FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

上条「初詣行かないか?」 神裂「私で…良ければ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:33:45.66 ID:4SyRupAbO
のんびりですがよろしくです

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:39:53.87 ID:4SyRupAbO
一月二日。三ヶ日のど真ん中。
午後1時、上条当麻は神社にいた。
ある人と待ち合わせをしているのだ。

「うわー、やっぱ人多いなぁ。
やっぱみんなこういうイベントは好きなんだな」

見渡す限り人で溢れている。
学園都市は科学の街だ。
科学に関しては、外の世界より十年は進んでいると言われている。
しかしこんな時の為、神社もあるのだ。
初詣。上条の今日の目的だ。

「しかし、こんな人でごった返して、
ちゃんと落ち合えんのか」

上条がそんな事を心配していると、人波を掻き分けて約束の相手が現れた。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:40:41.60 ID:4SyRupAbO
「お待たせして申し訳ありません、上条当麻」

深々と頭を下げているこの人物、
神裂火織が待ち合わせの相手だ。
イギリス清教ネセサリウスのメンバーであり、
天草式十字凄教の女教皇。
更には世界に二十人程しかいない聖人だ。

「……………」

ぼーっと神裂を見つめている上条に、
神裂が不安な顔をする。

「も、もしかして…お待たせしてしまって
怒っているのですか?


「え?いや違う違う!何でもねーから気にすんな!」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:41:58.20 ID:4SyRupAbO
神裂は着物を着ていた。
薄い青を基調に、色とりどりの花があしらわれている。
髪もポニーテールではなく、きちんと頭の上で結わえてあった。
普段の神裂は、白いTシャツに、
片方が太ももの付け根まで破られたジーンズを履いている。
その姿で現れるとばかり思っていた上条は、
そのあまりに珍しく、美しい姿に見とれてしまったのだ。

「き、今日は着物なんだな」

「へ、変ですか?」

「変じゃない変じゃない!!
むしろ良い!上条さんは良く似合っていると思います!!」

「そ、そうですか?少し恥ずかしいです」

そう言って口元に手を添える姿は、妙に色っぽく見えた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:44:49.83 ID:4SyRupAbO
美しい黒髪に清楚で凛とした立ち居振る舞い、
神裂は見事に着物を着こなしていた。

(インデックスならこうはいかないな…)

上条は容易に想像出来た。きっと七五三みたいになるだろう。

そのインデックスは、上条の担任、月詠小萌の家にいる。
おせちパーティーに参加中だ。

「初詣とおせち料理、どっちがいい?」

そう聞いた上条に、インデックスは即答したのだ。
「おせち」と。

「では行きましょうか」

神裂に促されて、二人は境内に向かう事にした。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:46:07.31 ID:4SyRupAbO
「す、進まねー!!!」

上条と神裂は完全に人の波に飲まれていた。
少し気を抜けばはぐれてしまいそうだ。

「わざわざ一日は避けたのに!」

実は上条は知らなかった。この神社は駅からも近く、
出店もたくさん出ているので初詣の人気スポットなのだ。

境内に向かう人と出店で立ち止まる人で
境内までの通路は大渋滞だった。
「きゃっ!」

後ろから押された神裂は、
慣れない草履に踏ん張りが効かずよろめいた。

「あっ、あぶねー!」

上条は咄嗟に神裂の腕を取り、引き寄せた。

「す、すいません」

「大丈夫か?しかしこれじゃ
辿り着く前にはぐれちまいそうだな」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:48:05.76 ID:4SyRupAbO
「ほら」

そう言うと上条は自分の左腕を差し出した。

「俺なんかの腕で悪ぃけど、
とりあえず掴まってた方がいいぞ」

「!!!」

「また転びそうになったら困るだろ?
それにはぐれても面倒だしな」

上条は何か特別な意味があって言ったのではない。
自分を気遣ってくれているだけなんだ。
頭では分かっていても、神裂の心臓は一気に鼓動が早くなった。

「で、では…あの…失礼します」

そう言って神裂は、
上条の腕を自分の右手でしっかりと掴んだ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:52:00.33 ID:4SyRupAbO
(こ、恋人みたいです!!)

上条の体温が右手から伝わってくる。
神裂は緊張で体がカチカチになっていた。

(て、手に汗が!大変です!)

「神裂?」

(ふぁぁ!!今ちょっと強く握っちゃいました!!)

「神裂ー?」

(かかか肩がっ!!今!肩が密着してしまっています!!)

「神裂さーん!」

「ひっ!ななな何ですか!?」

あまりの緊張に上条の呼び掛けなど気づかなかった。
聖人と言っても18歳の女の子なのだ。

「大丈夫か?もうすぐ順番回ってくるぞ」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:55:53.95 ID:4SyRupAbO
>>17

はい、書いてました
スレは落ちちゃいました

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:56:34.87 ID:4SyRupAbO
気がつけばもう人混みの先頭まで来ていた。
名残惜しかったが、お詣りするには手を離さなくてはいけない。

「す、すいません!」

神裂は慌てて上条から手を離した。
賽銭箱にお金を入れ、二人は手を合わせ心の中で神様にお願いをする。

(今年は不幸が減りますように。
インデックスの食欲も減りますように)

(み、みんなが…特に上条当麻が幸せになりますように!)

「さて、帰りに出店でも寄ってくか」

二人は人混みから少し離れた場所にある、
甘酒の出店へ立ち寄った。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 13:58:39.91 ID:4SyRupAbO
出店の脇にある小さなベンチで待っていると、
両手に甘酒を持って上条が戻ってきた。

「ほら。たいしたもんじゃないけど、上条さんの奢りだ」

「ありがとうございます」

二人はベンチで甘酒をすすりながら、
行き交う人を眺める。
みんなとても幸せそうだ。
新しい年への希望で溢れている。

「神裂は何をお願いしたんだ?」

突然聞かれた神裂はむせそうになる。

「そっ、そんなの教えられません!」
「そっか。それもそーだな。
それよりお前顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」

「こ、これは…甘酒です!甘酒に酔ったのです!」

自分でも情けない言い訳だと思ったが、
【あなたの幸せです】などと口が避けても言えなかった。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:00:37.39 ID:4SyRupAbO
甘酒を飲み終わった二人は、
人混みを掻き分けてまた神社の入り口に戻ってきた。
行きの流れよりスムーズだった為、
上条と腕を組む機会がなかった。神裂はそれが少し寂しかったりする。

「その、今日はありがとうございました。」

「俺の方こそサンキューな。神裂と初詣来れて良かったよ。
着物姿も見れたし」

「な、何を言っているのです。からかうのはやめてください」

「でもやっぱ神裂を誘って良かったよ。
最初は一人で行くつもりだったしな」

「わ、私で良ければいつでも…」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:03:09.61 ID:4SyRupAbO
「この後すぐイギリスに戻んなきゃいけねーんだろ?
じゃあ気をつけてな」

「はい。では私はこれで失礼いたします」

そう言って神裂は遠ざかって行く。
途中振り返って小さく手を降っていた。

「さて、俺も帰るとしますか」

上条が歩き出そうとしたまさにその時だった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:04:19.94 ID:4SyRupAbO
「あっ!!アンタっ!」

「げっ!!!!御坂!!!!」

そこには学園都市第3位でレベル5の電撃使い、
御坂美琴がいた。

「"げっ!"て何よ、"げっ!"て!!」

「お前こんなとこで何してんだよ?」

「見て分かんない?初詣よ、は・つ・も・う・で!!」

「制服で?」

美琴は常盤台の制服姿だ。
着物を着た人ばかりの中では、
明らかに浮いていた。

「うっさいわね!校則なのよ!」

「…へー」

「ぐっ!!!聞いといて興味なさそうにしてんじゃないわよっ!!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:08:08.75 ID:4SyRupAbO
美琴の前髪からパチパチと電気が走る。

「お前も着物ぐらい着れば?せっかくの初詣なんだし」

「校則だっつってんでしょーがぁぁぁぁ!!!!!」

上条目掛けて電撃が飛んでくる。
しかし上条が右手で防ぐと、電撃は一瞬で消えてしまった。

「あっぶねー!!こんな人がたくさんいるとこで何考えてんだよ!!」
「アンタが私を怒らせるからでしょーが!!」

「カルシウムが足りないのか?よし!それなら上条さんが
牛乳をご馳走してあげよう!」

「だから…それが怒らせてんでしょーがぁぁぁ!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:15:22.53 ID:4SyRupAbO
「わ、悪かった!!上条さんは猛反省した!」

「はぁ~、もうどうでもいいわ…」

上条当麻に何度電撃を放っても全く効かない。
美琴はぐったりしていた。

「で、アンタ。アンタはここで何してたのよ?」

「初詣に決まってるだろ。
三ヶ日に神社と言えば他に何があるんですか御坂さん?」

「ぐっ!!!あんたも私に聞いたくせにっ」

美琴は電撃を放ちそうになるのを耐える。

「あ、あんた一人で来たの?」

「いや、知り合いとだけど」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:22:09.55 ID:4SyRupAbO
美琴の嫉妬を挟む方がいいみたいだから
今ストーリー変更中
ちょっと待っててください

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:37:03.85 ID:4SyRupAbO
「そ、そう。ちなみに……女の子?まさかとは思うけど」

「あのな~御坂。いくら上条さんでも
初詣に付き合ってくれる女の子くらいいますよ?」

「…っ!?」

美琴は胸のあたりが締め付けられる感覚がした。
もし美琴がもう少し恋愛に対して大人なら、
これが"嫉妬"だと分かっただろう。

「そ、そう。それは良かったわね…」

「な、何怒ってるんだよ!?」

「…別に怒ってなんかないわよ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 14:51:58.48 ID:4SyRupAbO
「いや、上条さんには怒ってるように見えます」

「……怒ってない」

「いやいや、御坂さん!
頭からパチパチと音がっ!!」

「怒ってなぁぁぁぁい!!」

今日一番の電撃が上条を襲った。
「はぁ~、なんか当初の目的を忘れているわね…」

「そ、そうだな。一旦落ち着こう」

上条と美琴が一息ついた時だった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 15:06:26.22 ID:4SyRupAbO
「あら?あらあらあら?お姉さまではありませんのっ!!」

「く、黒子!?」

そこには美琴のルームメイト、白井黒子がいた。

「黒子、あんた何でこんなとこいんのよ?」

「ジャッジメントのお仕事ですの。
これだけ人が集まれば、トラブルも多くなりますから。
定期巡回してますの」

確かに黒子の左腕にはジャッジメントの腕章が付いていた。

「で、お姉さま。確か初詣はお一人で行くと黒子は聞きましたけど?」

黒子は上条を値踏みするように眺める。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 15:20:19.88 ID:4SyRupAbO
「へ~、そうですの…

お姉さまは黒子に嘘を吐いてまでこの殿方と…」

「ち、違うわよ」

「あら?私の目を見てお答え頂けますか、お姉さま」

「ぐ、だから違うわよ!!」

「まぁいいですの。黒子は仕事がありますのでこれで失礼しますわ。
ときに上条さん、お姉さまに何かいかがわしい事をしたら
…羨ま…ではなくて許しませんわよ」

そう言い残すと、黒子の姿は一瞬で消えてしまった。
これが黒子の能力、テレポートだ。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 15:23:55.52 ID:4SyRupAbO
「な、なんだったんだ…」

完全に一人取り残された上条は、突然の嵐に巻き込まれた気分だった。

「じ、じゃあ俺は帰るから」

「………いよ」

「へ?」

「待ちなさいよ!黒子に二人で初詣行くって勘違いされたのよ!!」

「そ、それが何か?」

「これで行かなかったら…後で黒子に説明すんのが面倒でしょーがっ!!!」

「な、なんて理不尽な!!」

美琴は口実が出来て内心嬉しかったが、上条にとっては災難だった。

「ま、待て御坂!俺はもう…!」

「アンタの意見なんか聞いてないっ!ありがたく付き合いなさい!!」
「ちょ、俺もう初詣は…!」

「うっさい!!!!」

「ふ、不幸だぁぁぁぁ!!!」

こうして上条は、本日二度目の初詣をするハメになるのだった。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 15:29:34.55 ID:4SyRupAbO
神裂が空気になってしまいましたが
初詣は一応完です。
支援して下さったみなさんありがとうございました
今から御坂妹でストーリー作ってみます
夜までスレが残ってたらまた投下します

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 16:05:40.32 ID:4SyRupAbO
じゃあ神裂で作ってみます!

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 16:19:25.85 ID:4SyRupAbO
>>57
神裂と五和のやつですか?

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:10:53.98 ID:4SyRupAbO
続きというには微妙ですが
少しずつ書いていきます

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:11:57.65 ID:4SyRupAbO
「もしよろしければ、ご飯をご馳走させて頂けませんか?」

神裂からそんな電話が掛かって来たのは、
山小屋での一騒動からしばらくしての事だった。
建宮や土御門が迷惑をかけた事を、
神裂は申し訳なく思っていたのだ。
もちろんそれは建て前で、上条と過ごすチャンスというのが神裂の本音だ。

「どーしたんだよいきなり」

上条は建宮や土御門の悪巧みだと気付いていないので、
神裂の急な申し出に内心驚いていた。

「お前から食事に誘われるなんて、なんか意外だな」

「そ、そうですか?あの、嫌ならお断りして頂いて構いません」

「ん?嫌だなんて思ってないぞ。
むしろ上条さんは大歓迎だ」

いつもの食事といえば、インデックスとおかずを取り合ったり、
スフィンクスがお皿をひっくり返したり。
とにかくてんやわんやの大騒ぎなのだ。
神裂との食事なら久しぶりに
のんびり食べられると上条は思った。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:24:04.50 ID:4SyRupAbO
>>60

じゃあ書きためる間に
山小屋の貼っときますね

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:25:26.76 ID:4SyRupAbO
訂正 >>66

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:28:07.49 ID:4SyRupAbO
学園都市は現在お正月である。
午後1時、上条当麻は補習も全て消化し、
お正月は家でのんびりと過ごしていた。はずだった。

「なのに…ここはどこだぁぁぁ!!!」

時は遡る事3時間程前。
上条当麻はお正月を満喫していた。
コタツに入ってただひたすらにダラダラする。

「コタツを考え出した人、上条さんはこの恩一生忘れません」

同じようにダラダラしている銀髪シスターは
コタツの中で足をパタパタさせている。
「ねぇトーマ、おなかへった。
何か作ってくれると嬉しいな」

「フ…上条さんは今コタツと心も体も一つ。」

「む~、トーマのケチ」

お正月、コタツから出るのは至難の技なのだ。
さてもう一眠り、
と上条がウトウトしかけた時だった。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:31:39.31 ID:4SyRupAbO
ピンポーン

上条の部屋のチャイムが突然鳴らされた。

「め…めんどくさい。インデックス、見て来て」

ピンポーン

「いやだー。トーマのおうちなんだから
トーマが出るのが当たり前なんだよ」

ピンポンピンポーン

「ぐ……そういう時だけ家主扱いしやがって」

ピンポピンポピンポーン!!

「だぁぁぁぁうるせー!!!どちら様ですかっっっ!!!!」

上条が玄関のドアを開けると、意外な人物がいた。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:32:59.72 ID:4SyRupAbO
「久しぶりよな、上条当麻」

黒々とした髪、首からは小さな扇風機をいくつもぶら下げ、
靴ひもは引きずる程長い。

「建…宮?は?なんでお前が?」

建宮斎字、天草式十字凄教の教皇代理だ。

「話は後だ。緊急事態が起きたのよな」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:34:27.10 ID:4SyRupAbO
建宮がいう緊急事態は何なのか?
上条は何か大きな事件に発展するような気がした。
そしてこの予想は間違っていなかったが、
今の上条は知る由もなかった。

「で、どこに向かってるんだ?」

学園都市の外で
建宮が用意してくれた車に乗り込んだ上条は運転手に聞いてみた。
名前は確か…牛深だったか。しかし返事はない。
もう1時間以上会話がないのだ。

「はぁ~、今日中に帰れるだろうか…
無理なら…インデックスに怒られちまうな」

インデックスは小萌に預けて来た。
困った時の小萌頼み。いつか恩は返そう。
上条がそんな事を考えていた時だった。
体が前に引っ張られる。車が急に止まったのだ。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:37:30.65 ID:4SyRupAbO
というのがだいたいの経緯である。
車から降ろされた上条は置いていかれた。
降りる時に大きなカバンを渡された。

「ここはどこだぁぁぁ!!」

上条は改めて周りを確認してみる。
周囲は木々で鬱蒼としている。どうやら山の中らしい。
目の前には小さな山小屋。

「とりあえず…落ち着こう」

上条はカバンを抱えて山小屋の中に入ってみる事にした。
通常こういった山小屋は、遭難者などの
避難場所として開放されているはずだ。
案の定、山小屋に鍵はかかっていなかった。

「お邪魔しますよー……えっ!?」

山小屋は広さは6畳程しかないが、小さな暖炉、
テーブルに椅子、簡単なキッチンなどもあり小綺麗だった。

しかし上条が驚いたのは思ったより綺麗だったからではない。
その部屋にまたまた意外な人物がいたからだ。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:47:24.47 ID:4SyRupAbO
「い、五和…?」

そこには椅子にちょこんと腰掛けている、
天草式十字凄のメンバー、五和がいた。

「かかかか上条さんっ!!??」

ガタンッ!と大きな音を立てて五和が椅子から転げ落ちる。

「大丈夫か?つーかお前なんでここに?」

恥ずかしかったのか、五和の顔は真っ赤だ。

「わ、私は教皇代理に任務があるからここで待ってろって
…上条さんは?」

「俺も建宮に緊急事態だって
連れてこられたんだけど」

(か、上条さんとこんなとこで会えるなんて…
確かに緊急事態です!)

二人が今の状況を把握しようと
必死に頭を動かしていると、
またもや意外な人物があらわれた。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:50:46.73 ID:4SyRupAbO
「!?かっ…神裂!!!」

山小屋の扉を開けて入って来たのは世界に20人程の聖人、
そして天草式の女教皇だった。

「なっ、上条当麻!?なぜあなたがここにいるのですか!?
それに五和まで!」

見たこともない顔で戸惑う神裂に、
上条と五和は事の経緯を簡単に説明した。

「…なるほど、そうでしたか。私は土御門からこの場所の調査を依頼されたのです。
このあたりにイギリス清教の宝具があるらしいのですが。
調査に必要な道具も預かりましたし…」

そう言って神裂は大きなカバンを掲げて見せた。

「あ!?そういえば俺も渡されたんだ!」

上条は牛深に渡されたカバンを
テーブルの上で開けてみる事にした。

「なんだ…これ」

3人がカバンを覗き込むと、中にはお肉や野菜、
飲み物やお皿などが入っていた。

五和も慌てて自分のカバンを確認してみる。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:53:30.13 ID:4SyRupAbO
【頑張れ。 天草式一同より】

と書かれた紙と共に、
おしぼりと大精霊チラメイドのコスチュームが入っていた。

「そんな…」

カバンの中身がすり替わっていた。
ここに来る前は確かに任務に必要な物を入れて来たはずだったのに。

「どーしたんだ?顔真っ青だぞ」

上条の声に五和は慌ててカバンを閉じた。

「ななななな何でもありません!!!」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 18:56:23.38 ID:4SyRupAbO
何かがおかしい。神裂は二人からは見えないように
土御門に渡されたカバンを開けてみた。

「!!!!!!!!」

【ねーちんファイト 土御門元春】

そう書かれた紙と堕天使エロメイドのコスチュームが入っていた
。見なかった事にしよう…神裂はそっとカバンを閉めるのだった。

「さて、どうなるか楽しみよな」

木々に紛れて山小屋を監視していた建宮が笑みを浮かべる。

「まったく、ねーちんも五和も世話が焼けるにゃー」

土御門も嬉しそうに答える。

「エロメイド対チラメイド……
俺達にとっては最高のお年玉なのよな」

「今年はいい一年になりそうだにゃー」

そう言ってニヤニヤ笑う二人に、
天草式のメンバー達はただただ溜め息を吐くしかなかった。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:13:58.84 ID:4SyRupAbO
「とにかく、ここに居ても仕方ありません。
道は私が分かりますので山から下りましょう」

神裂の提案で3人は山を下りる事にした。ところが…

ゴォォォォォ!!!!

山小屋を出た途端、地響きと共に激しい揺れが起こった。
同時にとてつもない魔力が辺りを包んでいく。

「なっ何だ!!!」

「きゃっ!」

「二人とも私の後ろに!!」

神裂は一瞬でワイヤーを張り巡らせ、
3人を包むように防御結界を作った。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:17:59.96 ID:4SyRupAbO
「フッフッフ、甘いにゃー。
そんな簡単に帰らせるわけないにゃー」

全て土御門の計算通りだった。
もともと陰陽師である彼は、
竜脈と呼ばれる魔力の流れを読む事に長けている。
竜脈に囲まれた場所を土御門が探し、
そこに天草式が山小屋を建てる。
あとは少し細工をして竜脈を小さく暴走させる。

「かみやんの右手は厄介だからにゃー。けどこれは消す事はできないぜぃ」

上条の右手には【イマジンブレイカー】という力が宿っている。
それが異能の力ならば、触れただけで打ち消してしまう。
結界を張ったところで無駄なのだ。

「けど竜脈なら別だにゃー。竜脈はいわば大地の生命の流れ。

いくらかみやんでも生命を打ち消す事は出来ないにゃー」

「そして竜脈の結界の上から天草式の対聖人用の結界も張ってあるのよな。」

「バカだ…全力のバカだ」

天草式のメンバーは二人を見て皆同じ事を思ったのだった。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:21:53.78 ID:4SyRupAbO
「くっ!!!」

何度目だろうか、神裂は七天七刀で結界の破壊を試みていた。
上条のイマジンブレイカーも試してはみたものの、
破壊されたそばから再生されるのでは
どうしようもなかった。
上条は知らないが、竜脈による結界を消すには、
竜脈の流れを制御している土御門の
折り紙に触れなければ意味はないのだ。
土御門はルートディスターブと戦った時の事を応用していた。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:23:26.52 ID:4SyRupAbO
「くっ、やっぱり駄目ですね。聖人用の結界が重ね掛けされています」

「うわぁー、神裂でも駄目か。どーすっかなー。
こんな山ん中じゃ携帯も圏外だし。不幸だ」

頭を抱えてうなだれる上条に気付かれないように、
神裂は五和に耳打ちした。

「五和、こんな事になった原因、私に心当たりがあります」

「えっ!神裂さんも?私も心当たりあります!」

「やはり…建宮と土御門の仕業ですね」

「どうしましょう…」

五和は今にも泣き出しそうな顔をしている。

「大丈夫。ずっとこのままという事はないはずです。
しばらくすれば出られると思いますよ」

「じゃ、じゃあ大人しく待つしかありませんね…」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:28:52.95 ID:4SyRupAbO
結局三人は山小屋に戻る事にした。
神裂と五和は、建宮と土御門が裏で糸を引いている事は、
上条には黙っている事にした。
パチパチ…

暖炉で燃える、薪特有の乾いた音だけが響いている。

(きっ、気まずい…)

上条は、女の子二人と隔離されたこの状況に緊張していた。
しかしそれ以上に緊張しているのは神裂と五和だった。

(……どうしたものでしょう。する事がありません…
こんな時は何を話せばいいのでしょうか)

(うぅ~、どうしよう。上条さん、さっきから一言も喋らない。
おっ、おしぼり渡す?ダメ、今は無理!)

「うぉぉぉぉ!!!!!」

突然上条が大声を出した。
二人はビクッと肩を震わせる。
「暗い!!暗いですよ二人共!!
決めました!ご飯にします!ご飯食べれば元気も出るのです!」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:38:50.00 ID:4SyRupAbO
上条の提案で晩ご飯を作る事になった。
何かしていた方が落ち着くのは3人共同じだ。

「じゃ、じゃあ私が何か作ります。
お二人はお皿なんかを並べて頂けますか?」

五和は食材をどんどん仕込んでいく。
その手際はある意味魔術だと上条は思った。

「ちなみに神裂って料理すんのか?」

皿を並べながら上条は尋ねた。

「たっ、多少は…」

神裂は五和を見ながら答える。さすがにあんなに手際よくは出来ない。
やっぱり男性は料理上手な女性に惹かれるのだろうか…

「得意料理は?」

「たっ……鯛茶漬け…です」

帰ったら料理を勉強しよう、神裂はそう心に決めるのだった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 19:55:28.16 ID:4SyRupAbO
あっという間にテーブルは料理で一杯になった。
和洋折衷、様々な料理が並んでいる。

「すげー!五和ってやっぱり料理は達人だよなー!」

上条はその見事な腕を見て、素直に五和を褒めた。

「そそそそんな、たいした事ありませんから。
おっ、おしぼりどうぞっ!」

五和は上条と神裂におしぼりを渡す。
神裂は借りてきた猫の様に小さくなっていた。

「いただきまーす」

3人の晩ご飯が始まった。

「うっ、うまいっ!!!」

上条は夢中で箸を動かしている。五和はそれが嬉しくて嬉しくて、
自分が食べるのを忘れてしまっている。

「美味しい…」

神裂も素直に感心した。

(このレベルに達するには、私はどれだけ勉強すれば良いでしょうか…
そうだ、この機会に上条当麻の好き嫌いも把握しておかなければ…)

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:04:55.20 ID:4SyRupAbO
「五和、お前絶対いいお嫁さんになれるよ」

ガチャンッ!五和が茶碗を落とす。

神裂の思考は停止する。

「な、なななな何をいっ、言ってるんですか!?
そんなお、お、お嫁さんなんて!」
五和は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「で…でも上条さんさえ良ければ…その、お、お嫁さんに…」

五和は何かボソボソと呟いている。

「か、上条当麻!!あなたという人は、何を考えているのです!?
お、お嫁さんなんてそんな…
五和も何真に受けているのですっ!」

なぜか神裂の顔も真っ赤だ。

「へ?お、俺なんか変な事言ったか?」

上条当麻はいつだって鈍感なのだ。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:07:59.52 ID:4SyRupAbO
「さぁかみやん、お楽しみはこれからにゃー」

土御門は建宮とアイコンタクトを取ると、
不適な笑みを浮かべるのだった。

「は~、お腹一杯!ごちそーさま!」

あの後何故か神裂と五和は食事が終わるまで、
顔を真っ赤にしたまま、黙々と箸を動かしていた。

「じゃ、じゃあ私お片付けしますから」

五和はテーブルの上をテキパキと片付けていく。
最初から最後まで見事な手際だ。

神裂はそんな五和を見て落ち込んでいた。

(五和は私にないものをたくさん持っている)

単純に力なら神裂の方が圧倒的に強い。上条を守ってあげる事だって出来る。
しかし神裂は五和の様に料理が出来るわけでもないし、気が利くわけでもないのだ。
女の子としては五和の方が圧倒的に強いのかもしれない。
【強くなりたい】その思いは今も変わらないが、
神裂の心は言い知れぬ不安で溢れていた。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:09:37.37 ID:4SyRupAbO
テキパキと洗い物をしながら五和は思い出していた。

(神裂さんはやっぱりすごいな)

山小屋を結界が突然取り囲んだ時、五和は体がまったく動かなかった。
頭が状況についていかなかったのだ。しかし神裂は違った。
何が起きているのか頭で理解する前に、
一瞬で上条と五和を守ろうと動いたのだ。
五和は以前上条と共にアックアと戦った際
心に決めた事がある。

【上条当麻を守る為なら死んでもいい】

「はぁ~、私もまだまだです」

五和は深い溜め息を吐くのだった。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:13:12.49 ID:4SyRupAbO
そんな二人の思いなど知らず、上条は窓の外を眺めていた。
すっかり日も落ちて、辺りを暗闇が包んでいた。
見えるのは結界のかすかなゆらめきだけだ。

「あー、帰ったらインデックスになんて説明すっかなー」

インデックスは上条が危険な場所に身を置く事を極端に嫌う。
今日は緊急事態という事でインデックスを待たせているのだ。
心配しているのは目に見えている。

「はぁ~…まぁ噛みつかれるくらいは覚悟しとかないとな」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:14:49.89 ID:4SyRupAbO
神裂はソワソワしていた。
この小屋には小さいが簡単なシャワールームがついている。
どうしてもシャワーを浴びたい。
結界を破ろうと四苦八苦した時に、
神裂はうっすら汗をかいてしまったのだ。

「か、上条当麻。私は湯浴み…いえ、
シャワーを浴びたいと思うのですが」

「は、はい?」

上条の体温が2度は上がる。

「で、ですからシャワーです。」

神裂の頬はすでに湯上がりのように赤い。

「あ!シャワールームの方は見ないでって事ですね」

五和は神裂に助け舟を出す

「五和。あなたも一緒に入るのです」

「えぇっ?一緒にですか?」

神裂は上条と五和を二人っきりにするのは何となく嫌なのだ。
「では五和、行きますよ」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:16:37.41 ID:4SyRupAbO
五和は拒否する間もなく、神裂に手を引かれていった。

「上条さんはジェントルマン。決して振り返りません!」

上条は言い付け通りシャワールームに背を向ける。
振り返りたい気持ちもあるのだが、
今シャワールームにいるのは聖人だ。
命を懸けてまで覗く気はない。


シャワールームの前は狭い脱衣場になっていた。
神裂はさっさと服を脱いでいくが、
五和はなかなか脱げないでいた。
なんせ壁一枚隔てて上条当麻がいるのだ。

「どうしたのです?早く入ってしまいましょう」


「はっ、はい!」

シャワールームに入った五和は、神裂の体をまじまじと見る。
神裂の体は息を呑むほど美しかった。
出るところは出ているし、
引き締まるべきところは引き締まっている。

(それに比べ私は…)

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:17:23.24 ID:4SyRupAbO
五和はよく【隠れ巨乳】とからかわれる。
しかし神裂程のスタイルではないのだ。
「で…でも私だって……【脱いだら凄い】は男の夢だって…
…みんな言ってたし…きっと上条さんだって…」

「何をブツブツ言っているのですか?五和」

「わわわわわ!何でも!何でもありません!!」

五和は消えてしまいたい程、恥ずかしかった。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:18:51.13 ID:4SyRupAbO
「ターゲットの入浴を確認」

建宮のトランシーバーから女性の声がした。

「来たのよな」

「あぁ、来たにゃー」

建宮と土御門はこの時を待っていた。
神裂と五和がシャワーを浴びるこの時を。

「ミッションスタートだぜぃ」

「よし、対馬!やるのよな!」

建宮はトランシーバーに命令を出す。
対馬と呼ばれたふわふわ金髪の女性は、
脱衣場の床下で命令を受け取った。
ここに潜んでおくのは土御門や建宮でも良かったのだが、
対馬がそれを許さなかった。

「はぁ~、ごめん五和!申し訳ありませんプリエステス!!」

対馬は床下から出ると、二人の下着以外全て回収して
また床下へ姿を消した。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:21:02.13 ID:4SyRupAbO
「うそ………………」

神裂と五和は脱衣場で呆然と立ち尽くしていた。

「こ、これって…マズいですよね?」

確かにあったはずの衣服がないのだ。
何故か下着だけが残されている。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:21:51.86 ID:4SyRupAbO
「普通逆だと思うんですけど…」

五和の的外れな突っ込みは、神裂の耳には届いていなかった。

「ど、どうしましょう、五和…」

「し、下着姿では出れませんよね…」

「……………………」

「あ!!!!!!!!!!」

神裂と五和は同時に何かに思い当たった。
そう、建宮と土御門の狙いはこれだったのだ。
カバンに入っていたコスチューム…。

「くっ、不覚です。まさかここまでするとは!」

「で、でもこんな格好じゃ出れませんよ!」

「し、仕方ありません…」


そう、神裂と五和は見事に罠にハマったのだった。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:23:28.04 ID:4SyRupAbO
「かっ、上条当麻!!」

シャワールームから声を掛けられ、上条は一気に緊張する。

「か、神裂さん?なっ、なんでしょう?」

「そ、そこにある私と五和のカバンを取って頂けますか?」

着替えが入ってんのか?上条は深く考えずにカバンを手に取ると、
目を堅く閉じ、
手探りでシャワールームに近づく。
そしてシャワールームから伸びている神裂の少し火照った手にカバンを渡した。

「はぁ~、ビックリした…でもなんかいい匂いしたな~」

上条はまたシャワールームに背を向け、一人悶々とするのであった。

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:24:58.82 ID:4SyRupAbO
「…五和……先に」

「いっ、イヤです!無理です!」

二人はもう10分近く押し問答をしている。
仕方なく着てはみたものの、
あまりに布面積の少ないメイド服で上条の前に出るのは
並大抵の勇気ではない。
これなら【神の右席】と戦う方がどれだけ楽か。

「…わ、私は天草式十字凄教の女教皇です」

「あー!!!ず、ずるいですよ!卑怯です!横暴です!」

神裂の肩を揺さぶって、五和は抗議する。
しかし次の瞬間、五和は足がもつれてバランスを崩してしまった。

「あ…」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:26:07.35 ID:4SyRupAbO
バターンッ!!!
大きな物音に上条はつい振り返ってしまった。

「へ?」

そこには神裂の上に馬乗りになった五和がいた。
しかし上条が驚いたのはそこじゃない、二人の格好だ。
神裂は背中に小さな羽の付いたメイド服だ。
ご丁寧に頭に輪っかまで付けている。
確か以前病室で見た記憶がある。
五和は蝶々のような羽の付いたメイド服だ。
精霊をモチーフにしているのだろう。
二人に共通しているのはその布面積の少なさだ。
馬乗りの五和は胸元が、
倒れている神裂は太ももが露わになっていた。

「な………なんですかその格好はぁぁ!!!!!!」

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

上条が目に焼き付ける前に、二人はシャワールームに逃げ込んでしまった。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:28:07.46 ID:4SyRupAbO
「うっ…うぅ…穴があったら入りたいです…」

五和は恥ずかしさのあまりメソメソしている。

「い、五和…もう覚悟を決めるしかありませんよ」

神裂だって顔から火が出る程恥ずかしい。

「うぅ…わ、私は神裂さんみたいにノリノリじゃないんです!」

「の、ノリノリ!?」

「うっうぅ…だってそうじゃないですか!服は仕方ないですけど

頭の輪っかは神裂さんの意志で付けてるじゃないですか!」

「うっ…こ、これは……」

神裂はいつだって律儀なのである。

「と、とにかく!私は行きますから!
五和もいつまでもメソメソしてないで早く出てくるのですよ!」

ペシッと天使の輪っかを床に投げ捨てると、
神裂はシャワールームから飛び出すのだった。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:29:26.22 ID:4SyRupAbO
「か、上条当麻。あまりジロジロ見ないで頂けますか…」

神裂はスカートの裾を下に引っ張りながら、モジモジしている。

「ふ、ふぁいっ!!」

上条は見ているつもりはないのだが、
つい目が行ってしまう。

「い、いやー、しかし災難だったな!アハハハハ…」

なんとか空気を変えようとするが、
空回りしてしまう。

「あれ、そーいえば五和は?」

神裂はスカートから手は離さずに、
目でシャワールームを指す。
上条がシャワールームに目をやると、
五和が顔だけ出して覗いていた。

「そのー、いつまでそんなとこにいるんだ?」

上条が問いかけると、ヒュッと頭が引っ込んでしまった。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:31:43.51 ID:4SyRupAbO
(大丈夫!大丈夫よ五和!!
恥ずかしくなんかない!!!)

五和は何度も自分に言い聞かせた。
シャワールームにうずくまって、もう20分は経つ。

(覚悟を決めるのよ五和!!)

五和は頬をパンと叩くと立ち上がる。

「やぁぁぁぁぁ!!!」

シャワールームから飛び出て来た五和に、
上条と神裂は心臓が飛び出しそうになった。

「も、もうちょっと静かに出て来れないのですか、五和」

「す、すいません…つい」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:34:26.81 ID:4SyRupAbO
二人はモジモジとしながらただ黙って俯いている。
その姿勢のまますでに10分が過ぎている。
神裂も五和もさっきから椅子に座ろうとしないのだ。

「ま、まぁ俺もあんまり見ないようにするからさ、
二人共とにかく座れよ」

「…け、結構です」

「私も…」

スカートが短過ぎて、座れば色々見えてしまいそうなのだ。
上条はそんな事気づいていないが。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:42:04.22 ID:4SyRupAbO
「よし!じゃあもう寝よう!!!
電気消しちまえば恥ずかしくないだろ?」

「え?そ、それはそうですけど…」

「じ、じゃあ俺はバスルームで寝るから!!おやすみっ!!」

気まずい空気に耐えられなくなった上条は、
シャワールームに入りドアを閉める。

(だ、だめだ。あんなの直視できねー!!)

余談だが、上条当麻は普段バスルームで寝ている。
インデックスにベッドを占拠され、
一緒に寝るのもマズい気がするのでバスルームに鍵を掛け、
寝袋で寝ているのだ。
なのでバスルームで寝るのは得意だ。

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:44:39.16 ID:4SyRupAbO
「上条さん寒くありませんかね…」
電気の消えた部屋で神裂と五和は横になっていた。
布団は用意されてないが、
二人でくっついていれば寒くはない。

「あれは…彼の優しさです。
普段はふざけているようですが、
あれで優しいとこもあるんですよ」

「ですね。あの、一つ…聞いていいですか?」

「何ですか?」

「上条さんの事…どう思ってるんですか?」

何だか友達の家に泊まりに来た中学生みたいだ。
神裂はそう思った。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:45:26.68 ID:4SyRupAbO
「それは……秘密です。五和はどうなのですか?」

「ふふ……秘密です…あっ、でも」

「でも何ですか?」

「私負けませんから!」

神裂は五和の女の子らしさを、五和は神裂の強さを、
お互い羨ましいと思った。
しかし今の二人は不思議とそんな気持ちは消えていた。
お互い性格も得意な事も違う。
しかし誰かを想う気持ちは何も違わないのだ。
だから無いものねだりはやめにしよう。
自分は自分にしかなれないんだ。
同じ人を想う者同士、二人はそう思えるようになっていた。

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:47:00.32 ID:4SyRupAbO
翌日、上条は息苦しさに目が覚めた。
目を閉じてても微かに光を感じる。
どうやら朝になっているようだ。

(ん…なんだ…なんか息が…)


(なっ、なんですかこれはぁぁぁ!!!!)

上条の目の前に、神裂の胸元があった。
神裂は抱き枕のように上条にくっついている。
後ろからは五和が抱きついている。

(よし、ちょっと状況を整理しよう。
上条さんは決して過ちは犯していません!)

とにかくなんとか切り抜けたいのだが、
二人にしっかり抱き付かれて身動きがとれない。

(か、神裂って意外と寝顔可愛いな…
いい匂いするし…ってそんな事考えてる場合じゃねぇ!)

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 20:49:38.81 ID:4SyRupAbO
(よし、上条当麻脱出大作戦だ!)

上条は少しづつ体をずらし、二人の間から抜け出そうと試みる。

「んっ…ん………」

上条が動く度に神裂から吐息が漏れ、
五和はさらに強く抱き付いてくる。

(だ…だめだ……)

それから1時間、二人が起きるまで
上条はひたすら耐えた。
これがオリンピックの競技なら
間違いなく金メダルだ。

二人は上条が寒くないように、
上条が寝静まってからこっそり来たのだが、
もちろ上条はそんな事は知らないのだ。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:42:55.58 ID:4SyRupAbO
みんなごめん、それからありがと
日課のジョギングしてきた
再開します

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:44:53.32 ID:4SyRupAbO
朝には結果も消えており、
二人の服も綺麗にクリーニングされて戻っていた。

二人は抱き付いた事を必死に謝ってくれたが、
上条は悪い気はしなかったので気にするなとだけ言った。
上条だけは建宮たちの悪巧みだとは気付いていなかったが、
神裂と五和は黙っている事にした。
悪巧みに腹は立っていたが、
上条と過ごせた事には少し感謝していたのだ。

「ではこの道を下れば街に出ますので。」

「あれ、お前らは一緒に帰らないのか?」

「私達はまだ用事がありますので。ね、五和」

「えぇ。上条さんは気をつけて帰って下さいね」

「それから、ちょっと遅くなりましたけど」

二人は声を揃えて言った。

「「明けましておめでとうございます!」」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:46:06.89 ID:4SyRupAbO
上条を見送った二人の笑顔が邪悪なものに変わる。

「さぁ…いきましょうか五和…」

「ふふ…そうですね………」


物陰で今回の首謀者は反省会を開いている。

「いやー、甘酸っぱかったにゃー」

「なかなか良いものみせてもらったのよ」

「写真を撮っておけば良かったにゃー。あれは高く売れるぜぃ」

「しかし二人もまだまだ子供なのよ。押しが足りないというか…」

「まぁ何にせよ最高に楽しませてもらったにゃー」

「それは良かったですね」

「ホント良かったにゃー…………ってあれ?」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:48:11.90 ID:4SyRupAbO
二人が振り返ると鬼の形相をした神裂と五和が立っていた。
神裂は七天七刀を、五和はフリウリスピアをそれぞれ手に持っている。

「ホント良かったですね…」

「………ちょ…ねーちん」

「その腐った根性、新年早々叩き直してもらえるのですから」

「…あの…五和さん?」

二人は声を揃える。

「「いっぺん…死ねぇぇぇぇ!!!!!!!!」」


一応「完」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:49:54.30 ID:4SyRupAbO
>>131
ありがとうございます

これが山小屋編です
お鍋編も遅いですが頑張って書いていきます

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:50:36.02 ID:4SyRupAbO
「もしよろしければ、ご飯をご馳走させて頂けませんか?」

神裂からそんな電話が掛かって来たのは、
山小屋での一騒動からしばらくしての事だった。
建宮や土御門が迷惑をかけた事を、
神裂は申し訳なく思っていたのだ。
もちろんそれは建て前で、上条と過ごすチャンスというのが神裂の本音だ。

「どーしたんだよいきなり」

上条は建宮や土御門の悪巧みだと気付いていないので、
神裂の急な申し出に内心驚いていた。

「お前から食事に誘われるなんて、なんか意外だな」

「そ、そうですか?あの、嫌ならお断りして頂いて構いません」

「ん?嫌だなんて思ってないぞ。
むしろ上条さんは大歓迎だ」

いつもの食事といえば、インデックスとおかずを取り合ったり、
スフィンクスがお皿をひっくり返したり。
とにかくてんやわんやの大騒ぎなのだ。
神裂との食事なら久しぶりに
のんびり食べられると上条は思った。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 21:52:27.37 ID:4SyRupAbO
「で、では後程自宅へお伺いさせて頂きます」

「へっ??」

上条はてっきりどこかで外食するものだと思っていた。

「うちに…来るのか?」

「い、いけませんか?私が…その、鍋でもお作りしようかと…
迷惑でしょうか…」

神裂の寂しそうな声に、上条は思わず答えてしまう。

「い、いけなくありませんっ!!
むしろ是非よろしくお願いしますっ!」

「ふふ、あなたはいつも大袈裟ですね、では後程」

そう言って電話は切れてしまった。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:04:11.58 ID:4SyRupAbO
「し……しまったぁぁぁ!!」

上条は頭を抱えてうなだれていた。
神裂の寂しそうな声に負けて、
勢いでオッケーしてしまった。

「くっ、女の子を簡単に部屋に上げてしまうとは。
上条さんはいつからこんなプレイボーイになったんですか…」

「前からなんだよ」

上条の背後から銀髪のシスターが声を掛ける。

「とーまはいっつも知らない間に
女の子と知り合って帰ってくるんだよ。
そもそも既にこんな可愛い女の子と住んでるじゃん」

そう言ってインデックスはモデルの様にくるりと回った。

「あー、お前はいいんだよ。幼児体型のお子様なんだし」

「む!なにそれヒドい!!」

そう言ってインデックスは上条の頭に噛みつく。

「いってぇぇぇ!!!ほらみろ!!
そんな事するやつが女の子であってたまるかぁぁ!!」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:07:06.84 ID:4SyRupAbO
インデックスに散々噛みつかれた上条は、全身歯形だらけになっていた。

「くそ…不幸だ…」

(しかし、インデックスに神裂が来ること伝えた方がいいのか?)

(いや、もしインデックスがいたら鍋がめちゃくちゃに…
神裂の好意を無駄にしかねない…)

幸いというのか、
インデックスは電話の内容までは分かっていない様だった。
上条があれこれ考えていると、
手に持っていた携帯が震えた。
ディスプレイには月詠小萌の名前があった。
インデックスに負けない程幼児体型の、
上条の担任だ。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:16:53.40 ID:4SyRupAbO
「はい、なんすか小萌先生?
上条さんは補習ならお断りで…」

「はぁ~、上条ちゃん。
補習が嫌ならきちんと勉強すればいいのです。
それに今日は補習の連絡じゃありませんよー」

「ん?じゃあ何ですか?」

「そこにシスターちゃんはいますか?」

上条はベッドでスフィンクスと
じゃれているシスターをちらっと確認する。

「いますけど?」

「良かったです。じゃあシスターちゃんに代わって下さい」

上条はインデックスに小萌先生からだと、電話を手渡した。

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:24:46.50 ID:4SyRupAbO
「とーま大変!!!」

小萌との電話を終えたインデックスは、
やけに興奮していた!

「あのね!小萌がお家で焼き肉するんだって!
でもお肉たくさん買い過ぎて困ってるみたいなんだよ!
だから神様に仕える身の私としては、
ほっとく訳にはいかないと思うんだよ!」

「は?」

「じゃあとーまはお留守番しててねっ!いってきます!」

早口でまくし立てると、嫌がるスフィンクスをひっ掴むと、
インデックスはさっさと出掛けてしまった。

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:34:51.75 ID:4SyRupAbO
「あいつは肉さえあれば誰にでもついて行きそうだな……」

上条はさっさと出て行ったインデックスを見て、心底そう思っていた。

「ま、まぁこれで落ち着いて鍋が…………はっ!?」

上条は重要な事を見落としていた。

「ふ…ふたりっきりじゃねぇかぁぁぁぁ!!!!!!」

その後の上条は檻の中の動物のようだった。
部屋を行ったり来たり、同じ所を何度も掃除したり。
そうこうしているうちに、
上条の部屋のチャイムが鳴った。

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:46:34.37 ID:4SyRupAbO
「お、お邪魔します」

両手に抱えきれないほどの荷物を持って神裂は訪ねてきた。

「神裂、一体なにをそんなに持って来たんだ?」

「あ、あの…食材とか土鍋とかお皿とか…」

「し、食器まで買って来たのか…」

「す、すいません!張り切りすぎてつい……」

神裂はシュンとうなだれてしまう。

「い、いや!上条さんはそのしっかり準備する姿勢に感動してます!!」

取りあえず荷物はキッチンに置いて、
上条は神裂を部屋へ通した。

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:56:37.25 ID:4SyRupAbO
「ところで上条当麻、あの子の姿が見あたりませんが…」

神裂は荷物をおろすと部屋を見渡しながら尋ねた。

「ん?あぁインデックスなら只今絶賛焼き肉中だ」

「????」

神裂には何を言っているのか分からなかったが、
上条と二人きりになれるという事だけは分かった。

「さてと、じゃあ早速準備しようか」

上条は荷物を持ってキッチンに向かう。
神裂もいそいそとその後に従った。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 22:57:34.23 ID:4SyRupAbO
「あ、あの…」

上条が食材の確認をしていると、
神裂が申し訳なさそうに声を掛けてきた。

「こ…これ。紐…結んで頂けませんか?」

神裂はエプロンを必死に着ようとしていた。
背中の紐が上手く結べないのか
必死に手を動かしている。

(し、新婚さんみたいじゃないですかぁぁぁ!!)

という思いは心にしまい、上条はあくまで紳士的に紐を結ぶのだった。

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:08:02.81 ID:4SyRupAbO
「はぁ~」

上条はネギの準備を始めた神裂を、
溜め息をつきながら眺めている。

「な、なんですか、上条当麻」

その視線に気付いたのか、神裂は手を止めて振り返る。

「いや、神裂がお嫁さんになったらこんな感じなのかなーって」

「おっ!!おおおお嫁さんっ!ななな何をっ!
ちっ血迷いましたか上条当麻!」

「へ?」

上条はただ思った事を口にしただけなのだか、
神裂は顔を真っ赤にして慌てふためく。

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:18:59.81 ID:4SyRupAbO
「おっお嫁さんなんてそんな…
わ、悪い気はしませんが…」

「…ざき!」

「いえ、むしろ嬉しいです…
もし上条当麻とけっ、結婚なんて事になったら…」

「神裂!」

「えっ?」

ブツブツと呟いていた神裂は、
上条が必死で呼び掛けているのに気付かなかった。

「神裂!あぶねー!」

気がつくとネギを切っていたはずの包丁が、
神裂の手元まで来ていた。

「いたっ!」

「大丈夫か!?」

ボーっとしていた神裂は、うっかり自分の指を切ってしまった。

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:20:45.20 ID:4SyRupAbO
「血が出てんじゃねーか。ちょっと待ってろ」

そう言うと上条は絆創膏を取りに行く。

(はぁ~、駄目ですね私は。
五和のようにはいきません)

「お前でも失敗する事あんだな」

そう言って上条は絆創膏を手に戻ってきた。

「す、すみません。ついうっかりして…
ご迷惑おかけします」

神裂は自分の情けなさに
ガックリとうなだれる。
しかし上条からは意外な言葉が返ってきた。

「安心したよ」

「えっ?」

「いやー、なんか神裂って何でも完璧にこなしそうだろ?
だからそういうドジなとこもあったんだって思ってさ。
上条さんはその方が可愛いと思うぞ」

そう言って上条は神裂の手を取り、器用に絆創膏を巻いた。

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:30:50.51 ID:4SyRupAbO
上条当麻の言葉には
不思議な力があると神裂は思う。
どれだけ自分が情けなくても、
上条の言葉を聞けば自分で自分を許せるような気がする。
自分で背負い込んだ重い荷物も、彼の言葉で軽くなる。

「ありがとう、上条当麻…」

そう言って神裂は上条の手を両手で包む。

「は…はい?」

「な、何でもありません。さぁ、早く用意してしまいましょう!」

神裂はまたキッチンへと戻る。
何も気づいていない鈍感な上条を残して。

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:37:25.67 ID:4SyRupAbO
その後の神裂は見事な手際だった。
あっという間に食材の下準備を終え、
テーブルに食器を並べていく。

「さぁ、あとは煮えるのを待つだけですね」

テーブルに向かい合った二人は、
鍋に食材を入れていく。

鍋が煮えるまでの間、
二人は思い出話に花を咲かせた。
初めて出会ったあの日、エンゼルフォールの時の事、アックアとの事。
鍋が煮えるには充分だった。

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:43:46.69 ID:4SyRupAbO
「では」

「おぅ」

「いただきます」

神裂は甲斐甲斐しく、
上条の分を取り分けてくれる。

(何度でも言うっ!!!
新婚さんみたいじゃねーかぁぁぁぁ!!!)

飲み物がなくなればすぐに注ぎ足し、
上条が何かこぼせばすぐに拭く。
まさに至れり尽くせりだ。

「なぁ、神裂。やっぱお前もいいお嫁さんになれるぞ。
上条さんが保証する」

「…!?」

カタンと神裂はコップを倒してしまう。

「あわわわわ!!!!す、すいません!!」

慌ててテーブルを拭く神裂。

(もうっ!私のバカっ!!)

こうして鍋の夜は更けていくのだった。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/25(金) 23:57:33.01 ID:4SyRupAbO
「ふぁ~、食った食ったー」

「お腹いっぱいです」

あれだけあった食材も、
上条がほとんど食べてしまった。
インデックスがいる時には、
こんなに満腹にはならないだろう。
神裂は食べ終わった食器などを、
テキパキと片付けていく。

(同じ女の子なのにこんなに違うのか)

上条の頭に銀髪シスターの顔が浮かぶ。

「手伝うよ、神裂」

「いえ、言い出したのは私です。
最後まできちんとやらせて下さい」

「な、何ですか?
上条さんには涙で前が見えませんっ!」

「ふふ、あなたはいつも大袈裟です」

インデックスに爪の垢を煎じて飲ませよう。
上条は心に強く誓うのだった。

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 00:21:34.65 ID:VIK5qYO8O
「神裂は何かいるもんあるか?」

片付けまでしてくれた神裂の為、
上条はコンビニに簡単なジュースや
デザートを買いに行く事にした。

「いえ、お気遣いなく」

「んじゃあ、適当に買ってくるわ」

部屋を出た上条はコンビニで、
カゴにジュースやケーキなどを次々放り込む。

「まぁこんなもんかな」

上条がレジに向かおうとした時、
意外な二人組がコンビニに入ってきた。

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 00:32:22.53 ID:VIK5qYO8O
「チッ、ンなもン買わねーからな」

「えー、だってお菓子一個なら買っていいって言ったもん、
ってミサカはミサカは可愛く抵抗してみたり」

「それは食べもンじゃねーンだよ!!」

そう言ってコーヒー用のシュガーを引っ張り合う二人を、
上条は知っていた。
真っ白な肌に真っ白な顔、
赤い瞳の少年は"一方通行"。
学園都市で最強の能力者だ。
もう一人、体の小さな女の子は"打ち止め"。
"妹達"の最後の一人だ。

「やべ!」

別に顔を合わせてもいいのだが、
上条はなんとなく隠れる事にした。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 00:52:25.36 ID:VIK5qYO8O
二人は大騒ぎしながら買い物を終え、
大騒ぎしながら出て行った。

「あんな大量の缶コーヒー、どうすんだ…」

上条は知らないが、一方通行は気に入った缶コーヒーは
それだけを飽きるまで飲み続けるのだ。

「おっと、遅くなっちまった」

上条は急いで会計を済ませると、神裂の待つ部屋へと急いだ。

(何度でも言おう!新婚さんみたいじゃねーかぁぁぁぁ!!)

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:07:01.12 ID:VIK5qYO8O
「悪い神裂!待たせた!」

そう言って玄関を開けたが、神裂から返事がない。

「怒ってます?神裂さん?」

上条が恐る恐る部屋に入ると、
神裂は上条のベッドにいた。

「……ん…すー…すー」

可愛い寝息を立てて、神裂は寝ていたのだ。

上条が出て行ってから、
神裂はしばらくソワソワとしていた。
何をして上条を待っていようか。
そう思っていると神裂の目に上条のベッドが目に入った。

(す、少しだけ…)

そう思った神裂は、
思い切ってベッドに横になった。

(か、上条当麻のベッド…)

今はインデックスが占拠しているが、そんな事は神裂は知らなかった。
そんな事をしている内に、
神裂は緊張と疲れから眠ってしまったのだ。

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:21:06.99 ID:VIK5qYO8O
「疲れてたんだな」

上条は神裂の顔をまじまじと眺める。
それは聖人とは程遠い寝顔だった。
いつも何かを背負い、何かを守り、自分に厳しく、
そして他人には優しい。

そんな普段の神裂からは程遠い、
無邪気で可愛い寝顔だった。

「さてと……」

上条は小萌に電話をかけた。
インデックスは明日迎えに行くと伝えた。
インデックスは電話の向こうで
文句を言っていたが、小萌は任せろと言ってくれた。
こんな時の小萌は頼りになる。
生徒の頼みは何があっても受け止めてくれるのだ。

上条は神裂にそっと毛布をかけると、電気を消した。

「おやすみ、神裂」

いい夢を見ているのだろうか、
神裂は上条に答えるように小さく微笑んだ。

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:43:05.49 ID:VIK5qYO8O
翌朝上条はいつものように
バスルームで目覚めた。
上条さんはいつだって
ジェントルマンなのだ。

「げっ、バスルームの鍵閉め忘れてんじゃねーか…
ってもうこんな時間かよ」

上条が携帯で時間を確認すると、
正午を過ぎたくらいだった。

上条がバスルームを出ると、
神裂の姿はもうなかった。
代わりにテーブルの上に
鯛茶漬けの用意と、一枚のメモが置いてあった。
上条はメモを手に取る。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:44:52.93 ID:VIK5qYO8O
【ベッドを使ってしまい、申し訳ありませんでした。
まさか浴室で寝ているとは思いませんでしたが、
やめた方がいいですよ。
体に悪そうです。
朝ご飯を用意しておきました。
私はイギリスに戻らなければならないので、
お先に失礼いたします。
昨日はとても楽しかったです。
ありがとう。
PS 可愛い寝顔です】

神裂らしい丁寧な字だった。

「ね、寝顔!?いや、俺も見たしおあいこか?」

上条はあれこれ考えていたが、
重大な事に気付いた。

「あっ…インデックス!」

迎えに行くと言ったのに、
もうお昼過ぎだ。

「はぁ~、また噛みつかれるのですね…不幸だ」

上条はまたいつもの
不幸な日常に戻っていくのだった。

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:48:11.59 ID:VIK5qYO8O
お鍋編はこれにて「完」です
支援、保守、みなさまありがとうございました
楽しいクリスマスになりました
明日もまだスレが残っていたら、
また何かSS考えて投下します

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:49:35.46 ID:VIK5qYO8O
お鍋編はこれにて「完」です
支援、保守、みなさまありがとうございました
楽しいクリスマスになりました
明日もまだスレが残っていたら、
何かSS考えて投下します

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 01:50:25.73 ID:VIK5qYO8O
連投してしまった

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:02:51.89 ID:VIK5qYO8O
みなさんの支援のおかげです
SS書く時は出来るだけ
本編のイメージを崩さないようにしてます
ファンの方に申し訳なくて
イチャイチャ期待してくれた方には
申し訳ありません!

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:08:26.87 ID:VIK5qYO8O
>>213
ありがとう!

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:16:13.29 ID:VIK5qYO8O
朝には落ちてるかも知れませんが、
寝るまで前書いた美琴編貼ります
睡眠のお供にでも…

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:17:00.90 ID:VIK5qYO8O

12月25日。今日はクリスマスだ。
街はカップルが溢れ、イルミネーションで飾られたお店からは
陽気なクリスマスソングが流れている。
科学の粋を集めた学園都市でも、
こういった昔からのイベントは盛り上がるのだ。

「何なんですかこの雰囲気は?
独り者は家から出るなって事ですか?はぁ~」

深い溜め息をつき、上条当麻はカップルを避けながら
街を歩いていた。本来なら学生は冬休みなのだが、
彼は朝から月詠小萌の補習を受けていた。

「クリスマスが半日潰れちまった。
まぁ上条さんにはクリスマスなんて関係ありませんけどね」

強がりを言いながら上条は家路を急いだ。

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:20:55.88 ID:VIK5qYO8O
「あのー、お姉さま?
今日が何の日かお分かりですの?」

白井黒子はパソコンをカタカタといじりながら問い掛けた。
ジャッジメントの残務処理をしているのである。
白井黒子は学生のみで構成される
街の風紀委員【ジャッジメント】のメンバーだ。
ちなみに教師を中心に構成される
治安部隊は【アンチスキル】だ。

「クリスマスでしょ。てか黒子、その質問今日7度目よ」

お姉さまと呼ばれた御坂美琴はうんざりした顔で答える。

「そう!クリスマス!クリスマスといえば愛を誓い合った者同士が
聖なる夜を一緒に過ごす日ですの」

「そんなもんどっかのバカが消費を促す為に作った
ただの悪しき習慣よ」

美琴は髪に櫛を通しながら鏡越しに答えた。

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:25:21.29 ID:VIK5qYO8O
「まぁ!まぁまぁまぁ!
そんな事だからお姉さまはいつまでたっても子供っぽいのですわ!」

黒子は美琴の背後に立つと、
わざとらしく呆れてみせる。

「ですから…今日はわたくしが
お姉さまを大人の女性にして差し上げますわ…
愛する者同士、仲良く過ごそうじゃありませんの。グフフ」

嫌な笑みを浮かべて黒子は両手を大きく広げた。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:26:18.96 ID:VIK5qYO8O
「ではっっっ!!!」

黒子は美琴をガバッと後ろから抱き締めた。

「ちょっ!黒子!!!やめなさい!」

「まぁまぁいいじゃありませんのお姉さま!
さぁ黒子の愛を感じて下さいませ!!」

「やめろって言ってんでしょーがっ!!!」

バチバチっと鋭い音を立てて電撃が黒子に襲いかかる。

「ぎゃぁぁぁ!!」

黒子は体から煙をあげて倒れ込む。
御坂美琴の能力は電撃。
学園都市でも最強クラスのレベル5だ。

「あー、また髪がはねちゃったじゃない」

美琴は溜め息をつきながらまた櫛で髪を溶かし始めた。

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:30:37.49 ID:VIK5qYO8O
「ぐ……さすがはお姉さま。やりますわね。
…ときにお姉さま?今日は鏡に向かう時間が
長くありませんの?」

カエルの様に床に這いつくばっている黒子は
気になっていた事を聞いてみた。
美琴は普段からあまりオシャレに気を配らない。
コンビニで立ち読みするのは
ファッション誌ではなく漫画だし、
下着もパジャマも黒子からすれば小学生の趣味だ。
普段は化粧もしていない。

「べっ、別にいいでしょ。
ちょっと髪型が気に入らないだけよ」

「へー………………そうですの」

「なっ、何よその嫌な笑顔は」

「いえいえ…黒子はてっきりあの殿方と
お過ごしになるのかと」

「ちっ違うわよ。じゃあ私もう出かけるからっ!」

美琴はそそくさと髪をまとめると、
床でヘラヘラしている黒子をまたいで部屋を出て行ってしまった。

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:31:58.65 ID:VIK5qYO8O
「……思いっきり怪しいですの。
ですが安心してくださいませ。
お姉さまの貞操は黒子が守って見せますわ。フフ」

美琴を追いかけようとした
黒子の携帯が突然鳴った。

「はい………えぇ………分かりましたの」

携帯を切った黒子の顔に、
氷のような笑顔が張り付いた。

「こんな素敵な日に事件を起こすなんて…覚悟して下さいな、
今の黒子はとっても機嫌が悪いんですの」

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 02:34:32.34 ID:VIK5qYO8O
「黒子のやつ、変な所はするどいわね」

実は黒子の言った事は半分当たっていた。
美琴は今日上条当麻に約束はしてないが、
会うつもりにしていたのだ。

美琴は今【ゲコ太】というキャラクターにはまっている。
ある雑貨屋で、そのゲコ太のクリスマス限定バージョン
(サンタ&トナカイ)ストラップが発売されるのだ。
ただし購入出来るのはカップルのみ。
美琴は見事に"どっかのバカの作った
消費を促す悪しき習慣"に乗っかろうとしていた。

「ま、まぁゲコ太の為だし。
仕方ないわよね」

美琴は自分に言い聞かせながら、
携帯から上条当麻の番号を探す。
この上条当麻の電話番号を手に入れる為、
美琴は以前にも同じ様な方法を使っている。

「よ、よし」

電話をかける事を少し躊躇したものの、
美琴は思い切りはいい方なのである。

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 03:04:51.11 ID:VIK5qYO8O
上条当麻は喫茶店で一人コーヒーを飲んでいた。
実は昨日からインデックスは
上条当麻の両親に連れられて温泉に行っている。
もちろんスフィンクスも一緒に。
帰りは明日の予定だ。
当初は上条もついて行くはずだったが、
補習が入ったせいで一人取り残されたのだ。

「くそー、何が何でもついて行けば良かった」

誰もいない部屋で一人過ごすのも何となく嫌だったので、
こうして喫茶店で時間を潰しているのだ。
しかしそれが間違いだった事に上条は気付いた。

「ぐ……カップルばっかりじゃねーか」

見渡す限り店内はカップルで溢れていたのだ。
喫茶店に入る時にはカップルはまばらだったはずなのに、
今や店内は色で例えるならピンクだった。

「なんですかこれは。カップルに囲まれて
一人で過ごす上条さん。
一体どんなマゾプレイですかこれは。くそ、不幸だ」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 03:06:56.21 ID:VIK5qYO8O
こうなりゃ嫌がらせのごとく居座ってやる!と、上条が無料のコーヒーをお代わりしようとした時、
テーブルの上の携帯が震えた。
「ん?御坂?」

上条は珍しい人物からの電話に、
何か自分は悪い事でもしたのかと動揺した。
こんな時の上条は、
根っからのネガティブ思考なのである。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 03:10:15.92 ID:VIK5qYO8O
「ビリビリ、何か気に障ったなら謝る」

上条は電話にでるなりそう言った。

「ビリビリ言うな。てかあんたは何か私の
気に障るような事したわけ?」

「いえ…記憶にございません」

「だったらいちいちヘコヘコしない!!」

いけない、こんな無意味な言い合いする為に
わざわざ電話したのではない。
上条は何かブツブツ言っていたが、
美琴は手短に用件を伝えた。

「で、あんた今どこにいるわけ?」
「いや、上条さんはとても忙しい身でして。
まだあなたに付き合うとは言ってないのです」

ムカッ!!美琴が文句を言ってやろうと思った時、
電話越しに聞こえた言葉を美琴は見逃さなかった。

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 03:12:19.83 ID:VIK5qYO8O
「お客様、コーヒーのお代わりはいかがですか?
無料ですよ」

「へぇ…あんた、コーヒーのお代わりを
勧められる程暇してるわけ?」

そう言いながら美琴の頭は高速で回っていた。
今の時間に学園都市でコーヒーのお代わりが無料、
さらに上条当麻をよく見かけるエリアにある喫茶店。

「あんた、喫茶2CHにいるでしょ」

「なっ、なぜそれを!?」

上条がそう言ったあと、
電話からはゴソゴソと音がしている。

「発信機なんか付いてないわよ」
「ぐっ…」

「やっぱり発信機を探してたのね。
あんた私を何だと思ってるわけ?」

黙り込む上条をよそに、美琴は続ける。

「いい!今から私が"わざわざ"迎えに行ってあげる!
なのにもし逃げたりしたらコロス!!」

上条の返事も聞かず美琴は一方的に電話を切った。

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 03:16:07.06 ID:VIK5qYO8O
>>232

前のねーちんSSで書いたやつです
そして眠気が限界です
まだ起きている方、
保守して頂ければ助かります
でも無理はしないで下さい

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:18:40.51 ID:VIK5qYO8O
おはよう
保守してくれたみんな
本当にありがとう!!!

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:19:44.16 ID:VIK5qYO8O
20分程で美琴がやって来た。
結局上条は逃げる事も出来ず、
3杯目のコーヒーに口を付けるところだった。

「さ、行くわよ」

美琴はさっさと会計を済ませ、
上条を引っ張って店を後にした。

「んで、そのゲロゲロリンてのは
どこに売ってんだ?」

「…ぶっ飛ばすわよあんた。
ゲコ太よ!ゲ・コ・太!」

「わ、分かった分かった!
んでどこに売ってんだ?」

「あそこよ」

そう言って美琴が指差したのは、
可愛らしい外観の雑貨屋だった。
「んじゃさっさと買っちまおーぜ」

二人が店に入ると
信じられない光景が広がっていた。

「なんなのよこれ…」

狭い店内にカップルがぎっしり詰まっていたのだ。

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:21:22.50 ID:VIK5qYO8O
「なんなのよこれ…」

狭い店内にカップルがぎっしり詰まっていたのだ。

「いらっしゃいませ!
限定ゲコ太をお買い求めのお客様は
こちらにお並びくださーい!」

店の外観と同じ様に可愛らしい
エプロンを付けた店員が二人を案内する。

「く…ゲコ太の本当の魅力も分かってないくせに、
カップル限定ってだけで群がるんじゃないわよ」

小さく悪態を吐いて美琴は
仕方なく列の最後尾に並んだ。
美琴の横では、上条が店内に貼ってある
限定ゲコ太のチラシを眺めている。

「んー、こんなもんの為に行列作るなんて
みんな変わった趣味してんだなー」

「…あんた私にケンカ売ってんの?」

行列に並ばされてイライラしている美琴は
腕を組んで上条を睨み付けた。

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:23:23.02 ID:VIK5qYO8O
どれくらい並んでいただろうか、
カップルは一組、また一組とゲコ太を手に帰って行く。

そして美琴のイライラも一段階、
また一段階と上がっていく。

「………………」

美琴はもう20分以上何も喋っていない。
上条当麻とクリスマスに会える、
鏡の前で念入りに髪型を気にしていた時の気持ちなど
すっかり忘れていた。
店員に文句の一つでも言ってやろうか、
そんな事を考えた時だった。

「申し訳ありませーん!限定ゲコ太はあと5組で
売り切れになりますー!」

美琴は指を差しながら
急いでカップルの数を数えていく。

「1…2…3…4…」

そして自分を指差し

「…7…ふ…ふざけんなー!!!!」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:28:07.02 ID:VIK5qYO8O
「……はぁ~…」

あれから店員と言い合い、
一通り粘ってみたものの、
ゲコ太が美琴のもとへ来る事はなかった。

「ま、まぁ仕方ねぇって!
買えなきゃ死ぬわけでもねーんだからさ!」

上条は励まし方の教科書に載っているような、
なんのひねりもない言葉をかけてみる。

「………あんたには分かんないわよ」

いつも上条に食ってかかり、
電撃をバチバチしている姿とは違い、
美琴は目に見えて落ち込んでいた。

「んー………」

「なっ、なんであんたまで落ち込んでんのよ。」

「んー………」

聞こえていないのだろうか、
上条は頭を掻きながら生返事をした。

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:29:19.75 ID:VIK5qYO8O
「…わ、分かったわよ!もう諦めるから!
あ、あんたも元気出しなさいよ!」

「ん?あぁ、そーだな」

また生返事。

「か、か、変わりに今から私に付き合いなさい!
ゲコ太の恨み晴らさないと気がすまないのよ!」

そう言うと美琴は上条を引っ張って歩き出した。
ゲコ太亡き今、上条と無理やりにでもクリスマスデートしてやる。
美琴はそう思っていた。

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:31:39.49 ID:VIK5qYO8O
それから美琴は上条を引っ張っり回して
色々な店を見て回った。
美琴は自分が無理やり引っ張っり回しているのは
分かっていたが、
ゲコ太を忘れるくらいに楽しかった。
ショーウインドウに映る自分と上条は
カップルみたいで少し恥ずかしかったが。

「あ~すっきりした!」

ゲームセンターから出て来た美琴は
大きく伸びをする。

「すっきりしたって御坂さん。
パンチングマシーンをぶっ壊れるまで殴るなんて、
上条さんは女の子の概念を覆されましたよ」

「ふん、あれくらいで壊れる方が悪いのよ」

「さ、ちょっと休憩しましょ」

美琴は道路脇にあるベンチに腰掛けた。
上条もそれに倣う。

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:37:51.83 ID:VIK5qYO8O
「あっ、あんたちょっとここで待ってなさい。
勝手に帰ったらぶっ飛ばすからね!」

何かを思い出したのか、
ベンチに座って5分もしないうちに
美琴は近くのデパートへ入っていってしまった。

「忙しいやつだ…」

上条は小さく呟いた。

美琴はデパートの紳士服売り場にいた。
手袋のコーナーで真剣に悩んでいる。

「うーん……あっ、これ可愛い」

「いや、あっちの方が………」

「あっ、これ私が欲しい…」

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:39:11.82 ID:VIK5qYO8O
ブツブツと呟きながら、次から次へと手袋を見ていく。
大人用とは思えないデザインの物ばかりを。
美琴の脳裏に黒子の言葉が蘇る。

(お姉さまの趣味……子供過ぎですわよ)


結局一時間以上迷って、
自分では大人っぽいと思う手袋を選んだ。
綺麗にラッピングしてもらってデパートを後にする。

「まさかこんなに時間が掛かるとは…
…プレゼント選びって案外疲れるわね…」

「いやー、お待た……へ?」

美琴がベンチへ目をやると、上条の姿がない。
一時間以上待たせたので怒って帰ったのか。

「ぐっ…待ってなさいって言ったのに、
あのバカ!!」

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 09:47:30.73 ID:VIK5qYO8O
「おービリビリ、用事は済んだのか?」

ふいに上条に声をかけられる。

「あ、あんた!!待ってろって言ったでしょ!!」

「いやー、悪ぃ悪ぃ」

美琴は文句を言いたい気持ちをぐっと抑える

(が、我慢よ美琴!
こいつにクリスマスプレゼント渡すまでは!)

美琴はとにかく上条をベンチに座らせる。
冬の夜は早い。
辺りは暗くなり、イルミネーションが一層
キラキラと輝いている。
時刻は午後8時を回ろうとしていた。

「もうこんな時間か……
私は寮の門限があるからそろそろ帰る。
そ…それから…あの…」

「ん?」

上条には俯いている上、暗くて美琴の顔は良く見えないが、
美琴は真っ赤になってモジモジしているのだ。

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:11:51.51 ID:VIK5qYO8O
「こ、これ!今日付き合ってくれたお礼!
別に変な意味はなく、
あの、ただのお礼だから!!」

そう言って上条に買ってきた手袋を渡す。
上条は恐る恐る包みをほどいている。

「こっこれは手袋!俺にくれんのか!?
上条さんには御坂さんが天使に見えます!!!」

上条は手袋を頭上に掲げ、恭しく頭を下げた。

「あ、あんたはいちいち大袈裟なのよ!」

「いやいや、ほんとに嬉しいよ。
ありがとな、御坂」

「あ、当たり前よ!私からのプレゼントなんて、
黒子が知ったらあんた殺されるわよ!」

美琴は自分の顔が熱で火照っているのを感じた。
このままでは緊張と恥ずかしさで死んでしまうのではないだろうか。

「じ、じゃあ私は帰るから。
あんたもさっさと帰りなさいよ」

そう言うと美琴はそそくさとこの場を離れようとした。

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:14:46.58 ID:VIK5qYO8O
「あぁそうだ、ビリビリ。ほらっ」

上条の声に振り向くと同時に、何かが飛んで来た。
咄嗟にキャッチをした美琴が文句を言おうとしたが、

「帰ったら開けていいからなー」

それだけ言うと上条は手袋をした手をヒラヒラさせて、
背を向けて歩いて行ってしまった。

「な、なんなのよ…」

美琴は手のひらの小さな包みを見て呟いた。

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:20:09.46 ID:VIK5qYO8O
「ただいま」

美琴が寮に戻ると、白井黒子はセクシーな(美琴からすれば悪趣味な)
ネグリジェでくつろいでいた。

「あら、おかえりなさいませお姉さま。
意中の殿方と素敵なクリスマスを過ごせましたの?」

いつもの美琴ならここでギャーギャーと黒子とやり合うのだが、
今はそれどころではなかった。
「ごめん黒子!あとにして!」

そう言って美琴はトイレに逃げ込んだ。
バスルームでは黒子がテレポートしてくる可能性が高い。
黒子はいくら変態でも、
トイレにはテレポートはしないのだ。

上条からもらった包みを急いで開けてみる。

「………う…そ」

中から出て来たのは、
サンタとトナカイの格好をしたゲコ太だった。

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:29:45.72 ID:VIK5qYO8O
「な、なんで……これ…え…」

美琴には訳が分からなかった。
あの時確かに売り切れていたのだ。
どれだけ粘っても買えなかった。なのに…

「どうして…」

美琴があまりの事態に放心していると、
トイレのドア越しに黒子が話し掛けて来た。

「そういえば聞いてくださいな。
私今日はジャッジメントのお仕事であちこち駆け回っていましたの。」

「黒子…今話す気分じゃ…」

「お姉さまがいつもお話になっておられる殿方。
上条さんとおっしゃりますわよね?」

「…え?」

「午後の7時過ぎですわ、お見かけしましたの。」

美琴がデパートで手袋を選んでいたまさにその時間だ。

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:31:26.78 ID:VIK5qYO8O
「カップルを見付けては、頭を下げて回っておられましたわ。
一体何を考えているのやら。
付き合い方を考えた方がよろしくありませんの?
っと…これ以上はお手洗いのお邪魔ですわね。
ではごゆっくり、お姉さま」

そう言ってドア越しの黒子の気配が消えた。

「…うっ…うぅ…」

美琴の目から涙が溢れる。美琴は全て理解したのだ。
美琴が落ち込んでいる時のあいつの気のない返事。
あれは考えてくれていたのだ。何とかしようと。
カップルに頭を下げて回っていたのは、
ゲコ太を譲ってくれないかと頼んで回っていたのだ。
他でもない自分の為に。

「うぅ………ぐす…バカ…」

美琴はただただ嬉しかった。
ゲコ太が手に入ったからじゃない。
上条の気持ちが何より嬉しかったのだ。

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:39:33.37 ID:VIK5qYO8O
トイレから美琴のすすり泣く声が聞こえる。

「まったく。私もお人好しですの」

黒子は気付いていた。
美琴が限定ゲコ太を欲しがっていた事も、
それを上条当麻を連れて買いに行こうとしている事も。
いつも一番近くで美琴を見て来たのだ。
美琴が口にしなくてもそれくらい分かる。
そして街で上条を見かけた時、
上条が何のために頭を下げていたのか気になった黒子は、
あとでカップルに聞いてみたのだ。
なぜ頭を下げていたのですかと。
そして全てを理解した。上条当麻は美琴の為にあんな事をしていたのだ。
そして彼はその事を美琴には言わないだろう。

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:41:09.20 ID:VIK5qYO8O
黒子は最初、美琴には上条の事を言わないつもりだった。
わざわざ敵に塩を送る必要はないのだから。
だが黒子は教えた。そうした方が美琴にとって良いと、
黒子は思ってしまったのだ。

「今回だけですの、上条当麻。
あなたの為ではありません、お姉さまの為ですの」

トイレからはまだすすり泣く声が聞こえている。
黒子はベッドに潜り込むと小さく呟いた。


「メリークリスマス、お姉さま」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:42:41.52 ID:VIK5qYO8O
美琴編完
昨日から保守してくれた方、ありがとう
後日談も投下しときます

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 10:51:21.42 ID:VIK5qYO8O
美琴とクリスマスを過ごした翌日、インデックスが旅行から戻ってきた。

「ただいま!ただいまただいま!とーま!」

「だぁぁっ!!何度も言わなくても分かったっつーの!」

「ふい~、疲れたー」

そう言ってインデックスはリュックをおろす。

「あれ、お前のリュック…そんなパンパンだったか?」

インデックスはいつも修道服を着ている。
旅行でも同じだ。
下着など必要最低限しか荷物はないはずだ。
上条の記憶では、出掛ける時はリュックはペラペラだった。

「ふっふ~、とーまにお土産たくさん持って帰ったんだよ!」

そう言ってインデックスは
リュックからお土産を取り出していく。

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 11:02:52.26 ID:VIK5qYO8O
「はい!いっこめー!」

「なんでしょうこれは…」

蜂蜜の瓶の様な物に、
透明な液体が入っている。

「ふっふ~、おんせーん!」

「……………」

「にこめ~!」

石だ…上条の目が節穴でなければ…
石にしか見えない

「一応聞こう…これは?」

「スフィンクスに似てる石ー!!」

「……………」

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 11:10:24.67 ID:VIK5qYO8O
「んしょ…さんこめー!」

「アハハ!上条さんには分かるぞー!
これは葉っぱだなー!アハハー!」

「せいかーい!」

「……………」

「これが最後なんだよ!」

ゴトッ、と鈍い音を立てて熊の置物が出てくる。
デカい。リュックの80パーセントは占めていたはずだ。
ご丁寧に鮭をくわえている。

「…インデックス…これ幾らした?」

「トーマにもらった紙一枚分なんだよ!」

「い、…いちまん…だと…」

「嬉しい?トーマ!」

「ふ…ふざけるなぁぁ!!
上条さんはお前が楽しめるようにと
泣く泣く一万円も渡したんだぁ!
それをこんなゴミ……」

インデックスの顔がみるみる曇っていく。

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 11:11:49.22 ID:VIK5qYO8O
そうか、インデックスは自分の為じゃなく俺の為にお金を使ったのだ。
物じゃない、気持ちを受け取ってやるべきなのだ。

「それをこんな…こんなゴミのようなワタクシにお土産!
ありがとうインデックス!!!
上条さんは感謝感激です!!」

インデックスの顔が曇りから晴れに変わる。
これでいい。記憶を無くしたあの日、
自分の為に泣いてくれたインデックスを見て、
この子の笑顔を守ると決めたのだから。

「気に入ってくれた?とーま」

「もちろんです!!」

「ホント!?良かったんだよ!
だったらとーま。
あの紙あと二枚ちょーだい!」

「は?」

「この熊さんあと二つ頼んどいたんだよ!
良かったねトーマ!」

「やっぱ……ふざけるなぁぁぁ!!!」



295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:29:16.26 ID:VIK5qYO8O
ちょっと夜まで出掛けてきます
次のSSのプロローグ貼っときますね

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:31:07.09 ID:VIK5qYO8O
「なんか最近神裂とよく出かけるな」

上条は学園都市内にある、
遊園地に向かいながら呟く。
あと歩いて5分もすれば着く。
手には今朝ポストに入っていた
チケットと手紙を持っていた。

【チケットを2枚頂きました。
もし良ければ明日の正午、
遊園地でお待ちしています。

神裂火織】

パソコンか何かで、手紙にはこう書かれていたのだ。

(ちょっと早かったか?)

上条が待ち合わせ場所に着いたのは、
正午の10分程遠い正午の20分程前だった。

「んっ?」

さて、のんびり待ちますか、と
上条が思った時、
入り口付近のベンチにちょこんと座る神裂が目に入った。

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:32:40.01 ID:VIK5qYO8O
「悪い神裂!待ったか?」

上条に気付いた神裂は、
慌てて立ち上がる。

「か、上条当麻!ま、待ってなどいません!
今さっき着いたところです!」

実は神裂は楽しみで楽しみで、
1時間前からこのベンチに居たのだ。
もちろん上条に言わないが。

「なんか誘ってもらって悪いな。
チケットまでもらっちまって」

上条は申し訳なさそうに頭を掻く。
「え…?」

しかし神裂は何を言っているのか分からない、
という顔をした。

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:33:58.30 ID:VIK5qYO8O
「あ、あの…誘って頂いたのは私の方ですが…」

「は?だってこれ…」

上条は神裂から届いた手紙を見せた。

「こ、こんな手紙、私は送っていませんよ?
それにこれ…」

神裂は同じ様に手紙を取り出した。

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:35:29.89 ID:VIK5qYO8O
【知り合いからチケット2枚もらっちまった。
良かったら一緒に行かねーか?
今週日曜日の正午、現地で待ってる。

上条当麻】

確かに手紙にはこう書かれていた。

「な、何がどうなってんだ?」

上条は困った様に手紙を何度も読み返している。
しかし神裂はキョロキョロあたりを見渡していた。

「どうした?」

「い、いえ、別に…」

実は神裂はすぐに思い付いたのだ。
これを仕組んだ人物に。
必ずどこかから監視している、それを探していたのだ。
しかし周りには、カップルや家族、
子供に風船を配っているウサギ、遊園地のスタッフしかいなかった。

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:37:32.54 ID:VIK5qYO8O
「ふっ、そう簡単に見つかる様なら、
スパイとは呼べないにゃー」
その人物、土御門元春は着ぐるみの中にいた。
入り口付近で風船を配っているウサギこそ、
土御門元春だったのだ。
上条達からは数メートルしか離れていない。

「スパイがこそこそ隠れるとは限らないんだぜぃ」

上条達からは視線は外さず、子供達に風船を配っていく。

「ふっ、土御門さん絶好調だにゃー!ねーちん!
今日こそかみやんにアタックを…ぐはっ!!」

土御門は突然腹部に痛みが走った。

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:38:52.66 ID:VIK5qYO8O
「おい!早く風船よこせよウサギ!」

「そうだぞ!ボーっとしてんじゃねぇウサギ!」


「亀よりノロマだぜ、このウサギ!」

「やーいやーい!」

いつの間にか小さな子供達が、土御門
、もといウサギを取り囲んでいた。
殴る蹴るの大騒ぎだ。

「ちょっ!いてっ!やめるにゃー!いて!ちょっ!」

子供達の嵐の様な暴力はおさまらない。

「なめるなよ…俺が本気を出せばお前らなど……」

ゴスッ!という音と共に、
子供の蹴りが
土御門の大事な部分にめり込んだ。

「にゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

土御門の断末魔が響き渡った。

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 14:40:04.79 ID:VIK5qYO8O
「ん?今どっかで聞いた事ある声がしたような……」

上条がどこで聞いた事があるのか考えていると、神裂が深々と頭をさげた。

「か、上条当麻。申し訳ありません」

「へ?何が?」

「いえ、土御…何かの手違いで
こんな事になってしまったようです…
ご迷惑おかけしました…」

「別に謝ることねーよ。
何かの手違いなんだろ?頭あげてくれ」

上条は申し訳なさそうにしている神裂を気遣う。

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:27:21.90 ID:VIK5qYO8O
少し手が空いた
貼ります

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:28:19.15 ID:VIK5qYO8O
「もういいからさ、早く中入ろうぜ?」

「え?」

「神裂もわざわざここまで来てくれたし、
チケットももったいねーしな」

神裂はこんな気味悪い状況なら、
てっきりこれでお開きになる、
そう思っていた。しかし上条はあっさり遊園地で
遊ぶ事を選んだのだ。
余計な事ばかりに気を使っている神裂は自分を恥じた。

(そう…ですよね!せっかく上条当麻と過ごせるのです!
素直に喜びましょう!
…土御門は後で始末します…)

二人は受け付けに向けて歩き出した。

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:29:30.35 ID:VIK5qYO8O
「さてと…どっから行きますかねー」

上条は遊園地のガイドマップを手に、アトラクションの位置を確認している。

「そ、その前に上条当麻。
あの子は今日は…」

「ん?あぁインデックス?
あいつなら今日は姫神と
ケーキバイキングだ」

「ケーキバイキングですか」

「そ。あいつに来られたら
潰れるかもな、その店。
食い意地だけは人一倍だし」

「ふふ、そうですね」

神裂の頭にはその光景が、容易に浮かぶのだった。

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:31:59.01 ID:VIK5qYO8O
「くちゅん!!」

「どうしたの。風邪?」

ケーキを小さく切り分けながら、
姫神が尋ねる。

「んー、なんだかとーまに
悪口言われた気がしたんだよ。」

口の周りをクリームでベタベタにした
インデックスがムッとしている。

「そう。まぁ私達は。最近影も薄いし。」

「受け入れたらダメなんだよ秋紗!」

もう慣れっこだ、姫神はそう思うのだった。

321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:40:01.59 ID:VIK5qYO8O
「やっぱまずは定番からだな」

「て、定番て何ですか?」

「もしかして神裂遊園地初めてか?」

「は、はい…知識はありますが、
来るのは…」

神裂は生まれた時から天草式十字凄教の
女教皇として育てられた。
神裂の為なら皆喜んで
命を捨てた。それが神裂には耐えられなかった。
だから神裂は天草から逃げ、
イギリス清教に渡ったのだ。
それからはただひたすらに
修行をした。
遊ぶ暇もないほどに。

「よしっ!!なら今日は上条さんが、
遊園地の何たるかを教えてあげましょうっ!!」

「よ、よろしくお願いします!!」

まず二人が向かったのは、ジェットコースターだ。
最大落差はゆうにビル一つ分。
この遊園地の目玉の一つだ。

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:45:20.46 ID:VIK5qYO8O
「こ………怖いです…」

係員の指示に従い、
二人は席に着きシートベルトを締める。
神裂は聖人とは思えない程動揺している。

「大丈夫だって。あっという間だしさ」

「で…ですが…」

神裂が何か言いかけた時、
発車のベルが鳴り響いた。

「お、来た来た!」

二人を乗せたジェットコースターは、
ゆっくりとレールを登っていく。

「い…………」

ガタン…

「いぃ…」

ガタン

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

神裂の叫び声と共に、ジェットコースターは垂直に落ちていくのだった。

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:49:46.39 ID:VIK5qYO8O
>>324
あれは会話で女教皇とかプリエステス
とか書くと、なんか堅苦しかったので…

ご指摘ありがとうございます

326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 17:51:04.77 ID:VIK5qYO8O
「ぅ……ぅぅ…」

神裂は目に涙をいっぱいに溜めている。

「か、神裂。泣く程の事じゃ……」

「…ぅぅ」

周りの客の視線が上条に注がれている。

(ま、まるで俺が泣かせたみたいじゃねーかぁぁ!!
そんな目で俺を見ないでぇ!!)

神裂が落ち着くのを待って、
上条は次のアトラクションへ向かった。

「こ、これなら大丈夫だろ?」

二人がやって来たのはメリーゴーラウンドだ。

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 18:08:37.63 ID:VIK5qYO8O
「よし、上条さんはここで見ててやるから、
思いっきり楽しんで下さい!」

神裂を送り出すと、
上条は娘をビデオに収める父親の様にスタンバイする。
白馬に跨る神裂は絵になっていた。
ベルが鳴り、メリーゴーラウンドが廻り始める。

「おーい、神裂ー」

上条は神裂に手を振る。
神裂は緊張しているのか、
顔は強張っているし、
左手はポールをギュッと握りしめている。
だが右手だけは一生懸命振ってくれていた。
上条の前を廻る度に…

「そ、そんな毎回振ってくれなくてもいいぞ」

しかし神裂は上条の前に来る度に、
強張った顔で手を振るのだった。

332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 18:18:29.75 ID:VIK5qYO8O
「い、今のは楽しかったです」

メリーゴーラウンドから降りた神裂は、
ホッとした顔で戻って来た。

「さぁ次です!上条当麻!」

「何かやる気出てきたな、神裂」

「当たり前です!遊園地にも慣れてきましたから!」

子供の様にはしゃぐ神裂を見て、上条は来て良かったと心から思っていた。

「よっしゃ!次行くか!
えいえいっ!!」

「おー!!」

神裂のテンションは今、
鰻登りだった。

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 18:33:10.11 ID:VIK5qYO8O
「ぐ……俺を…忘れてもらっちゃ
困るんだにゃー…」

子供達にボッコボコにされた土御門は、
オートリバースをかけながら、
スタッフ事務所で休憩していた。

「二人を普通にデートさせる訳にはいかないにゃー。
ここからが土御門さんの……」

「くぅおらぁぁ!!何サボってんだバイトぉぉぉ!!
次は駅前でチラシ配りだっつったろぉがぁぁあ!!」

「え?ちょ…」

土御門は襟首を掴まれ、
次の現場に引き摺られて行く。

「な、なんか今日の役回りはかみやんに似てるにゃー!
ふ、不幸だにゃぁぁぁ!!!」

339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 19:00:36.99 ID:VIK5qYO8O
「こ……ここは…」

神裂の鰻登りだったテンションは、
フリーフォールの様に落ちていく。

「ん?お化け屋敷だ。
やはり遊園地といえばここは避けて通れない」

「…嫌です」

「えー、上条さんはこの古き良きお化け屋敷好きなのに…」

「…行きます」

神裂は上条には甘いのだ。
お化け屋敷は古い廃病院を
モチーフにしたものだった。
様々な部屋を探索し、
カルテを見付けてゴールするのだ。

「さぁ神裂さん。行きますよー」

「…………ぁぃ…」

上条を先頭に、廃病院の探検が始まった。

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 19:20:54.90 ID:VIK5qYO8O
病院内はなかなか凝った造りになっていた。
灯りは必要最低限、うっすら緑色に灯っていた。
まずは誰もいないナースステーションを通り過ぎる。

「ししし静かですね……」

「お、おぅ。なかなか雰囲気あるな…」

上条はもっと笑える造りだと思っていたが、
意外にも本格的で正直ビビっていた。

「ひっ!!!血です!!上条当麻!血です!」

神裂は上条の袖を引っ張りながら叫ぶ。

「お、落ち着け神裂。急に叫ばれると
上条さんは泣いてしまうかもしれない」

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 19:40:28.93 ID:VIK5qYO8O
「だ、大丈夫か?」

神裂は上条の袖をギュッと握って離さない。

「はぁ…はぁ…」

神裂は上条の声も届かない程怯えている。
まだ序盤だというのに、悲鳴を上げ過ぎて疲れている。

人や物が飛び出してくる度、神裂の疲労も溜まっていくのだ。

「お、手術室か。」

二人は術室に辿り着いた。
中は手術台や白影灯など、細部まで本物そっくりだ。
手術台の上意外は。

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 19:42:04.49 ID:VIK5qYO8O
「か、上条当麻…人が、人がいます!」

手術台の上には、緑色の手術着の人間が横たわっていた。

「あ、怪しいです!!明らかに怪しいですよ!上条当麻!!」

神裂は上条の背後に隠れて、
一生懸命指を指している。

「わっ、分かってる!分かってるから押さないでー!」

上条もそのあからさまな罠に身構える。

「か、刀!刀を!」

「ダメダメ!!あの人死んじゃう!!」

「ならあなたの右手で!!」

「その幻想をぶち壊す!!
って出来るかぁぁぁぁ!!!」

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 19:59:33.04 ID:VIK5qYO8O
「カルテよこせぇぇ!!」

上条は病室をバンバン開けていく。
何が隠れてようが関係ない。
ギュッと背中にくっつく神裂の体温や吐息、
背中に当たる柔らかい何かに、恐怖など感じる暇がなかった。
早くゴールしないと
理性がぶっ飛ぶ。
上条はそんな思いでいっぱいだった。

「うぉぉぉぉ!!!!カルテぇぇ!!」
その迫力に、お化け屋敷のスタッフがひるむ。

「どけぇぇぇぇ!!」

ドアを勢いよく開ける音に、
スタッフが驚く。
知らない人が見たら、
何のアトラクションか疑問に思っただろう。

353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 20:03:48.72 ID:VIK5qYO8O
二人は院内を全力で駆けずり回った。
カルテを回収し、
ゴールに辿り着く頃には、
二人はフルマラソンを走った気分だった。

「ぜぇぜぇ…上条さんは…ぜぇ
…限界です」

「………つ、疲れました」

ジュースを買い、園内のベンチでひと息つく。
神裂に引っ張っられ続けた上条の服は、
しわくちゃになっていた。

「いやー、でも神裂さんも女の子ですねー」

「え?」

「キャーキャー言ってましたよ。くっついて離れないし」

神裂は頬を真っ赤にしてそっぽを向く。

「べ、別にいいじゃないですか…」

「まぁ俺もいい思い…なんでもない。さ、さてしばらく休んだら次行くか!」

二人は体力が回復するまで待つことにした。

360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 21:07:49.64 ID:VIK5qYO8O
しばらく休憩して、体力も戻った二人はお土産を見に行く事にした。
遊園地のキャラクターのぬいぐるみや、
買ったことをいずれ後悔するであろう、
耳の付いたカチューシャなどが並んでいる。

「か、可愛いです…」

神裂はぬいぐるみやキーホルダー
などを一生懸命見ている。

(こうして見ると
神裂も普通の女の子だよな~)

「どうかしましたか?」

「え?いや、何でもねー。
それより神裂、何か欲しいなら上条さんが買ってやるぞ。


「い!いいんですか!?」

「おぅ!ただし一個だけだぞ!」

361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 21:10:18.90 ID:VIK5qYO8O
(ど、どうしましょう!!
プレゼントです!これはプレゼントですよ!!)

神裂は一時間以上真剣に悩み、
小さなキーホルダーを持ってきた。

「こ、これ!これがいいです!」

「こんな小さいのでいいのか?
あっちの大きいぬいぐるみとか…」

「これがいいんです!」

ぬいぐるみだって可愛いと思う。
だが神裂は、今日の思い出を
普段身に付けられる物として欲しかったのだ。

364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 21:35:33.22 ID:VIK5qYO8O
「もう暗くなってきたなー」

お土産屋から出ると、
外は暗くなっている。
冬は日が暮れるのがあっという間だった。

園内をブラブラ歩いていると、
ふいに袖が引っ張られた。

「ん?」

神裂は上条の袖をチョイチョイて引っ張りながら、
何かを指差している。

「神裂、あれに乗りたいのか?」

コクっと頷く神裂が指差す先には、
二人乗りの大きな観覧車があった。

(ぐっ、あれは恋人同士が
乗ることにより、その力が
100パーセント引き出されるという
伝説の乗り物!!)

神裂はまた袖を引っ張る。

「そ、そうだな。よし、乗るか」

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 21:54:59.00 ID:VIK5qYO8O
二人を乗せた観覧車がゆっくりと回り出す。
暗闇に浮かぶ光の輪は、
まるで夜空に掛けられた時計の様だ。

「き、今日は楽しかったですね。
プレゼントまでして頂いて」

「あぁ、気にしなくていいぞ。
たいした物じゃなくて悪いな」

「いえ、充分です」

「もし何なら、帰りにもう一度お土産屋寄るか?」

「そんな…で、では一つだけお
願い聞いて頂けますか?」

神裂は恥ずかしそうに聞く。

「おぉ、遠慮せずに言ってみー」

「では…」

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 22:34:28.79 ID:VIK5qYO8O
そう言った神裂は、上条の横にちょこんと座る。

「へ?お願いって…」

「はい」

神裂が嬉しそうに頷いた。
観覧車のシートは、
二人が座ると少し狭い。
肩と肩が触れ合う。

「か、神裂?」

神裂は頭を上条の肩にのせる。
上条の体は緊張で一気に硬直する。

「し、下に着くまででいいですから…
このままで…」

「は、はい…」

観覧車という時計が、
二人の間に優しい時間を刻んでいく。

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 22:43:01.82 ID:VIK5qYO8O
(このまま着かなきゃいいです…)

神裂は上条にもたれかかりながら思う。
これだけ心が安らぐ場所を、
上条の横意外に神裂は知らない。

(少し、大胆過ぎたでしょうか…)

上条は相変わらず体を硬直させている。
神裂もかなりドキドキしていたが、
きっと上条はそれ以上だ。

神裂にとって夢の様な時間は、
あっという間に過ぎる。
ドアが開けられて夢から醒める。

「す、すいません。
ちょっとワガママ言ってしまいました」

「い、いいって。
き、気にすんな!」

「………」


「………」

「か、帰りますか…」

「おっ、おう……」

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 22:44:47.69 ID:VIK5qYO8O
二人は夜の道を並んで歩く。
冬の冷たい風が、火照った二人の顔を気持ち良く撫でていく。

「じゃあ私はこちらですので」

「おぅ。もう暗いから気をつけて帰れよ」

神裂の強さを知ってなお、
普通の女の子として接してくれる上条。
神裂の気持ちをくすぐるのは
こういう上条の優しさだ。

「さよなら」と二人は
それぞれの世界へ帰って行く。
上条は学生として、神裂は魔術師として。
まるで織姫と彦星のようです、
と神裂は思うのだった。


「完」

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/26(土) 23:16:17.63 ID:VIK5qYO8O
みなさんの支援、保守の
おかけでなんとか書ききれました
ありがとー!

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。