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剣士「パーティを組めだと?」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:18:20.36 ID:0lFzgIRW0
受付「はい、当協会では単独での仕事は認めておりませんので…」

剣士「…何故だ、不都合な点でもあるのか」

受付「ええ、まぁ…国の騎士団や魔法協会からの斡旋でしたらば信用もあるので良いのですが…」

剣士「民間からでは不満か?」

受付「何人かのパーティを組んでいただいて、その中で信用を協会に証明していただきたいのです」

剣士「…仕事中も監視し合う、ということか?窮屈だな」

受付「申し訳ございません、規則ですので」

剣士「……ふん、まあいいだろう」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:25:38.90 ID:0lFzgIRW0
剣士「その、パーティとやらは私の他にもう一人で良いのだな?」

受付「はい、二人以上でしたら問題ありません」

剣士「…そうか……しかし…」

受付「当協会では民間傭兵の方々に、同じ民間傭兵の中からパーティ候補を斡旋しております」

剣士「! …なるほど、私のような奴も多いということか…組む相手には困らないということだな?」

受付「ええ、左様で」

剣士「よし、ではその斡旋とやらを利用しよう」

受付「ではこちらのリストから……あ」

剣士「?」

受付「……ええっと、申し訳ございません、当協会では15歳未満の方は」

剣士「書面を読んでいないのか、私は19だ」

受付「…は…はい、申し訳ございません」

剣士「全く失礼な男だ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:30:55.23 ID:0lFzgIRW0
剣士「……」

受付「……」

剣士「…なんだ、貧相な顔つきの者が多いな」

受付(お前が言うか……)

受付「こちらは女性の方のリストですからね」

剣士「……通りで」

受付「申し訳ございません、二人パーティの場合はトラブル防止のため、同性での組み合わせとしなければならないのです」

剣士「面倒な規則だな…力の強い男がいれば頼もしい限りなのだが…」

受付「申し訳ございません、面倒でしょうが規則なのです」

剣士(それにしても低身長ばかり…私の背を補えるほどの剣士や戦士が欲しいのだが…)

剣士「……む」

:ホリィ
:女性
:19歳
:身長191

剣士「た……たかっ…」

受付「?」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:35:21.97 ID:0lFzgIRW0
剣士「何故だ、私は毎日ミルクを飲んでいるし栄養のバランスも考え日々吟味して…ブツブツ…」

受付「あー、こちらは昨日来たばかりの新しい方のリストですね」

剣士「…?新しい…?」

受付「あなたのような方ですね、同じく斡旋希望の」

剣士「なるほど」

受付「昨日の今日なので顔写真はありませんから…まぁもっと左のページの、詳細が載っている方が」

剣士「こいつと組む」

受付「……え?良いんですか?」

剣士「ふ、問題ない…191の大女だ…さぞ素晴らしい剣撃を見せてくれるのだろう…私にふさわしい相方だ」

受付「…剣撃…?…えー、ではこの方希望で、本当によろしいのですね?」

剣士「ああ、是非頼む」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:41:50.46 ID:0lFzgIRW0
剣士(ふふ…やっとだ、やっと傭兵になれる…)

剣士(…身分の低さと身長の低さ…あまりにもリスク…私は今日、それを乗り越える…!)

剣士(長かった…ここまでくるためにどれだけ修練を重ねたか…)

剣士(最初は剣を買うだけでも苦労したものだが…うう、いかん涙がこぼれる)

受付「では受理ということで、判を押します、よろしいですね?」

剣士「ああ、景気よくドンと捺してくれ」

受付「…えらく上機嫌ですね…わかりました」

どんっ

受付「さて、では相手の合否の結果が出るまでしばらく時間をいただきます、一日ほどですので」

剣士「ああ、すまないな」

受付「いえいえ」



“被斡旋希望者ファイル 女性‐魔術師”

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:49:08.79 ID:0lFzgIRW0
――酒場


剣士「マスター、私にも大きなツキが来たようだよ」

主人「ほう?賭場ではした金でも手に入れたか?」

剣士「ふ、私は不確定要素の海に溺れる愚かな賭博師などではないぞ」

主人「そのガキみたいなちっせぇ背じゃ、剣士には見えねえな」

剣士「黙れ斬るぞ」チャキッ

主人「おいやめろ、わかった、落ち着け」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:49:54.37 ID:0lFzgIRW0
剣士「……傭兵だよ、傭兵」

主人「ほう、傭兵協会に入ったのか?」

剣士「ああ、この国で最も大きな、国営ギルドさ」

主人「そりゃすげえな、確か身体能力テストがあっただろう」

剣士「魔術以外は完璧さ」

主人「ヒュー」

剣士「ふふっ…金が入るからな…これからはこうしてマスターと話す機会も増えるかもな?」

主人「そうだな、たまにはミルク以外のもんもオーダーして、店を潤してほしいもんだよ」

剣士「酒は飲めん、ミルクで十分だ」

主人「…やっぱまだまだ、レディには遠いな」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 15:55:33.76 ID:0lFzgIRW0
――傭兵協会


剣士「……うお…」

魔術師「えへへー、私ホリィっていいます、先月19歳になりましたー」

受付「こちらが一緒にパーティとして活動することとなる剣士さんと…今紹介がありましたが、ホリィさんですね」

剣士(191センチってこんなに高いのか……いや、このロビーにいる誰よりも高いってどういうことだ…)

魔術師「私、はじめてなんで傭兵の仕事とかよくわからないんですけど、頑張ります!よろしくお願いしますっ!」

剣士「お、おう…よろしく頼むぞ、これから頑張ろう」

剣士(く…首が痛いっ…!)

受付(身長138㎝と191㎝か…こりゃ、とんでもないコンビになりそうだな…)

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:00:12.96 ID:0lFzgIRW0
魔術師「えーっと、ここにサインですねー?」

受付「はい、これからパーティとして傭兵協会の仕事を請け負うためのカードを発行しますので」

剣士(…私が土台を使わなければ書類も書けなかった受付のテーブルを…中腰で…)

魔術師「……うーん、と……はい!できましたー!」

受付「…はい、確かに…ではこちら受理という形で、これからは正式な当協会の会員として、仕事を請け負うことができます」

魔術師「わーい、カードだ!」

受付「ではこちら剣士さんも」

剣士「! おお、ありがとう」

剣士(立ってるだけですごい威圧感だ…私が足手まといになってしまいそうな…)

剣士(…頑張らなくてはな…!このホリィに負けないように……)

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:05:05.57 ID:0lFzgIRW0
――屋外 関所前広場


魔術師「……えへへー」

剣士「…どうした、そんなにカードばかり眺めて」

魔術師「えー?…えへへ、だって、念願がやっとかなって手に入れたカードなんですもの…」

剣士「……ふ、そうだな」

魔術師「学校を卒業したら、絶対に傭兵になるって、ちっちゃい頃から決めていたんです!」

剣士「ちっちゃい頃か……まぁ私よりはでっかい頃だろうな」

魔術師「それでー、城下町で商いをしてるお父さんとお母さんのためにお金を沢山稼ぐんですよー!」

剣士「……」

魔術師「…あれ?剣士さんどうかしました?」

剣士「あ、なんでもない、ぼーっとしてただけだ」

魔術師「あははー、良い天気ですからねー」

剣士「…そうだな、良い日和だ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:09:34.82 ID:0lFzgIRW0
魔術師「あれー?」

剣士「?どうした」

魔術師「…私たちってどこに向かって歩いてるんですか?」

剣士「今さら聞くか、…まあ言ってなかったからな」

魔術師「う、ごめんなさい…」

剣士「いや、ホリィは悪くない」

剣士「…こいつを見てくれ」ピラッ

魔術師「……ほえー?」


“E:鉱兵タイトンのコロニー破壊”

剣士「ふふ、お前とパーティを組む前から目をつけていた仕事さ、儲かるぞ」

魔術師「……ほえー」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:15:06.02 ID:0lFzgIRW0
剣士「近年、召喚獣やゴーレムを扱う召喚師や顕現師が魔法協会の枠組み以外でも増えていてな」

魔術師「あー、それ聞いたことあります!悪い魔法使いさんが増えてこまってるって」

剣士「そうだ、そいつらが洞窟や郊外で勝手に“練習”と称してゴーレムを生みだすものだから、なかなか国も困っているそうだ」

魔術師「ひどいですよね!勝手に作って勝手に放っておくなんて!ゴーレムさんが可哀そうです!」

剣士「そうだな、自分の術に無責任な輩が増えた、ゆゆしき事態だ」

剣士「……と、頭を悩ませている傭兵協会の手助けをいち早く行い、私たちの名声を知らしめてやるのさ」

魔術師「な、なるほど…!じゃあ、人のためになる事なんですね!」

剣士「その通りだ、ふふ」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:20:15.77 ID:0lFzgIRW0
魔術師「うわー、枝が顔に引っかかったー!」ガサガサ

剣士「ぐわっ、なんだこの巨大な根っこは…!」

魔術師「うう…剣士さん、もうすぐですか?もうすぐつくんですか?」

剣士「ああ着く…はずだッ…くそっ、樹海かここはっ!」

剣士「地理的には、もう少しここを過ぎた所で洞窟が見えるはずだが…」

魔術師「わ、わあああ!クモの巣です!わああ!顔にかかっちゃいましたああ!」

剣士「ぬっ、くそ…下草が邪魔だ…!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:23:48.57 ID:0lFzgIRW0
剣士「はぁ、はぁ…!」

魔術師「うう…顔にいろんなものがくっついたりしました…髪を洗いたいです…」

剣士「…傭兵の仕事は屋外が多くなるからな、その長い髪は切るかまとめるなりした方が良いかもしれん」

魔術師「うう…街を出る時お母さんに整えてもらったのに…」


剣士「……ともあれ」

魔術師「……はい」

剣士「洞窟の前まで到着だな」

魔術師「…そうですね」

剣士「ダンジョンなどではないし、召喚師の連中からすればゴーレムを隠密に作れれば良いだけだから…そうコロニーは深部にないだろう」

魔術師「……?」

剣士「入ったらすぐ、ゴーレムが襲ってくるかもしれないということだ」

魔術師「……なるほど!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:29:52.36 ID:0lFzgIRW0
魔術師「じゃあ、準備もしておかないといけませんねっ」ガサガサ

剣士「……準備が出来次第、入ろうか」

剣士(…布で包んである、あの長い何か…あれは槍か、それとも長剣か…)

剣士(…ふふ、すごい、私の身長ほどもありそうな業物だな…解いた時、どれほどの力を見せてくれるのか…)

魔術師「準備できました!」

剣士「お、そうか…それじゃあ、洞窟に潜ろうか」

魔術師「…うー、緊張してきました…!」

剣士「はは、そうだな、私もだ…はじめての仕事だからな…」

剣士「…でも、今回戦うタイトンはEランク、ゴーレムといっても一般的な人程度のサイズだ、苦戦はしないだろう」

魔術師「は、はい!」

剣士(私は技術とこれまで積み上げてきた能力でなんとなすればいい…ホリィは…ふ、あの大業物を振り回すだけでなんとかなりそうだな?)

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:34:02.61 ID:0lFzgIRW0
魔術師「あ、綺麗な石ー!」

剣士「……さっきまでの緊張感はどこにいったんだ…」

魔術師「すごーい、緑色!」

剣士「…あまり道草していると、灯りを見失ってはぐれてしまうぞ?」

魔術師「あ、ごご、ごめんなさーい…」タタタ・・・


剣士(……静かだ…足音しか響かない…それに)

魔術師「わー、まっくらー」

剣士(……おかしいな、さっきまではカンテラの明りで壁面が見えていたんだが……広場に出たか?)


ガラッ・・・ガラガラ・・・

剣士「……!」

魔術師「え?何の音ですか?」

剣士「ふふ…喜べホリィ、早速だ!」

魔術師「えー?」

鉱兵『ウゴォオオオオオ!』

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:38:33.17 ID:0lFzgIRW0
魔術師「きゃ、きゃー!」

剣士「落ちつけ!ただの岩の塊だ!動きは鈍いぞ!」

魔術師「め、目がまっかです…!一つ目です…!」ササッ

剣士「私の後ろに隠れてどうする!戦うぞ!」

魔術師「う、うう……」

『ゴォオオオ!』

『ゴォ…ゴォオオオ!』


剣士「!…うめき声が洞窟に響いているだけかと思ったが…どうやら数体いるらしいな!」

魔術師「い、いっぱいいるんですかー…?」

剣士「ああ…暴れるには丁度良い…!」

魔術師「た、戦うしかないんですかっ?」

剣士「もちろん…!記念すべき最初の戦いだ!」

魔術師「うう…は…はい!」

鉱兵『ウゴォオオオオオッ!』

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:43:51.81 ID:0lFzgIRW0
鉱兵『…ッ!』

剣士(中心狙いの左ストレート…!動きが愚鈍だな!)

ゴシャッ

鉱兵『……?』

剣士「どうした!私はただ右へ一歩、飛びのいただけだぞ!」ヒュ


ボコッ

鉱兵『ご…ぉー…』ドシャ

剣士「ッ…さ、さすがに岩に剣を当てるのは…手に悪いな…!」

剣士「だが本気で当てれば砕ける程度の脆さか…なら、攻撃をすべて交わせば余裕でいけるな…!」

魔術師「ひ、ひえええ!」

剣士「ホリィ!大丈夫か!」

魔術師「に、逃げ回ってます!助けてくださいっ!」

剣士「…な、何をしているんだお前は」

鉱兵『ゴォオオオ!』

剣士「……チッ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:49:33.83 ID:0lFzgIRW0
ゴシャッ ドゴッ

剣士「3体目…!」

『ぐおお…ぉ…』 『ごおお…』ドシャドシャ

鉱兵『ウゴォオオオ!』

剣士「…くそ、数が多いな…!この剣新品なんだぞ…!」

鉱兵『ゴォオオ!』ブンッ

剣士「報酬が全て新しい剣に消えてしまわんよう、祈らなくてはなッ!」ドゴッ

『ゴォオォゥ…』ドシャ


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:50:13.08 ID:0lFzgIRW0

剣士「はぁ、はっ…おい!ホリィ!そっちはどうだ!」

『ゴォオオオ!』

剣士「……ホリィ?」

ぐにっ

剣士(! な、にか…柔らかいもの…踏ん……)

魔術師「…」

剣士「……!なんだとッ…!?」

鉱兵『ゴォオオオオオオ!』

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 16:57:01.85 ID:0lFzgIRW0
魔術師「……」

剣士「き」

剣士「貴様らァああああぁああ!!」

鉱兵『ゴォオオ!』

剣士「誰が叫べと言ったァぁあぁああ!」ドゴッ

『ご…』

剣士「…なんてことを…なんて事をしてくれるんだ…!」

剣士「ここで、こんな初日でパーティを亡くしたなんて…なれば…!」

剣士「私は仲間も守れない、ただのチビの烙印を捺され…!」

剣士「解雇されたら…どうしてくれるんだぁあああ!」ドガッ

『ごぉお……お…』

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:01:34.03 ID:0lFzgIRW0
剣士「はぁっ!はぁっ…!」

『……』

『……』

剣士「……ペッ」

剣士「石が唸りを上げるなど、身の程を知れ…石屑どもめ…」

魔術師「……」

剣士「…ぁあ…どうしよう……」

剣士(鉱兵共は一掃したが…これじゃあ…報酬あなんて貰えない……いや)

剣士(それどころか…パーティの死が私の過失として…クソっ、せっかくここまでのし上がってきたというのに…!)

剣士(何故こいつは戦わなかったんだ…!身体試験を通っておきながら何故…!)

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:04:41.78 ID:0lFzgIRW0
パサッ

剣士「……!杖!?」

魔術師「……」

剣士「…何?…こいつ、剣士じゃ…うそ…」

剣士(魔術師だったのか!?魔術師…くそ、こいつ、身体能力試験なんて通っていないじゃないか…!)

剣士(それどころか、ゴーレムは顕現生物…呪文による術は反駁されて効果が薄い…!最悪だ!)

剣士(これじゃまるで私…こいつをドラゴンの巣に誘い込んだようなもの…!)


魔術師「う……ぅう……」

剣士「…!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:08:20.28 ID:0lFzgIRW0
ズッ・・・ズッ・・・

剣士「まだ息はあるよな…?大丈夫だよな…!?」

魔術師「…ぅ…」

剣士「しっかりしろ…気をしっかり持て…!今、洞窟を出る…!明るい所で応急処置を施す…!」

魔術師「…ぁぅ…」

剣士「大丈夫だからな…応急処置…学校行ってなかったから、詳しくはわからんが…ちゃんとやるからな!」

ズズズ・・ズズ・・・

剣士(く…!…重い…!重すぎる…!)

魔術師「す…すみません…ごめんなさい…」

剣士「…!」

魔術師「私……ドジで…馬鹿なんです…ごめんなさい…」

剣士「…黙ってろ!悪いのは全部私だ!」

魔術師「……」

剣士「待ってろ、助けるから……!」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:12:05.67 ID:0lFzgIRW0
魔術師「すーっ」

魔術師「はぁあああぁー…」

剣士「…」

魔術師「…うん!もう大丈夫です!助かりました!」

剣士「…そうか」

魔術師「本当にありがとうございます…私、狭い所だとすぐ貧血になってしまうので…」

剣士「ああ…そうらしいな…私は背が低いからわからんが…」

魔術師「あはは、一時は視界が真っ暗になっちゃって、どうなるかと…」

剣士「……」スタスタ

魔術師「風景がぐにゃーって……あれ?どこに行くんですか?」

剣士「……帰る、疲れた」

魔術師「えへへ、私もです、じゃあ一緒にこれから…あ!美味しいパン屋さん知ってるんですけどこれから…」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:21:54.66 ID:0lFzgIRW0
受付「は、いえ、ですから、女性魔術師のホリィさん、間違いはありませんって」

剣士「私が希望していたのは剣士もしくは戦士で…!」

受付「そう申されましてもねえ、あの時ちゃんとファイルを2種類差し出したんですから」

剣士「う」

受付「ちゃんと物理戦・魔術戦別の傭兵希望者に分けたんですよ?それをこちらの過失にされましてもねぇ」

剣士「し、知らなかったんだ!パーティを解消してくれ!」

魔術師「ええ!?そ、そんなぁ剣士さん…」

剣士「私は!……私のこの身長をカバーできる、接近戦可能な奴と組みたかったんだ!異種同士で組むなど…!」

受付「接近でも遠距離でも対応できてむしろバランスが良いとは、勝手ながら僕は思いますけどね」

剣士「うるさい!とにかく私の希望ではない!解消だ!解消!」

魔術師「そ、そんなぁ…私剣士さんと一緒にやってきたいって思ってたのに…」

剣士「うあぁあー……そんな涙目で見るな!」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:27:15.09 ID:0lFzgIRW0
受付「……まぁ解消は構わないのですが」

剣士「本当か!?」

受付「ええ、ですが違約金を支払っていただきます」

剣士「…………え?」

受付「当然でしょう、今日結成したばかりのパーティを今日解消…カードも解約…どんな迷惑行為ですか」

剣士「…それは…そうだがしかし…」

受付「違約金無しでパーティ解消・変更とする場合はそれなりの信用を築いてもらいませんとね」

剣士「……は、また信用か」

受付「この世は信用が全てですよ、剣士さん」ピラッ

“違約金 22000YEN”

受付「これが仕事ですからね、どうしても解消というなら…また景気よく、これに判を捺しても良いのですが」

剣士「……うぐ…」

魔術師「剣士さん…」

剣士「…」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:32:20.87 ID:0lFzgIRW0
――北東関所前公園 広場


剣士「……」

魔術師「わー、お金いっぱいもらっちゃった…剣士さんのやった仕事って、こんなにすごいんですね…」

剣士「……おい」

魔術師「……剣士さん?」

剣士「怒って良いんだぞ」

魔術師「?」

剣士「人の事を考えない、身勝手な奴だとな」

魔術師「…?…何の事ですか?」

剣士「……当然、パーティ解消の話だ」

魔術師「…」

剣士「違約金も払いたくない守銭奴…そう罵ってくれてもいいさ、私はそんな奴だ」

魔術師「…そんなことないですよ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:37:28.76 ID:0lFzgIRW0
魔術師「だって私はドジだし、まぬけだし…のろまだし…」

剣士「…」

魔術師「えへへ、学校にいた頃もそういう風に言われててー…」

魔術師「…自分でも思います、いざという時失敗しちゃうし…頭がこんがらがって、でも冷静になろうとすると、すぐにふらーって」

魔術師「……えへへ、パーティ解消されても何も文句は言えないです…私、本当にまぬけだから…」

剣士「…」

魔術師「…怒るなんて、そんなのとんでもないです、私こそ怒られるような人です」

魔術師「ごめんなさい、剣士さん…私みたいな、あはは…でくのぼー、と組むことになっちゃって…」

剣士「……」


「ままー、あの人たちすごーい」

「あら、あの子ユウくんと同じくらいの子かしらねー」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:44:00.60 ID:0lFzgIRW0
――八卦の国、ニの町 大通り

魔術師「わあ、すっかり陽がくれちゃいましたねー…真っ赤かだぁ」

剣士「…綺麗だ」

魔術師「んー、まぶしー」

剣士(……影長っ…)

魔術師「…私、このニの町でお父さんの知り合いの人の商店の部屋を借りて一人暮らししているんですけど…剣士さんは?」

剣士「え?」

魔術師「剣士さんもニの町に住んでいるんですか?それとも宿ですか?」

剣士「……ああ、宿を借りているよ」

魔術師「ほんとですか!行ってみたいなー!」

剣士「…お前がいるとうるさくなりそうだから、駄目だ」

魔術師「うっ…ごめんなさい…」

剣士「謝るほどのことじゃないだろ」

魔術師「あう、すみません…」

剣士「……」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:50:13.20 ID:0lFzgIRW0
魔術師「じゃあ、私の宿はここなので!」

剣士(…ホリィの身長だと小さく見える店だ…割としっかりしてる普通な店のはずなのに)

魔術師「あ……また明日、ですか?」

剣士「……あ、ああそうだな…明日また、8時くらいに傭兵協会のロビーで会おう」

魔術師「えへへー」

剣士「……なんだ、にやにやして」

魔術師「なんだか私ー…仕事してるみたいです!」

剣士「……仕事だからな」

魔術師「えへへ、そうですね」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 17:52:50.83 ID:0lFzgIRW0

魔術師「……あ、剣士さん!」

剣士「?」

魔術師「私は…剣士さんとパーティが組めて、嬉しいです!」

剣士「……」

魔術師「剣士さんがいなかったら、多分私と一緒に組んでくれる人なんていなかったと思います」

剣士「…そんなことあるか、自信を持て」

魔術師「……えへへ…ありがとうございます」


剣士「……じゃ、また明日だ!」

魔術師「えへへ……はい!明日っ!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:00:02.35 ID:0lFzgIRW0
――酒場


剣士「……ゴクゴク」

剣士「…ふぅ」コト

主人「浮かねぇ顔だな、ヘマでもしちまったか?」

剣士「ヘマ…ヘマね…言うなら昨日かな…」

主人「昨日?」

剣士「浮かれ過ぎて…文字も見えなくなった…それだけだよ」

主人「酒も入ってねえのに泣き上戸か?おいおいやめてくれよ」

剣士「ふん、誰が泣くか」

剣士「……ま、泣きたくはあるけどな…自分のふがいなさって奴に…」

主人「なんだ、いつもの威勢はどうしたよ」

剣士「……落ち込む事もあるんだよ、人間だからな」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:02:11.40 ID:0lFzgIRW0
主人「…しっかし、本当に今日はどうしちまったんだお前、元気が無いってどころじゃないな」

剣士「……元気は無いが」

ジャラララ・・・


主人「!おい、この金…」

剣士「…ミルク、もう一杯…ふっ、初給金の記念だ、今日はいつもより多く飲んでやる」

主人「…わかってるよ…朝までな?」

剣士「ああ、いつも通り……すまないな、いつも宿代わりにしてしまって」

主人「構わねえよ、一杯でも飲みゃ客も客だ」

剣士「…よし、じゃあ麦パンも一切れ貰おうか、大サービスだ」

主人「……ったく、もっと奮発してくれよな」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:10:13.32 ID:0lFzgIRW0
――八卦の国、世界でも指折りの、魔力産業が特化した国

――ライフラインを全て、国の地下に眠る魔石のエネルギーにより賄っている

――噂では国の地下深くに大量の魔石が眠っているらしいが、

――それを狙う者は皆等しく、ある一定の深さまでしか掘り下げることができない

――この国の地下には、国をすっぽり覆ってしまうほどの巨大な岩盤があり、

――それは亀の甲羅であると、言い伝えられている

――しかしそんな伝説も遥か昔の伝承であるので、

――そのようなおとぎ話を信じている者は今では、一人もいない

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:13:28.24 ID:0lFzgIRW0
魔術師「……国より大きな亀さん…!」

魔術師「すごい、この国って亀さんだったんだ…!」パラッ、パラッ

剣士「何を読んでいるんだ?」

魔術師「! あ、剣士さん!おはようございます!」

剣士「ああ、良い朝だな」

魔術師「えへへー、そうですねー、良い天気ですっ!」

剣士「……その本は」

魔術師「あ、あそこの本棚にあったので勝手に読んでました!」

剣士「ほう…そうか、私も暇があったら読んでみようかな」

魔術師「えへへ、待ってる間に暇をしなくて良いですよー」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:19:25.06 ID:0lFzgIRW0
魔術師「それで、今日は一体何をするんですか?」

剣士「ん?んー…」

魔術師「あ……大丈夫です、今回こそ貧血になったりしませんから!頑張りますから!」

剣士「いや、そういうことではないんだ」

剣士「傭兵といっても色々な仕事があるからな、何も戦いばかりが傭兵ではない」

魔術師「あ……えっと、物を運んだりとかも仕事なんですよね?人を守ったりとか!」

剣士「そうだ、国との戦争……は今は無いが、何も命の危機を招くような仕事ばかりやらなくても良い」

魔術師「ふむふむ」

剣士「私は剣士でホリィは魔術師だ、戦闘においては得意とする分野も違う」

魔術師「確かに……昨日のように、私の術が全然効かないこともありますからね」

剣士「そうだ」

剣士「…だから今回は、二人でできそうな安全な警備、または護衛の仕事を探してみようと思う」

魔術師「まずは仕事を探すんですね!探すのは得意ですよー!」

剣士「ふ、頼もしい限りだな」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:24:33.04 ID:0lFzgIRW0
――護衛の場合

受付「あー…どの依頼者も身長制限を設けていますね、高い視点からでなければ見えない範囲もありますし」

剣士「……」

魔術師「え……で、でも私がいますよ?」

受付「いやー、民間の傭兵の方は任務を二人以上でこなしていただくという規則がありますから」


――採集の場合

受付「魔鉱石の採掘ですか……あー、ちょっと狭い所の作業となってしまうので、ホリィさんはちょっとダメでしょうかね」

魔術師「あう」

剣士「…くそ、私は余裕なのだが…」


――運搬の場合

受付「馬鳥馬車の運転免許証はお持ちですか?これはどちらかが持っているだけでも構いませんが」

魔術師「…はうう…」

剣士「おい貴様、昨日から思っていたが実は私たちの事を蹴落とそうとしているだろう?」

受付「いやそんなつもりはないです、いや本当に、自分でも驚きですが」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:28:48.06 ID:0lFzgIRW0
受付「……こちらでも色々と仕事の方を探してみたのです…」

魔術師「…」

剣士「…」

受付「……残っている任務はほぼ討伐などになってしまいますね」

剣士「馬鹿な!そんな馬鹿なことがあってたまるか!少しはあるだろう、護衛とか、少しは!」

受付「あるにはあるのですが、国の反対側や…かなり遠くの地域に派遣されてしまいますよ?」

魔術師「遠く…ですか…」

受付「移動のための運賃だけでも報酬を絞めますし、しかも移動による時間のロスで更に受注できる仕事が少なく…」

剣士「ああもういい!わかった、討伐で構わん!貴様の掌の上で踊って見せよう!」

受付「いえ、ですからそんなつもりはありません」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 18:30:58.73 ID:0lFzgIRW0
ばんごはん

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:21:48.06 ID:0lFzgIRW0
魔術師「討伐かぁ…うーん、頑張ります!」

剣士「…これしかない……とはいえ、まだ組んでから日も浅い…互いの力も全く把握できていない状況だ」

受付「そうですね、最初はランクの低い…最低のものからチャレンジしていくのが良いと思います、昨日はEを受けていたようですが」

剣士「…もっともだな、しかし金が欲しい」

受付「欲に憑かれると思わぬ事故に遭います、慎重に決めてくださいね」バサッ

魔術師「あ、これはファイルですか?」

受付「はい、ここが討伐・採集の対象となっています」

剣士「……ふむ…」

受付「土台、お持ちしましょうか」

剣士「頼む」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:26:39.83 ID:0lFzgIRW0
剣士「ふむ、なかなか毒のありそうな奴らが揃っているな…」

魔術師「ど、毒ですか…」

受付「低いランクの対象は主に一次産業に害を及ぼしますからね、毒を持つものも多いです」

剣士「数は多そうだな」

受付「そりゃもう、郊外森林、国内にも五万といます」

魔術師「ほえー……怖いですねぇ」

受付「ここらへんのページの対象は討伐というよりも駆除に近い形になりますね」

剣士「報酬が低い、もっと高い奴は…」

魔術師「あ、これなんてすごいですね!十万YENですって!」

受付「……まあ、決まったら受付の方にファイルを返してくださいね」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:35:47.29 ID:0lFzgIRW0
“C:錆蜘蛛アスメ”

剣士「これだ!」

魔術師「これです!」

受付「報酬金額を見て決めましたか」

剣士「ふん、悪いか?」

受付「いえいえとんでもない」

受付「…アスメは人ほどもある巨大な蜘蛛…だけならばただ気持ち悪いだけで済むのですがね」

剣士「何か特別な事情があって、こんなに高額な報酬が設定されているのだろう?」

受付「まぁ、はい」

受付「アスメは蜘蛛と称されていますが、その生態は大きくかけ離れたものです」

剣士「鉱物を食う」

受付「その通り、鉱山の麓にある点々と存在する数少ない採石場が、このアスメによって荒らされているんです」

剣士「ああ、掲示された新聞で読んだ事がある…採石場に穴を作ってしまうから、陥没したりでその被害が無視できないと」

受付「博学ですねぇ」

剣士「雑学さ」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:41:12.82 ID:0lFzgIRW0
受付「出現地域は主に採石場です、この二番の地域でも被害は出ているそうなので、そこを当たってみてください」

魔術師「えーっと、採石場って…あれかなぁ?診療所のちょっと向こうにある…」

受付「はい、そこですね近いので徒歩でもいけるかと」

剣士「…そうだ、ひとつ聞いておこう」

受付「? はい」

剣士「こいつ、タイトンのように呪文を反駁したりはしないだろうな?」

受付「原始的な生き物なのでそれは無いと思いますね、調査はされていませんが…」

剣士「……心配だな」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:43:06.94 ID:0lFzgIRW0
魔術師「大丈夫ですよ!私、頑張りますからっ!」

剣士「ふ、期待してるぞ」

受付「……あーそれよりもむしろですね」

剣士「?」

受付「剣士さん、あなたの剣、それが通じるかがわかりませんよ?」

剣士「……ふん、バカにするな、私の剣の力なら岩程度は砕かすことができる」

受付「油断はしないでください……よっ」ドンッ

“受理”

受付「民間の傭兵とはいえ、怪我をされてしまうとこちらの風評に響きますからね」

剣士「……ふん」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:51:37.35 ID:0lFzgIRW0
――八卦の国、ニの町 大通り

剣士「全く、いちいち癇に障る奴だ!」

魔術師「あはは…」

剣士「ふん、まあいい…できれば今日、遅くても明日には仕事を終わらせて、目に物みせてやる…」

魔術師「? え、これって今日じゃ終わらないんですか?」

剣士「……さあ、どうだろうか…対象が見つかれば早く終わらせる事も出来るが…」

魔術師「えっ、じゃあ今日見つからないと、どうなるんですか?」

剣士「……さあ」

魔術師「えっ?」

剣士「現地でそのまま張り込みでも、一旦帰宅しまた後日…でも良いんじゃないだろうか」

魔術師「あぁ、そういうことですか!なるほどー」

剣士「ああ」

剣士(……私は…できる限り早く名声を高め……)

剣士(そして……)

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 19:56:30.23 ID:0lFzgIRW0
魔術師「それにしてもー」

剣士「ん?」

魔術師「私、傭兵さんってもっと忙しいのかと思ってました」

剣士「……というと」

魔術師「ほら、傭兵さんってあるじゃないですか?ベルの音で一斉に起きて、足音をそろえてー、みたいな」

剣士「ふむ、イメージは伝わるが私はそれに全く共感する事が出来ないな」

魔術師「なんていうか、もっとキビキビと、時計を見ながら動くような仕事だと思ってて…」ジャララッ

魔術師「ほら!こうして懐中時計も買ったりしたんですよ」

剣士「…まあ、気合いが入っていることは良い事だと思うぞ」

魔術師「えへへ、ありがとうございます」

剣士「……傭兵のイメージ…か」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:01:08.28 ID:0lFzgIRW0
剣士「そうだな、確かに傭兵と言えば忙しく各地を走り回り、戦い、戦って、戦い尽くすイメージはかつての私にもあった」

魔術師「あ、ですよねー」

剣士「しかし実態は、自分で好みの仕事を選びこなしていく、日雇いのようなものだ」

剣士「…まぁ、戦争や紛争など、四六時中あるものではないからな、当然の事だが」

剣士「……もし戦争にでも参加できるのならば、私の名を上げる事もできたのだが…」

魔術師「……剣士さんは、戦争がしたいんですか?」

剣士「…そう怖がるな、そういう意味じゃないさ」

剣士「……私は、金持ちになりたいだけだ、それだけだよ」

魔術師「? あははー、じゃあ私と同じかもしれませんねー」

剣士「かもな」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:07:52.40 ID:0lFzgIRW0
――採石場

カンカンカン、カンカン・・・

警備員「ん?子供か?立ち入り許可証は?」

剣士「随分厳重だな?そして私は成人だ…これでいいだろう、傭兵協会のお墨付きだ」

警備員「ああ、アスメの野郎の駆除か…そりゃ頼もしいな、通ってくれ」

剣士「御苦労」

魔術師「えへへ、ありがとうございますっ」

警備員(うお、でかっ…なんじゃあの女、現役だった頃の俺の親父以上ありやがる)

カンカンカン・・・

魔術師「わー、広ぉい…」

剣士「そうだな…ここから手探りで蜘蛛を一匹探すには嗅覚が何十倍か必要だろう…」

魔術師「えっと、こういう時って誰かに聞いた方が良いんですかね?」

剣士「それよりも先に、この現場の責任者への挨拶だな」

魔術師「あ、そっか、えへへ」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:15:29.67 ID:0lFzgIRW0
監督「ああ、そういや一週間前に出したな、討伐の依頼…」

剣士「忘れていたから帰れ、は通用しないぞ」

監督「はは、忘れていたのは図星だが、そんな無下に扱ったりはしねえよ、是非手伝ってもらいてえ」

魔術師「えっと、その蜘蛛さんって沢山いるんですか?」

監督「正直現場にいる俺らにもよくわからん、奴らは地中に潜んでいるからな」

剣士「岩石を掘り、そこに巣をつくる習性を持つと聞いた…ならば地上にも奴らが掘った穴はあるのではないのか?目撃者がいるということは、地上で確認したという事だからな」

監督「あー、あるっちゃあるな、奴らが食い散らかした憎たらしい穴だ」

剣士「ならばそこを埋めるなり水を放つなり…」

監督「やってみたが効果はねえ、穴は途中で陥没して埋まってしまっていたりすることが多いんだ」

剣士「……ふむ…」

監督「それに、開けられた穴の数も膨大だ…そんなことに労力は割けねえんよ」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:20:50.06 ID:0lFzgIRW0
剣士「……」

魔術師「……うーん」

監督「はは、まぁ難しく考えなさんな、確かに早く討伐してほしい奴らではあるが、時間制限があるわけでもないだろう?」

剣士「……」

魔術師「はい、ですけどやっぱり、早めに仕事は終わらせた方が良いですよね?」

監督「まぁまぁ、急ぐと事を仕損じるもんでな…」コポポポ・・・

コトッ

監督「茶だ、銘柄は知らんが飲んでくれ」

魔術師「わあ!ありがとうございます!」

監督「はっは、ベーグルもあるからな、まあ適当につまんで、ゆっくりしていってくれよ」

剣士「…ありがとう」

監督「はっはっは…ま、俺はあっちの部屋で書く書類があるが、準備ができたら呼んでくれ、問題の場所を説明して回ってやるからな」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:25:02.62 ID:0lFzgIRW0
剣士「……」ゴクゴク

魔術師「優しい人ですねー」

剣士「そうだな」

魔術師「もっとこき使われるかと思ってました、こう…来たらすぐ蜘蛛を探すみたいな」

剣士「悪かったな、昨日はこきつかって」

魔術師「あ、ご、ごめんなさいそういうわけじゃないです…」

剣士「冗談だよ」ズズズ・・・

剣士「……ふむ、彼らの話では、どうも蜘蛛は見つけにくいものらしいな」

魔術師「…地面の中にいるのって、どう探せばいいんでしょうね?」

剣士「確かにそれは問題だな、なんとか地上にあぶりだす手でもあれば仕事が早く終わりそうなものだが…」

魔術師「…長くなりそうですねー」

剣士「そうだな」

魔術師「…えへへ、でも私、剣士さんと一緒にいるの、楽しいから全然平気ですよ!」

剣士「……そうか」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:31:45.88 ID:0lFzgIRW0
カンカンカン・・・カンカン・・・

監督「ここだ、ここ…登れるか?」

剣士「よっ…ふう、なんとか」

魔術師「ふう、ひい…あぅ、山を歩いてるみたいです…」

剣士「手を貸してやってもいいぞ?」

魔術師「だ、大丈夫です…ふうっ…」

監督「…作業のの際には形の整った石を切り出す…それは選んで切りだすから、アスメの穴のせいで形が悪くなったりとか、そういう被害はあまりない」

剣士「……ふむ、まるで蜂の巣だな」

監督「ああ、ここまでやられるとさすがに辛いがな…ここはもう、どこに空洞があるかわからん場所になっちまって、作業は行われていない」

魔術師「わー、すごいぼこぼこしてる」

監督「最初の被害が出たのもここだ、こっからどんどん、平らなまだ切り出しの始まっていない区域にも被害が出始めた」

剣士「被害額が気になるところだな」

監督「はは、そいつは勘弁してくれ…次はこっちだ、ついてきてくれ」

魔術師「あ、もうここ下りちゃうんですか」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:36:15.90 ID:0lFzgIRW0
監督「……とまぁこんなところだ、被害は今のところ広く浅い感じではある」

剣士「ふむ」

魔術師「つ、疲れたぁ…」

監督「だがここから被害がどんどん深くまでいくと、こちらも仕事ができなくなっちまうからな」

剣士「なるほど、わかった、状況は把握した」

監督「討伐の手段は何でもいい、ただし現行の作業の邪魔をせず、あまり石を破壊しすぎないようにしてほしい」

魔術師「ひっそりと、っていうことですね!」

監督「んー?まぁそんなもんだな、やり方は任せるぞ…じゃ、俺は現場に戻らせてもらう、さっきの部屋は好きに使って良いから、頼んだぞ」

剣士「ああ、任せろ、必ずアスメ共を血祭…討伐してやる」

魔術師「今回は私もがんばりますよー!」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:39:52.71 ID:0lFzgIRW0
剣士「と格好だけはつけてみたが」

魔術師「あははー、広いですよねー」

剣士「……まいったな、この広さは手探りでなんとかできるレベルではない…」

魔術師「どうしますか?」

剣士「……」

剣士「とにかく、奴ら害虫共が逃げ隠れするようでは埒が明かない…なんとかあぶりだして、それを叩き潰していく方向で行こう」

魔術師「…あ!穴の前にベーグルを置いて待つのはどうでしょう!?」

剣士「うむ、そういった前衛的な試みは嫌いではないぞ」

魔術師「えへへー」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:43:56.28 ID:0lFzgIRW0
魔術師「……」

剣士「……」

魔術師「……なかなか、蜘蛛さん出てきませんねぇ?」

剣士「…ホリィ、お前本当にベーグルで出てくると思っていたのか」

魔術師「え?でも剣士さんも今こうして…」

剣士「それはまだ私がこれ以外の策を思いついていないからだ」

魔術師「ああ、そういうことですね、なるほどぉ」

剣士(……くそ、なるべく多くの任務をさっさとこなして、ギルド側に実力を認めさせたかったのだが…)

魔術師「蜘蛛さーん、美味しいよー、焼きたてだよー」

剣士(……これは思いのほか時間がかかるかもしれないな…)

剣士(そもそも受付の男の話では、私の剣がアスメに通用するかどうかわからないと…むぅ、まいった…)

剣士「……ん?」

魔術師「え?」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:50:23.14 ID:0lFzgIRW0
剣士「そうだ、ホリィ、お前は魔術師だな?」

魔術師「? はい、魔術師ですよ?」

剣士「属性は?いや、何級までの術を扱える?」

魔術師「え?」

剣士「魔術能力試験の結果は?学校――」

魔術師「まま、待ってください!そんないっぺんに言われてもー」

剣士「…よし、じゃあまずはどの程度魔術を使えるのかを聞かせてもらおうか」

魔術師「……うーん、落ち着いている時なら中級とか使えますよ!属性は火とー、水とー、雷とー、あと風邪を少しだけ!」

剣士「…三属性は中級までか…ふむ、かなり優秀じゃないか?」

魔術師「えへへ、学校のテストだけです……」

剣士(属性を使ったあぶりだし……ホリィの力を見るいい機会でもある、やってみるか…)

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:57:13.59 ID:0lFzgIRW0
――作戦1、水攻め

魔術師「えっとー、ここの穴に向かって水を沢山落とせばいいんですね?」

剣士「そうだ、洗い流すように思いっきり流してくれ」

魔術師「…蜘蛛さんがどこからの穴から、ぴゅーって飛び出てくるんでしょうかね?」

剣士「安易だが私はその発想に賭けてみるのも悪くないと思っている」


魔術師「……では、いきますよ!」

剣士「ああ、遠慮せず思いっきりやってしまえ!」

魔術師「すぅー…はぁー…」

魔術師「……“アーキュ・ルーツ”!」

ゴポッ、ゴポポポ・・・

ザババババッ

剣士「!」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:01:00.08 ID:0lFzgIRW0
ザザザザザザ・・・

魔術師「…」

剣士(…すごい、本物の魔法だ…割と下級の、ただ水を生みだすだけの魔法のはずなのになんて量だ)

ザザザザ・・・

剣士「! そうだ、どこかの穴から水流が沸き出てくるはず…それを見つけないと…!」

ザザザザ・・・ ザザザ・・・

剣士(水流の音は……まだ続いてる、岩の中に掘られた空洞は長いという事か)

剣士(ホリィの魔力の量も心配だが、とにかく穴の終点を洗い流すまで…)

魔術師「……」

ザザザザザ・・・ ゴポッ、ゴポポ・・・

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:23:17.99 ID:0lFzgIRW0
ナウシカ良かった
続きを書こうね

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:28:02.52 ID:0lFzgIRW0
魔術師「……!」

剣士「む…!?」

ゴポッ・・・ゴポポポ・・・

魔術師「わ、わわわ!水が逆流してる!?」

剣士「ホリィもういい、術を止めるんだ」

魔術師「は、はいっ」

剣士「…くそ、穴がどこかに通じていると考えたのが浅はかだったか…行き止まりしかなかったようだ」

魔術師「…うう、靴が少し濡れちゃいました…」

剣士「すまんな、私のと替えてやっても良いぞ」

魔術師「え、いやぁ、そこまでひどくないので大丈夫です」

剣士「……」

剣士(もしかしたら今の穴に十分に水が満たされ…中に居た蜘蛛を溺死させたかもしれないが…それを調べるのは難しいな)

剣士(どうにかしてアスメを穴から引っ張り出したいが…さて…)

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:33:12.56 ID:0lFzgIRW0
――作戦2、火炙り

魔術師「…わあ、ここの石、大理石みたいにつるつるしてます!」

剣士「こんなに高そうな石でも、食われてしまえば用途が限られ売りにくくなってしまうな」

魔術師「…ここにも穴があいてますね…虫なのに、どうやってこんな大きな穴を開けているんだろ…」

剣士「……うむ、ここなら丁度良いかもしれんな…この低さ、角度…この穴でいってみよう」

魔術師「えっと、次はー…」

剣士「ホリィの火の術で、この穴に火を通してみようと思っているが…できるか?」

魔術師「…うーん…魔力もまだまだあるので、大丈夫です!やってみます!」

剣士(生き物というものは水には耐えられても、熱にはとても耐えられんものだ…これならば上手くゆくかもしれん!)

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:42:39.58 ID:0lFzgIRW0
魔術師「えーっと、たき火みたいにぼーって、やればいいんですか?」

剣士「うむ、イメージとしてはそうだが、……そうだな、大罪人を焼き殺すほどの強さでやってしまって良いぞ」

魔術師「そ、そんなのよくわからないです!」

剣士「ならばドラゴンの丸焼きを作るような火力で良い」

魔術師「……えへへ、ドラゴンの丸焼き…」

剣士(ドラゴンなら良いのか?)

魔術師「じゃあ、放ちますね…」

剣士「……」

魔術師「……“イアニュス・ルーツ”…!」

シュボッ・・・ボボボボボボボボ!

剣士(……すごい、やはり魔術師は派手さが違う…応用も聞く…国が力として教育に金をつぎ込むのも納得だ)

剣士(そしてホリィ…こいつもそうだな、なかなかの教育を受けているらしい…)

剣士(……確かにホリィ、こいつは優秀だろう…だが…)

ボボボボボ・・・

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:45:58.74 ID:0lFzgIRW0
魔術師「……」

シュボボボ・・・

剣士「…さて、ホリィが頑張っている間に私は“煙突”を探さなければ…」

剣士「……今のところ煙が出ている穴は…!」

モク・・・モクモク・・・

剣士「……来た、煙…!あそこか!」

タタタ・・・ズザザッ

剣士「……ここで待ち伏せをしていれば…中にアスメが潜んでいれば…!」

モクモク・・・

剣士「……」

モクモク・・・

剣士「……チッ」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:51:12.45 ID:0lFzgIRW0
魔術師「うーん…なかなかうまくいきませんねっ」

剣士「…火炙り…アイデアは良いとは思ったんだが…やはり穴が多すぎるか…?」

魔術師「……あの、剣士さん!私ならまだまだ全然平気なんで、大丈夫ですよ!」

剣士「うむ…いや、だが虱潰しをするにしても、あまりにその数は多い…違う作戦を考えなければならんな…」

魔術師「……」

剣士「何か…何か効率の良い方法は…」ブツブツ

スッ

剣士「!!」

ナデナデ

魔術師「えへへー」ナデナデ

剣士「…何のつもりだ?」

魔術師「えへへ、考え込んでる剣士さん、なんだか可愛くて…」

ゴツン

魔術師「…あうう…殴らなくても…」

剣士「ホリィ、お前も真面目に考えろ、真面目に」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 23:58:09.94 ID:0lFzgIRW0
監督「あー疲れた…まぁ今日の作業は随分と進んだ方かな…やれやれ」

ガチャ

監督「こう毎日石の上を歩いていると、足首もすり減っちまう……ん?」

剣士「この石山の穴がこうで、こっちの崖にある穴からくるわけだから…」ブツブツ

魔術師「むにゃむにゃ…ベーコンパン…」

監督「…おいおい、なんだこりゃ、この採石場の地図なんか広げて…本もそこらに散らかってやがるし」

剣士「む、おお、ここの監督か、すまないな、言葉通り好きに部屋を使わせてもらっているぞ」

監督「…いや…まぁ好きに使えといったからな、うん」

ガサガサ、ガサ

監督「よっ…足場がねえや…こんな夜までここで、一体何をしてるんだい?」

剣士「ふん、決まっているだろう」

剣士「蜘蛛根絶の作戦会議さ」

監督「…そうか、くくく、会議ねえ…」

魔術師「むにゃぁ……」

剣士「今日中にくまなくここの地形を調べ上げ、奴らをあぶりだせる場所を探してやるんだ…!」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:01:32.97 ID:+9rA69380
監督「じゃ、俺は家に帰る…この事務所は好きに使っても良いが…」

魔術師「うーん…むにゃむにゃ…」

剣士「ん?何だ?」

監督「…あー、なんだ、あまり根を詰め過ぎるのは良くないぞ」

剣士「何を、私は仕事をしているだけだ」

監督「……そうか」

監督「ま、風邪はひかないようにな!」

剣士「ああ、心配には及ばない」

監督「明日もまた、頼んだぞー!」

バタン

剣士「……」

魔術師「…すやすや…」

剣士(…こんな所で足踏みはしていられない)

剣士(さっさと終わらせてしまおう…そしてまた、次の仕事に…)

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:04:31.55 ID:+9rA69380
魔術師「…うーん…うにゃ…」

剣士「……」

魔術師「んっ…くぅぅ…ふぁぁああ…」

チュンチュン・・・

魔術師「……うん?」

剣士「…すーすー…」

魔術師「……!」

剣士「…すーすー…」

魔術師「……」マジマジ

魔術師「…寝顔…かわいい!」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:08:48.10 ID:+9rA69380
剣士「…う…」

剣士「ぐあ…首が…首が痛い!くぅ……!」

魔術師「あ、剣士さんおはようございますー!」ペコッ

剣士(…最敬礼が私よりも全然高い…)

魔術師「?」

剣士「…うーん…朝か、どうやら寝てしまったようだな」

魔術師「あ、ごごめんなさい…」

剣士「私の事だ……お前もだけどな」

剣士「……まぁしかし」パサッ

“第二地区採石場 構成図”

剣士「…昨日のうちに大体は仕上げられた…穴の位置、そこから予想される内部の空洞…」

魔術師「あ、この部屋にあったお茶入れたんですけど飲みますかー?」

剣士「ほう?気が利くな、いただこう」

魔術師「えへへー」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:14:36.55 ID:+9rA69380
剣士「……」ズズズ・・・

剣士「…外は白いが…まだ曇りで日が見えないな」

魔術師「でも、なんだかこういうどんよりしてて、全然晴れてない方が“朝”、って感じしません?」

剣士「…ふむ、そうかもな…私にはそんな繊細な感性は無いが…」

魔術師「ふんいきですよー、ふんいき」

剣士「……」モグモグ

剣士「…昨日の昼間に調べた穴の個所…穴の角度、それらはすべてこの地図の上に書きだした」ピラピラ

魔術師「わ、印がいっぱい」

剣士「細かい作業は得意だが、しかし肩が凝る…」コキコキ

魔術師「あ、じゃあ私が揉みましょうか?」

剣士「…いや、握り潰されそうだ、遠慮しとく」

魔術師「そ、そんなことしないです…」

剣士「朝蜘蛛は殺すなとの言い伝えだが、その教えに唾を吐きにゆくぞ、さあ支度をしろ」

魔術師「え、もう行くんですか?まだお風呂…」

剣士「そんな贅沢なもの、ここにあるかわからん、早くしろ」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:20:31.00 ID:+9rA69380
ザッ

剣士「……」

ヒュォオオ・・・

剣士「ふう、朝の風は気持ちいいが、少し冷たいな」

魔術師「靄で町が霞んで見えるー」

剣士「…さて」パサッ

剣士(昨日の水攻めは明らかな失敗だ…上から水を流したところで、日常の雨に耐えられるであろうアスメを追いやれるはずはない…)

剣士(つまり、岩の上部に開けられた穴にはアスメが潜んでいる可能性は少ない……)

剣士(…これはアスメの能力が雨の耐性を持たない事を前提にした考え方だから詳しくはわからないが…)

剣士(上部に穴をもたない個所だけに絞れば……その数はかなり限られる)

剣士(アスメの生態が私の考え通りかどうかは後だ、とにかく数は絞った、まずはこの線でやってみよう)

魔術師「あ、黄色い石だー!綺麗!」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:24:00.58 ID:+qRJktb7O
パソコンを家族に取られ申した
遅くなるけど携帯から書く

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:29:11.35 ID:+qRJktb7O
魔術師「ここに火を放てば良いんですねー?」

剣士「うむ、景気良く頼むぞ!」

魔術師「はーい!…“イアニュス・ルーツ”…!」

シュボボボッ・・・

剣士(…さて、ここが上部に穴を持たない箇所だが…ここは昨日来た崖だな)

剣士(この採石場が初めてアスメに食われた場所で、ここから他の平たな岩場にもアスメが来たらしい…と…)

剣士(……上部に穴を持たない穴がある場所はここだけだ…ここはきっとなにかがあるはず…)

シュボボボ・・・

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:37:01.61 ID:+qRJktb7O
剣士(…?いやまて、おかしいな…)

剣士(アスメが雨を、巣穴への浸水を嫌うならば…何故縦に穴を掘る…?)

剣士(いや、アスメは雨を嫌っていない…水浸しになっても大丈夫な機構を持って…違う、そうじゃない!)

シュボボボ・・・

剣士「…陸上で暮らす生き物が…しかも蜘蛛が水を好むはずがない…ならば何故アスメはこの採石場に、崖以外の場所を縦に…穴を?」

剣士「……思い出せよ…何か…何か……」


“あー、あるっちゃあるな、奴らが食い散らかした憎たらしい穴だ”


剣士「食い……散らかす…!」

シュボボボッ・・・!

剣士「ホリィもう良い!そこから離れろ!こっちに戻れ!」

魔術師「えっ?でもまだ……」

ゾワゾワ・・・ゾゾゾゾゾゾ・・・!

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:42:59.46 ID:+qRJktb7O
錆蜘蛛「ジャッ…ジャジャジャ…」

「ジャジャ…ジャジャジャジャ…」

魔術師「わ……わわわ…!」

剣士「チッ!馬鹿だった…!もっと早く昨日の時点で気付いていれば…!」

魔術師「け、剣士さん!?なんだかすごい沸いて出てますよっ!?」

剣士「やってしまった…この崖は全体がアスメの巣だった!崖以外にある穴は全て、こいつらのただの“食事場”に過ぎない…!」

錆蜘蛛「ジャ…ジャジャ……!」

カチカチ、カチ、カツカツカチカチ…

魔術師「わわわ、崖を歩く音がすごい金属みたいですねっ!?」

剣士「言ってる場合か!さっさと来い!」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:49:11.59 ID:+qRJktb7O
「ジャジャ…ジャジャジャジャ…」

カチャカチャ カチカチカカカッ…

カツカツカチカチカツカツカチャカチカチ…


剣士「耳障りな足音…まるで鈑金工場にいる気分だ」

魔術師「…蜘蛛さんたち、崖を歩き回ってるだけで私達を襲ってきませんね…?」

剣士「…そうだな…巣穴や…中にいる子供が最優先なのかもな」

魔術師「子供、ですか?」

剣士「ああ」

剣士「…奴等は普段はあの巣穴に身を隠しているが、食事の際には外へ出て、別の場所から鉱物や岩を食う」

魔術師「それを子供達にあげるんですねっ?」

剣士「憶測だがな」

魔術師「なるほど……剣士さんすごい!」

剣士(…崖を食わないのは巣穴の崩壊を恐れているから…か?だとすれば合点はいくな…)

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:54:32.58 ID:+qRJktb7O
剣士「…しかし参ったな……」

魔術師「……はい…」

「ジャジャジャジャジャジャ…」

カチャカチャ、カチカチカチ…

剣士「ひーふーみー…ふん、数えるのも面倒だ…奴等を一網打尽にできればそれこそ大漁なのだろうが…」

錆蜘蛛「…ジャジャ……」カチカチカチ・・・

魔術師「…あんなにいたら、何を退治したらいいのか分からないですねー…」

剣士「…全くだ、律義に現れ、律義に一体ずつ襲ってくるならば良いんだが…」

カチカチカチ…カチカチカチ…

魔術師「……あの、試しにまた火を放ったり…?」

剣士「前衛的だが、それはやめておけ」

カチカチカチカチカチ…

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 00:58:51.44 ID:+qRJktb7O
ガチャッ

監督「おい!崖の所にアスメ共が大量に沸いていやがるって…!」

剣士「うっさい知ってる、そいつらを巣穴から追い出したのは私達だ」

魔術師「むふぅー…」

監督「あんたらが…?そうか、そりゃお手柄だ…!奴等の居場所さえわかれば…!」

剣士「……」

魔術師「……」

監督「…どうした?」

剣士「…ふー、参っているんだよ、仕事が進展していよいよ大詰めとなった今、こんなクライマックスにな…」

魔術師「あ、落とし穴とかどうでしょう!?」

剣士「馬鹿者、穴は奴等の十八番だろうが」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 01:08:27.19 ID:+qRJktb7O
監督「…なるほど、炙り出したはいいがそこからどう退治するかが考えつかない…と…」

剣士「ふ、情けない討伐隊だと笑ってくれて良いぞ…畜生、数をせいぜい二、三匹と踏んでいたのが甘かったか……」

魔術師「私の一番強い魔術をぶつけても、あの崖全域に威力が及ばないだろうし…そもそも崖が崩れちゃうし…」

監督「……これはどうだ?四方を新たに雇った増援で囲み、一斉に討伐する…」

剣士「そ、それはダメだ!」

監督「?何故だ?」

剣士「…それは…金がかかるだろう?何人雇うつもりだ?」

監督「……それはそうだが、この際アスメ共を全滅させられるなら…」

剣士「わ、私達だけでなんとかしてみせる!考える!元々私達の任務だろう!?」

監督「…まあ…それはそうだが…」

剣士(この任務は…私の名声のチャンスなんだ…傭兵達が力を合わせて採石場を守った、なんてニュースはいらない…!)

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 01:16:29.12 ID:+qRJktb7O
魔術師「……あ!落とし穴がダメならー…崖の下におっきな穴を掘って、その後蜘蛛さんを落としてー」

剣士「落とし穴じゃないか」

魔術師「まだまだ続きがあるんですよ!それでですね、そこに私の一番の術を、何発も放つんです!」

剣士「…なるほど、穴に潜らせる前に術で一網打尽…か…」

監督「…おい待て、その、アスメ共をたたき落とすための穴ってのは誰が掘るんだ?」

魔術師「……あ」

監督「それにその、一番強い術か?本当に連発できるのか?」

魔術師「はう…」

監督「アスメが術を防いだり、術に当たらなかったりして、穴から逃げ出したらどうするってんだ」

魔術師「…考えてなかった…」

剣士「……うむ…」

監督「…ここでの労働者も、あの崖の不気味な光景に怯えてんだ…離職者が出る前にさっさと事を済ませたい…」

剣士「ま、待ってくれ、しかし増援は…」

監督「それもやむなしさ」

剣士「……」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 01:28:15.96 ID:+qRJktb7O
監督「…とりあえず今から俺は朝礼で労働者達に話をして、落ち着けてくるが…それでもあの巨大蜘蛛への恐怖は拭えないだろう」

剣士「……」

監督「…あいつらはここ毎日、アスメの穴を気にして、石以上に精神を削って働いてきたんだ…できるだけ俺は、あいつらを安心させてやりたい」

監督「石工は八卦国の宝だ…この国を支えている柱のひとつだ、その卵達を腐らせたりはしたくない」

監督「…午後だ、今日の午後までに何か良い案を出してくれ…無ければ、俺は傭兵協会の方に増援の依頼を出してくる」

剣士(……くそ…!)

監督「じゃあ、朝礼にいってくるからな……また、午後に」

バタン

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 01:33:35.09 ID:+qRJktb7O


魔術師「…うーん…確かにあの人の言うとおり、人を沢山集めて囲んで駆除した方が…」

剣士「ふざけるなッ!」ダンッ

魔術師「ひゃっ…!剣士さん!?」

剣士「…チャンスなんだ…傭兵協会に、私の功績を知らしめる…!」

魔術師「け、剣士さん、落ち着いて…!」

剣士「こんな、こんな採石場などどうなっても知った事か!元々もう切り出す予定の無い崖なんだ、爆破してでも………ッ…!」フラッ

剣士(……くっ…!?頭が…!)

バタッ

魔術師「! 剣士さんっ!」

剣士「…くそ……この手柄は…私の……!はぁ……はっ…!」

魔術師(…!酷い熱…!やっぱり…昨日の徹夜で…!?)

剣士「…はぁ…はぁっ…!…あと少しで…少し…!」


196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:17:23.72 ID:+9rA69380
はぁい保守サンキューべリマッチ
はりきって続きを書こうか

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:24:03.46 ID:+9rA69380
魔術師「剣士さん、無理しちゃだめです!すごい熱ですよ…!」

剣士「…こんなもの…!デノン熱に比べたら…!は、はっ…」

魔術師「ダメですー!行っちゃだめですー!」グイッ

剣士「は、離せ…!いや降ろせ!」ジタバタ

魔術師「ま、まだまだ時間はあるんですよ!?午後まで時間はあるんですよ!?」

剣士「ない!そんなものを待っていたら、いつまでも時間を引き延ばす怠惰な一生を送る事になる!」

剣士「私は…!私はそんなものご免…」

魔術師「!」

剣士「だぁ……」バタッ

魔術師「け、剣士さんー!」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:29:45.60 ID:+9rA69380
剣士「…すぅ…すぅ…」

魔術師「えっと、これを絞って…」ギュッ ボタボタ

魔術師「…これで熱さましになりますよねっ」

ビチャンッ

剣士「ぶっ…」

魔術師「あ、滴が口に入っちゃった…拭きとらなきゃ」フキフキ

剣士「……」

魔術師(…寝顔…すごく苦しそう)

魔術師(どうして剣士さん…こんなに無理して、力入れて頑張っちゃうんだろ…)

魔術師(…傭兵さん達の間では…これが普通なのかな?)

魔術師(じゃあ私は、全然頑張ってないのかなぁ…)

魔術師「……」

剣士「…すぅ…すぅ…」

魔術師(懐中時計…まだ午後まで時間はある…でも四時間かぁ、うーん…)

魔術師(でもでも…私がやるしかないんですよね?)

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:38:28.45 ID:+9rA69380
サラサラ

魔術師「…崖がー、ここまで高さあるからー…広さはこうしてー、深さはー…やれるだけやってみるしかない…」

魔術師(私一人でどれだけ掘れるかなぁ……うう、もっと色々な術を覚えておけばよかった…)

魔術師「でも…今ある術だと…やっぱり作戦の最初と最後にしか役に立てない…むむむ」

魔術師「……手作業だけど…大丈夫!きっとできる…!」

魔術師「うん…よし、設計図はこれで大丈夫…かな?」

魔術師「後は…着替えて準備して…あ!そうだスコップ!スコップ探さないと!」バタバタ

魔術師「えっとー、これかな?これなら掘れそうかな?」

魔術師「あとはー…」

剣士「…すぅすぅ…」

魔術師「…紅茶、淹れておきますねっ、ふふふ…具合が良くなってきたら飲んでくださいっ」

コポポポ・・・

魔術師(…剣士さんが昨日あんなに頑張ったんだから…私も、それに応えないと!)

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:45:00.90 ID:+9rA69380
錆蜘蛛「…ジャジャジャ…」カチカチ・・・


魔術師「…ふわー…崖の真下にいると、蜘蛛さんが落ちてきそう…」

魔術師(…怖がってちゃ…何もできないですよね…!)

魔術師「早く、時間制限はあるから…早くしないと…!えいっ!」

ガツッ

魔術師「……か」

魔術師「かったーい…あうう…」

魔術師「手が、手がしびれ…」

錆蜘蛛「? ジャジャ…」カチカチ

魔術師「うう、でも、でもでも掘れなくはないんです…頑張って、おっきな穴をあけないと…!」ザクッ

魔術師「よいしょ、よい…っしょ!」ザクザク・・・

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:50:08.19 ID:+9rA69380
カンカンカン・・・カンカンカン・・・

「……監督」

監督「あ、どうした?もうお前も作業を始めていいぞ」

「いえ、あの…崖の方なんですけど」

監督「さっきも言っただろう、崖の事は心配しなくても………!」

監督(…遠くてよく見えねえが、あれは…まさか)

カンカンカン・・・カンカン・・・

カン・・・

・・・

監督「……どうしたお前ら、作業を…」

「「「……」」」

監督「………別に、減給もしねえし、解雇もしねえよ」

監督「好きなように…今日は、好きなだけ、どこにでも穴をあけてやがれ!」

「「「……はい!」」」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 12:55:55.48 ID:+9rA69380
カンカン・・・・カン・・・

・・・

剣士「……」ズズズ

剣士「けほ、けほっ…」

剣士「…石にノミを打つ音が…止んだな?何かあったのか…休憩か?」

剣士「……ふ、しかし…私はなんてざまだ…こんな、あいつがあんなに頑張っているであろう時に…」

剣士「まさか、風邪で倒れてしまうとはな…情けない……」

剣士「……」パサッ

剣士「……ふふっ、“落とし穴設計図”…か、よくこんな計画を思いついたものだな…」

剣士「絵が、ははは、なんだこれは、蜘蛛か?ははは…下手くそめ」

剣士「ふふ……」ゴクゴク

剣士「……美味しいよ、紅茶」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:00:31.40 ID:+9rA69380
魔術師「よいしょ、よい…っしょっ!」ザクッ

魔術師「あうう、腰が痛いー……」ザクッ

錆蜘蛛「ジャジャジャ…」カチカチ

ガラガラ・・・

魔術師「……え?」

ドゴォン!

魔術師「きゃっ…!ら、落石っ…!?」

錆蜘蛛「ジャジャジャジャ……」カチカチ

魔術師「く、蜘蛛さん達が…!むむむ…!」

魔術師「負けないもん!この崖の一面をすっぽりと落とせるような、深い落とし穴を掘ってやるんだからっ…!」ザクザクッ

ザクッ・・・ザクッ・・・

魔術師「よいしょ、よいしょっ…!」

ザクザクザクッ・・・ザクザクザクザクザクザクザクザクッ・・・

魔術師「……あれ?」

石工「……」ザクザク

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:07:58.48 ID:+9rA69380
魔術師「…あ、あの、みなさん…?労働者の方ですよねっ?」

「……」ザクザク

監督「よーし、そっちの土運び出せー、適当な所に積んでおいていいぞー」

「「「ういーっす」」」

魔術師「監督さん?どうしてここに?」

監督「ん?おう、背の高いお嬢ちゃん」

魔術師「えっとー、ここって、もう石の切り出しはしていないんですよね?」

監督「……ああ、そうだ」

魔術師「…あ!じゃあもしかしてみなさん…!」

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:11:08.18 ID:+9rA69380
監督「俺が指示したわけじゃねえからな」

監督「…こいつらが、蜘蛛の大群の真下でせっせと土掘るアンタを見て…それで、勝手にやろうって始めただけだからよ」

魔術師「えへへ……ありがとうございますっ!」

監督「おーいお前ら、アスメ共の巣の真下たぞー、怖くねえのか馬鹿野郎ー」

「「「うーっす、超こえーっす」」」

監督「死ぬかもしれねえが、死んでも補償金下りねえからなー」

「「「うーっす、それなら大丈夫っす」」」

監督「……全く、本当に土と岩削る以外能のねえバカ共だぜ」ザックザック

魔術師「えへへ…でもみなさん、優しくて素敵です!」ザクザク

監督「そうかー?学校も出てねえ奴らだ、ろくでもねえよ」ザクザク

魔術師「監督さんも素敵ですよ?」ザクザク

監督「…はっは!こんな老いぼれが素敵か!うれしいねえ…」ザクザク

「あれ監督、監督は学校行ってたんすか?」

監督「あん?1年でやめたよ馬鹿野郎、喋ってねえで手ェ動かせ」ザクザク

魔術師「…えへへ」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:17:20.73 ID:+9rA69380
魔術師「よいしょっ!」ガツッ

魔術師「……!あ…」

「…!こいつは」

監督「…あちゃー、まいったな…やっぱりここまで掘り下げると岩があるかー…」ガンガン

魔術師「…ここは、スコップで掘れないんですか…?」

監督「無理だな、一番でっけーノミを使えばなんとか掘れるだろうが…」

「監督、持ってきましょうか?」

監督「おう、一応全部頼む……こんなにでっけー範囲を掘るには作業に集中してなきゃなんねえ」

魔術師「……?」

監督「アスメの奴ら、時々上から石を落してきやがるだろ」

魔術師「あ、じゃあ掘ってる作業中に…」

監督「…怪我人が出るかもな…こいつは難しい作業になりそうだ…」

魔術師「……うう…」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:23:50.44 ID:+9rA69380
「地下1メートルか2メートルまでは掘れたようだな?」

魔術師「!」

剣士「けほっ…よし、なら後は岩盤をすり鉢状に、できるだけ鋭角に掘っていけばいいだろう…」

魔術師「剣士さん!風邪は…!」

剣士「ふん、私はこんなものよりもっと恐ろしい病に冒された事がある、苦ではない」

監督「ちっこい嬢ちゃん…ここからはすり鉢状に掘ればいいのか?」

剣士「ああ、中央に向かって細くなるように掘れば良い…アリ地獄ならぬ蜘蛛地獄にしてやるのさ」

監督「…なるほど、それならやつらも簡単には上がってこれそうにはないな…」

剣士「地中に逃げられるのは厄介ではあるが、一番困るのは穴に落とした後地上に出られて、再びどこかに巣を作られたり、人が襲われたりする事だ」

監督「なるほど、それなら……労働者達への被害も少なくて良いかもしれねえ」

魔術師「……」

剣士「…ホリィ、良いアイデアじゃないか」

魔術師「! …えへへー、ありがとうございます…」

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:29:50.24 ID:+9rA69380
剣士「よし、岩盤を掘り下げる者以外は全員ツルハシなど武器を揃えろ!万一蜘蛛が襲ってくれば殺されるかもしれんぞ!」

「「「ういーっす」」」

監督「なんとまぁ、うちの従業員勝手に使ってくれちゃってよぉ」ガツッ、ガツッ

魔術師「えへへー」

監督「まー、これでアスメ共がいなくなるってんなら、俺も嬉しいんだけどな」

魔術師「任せてくださいっ!私、頑張りますから!」

剣士「ホリィ、お前はもう作業をやめて良いぞ、お前はやる事があるからな」

魔術師「ふえ?」

剣士「魔法だよ、体力を温存して集中しておけ」

魔術師「なるほど!はーい」

剣士「…けほっ…あと、それとな」

魔術師「?」

剣士「…蜘蛛を落とす作戦、大型の術はもちろん扱うが…もっと良い策を思いついた」ニヤリ

魔術師「…?」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:36:27.62 ID:+9rA69380
監督「…ひゅー、こんなおっそろしい大穴に落とされたら、大人でもなかなか戻ってこれねえな…」

「予定よりも随分と深くなっちまいましたね」

監督「んー?まぁ念には念をだな、深けりゃそれだけいいだろう」

剣士「けほ、……落石で怪我をした者はいるか?」

監督「あー、ちょっと大きめの岩が肩にぶつかって傷負った奴らならいるが、んなもんは茶飯事だ、問題ねえ」

剣士「……すまないな、そちらの工員を扱うような真似…」

監督「なに、これが俺らの能力だ、気にすんなよ」

魔術師「……」

剣士「ホリィ、魔術の準備は良いか?」

魔術師「は、はいっ」

剣士「緊張するな、呼吸とイメージが乱れるぞ」

魔術師「ううう、心臓の音が自分でも聞こえます…」

剣士「……大丈夫だ、お前ならできる」

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:43:36.36 ID:+9rA69380
“最初は崖一面にへばりついている蜘蛛共を、大穴にたたき落とす事だけを考えれば良い”

魔術師「……じゃあ、いきます…」

監督「お、魔術か…滅多に見れないもんだな、どれどれ…」

「「「……」」」

魔術師(…多分、この術ならあの崖一面の蜘蛛さんたちを下に落とせる…かも!)

ヒュンッ

剣士(杖を……向けた)

魔術師「…“イグネンプト・コスモフィウス”…!」

バチッ、バチバチバチ…!

剣士(! 杖の先から…来光が…!)

バチバチバチバチッ・・・!

錆蜘蛛「……ジャ…!」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:49:33.17 ID:+9rA69380
バチチチチチッ!

「ジャ…!…ジャジャ…!」

「ギィ…ジャ…ジャジャジャ…!」

ガシャン、ゴトッ、ガシャッ・・・

監督「おお…!杖から…なんと、崖一面に雷撃を放つとは…!」

「すげえ!蜘蛛がどんどん穴に落ちてくぜ!」

「おいみろあいつ、一番下にはまって痙攣してやがる!はっはっは!」

魔術師「はぁぁああ…!」バチバチ・・・

剣士(これは想像以上の広範囲だ…!雷撃が金属を求めて蜘蛛に狂いなく命中していく!これで全ての蜘蛛は穴に落ちた!)

錆蜘蛛「ジャジャ…ジャジャ…!」

剣士「…ふっ…ここまでくれば成功したようなものだ…!みんな!這い上がってくるアスメ共はツルハシで頭をぶち破ってやれ!」

剣士「一匹たりとも這いあがらせるな!奴らは全員……奈落よりもおそろしい蜘蛛地獄がもがき苦しませてやるのだからな!はははは!」

魔術師(け、剣士さん怖いです…)

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 13:55:39.68 ID:+9rA69380
監督「おらこの野郎!よくも一等高ぇ鼈甲石を食ってくれやがったな!」ドガッ

錆蜘蛛「ギャッ!」ドサッ・・・ゴロゴロ・・・ガシャッ

「うおらー!積年の恨みだ死ねええええ!」ドガッ

「ジャジャジャ…!…ギィィ……!」ゴロゴロ・・・ガシャッ

監督「くそっ、あの野郎共、思った以上にタフだ!電撃で死んでねえ奴もい多い、ツルハシも穴に蹴落とすだけが精いっぱいだ!」

剣士「ご苦労、だが安心しろ…さてホリィ、あの穴に向かって使える中で最大級の火の術でもお見舞いしてやれ」

魔術師「え、えっ?」

剣士「魔力はあるだろう?奴らを熱で焼き尽くしてやりたいんだ、熱には弱いだろう」

魔術師「…わかりましたっ!やってみますね…!」

剣士「この虫けらめ!這いあがってこれるものなら来てみろ!」ザシュ

錆蜘蛛「ギィァァアア…!」ゴロゴロ・・・

魔術師「……集中集中…」

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:04:37.59 ID:+9rA69380
魔術師「“イアニュス・ラテルス・ヘリオスエッグ”!」

シュボボボボ・・・!ボボボ!

「うわ、あっちぃ!」

監督「ぬおっ、なんちゅー熱風だ!あちち!」

剣士(おお、穴の上部に巨大な火球が…!)

錆蜘蛛「ジャ…ジャジャジャ…ァアア…!」

魔術師「…熱いだろうけど、ごめんなさいねっ…“落ちろ”っ!」

ヒュッ

ゴォォォオオオオオ・・・!


「ギャァアア……!」

「ギィ…ジャジャ…ァア!」

剣士「…ふふ、壮観だ、熱にもがき苦しむ蜘蛛共め…ふふふ」

錆蜘蛛「ジャジャジャ……!」

剣士「…ほう、まだ這い上がる気力のある奴がいたか…底辺から這い上がるその気力は好きだが」ドスッ

剣士「私はな、お前ら虫が大っ嫌いなんだ」

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:09:56.48 ID:+9rA69380
ボシュッ

魔術師「ふぇえー…さすがに疲れたー…」

監督「おお、すげえ…半分以上のアスメはもう身動きすらしてねえ!」

「やった!アスメを退治したぞぉおおお!」

剣士「いや、まだだ」

魔術師「え?」

監督「なん……!あっ!」

錆蜘蛛「ジャジャジャ…!」ガリガリ・・・

監督「奴ら…!岩盤を掘って地下に逃げてやがるっ!」

「ああ!あそこの穴はもう深くまで…!」

「やべえ、逃げられちまう…!」

剣士「ふん、問題ない…」

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:12:19.60 ID:+9rA69380
魔術師「え、ま、まだ魔法ですか?もう大きな魔術は失敗しちゃうかもしれないです…」

剣士「そんな大層な術は必要ないさ」

魔術師「え?でも地面に隠れちゃった蜘蛛さんを攻撃するとなると……」

剣士「ほんのちょっと、なに…水を生成する術を発動してやれば良い…くくく」

魔術師「…!…水ですねっ、わかりました!」

監督「! そうか、なるほどな…嬢ちゃんあんた」

剣士「くくく…はは、はっはっは…!」

監督「鬼だな」

魔術師「“アーキュ・ルーツ”!」

ゴポッ・・・ゴポ、ドドドドザザザザザ・・・!

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:40:52.01 ID:+9rA69380
カーリング最後すごかった
さあ張り切って続きいってみようか

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:49:21.31 ID:+9rA69380
剣士「奴らは巣穴を縦に掘らない…浸水しないようにするためだとすればな」

剣士「何故浸水を恐れるのか?それは当然、水が苦手であるからと考えるのが妥当だろう」

ドザザザ・・・

錆蜘蛛「ジャッ…ジャ…!」ゴポゴポ

剣士「突然真上から現れた火球の熱…それから逃げるためには、その火球から離れた…そう、地下、それも真下へ逃げるしかない」

ドザザザザ・・・

剣士「鉱物を取りこみ重くなった金属質の体…それで水中はさぞ辛かろうな」

剣士「残念だがこの穴は水はけの悪い岩盤…水流は貴様らの掘った穴に一滴こぼさず流れ込む」

剣士「水は低きに流れる……とは、少し違うか」

監督「お、水から這い上がろうとしてる奴らがいるぞー!引導渡してやれー!」

「「「ういーっす!」」」

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 14:56:12.65 ID:+9rA69380
錆蜘蛛「……」カチカチ・・・カチ・・・

剣士「はぁっ!」ドガッ

錆蜘蛛「ぎァっ……!」ガシャン

剣士「……よし、これで生き残りはいないな?」

魔術師「ふー、久々に沢山魔術使ったなぁ…疲れたー…」

剣士「……ホリィ、今日はすごい頑張ったな」

魔術師「えへへ……こんなに何かしたの、はじめてかもです…」

剣士「やればできるじゃないか……私以上に、すごいよ、お前は」

魔術師「……えへへー」

監督「よーしお前ら、その穴から蜘蛛を引っ張りだしてこい、数かぞえて報告するからなー」

「「「うーっす」」」

剣士「けほっ、けほ……ふう、とにかく、終わりだな」

魔術師「……えへへ、ですねっ」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:01:43.69 ID:+9rA69380
監督「十、ニ十、…うお、32匹か…」

「子蜘蛛と合わせてっすけどね…親らしき蜘蛛は卵を背中に抱えてました」

監督「ほう?じゃあもうあの崖には蜘蛛いねえな?」

「ええ、多分」

監督「よーっし…こりゃ思わぬ成果だ、まさかここまで早く討伐してくれるとはな…」

「…あの二人の女の子、良いっすよね」

監督「はは、気合いも入ってるし度胸もある、が…ちと、背が極端だな、ははは」

「あはは」

監督「……じゃ、俺は散らかされた事務所の掃除をするから…お前らは休憩でもしてろ、それが終われば通常通りの事後とだからな!」

「うっす!」

ガチャ

監督「はー終わった終わっ……あん?」

剣士「げほっ、ごほっ、か、風邪がぶり返した……」

魔術師「あうう…腰が…腕が…全身が痛いですぅう…」

監督「……」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:10:16.10 ID:+9rA69380
受付「アスメ、コロニーごと討伐…32匹全て…なんとまぁ」

剣士「ごほっ、げほっ…ふん、どうだ…私にかかればこんなものだ…」

魔術師「私達、ですよ…いたた、まめになってるぅ…」

受付「…依頼者側の報告書類には声援の声、感謝の言葉、まぁ色々ありますが…アスメからの被害は無いとありますね」

剣士「ふ、まぁな…虫けら相手にけほっ、…怪我などするものか…」

魔術師「あう!足つった!」ピキーン

受付「じゃあなんで今あなた方は死にそうなんでしょうか」

どんっ

剣士「!」

受付「まぁ、任務は完璧に成功ですね…予定よりも早く終わったようですし、依頼者からの評価も高い…うん、素晴らしい仕事です」

剣士「ふ…当然さ」

魔術師「えへへ、剣士さん沢山頑張りましたからねっ」

受付「報酬はあちらのカウンターで受け付けていますので、こちらの切手を持って、どうぞ」

受付「おつかれさまでした、ミゼラさん、ホリィさん」

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:15:56.82 ID:+9rA69380
――八卦の国、ニの町 大通り

剣士「ごほっ、ごほ……あー…ふらふらする…」

魔術師「剣士さん大丈夫ですか?おんぶしますよ?」

剣士「馬鹿にするな、一人で歩ける…子供じゃあるまいし…」

魔術師(…子供みたいだけどなー)

魔術師「…でも本当に大丈夫ですか?本当に具合が悪そうですよ…」

剣士「……問題ない」フラフラ

魔術師「……」

ガッ

剣士「あ」フラリ

魔術師「わわわ!危ない!」ギュッ

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:22:21.01 ID:+9rA69380
魔術師「剣士さんって、すごい努力家なんですねー」

剣士(くそ…結局おんぶか…なんてざまだ……)

魔術師「……あれ?起きてますか?寝ちゃいました?」ユッサユッサ

剣士「起きてる、あやすようにゆするな」

魔術師「あ、えへへーごめんなさい…」

剣士「……私はこの世の中、努力さえすれば…できないことなどほとんどないと…そう思っている」

魔術師「あ、私のお母さんもそう言ってました!先生も!」

剣士「良い親と恩師を持ったな、なかなか啓けている」

魔術師「えへへ」

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:24:32.93 ID:+9rA69380
剣士「努力とはいえ、さすがに努力だけでは王族にはなれないだろうが…」

剣士「…しかし、それは無理だとしても、なれるものやできることは、限りなく多い…と、思う」

魔術師「うんうん」

剣士「…人の一生などあっという間だ…時間は無駄にはできない」

剣士「だから私は、私の夢を実現させるため、努力を、時には無茶をすることも惜しまない」

魔術師「ほえー…剣士さんの夢ですか、どんな夢なんですかー?」

剣士「……」

魔術師「?」

剣士「うるさい、さっさと歩け」グイ

魔術師「あう、髪ひっぱらないでー…」

剣士「とにかく、私は夢を叶えるために、己を道を切り開くために…こうして、急いでいるんだ」

魔術師「仕事とかですか?」

剣士「そうだ」

魔術師「ふーん…急ぎの夢なんですね?」

剣士「急ぎの夢……?うむ、まぁ…そうかな」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:29:12.00 ID:+9rA69380
魔術師「あ」

剣士「……?どうした、立ち止まって…けほっ」

魔術師「剣士さんって、一人暮らしですか?」

剣士「…うむ、まぁ…そうだが?」

魔術師「…えへへー…」

剣士「?なんだ、気持ち悪いな…」

魔術師「じゃーこれから、私の住む宿に行きましょう!」

剣士「……は?」

魔術師「看病ですよ!かんびょー!」

剣士「なん……?そんなものはいらん!おろせ!」

魔術師「だーめです!風邪のまま一人じゃ、本当に辛いんですから!」タッタッタッタッ

剣士「うあ!揺れる!高い!」

魔術師「また仕事がうまくいったって、おばさんに褒めてもらわなきゃ!」

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:34:12.46 ID:+9rA69380
店主「あら、ホリィちゃんおかえり!…って、あら…その後ろの子は…?」

剣士「……」ムスッ

魔術師「えへへ、前に話した友達の剣士ちゃんです!」

剣士「ともっ……」

店主「あらー可愛い!抱いて良い?」

魔術師「えへへ、いいですよー」

剣士「おいこら人を小動物のように扱うな」

店主「うふふー…ホリィはすぐにぐんぐん成長したからだっこできなかったけど…この子は良いわねえ」

剣士「暑い!」

魔術師「えへへ、まぁまぁおばさん、中に入りましょ!もう今日は疲れちゃいましたから…」

店主「あらあら、そんなに服を汚しちゃって…ていうかおばさんって何かしら?訂正するまでいれてあげないわよーうふふ」

魔術師「あ、おねえさん!」

店主「よろしい、いらっしゃーい、そしておかえりー」

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:42:30.13 ID:+9rA69380
剣士「けほっ…こほっ…」

店主「レンカトウのスープよ、体が温まるから、のみなさい」コトッ

剣士「……すまない」カチャ

剣士「…ふー、ふーっ…」

店主「……うふふ」

魔術師「…えへへ」

剣士「……」

剣士「…で、ホリィはこの店を宿にして住んでいるのか?」

魔術師「あ、はい!おb…おねえさんはお父さんの親戚なんです!」

店主「ふふ、ホリィちゃんがニの街に来るって手紙が来たから、もう即決よぉ」

剣士「……ほう」

魔術師「えへへ、傭兵協会って、全ての街にあるわけじゃないですからね…」

剣士「…ま、実家から通うのでは面倒だな、確かに近くの宿を見繕うしかない」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:49:59.68 ID:+9rA69380
店主「でも、剣士ちゃん本当にありがとうね?」

剣士「……?」

店主「この子、傭兵になるってこの街に来たのはいいけど、傭兵協会に登録したはいいけど誰もパーティが見つからなくて…」

魔術師「……えへへ」

店主「この子、おっちょこちょいだしね…本当に仕事がくるのかなー、この子と一緒に仕事してくれる人はいるかなーって」

剣士「……」

店主「そう悩んでいた事もあったけど、ふふ、剣士ちゃんがパーティにホリィちゃんを選んでくれて、本当によかった」

魔術師「うん!えへへ、剣士さんが選んでくれたって傭兵協会から通知が来た時、私思わずおねえさんとダンス踊っちゃったもの!」

剣士(嬉しくてダンス…随分と仲が良さそうだな…)

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 15:51:18.55 ID:+9rA69380
店主「だからほらっ」

剣士「!」ボフ

剣士「……毛布…」

店主「ホリィちゃんは私の子も同然!そのホリィちゃんの友達である剣士ちゃんも、私の子も同然よ!」

剣士「……めちゃくちゃな」モフモフ

店主「ふふ、ありがとう、これからもホリィちゃんを支えてあげてね?」

剣士「……」

剣士「………わかっ…た」

魔術師「えへへー」

店主「じゃあ私、店の一階の会計の管理しなきゃいけないから、戻るわねー」

魔術師「はーい!お仕事頑張ってくださーい!」

店主「剣士ちゃん!本当に、ゆっくりしてっていいからねー!」

剣士「……うむ」

剣士(……)

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 16:05:42.59 ID:+9rA69380
剣士(……)モフモフ

剣士(…毛布…本格的な布団で寝るのっていつ以来だ?宿屋以来か?)

魔術師「あ、腰のポーチは取らなきゃ寝辛いですよ?」

剣士「あ……おう」

カチャカチャ

魔術師「今日一日くらいは、ゆっくりと体を休めた方がいいですよ?」

剣士「……」

魔術師「剣士さん、仕事にすごい熱心だけど…あんまり無理しちゃうと、体が壊れちゃいますからね?」

剣士「…ふん、剣士の体は丈夫に出来ている、少しくらい動いたところで」ズキ

剣士「く……」

魔術師「あ、ほらもう、駄目ですよ!風邪がどんどんひどくなっちゃいますから!」

剣士「……」

魔術師「…剣士さんがどうして仕事を急ぐのか、わからないですけど……でも、剣士さんは私のパートナーなんですからっ」

魔術師「……剣士さんは私の事、どう思ってるのか…わからないですけど、少なくとも私は剣士さんの事、大切な人だと思ってますからね?」

剣士「……」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 16:12:28.44 ID:+9rA69380
トラブルにつきしばしまたれよ

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 16:46:20.63 ID:+qRJktb7O
――八卦国・城内地下研究室

博士「…はぁ?私が欲しいのはこんな人員リストではないわよ…?」

兵「す、すみません…」

博士「研究の都合でねぇ?ダメなのよ~…この城の騎士さん達ではね…?」

兵「……はぁ…」

博士「忠誠心があるのは良い事なんだけどね~…ダメなのよね~逆に…」

兵「……」

博士「ふふふ…別に、今こうして持ち場を離れて私の命令を聞いてくれるあなたを責めているわけではないわ…」

博士「…私はただねー…邪魔されずに研究ができれば良いだけなのよ」

博士「民間の…そうねぇ、傭兵で…なんとなーく扱い易そうで…優秀なの、連れてきなさい」

兵士「………はっ!我が命に替えてでも!」

博士「ふふ、私の前でそんな定型文は要らないわ…あなたにはまだまだ、働いてもらうからね…?兵隊さん…?」

兵「………はっ」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 16:54:21.46 ID:+qRJktb7O
博士(…やはり、動力部の床のあまりに規則的すぎる湾曲…そして意味のわからない切れ込みを見る限り…)

博士(…うふふ…私の説が正しければ~…だけど…)ピラッ

博士(…私も一応はこの国の理学研究者…この国の重要な動力源である“魔石群”を保持するため、それだけに力を入れなきゃいけないんだけど……)

博士(……うふふふ…ただ検出される数字の“ぶれ”を見てるだけなんて、やってられないわぁ…!)

博士(私は知りたい、それだけよ…!)サラサラ


ガチャ

博士「!」

兵「博士、民間傭兵協会からリストを受け取り、適当だと思われる者だけをこの書類に纏めました」

博士「…ふふふ…ご苦労様…頭の回転が早い子って大好きよ?」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 16:59:19.86 ID:+qRJktb7O
博士「………」パラッ

パラッ・・・パラッ・・・

兵「…」

博士「…うふふ、良いわねぇ…なかなか芋臭~い顔が揃ってるじゃない…」

兵「民間人からの傭兵は、ろくでもない連中ばかりですからね」

博士「ふふ、そうかもしれないわねぇ……でも…」

パラッ

“ホリィ=ポールウッド 魔術師”

“ミゼラ=ソイレギンス 剣士”

博士「…人って結局はねぇ…使えるか使えないかで決まっちゃうのよ…」

兵「!」

博士「ふふふ、生まれが良くても実力が無ければダメ…私の言葉の意味、わかる?」

兵「………はっ!」

博士「これからも頑張ってもらうからね…?…ふふふ…」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 17:10:58.17 ID:+qRJktb7O
――二の街・傭兵協会支部

受付(ふぁああ…もうすぐ6時か…そろそろ交代かな~…)

受付(最近は傭兵希望者が多くて新規受付の作業が増えて辛いな…まったく、なんだってこんなどうでも良い時期に増えるんだか……)


「依頼の受付はここで良いですか?」

受付「! はい…!」

兵「私の“個人的な”依頼を出したいと思いまして」

受付(この鎧…!)

受付「はいどうぞ、こちらで構いません」

兵「ありがとうございます」

受付「ではまずこちらの書類に……」

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 17:20:41.34 ID:+qRJktb7O
――公共浴場

かぽーん

剣士「……けほっ…」

魔術師「昔、お母さんから聞いた話ではですねー…風邪をひいた時は沢山汗をかいて、沢山寝るのが良いんだそうです!」

剣士「…そうなのか…初耳だ」チャプ

魔術師「だから、こうして公共浴場に入ればー…風邪なんてきっと、明日には治っているはずですよ!」

剣士「ほう?なるほど、それは…けほっ、…頼もしいな…」

魔術師「えへへ」

魔術師「…剣士さん、そんなに外側にいないでー、こっちに来た方が肩まで浸かれますよ?」

剣士「…いや、目まいがしそうだ…私はここで半身浴でいい…」

魔術師「? そうですかー」ジャバジャバ

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 17:33:39.02 ID:+qRJktb7O
剣士「なあホリィ」

魔術師「はい?なんですかー?」チャプチャプ

剣士「…前に、私が…パーティを解消しようと言った事があるじゃないか」

魔術師「! …はい、ありますね…」

剣士「………」チャプチャプ


剣士「今更…かもしれんが」

魔術師「?」

剣士「……あれはな、別に私が…お前が嫌いだからとか…お前が使えないからとか…そういう事じゃないからな?」

魔術師「!」

剣士「そこは…私が言ってもアレなんだが……勘違いしないでくれ」

魔術師「…はい……でもどうして…?」

剣士「……」チャプ

魔術師「…」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 17:43:22.66 ID:+qRJktb7O
剣士「ちょっと前に、私の夢について聞いたな?」

魔術師「あ、はい!」

剣士「…教えてやろう」


剣士「…私はな、騎士団に入りたいんだ」

魔術師「わぁ、騎士団ですか!」

剣士「そうだ、城の直属…地位も給金も、全てが約束されている…」

魔術師「かっこいいですからねー!騎士さんって!」

剣士「……ああ、格好いい、昔からの私のあこがれだった」

魔術師「なるほどー…あ、でもどうして騎士団を目指すと、私とのパーティを解消しなきゃいけないんですか?」

剣士「……うむ…まぁ、色々あるのだが」

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 17:45:34.88 ID:+qRJktb7O
ミスドいってくるよ

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 18:03:46.16 ID:+qRJktb7O
コーヒーとチョコファッション2つー

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 18:12:57.85 ID:+qRJktb7O
境目から食ってチョコとプレーンを交互に

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 18:37:39.01 ID:+qRJktb7O
(  ´・ω・` )モッチャモッチャ

337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 21:20:10.10 ID:+qRJktb7O
パソコンを取られ申した…携帯から書きたいと思いきや少しきゅうけい

絵、服が素敵

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 21:40:49.91 ID:+qRJktb7O
NHKのドラマは良いなぁ…

341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 21:54:53.94 ID:+qRJktb7O
携帯からノロノロ書く

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:05:04.05 ID:+qRJktb7O
剣士「…遅れました、すま…すみません」

博士「そう?じゃあ早速、行きましょうか……出してちょうだい、少し急ぎ目でね?」

「はい、では出発しまーす」

ゴトッ

ゴトト・・・

魔術師「あ、これこれ、この感じ懐かしー」

剣士「…おー…」

近衛(…楽しそうだなー…まぁ平民なんてそんなもんか)

博士「ふふ、到着したらすぐにテントを設置してもらうから、忙しくなるわよ…」

剣士「! は、準備は整っています、心配無く」

博士「うふ、頼もしい…」

博士(…民間の傭兵ならば、騎士のように城の内部に噂を流す事はない…探ることもしないだろう…)

博士(……しかし、せっかく万全を期して民間の傭兵を雇ったというのに…騎士団長め、余計な監視を…)

博士(…到着するまでに、なんとかこの男の視線を逸す工夫をしなくてはね…?うふふ…)

ゴトトン・・・

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:14:42.25 ID:+qRJktb7O
キキッ

「…はい、目的地に到着しましたー、荷物などお忘れなく、ゆっくり急がず足元に気をつけて下車してください」

魔術師「あっ、ついた!?はーい!」

博士「みたいね、それじゃあ降りましょうか…?」

近衛「あ、こっちの荷物は僕が持つので」

剣士「いいや、このくらいは手伝わなければ……紛いなりにも、手伝いとして」

近衛「ぁあ、そう?じゃあこっちのお願いします(やったラッキー)」

魔術師「…あれ?でもここって街道のまんなかですよ?ここの地面を調べるんですか…?」

博士「目的の場所へは徒歩よ…馬車も入れない細い道、国の領土の端だから…馬車が通るには色々と面倒なの」

魔術師「なるほどー」

剣士「ふむ…」

346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:22:27.16 ID:+qRJktb7O
ガサガサ…ガサッ……

博士「この林を抜けた辺りで調査ポイントが見えてくるわ…」

魔術師「あう、また顔にクモの巣がー…」

近衛「んしょ、ふぅ、入り組んでるな…」

剣士「…今回行なう地質調査は、そのポイントの地層成分を?」

博士「…ん~~~そんなところかしらね~…領土の端っこだから探査がまだ行き届いて無いから、そんなところよ…」

剣士「ふむ、なるほど…」

近衛「…」

近衛(ったく…団長が怪しい動きがあったら報告しろーとか言ったから気になってついて来たはいいが…全然そんな雰囲気ねーよ)

近衛(今度珍しい肉料理屋連れてってやるって…そんなんでついてきた俺も俺だが……はぁ)

博士「……」

ガサガサ

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:33:28.61 ID:+qRJktb7O
ガサッ

魔術師「わあ」

剣士「…ぉお」

博士「…到着よ、ここが今回調査するポイント…」

魔術師「なんだか、小さい山みたい!」

剣士「うむ、平地が多い八卦国としてはかなり珍しいな、やはり郊外か…」

博士「この、山のように隆起している地域の一部の土を採集していくわ…採集ポイントを探しながら見て回るから、拠点としてここにテントを立てる」

近衛「なるほど」

剣士「よしホリィ、手伝え!そっちの骨を広げろ!」

魔術師「え、骨?あ!このパイプですねっ!」

博士「あら、早い仕事…ふふふ、役立つわぁ…」

近衛「……」

博士「あなたも暇なら、二人を手伝ってあげれば?」

近衛「あー…はい」

近衛(…監視に専念しろと言われてたが……まぁ別にいいか)

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:43:32.92 ID:+qRJktb7O
ガチャガチャ・・・

魔術師「よいしょっ…それにしても剣士さんっ!今日も気合い充分ですね!」

剣士「ああもちろんだ…なんたって、思いの他早く回ってきたチャンス…見せ場だからな!」ガチャンッ

剣士「病み上がりだろうがなんだろうが…やるのは今しかない!」

魔術師「えへへ…なんといっても、私達が優秀だって、国から認められたんですものねっ…!」

剣士「ああ…やっぱり私にも、ツキはやってきてる……!」

剣士(あとはこの仕事で、博士を怪我させないように守りきる…!博士に私の仕事の良さをアピールする…!)

近衛「あのー、僕も手伝いますので、テントの器材貸して下さい」

魔術師「あ、はーい!」ガチャガチャ

剣士(そしてもちろん…この男にもアピールをする…!)

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:51:25.76 ID:+qRJktb7O
魔術師「へー、じゃあ近衛さんってお城に住んでるんですねー!」

近衛「ああ、まぁ…騎士はみんなそうだよ、城で寝食し、城を守り国を守る、それが仕事だからね」

魔術師「ほわー、なんだか格好いいです!」

近衛「ははは、そうかな」

剣士「……」ガチャガチャ

剣士「近衛さん、騎士団だからやっぱり剣の方も素晴らしいのだ…ですよね?いや、訊くのも失礼なことですが……」

近衛「あははは…二人とも、別にかしこまらなくていいよ、普通に話してくれれば」

剣士「……む」

魔術師「えへへ、私はいつでもこんななのでお気遣いなくー」

剣士(…敬語は……慣れん)

近衛「ああ、剣の腕?あー、そりゃねー、稽古は毎日してるし、自慢じゃないけど実戦はまだだけど試合では僕は上位の方だよ」

魔術師「ほえー」

剣士「…それは……すごい」

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 22:57:03.33 ID:+qRJktb7O
剣士「…試合…打ち合いですか、さぞレベルも高いんだろうな…」

近衛「そりゃあもちろん国最高の剣術組織だからね」

剣士「…最高レベル……一体どれほどの実力なのか…ふーむ」ブツブツ

近衛「強いよー?まぁプロ中のプロだからね、ふふ…」

剣士(…やはり……騎士団への道のりは遠いか…いや、めげてはいられんな…)


博士「あらぁ…テントはもう完成かしらね?」

魔術師「あ、博士さん…はい!もうバッチリです!ちなみに6割は剣士さんがやりました」

剣士「いえいえそんな、私は7割です」

博士「あら、ふふふ……面白い子達ね…」

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 23:04:24.34 ID:+qRJktb7O
博士「……そういえば今、強さどうこうって話…してたわね?」

剣士「え?ああ、いやっ、はい…騎士の方は憧れなので…」

近衛「ははは、実力さえあれば、君もなれるかもよ」

剣士(…実力さえあれば…か…)

博士「……ふふ…」

博士「…え~~~っとー…確かあなたはぁ…騎士団長さんの所の一般騎士よね?」

近衛「あ、はい」

剣士「騎士団長…!この国で最も剣の筋が鋭いと言われている、“狼”の異名をもつあの!?」

魔術師(あははー全然わからない…)

近衛「あぁ、まぁはい、騎士団長さんの部下です、ハイ」

博士「ふふ……」

355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 23:12:30.19 ID:+qRJktb7O
博士「……“勝った者だけが、剣を空へ掲げる事をゆるされる”…」

剣士「…?」

博士「……この国に伝わる言葉よ、大会の宣伝文句だったかしら…?」

博士「近衛君…そして…えっと~~…剣士さん、これはこの国の王様が言った言葉なんだけど~~…これについて…どう思う?」

剣士「! …その通りかと、栄光は常に強い者が握るものですから…」

近衛「まぁ……僕もそう思いますね」

博士「うふ……そう…」

博士「…じゃあ、ちょうど剣士さんも騎士団の強さに興味があるみたいだし提案なんだけどー……近衛くんと剣士さん、二人で試合をしてみない?」

剣士「!」

近衛「…ん?」

魔術師「?」

356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 23:19:04.61 ID:+qRJktb7O
近衛「…あの、博士…今回は研究のために来たのですよね?」

博士「うふふ、もちろん……でも~~~……民間の傭兵と国直属のエリート騎士…どちらが強いかってー、気になるじゃない?」

近衛「…あのですね…博士さんふざけないで下さいよ、僕は城で教育を受けた身です…彼女のような、」

剣士「!」ビキッ

魔術師(あ、目付きが…)

近衛「一般の練習しか受けていない剣士とは、比べるまでもありませんよ」

魔術師(…あ…あわわ……)

博士「…ふーん…じゃあやっぱ騎士の方が強いのねー…」

剣士「待ってください、博士」

魔術師(あー)

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:05:21.31 ID:+9rA69380
ミスドのコーヒーのおかわりは3杯目からよそよそしくなってる気がする
腹もいっぱいになった所で続きをいってみよう

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:16:51.47 ID:+9rA69380
剣士「この国の…八卦国の騎士団というのは、そのほとんどが上流階級の人間で構成されている」

魔術師「…そうですね、魔術師団もほとんど貴族とかー、そういう関係の人たちだって、習いました」

剣士「そう、つまり騎士団になるためには、私たちのような平民…のような低い階級の者は、滅多な事が無い限りは騎士になんてなれやしない…」

魔術師「……でも、剣士さんは洞窟で、あんなに沢山のゴーレムさんを倒したじゃないですか?剣士さんの実力は本当にすごいと思いますよ?」

剣士「それでも騎士にはなれない、ほんのちょっとの実力があるだけでは騎士団には入れないんだ…!」


剣士「…国は頭が固いんだ…いや、そんなことはどうでも良い、…とにかくこの国では風習として、習わしとして惰性として、上流階級の者にのみ、騎士の称号を与えている」

剣士「……そのこびりついた赤錆のような風習を打ち破ってでも騎士団に入る…そのためには、ちょっとやそっとの名声では不可能…」

魔術師「……」

剣士「………そう、わずか19歳…成人したばかり、傭兵になったばかりの女剣士、しかも平民階級である者が数々の任務を短期間でこなす…」

剣士「ふ…そんな風評が傭兵協会から国に伝われば、何か機会もあるかもしれんが…」

魔術師「……なるほど…急いでいたのはつまりそういう…」

剣士「……さっきも言ったが、私はホリィと組むの、……嫌じゃないよ、むしろホリィとこういう事してると、私は楽しい」

魔術師「! え、ほほんとですかっ?」

剣士「ああ、本当だよ、それは本当だが……」

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:24:16.94 ID:+9rA69380
魔術師「……」チャプン

剣士「…本当は私は、傭兵になるとすれば…一人で活動する予定だったんだ」

魔術師「あ、そうなんですか?」

剣士「ああ」

剣士「だが、傭兵協会では、民間からの傭兵の場合、ある程度の信用を得なければ…その間は、ほかの民間傭兵と一緒に仕事をしなければならないらしいのだ」

魔術師「あー、それ私も説明の時言われましたー……えへへ、でも私、一人でやるの寂しいから別に良かったんですけど」

魔術師「…でもどうして、一人で仕事をしようと思ったんですか?誰かと一緒にやった方が、苦労も半分こ、簡単ですよ?」

剣士「単独で任務を達成すれば私の名だけが名声として伝わるだろう?」

魔術師「あ、そっか……」ブクブク

剣士「…だが規則で二人以上でのパーティを求められた……まぁ、ここだけでも頭が重いのだが」

剣士「できれば、強いであろう剣士と一緒にパーティを組み…その中で、私がそいつ以上の力を発揮し、次々と任務を達成していく…そうすれば、私の名声はより上がる」

魔術師「……」

剣士「…それで…だから…私よりも、いや男よりもぜんぜん身長の高い、強そうな剣士と組めば…って思ったんだけど…」

魔術師「あははー、私魔術師ですよー?」

剣士「……一生の不覚だ、本当に…」ブクブク

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:36:22.25 ID:+9rA69380
剣士「……剣士と一緒に組めば“剣士のペア”、しかし魔術師と剣士が組めば“息の合った二人”…」

魔術師「あ、でも私はそっちの方がいいかもー、なんだか仲良しみたい!」

剣士「いや、私もそういう呼ばれ方が嫌いなわけではないんだが…どうしても、騎士団の候補としては遠く見られて…“傭兵”として見られてしまうだろ」

剣士「……ふぅ、いや、私のせいではあるのだがな……どんどんハードルは高くなってゆくよ…全く」チャポ

剣士「いや、失敗を掘り下げるだけならばいくらでもできるか…はぁ…」

魔術師「……あはは、でもいいじゃないですか」

剣士「んー…?」

魔術師「私と一緒にどんどん仕事をして…もちろん無茶はダメですけど!それで地道に、私たちの実力を証明していけばいいじゃないですかっ!」

魔術師「息の合った二人……えへへ、私もそんな風に呼ばれたらいいなって、なんだか段々そういう風に思えてきました!」

剣士「……ふふ、そうか……?」バシャッ

剣士「わっぷっ…!」

魔術師「ほらほら、肩までつからないと、体が冷えちゃいますよー」

剣士「こ、こら溺れる…!」

魔術師「えへへ、剣士さん脚きれー」

剣士「やめ…っぷは、やめろっ!」バシャバシャ・・・

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:51:12.70 ID:+9rA69380
「おーい誰か!姫を!姫を見なかったかー!」
「な、なんだと!?また脱走かッ!?」
「くそやられた、あまり見ないメイドが部屋から出てきたと思ったら…!」
「…反省は後だ!早く姫を探せ!」
「また城下町まで下りるのはご免だぞ…くそっ!」

ダカダカダカダカ・・・

騎士「……うるさいなぁ、全くせっかくの朝食が不味くなるっての…」モグモグ

騎士「あんなにお天道様も機嫌が良いんだから、もうちょっとねー…心をおおらかにしても罰は当たらないのに…」モグモグ

コッ、コッ、コッ・・・

騎士「博士ー、久しぶりー」

博士「?……あら、城壁の縁の上でお昼寝なんてぇ……空中への警備が熱心なのか、それとも…」

騎士「珍しいなー、博士が研究室から出るのは学会か会食の時だけかと思ってたよ」モグモグ

博士「ふふふ、それにしては、よく足音だけで私だとわかったわねぇ?」

騎士「うちの姫さん達はヒールなんてはかないからねぇ」

博士「あ、なるほど…」

騎士「……で、その姫さんがまた脱走したっていうこんな朝の忙しい時に、博士はどちらへ?」

博士「ふふ、ちょっとした地質の調査よ、騎士団長様」

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 19:59:28.81 ID:+9rA69380
騎士「そういやよー、小耳にはさんだ話なんだがさ」

博士「…」

騎士「傭兵協会の方にね、なんでも博士と同姓同名の人からの依頼がきてたらしくてね」

博士「それで?」

騎士「それだけ」

博士「…うふふ、顔が広いのか耳が良いのか…」

騎士「嫌々団長やってても、声は耳にはいるさね」

博士「……ええ、依頼を出したのは私よ、民間傭兵をすこしだけ、雇わせてもらったわぁ」

騎士「あ、じゃーその同姓同名って本当に博士だったんだ?」

博士(…白々しい…)

博士「…ま、騎士さんや城内兵さん達の手を煩わせるまでもない仕事…というだけよ」

騎士「なるほど、そいつは現状姫様で手を焼いている我々にはありがたい…」

騎士「だが忘れてもらっちゃ困るんだー?博士はこの国の、城の家臣とも並ぶ重要な人物」

博士「……」

騎士「どこの馬鳥の骨とも知らん奴らを雇って、安全をおろそかにされちゃあ困るのはうちらなんですわ?」

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:04:32.21 ID:+9rA69380
騎士「こっちも忙しいんですけどやっぱり心配なので、…とはいえあまり厳重すぎるのも調査の邪魔になるでしょうから、うちの騎士をひとりお付けしますよー」

博士(…チッ、余計な事を…)

騎士「なぁにうちの優秀な騎士だ、行動もちゃんと謹んでくれるでしょうから、安心してよ」

博士「…そうね、あなたの部下がついてくれるなら安心だわ…」

騎士「あ、なんならおまけにもう一人…」

博士「失礼、時間が無いので、またた今度」

コッ、コッ、コッ・・・

騎士「……ふん」

騎士(まぁあの変人と名高い博士だからな…アヤシーのはしょっちゅうのことだが…)

騎士(気のせいかな、なんだか最近、鼻につくんだよねー、臭い)

314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:13:51.51 ID:+9rA69380
――昼

パタタタタ・・・

魔術師「剣士さん剣士さんけーんーしーさーん!」バタンッ!

剣士「おい、うるさいだろ…下の商店の迷惑になるだろうが」

魔術師「えへへ、ごめんなさい…」

ガサッ

剣士「……?」

魔術師「えへへー、この前言ってた、美味しいパン屋さんで買ってきましたー」

剣士「…スンスン…ん、良い香り」

魔術師「私のおススメばかり買って来たんですよ!ほらほら、どうぞどうぞ」ズイズイ

剣士「もが、ふご…」ギュムギュム

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:15:36.58 ID:+9rA69380
魔術師「あ!そうだパンよりですねっ!もっともっとすごいものがあるんです!」

剣士(く、苦しい…!)

パサッ

剣士「!」ゴクン

魔術師「えへへー」

剣士「?…なんだこれは、手紙か」

魔術師「ほらっ」クルッ

剣士「………む」

剣士「…傭兵協会からか…一体何の知らせだ?」

魔術師「えへへー、もしかしたら昨日の蜘蛛さん退治が認められたのかもー」

剣士「馬鹿者、そんな早く認められるものか…ま、まぁ少しは期待したいところではあるが」

魔術師「きっと良い知らせですよー!昇格とか!」

剣士「…ふふ、だと良いが…」

ペリペリ

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:25:15.83 ID:+9rA69380
“緊急指令:地質調査団の護衛及び補助”

魔術師「きんきゅうしれい……?」

剣士「!」

“ホリィ=ポールウッド、ミゼラ=ソイレギンスの任務遂行能力の高さを評価し、同2名にこの任を命ずる”

“任務開始日時は本日1時より、二の街傭兵協会支部にて”

魔術師「……これって!」

剣士「…うそ…いや、ほんと…?」

魔術師「やったー!認められてます!私達認められてますよっ!剣士さんっ!」ユッサユッサ

剣士「…は、はは…やった…」

剣士「……ん?まてよ、本日一時…?おいホリィ、今は何時だ」

魔術師「あ、はい、えっとですねー」カパッ

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:34:13.32 ID:+9rA69380
近衛「遅いですね、二人の傭兵」

博士「…そうねぇ…ま、急な呼び出しだったから仕方ないかもしれないけれどー…」

博士(…とんだ邪魔者がついてきたな…どうにかして、こいつの視線をかいくぐりつつ調査をしたい…)

博士(……そしておそらく、チャンスは今回限り…二度も同じ場所での地質調査となれば怪しさはどうしても浮き彫りになる…)

博士(つまり、私は今回の調査で可能な限り研究に使えるデータを収集し…怪しまれないよう、あの騎士団長から送り込まれた近衛兵を逆に信用させる!)

博士(…うふふ、ちょっと難しいかしら?でもやるしかないわね…)

ダダダダダダッ・・・

剣士「はっ、はっ…す、すまない遅れた…」

魔術師「ひぃ、ひぃー…」

受付「ちょっとちょっとお二人さん、困りますよ?緊急指令で送ったんですから遅刻されては」

近衛「うおー、背高いなぁあの子…」

博士「……ふふ」

322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:41:29.27 ID:+9rA69380
受付「傭兵としての心構えの筆記試験を受けた時、ありましたよね?緊急指令が来た場合は何があっても来なさいよと」

剣士「む、て、手紙が来たのが昼だったんだ!無茶を言うな!」

受付「昼?手紙を出したのは朝ですよ?」

剣士「……」

魔術師「あ、あはは…緊急っていうから良い知らせかなーって…だから剣士さんを驚かせようと…」

受付「あのねぇホリィさん…」

博士「ふふ、話は良いかしら?」

受付「!」

博士「そうねぇ、でも大した遅刻じゃないから無かった事にしてあげる、いきなり通知を送った私も悪いものね?」

魔術師「あ、ありがとうございます、すみませんっ!」

博士「ふふ、良いのよ…私は博士、今回調査をする城の人間よ…」

魔術師「ほええ、お城の…」

近衛「僕は博士を身辺警護を務める八卦国騎士団の近衛です、短い間ですがよろしくお願いします」

剣士(! 騎士団…!)

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:50:23.64 ID:+9rA69380
近衛「? 何か?」

剣士「あ、いやなんでもない」

近衛「…ああ、聞いた話ではあなたも剣士なのだそうですね、身長の分のリスクはかなり大変でしょうに…」

剣士「……いいや、私のこの背は逆に利用価値がある、リスクなどではない」

近衛「おお、そうなんですか…すごいなぁ」

博士「二人の活躍は小耳に挟んでいるわぁ、なんでも採石場に蔓延る錆蜘蛛アスメを巣ごと駆除したとか…」

魔術師「えへへ、頑張りましたー…あ!特に剣士さんがですけどねっ」

剣士「……ま、まぁ…」

博士「うふふ、あそこの石は結構高いからね…守ってくれてありがとうね、小さな傭兵さん?」

剣士(ち、小さなは余計だ!)

博士「今回も私の護衛と手伝い、結果を出してくれると嬉しいわ…」

剣士「うむ……ん、手伝い…?」

受付「ああ、補助のことですね、その説明はこちらから説明をいたしましょう」

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 20:56:52.51 ID:+9rA69380
受付「今回は国の郊外…だいたい二番の外側あたりですね、そこの地質の調査という事なので、その警備などをしてもらいます」

剣士「…ふむ、郊外の地質…」

受付「日程は現地での調査具合と天気を見てになりますが、長引くごとにその分の保証は出されるそうです」

剣士「…報酬が高くなると?」

受付「ええ、そういうことですね」

剣士「……ふむ」

魔術師「わぁい!お父さんとお母さんへの仕送りが増える~!」

受付「現地での調査は基本的に専門家である博士さんが行いますが、その手伝いも二人にはやっていただきます、たとえば…まぁ、テントの設置とかですかね?」

剣士「なるほど、それで手伝いか」

受付「もっとやる事は多くなると思いますけどね」

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 21:03:34.38 ID:+9rA69380
博士「…ま~~~…あんまり専門的なことはやらせたりしないから…助手手伝いのような感覚で作業をしてもらって結構よ」

魔術師「はーい!頑張ります!」

剣士(…その助手手伝いというのがあまりイメージできんな…)

博士「現地への移動は馬車よ、もう手配は済ませてあるからぁ…準備ができたらすぐにでも表に停めてあるのに乗ってちょうだい」

魔術師「馬車!」

博士「ふふ、馬車ははじめて?」

魔術師「えへへ、いやぁ、久しぶりですー…お父さんと旅行に行って以来ですっ」

剣士「…馬車か…初めてだな」

近衛(……よく見たらこの二人、身長差がすごいな……)

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/20(土) 21:10:41.16 ID:+9rA69380
剣士(…トイレは…大丈夫、さっき行ったな)

剣士(えっと剣、砥いだっけ…あ!砥石は何個入ってる?)

剣士(これで足りるか?大丈夫か?砥石の数で評価はされたりしないか……?いやそもそもこんな安物の剣が恥ずかしい…)

剣士(うおお、せめて現地についたら川で思いっきり砥いでアピールしないと…!)

魔術師「剣士さーん、まだですかー?」

剣士「うるさいっ!今急いでいるっ!」

魔術師「はう、ごめんなさい……」

剣士(ああもう、立派なのは衣服の裁断と仕上げだけか?情けないこれじゃあの偉そうな二人に幻滅させられる…)


ジャリジャリ

近衛(あ、いっけねー…最近稽古さぼってるから錆びついてる…)

博士「…馬車は揺れるから、あまりそういうものは出し入れしないで欲しいわ…?」

近衛「あ、す、すみません」チャキンッ

魔術師(えへへー)

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:16:36.95 ID:i/AJA/Zc0
出すもん出した所で続きいってみようか
VTRキュー

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:22:32.09 ID:i/AJA/Zc0
博士「あら、何かしら?」

剣士「騎士団の中には城の訓練を受けていない者も少なからず存在します」

近衛「……」

博士「そうねぇ、平民の中からも入ってきたり~~~…剣士さんがいる傭兵協会から入ってくる人もいるわねぇ…」

剣士「城で教育を受けたから強い…というのは、少し違うのではないかなと」

近衛「…それは城で生まれ育った騎士はそうでもないって意味かな?剣士さん」

剣士「必ずしもそうではない、という意味です」

魔術師(あわわわ…も、もう空気が変です…)

剣士「……」

近衛「……」

博士(……うふふ、やっぱり賤民は血の気が多いわねぇ…)

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:31:02.84 ID:i/AJA/Zc0
近衛「……博士さんがどうしても、正統なる騎士と一傭兵の戦士との力の差を、“あえて”見たいというのであれば、僕は別に試合でもなんでもやりますよ」

剣士「身分が約束された剣と、自らを高めるための剣…果たしてどちらが強いのか、それに博士が興味をお持ちなら、私もその検証を“手伝い”ますよ」

近衛「…まぁ、竜と風鳥の戦いを見るが如きものとなりそうですがね」

剣士「…検証の結果、“従来の考えを見直さざるを得ない光景”が見れるかもしれませんね」

近衛「……」

剣士「……」

ヒュォオオオ・・・

魔術師(あああ…止められないかな?あの二人止められないかな?)

博士「……」ニヤリ


ジャッ シュッ

ガキッ!

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:38:59.10 ID:i/AJA/Zc0
ギリギリギリ・・・

魔術師(わ…!剣抜いてる!剣抜いてるよぉ…!)

剣士「剣が錆ついてるじゃないか、己の商売道具の手入れを怠り、何が騎士だ?」ギリギリ

近衛「ははっ、その錆びた剣と同じ速さで剣を抜くところを見るに、そんな騎士よりも腕は下なんじゃないかな?君は」ギリギリ

魔術師「や、やめてくださーい…喧嘩はだめですよー…」ワタワタ

博士(やっぱり野蛮な奴らはみんな……単純、うふふ)

パン、パンッ

博士「はい、剣を収めなさい二人とも……私はどちらが強いかは知りたくても、死体が見たいわけじゃないの」

近衛「……」ギリギリ

剣士「……」ギリギリ

スッ・・・

博士「……試合といっても、死を与え合う方ではないわ…試みる方よ」

博士「私はねぇ、試みが好きなの…平民と上流階級の潰し合いが見たいわけではない」

剣士「…ならば決めようじゃないか、貴様と私、どちらが強いか…」

近衛「ふん、望むところだよ」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:45:46.38 ID:i/AJA/Zc0
ヒュンッ

近衛「……よかったな、偶然刃引きされた模造刀があった…」

剣士「良かったのはお前の方だろうがな」ヒュンッ

近衛「…言ってるが良いさ、だが力の差を思い知るのは君の方だよ」

剣士「ほう、ぜひとも見てみたいものだな?力の差とやらを」

魔術師「……」

博士「さーてぇ……これはこれで、面白いデータが採れそうかしらねぇ…」

魔術師「ううー…喧嘩はよくないのにー…」

博士「ふふ、白黒つけば丸く収まるわ…それが戦いというものよ」

博士「……それでは、位置について」

剣士「……」

近衛「……」

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 00:54:52.08 ID:i/AJA/Zc0
ザザァ…ガサガサガサ…

剣士(…身長は私よりも高い、まぁ当然か…しかし男の平均よりも若干高め……それは困るな、なんだかんだで高さのある打撃のエネルギーは大きい)

近衛(相手は小さい…まるでガキだな…しかし女だろうが子供だろうが、メンツにかけて本気で戦わせてもらう……なんといっても博士の御前だからな)


剣士(初太刀はどうするか…錆びた剣だろうが、八卦の剣術となれば侮れん…)

近衛(田舎剣術は太刀筋が読めないから油断はできないな…まぁ、軽くひとつひとつ受け流して…隙を突くか)


博士「……それでは」

剣士「…」

近衛「…」

魔術師「……」


博士「…………試合、始め!」

ジャッ
シュッ

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:01:42.57 ID:i/AJA/Zc0
ガキンッ

剣士「はぁあああ…!」ギリギリ・・・

近衛(…!なんと、さっきよりも早く抜刀してきた…!それにいきなりの競りとは、初太刀に勝負を賭けてきたか…!?)ギリギリ・・・

ババッ

剣士(…案外、奴の守りも早かった…さすが騎士様、といったところだな)スッ

近衛(こちらが動きを変える前に退いて形を変えるか、利口だな……いいだろう)

スッ

剣士(あの構え……!)

近衛「八卦国騎士団の誇りにかけて!」

剣士(…ふ、ふふふ…よし、騎士の構えになった…守りを重視する鉄壁の剣捌きとやら…)


剣士「見せてもらおうではないか!」ヒュッ

近衛「こいッ!」

ガッ!

392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:10:31.24 ID:i/AJA/Zc0
ガンガンガンッ!

近衛(…!ちっこいくせに剣は早くて重い!やはり魔力で強化できるか…!)ギリギリ・・・

剣士「どうした!?甲羅に籠っているだけではいずれ砕かれるだけだぞ!?」

近衛「ふん!育ちが悪ければ口だけは達者になるな…!」ガッ

剣士「は!まるで剣は達者であるかのような口ぶりだな!?」ザザッ


剣士(……くそ、やはり守りが優秀だ、外側に受け流されそうになる感覚が気持ち悪い)

近衛(…こちらは甲冑の分動きが鈍るが…どうせあの小ささだ、すばしっこさは最初からあちらに分があると考えよう)


剣士(攻撃を受け流され隙を作らされる前に、逆に翻弄して奴の隙を窺う)

近衛(焦らず後手に回る、その覚悟の上で実力の違いをハッキリ出してやる)

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:18:12.53 ID:i/AJA/Zc0
カンカンッ、ドカッ

魔術師「わ、わわ、わーっ…わっ!危ない……!」

博士「……ふふ、なかなか打ちあうわねぇ~……」

魔術師「うー、見てられないです……人が怪我をする所なんて見ていられないです…」

博士「ふふ、片方は甲冑、もう片方は肉体を魔力で強化してるから、あなたの友達が怪我をすることはないんじゃない?」

魔術師「そんなのー、わからないですよー…目に入ったら大けがです…」

博士「あの幅の広い剣が目にダイレクトねぇ~~…八卦街に隕石が落ちる確率よりは高いわね~~…」


カンカンカンッ、ガッ・・・

博士(……それにしても)

剣士「ぁあああああ!」ギリギリ

近衛「おおおおおお!」ギリギリ

博士(腐りかけとはいえ八卦の騎士と、あそこまで渡り合うなんて…あの子、なかなかセンスあるわねー…)

博士(まぁ~~…階級がちょっとアレだから…プラマイゼロってところだけどね…うふふ)

395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:30:11.10 ID:i/AJA/Zc0
ガッ、ガッ

剣士「はぁっ…!どうした鉄壁ィ…!息が荒くなっているんじゃないのか…ッ!」ヒュッ

キンッ

近衛「ふっ…!僕は君らのような…身分の低い者とは違う…!」ギリッ

近衛「騎士団の剣を舐めるな賤民がぁぁああ!」ガシュッ

剣士(く、また力任せに弾かれた…甲冑を来ていても、肉体の強化を怠っていない…)

近衛「…流派を持たない剣など全てチャンバラ…コピスの尾の振りと同じ!」

ヒュンッ ガッ

剣士「くっ……!」

近衛「思い上がるな、自分が攻めているから互角だとでも思ったか…!?疲れた時にこそ、内に眠る真の実力が如実に現れる…!」ギリギリ

魔術師「ああ、剣士さん……」

博士「あーあ」

ギリギリッ・・・

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:35:58.87 ID:i/AJA/Zc0
近衛「ほらほら、ほら!力の差がはっきりしてきた!見ろよ!これが騎士の力だ!」ギギギ・・・

剣士(ぐ、ぬぅうう……剣で押しつぶされる…抜けられない…!)ギリギリ・・・

近衛「身分の差!教育の差!身の丈の差!若さと荒っぽさで最初は繕っていたが!?しかし今はどうだ!」

近衛「これが圧倒的な差だよ!騎士とはすべてにおいて完璧なのさ!わかるか!?賤民!?」

剣士「ぐ…むぅ…!」ギギギ・・・

近衛「君はなんていったかな!?ミゼラ=ソイレギンス…ん?ソイレギンス…!」

剣士「……!」

近衛「ふは…ふははは!お笑いだ!お前、もはや平民ですら…!」ギギギ・・・

剣士「黙れぇえええええぇぇえええ!」

近衛「!!」ガッ

博士「!」

魔術師「あっ…!」

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:47:19.32 ID:i/AJA/Zc0
近衛(…!全力で抱え込んでいたはず…!何故それを弾き返したっ!?)

剣士「誰が私の生まれを笑えと言ったァアあああぁああ!?」ヒュ

ガン、ガンガッガガガッガッ!

近衛「ぐあ、くっ……速ッ……重さも…!」ガッ、ガキッ

剣士「嘲られるのは、平民傭兵である私に任される貴様の方だクズ野郎がぁぁああああ!」

ガガガッ・・・

バキッ

近衛(あ、…け、剣がっ…!僕の剣が!?魔力を込めて強化していたはずなのにっ…!?)

剣士「死ねぇええええ!」ヒュ

近衛「! ま、まいっ…」


「“ラテルス・ルーツ”!」

ヒュォオオオオッ! ゴッ!

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 01:48:25.67 ID:i/AJA/Zc0
布団)´・ω・`)まぁ寝るよね

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:27:14.77 ID:i/AJA/Zc0
剣士「ふ、ぶっ……!?」フワッ

剣士(と、突風!?下から!?体が浮き上がる…!)

ドサッ

剣士「ったぁ……!」

魔術師「あう、剣士さん…ごめんなさい…」

博士「死ね~~じゃないわよ?これは試合よ、試合……結果は出たわ」


近衛「…はっ…はっ……!」ガタガタ

博士「どうやら、剣士さんの実力は騎士団の半数以上に勝るみたいねぇ…?ふふふ…」

近衛「…!くそっ…僕がッ…」

剣士「……」

魔術師「け、剣士さん!怪我はありませんでしたか!?大丈夫ですかっ?」

剣士「…あ、ああ…すまない、頭に血が…」

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:33:50.78 ID:i/AJA/Zc0
博士「…なるほどね……ま~運や地面の悪さ、甲冑の重さ色々あるでしょうからこれだけで断ずるには早計だけど…」

近衛「……」

博士「ふふ、そういう結果となってしまったら、それを信じるしかないわね?納得いかない?」

近衛「…僕が甘かった、それだけです…しかし騎士団はこう軟ではない」

剣士「……ほう」

近衛「負けを認めよう、僕は君の前では、そう君の言う通り平民以下のクズだ」

剣士(……ふん、無駄に潔くはあるんだな)

博士「…うふふ、珍しいものを見れたわ、ありがとうね…?」

近衛「……いえ、自分の甘さを認識できました、感謝します」

剣士「自信がつきました、ありがとうございます」

博士「……」

魔術師「……」

博士「…ふふ、それじゃあだいぶ脱線しちゃったけど…早速調査の方に移らせてもらうわね」

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:39:52.36 ID:i/AJA/Zc0
ガチャッ・・・ガサガサッ

博士「…機材はほとんどこの鞄のなかに納まっているから…あなた方はポイント到着まで私の護衛、というような形で行動していただくわ」

剣士「はい、任せてください」

魔術師「はーい」

博士「ちょっと無茶な山道を歩くかもしれないけれどー…まあ大丈夫よね?」

剣士「はい、問題ありません」

魔術師「あう、枝が顔に当たるから…あまり好きじゃないです…」

剣士「おいこら」

魔術師「はぅ、問題ありませんっ」

博士「うふふ、頼もしいわね?」

近衛「…では僕も…」

博士「あなたはテントを見張ってていただけるかしら?」

近衛「……え?」

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:44:40.48 ID:i/AJA/Zc0
剣士「…!」

近衛「待ってください、私は博士の身辺警護をと頼まれて…!」

博士「あら、そうなの…でも…」

博士「この大人数で歩くには不向きな山中…できるだけ少人数でいきたいのに、剣士さんとあなた、私はどちらを優先して警護を託せばいいのかしら?」

近衛「う……それは、…しかし」

博士「私も鬼ではないわ、あなたが試合で負けた、という事だけで言っているのではなくて~~…」

博士「そのテントの荷物の中には、国の重要な書類や証明書があるのよ」

近衛「……」

博士「それを護るという意味でも、あなたの適所といえば、それの警護なのではないかしらね…?」

近衛「…く…わかりました」

博士「ん~~よろしい…」

剣士「……」

博士「…ふふ、それじゃあ行きましょうか…?」

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:50:56.67 ID:i/AJA/Zc0
ザッザッザッザッ・・・

剣士「……」

魔術師「……剣士さん、剣士さん」

剣士「あ……ん?どうした?」

魔術師「…なんだか剣士さん…さっきから様子がおかしいですよ?変に無口です…」

剣士「……気にしないでくれ、護衛で緊張してるだけだからな」

魔術師「あ、そうなんですか」

剣士「うむ、なに、逆に国のお抱え騎士に勝てて晴々とした気分さ」

魔術師「えへへ、剣士さんの剣捌き、すごかったです!速かったー!」

剣士「そうか?…あの、いけすかない騎士もあいつはあいつで…技のキレは私よりも上だったけどな」

魔術師「あの人も構え方とか、本当に騎士っていうみたいでかっこよかったなぁ」

剣士「ふ、そうかもな……まぁ結局勝利を手にしたのは私だが、奴も強かった」

剣士(…だが、技のキレや潔さは良くても…あの態度、口ぶり……それだけは許せん)

446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 11:59:12.90 ID:i/AJA/Zc0
ガサ、ガサガサ・・・

博士(…なんとか邪魔な監視役は振り落とせた…ふふ、可哀そうだったけど)

博士(試合はどちらが勝っても適当な理由をつけて近衛兵を置いていくつもりではいたけれど……まさか、国の騎士が傭兵に負けるとはねぇ…予想外だわー)

博士(……とにかくこれで、城の関係者はいなくなった……ここで私が何の研究をしていようと、その噂が城の中から広がる可能性は消えた)

博士(あとはこの二人に適当な指示を出して放置して…ふふ、研究に集中することができるわ)

博士(民間の傭兵なんて所詮は小金稼ぎの野蛮人…少し地位や金をちらつかせれば、どうにでも動いてくれる…)

博士「うふふ……」

剣士「? どうかしましたか?」

博士「んー…?思い出し笑いよ…ふふ」

魔術師「あ、私もそういうのよくありますー!」

博士「ごめんなさいね、見苦しかったかしら?」

剣士「いえっ、そんなことは…」

博士(……)

博士(……そろそろ到着かしら)

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:05:41.24 ID:i/AJA/Zc0
ガサッ

博士(……以前訪れた所…そうね、ここだわ)

魔術師「あ、ここらへんはちょっとした広場になっていますね!」

剣士「ふむ、そうだな…辺り木々も無い、隆起したこの…崖か?岩の層が見える…」

博士「…この辺りは大きな空洞のある岩肌が多くてね…あ、空洞に入ったりしてはダメよ?」

剣士「何か問題があるんですか?」

博士「ええ~…専門家でないと、崩れる空洞かそうでない空洞かの見分けがつかないから…魔獣の巣かもしれないしね?」

剣士「ふむ、確かに…」

魔術師「わー、本当だ、スポンジみたいです…」

博士「ここ一帯は国内で最も高い山と云われているわ……まぁ、それでもこのくらい、って感じだけれど」

剣士「……ほおー、珍しい景色だ…」

博士「うふふ」

449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:12:35.35 ID:i/AJA/Zc0
博士「……じゃあ、私は良いポイントを探してくるから…すぐ戻ってくるわ、ここで待っていてちょうだい」

魔術師「はーい!」

剣士「博士、私たちに何か手伝えることがあれば…」

博士「ふふ、探しやすそうな地層を見つけに行くだけよ、大丈夫だから待っていなさい」

剣士「……はい、わかりました…」

魔術師(しょんぼりしてる剣士さん可愛い…)

博士「…まー…十分くらいして戻ってこなかったら、そうねー…死んだものと思って良いわ」

魔術師「えっ!?」

博士「うふふ、冗談よ……十分で戻らなかったら探しに来て」

剣士「……」

博士「期待してるからね?ふふ……」

剣士「…わかりました」

450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:18:37.00 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「……なんだか、変わった人ですねー」

剣士「ああ…頭を下げちゃいるが、苦手なタイプだ…あれは」

魔術師「あはは、でも悪い人じゃなさそうですから…」

剣士「…そうかもな…といっても、私には学者の感情や心なんて想像もつかないからなんとも言えん」

魔術師「人の心は、人それぞれですもの」

剣士「…うむ、そうだな」

ジャリッ

剣士「うーむ、しかし…あの博士の前で、試合に勝つ事ができたんだ…」

魔術師「うんうん」

剣士「もっと“できる”ってことをアピールして、更に好印象を与えたいな…」

魔術師「えへへ、博士さんのお手伝い、頑張らなくちゃですねっ!」

剣士「……ああ、そうだな!」

454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:40:23.13 ID:i/AJA/Zc0
――だいたい5分後

博士「…待たせて申し訳ないわね、良い場所を見つけたわ」

剣士「! ご無事で何よりです」

博士「ふふ、大げさよ…層がはっきりと大きくでている壁面があったから、これからそこへ行って作業をしてもらうわ」

魔術師「調査のお手伝いですねっ!」

博士「ふふ、きっと思っているほど近代的な調査ではないわ…誰でもできる簡単な仕事よ」

剣士「…それで、具体的にはどういった手伝いを?」

博士「それはこれから向かう壁面の前についたら説明するわ」

剣士「…わかりました」

博士「ふふ」

博士(…まぁ、私が真に調査したい場所はこんなどうでもいい壁面の層などではないけれどね…)

博士(でもそれを、あなたたちが知る必要はない)

455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:47:18.55 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「わー!ケーキみたい!」

剣士「ほおぉ……これはまた、なんとも…」

博士「ふふ、綺麗でしょ?ここなら層もわかりやすいし、広いから採集もしやすいと思うわ」

剣士「…えっと、ということは私たちの仕事は、ここでの博士の採集を手伝うということですか?」

博士「……う~~~ん、ちょっと違うかしら」

剣士「?」

博士「確かに採集はしてもらうのだけれど~~…私の手伝いとかではなく、あなたたち二人でやっていただきたいの」

魔術師「え、ええ!?私たちでですか?」

博士「本当は私も詳しい作業手順を手取り足とり教えながらやっていきたいんだけど……そうすると日が暮れてしまうのよね」

剣士「……」

博士「だから、私とあなたたち二人は別々に作業をするわ」

魔術師「うう……上手くできるかなぁ…」

博士「ふふふ、あなたたちなら上手くできると思うわよ?」

456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 12:54:12.37 ID:i/AJA/Zc0
剣士「…しかし博士、それでは博士の身の安全を守る事が…」

博士「それなら心配には及ばないわ、…なに、少しの間岩を削り取るだけですもの、ふふ…」

剣士「……しかし…」

博士「心配性ね?ふふ、大丈夫、慣れているから」

魔術師「…あ、あの、層の調査っていっても、私本当に素人でっ、ドジだし…」

博士「あの壁面の、そうね……あそこの白い層から下の古い所をこのポケットケースに、番号順に入れてくれればいいから」カパッ

魔術師「……えっと、……削って、このケースの中に入れるんですね?」

博士「ええ、簡単でしょう?」

魔術師「……できるかも!」

博士「うふふ、お願いね?」

剣士「……わかりました、任せてください」

博士「何かあったら呼ぶし、こちらの調査が終わればここに戻ってくるから、そんなに心配そうな顔をしなくても良いわよ?」

剣士「…!…はい」

458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 13:02:09.97 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「えっと、まずは一番下からいこうかなー」カリカリ

剣士「……」

魔術師「あ!私高い所をやるので剣士さんが低い所をやりますかっ?その方が効率が…」

剣士「…あの女、怪しいな…」

魔術師「ふえ?」

剣士「ホリィ、お前はなんとも思わなかったか?あの博士の振る舞いを」

魔術師「……うーん?」

剣士「テントに近衛兵を置いてきたり、私たちに作業を任せたり、随分と任せるのが好きなようだが」

魔術師「……あ!」

剣士「何か感じただろう?不穏な感覚を…」

魔術師「…きっと博士、私たちに隠れておやつを食べながら休憩…」グワシグワシ

魔術師「い、いたいいたい!髪の毛抜けちゃいますっ!」

剣士「食えよ、堂々と食えよ、誰も個人の栄養補給を妬んだりせんよ」

魔術師「……うー、でも確かに、ちょっと一人が好きかなー?って感じはしますね…」サスサス

剣士「…ふむ…」

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 13:08:00.48 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「でもでも、そういうのってよくありません?」

剣士「ん?」

魔術師「たまに友達と遊びたくなくなったりー、じっとお部屋のベッドでごろごろしていたかったり」

剣士「……わからないでもないが、それとこれとは関連が無さそうだな」

魔術師「私が学校に居た頃もずっとそういう子いましたよ!一人が好きな子!」

剣士「ふむ?」

魔術師「机の上に沢山落書きしてあってー、教科書もぜーんぶ炎の術を失敗して燃やしちゃったり、おっちょこちょいな子だったんですけど…」

剣士「…ん?」

魔術師「あそびましょーって話しかけたら、その子“話しかけないでくれ”って…」

剣士「いやもういい、その話はもう良いよホリィ、参考になった、ありがとう」

魔術師「? えへへー」

剣士「…まぁ、なんだろうな…そんな性格の人である可能性も全く無いではないが、私から見れば少し不自然に見えるんだ」

魔術師「? うーん、そうでしょうか…」

463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 13:18:43.72 ID:i/AJA/Zc0
剣士「……たとえば」カリカリ

剣士「鞄だ、あの博士、鞄は自分で持つと行って近衛兵に手渡さなかった」

魔術師「でもテントは守れって、近衛さんに言ってましたよ?」カリカリ

剣士「それは…んー、テントには特になにも怪しいものが無い、とか…」

魔術師「あんまり人を疑うのは良くないですよ?…あ!おっきな石が埋まってる!」

剣士「……むぅ…」

魔術師「人を疑っていたら、信じてあげられませんからねー」カリカリ

剣士「…それは、騙される人間の考え方だ」

魔術師「…うーん、でもでも、あの博士が私たちを騙してでも一人になりたいって理由は、なんなんです?」

剣士「……う、それは…」

魔術師「ね?考え過ぎなんですよー」カリカリ

464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 13:20:58.11 ID:i/AJA/Zc0
(´・ω・`)めしは食うよ

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:14:56.16 ID:i/AJA/Zc0
さあ納豆ごはんも食べたところではりきって続きいってみようか

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:19:45.49 ID:i/AJA/Zc0
カリカリ サラサラ・・・

カチッ

剣士「……」カリカリ

魔術師「…まだ、気になっているんですか?」

剣士「…いや、…うむ」

魔術師「……もー」

魔術師「剣士さんは博士さんに信頼されたいから、頑張ろうって言ったんですよね?」

剣士「そ、そうではあるが…」

魔術師「だったら剣士さんも博士さんの事を信じてあげなきゃ、おあいこになりませんよ?」

剣士「……」カリカリ

魔術師「……」カリカリ

剣士(…くそ、私はどうかしてるのか?疑心暗鬼じゃないか…何故だ?)

剣士(私たちを置き去りにして一人で調査…それは自分が集中したいから、そうともとれるだろう…?)

剣士「…くそ、悔しいが憶測の中では菓子を独り占めが一番あり得る線……独り占め…」

剣士「………」

475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:31:17.04 ID:i/AJA/Zc0
剣士「……魔石…かな」ボソ

魔術師「ふえ?」

剣士「博士が隠れて菓子を食ってる…割と、それは合っているかもしれんな」

魔術師「……?どういうことですか?」

剣士「さあな、私もよくわからん、全てが憶測では“お話”にしかならんからな」

魔術師「ほえー…?」

剣士「極端で…まぁ、バカな話でもあるが…」

剣士「あの変人博士が、もしも以前にこの山で…例えば、金とか、魔石とか…魔法金属とか、発見していたとしたら…」

魔術師「……」

剣士「…なんだそのほほえましい感じの笑顔は、やめろ」

魔術師「えー、だってー…」

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:37:47.64 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「国の科学者さんなんですよね?」

剣士「ああ、そう言ってたな……届いた書類もちゃんとしたものだったし」

魔術師「…国で専門家として働いている裕福な学者さんが、そんな魔石や金銀なんて…自分から隠してまで欲しがるとは思えませんよ?」

剣士「む……確かにそうか…」

魔術師「あるとしたら、もっとお金とかそういうのじゃなくて…別のものとかだと思いますよ?」

剣士「別のもの……ねえ?なんだそれは?」カリカリ

魔術師「うーん……えへへ、なんなんでしょう……?」

剣士「封印された魔剣か?禁術を記した聖典か?それとも古代に封印された幻のモンスターとでも…」

魔術師「ん!」

剣士「お!?」ガリ

剣士「あ、いけね、削りすぎちゃった……いやこのくらい大丈夫か…?おい、あまり変な声出すなよホリィ…」

魔術師「幻の…モンスター!」

剣士「?」

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:43:47.91 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「モンスターさんです!モンスター!」

剣士「は?お、おい一体どうした、落ち着いて話せ…」

魔術師「いるんですよっ!本で読みましたっ!この国には、ものすっごくおっきな、モンスターが眠っているって!」

剣士「……?」

魔術師「えへへ……こほん!」

魔術師「えっとですね、そのモンスターはこの国の岩盤として地下に眠っていてですね…」

魔術師「でもその岩盤の正体は実は何と!国を覆ってしまうほどの巨大なカメの甲羅…」

剣士「アホらし」カリカリ

魔術師「……ちょ、ちょっと聞いてくださいよ剣士さん!これ本当だとしたらすごいことですよ!」

剣士「新種の魔族かと思えばなんだ、ただのおとぎ話じゃないか」カリカリ

魔術師「む、むー…でも、あの博士さんはもしかしたらそのカメさんの研究をしていたり…」

剣士「そんなくだらない研究のために私たち平民に重ーい税をかけているのか?だとしたら今すぐ抹殺してやるレベルだな」

魔術師「そ、そんな…でも本当にあるかもですよ…?」

478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:49:57.08 ID:i/AJA/Zc0
カリカリ

剣士「……」カリッ

剣士「…ふん…まぁ、あの博士が何故一人になりたがっているのか…それ自体には興味がある」

魔術師「…はい」

剣士「亀の甲羅云々は、かなー……りどうでもいいが、一億分の零くらいの確率ではあり得ることかもしれん」

魔術師「それってゼロじゃ…」

剣士「うるさい、……とにかく私は、今の私はあの変態博士の動向が気になって仕方が無いんだ」

カランカラン

剣士「こんな、ただ岩を削っているだけの作業でもじっとやっていられん…真偽のほどを確かめにいきたい」

魔術師「え?本当ですか?」

剣士「ああ、このままではおちおち、安心して仕事もしていられんからな…」

剣士(…本当ならあの博士を信頼し、彼女の命令を聞き狂いなく実行する…それが最大のアーピルなんだろうが)

剣士(……もしあの女の掌の上で踊らされているのだとしたら、それはもう、我慢できん!)

剣士(私は元来ああいう、含み笑いをするタイプの人間が大嫌いなんだ…!)

480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 14:54:16.69 ID:i/AJA/Zc0
タッタッタッタッ・・・

魔術師(……あーあ、剣士さんいっちゃった…)

カリカリ

魔術師「いつもいつも無茶するから…心配だなぁ…剣士さん…」カリカリ

魔術師(でも博士さんがどこにいるかもわからないのに、どこに行ったんだろ…?)

魔術師(…もしかして…剣士さん、博士さんを追いかけて途中で迷子になっちゃったりしないかな…!?)

魔術師(あんなに小さい剣士さんが迷子になったら、そうしたら…!)


剣士『うぐっ…ぇえーん…ホリィぃ…どこだよぉー…!』グズッ


魔術師「……!」

魔術師「か、可愛い!」ガリッ

魔術師「あわわ、変な風に削っちゃった…」パラパラ

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:03:37.10 ID:i/AJA/Zc0
タタタッ・・・

剣士(博士は別の所で調査すると言ってどこかへ行ってしまった…場所は告げなかった)

剣士(それだけでも怪しいものだが…ううむ、やはり何故一人になりたいのか、それがわからん…)

剣士「……」


キョォォオオォッ・・・・ ケロケロケロケロ・・・

剣士(…コダマ鳥の声が響いている…やっぱり郊外、っていう感じがするな…)

剣士(国境の端っこ…他国との境目である微妙なライン…ロケーションを考えれば考えるほど、怪しさは膨らむのだが…)

ジャリッ

剣士「……む」ザラッ・・・

剣士(砂……いや砂利だ、岩の破片…?そんな感じではない…?)

剣士(……上の、層の壁面から崩れて積もったのか…?いや)

ジャリッ

剣士「…岩の破片が不自然に積もっているのは、ここだけだな…」

484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:15:37.43 ID:i/AJA/Zc0
剣士「……どこか、この壁面を掘削でもしたのか…?」ツツツ・・・

剣士「しかし周囲にそのような跡は…ただゴツゴツしてるだけ…!?」

ツツ・・・スカッ

剣士「!? 岩の凹凸に触れたと思ったら…手ごたえがない…!?だと…」

剣士「な、なんだ?これは、見えるが触れない岩だとでも…」

剣士「…」ジーッ

剣士(違う、これは目の錯覚だ…この触れないと思った部分、ここは…この部分の岩だけが)

剣士(普通の壁面よりも、“奥”に存在している…!)

剣士(まるでだまし絵のような岩の扉だな…扉…まさか)スッ


ピチョーン・・・


剣士(微かにだが………水の音…)

486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:24:21.43 ID:i/AJA/Zc0
剣士(中は洞窟のように暗い…けど何故だろう、薄暗い程度だ…まるで地面が淡く光っているようだな…)

剣士(…ふん、とうとう胡散臭くなってきたぞ…ここに来て地層の調査などと言われても、愛想笑いも涸れるものだな……)

コツーン、コツーン

剣士(…思ったよりも広い空洞だな…岩の扉は自分で作ったのかな…?)

剣士(……何のために)

ピチョーン・・・

剣士(………ふ、当然か……菓子を隠すためだよな…?)

コツーン、コツーン・・・

剣士(国のお抱え科学者が一体、こんな辺鄙な山へピクニックをしにきて、どんな菓子を食うのか……興味がそそられる)

488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:36:41.19 ID:i/AJA/Zc0
ドクン・・・・・・

博士「……」

ドクン・・・・・・

博士「……ふふふ、水脈の音、かもしれないけれどー……?ちょっと、リズムがねぇ……?」

博士(ひとつひとつがまるで馬車のように巨大な、鉄の鎖の輪…ふふふ、こんなもので、どこを縛っているのかしら…)

博士(ここが洞窟の最深部…周囲には…消えかかった古代の魔法陣…)

博士(城にもあったけど~~…この魔法陣、魔石からの魔力の調整役、とか言ってたわねぇ…)

博士(うふ、うふふふ…でも実際のところ、これってなんなのかしらねぇー…!?私からすると、まるで封印…)


カツーン

博士「……!」ババッ

カツーン・・・

博士(……!)ギリッ・・・

490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:43:24.64 ID:i/AJA/Zc0
カツーン

博士(誰だ、誰か来るな、城の人間か?)

博士(落ちつけ、きっとあの傭兵二人のうちのどちらかだ…いや、どちらにせよマズい)

博士(…最深部のこの岩の一室だけは、絶対に見られてはいけない…ここを見られればただの噂では済まなくなる…)

博士(……この部屋の入り口を爆破するか!?いや落ち着きなさい…ダメよ、それだけはダメ…)

博士(………ここへは定期的に城の重要人物が訪れ、安否を確認している…そんなことをしては、形跡が…)


カツーン・・・

博士(…………あくまで最後の手段としてそれは残す…先にダメ元で手を打っておくとするなら~~~…)

博士(…知らんぷりか…“口封じ”しかないわね…!)

491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:48:30.53 ID:i/AJA/Zc0
カツーン・・・

剣士(…長い…長いぞ、すごい長さだ、自然にできる洞窟の長さではない)

剣士(そもそもこんな山の壁面に洞窟なんてあるわけがない…ここは作られた空間…!)

剣士(絶対に何かあるぞ……絶対に…!)

カツーン、カツーン

剣士(! 足音…私の残響音ではない…これは)

カツーン、カツーン・・・

剣士(……来るな、誰かが…)

カツーン、カツーン

剣士「…!」

494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:52:03.80 ID:i/AJA/Zc0
477 :通りすがりの名無しさん :06/04/14 17:27
俺の中高では登下校時は革靴で、校内は上履きとしてスニーカーを履くことになっていた。
しかし高2くらいになると、面倒だから校内でも革靴で過ごす奴が増えてくる。
教師によってはそれをうるさく注意する奴もいた。
ある期末テストの日、試験監督としてコワモテの体育教師が俺のクラスにきた。
試験が始まると、教師はさっそく教室を回りながら革靴を履いてる奴を指摘して回った。
「革靴。革靴。はいお前も革靴。革靴。お前も。…」
しかしその日、友人Mは前もって極上のネタを仕込んでいた。
オランダ土産の木靴を履いていたのである。
童話にでてくるような、デカくて先がクルンと丸まった木靴。
教師はMの席に近づいていく。
「はい革靴。革靴。お前も革靴。革靴。木靴。革靴。革靴。…」
教師は伝説となった。

496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 15:58:17.97 ID:i/AJA/Zc0
博士「あら、足音が聞こえてたから誰かと思えば、剣士さんね?」

剣士「…博士、随分と探しましたよ…地層の調査でわからないことがありまして」

博士「あら、そうなの?じゃあ今すぐそちらに行くわね、こっちの方も終わったし…」コッ、コッ

剣士「……」

博士「……」コッ

博士「行きましょう?もう一人の~~~…魔術師さん、まだあちらに残っているのでしょうしね?」

剣士「…博士、そしてここでも聞きたいことが」

博士「……何かしら、遠慮なくどうぞ?」

剣士「今回の調査は、地層の地質調査……ですよね?博士さん」

博士(……うふふ…)

博士「そうね、地質調査よ…層の成分を分析に、この山がいつの時代にできたものなのかを…」

剣士「ここには層が見当たりませんが」

博士「………うふ、…うふふ」

498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:03:52.22 ID:i/AJA/Zc0
博士「はー…うん、うんうんうん…」

剣士「……」

博士「うふふ、…私、頭の回転が早い子って大好きよ?理解が早くてとても助かるもの……でも」

コッ

博士「あんまり頭の回転が速いと~~~…悪い熱にうなされてしまうわよ…?うふふ…」

剣士「…知らない方が良い事もい多い、ですか?」

博士「うふふ、良いわねそのセリフ、なんだか裏役の悪って感じがして素敵…」

博士「でも私はねぇ?悪でもなんでもない…私は多くを知っているだけ…秘密が多いだけなの」

剣士「……」

博士「秘密を持ってしまうと、ど~~…しても、隠していたくなっちゃう…そんな経験、あなたにもあるわよね…?」

剣士「……ふん」

499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:11:47.13 ID:i/AJA/Zc0
剣士「博士…私はあなたの事を信じて、そうして…誠意を見せて働けば、あなたに認められると…そう思っていました」

博士「あら?私は力のある人物は認めるわよ…使える子は大好きだもの」

博士「あなたが昼間、うちの城の騎士を負かした時、その時から私はあなたを認めていたわよ?」

剣士「違う」

剣士「…ここは一体、何なのですか?地層とは全く関係の無い、人為的に掘られた洞窟のように見える…私は」

剣士「……私は…私を騙すような人に認められても…そんなもの信じられない、ちっとも嬉しくはない」

博士「……」

剣士「…博士が握っている秘密…それ自体は、私は知ろうとは思いません…いえ、そう言ってしまえば嘘ですが」

剣士「……私は、私が信じていた人が私を欺いていた…それだけが何よりも気持ち悪いんです」

博士「……うふ」

500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:18:49.89 ID:i/AJA/Zc0
博士「それじゃあ、あなたは私を信じなくていいわ」

剣士「!」

博士「私もあなたを信じない、うふふ……」

剣士「…!私は真面目に…!」

博士「こちらも真面目よ」

博士「…ど~~しても人には知られたくない秘密がある…誰しもひとつは持っている…」

博士「ここもそうよ?ここは私の禁忌…ここに踏み入れる人は、本当なら放っておけないの」

剣士(……脅しにきたか?)

博士「あなたもそうでしょう?知られたくない秘密……あるはずだ」

剣士「…」

博士「知らないとでも思ったか、“賎民”」

剣士「……ッ!貴様!」

バッ

博士「離しなさい賎民、……お前が襟が掴んだところで絞め上げられやしない、ただ汚れるだけだ」

剣士「貴様…それ以上私をその名で呼ぶな…ッ!」

501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:25:18.69 ID:i/AJA/Zc0
博士「ソイレギンス…今では由来を知る者はあまりいないだろうが、私は知っている…城で教育を受けた者ならわかるだろう」

剣士「やめろ…!」グッ

博士「奴隷上がりの“靴磨き”が…名を改め“呉服”など…身の程を知ったらどうだ?」

剣士「これ以上私の母を侮辱するなッ!」

ジャキンッ

博士「……“ソイレギンス”の名を持つ者が騎士になる…?うふ、うっふふふふ…おかしいわ、滑稽よ、いえ、センスがあるわ」

剣士「貴様…死にたいのかッ!?」

博士「……うふふ、わかる?誰でも知られたくない事はあるのよ…」

剣士「……!」

503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:32:25.90 ID:i/AJA/Zc0
博士「秘密は共有するものよ?うふふ…この場所も、私の襟についた跡も…」

剣士「……!」

博士「私はこの襟とあなたの家系図を見せるだけで、剣士さん……あなたをいつでも監獄…いいえ、死刑台送りにできるのよ」

剣士「…貴様…貴様貴様貴様ァぁあ……!」

博士「大丈夫、安心して?うふふ…私は秘密を多く持っている…コレクションは大事にするタイプよ…」


博士「…ここで見たことは全て忘れろ、誰にも話すな、もしも何かあったら~~……」

剣士「……!」

博士「お前は当然…お前の親…兄弟…子孫……あのホリィって子も」

博士「…全て…」

剣士「……」

博士「………うふふ、じゃあ早く“地質調査”に戻りましょうか?剣士さん?」

505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:38:54.12 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「……あっ!剣士さん!」

剣士「ああ、ホリィ」

博士「遅くなって申し訳ないわね、そちらの採集の方はどう?」

魔術師「えへへー、ばっちしです!」カランカラン

博士「あらぁ、素敵……やっぱり私が見込んだ通り、優秀な人たちね?」

剣士「……」

魔術師「? 剣士さん?」

剣士「…ん?何だ?」

博士「うふふ、それじゃあテントに戻りましょうか……今日で終了、もう良いわ」

魔術師「えっ?」

博士「ふふ、二人が頑張って集めてくれたおかげよ、良い場所だったっていうのもあるけれど…予定よりもずっと、早く終わったわ」

魔術師「え、えへへ…褒められた…」

510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:45:05.48 ID:i/AJA/Zc0
近衛「……?あれ、博士、そのテント…」

博士「んー?調査の方が終わったから…もう今日で引き上げるわ」

近衛(早っ…来た意味無っ…)

魔術師「えへへー…あ、すみません、なんだか近衛さんだけ待たせちゃう形になってしまって…」

近衛「あー?いや、そういうのは全然構わないけど」

剣士「…やれやれ…結局なんのためのテントだったんだか……」ブツブツ

魔術師「あははー、でも早く終わって良かったです!」ガチャガチャ

剣士「そうだな、良かった…」ガチャガチャ

魔術師「?」ガチャガチャ

近衛「じゃあ、標の灯を上げておかないとな…馬車呼ばないと、馬車」

博士「……」

515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:52:41.27 ID:i/AJA/Zc0
――ニの街 傭兵協会前

博士「…それでは、受付の人にこの紙を渡して」ピラッ

魔術師「? あっ、依頼者側の報告書かー…」

博士「予想以上の働きだったから、評価は高めにしてあるわ…ふふ」

魔術師「あ、本当だ!ありがとうございます!」

博士「うふふ……それじゃあ、私はこのままこれで帰るから~~…いつかまた、機会があれば…よろしくね?」

魔術師「はーい!」

剣士「…うむ、あーいや、…はい」

近衛「……剣士」

剣士「?」

近衛「またいつか、今度はちゃんとした場所で手合わせを願いたい」

剣士「……ほう」

近衛「その時は絶対に僕が勝つ」

剣士「…ふん、やってみるがいいさ」

博士「………ふふ…」

521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 16:59:31.24 ID:i/AJA/Zc0
「はい、出発しまーす」

ガラガラ・・・ゴトンゴトン・・・


魔術師「またいつかー!」ブンブン

剣士「……」

魔術師「…ほら、剣士さんもっ!アピールアピール!」グイッ

剣士「…」ブンブンッ

魔術師「……えへへ、今日は疲れましたねー」

剣士「…そうだな、疲れたな…」

魔術師「でも楽しかったです、色々な事があって…」

剣士「…そうだな、色々な事があった」

魔術師「……剣士さん、なんだか元気ないです?」

剣士「気のせいだろう、私はいつもこうだ」

魔術師「……そうだったかなー…」

524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:05:42.69 ID:i/AJA/Zc0
受付「いやぁーそれにしても……ほっ」

どんっ

受付「…まさか、日帰りで戻ってくるとは思いませんでしたよ」

魔術師「えへへ、私もですー」

受付「最近、物凄いスピードで仕事をされているようですけど、本当に体だけは大事にしてくださいよ?」

剣士「うむ、わかってる」

受付「傭兵は体が資本、いつまた緊急の指令が下りるかわからないんですから、いつでも万全に整えておいてくださいよ?」

魔術師「はーい!…えへへ、大丈夫です!剣士さんが無理しそうになったら私がとめますからっ」

受付「はは、それなら心強い」

魔術師「ねー?剣士さん?」ヒョイ

剣士「降ろせ、持ち上げるな」

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:10:02.64 ID:i/AJA/Zc0
魔術師「えへへー、お金、今日も沢山!」ジャラジャラ

剣士「…うおー…あの変態博士、奮発してるな…」

魔術師「あっ!またそう悪い風に言うー…怪しいと思って行ってみたけど、何もなかったんでしょう?」

剣士「え?ああ…そうだよ」

魔術師「じゃあヘンタイなんて、失礼ですよ?剣士さん」

剣士「……うむ、そうだな…すまん」

魔術師「……」

ヒョイ

剣士「! おい、だから降ろせ、持ち上げるなと…」

魔術師「…剣士さん、何か隠してません?」

剣士「…!」

魔術師「あーっ、今ちょっとまぶた動いたー!」

526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:14:15.54 ID:i/AJA/Zc0
剣士「……」

魔術師「…むー、やっぱり何か隠してるー…」

剣士「……て、てい!」ガスッ

魔術師「きゃ!?ちょ、チョップ!?」

スタッ

剣士「…何も隠してないし、持ちあげられるのは嫌だ、それだけだ」

魔術師「……」サスサス

剣士「……」

魔術師「……ねえ、剣士さん?」

剣士「…なんだよ」

魔術師「今日も一緒に、お風呂入りません?」

剣士「……風呂か、そうだな…」

魔術師「今日あった、疲れた事もいやーなことも、全部水に流せちゃうかもしれませんよ?」

剣士「…ふん、そうだな、そうしようか……」

529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:19:27.85 ID:i/AJA/Zc0
「わー、剣士さんの髪、じゃりじゃりしてるー」ワシワシ

「…作業中の砂埃のせいだな…お前の頭も同じだ」

「えっ?そ、そんな……」

「おい、しっかり洗え!お前の髪は後で洗ってやるから!」

「あう、はい、ごめんなさい…」ワシワシ


「……ホリィ」

「んー?はいー?」ワシワシ

「…もしも私が騎士になったら…お前はどうなるんだろうな」

「……あ」ワシ

「…例えばの話だぞ?そもそも私がなれるかどうか…」

「……なれますよ!絶対!…うー、お城に住みこむようになって、しばらく会えなくなっちゃうのは寂しいですけど…」

「……」

「…でも、剣士さんだったらきっと、絶対になれますよ!」

530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:22:29.02 ID:i/AJA/Zc0
「……なれるかな、私でも」

「うん」

「騎士にだぞ?」

「うんっ」

「…この、ミゼラ=ソイレギンスがだぞ?」

「えへへ、だからー、なれますって…ば!」

バシャッ

「うおっ!冷たっ…!」

「あ、ご…ごめんなさい!お湯じゃなかった…!」

「…この野郎、お前も同じように…!」

「ひ、ひい!やめてください!ゆるしてー!」

534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/21(日) 17:26:44.89 ID:i/AJA/Zc0
多くの謎を残し、小さな女と大きな女の物語はここで終わる

しかし二人はまだまだ夢のため、努力していることを忘れてはいけない

まあ何千年かもすれば忘れられてしまっても、仕方の無いことかもしれないが


おわり


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