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女「ちっちゃい世界だなぁ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:00:56.35 ID:DGhD1DZeO [1/79]
女(目が覚めたら小人の世界でした)

女(周りに生えてる木もどんなに高くても膝たけまでだし……)

女(遠くに見える村(?)も小さいみたいだし)

女(まさか私、異世界にでも来ちゃった?)

女(……まさかねぇ)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:04:51.12 ID:DGhD1DZeO
女(とりあえず元の世界にさっさと帰りたいなぁ)

女(じっとしてても始まらないし……帰る手がかり探そっと)テクテク…

女(……あ。人だ。人がいる)

女(手のひらサイズの人間とか初めて見た)ビックリ

女(……とりあえず、そっと近づこう。そーっと……)ソロソロ…

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:07:59.75 ID:DGhD1DZeO
男(……あれ?急に辺りが暗く……)

女「あのー……」

男「ぎ、ぎぃやああああああ!」

女「……!」ビクッ

男「ひ、ひぃ……ば、化け物……!」ガタブル

女「ばけもの?」

男「来るな……来るなぁ……!」ガタガタ

女「えーと……もしかして私のこと、かな?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:12:56.67 ID:DGhD1DZeO
女「……こ、恐がらせるつもりはなかったんですけど。すみません」

男「……っ」ブルブル

女「あの、お尋ねしたいことがあるのですが」

男「……っ!」ガタガタ

女「……あのぅ、聞いてます?」ズイッ

男「ひぃ!命ばかりはぁ……!」ガタブルガタブル…

女「……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:21:00.26 ID:DGhD1DZeO
女「とっとと家に帰りたいのですが、帰り方って分かります?」

男(な、なんだこの巨人……お前の帰り道なんて俺が知るかよ……)

男(でも、ここで答えないと踏み潰されるかも知れん……そんな死に方ごめんだ……!)

女「あのー、大丈夫ですか?顔が真っ青」指先でピトッ

男「ひぃ!」ズザザザ!

女「わっ」ビクッ

男「あ、あっちです!あっちに行ったら帰れますっ!」

女「……本当に?」

男「ほほほ本当ですっ!」

女「そっか!ありがとうございます!」ペコッ

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:25:43.28 ID:DGhD1DZeO
女(言われた通りに歩いてるけど……)テクテク

女(相変わらず周りの木はミニサイズだし、たまに会う人も手乗りサイズだし……しかもみんな血相変えて逃げてく)

女(もしかして私、騙されてる?)

女(……いやいや、人を疑うのはよくないよね)

女(例えそれがミニサイズ人間だとしても!)

女(……だけど、どこまで行けば良いんだろ?)

女(はぁ……疲れたぁ)

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:30:55.80 ID:DGhD1DZeO
男(な、何だったんだあの化け物は)

男(簡単に騙せるくらい知能が低くて良かったものの……)

男(一歩間違ってたら食い殺されてたかも知れん)

男(……つーか騙してるのばれたら握り潰されちゃうかも、俺)

男(……)ガクブル…

男(とりあえず村のみんなに知らせよう……うん)

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:37:32.44 ID:DGhD1DZeO
―村―

男「……そしたら、でっかい女が真後ろに居てさ!」

村娘「ぷふっ」

男「お、おい!笑い事じゃねーぞ!」

村娘「ごめん、ごめん。でも……」クスクス

男「本当なんだって!もう少しで踏み殺されるところだったんだよ!」ブルブル

村娘「えっとね……多分、男くんは疲れてるんだよ。今日はゆっくり休んだらどう?」

男「本当なんだ!信じてくれよ!」

村娘「はいはい、帰ってゆっくり寝なさいねー」

男「ああ、もう!どうして信じてくれないんだっ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:42:47.43 ID:DGhD1DZeO
女(歩き続けて早数時間)

女(もう日も傾き始めてる……家、門限8時なのにどうしよう)

女(あぁ、お腹減ったなぁ……)グー…

女(帰る方法も全然分からないし、ずっと歩いてても方法なんて見つからないみたいだし……)

女(……とりあえず元の場所に戻ってみようかな。何か手がかりがあるのかも)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:48:50.08 ID:DGhD1DZeO
村人1「な……なんだありゃ!」

村人2「巨人だっ!巨人が攻めて来たぞっ!」

ワー!キャー!ニゲロー!

村娘「きょ、巨人?」ワタワタ

男「ほ、ほら!本当だったろ!?」

村娘「とにかく逃げましょ。男、こっち!」グイッ

男「わ、ちょ、ちょっと……!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:55:43.28 ID:DGhD1DZeO
女「この村すごい。ミニチュアの模型みたい」

ヒイィー!コッチニキタアア!イヤァー!

女「……て、暢気なこと言ってる場合じゃないや」

女(道を教えてくれた男の子はどこかなぁ)キョロキョロ

女「あ」

女(見つけた!追いかけてもういっぺん教えて貰わなきゃ!)

女(あの子、さっきキッパリ「あっちだ」って言ってたし)

女(何か知ってるはず!多分!)スタスタ

バキッ!

女「あ、おうち壊しちゃった……」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 15:57:57.80 ID:DGhD1DZeO
女(良かった。このおうちの中、誰も居ないみたい……)

女(あっ、早くしないと見失っちゃう!)

女(急いで追いかけて、なおかつ家とか人とか潰さないよう慎重に……)

女(イライラ棒みたいでちょっと楽しい……なんて、悠長なこと考えてる場合じゃないか)

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:03:55.55 ID:DGhD1DZeO
ドスン、ドスン…

男「あの化け物こっちに来てるっ!」

村娘「わ、分かってる!」

男「何してるんだ、急げ!追いつかれるぞっ!」

村娘「……先に行って」

男「え……?」

村娘「足首、ひねっちゃったみたい……何突っ立ってんの!早く!」

男「……肩に手ぇ回せ。早くしろっ」

村娘「馬鹿言わないで。どうしてあんたの足手まといなんかにならなきゃいけないのっ」

男「良いから!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:08:35.70 ID:DGhD1DZeO
女「ふぃー……小人さん速いよ……」

女「でも、まだ見失ってない!大丈夫!」

女「……あれ?立ち止まって何かしてる?」

女(よーし!一気に追いつこうっと!)テクテク…


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:18:03.00 ID:DGhD1DZeO
女「はぁ、やっと追いついた!」

村娘「ひ……っ」

男「あ……あ……!」

女「さっきぶりだね、小人さん。……あれ?この子誰?彼女?」

男「来るな……む、村娘には……手を出すな……!」

女「へぇ、村娘ちゃんって言うんだ!ちっちゃくて可愛いー」ヒョイッ

村娘「き、きゃあああ!」ジタバタ

女「わわっ、暴れちゃダメだよ。落ちちゃうよ?」

村娘「うぅ……ぐす……っ」ガクガクブルブル

女「すごーい。こんなにちっちゃいのに人間なんだ。あ、爪もちゃんとある。細かいなぁ」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:23:54.91 ID:DGhD1DZeO
女「女の子な小人、可愛いなぁ。食べちゃいたいくらい可愛い」ポワーン

村娘「わ、わた、私なんて、た、食べても……美味しくなんか……!」ブルブルブルブル

女「あらあら、謙遜しちゃってー。本当に食べちゃうよ?」ツンツン

村娘「ひぅ……っ!」ジョワー…

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:29:38.51 ID:DGhD1DZeO
女(わ。お漏らししちゃってる)

女「ご、ごめん。冗談だよ。そんなに恐がるとは思ってなくて、その……」アセアセ

男「怪物め!村娘を離せっ!」ポコポコ

男「代わりに俺を食えば良いだろ、化け物!化け物!」

女「……えーと」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:34:55.55 ID:DGhD1DZeO
男「返せ!返せぇ!」ポカポコ!

女(予想以上に驚かれてこっちがびっくりだよ……)

女(しかも村娘ちゃん気絶しちゃったみたいだし。全然動かない……死んでないよね?ね?)

女「ほんとにごめんね、この子返s……」

女(ん?いや、待てよ?)


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:43:26.86 ID:DGhD1DZeO
女(この小人がちゃんと本当のこと教えてくれるか分かんないし……)

女(ううん、例え小人でも人を疑うのは……だけど、さっき信じて歩いても帰れなかったし)

女(よし、これも帰る手だてを見つけるためだ……良心は痛むけどっ!)

女「ふ……ふはははー!」男に軽くデコピン

男「うぐ……!」ドサッ

女「(あれ?軽くやったつもりだったのに強すぎたのかな?)この娘を返して欲しくば真実を教えろー」

男「し……真実?」ゲホ…ッ

女「(大丈夫だよね?怪我してないよね?)ああ、そうだ!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:52:02.09 ID:DGhD1DZeO
女「えと、帰る方法を教えて下さ……じゃなくて、教えろー」

女(高圧的に真実を聞き出す作戦!しかも人質つき!)

女(さすがにさっきみたいに嘘はつかないよね?……心は痛むけど良い作戦だよ、ね?)

男「か、帰るって……どこにだよ?」

女「えーと私くらいの大きさの人がいっぱい居て、ビルとか建ってて、学校があって……とりあえずそんな感じかな?」

男「巨人の世界がどこにあるかなんて俺が知ってるわけねーだろ!早く村娘置いて村から消えてくれ!」

女「え……?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 16:59:10.41 ID:DGhD1DZeO
女「で、でも……さっき会った時にあっちだって即答してたから……その、何か知ってるとばかり……じゃ、なくて!」

女「(高圧的態度も疲れるよ…)本当に何も知らないのかー!早く答えないとこの娘を今ここで丸呑みしてくれるわぁー」

男「ま、待て!頼む、村娘だけは……そいつは関係ないだろ……っ!」

女(まぁ、そんなことしないけどね。喉につっかえそうだし)

女(ていうか、人の形してて言葉の通じる生き物なんて本気で食べたりしないよ)

女(うーん。でも、どうしよっかなぁ……本当に何にも知らないみたいだし。……あ、そうだ!)

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:07:29.72 ID:DGhD1DZeO
女「ふははー。この娘を返して欲しければ、私が元の世界へ戻れる方法を探してみろー」

男「そ、そんな……」

女「あ、ちなみに『日本』の『東京』ってとこです。よろしくお願いします」ペコリ

男「ニ、ニホン……?」

女「じゃあまた来ます。お騒がせしてすみませ……あ。高圧的、高圧的」

女「えーとえーと……首を長くして……でもなくって、首を洗って待っていろ!……で、合ってるかな?」

女「まぁ、そういうことなんでよろしく頼むぞぉー、わははははー」

男「ま、待て!村娘を……村娘を返せぇー!」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:11:54.93 ID:DGhD1DZeO
女(とりあえず人気のない場所に来てみたけど……)

女(……この子、どうしよう。つい勢いで連れて来ちゃったけど)

女(その辺に置いておこうかな?……でも最近治安悪いし、誰かに襲われたりしたら可哀想だし)

女(この世界の治安がどうだか分かんないけどね)

女(あぁ、もうこんなに空が暗いや……門限破っちゃったよなぁ。どうしよう)

女「……」

女「……おーい、起きろー」ピトピト

村娘「……」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:16:35.62 ID:DGhD1DZeO
女(さっきから身動き一つしてないけど、死んでない……よね?)

女「お……おーい。大丈夫?」ユサユサ

村娘「……。……ぅん」

女「!」

女「生きてた……!」

女「良かったぁ!殺人犯にならずに済んだ!」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:22:22.60 ID:DGhD1DZeO
村娘「……ん」

村娘(あれ……私、確か巨人に食べられて……)

女「おはよ」

村娘「……っ!?」ガバッ!

女「わぁ。かなり寝覚め良いんだね」

村娘「き……っ」

女「き?」

村娘「きゃあああああ!」

村娘「は、離してぇ!助けてえええ!」ジタバタジタバタ!

女「待って待って!離してあげるし、何もしないから!」ワタワタ

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:32:53.87 ID:DGhD1DZeO
女「ちょっと待ってね。今降ろすよ……」ソ…ッ

村娘「あ……ひ……っ」ガタガタ

女(あれ?逃げない?腰が抜けちゃってるのかなぁ……?)

女(今にも死にそうな顔してるや……恐怖のあまり心臓ぴきって止まったりしないよね?)

女「えっとね……本当にごめん。ごめんなさい。怖い思いさせて、本当にすみません」ペコペコ

村娘(きょ、巨人が謝って……る?)

村娘(きっとこれは安心したところでガブッといくつもりなんだ……!)ブル…ッ

村娘(さっきも私のこと食べようとしてたし……きっとそうだ!)ブルブル…

村娘(どうしよう……足が上手く動かない……どうしよう、どうしよう、どうしよう!)ガタガタガタガタ

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:39:36.18 ID:DGhD1DZeO
女(どうしよう……やっぱりこんなの、悪いことだよね)

女(この世界に住んでる人の方が帰る方法探しやすいって思ったけど……)

女(……人を脅してこんなに怖がらせるなんて、悪党だよ。私絶対悪役ポジションだよ。そんなの嫌だなぁ)

女「……やっぱり返して来よう。うん、そうしなくちゃ!」

村娘「……っ」ビクッ!

女「あ……」

女(ちょっと大きな声出しただけでこんなに怯えて……)

女(この子から見た私は怪獣そのものなんだろうなぁ)

女(……もしもゴジラに連れ去られたら私だって怖いよ、きっと)

女「……ごめんね」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:44:51.32 ID:DGhD1DZeO
女(潰さないように、そーと持ち上げて……っと)ス…ッ

村娘「う、うぅ……ぐす……」ブルブル…

女「泣かないで良いよ。私ね、やっぱりあの村にあなたを帰すことにする」

村娘「………で」ポツリ

女「え?」

村娘「村に、男くんに近づかないで……!私は、私はどうなっても……ぐす、良い、から……だから……」グス…ッ

女「……あ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 17:52:22.91 ID:DGhD1DZeO
女「そ、そうだよね……私なんか、もう村になんか来て欲しくないよね」

女「……はぁ」

村娘(握り潰される……っ!)

女「……」ス…

村娘「(降ろしてくれた…?)……え」

女「大丈夫?歩ける?」

村娘「え……あ、うん……」

女「そっか。良かった。村はね、あっちだよ」

女「……ばいばい。ほんとにほんとに……ごめん」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:03:09.14 ID:DGhD1DZeO
―村―

村人1「俺の家がめちゃくちゃに……」

村人2「あの化け物、畑も道も踏み荒らして行きやがった」

長老「被害は少なくないが、とにかく皆無事で良かった……」

男「どこが皆無事なんだ!村娘はさらわれたんだぞ!」

男「早く助けに行かないと村娘が……村娘が……」

長老「男の言いたいことは分かる。しかし、あんな怪物にどうやって立ち向かえと言うのだ」

男「だからってあいつを見捨てる理由にはなりません!長老、すぐにでも助けに行きましょう!」

長老「あの怪物を鎮める方法なんて生け贄を捧げることしか考えつかない。こんな言い方は語弊を招くかも知れんが……あの娘には両親も親族も居ない。だから……」

男「だからあいつを見捨てて生け贄にしろって言いたいんですか!」

長老「……」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:06:02.17 ID:DGhD1DZeO
男「……分かりました。俺一人で行きます」

長老「待て、男!」

男「……」スタスタ

村人1「あんな化け物、一人でどうするつもりだ!」

村人2「食い殺されるのがオチだぞ!」

男「……分かってる」

男(それでも、行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ……!)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:09:56.74 ID:DGhD1DZeO
男(確かあの巨人はあっちの方角へ行った筈だ……)

男(どこに居るかは分からないが、あんなでかい図体してるんだ……すぐに見つかる)

男(……待ってろよ。村娘)

村娘「あ」

男「……え?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:17:43.07 ID:DGhD1DZeO
男「村娘……?」

村娘「男、くん……っ」

村娘「う……うわあああん!」ガバッ

村娘「怖かった……怖かったよぉ……!」グスグス

男「無事で良かった……本当に、無事で……」ギュ…ッ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:22:52.89 ID:DGhD1DZeO
男「あの怪物にどこかかじられてないか?大丈夫か?」

村娘「その格好……助けに来てくれたんだね」

男「あ、あぁ……まぁな」カァ…ッ

男「ところで、あの巨人はどこだ?どうやって逃げ出してきた?……まさか、お前が倒したのか?」

村娘「わ、私、一応女の子だよ?そんなな無理だよ!……そりゃあ、女の子っぽくないけどさ」

男「そ、そういう意味で言ったんじゃないって」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:28:16.02 ID:DGhD1DZeO
村娘「逃げ出して来たっていうか……逃がしてくれた、みたい」

男「逃がしてくれたって、あれがか?……まさか」

村娘「私も最初は何かの罠かもって思ったけど……つけて来る様子もないし、第一あんなのがつけて来たらすぐ分かるし」

男「……一体何のつもりなんだ、あの化け物」

村娘「化け物の考えることなんて私たちに分かるわけないよ」

男「とにかく早く帰ろう。また追いかけて来るかも知れない」

村娘「う、うん……」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:33:08.88 ID:DGhD1DZeO
村娘「痛…っ」

男「!?どうした!」

村娘「そんな大袈裟な……逃げる途中にひねった足がちょっと痛くて」

男「歩けるか?」

村娘「ちょっと痛いだけだよ。ここまで自分で歩いて来れたし……いたた」

男「……ほら」スッ

村娘「い、良いよ。おぶったりしなくても!」

村娘「歩けるし、それに……恥ずかしい」

男「良いから、ほら」

村娘「う、うん……」

村娘「……ありがとう」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:36:09.57 ID:DGhD1DZeO
女「……はぁ」

女「これからどうしよう……」

女「自力で帰るったって、手がかり一つないしなぁ」

女「……お腹空いた」

女「そういえば昼から何にも食べてないや」

女「この木の実、食べられるかな?」

女「……あ。ちっちゃいけど、美味しい」モグモグ

女「……ん?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:41:05.67 ID:DGhD1DZeO
女「わぁ……小さい鹿さんだ」

女「ぬいぐるみみたいでかわいー……あ、逃げちゃった」

女「……木の実とか食べ尽くしたら、この森の動物さんたちが困っちゃうよね」

女「……食べるの止めよう。でも……お腹が……」グー…

女「んー、我慢我慢。今日は寝よう。もしかしたら次に目が覚めた時、元に戻ってるかも知れないし!」

女「……はぁ、おやすみ」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 18:49:45.63 ID:DGhD1DZeO
―村―

長老「……村娘が帰って来たらしい」

村人1「まさか!あの怪物から逃げ切れたと言うんですか!?」

長老「村娘の話によると、巨人の方から帰るよう促されたらしい」

村人2「そんな馬鹿な話があるわけ……」

長老「わしもそう思う。きっと怪物の隙をついて逃げ出したのだろう」

長老「……手に入れた獲物が逃げた時、化け物はどんな行動に出ると思う?」

村人2「……また、村にやって来て村娘を」

村人1「それだけじゃない!逃げられた腹いせに村の人間を皆殺しにするかも知れない!」

長老「……その事態だけは避けねばならん」

長老「村娘を呼んでこい。男は絶対ここに通すな。……良いな?」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:00:02.68 ID:DGhD1DZeO
村娘「ふふ……男くん、包帯巻くの下手だね。自分で巻いた方が早かったかも」

男「わ、悪かったな……」

村娘「大体、軽いの捻挫なのにこんな厳重に巻かなくても……」

村人1「村娘はいるか」ガチャッ

村娘「はい。どうしたんですか?」

村人2「……長老がお呼びだ。今すぐ来てくれないか?」

村娘「なんだろ、一体……?」

男「あの、」

村人1「男。お前は呼ばれていない」

村人2「村娘、さぁおいで。すぐに済む用事みたいだから」

村娘「……何だかよく分からないけど、長老がお呼びならきっと重大なことなんだろうね。行ってくるよ」

男「あんまり足に負担をかけないようにな」

村娘「大丈夫だよ。じゃあ、用事が終わったらすぐ戻るね」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:06:45.82 ID:DGhD1DZeO
―長老宅―

村娘「……今、何とおっしゃったんですか」

長老「もう一度あの怪物のところに行きなさい」

村娘「で、でも……せっかく逃げられたのに……どうして」

長老「きっとあの怪物は君を追ってまたこの村に来るだろう」

村娘「で、ですが……」

長老「もしも、またあの怪物が来たらどうする?今度は誰がさらわれるかも分からん」

長老「運が悪ければ皆殺しだ。……男も酷い殺され方をされるやも知れん」

村娘「……!」

長老「怪物がどこに居るかを知っているのは君だけだ」

長老「あの怪物を止めることが出来るのは君だけなんだ。……行ってくれるな?」

村娘「……」

村娘「……」

村娘「……分かり、ました」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:13:06.06 ID:DGhD1DZeO
チュンチュン…

女「ふぁ……よく寝た」

女(やっぱり小さい世界のまんまか……あーあ、どうしよう)

村娘「……」

女「え。……何でいるの?」

村娘「……」

女「えと……村に帰ったんだよね?」

村娘「……」コクッ

女「じゃあ……どうして?」

村娘「わ……私は、自分の意思でここに戻ってき、来ました……」ブルブル

女「自分の意思……?」

57 名前:>>56書き溜めてません…できるだけ急ぎます…[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:19:06.71 ID:DGhD1DZeO
女(こんな泣きそうな顔して身体固くしてる子が自分の意思で戻ったなんて考えられない)

女(何かわけがあるのかな……?)

女「どうして戻って来たの?」

村娘「だ……だから、自分の意思で……」

女「嘘、だよね?何かあったの?」

村娘「……うるさい!私は戻りたいから戻ったのっ!」

女「……」

村娘「……殺さないの?」

女「え?」

村娘「殺すなら……早く殺してよ……」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:23:19.45 ID:DGhD1DZeO
女「……自殺願望でもあるの?」

村娘「違う……けど」

女「悩みがあるなら聞くよ。ちゃんとアドバイスできるかは分からないけど……」

女「だけど、昨日怖がらせちゃったお詫びに……話を聞くくらいなら……」

村娘「……」

女「余計なお世話……かなぁ?」

村娘「……よ、余計すぎる。食いたいなら食えば良いでしょ!?」

女「ダメだよ!自殺幇助になっちゃうよ!」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:27:56.44 ID:DGhD1DZeO
村娘「腹が減ってるんでしょ!?煮るなり焼くなりしなさいよ!」

女「そ、そりゃ……お腹空いてないって言ったら嘘になるけど……」グーキュルル…

村娘「……っ」ビクッ

女「で、でもあなたは食べないよ」

村娘「……どうして?」

女「だって、小さい人間なんて……食べられないよ。私、カニバリズムには興味ないし」

村娘「……かにばりずむ?」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:33:03.07 ID:DGhD1DZeO
村娘「だけど昨日、私のこと食べたいって……」

女「あぁ、食べちゃいたいくらい可愛い?……あれは単に言葉のあやで」

村娘「へ……?」

女「もしかして私のこと思って来てくれたの?……身を捧げても良いくらい良い女なのかなぁ、私」モジモジ

村娘「ち、違う!」

女「だよねぇ」アハハ

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:37:36.58 ID:DGhD1DZeO

……

女「えーと、つまり……私への生け贄に選ばれたってこと?」

村娘「……」コクリ

女「なーんじゃそりゃあ」

女「こんな可愛い子を生け贄なんかにするなんて許せないっ」プンプン

村娘「……元凶のあんたが言ってどうすんの」

女「ごめん……なさい」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:43:25.87 ID:DGhD1DZeO
村娘「でも話しててあんたが人畜無害みたいなのは分かった。なんとなくだし、まだ怖いけど」

女「んんー……」グイグイ

村娘「……なにしてんの?」

女「できる限り身体を縮こまらせようと……でも、身体かたくて……いたたた」グググ…

村娘「はぁ……?」

女「だって、私が大きいから怖いんでしょ?……ふぅ、背中が痛いや」

村娘(分かった。この怪物アホだ)



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:50:23.04 ID:DGhD1DZeO
女「ねぇねぇ、何か食べるもの持ってる?ちょっとだけ分けてよ」

村娘「持ってないよ……殺される覚悟の人間がそんなの持ってるわけないでしょ?」

女「えー、最期の晩餐的なヤツ持ってこなかったのー?……あ、今は朝か。じゃあ、最期の朝食?」

村娘「……大体、私の一食分はあんたの一口分にもならないでしょ?」

女「そういえばそうか!村娘ちゃん頭いいね」

村娘(こんな馬鹿にビビってた自分が情けない……)

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 19:56:40.36 ID:DGhD1DZeO
―長老宅―

男「……」

長老「どうした男。そんな恐い顔をして」

男「……村娘はどこです」

長老「さぁ、知らんな。そう言えば昨日の夜以来見ていない」

男「……あの怪物のところですか」

長老「知らんなぁ」シレッ

男「……っ。……失礼しました」バタンッ!

長老「……」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:00:01.36 ID:DGhD1DZeO
長老「男はまた村娘を助けに行くつもりのようだ」

村人1「……余計なことを」

村人2「どうしてあいつは村の平和を第一に考えられないのだ」

長老「男はもう村を発ったようだ。……お前ら、男を連れ戻してくれんか?」

村人2「任せて下さい」

長老「もしも男が反発するのならその時は……――」

村人1「……分かりました」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:07:02.35 ID:DGhD1DZeO
村娘「え。あんた16歳なの?」

女「うん……そんなに大人っぽい?」テレテレ

村娘「……いや、逆」

女「えぇー。背も高い方なのになぁ?……村娘ちゃんは何歳?」

村娘「……18」

女「おー、歳上でしたか。こんなに小さいのに」

村娘「そりゃ……あんたから見たら小さいだろうけど……」

村娘「……てか、こんな暢気な話してる場合じゃない!!」

女「わっ、びっくりした」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:12:42.17 ID:DGhD1DZeO
村娘「私はね、あんたのせいで村に帰れなくなっちゃったの!」

女「ごめん、それは本当にごめん……でも」

村娘「でも、何?」

女「私が誰か食べたがってるわけじゃないってこと伝えたらきっと分かってくれるよ!」

村娘「……楽観的ねぇ」

村娘「私たち人間にとってはあんたの存在自体が脅威なの。……のこのこ村に帰ったって、またここに来ることになるに決まってる」

女「……それって、私が元の世界に帰れば解決するんだよね」

村娘「そうだけど……」

女「じゃあ早く帰る手がかり探さなきゃ!よーし、頑張るぞー!」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:18:55.31 ID:DGhD1DZeO
村娘「頑張るって……どう頑張るの?」

女「うーん……」

女(昨日は帰る途中、駅のホームで居眠りしちゃったんだよね。そして目が覚めたら……。駅の、ホーム……)

女「そうだ!駅だっ!」

村娘「び、びっくりした。急に大声出さないでよ。ただでさえあんたの声はでかいんだから」

女「ねぇ、この近くに駅ってある?」

村娘「エキ?」

女「……ないのかぁ。残念」

村娘「そのエキってのがあれば元に戻れるの?」

女「いや……根拠はないけどさ」

村娘「……ふぅん」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:25:46.01 ID:DGhD1DZeO
ワー!ワー!

女「何か向こうが騒がしいね」

女「……あれ?あそこに居るのって男くんじゃない?」

村娘「……!」

村娘「手ぇ出して!」

女「え?えっと、こう?」

村娘「男くんが見える高さまで持ち上げて!」シュタッ

女「う……うん」ソーッ

村娘「どこ!?」

女「あっちだよ」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:30:24.85 ID:DGhD1DZeO
村娘「……っ!」

村娘(男くんが村人に襲われてる……!)

村娘(でも、どうして……?)

女「男くんのとこ、行くの?」

村娘「出来るだけ速く!」

女「え。私も行くの?」

村娘「あんたが走った方が速いでしょ!」ギュウッ

女「つねらないでよ、地味に痛いってー……!」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:37:00.19 ID:DGhD1DZeO
男「くそ……!どうして邪魔をするんだ!」ハァ…ハァ…

村人1「悪く思うな。これも村の平穏のためなんだ!」

村人2「今ここで帰ると言ってくれたら俺らもこれ以上手荒な真似はしない」

村人1「そうだ。俺たちは同じ村の仲間じゃないか……なぁ?」

男「村娘を……村の仲間を見捨てるのが仲間なのか!?」

村人1「……仕方ない。本当はこんなことしたくはなかったんだがなぁ……」スッ

男「……ちくしょう」


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:44:04.64 ID:DGhD1DZeO

ドシーン…

ズシーン…ズシーン…

村人1「な……なんだ?」

村人2「ぎゃあああ!」

村人1「うわ……うわああ!」

村娘「男くんっ!」

男「村……娘……!」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 20:45:34.21 ID:DGhD1DZeO

ドシーン…

ズシーン…ズシーン…

村人1「な……なんだ?」

村人2「ぎゃあああ!」

村人1「うわ……うわああ!」

村娘「男くんっ!」

男「村娘……!」


女「ひふぅ……久々に走ったから疲れたよぉ……」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 21:24:24.27 ID:DGhD1DZeO
女(あ、足が木に引っ掛かって……!)

女「わ、わ……っ!」ヨロ…ッ

村娘「き……きゃあああっ!」

ドスーン!

女「いてて……村娘ちゃん、無事?」

村娘「……」ガタブル…

女(また怖がらせちゃった……あ!)ガバッ

女「だ、誰も潰してないよね?」キョロキョロ

女「……ふぅ、良かったぁ」

村人1「あ……あ……」ガタガタ

村人2「ひいい……!」ブルブル

男「む……村娘!」タタ…ッ!

村娘「男くんっ!」

91 名前:>>89漠然としたイメージだけが…[] 投稿日:2010/06/21(月) 21:30:10.52 ID:DGhD1DZeO
女「……」男の前にそっと村娘の乗った手のひらを差し出す

村娘「男くん、傷だらけだよ!?」

男「とにかく逃げるんだ!来い!」グイッ!

村娘「あの人たちにやられたんでしょ!どうしてこんな……」

女「……あいつら、悪い奴なの?」チラッ

村人1「に、逃げろー!」

村人2「うわあああ!」

女「ありゃ?行っちゃった」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 21:37:56.35 ID:DGhD1DZeO
男「俺たちも逃げるぞ!」グイグイッ!

村娘「逃げるってどこに!?」

男「そんなのどうでも良い!早くしないと殺されるぞ!」

女「あの……私は……」

村娘「大丈夫。こいつ、何にもしないか……ら?」

女「……」スタスタ

村娘「ちょっと、あんた!どこ行くのよ!」

女「……」…チラ

女「……。……っ」


ドシーン…ドシーン……

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 21:45:06.20 ID:DGhD1DZeO
女(これ以上あの子たちに関わったら迷惑だよね……)スタスタ

女(もうすでに酷いこといっぱいしちゃったよ……)…スタスタ

女(……だから、もうこれで良いんだ)

女(独りでも、大丈夫だよ……きっと)

女(大体、人に頼ろうとすること自体間違いだったんだ)

女(……しかも、あんな小さな人たちに)

女(見知らぬ巨人なんかに頼られたら……誰だって嫌がるよ……)

女(だから、もう……)

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 21:56:50.31 ID:DGhD1DZeO
村娘「女……どこ行ったんだろ……?」

男「女……?」

村娘「あの巨人の名前」

男「何であんな化け物わざわざ探そうとするんだよ」

村娘「話してみて分かった。あいつはただのアホバカよ」

男「それもあの怪物の策略かも知れないだろ。油断させて何かする気なんだ、きっと」

女「油断なんかさせなくたって私のことも、あんたのことだって簡単にひねり殺せるでしょ。あのでかい図体なら」

女「それに……」

男「それに、何だよ?」

女「それにあいつ、年下なんだよ。二つも歳が下なの」

女「しかも抜けてて、バカで……そんな奴が知らない世界で一人きりなんて、そんなの……」

男「村娘……」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:03:22.82 ID:DGhD1DZeO
男「それ、あの怪物に脅されて言わされてるのか?」

村娘「違うってば。本当なんだよ」

男「もしそれが本当のことだとしても……これ以上お前を危険にさらすわけにはいかない」

男「とにかく逃げよう」

女「逃げるって、どこに逃げるの?村にはもう帰れないんでしょ?」

男「それは……後で決めれば良い。とにかくここから……!」

村娘「女を元の世界に帰せば良いじゃない。そしたら村にだって戻れるかも知れない!」

村娘「あいつはただ帰りたいだけ。誰も傷つけたりしないよ、絶対に」

男「……」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:10:10.10 ID:DGhD1DZeO
女(でも、どうしよう……)

女(どこにも行くあてはないし、手がかりを探すったってどうすれば……)

女(……それに、お腹も減ったし、お風呂も入りたいよぉ)グス…ッ

女(このまま帰れなかったらどうしよう)

女(ずっとこの小さな世界で一人きりなんて……そんなの嫌だよぉ)メソメソ…

女「……ひぐ、うぇぇぇん」ポロポロ…

女「帰りたい……帰りたいよぅ……!」



村娘「あんた、泣き声もうるさいんだね」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:16:37.72 ID:DGhD1DZeO
女「……村娘?」

村娘「隣、座って良い?」

女「う、うん……」

村娘「間違って潰したりしたら殺すから」

女「……なんで、いるの?」

村娘「いちゃ悪い?」

女「わ、悪いよ!」

村娘「馬鹿でかい泣き声が聞こえて来たからね」

村娘「男振り切ってここまで走って来たの」

女「わ、私のことなんて……放っておいてよ」

村娘「放っておけないからここまで来てやったのに」

女「そんなの……!」

村娘「あんたが頼りない馬鹿だから仕方なく来たの。今度は正真正銘自分の意思でね」

女「……ごめん」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:26:09.55 ID:DGhD1DZeO
男「村娘!村娘ぇ!」ダダダ…!

女「……あ」ピクッ

男「か、怪物め……村娘から離れろ……!」

女「ご……ごめんなさい」スゴスゴ…

村娘「男!さっきも言ったでしょ、こいつは何にもしないって!」

男「相手は昨日お前を食おうとした奴だぞ!お前は騙されてるんだよ!」

女「は……はははー。よ、良く分かったなー」

村娘「お、女?」

女「わ、私は腹が減って腹が減って仕方なかったんだー。だから……だから、こいつを騙して食べようと……したのだー……」グス…ッ

女「……怖いでしょ?すごく、怖いよね?だ、だから……逃げるなら……今の……う、ち……だから」…グスグス

女「う、うぅ……」グシグシ

女「……は、早くしないと、食べちゃうんだから。だから……だからぁ……うわぁぁん!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:45:33.31 ID:DGhD1DZeO
女「ひぐ……頭から……ばりばり、食べ、て……えぐ……それで、それで……」

村娘「そんな泣きべそ顔で言われても全然怖くなんてないよ」

男「おい、村娘っ!挑発なんてしたら……!」

村娘「あんたは黙ってて!」

女「ち、違うもん……泣いてなんか、ぐすっ、ないもんっ!村娘ちゃんのことだって、ぱくぱく食べちゃう、よ……だから……」

村娘「だったら食べてみたら?案外美味しいのかもよ?」

男「村娘、やめろ!」

女「……っ」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 22:51:33.61 ID:DGhD1DZeO
男「む、村娘に手を出したら絶対許さないっ」

村娘「あんたが許さなくたって、こいつが本気出したらあんたなんてペシャンコだよ?」

村娘「……殺す気も、食べる気も、これっぽっちもないをだよね。ねぇ、女?」

女「……」

村娘「……女?」

女「……」ムンズ

村娘「きゃっ!」

村娘「ど、どうしたの、女?」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:01:03.37 ID:DGhD1DZeO
女「ほ、本気だもん。村娘ちゃんを……その……むしゃむしゃーって、しちゃうよ?」

男「む、むしゃむしゃ……」ゾク…ッ

村娘「むしゃむしゃって、その言い方すごく間抜けだよ。泣き顔も相まってさ」

女「た、食べるよ?本当の本当に食べちゃうよ?嫌でしょ、嫌だよね?」

村娘「……やれるもんならやってみなよ。ほら、口開けて?」

女「あ…あーん……」

村娘「後は私を放り込むだけ。……ほら、やってみなよ?」

男「や……やめろおおお!」

女「う……うぅ……」

女「そ、そんなの……そんなのできないよぉ!」ギュウッ

村娘「ちょ……ぐるじい……!」

女「うぇ……うええええん……」ポロポロ…

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:07:40.80 ID:DGhD1DZeO
女「ごめんね、ごめんなさい……ふえええん……」

男「……」ポカーン

村娘「本当に潰れる……内臓出るったら……!」

女「あ……えと、ごめん」ソ…ッ

村娘「あー、死ぬかと思った」

男「村娘っ!」ギュウッ!

村娘「うげぇ、こっちもかよ……」

男「なんであんな危ないことを……!心臓止まるかと思った!てか、寿命縮まったぞ!確実に!」

女「……あ、あの」

男「……」ピクッ

女「えーと、その……逃げないの?」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:15:52.84 ID:DGhD1DZeO
村娘「何で逃げなきゃいけないの?」

女「だ、だって……さっきも怖かったでしょ?」

村娘「いーや、全然。ねぇ、男」

男「……まだ完全に信用はしてないからな」ギロ…

女「ひぅ……」

村娘「こらっ」ペシッ

男「いてっ」

村娘「女が怖がってるでしょ?」

男「怖がるって……こいつが?」

女「あの、その、私こそびっくりさせて……すみません」シュン…

男「……」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:25:27.74 ID:DGhD1DZeO
男「……で、これからどーするんだ?」

女「えーと……どうしよう?」

村娘「とにかく女を元の世界に帰せば丸く収まる……よね?」

男「その方法は何なんだっての。……俺だってこんな奴、とっととどこかに行って欲しいよ」チラッ

女「……」

村娘「そんな言い方はないでしょ?」

男「だって……実際そうだろう?」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:43:07.09 ID:DGhD1DZeO
村娘「そうだ。良いこと思いついた」

男「何だよ」

村娘「私、死んじゃったことにして?」

男「な……!」

村娘「死んじゃった『こと』だよ。嘘も方便、でしょ?」

女「そ、そんなことしてどうするの……?」

村娘「で、男くんは死ぬほど落ち込んだフリして村に帰る。私は一応生け贄だけど、男くんは違うでしょ?」

男「だけど俺は長老に逆らったんだぞ?」

村娘「いくら逆らったって『恋人目の前で食い殺された』って言ったらさすがに憐れに思ってくれるでしょ。男くんの努力も虚しく私は生け贄全うしたことになるんだから」

男「そ、そんなの……」

村娘「あれ?私は恋人だとばかり思ってたのに、違ったのかなー?」

男「ち、違うわけでは……てか、そういう問題じゃ……」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/21(月) 23:49:38.11 ID:DGhD1DZeO
村娘「これで男くんは自由に動けるでしょ?」

村娘「手がかりが書いてありそうな書物とか探して持って来てよ」

女「そんな書物……あるの?」

村娘「それは分かんないけど、あるはず。多分」

村娘「小さい頃、昔々に巨人がやって来たーみたいな話を読んだ覚えがあるし」

男「そんなのただのおとぎ話だろ?」

村娘「おとぎ話もなにも、実際いるんだもん……ねぇ?」

女「ごめん」

村娘「何で謝るの」

女「だ、だって……」

村娘「とにかく男くんは書物をあさることに専念して。読むのは私の係」

女「わ、私も読むよ!」

村娘「……あんたにとってはゴマ粒みたいな文字よ?読めるはずないでしょ?」

女「あ……そういえばそうか……」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:06:08.42 ID:LBAxsuGeO [1/111]
―村―

長老「お、男……帰ってきたのか……」

男「……」

長老「村娘はどうなった?」

男「……殺された」ボソリ

男「俺の目の前で……あいつに……食い殺されたんだ……!」

男「俺は何もできなかった……ただ見てるだけしか……!」

男「あいつは村娘を頭から噛みきって、舌の上で転がしてるのを俺に見せつけて……」

男「にやにやしながら体をぐちゃぐちゃ噛み潰しながら……脚の肉を舐めしゃぶって、残った骨で歯の掃除をしながら……ぉぇ、うえぇ……」ガクガク…

長老「うぅ……!もう良い!分かった、分かったから止めろ!」

男(村娘の考えたセリフえぐすぎだろ……)

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:17:31.75 ID:LBAxsuGeO [2/111]
女「村娘ちゃんって結構恐ろしい話作るよね……」

村娘「作り話で涙目になるあんたの心が繊細すぎるの」

村娘「こういうのって、やっぱりインパクトがあった方が良いでしょ?」

女「だけど……」

村娘「他にも『脳味噌を口からでろでろーって吐き出した』とか『血生臭い息を吐きながら追いかけ回して来た』とか『飴玉みたいに頭をしゃぶり続けながら恍惚な顔をしてた』とか……」

女「や、止めてよ!怖い!」

村娘「あんまり長文すぎると逆に胡散臭いもんねぇ」ケラケラ

女「……そういう問題じゃなくってね」

村娘「馬鹿でかい癖に肝っ玉小さすぎ」

女「……ご、ごめん」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:24:22.31 ID:LBAxsuGeO [3/111]
女「元凶の私が何にもしてないなんて……やっぱり悪いよ」

村娘「悪くたって、あんたは何にもできないでしょ?」

女「……うん。ごめん」

村娘「それより、昨日は何か食べたの?」

女「木の実を、ちょっと……」

村娘「あんた案外少食なんだ」

女「ううん……他に食べるもの見つからなかったから。お腹空いて倒れそうだよ」

村娘「私のこと食べれば?」ニヤッ

女「……!」ブンブン!

村娘「冗談だよ。そんな必死に首振らなくても……」

女「そんな話、冗談でも止めてよ!」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:34:59.06 ID:LBAxsuGeO [4/111]
村娘「食べるものなんてその辺にいっぱいいるでしょ、鹿とか」

女「し、鹿さんを……?」

村娘「村ではしょっちゅう食べるけど」

女「私、魚さばくのも苦手なのに……」

村娘「よく生きてられるねぇ」

女「料理はお母さんに任せっきりだから……」

村娘「……」

村娘「お母さん、かぁ……」

女「どうしたの?」

村娘「何でもないっ」ペシッ

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:39:25.45 ID:LBAxsuGeO [5/111]
村娘「あっちをずーっと行ったら広い川があるからそこで魚でも採ったら?」

女「お魚……」

村娘「面倒だけど、血抜きもさばくのも私がしてあげるからさ」

女「村娘ちゃんは一緒に来ないの?」

村娘「私とあんたが一緒に居るのを誰かに見られたらヤバいでしょう?」

女「あ……そっか」

村娘「早く行きな。待っててあげるから」

女「ありがとう……」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:45:49.54 ID:LBAxsuGeO [6/111]
女(本当に川がある)

女「誰もいない……よしっ」

女(綺麗な水だなぁ)

女(お魚捕まえる前に髪だけ洗おうかな……)

女「わぁ、冷たくて気持ちいい……」パシャパシャ

女(屈んで髪を浸して……)ピチャッ

女(変な格好だよねぇ。誰かに見られたら恥ずかしいかも……)パシャ…パシャ…

女(恥ずかしい以前に怖がられるか……はぁ)

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:51:15.88 ID:LBAxsuGeO [7/111]
女(お魚捕まえるの難しかったぁ……摘まんでもするする抜けちゃうし)

女(最初から手のひらで掬えば良かったや……随分時間かかっちゃった)

女(早く戻らなきゃ。うう……手のひらでピチピチ動いてるよぅ……)

女「村娘ちゃーん!ただいまー!」テクテク…

女「あれ?村娘ちゃん?」

女「……いない」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 00:59:11.29 ID:LBAxsuGeO [8/111]
村娘「ふぅ……これだけ採ればあいつの腹もちょっとは膨れるかな」スタスタ

村娘「おーい、女ぁ……女?」

女「村娘、ちゃん……」グスッ

村娘「何でまた泣いてるの?」

女「だって、だって……本当に逃げちゃったかと思って。……さっき、あんなこと言ったから」グスグス…

村娘「木の実採ってきただけなのに……ほら、泣かないの」

女「う、うん……ごめん」

村娘「頭出して?」

女「こ、こう?」オズオズ…

村娘「濡れてるじゃん。何したの?」

女「髪だけでも洗おうと思って……」

村娘「まぁ、いいや」ナデナデ

村娘「泣かないの。今更逃げたりしないから」ワシャワシャ

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 01:09:46.84 ID:LBAxsuGeO [9/111]
村娘「へぇ、こんなに採ってきたんだ」

女「……ごめん」

村娘「まぁ、血抜きだけして炙って食べようか」シャキン

女「あれ、刃物持ってたんだ……」

村娘「小刀だけどね。……最初生け贄として来た時は本当に食われるつもりだったもん」

村娘「どうせ死ぬんなら口に放り込まれた瞬間に歯と歯茎の間にこれ突き刺してグリグリして……最期に痛い目見せてやろーってさ」

女「想像するだけで痛いや……」

村娘「実際こんなことに使うことになるとは思わなかったよ」ザクザク

村娘「まさかその巨人の飯の世話に使うなんてね」ケラケラ

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 01:20:17.02 ID:LBAxsuGeO [10/111]
村娘「あとは枝を刺して……火ぃ起こすもの、あったかなぁ?」ゴソゴソ

女「あ、私持ってるよ!」ポケットガサゴソ

女「配ってたティッシュについてたんだぁ」

村娘「まさかそれで村に火でもつける気だった?」

女「まさか!村娘ちゃんじゃあるまいし!」

村娘「私そこまでワルじゃないよ」

女「ご、ごめんなさい!」

村娘「さーて、さっさと焼いちゃお?私もお腹減っちゃった」

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 01:26:49.86 ID:LBAxsuGeO [11/111]
村娘「はい、どうぞ」

女「ありがと。うん、美味しい!」ムシャムシャ

村娘「……」

女「……どうしたの?」

村娘「あんた、それ、枝ついたまんま」

女「え?嘘!?」

村娘「……枝も食えるならしばらく飢え死にはしなさそうね」

女「だ、だって小さくて分かんなかったもん……」シュン…

村娘「それにしてもやっぱり一口で食べちゃうのかぁ」

女「ごめん、せっかく料理してくれたのに……もっと味わって食べるよ」

村娘「まぁ、良いけどさ」

村娘(やっぱりこんなに大きな奴がものを食べてる姿は……ちょっと怖いなぁ)

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 01:28:53.74 ID:LBAxsuGeO [12/111]
ちょっと眠らせていただきます……サーセン


朝にスレが残ってるといいなぁ……

154 名前:おはよう[] 投稿日:2010/06/22(火) 07:08:02.58 ID:LBAxsuGeO [13/111]
女「ごちそうさまです」ペコリ

村娘「腹、膨れた?」

女「う、うん。もうお腹いっぱい」

女(本当は足りないけど……でも、そんなこと言えないよね)

女(これは丁度良いダイエットになるかもね。……プラス思考プラス思考)

村娘「それにしても、男くん遅いなぁ。ちゃんと騙せたら良いんだけど……」

女「うん……」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 07:16:49.33 ID:LBAxsuGeO [14/111]
男(何とか騙せたみたいだな)

男(村を歩くだけで同情の視線が突き刺さる……かなり居心地悪ぃ)

男(とりあえず手がかり探しにとりかからないとな……早く戻らないと)

男(昔々に巨人が来た伝承か……そのことを書いてそうな古い書物をあさるにしても、そんなのがありそうな場所って)

男(……長老の家、だよな)

男(どうすりゃ怪しまれずに長老の家に上がり込んで、本を借りられるって言うんだ)

男(悩んでても仕方ない……とにかく、やるしかない)

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 07:35:08.20 ID:LBAxsuGeO [15/111]
―長老宅―

長老「男か……その、災難だったな。あまり気を落とすな」

男「……はい」

男「あの、一つお願いしてもよろしいですか」

長老「お願い、だと?」

男「はい……書庫を、見せてもらいたいのですが」

長老「それはまぁ、良いが……しかし急にどうしたんだ」

男「え、えーと……本でも読んだら気がまぎれるだろうって」

男「……このまま失意に飲まれたら、本当に駄目になってしまいそうなんです」

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 07:44:25.83 ID:LBAxsuGeO [16/111]
村娘「あ、男くん!遅かったじゃない!」

男「ごめんな、こんなに待たせて。怖くなかったか」

村娘「ははっ、すごーく怖かったよ」

女「……っ」

村娘「冗談だって。……おー、こんなに本持ってきてくれたんだ」

男「何とかごまかして持って来れた」

村娘「この中に手がかりがあると良いんだけどなー」ペラッ

男「あと、しばらく野宿だろ?だから毛布とかも持ってきたよ。他にも必要なものがあったらすぐ持ってくる」

村娘「まぁ、今のところ大丈夫かな。……下手に動いて怪しまれないようにしてよ?」

男「それは多分、大丈夫。……みんな俺のこと同情の目で見てるみたいだ。村人1、村人2もな」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 07:55:26.74 ID:LBAxsuGeO [17/111]
村娘「せっかくの会瀬だけど、男くんがあんまり長いこと家を空けてたら怪しまれるかも知れない」

村娘「読むのは私に任せて、さっさと帰りな」

男「だ、だけど……」

村娘「嘘がばれたら男くんだってただでは済まないんだから……ほら、帰りな」

男「お前、本当に平気か?」

村娘「私の心配するより、嘘をつき通せるかの心配しなよ」

男「おい、女」

女「な、なぁに?」

男「……村娘に変な真似するなよ」

女「へ、変な真似なんてしないよ!絶対に!」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 08:07:21.21 ID:LBAxsuGeO [18/111]
村娘「よーし、読むぞー!」

女「が、頑張って!」

女(応援することしかできないなんて……情けないよなぁ)

村娘「手がかりが見つかれば良いんだけどねぇ……」パラリ

女(もしも、手がかりが一つも見つからなかったら)

女(私、ずっとこの世界から出られないのか……帰りたいよ)

女(それに、私が帰れなかったら村娘ちゃんも村には帰れないし、男くんもあんな嫌な嘘をつき続けなきゃなんないんだよね)

女(……そんなの、すっごくすっごく嫌だ)

女(どうか手がかりが見つかりますように)ギュ…

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 08:19:54.97 ID:LBAxsuGeO [19/111]
村娘「……」ペラリ

女「……」

村娘「……」パラリ

女「……ねぇ、村娘ちゃん。何か分かった?」

村娘「……」ペラ…ッ

女「ね、ねぇ」ツンツン

村娘「もう、気が散るでしょ!?」

女「ご、ごめんなさい」

村娘「大体、まだ読み始めなのに何か分かるわけないでしょ?」

村娘「全く、でかい癖にせっかちだなぁ」ペラリ

女「お、大きさと性格は関係ないよー……」

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 08:28:15.97 ID:LBAxsuGeO [20/111]
村娘「はー……細かい文字とにらめっこしてたら目が疲れるなぁ」

女「お疲れさま。……えと、肩でもお揉みしましょうか?」

村娘「あんたに揉まれたら脱臼するかも知れないから止めとく」

女「……ごめんなさい」シュン…

村娘「まだ半分しか読んでないけど、巨人の話があったよ」

女「ほんと!?どんな話?その人、帰れたの?」

村娘「……」

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 08:36:21.71 ID:LBAxsuGeO [21/111]
村娘「……」

女「ど、どうしたの?そんな顔して……」

村娘「……退治、されたって」

女「た、退治?どうして?」

村娘「人をさらったり、村や町をめちゃくちゃにしたから……だって」

女「それはその人が悪いよ!そんな酷いこと……あ」

女「……そっか、私も人のこと言えないよね」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 08:47:31.73 ID:LBAxsuGeO [22/111]
女「家も壊しちゃったし……」

村娘「めちゃくちゃになった畑もあった」

女「……それに、現在進行形で村娘ちゃんさらったまんまだし」

村娘「しかも惨たらしく食い散らかされたことになってるからね、私」

女「村娘ちゃん、どうしよう……退治されちゃうよー……」

村娘「そんなこと訊かれても……」

女「死にたくないよぅ……ぐす……せめて畳の上で死にたかったよー……」メソメソ

村娘「あー、もう……泣くなって」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:00:16.79 ID:LBAxsuGeO [23/111]
女「でも、だって退治されたら死んじゃうんだよね?」メソメソ

村娘「それは分からないよ。この本、その退治の方法が書いてないの」

女「え?」

村娘「矢も弾き飛ばされて、剣で切り裂く間もなく人々は踏み殺されたって書いてあるの」

女「ひ、酷い……」

村娘「酷いけど、実際あんたも殺されそうになって暴れたらこれくらいできるでしょ?」

女「そ、それは……分かんないよ」

村娘「とにかく、そんな巨人を最終的にどう退治したか……一番重要なことは書いてないの」

村娘「もしかしたら、この『退治』って異界に……あんたら巨人の世界に帰したことなのかも知れない」

女「ほ、ほんとに?」

村娘「……ただの推測だけどね」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:08:30.67 ID:LBAxsuGeO [24/111]
村娘「とにかく読み進めてみなくちゃね」

女「ねぇ、私が手伝うことって何かあるかな?」

村娘「あんたはそこに座ってて。それだけで良いから」

女「……ごめん」

村娘「謝らなくても良いよ」

村娘(一番不安なのは、きっとあんたなんだから……)

村娘(全く、世話が焼けるなぁ……図体はこんなにでかいのに、手間のかかる妹みたい)

村娘(……妹、かぁ)

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:15:36.12 ID:LBAxsuGeO [25/111]
男「……」

男(村娘は本当に大丈夫なんだろうか……)

男(心配だな)ソワソワ…

男(あの女とやらが妙な気を起こしたら村娘は……)

男(……嫌な想像しか浮かばねぇ)ハァ…

村人1「……男」

男「あ……」

村人1「その……気の毒だったな」

男「……」

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:29:03.77 ID:LBAxsuGeO [26/111]
男「……何が気の毒だよ」

村人1「男……」

男「お前らは村娘を救おうとなんて少しもしなかった」

男「しかも俺が村娘を助けるのも邪魔して……」

村人1「男、それは違う……俺たちはただ……!」

男「もう良い。……村娘が死んだのは、お前らのせいだ」

村人1「お、男……」

男(少し強く言い過ぎたか……?)

男(……まぁ実際村娘が殺されてたら、こいつのことボコボコにしてたかも知れんしな)

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:35:49.99 ID:LBAxsuGeO [27/111]
―夜―

村娘「はい、どうぞ。枝まで食べないでね」

女「ありがとう」ムシャムシャ

村娘「結局今日は手がかり見つからなかったけど……本はまだ沢山あるからね。きっと大丈夫だよ」

女「……だと良いんだけど」

村娘「せっかく私が頑張ってるのに弱音吐かないの」

女「あ……うん、ごめん」

村娘「男は大丈夫かなぁ。あいつ、昔から嘘つくの下手だったし」

女「……きっと男くんも、村娘ちゃんのこと心配してるだろうね」

村娘「心配なんてされなくたって、私は大丈夫なのになぁ。あいつ、結構心配症だからねぇ」モグモグ

村娘「今日は疲れたから早めに寝よう。ねぇ、女」

女「うん……そだね」

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:40:21.82 ID:LBAxsuGeO [28/111]
女「じゃあ私、あっちで寝るよ。また明日ね」

村娘「ねぇ、一緒に寝よう?」

女「え?」

村娘「くっついて寝てた方があったかいだろうしさ」

女「だ、ダメだよ!」

村娘「嫌?」

女「嫌じゃ……ないけど」

村娘「じゃあ決まり」

村娘「おやすみ、女」

女「お、おやすみ……」

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:50:06.23 ID:LBAxsuGeO [29/111]
女「……」ウツラウツラ…

女「……!」…ハッ

女「……」…ウツラウツラ

女「……」…ハッ

村娘「……どうしたの?眠れないの?」

女「う、うん」

女(もしも熟睡して寝返りなんて打ったら村娘ちゃんペシャンコになっちゃう……)

村娘(違う世界で一人きりなんて、私には想像できないくらい不安なんだろうな……私がちょっと木の実採りに行っただけであんなに泣いてさ)

村娘(……できる限り一緒にいてあげなくちゃね)

女(もしも潰したりしたらと思うと怖くて眠れないよー……)

村娘(こんなに大きいのにすぐ泣くし、頼りないし……放っておいたらすぐ野垂れ死にそう)

村娘(こいつは私が守ってあげなくちゃ)

女(村娘ちゃんが寝たら別の場所に移動……しよう)…ウトウト

女(そして……また明日の朝に……)

女(……)

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 09:55:10.58 ID:LBAxsuGeO [30/111]
村娘「やっと寝たね」

村娘(でかいけど、寝顔はあどけないなぁ)

村娘(さてと)

村娘(寝返りで殺されたらかなわないし、ちょっと離れた場所に移動しよう)テクテク…

村娘(安全で女からあんまり離れてなくて、なおかつ寝心地が良さそうな場所……あの木の下が良いかな)

村娘(さてと、私も寝よう)ゴロン

村娘「おやすみ、女」

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:03:37.67 ID:LBAxsuGeO [31/111]
―朝―

女「……ふえええん!」

村娘「……ん?」パチ…ッ

村娘「うるさいなぁ……朝っぱらからなんだよー」

女「む、村娘ちゃん……!良かった、生きてた!」

村娘「……生きてるけど?てか、どうしたの?怖い夢でも見た?」

女「……うん」

女「すごく、すごく怖い夢だったよ……」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:10:47.48 ID:LBAxsuGeO [32/111]
村娘「で、どんな夢だったの。退治される夢でも見たの?」

女「ううん。もっと怖い夢……」

女「目が覚めたら村娘ちゃんがいなくて、慌てて探してみたけど、全然いなくて……」

女「自分の服を見たら赤黒い染みがあって……よく見たら村娘ちゃんが……!」

村娘「つまり私はあんたの夢の中で圧死しちゃったわけか」

女「……それで、飛び起きたら今度は本当に村娘ちゃんがいなくなってて」

女「探したのにいなくって……怖くて、怖くて……」

女「もしかしてすり潰しちゃって跡形もなくって思ったら……」グス…

村娘「いや、私、あの木の根本にいただけなんだけど」

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:18:31.31 ID:LBAxsuGeO [33/111]
村娘「あんたごときに殺されたりしないよ。だから、ほら、泣き止みなよ」

女「死んじゃやだよ?村娘ちゃんが死んだら私、一人ぼっちになっちゃう……」

村娘「私だって死にたかないよ。だから絶対死なない」ナデナデ

村娘「さて、朝ごはんにしよう」

女「分かったよ。お魚採って来るね」

村娘「また魚かぁ……鹿、食べたいなぁ」

村娘「ねぇ、一匹だけとって来てよ」

女「え……えぇー!?」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:27:23.55 ID:LBAxsuGeO [34/111]
女「と、とって来たよ……」

鹿「……!……!」ジタバタ

村娘「ありがと。じゃあ、さっそく絞めてよ」

女「しめる?」

村娘「首をコキュッてしたら死ぬから。さばくのは私がするよ」

女「く、首を……コキュ……っ?」

村娘「そ。一思いにしないと逆に可哀想だよ?」

女「……」ソ…ッ

鹿「……!」スタタタタ!

村娘「あー!何で逃がすの!」

女「だ、だって……」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:36:53.47 ID:LBAxsuGeO [35/111]
女「だって、あんなに暴れてて……可哀想だもん」

村娘「あんたねぇ……もう、良いや。魚採って来て」

女「ご、ごめんね……」

村娘「ほら、早く行きなよ。私も食べるもの探して来るから。戻って来たらここに集合ね」

女「うん」

村娘「また泣いたりしたらそのでかい目ん玉グーで殴るから」

女「ピンポイント攻撃すぎるよ……」


196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 10:48:24.08 ID:LBAxsuGeO [36/111]
女「ごちそうさまでした」ペコン

村娘「さてと。さっそく本の続きを読もうかな」

女「手がかり……見つかるかなぁ」

村娘「見つかる見つからないじゃなくて、見つけるの」ペラ…

女(何にも手伝えないなんて……歯がゆいなぁ)

女「……あれ?」

女「あそこを歩いてるの、男くんじゃない?」

村娘「もう、あんまり来すぎると怪しまれちゃうかも知れないのになぁ」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:04:48.30 ID:LBAxsuGeO [37/111]
男「村娘、無事か!」

村娘「ぴんぴんしてるよ」

男「良かった……」ホ…ッ

村娘「とりあえずこれは読み終わったから返しといて」

男「手がかりは見つかったか?」

村娘「うーん……まだ、かな?」

男「……そうか」

男「とにかくお前が無事ならそれで良い」ギュ…ッ

村娘「ちょ、ちょっと……苦しいよー」

男「心配で心配で、昨日も全然眠れなかったんだ」

村娘「……そっか」…ギュッ

女「……」ソローリソローリ…

村娘「あれ、女?どこ行くの?」

女「えと……私、お邪魔虫かなって」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:17:26.77 ID:LBAxsuGeO [38/111]
村娘「そんなの気にしなくっても良いのに」

女「で、でも……私、散歩したい気分だからちょっと行ってくるね」アセアセ

村娘「あー……行っちゃった」

男「あんな奴、もう二度と戻って来なけりゃ良いんだ」

村娘「そんな言い方可哀想でしょ?」

男「あんな化け物に何同情してるんだよ。……やっぱり脅されてるのか?」

村娘「そんな馬鹿なことあるわけないでしょう?」

村娘「あいつだって、よく見たら可愛いとこあるし」

男「可愛い?あの怪物がか?」

村娘「馬鹿で気が弱いとことかね。……まるで、妹ができたみたいでちょっと楽しいよ」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:28:39.11 ID:LBAxsuGeO [39/111]
村娘「ちょっと体が大きいだけで、あいつは普通の年下の女の子だよ」

村娘「馬鹿で、泣き虫で本当に世話の焼ける女の子」

村娘「家族なんて知らない私にとってね、あの子は……」

男「あんまりあれに深入りするなよ。俺たちの目的はあいつをこの世界から追い出すことだ」

村娘「……分かってるよ」

村娘「私だって早く帰してあげたい。だから必死で本を読みあさってるんだから」

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:34:59.88 ID:LBAxsuGeO [40/111]
村娘「そろそろ帰った方が良いよ。あんまり長く村を出てたら勘づかれるかも」

男「だけど……」

村娘「心配しすぎ。愛が重いよ、愛が」

男「……また明日も来るよ」

村娘「分かった。待ってる」

男「明日も無事でいろよ」

村娘「心配性だなぁ」

男「じゃあ……また明日な」

村娘「うん。男くんこそ、怪しまれないように気をつけてね」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:41:48.26 ID:LBAxsuGeO [41/111]
男「……」スタスタ…

男「……あ」

女「……」

男(巨人があんなとこに座っていやがる……)

男(……迂回するか)

女「……男、くん?」

男(……気づかれた)

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 11:51:54.80 ID:LBAxsuGeO [42/111]
女「もう帰るの……?」

男「あんまり長くはいられないからな。……お前のせいで」

女「……」

男(や、やばい……怒らせたか?)

女「……ごめんなさい」シュン…

女「謝っても許してもらえないよね。何てお詫びしていいのか……」

男「……とにかく村娘が帰る方法探してくれてるんだ」

男「だから村娘に手ぇ出したら帰れなくなるぞ。……分かってるな?」ギロリ

女「わ、分かってます」ビクビク…

男「……」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:00:20.19 ID:LBAxsuGeO [43/111]
男(二人きりになっても襲ってくる気配はないな……)

男(……村娘もああ言ってたし)

男(いや、油断しちゃいけない。こいつは怪物なんだ。気まぐれに暴れ出したら手がつけられないだろう)

男「……」

女「あのぅ……」ズイッ

男「……!」ビクッ

女「えと、その……帰らないの?」

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:05:50.46 ID:LBAxsuGeO [44/111]
女「男くんは……」…ポツリ

男「……?」

女「男くんは、村娘ちゃんのことが本当に好きなんだね」

男「な……っ」カァァ…!

女「違うの?」

男「ち、違わない……けど」

女「こんなに心配してくれる人がいるって、きっと幸せなことなんだろーなぁ。……村娘ちゃんのこと、ちょっと羨ましい」

男「……化け物の癖に」ボソ…ッ

女「え?なに?」ズズイッ!

男「い、いや!何でもない!何でもない!」

女「……?」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:12:17.35 ID:LBAxsuGeO [45/111]
女「あの……私、そんなに怖い?」

男「え?」

女「男くん、体が震えてるよ……?」

男(『怖い』って答えたら逆上されるかも知れない……だけど……やっぱ、こえーよ)

男(そばにいるだけで、ものすごい重圧感があるし……)

男(……村娘は四六時中こんな感覚を覚えているのか)

男(俺は……あいつになにもしてやれない……)ギリ…

女「お、男くん?どうしたの、そんな恐い顔して」

男「うるさい、化け物!」

女「……あ」

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:26:58.19 ID:LBAxsuGeO [46/111]
女「……ご、ごめん、なさい」

男(でかい目玉が潤んでやがる……俺が泣かせた、のか?)

男「い、いや……俺も少し、言い過ぎた」

女「ううん。心配になるよね……こんな化け物の手元に恋人を置いていかなきゃいけないなんて」

女「……私なんかが想像できないくらい不安なんだよね」

男「……」

女「ごめんなさい。……でも、安心して」

女「村娘ちゃんに妙なことなんて……例えば、殺すとか食べるとかは、絶対にしない」

女「だって……」

男「……だって?」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:31:55.30 ID:LBAxsuGeO [47/111]
女「だって、何だかお姉ちゃんみたいなんだもん」

男「村娘がか?」

女「私の面倒を一生懸命見てくれるし、それに、昨日は添い寝してくれたの」

男「そ、そ、添い寝!?」

女「で、でも、私が寝付いたら他の場所に移動したって!」ワタワタ

男「だ、だけど……」

女「うん。危ないよね。私も怖くてなかなか眠れなかった」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:40:04.38 ID:LBAxsuGeO [48/111]
女「みんなにとって私が大きすぎること、たまに忘れちゃってるんじゃないかって思う時がある」

女「だけど、ちょっと嬉しいかな。ここに来てから怖がられてばっかりだし……」

男「それで潰したりしたらどうするんだっ!」

女「……!」ビクッ

女「も、もう添い寝なんてしないよぉ……」

男「村娘の方が誘って来ても絶対断るんだぞ!良いな!?」

女「……ごめんなさい。もうしません」シュン…

男「はぁ……頼むぞ」

女「うん。頼まれたっ」

男「……」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:46:31.14 ID:LBAxsuGeO [49/111]
男「……じゃあ、俺帰る」

女「そっか……また明日来る?」

男「来るつもりだけど……悪いか?」

女「悪くないよ!男くんとも仲良くなりたいし……」

男「俺とお前が?」

女「ご、ごめん……嫌だよね」

男「別にどうでも良いよ……勝手にしろ」

女「えへへ……よろしくね」

男(笑った顔は普通の女の子みたいだな……やたらでかいけど)

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 12:55:51.39 ID:LBAxsuGeO [50/111]
女「村娘ちゃん、何か分かった?」ヒョコ

村娘「んー……まだかな」

女「……そっか」シュン…

村娘「それにしても、どこほっつき歩いてたの?」

女「あのね、男くんに会ったんだ」

女「一緒に寝たこと話したら怒られちゃったよ。危ないだろー、って」

村娘「話しちゃったの?そりゃ叱られるでしょ」

女「だから、今日からは寝る場所別々にしよう。正夢になったら困るし……」

村娘「一人で眠れる?」

女「ね、眠れるよ!」アセアセ

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 13:05:22.50 ID:LBAxsuGeO [51/111]
―夕方―

女「また今日も終わるね……」

村娘「ずっと本読んでばっかりだから腰痛くなっちゃった」

女「腰、揉んであげようか?」

村娘「腰骨折らないでね?」

女「そんなことしたら男くんに起こられちゃうよー」

村娘「じゃあ、頼もうかなぁ」

女「……」オソルオソル…

村娘「あは、あははは。くすぐったいよぉ!」

女「ご、ごめん!」

村娘「痛いよりマシだよ。ありがとね」ニコッ

女「……!」

女「えへへ……どういたしまして」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 13:14:19.56 ID:LBAxsuGeO [52/111]
―夜―

女「……」スヤスヤ…

村娘「ふふ。一人でも眠れたみたいだね」トコトコ…

村娘「可愛い寝顔」ナデナデ

女「……ぅ、ん」ゴロ…

村娘「きゃあ!」ズザザッ!

女「……」ムニャムニャ


村娘「びびび、びっくりした……」ドキドキ

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 13:19:17.13 ID:LBAxsuGeO [53/111]
村娘「はぁ、死ぬかと思ったぁ……」ドキドキ

村娘「寝てる時は危険だなぁ……今さらだけど」

村娘「すっかり目が覚めちゃった」

村娘「……本の続き、読もうかな」

村娘「月も明るいし読めるよね」パラリ…

村娘「……」ペラ…

村娘「……」ペラリ

村娘「……」パラ…

村娘「……!」

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 13:31:43.83 ID:LBAxsuGeO [54/111]
―朝―

女「ふぁ……よく寝たぁー!」ノビー…

村娘「女、やっと起きたの!」

女「どうしたの?」キョトン

村娘「帰る方法、分かったかも知れない!」

女「え!ほんとに!?」

村娘「まだ確かなことかは分からないけどね、異世界への扉をこじ開けられる魔女がいるんだって!」

女「ま、魔女?何だかファンタジックだねー……」

女「でも、そんな古い本に書いてあることだよ?もうその魔女さん死んでるんじゃない?」

村娘「……だよねぇ。それに明確な根拠も、どこにいたのかも分からないし」

女「……そっか」

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:10:27.10 ID:LBAxsuGeO [57/111]
男「おーい、村娘。無事かー?」テクテク

女「男くん……おはよう」

男「……」

男「……おはよ」

女「……!」

女「……えへへ」ニコッ

男「また本を借りて来たよ。お前が死んだことになって以来妙に優しいんだ、あいつ」

村娘「疑われてないようで何よりだよ」

村娘「あのね、女が帰る手がかり見つかったよ!」

男「本当か!?」

村娘「まぁ、本当かどうかは分からないんだけどね」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:16:37.13 ID:LBAxsuGeO [58/111]
男「魔女……かぁ」

村娘「眉唾ものかも知れないけど、とりあえずこれを信じて調べて行こうと思ってるんだ」

男「……一人で調べる気か?」

村娘「一人じゃないよ。男くん書物調達してくれるし……それに、女もいるから」

女「わ、私なんにもしてないよ?大体、元凶は私だし……」ショボン…

村娘「いちいちしょぼくれないのっ」ペチッ

女「う、うん……」

男「……」

男「……」チラ…

女「……」ピクッ

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:25:11.60 ID:LBAxsuGeO [59/111]
男「昨日はちゃんと別々に寝たか?」

女「う、うん……やっぱり危ないからね。村娘ちゃん殺しちゃうのも嫌だし」

村娘(昨日潰されかけたことは黙っとこ……)

男「……」

女(ち、沈黙が怖いよぉ……)

女「ご、ごめんなさい……」

男「……どうして謝るんだ?」

女「え……だって……」

男「確かにお前の気まぐれ一つで村娘も、俺も簡単に死ぬだろうけど」

男「……村娘が死なないように気をつけてくれてるんだろ?」

女「う、うん……」

男「まぁ、まだ少し怖いけどな」

村娘「男くんったら、ビビりなんだからー」

男「し、心配性なだけだ!」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:33:47.61 ID:LBAxsuGeO [60/111]
男「とりあえず『異世界への扉を開く魔女』のことが書いてありそうな本を探してみるよ」

村娘「ありがとう、男くん」

男「俺たちのためでもあるし……女だって帰りたいんだろ」

男「初めて会った時、開口一番に帰る方法を訊いてきたくらいだしな」

女「その時は……びっくりさせてごめん」

男「あの時は踏み殺されると思ったよ。……思い出すだけでゾクゾクする」ブルッ

女「そ、そんなことしないよ……」

男「じゃあ関係ありそうな書物、見つかり次第届けに来るよ。その時は俺も読むのを手伝うから」

村娘「うん。ありがと」

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:48:50.84 ID:LBAxsuGeO [61/111]

……
………

村娘「……」ムー…

男「……」パラパラ…

女(二人ともさっきから本とにらめっこ……)

女(もう日も落ちかけてるや。……お腹空いてきちゃったなぁ)グー…

男「……!」ビクッ

女「あ、ごめんなさ……あぁ」グーキュルル…

女「もうこんな時間だからお腹減っちゃって……」

村娘「本当だ。もう日がこんなに傾いてる」

村娘「夕御飯にしようか。……女、魚用意!」

女「いえっさー」ビシッ

男「……いや、その必要はない」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 15:54:12.57 ID:LBAxsuGeO [62/111]
女「え……?」

男「どうせろくな食事してないだろうと思ってな。鹿肉持ってきたんだ」

村娘「し、鹿ぁ!」キラキラ

男「あとは畑の野菜とか、調理器具とかな」

女「どうして本と一緒に大きな荷物持ってきたんだろうって思ってたけど……」

男「大きな荷物?お前にとっては小さいじゃないか」

女「……」シュン…

男「しかし、足りると良いんだけどなぁ……」

女「あ、あの、せめて料理くらいはするよ!」

村娘「いや、無理でしょ」

男「無理だな」

女「……無理かも」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:00:37.45 ID:LBAxsuGeO [63/111]
女(二人が料理してる間に更なる食料確保を言い渡された)

女(よーし、せめてこれくらいはしなくちゃ申し訳立たないもんね!頑張らなきゃっ!)

女「えと、あの木に大振りの木の実があるって言ってたっけ」ガサガサ

女「あ」

女(鹿さんだー。やっぱりちいちゃくて可愛いなぁ)ポワーン

女「おいでー、怖くないよー」ソロー…

女「……あぁ、逃げちゃった」

女「……」ショボン…

女「……って、落ち込んでる場合じゃない!」

女「食料確保、食料確保ー」ガサガサ

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:06:37.69 ID:LBAxsuGeO [64/111]
女「……ふぅ。これだけ採れれば良いかな」

女「あんまり採りすぎたら『かんきょーはかい』になっちゃうし」

女「さて、早く戻らなきゃ!」ガサガサ


女(……あ。肉の焼ける匂いが漂ってきてる……)ジュル…

女「はっ。よだれよだれ」ゴシゴシ

女(食欲全開でよだれ出してる巨人とか怖がられちゃう)

女(食欲を抑えて……平常心、平常心)

女「ただいまっ」ヒョコッ

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:15:31.55 ID:LBAxsuGeO [65/111]
女「わぁ、すごく美味しそう……」ジュル…

女「は……っ!」ゴシゴシ

女「ご、ごめん……」

男「ほら、採ってきたものこの籠に入れてくれ」スッ

女「う、うん」オズオズ…

男「よくそんなに採って来れたな」

女「ご、ごめん」

男「何謝ってんだよ。褒めてるのに」

女「え……」

女(ここに来てから初めて褒められた……)

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:25:05.10 ID:LBAxsuGeO [66/111]
村娘「ふぅ、完成!」

男「こんなに大量に料理作ったの初めてだ。……何人前だよ、これ」

村娘「さぁね。三人分じゃないの?」クスッ

男「足りると良いけどな……」

女「私、あんまり食べないようにする」

男「遠慮するな。足りなくなったらまた採れば良いしな」

女「木の実を?」

男「鹿もな」

女「し、鹿……食べるために?」

男「そりゃそうだろ」

村娘「あー。そいつには無理だよ、無理」

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:34:02.95 ID:LBAxsuGeO [67/111]
女「いただきますっ」パクパク

女「わぁ、美味しいー!こんなに美味しいの初めてだよー!」ムシャムシャ、ムシャムシャ

男「すごい食べっぷりだな……」ゲンナリ

女「はっ」

女「ごごごごめんなさいっ!」

村娘「自分たちが作った料理をそんなに美味しそうに食べてもらうと嬉しいよ」

女「でも、二人の分がなくなっちゃう……」

村娘「変な遠慮しないのっ」ベシッ

女「あう……」

村娘「お腹減ってるんでしょ?」

女「う、うん……」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:43:51.79 ID:LBAxsuGeO [68/111]
女「ごちそうさま……」

村娘「え、もう良いの?」

女「う、うん。お腹いっぱい。美味しかったよ、すっごく」

女「もう眠いから、あっちで寝てるね。近づいちゃダメだよ?」トボトボ…

村娘「……あー、もう。どうして女のことをそんなに邪険に扱うの!」プンスカ

男「そんなつもりはないけど……」

村娘「あの子は一人でこの世界に迷い込んだんだよ。そんな冷たい態度とって良いと思ってんの?」

男「そんなに怒ることないだろ……」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:45:11.66 ID:LBAxsuGeO [69/111]
村娘「これ以上あの子をいじめたら婚約破棄だからね!」

男「いや、婚約してないし……」

村娘「じゃあここでする?」ジロリ

男「……はぁ。俺だって、あいつは無害だって分かってるよ。けど……」

村娘「もう知らないっ。ごちそうさま!」スタスタ…

男「お、おい……!」

村娘「……」ツーン



男「……」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 16:56:00.00 ID:LBAxsuGeO [70/111]
女「……」

女「……はぁ」

女(どう思われてるかは分かってるけど……やっぱり落ち込むなぁ)

女「………はぁ」ションボリ…

男「……」ソ…ッ

女「わっ、男くん。どうしたの?」

男「どうかしたってわけじゃないけど、なぁ……」

女「さっきは……ごめん」

男「いや、俺の方が酷いこと言っちゃったみたいだし……村娘にも怒られたんだ」

女「そう、なんだ……」

男「……」

女「……」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 17:06:46.42 ID:LBAxsuGeO [71/111]
男「……最初に会った日のこと、あれから毎晩夢に出るんだ」

男「帰り方を尋ねられた時のことも、お前に追い回されたことも……気絶した村娘片手に恐い顔してたお前も」

女「……っ」

男「怖かった。すげー怖かったよ。お前が村娘を丸呑みしようとした時が一番……」

女「ご、ごめんなさい。私、どうしたら帰れる方法が見つかるのか考えるのに必死で、その……許して下さい」

男「いや、分かってるんだ。お前が誰も傷つけようとしないことも、鹿も絞められないし魚もさばけないってことも」

男「あー、何て言えば良いんだろ。俺、頭かたいからさ。最初のイメージがどうしても離れなくて……それで……」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 17:16:21.62 ID:LBAxsuGeO [72/111]
男「……とにかく、早く帰れれば良いな」…ヘラッ

女(あ……)

女(男くん、初めて笑ってくれた……!)

女「うん、うん。ありがとう」ニコッ

男「……お前、笑うと可愛いな」

女「え?へ!?」カァ…!

女「そ、そんなこと、それに、お、男くんには村娘ちゃんがいるし……!」ワタワタッ

男「いや、そういうつもりで言ったんじゃないけど……まぁ、とりあえず本読みあさってくる」

男「異世界の扉を開く魔女、いるといいな」

女「……うんっ」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 17:31:00.45 ID:LBAxsuGeO [73/111]
男「……」ペラ…

男「……」パラリ…

男(手がかりらしき物も書いてあるけど、断片的すぎるな……)

男(魔女、異界へ通じる扉を開ける能力)

男(南の魔女、人里離れた湖畔に住まう魔女……)

男(せめて地名くらいどこかに書いてないのか?)パラパラ…

男「ふぅ、疲れた」

男(とりあえず、南にある人里離れた湖畔を目指せば良いのか……)

男(……大雑把すぎる。そんな場所幾つもあるっての)

男「……とりあえず、続きを読むか」

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 17:41:54.81 ID:LBAxsuGeO [74/111]
―朝―

村娘「男くん、おはよう」

男「あ、あぁ、おはよう」フラフラ

村娘「ちょっと……目の下くまできてるよ?もしかして寝てないの?」

男「ずっと本読んでてさ……持ってきた奴は読破したよ」

村娘「えぇ!無理しすぎだよ!」

男「魔女のいる場所、大体分かったよ」

村娘「あとで聞くから、寝てきなよ!」

男「あ、あぁ……そうする」フラーリ、フラーリ…

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:24:54.30 ID:LBAxsuGeO [76/111]
女「……あれ?」…パチ

女(いつの間に寝てたんだろ……あ!)ガバッ

女(良かった。誰も潰してない……)ホッ

村娘「あ。起きたの」テクテク

女「うん。ついさっき」

女「……男くんは?」

村娘「徹夜したみたいでね。フラフラしてたから寝かせた」

女「徹夜?どうして?」キョトン

村娘「ずーっと本読み続けてたってさ。……あんたのためにね」

女「へ……男くんが、私のために?」キョトン…

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:29:07.51 ID:LBAxsuGeO [77/111]
女「……男くーん、もう昼過ぎだよー」ユサユサ

男「……んー」

村娘「相当疲れたみたいだね」

男「……ん?」パチ…

女「あ、起きた!」

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:30:11.10 ID:LBAxsuGeO [78/111]
女「おはよ」

男「……おはよ」

女「その……ありがとう。ずっと本読んでくれてたんでしょ」

男「……ああ、まぁな」

村娘「で、起きてすぐ質問して悪いけどさ。……何が分かったの?」

男「……魔女のいる場所」

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:31:08.77 ID:LBAxsuGeO [79/111]
男「南の街、オイザムの外れにある湖畔だ」

村娘「それ、遠いの?」

男「馬の脚で休みなく走れば3日間。……こいつの脚だと、どうなんだろうな」

女「が、がんばって歩くよ!」

村娘「……想像より近いね」

男「そいつが生きていればの話だけどな」

男「何しろ、滅多に姿は現さない。誰が来ても家に入れようとしない。……最後に姿を現したのは百年以上前だ」

女(うわー……引きこもりだぁ……)

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:33:32.87 ID:LBAxsuGeO [80/111]
村娘「とりあえず、この情報を信じて行くしかないね」

男「旅の用意ができ次第行こう」

村娘「あんたも行くの?」

男「心配……だからな」…ボソッ

村娘「でも、そんなに長く村から出てたら……」

女「あ、あの!」

村娘「どうしたの?」

女「ここら辺の名産ってなに?」

男「……はぁ?」

女「お願いしに行くんだから手土産とか持ってった方が良いかなー……って」

村娘「いや……手土産一つでどうにかなる相手じゃないと思うけど」

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:40:17.70 ID:LBAxsuGeO [81/111]
男「じゃあ、村に戻って旅支度してくる」

村娘「うん。私の分もよろしくね」

男「ああ。早めに戻るよ」スタスタ…

村娘「良かったね、女。これで帰れるかもよ!」

女「だと良いけど……それに」

村娘「それに?」

女「……もしかしたらこれでお別れだと思ったら、少し寂しいや」

村娘「何言ってんの。あんなに帰りたがってたでしょう?」

女「……うん」

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:44:27.19 ID:LBAxsuGeO [82/111]

……
………

男「一応必要になりそうな物は全部持ってきたよ」

村娘「こんなに沢山の荷物持って歩き続けれるの?」

女「私が持つよ」ヒョイッ

男「すげー軽々と……」

女「えへへ。胸のポケットに入れとくね」

男「じゃあ、さっそく出発しよう」

村娘「うん、そだね」

337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:47:45.30 ID:LBAxsuGeO [83/111]
女「……乗って?」スッ

男「手のひらに、か?」

女「ご、ごめん。嫌……かな?」

男「重くないのか?」

女「まさか。二人くらい軽々だよ!」

村娘「じゃあ、お言葉に甘えて」ピョン!

男「……じゃあ、乗るぞ?」

女「うん、乗り心地は悪いかもしれないけど……勘弁してね?」

339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:52:03.40 ID:LBAxsuGeO [84/111]
村娘「ねぇ女。私、肩に乗ってみたい!見晴らしも良さそうだしさ!」

女「そ、そんなの危ないよ!落ちたら死んじゃうよ?……ねぇ、男くん」

男「……村娘、落ちないように気をつけるんだぞ?」

村娘「分かってるよ。……女!肩まで運んで!」

女「う……うーん、分かったよ」シブシブ…

341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 19:56:36.05 ID:LBAxsuGeO [85/111]
村娘「うひゃー、風が気持ちいいーっ!」

女「あ、あんまり動かないでね。あと、ちゃんと掴まっててね」

村娘「大丈夫。いざ、女を元の世界に帰す旅へ出発!」

女「男くん、南ってどっち?」

男「とりあえずあっちを真っ直ぐだな」

女「うん、ありがと。できるだけ揺れないようにするね」テクテク

346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 20:03:09.16 ID:LBAxsuGeO [86/111]

……
………

男「随分歩いたな」

村娘「結構乗り心地も良いし、それに速いね。この分だとすぐ着くんじゃないの、女」

女「……」

村娘「……女?」

女「……向こうから歩いてきた人、みんな逃げてくね」…シュン

男「そりゃあ……なぁ?」

353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 20:13:20.62 ID:LBAxsuGeO [87/111]
村娘「まぁ、そんなに落ち込まないの。もうそろそろ帰れるかも知れないんだから、ね」ナデナデ

女「うん……」

男「今日はもう休もうか。野宿できるような場所を探そう」

女「えーと、そんなところあるのかな?」キョロキョロ…

村娘「あそこの高原は?誰もいなさそうだし」

女「そだね。そうしよう」スタスタ…

361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 20:43:02.48 ID:LBAxsuGeO [88/111]
女(ふぅ、歩き詰めで脚が痛いや……)

村娘「すごいよ、女!馬よりずっと速かった!」

女「そ、そうかな。ちょっと早歩きしただけだよ」

村娘「このまま行けば明日には着くかもよ」

女「……魔女、いるのかな」

村娘「いると良いね。……ううん、いるよ。絶対に」

女「……ありがとう」

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 20:48:15.77 ID:LBAxsuGeO [89/111]

……
………


村娘「……」スヤスヤ

女「……はぁ」

男「どうした、寝ないのか?」

女「……男くん、起きてたんだ。昨日も眠ってないんでしょ?大丈夫?」

男「そんなに眠くないんだよ」

女「……私も、眠れないんだ」

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 20:56:11.63 ID:LBAxsuGeO [90/111]
男「……役に立ってるじゃないか」

女「え?」

男「お前、自分は何にも出来ないって嘆いてたけどさ。今日一番頑張ったのはお前だよ」

女「……へへ、褒められるのって、何だかくすぐったいね」

女「元の世界でも、あんまり褒められたことなかったし……」

男「そうなのか」

女「私、頭も良くないし、運動も全然できないしさ。特技もない。……褒めるとこなんて、一つもないでしょう?」

男「……それでも帰りたいのか」

女「多分、ね」

男「多分?」

女「この世界にずっといたらいけないし、向こうではどんなに落ちこぼれだとしても……私はあの世界の人間だから」

女「だけど……」

女「だけど、村娘ちゃんや男くんとお別れするのは……やっぱり寂しい」

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:05:23.19 ID:LBAxsuGeO [91/111]
ワーワー!

男「……何か騒がしいな」

女「男くん!あれ、あれ!」

男「俺の目線からは見えねーよ。何があるんだ?」

女「剣とか持った人がいっぱいこっちに来てる!」

男「なんだって!?」

女「あの人たち、かなり殺気立ってるみたい。ど、どうしよう」オロオロ…

男「どうするも何も逃げるしかないだろ。おい、おい!村娘、起きろ!」ユサユサ

村娘「なに、どうしたの……?」

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 21:12:11.17 ID:LBAxsuGeO [92/111]
女「早く乗って!」サッ

男「ああ」

村娘「う、うん」

女「走るから揺れるかも。ごめんね」タタタ…!

村娘「ちょっと、どうしたの?」

男「後ろ見てみろ!」

村娘「なに、あれ……」

女「ねぇ、魔女の家はどこ!?」

男「地図に描いてある通りなら右だっ」

女「ありがとう!」タタタ…

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:22:39.88 ID:LBAxsuGeO [93/111]
男「この近くに大きな街がある。きっとそこの奴らだ!」

村娘「でも、どうして!?」

女「……怖いから、だよ。きっと」ハァハァ…

村娘「だけど、女は何にもしてないのに!」

女「……やっぱり、私は帰らなくちゃいけないんだ」

女「男くん!魔女の家まで走ってどれくらい!?」ゼーゼー…

男「このままのペースで行けば日の出までには!」

女「飛ばすよ!二人ともしっかり掴まって!」ダ…ッ!

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:26:02.30 ID:LBAxsuGeO [94/111]
女(ドジで馬鹿な私)

女(とりえのない私)

女(だから元の世界に戻ったって友達はちょっとしかいないし、親友と呼べる子は一人もいない)

女(それに……村娘ちゃんや男くんと別れたくなんかない)

女(だけど)

女(だけど私は帰りたいんだ)

女(私のためにも……そして、二人の住むこの世界のためにも!)

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:42:24.51 ID:LBAxsuGeO [95/111]
女「はっ……はぁっ……」

男「おい、もうあいつらは巻いたぞ」

村娘「少し休みなよ。息が上がってるじゃない」

女「い、良い。だいじょーぶだから……」ゼイゼイ…

女(運動音痴の私でも、こんなに走れたんだ……)

女(息は苦しいし、全身痛いけど……何だか、気持ちいいや)

村娘「見て、あれ!」

男「あれが『魔女の家』?……家と言うより城だな」

村娘「女、女。見てよ!もう着いたんだよ!」

村娘「すごいよ女!」

女「えへ……へへへ……」ゼー…ゼー…

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:48:48.39 ID:LBAxsuGeO [96/111]
女「ついたぁ……」ドサッ

村娘「きゃあっ!」

男「……!」ビクッ

男「お、おい、急に倒れ込むなよ!死ぬかと思っただろ!」

女「ご……ごめん」ハァ…ハァ…

女「……すごく大きなお家。私の身長くらいあるよ」

村娘「魔女、いるのかな?かなり寂れてるし……」

男「とにかく、行って確かめよう」

村娘「……うん」

キィ…



魔女「やぁ、待ってたよ」

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:55:59.51 ID:LBAxsuGeO [97/111]
魔女「どーも初めまして。魔女です」

村娘「この子が」

女「魔女?」

男「待てよ。こいつはただの子供じゃないか」

魔女「子供とは失敬な。あたしは齢……えーと、五百年くらいかな?」

男「え……」

村娘「ねぇ『待ってた』って言ってたけど……私たちがここに来ること知ってたの?」

魔女「まぁ、伊達に魔女してないからさ」

女「あ、あの!私、本当に帰りたいんです。えと、異界の扉を開いてもらえませんか?」

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:59:43.22 ID:LBAxsuGeO [98/111]
魔女「……本当に帰りたいの?」ニヤニヤ

女「ほ、本当です!」

魔女「ほんとにほんと?」

女「ほんとにほんとですっ!」

魔女「じゃあ何で……」



魔女「何でこの世界に来たの?」

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:06:02.53 ID:LBAxsuGeO [99/111]
魔女「向こうの世界にいた時にさ」

魔女「別の世界に行きたいと思ったことはない?つまらない世界から逃げ出したいと思ったことは?」

女「そ、そんなこと」

魔女「ないはずないよ。……そうでなきゃ、向こうの世界からこちらには来れないからね」ニヤニヤ

村娘「あのさ、全然話が見えて来ないんだけど」

魔女「ま、簡単に言えば向こうの世界の人間が『別の世界に行きたい』と強く願えばここに来れるってわけ」

魔女「よっぽど強い意思がなきゃ来れないんだけどね」

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:15:35.36 ID:LBAxsuGeO [100/111]
魔女「大体は普通の人間としてここに来る。そしてそのままここに永住するんだよ」

魔女「ここに来れば向こうの世界のしがらみから解き放たれるからねぇ。まるで楽園だよ、本当に」

男「ここは普通の世界だぞ。楽園でも何でもない」

魔女「いやいや、楽園だよ」

村娘「どうしてそんなにきっぱり言い切れるの?」

魔女「だって……」

魔女「あたしも元々、この世界の人間じゃないからさ」

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:24:29.34 ID:LBAxsuGeO [101/111]
村娘「待ってよ!」

魔女「はい、なんでしょう?」

村娘「向こうから来た人間は普通の人間としてー、とか言ってるけど……」

魔女「異界の扉をこじ開けるあたしも、やたらでかい女も普通じゃないって?」

女「……」

魔女「簡単なことだよ」

魔女「向こうで鬱屈した生活を送れば送るほど、こちらへ来ることができる」

魔女「そんな人たちより更に鬱屈してうじうじと生きていれば生きているほど、こちらに来た時に解き放たれる」

魔女「つまり特殊な能力や体格になれるってこと」


魔女「それでも帰りたいの?そんなに大きくて強い、無敵の体を手に入れたのにさ」ニヤニヤ

魔女「……向こうにいる時、望んでいたことを実現できたってのに勿体ないよぉ?」

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:28:30.81 ID:LBAxsuGeO [102/111]
魔女「巨人になった奴はね、大体は大暴れして無力な人間を殺して回る」

魔女「それが強く望んでいたことだからさ」

村娘「そんなのでたらめだよ!女は誰も傷つけたりしなかった!」

男「そりゃ、家とか壊したり村娘さらったりしたけど……それはただの不注意や、帰りたい一心で……!」

村娘「ねぇ、女。こんなの嘘だよね。ねぇ!」

女「……間違っては、ないよ」

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:41:32.58 ID:LBAxsuGeO [103/111]
男「お、女……?」

女「別の世界に行けたら良いなって思ったことは……あるよ。何度も、何度も」

女「それに……強くなりたいって、誰よりも強くなりたいって思ったことは数え切れないくらいある」

女「私、何にもとりえがないからさ……考えて、考えて、考えて……考えることしかできなかった」

魔女「じゃあ、どうして暴れようとしないの?どうして帰ろうとするの?」

魔女「せっかくこんなに大きくなったんだよ?強さを見せつけて回れば良いじゃん」

魔女「望むものは全て手に入る。……ここは『楽園』だよ?」…ニヤッ

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:46:33.10 ID:LBAxsuGeO [104/111]
女「……」スク…ッ

男「……!」ビクッ

村娘「女……!」

女「……」

女「……私は」

女「私はそれでも帰りたい」

魔女「ちぇー。つまんないの」

女「つまんなくても良いんです。……これは、私が決めたことですから」

魔女「……臆病虫」ボソッ

魔女「せっかくのチャンスを逃すなんて馬鹿か臆病だよ。……そーゆー奴、あたし大っ嫌い」

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:51:43.11 ID:LBAxsuGeO [105/111]
女「とにかく向こうへ帰して下さい。私が今、一番望んでいるのは帰ることです」

魔女「向こうに行っても、元の暮らしだよ。つまらない人間へ逆戻り。それでも良いの?」

女「……それでも、良い」

魔女「ほんとにぃ?」

女「本当に」

魔女「はぁ……呆れた。降参だよ、降参」

女「……!」

女「じゃあ、帰してくれるんですね!異界への扉はどこにあるんです!?」

413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:58:09.39 ID:LBAxsuGeO [106/111]
魔女「扉?もう開いちゃったよ。あなたのせいでね」

女「……え?」

魔女「ほんとはね、扉を開けることはあたしにもできない」

男「でも、書物にはお前が扉を開くって……!」

魔女「あたしはね、向こうに戻りたい奴の心に『鍵』があるのか質問吹っ掛けて確かめるだけしかできないの」

女「鍵……?」

魔女「本当に戻りたいのか、今まで抱いてきた欲望に打ち勝つほど帰りたいという気持ちが強いのか」

魔女「その強さが鍵そのもの」


魔女「……ほら、鍵は開いたよ」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:02:00.56 ID:LBAxsuGeO [107/111]
男「女の体がっ」

村娘「消えちゃう……!?」

魔女「騒がない騒がない。消えるんじゃないよ、帰るんだよ」

魔女「……ま、どのみちこの世界から消えるのに変わりはないけどさ」

女「村娘ちゃん、男くん」

村娘「なあに、女?」

男「……」

女「ありがとう。本当にありがと」

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:06:38.73 ID:LBAxsuGeO [108/111]
女「色々迷惑もかけちゃったけどさ」

女「短い間だったけどさ」

女「一緒に過ごせて良かった。すごく、すごく嬉しかった」

村娘「私もだよ。大きい妹ができたみたいで楽しかった……」

女「えへへ。ありがと」

女「……だから、だからね」

女「向こうに戻っても、頑張れる気がするよ」


女「……ばいばい」スゥ…ッ

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:12:41.80 ID:LBAxsuGeO [109/111]

……
………

ガタン…ガタン…

女「……」ピクッ

女「駅の、ホーム?」

女「……帰って来たんだ」

女「……帰って、来ちゃった」

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:19:39.32 ID:LBAxsuGeO [110/111]
女(いつもと代わり映えしない帰り道)

ガタン、ゴトン

女(いつも通りの電車の中)

ガタン、ゴトン、ガタン

女(もう体は大きくない。私は普通の、無力なただの人)

ガタン、ゴトン…

女(ふと電車の窓を見る)

女(窓の下に見える街)

女(高い位置を走る電車からは街行く人も小さく見える)

女(まるで、あの世界のように)

女「ちっちゃい世界だなぁ」

女(窓に顔を寄せ、誰にも聞こえないくらい小さな声でつぶやく)

女(――この小さな世界で、私は生きていく)


―おわり―

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 23:22:46.37 ID:LBAxsuGeO [111/111]
おしまいです
書き溜めなしの超スローペースでサーセン
イライラさせちゃったかもサーセン
サーセン、サーセン、サーセンwwwwwwwwww


とりあえず巨大娘はロマンですね、ハイ

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