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29 絹旗

1レスSS
29 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/29(木) 00:44:09.95 ID:dMIYkaY0 [1/4]
>>21に触発されて殴り書きました絹旗さん超可愛いです俺の嫁


私の所属していた暗部組織はリーダーの死によって壊滅した。
たった一人の無能力者によって。ただ一人の少女を守るために拳銃ひとつで超能力者に立ち向かうような、行動力だけが有り余る、たった一人の無能力者によって。
彼は強かった。第一に彼女の命を考え、第二に彼女の平穏を望む彼は、彼女のために戦い彼女のために負傷して彼女のために無事に帰ってきた。

私は何もできなかった、と今になって後悔が残る。
懺悔にも近い自問自答は途切れない。あの時は冷静になっていたつもりだけれど、今となればもっと的確に処理できたものだってあるのに。


自分はまだまだ弱いと思う。大能力者なんて230万のうちにも数えられるくらいしかいないという自負もある。
けれど、私は弱い。まだ超能力者ではないし、彼のように誰かのために戦うという目的がない。
目的があれば人は強くなると聞いたことがあるが、今はそれが本当のことなのだとわかる。彼はそれを地で行く人間だ。きっと彼女も彼女なりに精一杯彼をサポートするのだろう。
素直に、私も「目的」がほしいと思った。まだまだ弱い私も、それさえあれば強さが手に入れられると思ったから。
だからせめてとりあえずは目的を作ってみるのだ。


――『暗闇の五月計画』か。一方通行の演算パターンを元に自分だけの現実を最適化しようとかいう――

頭に残るのはあの忌々しい垣根帝督の言葉だ。
自分がその被験者であることは知っていたけれど詳細は知らなかった。ただ「強くなれるから」と言われ応じただけだ。置き去りに人権なんて無いようなものだったから。

一方通行、私の能力をより開花させた人物。暗部に居れば聞かないはずはない、学園都市序列第一位の称号を持つ人物。私は無論のこと、垣根帝督や麦野などが挑んでもおそらく勝てないのだろう。
そんな人の演算パターンを受けていたなんて、という喜びは止まらない。
私には彼の演算パターンを持っている。強くなれるための断片は持っている。それが何よりもうれしい。



「浜面と滝壺さんが幸せになれるように手助けをすること」。そう、これは強さのための手段だ。手段だ。手段だ!
強さを手に入れるためならそんなことくらいやってやる。
浜面が私を見なくてもいい。浜面には滝壺さんがいる。私の目的は二人を手伝うこと。それで充分だった。


――二人のために超強くなってみせる。そうすれば目的も力も手に入る。超ハッピーエンドじゃないですか――

忘れようとする心があることも無理に忘れて、私は滝壺さんの病室の扉を震える手で叩く。

Tag : とあるSS総合スレ

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