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唯「りっちゃんが泣きやまないよ!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:44:26.03 ID:Qdj/ntPS0 [1/54]
唯「りっちゃぁん……」

紬「りっちゃんどうしたのかしら……」

澪「私にもさっぱり……」

梓「こんにちは」ガチャ

律「うう……ぐすっ」シクシク

梓「なんですかこの状況……?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:45:00.66 ID:Qdj/ntPS0
6月。雨が止まない月。
外はざあざあ雨が降っていて、でも涼しいわけじゃなくてじめじめしている。
そんな梅雨の時期は気分もしっとりしがち。

いつもは明るい放課後の部室も、今日はしっとりじめじめしていた。
でもそれは雨のせいだけじゃない。


律「ぐすっぐすっ……ひっく」


軽音部で一番のムードメーカー、りっちゃんがずっと泣いているからだ。


梓「どうしたんですか律先輩……?まさかこれって……いわゆる……イジメってやつですか?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:46:14.15 ID:Qdj/ntPS0
澪「バカ言え。私が律をいじめるはずないだろ」

紬「りっちゃんね、朝からずっとこんな調子なの」

梓「あ、朝から……?」

唯「何しても泣き止まないんだよー」

梓「水分とか大丈夫なんですか?」

澪「ああ。私やムギがおでこに水をあげてるから大丈夫なはずだ」

律「ぐすっ」テカテカ

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:47:39.97 ID:Qdj/ntPS0
そう。りっちゃんは今朝から……正確には1時間目の講演会の後から、ずっと泣き続けている。
泣いたきっかけもよくわからない。
講演会だってただのガイダンスで、とくに感動するような演説とかじゃなかった。
2時間目の後、うつむいているりっちゃんに私たちが声をかけたら、すでに泣いていた。

澪ちゃんじゃあるまいし、りっちゃんが泣くなんて前代未聞だから、私たちはおろおろするばかり。
とりあえず授業中はあまり大っぴらに泣くのはひかえてたみたいだけど、放課後になったらこの通りぽろぽろ泣き続けている。


唯「りっちゃ~ん……おーよちよち」

律「うううう……びええ」

唯「ダメかぁ」

梓「澪先輩、解決策はわからないんですか?」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:48:33.54 ID:Qdj/ntPS0
澪「ああ……律と出会ってからというものいつも律のことばかり見てきたが、こんなのは初めてだ」

紬「澪ちゃんにもわからないなんて……」

唯「ねーんねーんころーりよー」

律「ずびー」


りっちゃんはところどころ鼻をかみながら、それでも泣き続けることを止めない。
どうしたのかなりっちゃん……
今までで一番弱々しい。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:49:59.80 ID:Qdj/ntPS0
澪「とりあえずとくに変わったことはなかったんだ。本当突然……」

紬「何か嫌なことでも思い出したのかしら?」

梓「でも、忘れてたようなことを思い出しただけでこんなに泣くでしょうか……」

唯「うーん、そういえばりっちゃんっていつも私たちの前では笑ってるからわからないよ……」


いつも笑顔のりっちゃん。風邪をひいたときですら、倒れるまで私たちに言わなかったりっちゃん。
2年あまり一緒にいるのに、こんな時どうすればいいのかわからなくて悔しい。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:51:11.05 ID:Qdj/ntPS0
唯「こうなったら、一人ずつりっちゃんをなだめてみよう!」

澪「それはさっきやっただろ?」

唯「それは私だけだよ~。とりあえずいないいないばぁと子守唄はダメでした!」

梓「何やってるんですか……」

唯「でももしかしたら皆がそれぞれやってみたら何か変わるかもしれないよ!」

紬「一理あるわね」

梓「あるんですか!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:52:08.19 ID:Qdj/ntPS0
これは我ながら名案だよ!私にはりっちゃんを救えなかったけど……
優しいムギちゃんや、幼馴染の澪ちゃん、可愛い後輩のあずにゃんならりっちゃんを救えるかもしれない!


唯「ってことで一番手は我らが自慢のムギちゃん!」

紬「あらあらうふふ」

律「ふぐぅ、むぐぅ」ズビズビ

澪「何をするつもりなんだムギ……」


澪ちゃんが心配そうに見守る中、ムギちゃんは笑顔でりっちゃんの元へ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:53:39.15 ID:Qdj/ntPS0
そして、優しげにりっちゃんの頭を撫で、


紬「りっちゃん」ふわっ

律「ムギ……?」ぐすぐす


やさーしく抱きしめた。
そう、これぞムギちゃんの十八番!その名も「ほうようりょく」だ。
ちょっとした背の差のためにすこし低い位置にあるりっちゃんの頭をなでなでし続ける。

りっちゃんは少し落ち着いたようで、鼻をすする音が弱くなった。
そしてついでに、泣き出してから初めてちゃんとした言葉を喋った。
これだけでも大きな進歩だ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:54:40.20 ID:Qdj/ntPS0
紬「何かあったなら、私に話してちょうだい?」なでなで

律「ムギぃ……」うるうる

唯「おっ?効いた?」

紬「ハァハァ」サスサス

澪「り、律」

梓「呆気なく解決っぽいですね」


こうかは ばつぐんだ!
やっぱりムギちゃんのほうようりょくは威力ばつぐんだね!


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:55:19.18 ID:Qdj/ntPS0
紬「よしよし」なでなで

律「ムギ……」


おや?りっちゃんのようすが……




律「ムギぃ……う……うう……うわーーーん!!!」ボロボロ

紬「!?どうしたの?」

律「うわあああん!!むぎー!」


なぜだかりっちゃんは更に泣き出しちゃった。これは逆効果だったのかな……


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:55:49.37 ID:Qdj/ntPS0
澪「おそらく、ムギに慰められて安心してさらに泣いてしまったんだな」

梓「意味分かりません」

唯「もう!あずにゃん真面目にやる気あるの?それじゃあ次はあずにゃんだよ!」

紬「ちょっと待って」

唯「ん?」

紬「りっちゃんね、ワケもなく泣いてるわけじゃないと思うの。何か訴えるような泣き方だもの」


おおっ、さすがムギちゃん……

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:57:24.27 ID:Qdj/ntPS0
そっか、そうだよね。私としたことが!
そりゃ無意味にびーびー泣いてるわけじゃないよね……
じゃありっちゃんは何が悲しいんだろう?

確かに、りっちゃんはさっきも言ったとおり何かあっても自分の中にしまいこみがちだ。
何か、心の奥に悲しいことや不安なことを抱えているのかもしれない……


梓「律先輩に悩みや不安……ですか。なるほど」

澪「梓、わかったのか?」

梓「恐らく、ですけど……信憑性はあります」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:58:11.53 ID:Qdj/ntPS0
唯「さすがあずにゃんだよ!よしじゃあ次はあずにゃんのターン!」

紬「頑張ってね」


せっかくのムギちゃんハグを離れ、りっちゃんは机に突っ伏して泣いている。
あずにゃんはりっちゃんを驚かせないように揺り起こす。
ゆっくりとした動作でりっちゃんが顔を上げると、しゃがんで目線を合わせた。


梓「律先輩の言いたいことはわかります。先輩はきっと……これからのことで悩んでるんですよね」

律「!」がばっ

唯「お!あたり?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 21:59:34.96 ID:Qdj/ntPS0
澪「これからのこと……か」

紬「進路とかかしら……」


梓「この間先輩は進路について悩んでるって言ってました。まだ決まってない、みたいな事を言ってましたよね」

紬「そうね……」

唯「私とりっちゃんだけ怒られたんだよね~」テヘッ

澪「まったく……律はいいものの唯はどうするんだか」

梓「律先輩。大丈夫です。安心してください」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:00:39.34 ID:Qdj/ntPS0
律「えっ」

梓「先輩なら大丈夫です。やってけると思います」

澪「おい梓、そんな無責任に……」


でもあずにゃんはしっかりとりっちゃんを見て言ってる。何も考えずに言ってるわけじゃなさそう。
まさかほんとにりっちゃんの悩みがわかったのかな?


梓「私も、憂も、純も、先輩が大好きですから。それに、他の2年の間でも律先輩が好きって子がたくさんいます」

律「……?」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:02:20.59 ID:Qdj/ntPS0
梓「何しろ先輩は抱きたいランキングでも抱かれたいランキングでも上位です。きっとやってけます」

紬「あらぁ」ポゥ

澪「おい、なんだそれは」イライラ

梓「あ、澪先輩は意外と抱かれたいランキングでも人気ですよ」

唯「なにそれー、面白そう」

梓「と言うわけで、律先輩。いや、りっちゃん。留年しても大丈夫です!」

梓「むしろどんとこいです!一緒にもう一年高校生活やりましょう!」


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:02:52.19 ID:Qdj/ntPS0
紬「ちょ、私のセリフ」

唯「そんなまさか……りっちゃんが留年!?」

澪「おい律、どうして早く相談してくれなかったんだ!!」

紬「そういえば1時間目の前、さわ子先生と何か話していたわね……」

律「え、いや、それ違……」わたわた

梓「ね、私と一緒に卒業しよっ!」キラペカー

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:04:37.20 ID:Qdj/ntPS0
なんというはっちゃけたあずにゃん。
しかしこれが本当だとすると、りっちゃんは私たちと一緒に卒業できない……!?
そんなまさか……!
さすがの私でも留年警告きてないのに……


澪「律……本当なのか?」

律「う……うう」じわじわ

梓「同じクラスになるようさわ子先生に頼みましょう」

紬「私ももう一年居ようかしら」

唯「あームギちゃんずるーい!」

澪「じゃ、じゃあ私も……」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:05:24.48 ID:Qdj/ntPS0
律「…………」

律「うわーーーーん私そんなバカじゃないよおおおおお」びーーーー

梓「違いましたか……」

紬「大変、更に悪化しちゃったわ」

澪「っていうか律ってそんなに頭悪くないぞ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:06:06.38 ID:Qdj/ntPS0
梓「やっぱりそうでしたか。でもキャラ的にてっきり」

唯「だよね!やっぱりキャラ的にそう思うよね!」

律「しっくしっくもうやだ……」


これで残る最後の希望は澪ちゃんだけになっちゃった。
澪ちゃんは「仕方ない、私の出番か」みたいな仕草でさらりと髪を後ろに流す。
そして、今や部室の隅で体育座りでしゃがみこむりっちゃんの元へ自信げに近寄った。

ていうか、もしかしてずっと自分の番を待ってたのかなぁ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:08:29.99 ID:Qdj/ntPS0
澪「おい、律」

律「澪……ひっくひっく」

澪「おい、泣き止め律」がしっ

梓「ちょ、澪先輩そんな強引に……」

紬「待って梓ちゃん!」


ムギちゃんの目がきらきらし始めた。
澪ちゃんは無理やりりっちゃんの顔を上げさせると、片手であごを掴んだ。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:10:54.11 ID:Qdj/ntPS0
澪「いつまで泣いてるつもりだ。お前、泣き顔をそう簡単に曝していいと思ってるのか?」

律「!」びくっ

澪「もう我慢の限界だ。帰るぞ律」ぐいっ

律「や、やだよ!まだ帰りたくない!」

澪「あんまりワガママ言うなよ。おしおきされたいのか?」

律「っ……」がたがた


うわぁ。
私とあずにゃんがハモる。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:12:01.80 ID:Qdj/ntPS0
おしおきなんて言う人現実にいたんだね。そういうの、漫画とかだけかと思ったよ!
見るとムギちゃんはうっとりしてて、あずにゃんは私と同じようにぼーぜんとしている。

なんだか澪ちゃんが抱かれたいランキングで人気なのも分かる気がするよ。


澪「ほら、律。泣くのは帰ってから私の前でだけにしろ」ぐいぐい

律「ふ……ふぇ……ふぇえええええええん澪のおしおきやだああああ」


これもダメかぁ。
ムギちゃんの優しい路線がダメ、あずにゃんの推測もハズレ。
澪ちゃんの俺様路線は結構いけそうだと思ったんだけどな。
もう、りっちゃん頑固すぎるよ!

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:14:36.87 ID:Qdj/ntPS0
澪「もう……何で更に泣くんだよ?ここはうっかりときめいて気がついたら涙が止まってた展開だろ?」

律「だって……だって澪のおしおきイヤなんだよ……」ひっくぐすっ

梓「過去すでに施行済みなんですか」

紬「りっちゃん詳しく!」

律「おしおきこわい……手とか足とか痛くなるし……へんなボールみたいのくわえさせられるし……へんなブルブル入れられるし……」

澪「ちょ、律ストップ!」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:16:18.97 ID:Qdj/ntPS0
律「やめてって言ってもやめてくれないし写真撮るしへんなとこ舐めるし」

紬「あらぁ……」ニヤ

唯「澪ちゃんダメだよ!口にボールなんて汚いよ!」

梓「先輩はいつまでもそのままでいてください」


あずにゃんは優しい目をして私を見る。
なんだかよくわかんないけど、りっちゃんはおしおきを思い出したのか震えながら赤くなって泣き続けていて、
澪ちゃんは「ついにみんなにバレちゃったかぁ」と照れている。

見ればムギちゃんまで涙目になっていた。表情はりっちゃんと正反対だけど。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:18:19.68 ID:Qdj/ntPS0
紬「澪ちゃんっ!無理やりなんてダメよっ!」

梓「先輩は黙っててください」

律「ふぇっぐすっもうやだ……学校出たくない」

梓「律先輩さらに暗くなっちゃったじゃないですか!もうどうするんですか?」

澪「そんなこと言われても、いつもは泣きながらも善がってたから……」

梓「そういう問題じゃなくて」

唯「あずにゃん忙しいね」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:21:16.23 ID:Qdj/ntPS0
もう何がなにやら……
ん?でもちょっと待って。
さっきからのりっちゃんの様子、もしかして……?


唯「りっちゃんっ!」がしっ

澪「おい唯それ私がさっきやったって」

紬「今度は唯ちゃんね!」

梓「先輩……見損ないました」

唯「ちちち違うってー!まぁ見ててよ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:23:06.22 ID:Qdj/ntPS0
唯「りっちゃん、安心して!」

律「ううぐすぐす……どうせ私はバカだ……いかにも留年しそうなキャラなんだ……おしおきされてもしかたない……」めそめそ

唯「りっちゃんっ!」ゆさゆさ

唯「大丈夫!卒業してもみんな一緒だよ!」

律「ぐすっひっく、ゆ、唯」

紬「どういうことかしら……」

梓「話の流れから察するに……」

澪「律のやつ……」


唯「5人ともいつまでも一緒だよ!寂しがる必要なんてないんだよ!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:24:54.55 ID:Qdj/ntPS0
そう、私が思うに、りっちゃんは卒業がイヤなんじゃないかな。

そういえば1時間目のガイダンスは進学・就職に関することだった。
演説の中で講師の人は、
「今は友達かもしれないけど、みんなライバルだ。自分以外は敵だ。どうせ卒業したら関係なくなるやつらなんだから、けり落とせ」
みたいなことを言っていた。

だから、ムギちゃんに抱きしめられたら切なくなって泣いちゃって、
あずにゃんが「これからのことで悩んでる」って指摘したら図星で、
澪ちゃんに帰されそうになっても、嫌がったんだ。
貴重な部活の時間を途切れさせたくないから。

さわちゃん先生と話してたのも、このことだったんだね。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:26:49.11 ID:Qdj/ntPS0
>>38夏フェスまだ見てねぇや……



唯「ね、だから安心して。怖いことなんてないよ?悲しいことなんてないんだよ」

律「う、うぞだ……だってみんな、バラバラじゃなひか……もう、こうやって……ぐすっ、毎日会えない、んだぞ」めっそり

唯「うん。確かにみんなそれぞれバラバラになっちゃうけど……同じ国にいる限り簡単に会えるよ!」

梓「国って……」

澪「唯らしいな」

紬「ふふ、そうね」

唯「私だってやだよ……りっちゃんとも澪ちゃんともムギちゃんともあずにゃんとも、離れたくなんてないよ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:28:32.31 ID:Qdj/ntPS0
それは私とりっちゃんだけじゃない。
澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも同じはずだ。

見れば分かる。みんな目をうるませているから。


澪「バカ律……そんなくだらないことで泣いてたのか」

律「くだらなくて悪かったな……だって、考えれば考えるほど寂しくて仕方ないんだ」

澪「寂しくなんてないように私がいつも遊びにいってやるよ。律が寂しくなんてなる間もないようにさ」

梓「メールや電話だってできます」

紬「お手紙だって書けるわ」

唯「講師のおじさんは、卒業したらみんな離れ離れとか言ってたけど、あれは間違いだよ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:29:57.08 ID:Qdj/ntPS0
だって私もみんなも、りっちゃんが寂しいときはいつも傍にいてあげるもん。

今まで部長として頑張ってきてみんなが大好きなりっちゃんだから
元気に振舞ったり構いたがりなりっちゃんだけど、だからこそ人一倍寂しがりやなんだね。

そんなりっちゃんのことがみんな大好きなんだよ。だから、心配する必要なんてない。


唯「だからりっちゃんも約束!私たちが寂しくなったら、りっちゃんも私に会いに来てね」

澪「私は寂しくなる前に律のとこ行くけどな」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:31:35.02 ID:Qdj/ntPS0
紬「卒業してもお茶会しましょうね」

梓「バンドも、できるだけ続けましょうよ」

律「うん…………うん!みんな、ありがとう!」ぐすっえへへ


ずっと寂しそうな顔をしていたりっちゃんが、久しぶりに笑う。
今日初めて見る笑顔。みんなが大好きな。


唯「うう……う……りっぢゃああああん!!」びえーー

律「うおっ!何だよ唯ー」

唯「りっちゃんがそんなにも私たちのことを好きだったなんて!嬉じいよおおおおお」ぐしゅぐしゅ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:33:36.63 ID:Qdj/ntPS0
梓「もう……せっかく格好良かったのに」

澪「ま、いいじゃないか」

紬「ふふ、2人ともいい子いい子」なでなで


もらい泣きみたいに泣いてしまってちょっと恥ずかしかったけど、みんな慰めてくれた。
りっちゃんが泣いたときにみんな慰めてくれたように、私が泣いた今も同じだった。
嬉しくてさらに泣いてしまった。

ムギちゃんが頭を撫でてくれて、あずにゃんが仕方なさそうにハンカチを差し出してくれて、
澪ちゃんが慰めてくれて、そしてりっちゃんが抱きしめてくれる。
そこに確かなつながりというか縁のようなものを感じて、どうしようもなく幸せな気持ちになった。

卒業まであと半年くらいしかないけど、それを悲しむことはあっても寂しがることはもうないだろう。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:35:22.40 ID:Qdj/ntPS0
律「へへっ!みんなありがとな!これで、みんなずっと独身仲間ってことだな!」

澪「え?」

梓「え?」

紬「え?」

唯「え?」


今のは聞き間違えかな?おかしいなー、話の流れ的にそんな言葉が聞こえてくるわけ……

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:38:41.98 ID:Qdj/ntPS0
律「だーかーらー、みんな結婚しないで私の傍にいてくれるんだよな!」テレッ

紬「え?」

澪「お前、何言ってるんだ?」

律「え、だってそういうことだろ?だって言ってくれたじゃないか、みんなずっと一緒だって」

唯「う、うん。確かに言ったよ。でも……」

梓「それとこれと何の関係があるんです?」

律「ん?」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:39:25.94 ID:Qdj/ntPS0
唯「りっちゃん……卒業が寂しくて泣いてたんじゃないの?」

律「お前こそ何言ってるんだ?」

澪「おい律、今日一日のことを朝から詳しく話せ」

律「え、何でまた」

梓「いいからお願いしますっ」

紬「私からもお願い」

律「ああ、うん?いいけどさ……」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:40:40.15 ID:Qdj/ntPS0
事の顛末はこうだった。
これはりっちゃんが1時間目の後、珍しくきちんと書類を出しに職員室へ寄ったときの話だ。



―――――――――――――――――――――――

律「失礼しまーす」がら

さわ「おはよう、りっちゃん」

律「さわちゃんおはよー」

さわ「今日も雨ね、嫌になっちゃう」

律「あはは、毎日これじゃ憂鬱になるよなー」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:42:47.27 ID:Qdj/ntPS0
さわ「そうね。しかもね私、6月って大嫌いなの」

律「なんで?あ!祝日が一日もないからだろー」

さわ「それもあるけどね……聞きたい?」

律「遠慮します」

さわ「よくぞ聞いてくれたわ!6月と言えばジューンブライド!幸せな花嫁なんて、滅びればいいよのよぉっ」


―――――――――――――――――――――――

律「とまぁ、いつもみたいにさわちゃんがヒステリーでさぁ。私が絡まれたわけだよ」

梓「あの人スイッチ入りやすいですよね」

唯「それでそれで?」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:45:03.87 ID:Qdj/ntPS0
―――――――――――――――――――――――

さわ「りっちゃんもね、気をつけたほうがいいわ」

律「おいおい、私に絡むなよー」

さわ「女子高生なんてあっという間なんだから。とくにりっちゃん!いつまでもさばさばしてると、あっという間に売れ残るわよ!負け犬よ負け犬!」

律「そんな極端な……」

さわ「考えても見なさい。まずムギちゃんは心配ないでしょうね」

律「うーん、確かに。ムギならあっという間に結婚しそうだな。っていうか許婚とかいそう」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:47:40.70 ID:Qdj/ntPS0
さわ「澪ちゃんなんて争奪戦が起きるわよ。あのプロポーションよ?男が放っとかない訳ないわ」

律「う……まぁ……わかるかも」

さわ「唯ちゃんや梓ちゃんも、プロポーションは劣るけど二人とも女の子らしくてとても可愛いわ。結婚なんてすぐよ、すぐ!」

律「そ、そんな……」

さわ「りっちゃんだって素材は悪くないのよ。でも、いつまでもアグラかいたり乱暴な言葉遣いしてるとね……」

律「してると……?」

さわ「あーっという間に20後半!どうしようって焦ってる間にも時は過ぎ……30超え……35超え……そしてそのまま40代に……」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:48:44.81 ID:Qdj/ntPS0
律「そ、そんなバカな話」

さわ「あるのよ、これが……。ね、私のこと、他人事じゃなくなってきたでしょ……?笑ってられないのよ……?」

律「みんな先に結婚しちゃって……私だけ……」

さわ「その劣等感ったらありゃしないわ。おまけに子供ができていくとね……話に入れないのよ。自分は幸せそうな様子を見てるだけ」

律「嫌だぁ……」

さわ「寂しいわよ~……売れ残った女っていうのは。耐えられないわよぉ~」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:50:33.17 ID:Qdj/ntPS0
律「ひいい!」うるっ

さわ「驚かせちゃってごめんなさいね。とにかく私、りっちゃんが心配なの。みんなが嫁いだ後のりっちゃんがね……」

律「さわちゃん~」ぐすぐす

さわ「私からの忠告は以上よ」

さわ「(ま、りっちゃんは元気でがさつなのが魅力的だし、そもそも澪ちゃんがりっちゃんを放って男と結婚するとは考えがたいけどね。すっきりしたからいいや)」


その後りっちゃんは教室に戻っても悲しさが増すばかりで、授業なんて耳に入らず、どんどん最悪の未来を想像してしまう。
そしてどんどん涙が溢れてきて、止まらなくなってしまったということだった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:52:05.44 ID:Qdj/ntPS0
―――――――――――――――――――――――

律「でも今は大丈夫だ。結婚するときはみんな一緒だって聞いて安心したぜ!」

梓「唯先輩……どうしてくれるんですか」

唯「ううっ……私てっきり、りっちゃんは卒業が寂しいのかと思って……」

紬「でもりっちゃんの嬉しそうな笑顔を見てると本当のことは言いにくいわね」

澪「…………」


つまり、今日一日ずっと売れ残りを気にしてりっちゃんは泣いてたってこと……か。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:53:33.39 ID:Qdj/ntPS0
ムギちゃんに抱きしめれて泣いたのはムギちゃんの優しさを実感してさらに自分がダメだと思っちゃったのかな。
そんで、学校を出たくないって言うのはそのまんま、大人になりたくないってことだろう。
なんか拍子抜けだよ……

どう考えても、みんなで同じ時まで独身でいるなんて……ムリに決まってる。
おまけに、なぜか私にはりっちゃんが優しくていい人と恋仲になって幸せを掴む未来が簡単に想像できる。
澪ちゃん、りっちゃんの順に、さっさとお嫁にいってしまうような未来が……


梓「とにかく……ちゃんと現実を説明してくださいよ。女はいつかは結婚するんだって」

唯「えっ、でもあんなに嬉しそうなりっちゃんにそんなこと言えないよ……」

紬「満面の笑みだわ……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:56:10.72 ID:Qdj/ntPS0
澪「……………………」

梓「澪先輩、さっきから静かですけどどうかしましたか?」

澪「……せない」

紬「澪ちゃん?」

澪「許せない!」

澪「こんのバカ律!!」がごん

律「いってぇえ!何するんだよ!」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 22:57:59.64 ID:Qdj/ntPS0
澪ちゃんはいきなり、いつもの倍のスピードでりっちゃんにげんこつを落とす。
りっちゃんの目にまた涙が溜まる。今度は痛みによる涙みたいだけど。


澪「お前、なんにもわかってないみたいだな……」

律「わかってないって、何がだよ」

唯「み、澪ちゃんそれくらいに」

紬「しっ!黙って唯ちゃん」きらきら

梓「……またこの展開ですか」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:00:02.41 ID:Qdj/ntPS0
澪「もういい。お前には口で言ってもわからないみたいだな。来い」ずるずる

律「え、なんで、私何も悪いことしてな」

澪「そう思うこと自体が悪い。もう一度、一から教育してやる!」


澪ちゃんは怒りながら嫌がるりっちゃんを引きずると、かつてみんなの私物があった準備室に入っていった。
なんだか怖かったな、澪ちゃん。
きっと、りっちゃんの話を聞いて潤んじゃったのが悔しいんだね。


梓「いや、あの人はただ自分のものだと思ってたのが全然なってなくてイラついただけだと思いますよ」

紬「ふふ、澪ちゃんも可愛いわ。独占欲が強いのね」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:01:21.26 ID:Qdj/ntPS0
唯「うーん、よくわかんないよ!まぁいっか」

梓「それより……練習どうしましょうか」

唯「うーん、2人とも閉じこもっちゃったね」


澪『えーい、道具などなくても成敗してくれる!』

律『み、澪落ち着けよ、やめて、そこだけは!!いやだああああ』



梓唯「…………」

紬「…………」ギラギラ

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:04:25.25 ID:Qdj/ntPS0
唯「帰ろっか」

梓「ええ」

紬「りっちゃんたら……心配しなくてもすでに嫁いでるようなものなのにね」うふふ

唯「帰るよームギちゃん」ぐいぐい


ムギちゃんを呼んでも引っ張っても全然動こうとしないので、仕方がないからあずにゃんと二人で帰ることにした。
夕方になってもまだまだ外は蒸し暑い。
でも、雨が降ってないからよかった。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:05:51.46 ID:Qdj/ntPS0
唯「それにしてもりっちゃんには参ったね~」

梓「まさか、あの律先輩がそんなことを気にするなんて……」

唯「心配しなくても、りっちゃんほど可愛かったらきっとすぐお嫁にいっちゃうよ」

梓「澪先輩が阻止しそうですけどね」


澪ちゃんはだいぶ怒ってたみたいだけど、りっちゃんのことが大好きだからこそだろう。
些細なことで怒る澪ちゃんも、些細なことでボロ泣きしたりっちゃんも、息が荒いムギちゃんも、とても可愛かったな。


梓「まぁ、軽音部にしめっぽい空気は似合いませんから。あの人たちらしいっちゃらしいです」

唯「あはは、そうだね!」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:10:29.19 ID:Qdj/ntPS0
私たちの心配は杞憂だったけど、でも、私が感じた縁のようなものまで勘違いだったとは思えない。
形は違うけど、みんな繋がってるんだよ!


梓「あ……じゃあ私こっちなんで」

唯「うん、また明日ねー!」


一人になって考えると、なんだか拍子抜けした以上にすっきりした。
本当は私もどこかで卒業を寂しく思ってたのかもしれない。

最終的に勘違いだったけど、確認できたからりっちゃんには感謝だね!
明日改めてお礼言おう。

私は水溜りを飛び越すと、ドアを開けて元気に叫ぶ。


唯「ういー、ただいまー!」



おわり

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/23(水) 23:11:38.37 ID:Qdj/ntPS0 [54/54]
一体俺は何が書きたかったのだろうか
とりあえず律は俺の嫁!

支援ありがとうございました

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澪律こそ正義

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