでも過去を振り返ってたらいい女になれないぞ涙子」
佐天「そんなことより、昼ごはん昼ごはんっと」

キッチンに食材を持っていく佐天。鍋を用意し、袋から野菜を出す。出した野菜を洗おうとした時…。

佐天「あれ?」
佐天「…何で?」
佐天「何で水が出ないの?」キュッキュッ

水道の蛇口を捻っても水が出てこないのだ。

佐天「おかしいな…」キュッキュ

いくら蛇口を捻っても、水が出る気配はない。

佐天「…………」
佐天「まさか!」

トイレに駆け込む佐天。

734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:02:10.11 ID:bX0kgBUk0
彼女はバーを引いた。

佐天「流れない…」

何度もバーを押したり引いたりするが、水は流れない。

佐天「待って…まさか、水道を管理する人間がいないから、水が使えなくなったの?」
佐天「じゃあ…」

トイレから出、佐天はキッチンに戻る。彼女はガスの元栓を捻った。

佐天「点くよね…」

が、スイッチを押しても火が点く気配はない。
カチチチチチと空しく音がなるだけで、何の変化もない。

佐天「嘘…ガス使えなかったら最悪じゃん……」

再びスイッチを押してみる。

佐天「点け点け点け」カチチチチチ

何度やっても変わりはなく、次第にガスの臭いが充満し始めた。
佐天はスイッチから手を離した。

佐天「そんな……水もガスも使えなかったら…料理も作れないしトイレも出来ないよ…」

彼女が途方に暮れていると、追い討ちをかけるように部屋の電気が消えた。

佐天「え?」

740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:07:54.58 ID:bX0kgBUk0
佐天「何で消えたの?」

壁についてあったスイッチを押すも、電気は点かない。

佐天「最先端の技術を取り入れてる学園都市なのに…」
佐天「そっか。いくら自動に頼ってることがほとんどでも、本来ならどこかで人間が制御してる部分があるんだ…」

パチパチパチ、とスイッチのon/offを繰り返すが、無駄な徒労だった。

佐天「やめてよ……電気まで消されたら、夜生活できないよ」
佐天「どうしよう……どうしよう……」
佐天「やだ、どうしよう…」

ガスも、水道も、電気も使えない。その事実は、学園都市…それどころか
世界中に佐天以外誰も人間がいないという現実を思い出させるには十分だった。

佐天「こんなんじゃ…生きていけないよ……」

うずくまる佐天。堪っていた悲しみが吐き出されるように、彼女は泣き始めた。

佐天「ぐ……ぐす……どうしよう……うっ……誰か助けて…」
佐天「…誰か……」
佐天「…助けて…」

佐天「誰か助けてええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」



彼女の叫び声を聞けるのは、地球上に誰一人いなかった。

744 名前:こまけぇこた(ry 色々とご都合主義でごめんなさい><[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:12:32.50 ID:bX0kgBUk0
3日後―。

夜・とある寮―。

もはや部屋に電気が点くことはなく、佐天涙子は蝋燭の灯りを頼りに生活していた。
生活、と言っても文明人らしい生活は屋根のある部屋で過ごしていることだけで、
ガスも電気も水道も使えない、移動手段も徒歩以外皆無の彼女はここ3日間、一日中
ずっとベッドにくるまっていた。やることと言えば、寝るか、外にトイレに行くか、食べることのみ…。

佐天「蝋燭の火…ちょっと小さいな」

今も佐天はベッドの中でくるまり動かずにいた。
床には空っぽになったインスタントラーメンのカップが散らかっていた。

佐天「もう…行くところないや…スーパーの食べ物はほとんど消費期限が切れてるし…ゲーセンも飽きちゃった…服も買いに行く気しないし…」
佐天「何より…どんだけ歩いても、誰にも会わないんだもん……」
佐天「つまんないや…」
佐天「せめて…初春と上条さんぐらいは残しておくんだったな……」

佐天「……………初春…」

佐天「…そういやこの一週間……人間らしいことしたっけ…?」
佐天「そもそも寝たままの生活って、いつから始まったんだっけ…?」
佐天「私って、確か女子中学生だったよね…。今時の女子中学生って普通、友達と遊びまくって青春を楽しんでるはずじゃないの……?」

747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:18:44.06 ID:bX0kgBUk0
視線の先の蝋燭がかすかに揺れる。その動きが部屋に映し出される光の影も揺らす。
佐天の瞳にその現象が映えた。

佐天「今気づいたけど……私って結構……充実した生活送ってたんじゃ………」
佐天「初春と……御坂さんと……白井さんと……ショッピング行ったり……パフェ食べに行ったり……喧嘩したり……仲直りしたり……」
佐天「どこからどう見ても……誰もが羨む……普通の女子中学生じゃん…」

佐天「…………」

佐天「……おかしいな…私のコンプレックスが……消えたと思ったら……私の欲求が……私の願いが……全部叶ったと思ったら……前以上に辛い目に遭ってた……」
佐天「何だそれ……?」

佐天「………結局、何だかんだ言いながら………あの頃の生活が……私にとって……一番だったんじゃ…ないの?」
佐天「馬鹿だな私……」
佐天「ホント…馬鹿だよ…!!」

この3日間で枯れ果てたと思った涙が再び流れ落ちてきた。
その涙に蝋燭の光がきらめく。

751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:22:59.02 ID:bX0kgBUk0
――――――――――――――――――――――――――――――
佐天「うーーーーいーーーーはーーーーるーーーーー!!!!!!」
初春「キャーー佐天さん///恥ずかしいからやめてくださーい!!」
佐天「わっはっは、今日は白かぁ」
初春「もう!!///」
白井「あらあらまあ。佐天さんにも困ったものですわね」
御坂「いや、あんたそれ言える立場じゃないでしょ?」
白井「何を仰いますのお姉さま!!!私のお姉さまへの愛は純愛ですのよー!!」
御坂「どこが純愛じゃあああああああ」ビリビリッ
白井「あん。愛の鞭気持ちいいですわーん」
佐天「あっはっは仲が宜しいことで」
御坂「そう?いくらなんでも佐天さんと初春さんには叶わないわよ」
佐天「だってさ初春。私たち両想いだね」
初春「んもう佐天さんったら」
佐天「えへへ」
初春「ふふふ」
――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「御坂さぁぁぁん!!!白井さあぁぁあん!!!……初春ぅうううぅ!!!」
佐天「会いたいよおおおおお。会いたいよおおおおおおお。戻って来てよぉおおおおお」

悲しみに暮れる中、佐天はポケットからボタンを取り出した。

佐天「………ひぐっ…」
佐天「ぐす……全部の人間を消した時……グス…もう使わないと思ったけど…ヒッグ……最後に一回だけ…使おう……それで終わりに……グスッ……するんだ…ヒグッ」

佐天「うわぁぁああああああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁん!!!!!」

隙間風によって蝋燭の火がフッと消える。
しかし、佐天の泣き声は一晩中止むことはなかった。

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:28:50.45 ID:bX0kgBUk0
翌日・とある公園―。

地球上から全ての生物が消えてから既に1週間が経過していた。
全人類が消えた世界はどこも静かで、空しかった。

佐天「…………」

そこに、地球最後の人間―佐天涙子はいた。
所々汚れ、破れたセーラー服を着、目は充血していた。彼女にはもう、生気が微塵たりともなかった。

佐天「これで全て終わらせるんだ……」

彼女の手元には、あのボタンが握られていた。

佐天「……みんなは許してくれるか分からないけど……これが私が出来る…責任の執り方……」
佐天「…いよいよ…最期の時か……これで……私が消えることで……人類の歴史も終わるんだね……」
佐天「始めるか……」

ボタンの蓋を開ける佐天。
しかし…。

佐天「何してるの……自分の名前を叫ぶだけじゃない……」
佐天「どうして……」

恐怖からか、佐天の手は震え、自分の名前を口にすることが出来ない。彼女はその場にうずくまった。

佐天「……私ったら……卑怯だよね。他のみんなは消せたのに……いざ…自分になると出来ないなんて」
佐天「恐い……恐いよ……」
佐天「押せない……」

759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:33:54.92 ID:bX0kgBUk0
自分の名前を叫び、ボタンを押した瞬間、自分の存在は消える。
何秒後か、何分後か、何時間後かは定かでは無かったが、その時には既に
自分という人間が消えるという現実を想像すると、恐くて手が動かなかったのだ。

佐天「恐い…恐いよ…でも…このままずっと…一人で生きるのも嫌だ……」
佐天「…何で…こんなことに…なったのかな?」
佐天「誰か…助けてよ……辛いよ……」

弁解するように佐天は呟き続ける。が、そうしてる間にも時間はただ過ぎて行く…。

佐天「…でも…終わりにしなきゃ…ならない…」キッ

彼女は両手に収まっているボタンを見据えた。

佐天「初春…今、そっちに行くからね…そっちでも……出来たら…仲良くしてね」
佐天「よし…」

立ち上がる佐天。彼女は息を吸い込んだ。

佐天「スゥー……」

深呼吸を終える。
そして…。



佐天「  佐  天  涙  子  、  消  え  ろ  」


ピッ

765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:38:22.63 ID:bX0kgBUk0
彼女の場合、消失までの手順は例外だった。一瞬で消えることはなかったのだ。
目を開いた彼女がまず違和感を覚えたのは、両足だった。

佐天「……私の両足が…下から…消えていく…?」

見ると、徐々に侵食していくように佐天の足がゆっくりと下から消えつつある。

佐天「どんどん…上に向かって……」
佐天「そっか……私の場合…すぐには消えないんだね……」
佐天「……罰として…最後まで恐怖を味わうためかな…?」

そうこう言っている間にも、消失の侵食は続く。
ふくらはぎから膝へ、膝から腰へ。

佐天「何だかもう……怖くないや……だけど…ただ、悲しいな……」

既に、お腹から下は完全に消失していた。しかし、彼女の涙は止まらなかった。

佐天「……私が間違ってたよ……レベルだとか…能力とか…関係無しに、御坂さんは…白井さんは……そして初春は私と友達でいてくれた……」
佐天「なのに……一人、勘違いして…暴走して……迷惑かけて…挙げ句……消しちゃって…」
佐天「馬鹿だよね私…みんなと友達でいれた……それだけで、十分幸せだったのに……本当に馬鹿…」

既に消失の侵食は胸にまで至り、佐天涙子が存在するための時間も残り僅かだった。

771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:43:14.34 ID:bX0kgBUk0
佐天「ごめん…」
佐天「ごめんね……」

佐天「御坂さん…」

佐天「白井さん…」


佐天「………ういはるぅ……」


「分かったかよ?自分がどれだけ愚かな行為してたってことを」

佐天「………うん…」

「友達同士の絆に、レベルだとか能力だとか関係ないんだよ」

佐天「……そうだよね、言われてみれば…」

「あの3人と親友でいれたこと。それだけでも君は充分に幸せだったんだ」

佐天「……うん……」

佐天「…………」
佐天「………えっ!?」


「なら…」

779 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:46:58.88 ID:bX0kgBUk0





「  そ  の  幻  想  を  ぶ  ち  殺  す  」





781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:51:01.94 ID:bX0kgBUk0
振り返る佐天。

上条「よっ!久しぶり佐天さん」ニコッ

そこには、あの冴えない高校生―上条当麻が笑顔で立っていた。

佐天「………上条さん…?」

上条「ああ、世界一不幸な高校生、上条さんとは俺のことですよ♪」

佐天「……何これ…夢?…幻?……走馬灯?」

上条「いやーそこまで存在感薄いですかね俺って?」

佐天「そうだ!!私消えてる最中で……」

咄嗟に自分の胸元を見る佐天。
が、そこには確かに身体があり、両足もしっかりと地に足がついていた。

佐天「…あれ…何で?何で私?消えてないの!?」

トントン

肩を叩かれ振り返る佐天。
と、突き出された上条の人差し指が佐天の頬をプニと突いた。

上条「あはは、引っかかったな」

佐天「………上条さん、一体これって…」

788 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 18:57:03.80 ID:bX0kgBUk0
上条「肩だよ肩」

佐天「肩?」

上条「ああ、さっきから俺がずっと右手を乗せてるだろ?気付いてなかったか?」

佐天「………?」
確かに、上条に再び会えた衝撃で気付いていなかったが、上条の右手はずっと肩に置かれていたようだ。しかし、それがどういう意味かまでは分からなかった。

上条「そのボタンさ…」

佐天「え?はい…」

ふと手元にあったボタンを見る佐天。

上条「元々は学園都市上層部の独裁や暴走を防ぐために作られたんだ。要するに、懲らしめるためのね」
上条「だけど完成した途端、上層部に勘付かれて計画はおじゃん。反対派の連中は左遷されるか学園都市から追放されちまった」
上条「で、残ったそいつだけが都市伝説になって密かに学園都市の住人に受け継がれてたのさ」

佐天「………じゃあ、消えた人は戻ってくるんですか?」

上条「当たり前だろ?学園都市の科学技術を舐めんなよ」

佐天「…!! でも…どうやって?」

上条「ボタンを連続で3回押せばリセット出来るが、そんな面倒臭いことしなくとも俺の右手で…」

そう言って、ボタンを佐天から奪う上条。ボタンを右手に握り腕を空中に突き出す。

上条「その幻想をぶち殺す!!!」

792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:02:11.16 ID:bX0kgBUk0
茫然とその様子を見ていた佐天だったが、ふと周囲の様子がおかしいことに気付いた。

誰もいなかった空間に人間が突如、現われ始めたのだ。

佐天「え?」

学生たちが次々と、公園のあちこちに出現する。と、同時に話し声も聞こえてきた。

上条「やっぱりな。ほら、見たろ?」
上条「それから今回の件については佐天さんに悪いことしたな。きっと、恨まれるだけじゃ済まないだろう…」
上条「もし良かったら、気の済むまで殴って…って、おっと!」

もはや上条の言葉は意識の外だったのか、佐天は突然走り始めていた。

上条「やれやれ」

公園を出る佐天。
そこには、学園都市の住人たちが、そこここで話し、歩き、動いていた。
道路には車が走り、路地裏には野良猫の影。電光掲示板には文字が流れ、
空には飛行船が浮いている。明らかに、街は活気を取り戻していた。
そして、そこには佐天が知る学園都市が存在していた。

言葉を失い、立ちすくむ佐天。
何人かの学生は、ボロボロのセーター服姿で無言で立つ彼女を奇異の目で見ている。

佐天「………戻ったの?」

上条「ああ、全て元通りさ」

振り返ると、そこに上条がいた。

796 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:08:07.44 ID:bX0kgBUk0
佐天「何もかも…?」

上条「ああ、何もかもだ」

佐天「私が消した人も全員?」

上条「もちろん」

佐天「御坂さんも?」

上条「ああ、ビリビリも」

佐天「白井さんは?」

上条「当然」

佐天「……じゃあ、初春は?」

上条「戻ってるに決まってるだろ」ニコッ

それを聞いた途端、止まっていた涙が再び佐天の目から溢れ始めた。
安堵と、喜びの感情が胸の奥から湧き起こり、目の前にいる上条の
笑顔が、久しぶりに人間の暖かみを感じさせるような、そんな感覚を覚えさせた。

801 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:12:56.34 ID:bX0kgBUk0
佐天「ありがとう!上条さん!!」

ガバッ

急に上条に抱きつく佐天。

上条「おおおおおいいいいいい…さ、佐天さん?」
上条「(や、柔らかいものが……柔らかいものが当たってる……///)」

佐天「私…とても寂しかった…とても怖かったの…」

上条に抱きつきながら、佐天は言葉を紡ぐ。
彼女の目からは涙が溢れていたが、口元には笑みが零れていた。

上条「あ、ああ。そうか…辛かったな…」

学生「ピュー見ろよあれ!」
学生「真っ昼間から道のど真ん中で」
学生「お熱いこって!!」

上条「あははは…」

佐天「何より…初春たちを自分の手で消したことが怖かった……思い出すたび怖くて怖くて…」

上条「う、うんそうだよね…(人に見られてるぞおい)」

803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:14:58.82 ID:bX0kgBUk0
佐天「…今回のことで分かったよ…もう、私…馬鹿な真似はしないって……これからはうじうじせずに前向きに生きてくから…」

上条「ああ…ああ」

佐天「初春と、御坂さんと、白井さんと一緒に、これからもずっと仲良くやってくから…」

上条「そうだな、それがいい(いつまでこの体勢でいるんだ?)」

佐天「ふぇぇぇぇえええん上条さぁああああああん!!!!!」

胸の中で大泣きする佐天を取り合えず左腕で抱き締め、右手でその頭を撫でる上条。

上条「よしよし。もう終わったからな。安心しなさい」ナデナデナデ

学生「ピューピュー」
学生「憎いねこの女泣かせが!」
学生「面白そうだし写メ撮っとこうゼ!」
学生「お、あいつ有名なフラグメイカーじゃん」
学生「また女連れてやがるぜぎゃはははは」
学生「リア充シネヨ」

佐天「うぇぇぇぇえええん」

周囲に群がる野次馬に気付いていないのか、佐天は上条の胸で泣き続けた。
一方、上条は動こうにも動けずにいる状況にしどろもどろしていた。

上条「……幸せ…なのか…?」

                          第4部・終わり

809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:18:05.02 ID:bX0kgBUk0
保守&支援ありがとうございました。
うーん…自分としては、元ネタに沿った王道的展開で終わらせたかったつもり
だったのですが…。特に、元ネタでドラえもんがのび太にそっけなくする→
最後にはのび太と感動の再会をする、という流れを意識したのですが、どうも
自分の力量が拙いゆえ、不満だらけの最後にしてしまったようです。
本当にごめんなさい。あとはエピローグだけですぐ終わりますが、ちょっと休憩入れます。

823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:33:14.37 ID:bX0kgBUk0
休憩終わり。
スレの残りも気になるのでちゃっちゃっと投下します。
1時間もかからないと思いますが…。

825 名前:エピローグ[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:38:00.61 ID:bX0kgBUk0
とある川の橋にて。

夕焼けが学園都市の一角に沈みつつある中、佐天は眼下に見える川を眺めていた。
その手には、さんざん佐天を苦しめたボタンとその説明書が入った無地の箱が握り締められていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上条「そのボタンは、前の人から受け継いだ人が、敢えて大事な部分は説明せずに次の人に譲渡してきたんだ」
上条「つまり、説明してネタバレするとその人間は本物の孤独の恐怖を味わわない上に反省しないからな」
上条「まあそれで、ボタンを譲渡された人間は欲にかられ、次々と人間を消していくジレンマに陥るんだよ」
上条「そうやって、孤独の苦しみを味わった人間が、次に譲渡すべき人間を決めるんだ」
上条「俺で何人目になるのか分からないけど、そういった流れが最初からあるのは事実だ」
佐天「でも、例え孤独の体験をした後でも悪用しちゃう人がこれから出てこない、とは限りませんよね?」
上条「まあな…だからなるべく俺がずっと保管しとこうと思ったんだけど」
佐天「じゃあ…ここでその流れを断ち切るのも一つの手じゃありませんか?」
上条「と、言うと?」
佐天「私なりに処分させてもらいます。それでは駄目でしょうか?」
上条「いや…それは別に構わないけど、一人で大丈夫か?」
佐天「ええ、もう、悩むことはありませんから」
上条「そっか。なら、佐天さんに任せるよ」
佐天「因みに…」
上条「?」
佐天「これ持ってたってことは、上条さんも一度使ったことがあるってことですか?」
上条「………かもね」
佐天「やっぱり、上条さんもレベル0の自分にコンプレックス感じて?」
上条「さあ、それはどうかなー」
佐天「ブー上条さんのいけずー」
上条「ははは」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:39:30.86 ID:bX0kgBUk0
佐天「私の中にあるコンプレックス・・・か。………さよなら!!!」

箱を放り投げる佐天。
重力に従い箱は落下していき、やがて着水した。
箱が深い川底に沈んでいくのを、彼女はいつまでも見ていた。

佐天「さて・・・と!」
佐天「行きますか!」

829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:45:01.17 ID:bX0kgBUk0
とある寮―。

ピンポーン!

チャイムが鳴り響く。

ピンポーン!

「誰だろ?こんな夜中に…」

ドアを開け辺りを見回すものの誰もいない。と、油断している彼女に後ろから迫る姿があった。

「うーーーーーーーいーーーーーーーはーーーーーーーーるーーーーーーーー!!!!!!!」

バサアッ

初春「…へ?」

初春「きゃぁぁぁぁあああああ/////佐天さん!!!!!」

佐天「えっへっへ、縞パンゲットオオオオオオオ!!!!!」

初春「んもう!!!ビックリするじゃないですか!!///」

佐天「ごめんごめーん!」

初春「こんな時間に一体どうしたんです?」

835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:50:03.89 ID:bX0kgBUk0
佐天「うん…ちょっと顔見たくなっただけなんだ…」

初春「顔って…毎日見てるじゃないですか」

佐天「うん…そうなんだけどさ…何だか、2週間ぐらい初春の顔見てなかった気がするから……」

初春「おかしな佐天さんですね。クス」

ガバッ

初春「え?え?佐天さん?」

突如、初春を抱き締める佐天。

初春「ちょ…///恥ずかしいじゃないですか///」

佐天「……初春だよね…?」

初春「へ?」

佐天「私が知ってる…初春飾利だよね……」

初春「???」
初春「そうですけど」

佐天「ジャッジメントで、レベル1で、いつも頭からお花生えてる」

841 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 19:55:34.31 ID:bX0kgBUk0
初春「その通りですけど…これは生えてません!!」

佐天「それで…とっても優しくて友達思いの可愛い女の子……」

初春「……え…それは…どうでしょう…って言うか照れるじゃないですか///」

佐天「うん、初春だ…いつもの初春だ」
佐天「初春の温かさだこれは…」

初春「どうしたんですか佐天さん一体?」
初春「………もしかして…泣いてるんですか?」

肩に顔をうずめた佐天を見、初春は質した。

初春「何か…あったんですか?もし、何かあったなら言ってください」
初春「私たち、親友なんですから」

佐天「…ありがとう…ありがとう初春…」
佐天「でもね、今はこうしてるだけで……初春と一緒にいられるだけで……十分だから」
佐天「十分だから…」

初春「そうですか…」
初春「分かりました。気の済むまで、私の胸を借りてください」

佐天「初春ぅ…」


佐天涙子、長い長い一日だった。
こうして、彼女の1ヶ月に及ぶ悪夢は終わりを告げた。

846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:00:22.48 ID:bX0kgBUk0
そして、いつもの日常が戻ってきた。

学園都市は活気を取り戻し、学生たちの元気な声が溢れ返る。

「なー姉さんー僕かっこいいと思わへん?これから茶でもしようやー」
「キモイから近付くなクズカス!ゴミ!ゴキブリ!死ねや寄生虫!!」
「そんなー殺生なー」

「空気キャラ…じゃない。私もすぐに…人気ナンバー1のヒロインになるから…」

「駄目じゃんそんなんじゃ……学生になめられるじゃん。分かってるじゃん?」
「ごめんなさい。これでも頑張ってるつもりですけど…まだ気合足りませんか?」
「そうじゃん。だから…もっと努力するじゃん」

「ったく…あンのガキィ、どこ行きやがったァ? 見た目が幼女だから油断しちまったなァ…クソッ!見つけたらお尻百叩きだ」
「あーそんなとこにいたんだねー、ってミサカはミサカは迷子になった困ったちゃんを発見してみる!」
「アホか!お前が勝手にいなくなったンだろうがァ!」
「細かいこと言わないの、ってミサカはミサカはなだめてみる」
「こンのガキィ…取り敢えずお尻百叩きだ!!」
「キャー!!イタズラされるー!って、ミサカはミサカは大声で叫んでみたり!」
「バ、馬鹿!!怪しい目で見られてンじゃねェか!!やめろ!!」

850 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:07:11.94 ID:bX0kgBUk0
佐天は鋼盾に声を掛け、取り敢えずはメアド仲間になることに―。
無論、彼の恋が叶う確率はとてつもなく望み薄なのだが…。

『佐天さん!僕ねハァハァ…この間佐天さんに似たフィギュア買ったんだよ!ハァハァ…今度見せてあげるよ』

『そう、良かったじゃん!でも私としては直接会うよりも写メールの方が手間が掛からなくていいかも』

あんなことがあったからか、彼女は他人との関わりは積極的に増やしているようだった。
内心、引いてはいるようだが。
取り敢えず、今のところ、鋼盾が佐天を襲うような事件は起こっていない…。恐らく、これからも?

854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:13:28.87 ID:bX0kgBUk0
そして、念願の喫茶店。佐天は、いつか約束したように再び4人で来れたようである。

黒子「お姉さまぁぁぁん!黒子と交換なさいますぇえん?」

御坂「気持ち悪いのよあんたはいつも!」ビリビリッ

黒子「あん!相も変わらず素晴らしい電撃ですわー」

初春「仲良いですねー」

佐天「ホント、私たちみたいだね♪」

初春「もう、佐天さんったら…」

黒子「そういえば、昨日、あの類人猿…もとい、上条さんにお会いしましたが、伝言を預かってますの」

佐天・初春・御坂「「「どどどどどどんな伝言!!??」」」

黒子「(な…何で3人一緒になってそんなに必死なのでしょう…??)」
黒子「曰く、『この間はありがとう。また暇があったら一緒に食事でもしような。感謝してるぜ!』ですの」
黒子「まったく…黒子を伝言に使うとは…失礼にも程が…って、な、何ですの!!??」

御坂「(あははぁ…当麻が…私と食事したいって…///照れるなもう当麻ったら///)」ボーッ

初春「(上条さん、やっぱり優しい人だなあ///二人だけで行けないかな?///)」ボーッ

佐天「(上条さん…一時は憎かったけど、今は何だかすぐにでも会いたいなあ…てへへ///)」ボーッ

黒子「(まさか!!!3人ともそうなんですの!!??そうなんですの!!?……世も末ですわ…)」

857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:18:04.88 ID:bX0kgBUk0
そして、世界一ついてない高校生・上条当麻もまたいつもの日常を取り戻す。

不良「おらぁああああ!!!待てやこんガキィイイイ!!!!」

不良「なめとったら容赦せんぞワレェ!!!」

不良「ぶっ飛ばすぞゴルァ!!!!」

上条「ゼェハァ…べ、別に絡まれてた女の子助けただけじゃねぇか!!」
上条「何でそれだけで追われるんだよチクショー!!!」

不良s「その態度がむかつくんじゃボケエエエエエ!!!!」



上条「不幸だあああああああああああああああ!!!!!!!」

861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:26:35.63 ID:bX0kgBUk0
佐天宅―。

窓から見える夜の学園都市を眺める佐天涙子。

佐天「いい景色だなあ……あんなに遠くまで街が光って見える」
佐天「普段は何でもない光景だけど…改めて見れば、どんだけ学園都市に人が住んでいるかがよく分かるね」
佐天「やっぱり、人がいるのといないのとでは全然違うや…」

カーテンを閉め、部屋の電気を消す佐天。そのまま彼女はベッドに潜り込んだ。

佐天「(私は以前と変わらず、いまだレベル0の無能力者だけど…何だか前以上にいつもが楽しいんだよね)」
佐天「(やっぱり、友達がいるからかな…?)」
佐天「(これからは…前向きに生きていかなきゃ…)」

佐天「よおおおおし!!!!明日から頑張るぞおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」




こうして、佐天涙子のおかしくも、不思議な話は終わりを告げた。。。

                                 おしまい…??

866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 20:28:15.43 ID:bX0kgBUk0
とある日・川原にて―。


「スフィンクス~待つんだよ~ハァハァ」
「まったく、スフィンクスは猫のくせに犬みたいに元気なんだから!」

ニャー

「どうしたの?」
「何か落ちてるの?」
「どれどれ」

ガサゴソ

「ん?何かなこれは?」
「開けてみるんだよ」

パカッ

「何これ?」

「…ボタン?」


                                 おしまい

コメント

No title

ドラえもんの内容をさらに生々しく細かく再現しただけの話だけどこええなオイ。。。
佐天さんがハマリ役だったしよかったよ

No title

感動しました!!!!

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