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預言者「あなたの妹は世界を滅ぼします」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:40:28.59 ID:d3Ue5Py20 [1/64]
兄「そうなんですか」

預「そうなんです」

 「あなたの妹は16歳の誕生日に使命に覚醒し」

兄「明日じゃん」

預「一週間のうちに世界は滅びるでしょう」

兄「困りますね」

預「困りますね」

兄「で、何のアニメの話ですか?」

預「悲しいですが現実です」

兄「変わったタイトルですね。今度見てみます」

 「遅刻しそうなので失礼しますね」

預「ちょっと」

 「行ってしまった」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:41:21.61 ID:d3Ue5Py20
キーンコーンカーンコーン

妹「兄さん、お昼の時間です」ガラッ

兄「毎日朝練ご苦労さん。はい、弁当」

妹「いつもすみません」

兄「それは言わないお約束」

妹「明日は何の日かご存知でしょうか」

兄「お前が世界を滅ぼす日?」

妹「え?」

兄「いや預言者が」

妹「何のアニメの話ですか?」

兄「明日の晩飯は唐揚げでいいか?」

妹「大好き」

兄「照れる」

妹「唐揚げが」

兄「ですよね」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:42:31.36 ID:d3Ue5Py20
兄「何度か世界滅びろと思ったこともあるが」

妹「物騒な」

兄「なんだかんだで悪くない日常だよ」

妹「そうですね」

兄「だから滅ぼすなよ」

妹「知りませんって」

 「私だって兄さんの唐揚げが食べられないと困ります」

兄「俺は?」

妹「おっと昼休みが終わってしまう」

兄「なるほど」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:47:03.91 ID:d3Ue5Py20
翌日未明

妹「………」パチリ

 「壊さないと」

 「世界を」ムクッ


同日朝

兄「休日だし買い物にでも連れて行ってやるべきだな」

 「昼は外ですませるとして」

 「まずは朝飯だな」

 「妹ー。朝飯だぞー。ってあれ」ガチャッ

 「いない」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:52:28.21 ID:d3Ue5Py20
兄「うーん」

 「外に走りに行ったのかと思ったが帰ってこない」

 「どうしたものか」ピンポーン

 「はーい」ガチャ

預「どうも」

兄「新聞、セールス、宗教は間に合ってます」バタン

 「うーん」

 「どうしたものか」ガンガンガン!ピポピポピポピンポーン


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:54:16.36 ID:d3Ue5Py20
兄「近所迷惑かつ個人的にも大迷惑なんですけども」

預「妹さん、覚醒してしまいましたね」

兄「そうなんですか」

預「ちょっとテレビ映してもらって構いませんか」パチッ

テ「――そのヒヨドリが、もうそろそろ自宅に戻ってこいよと、招いているように――」パチッ

 「――今日のお米はアルデンテ――」パチッ

 「――今朝未明の太平洋沖地震の影響で沿岸地方全域に津波警報が――」

預「これです」

兄「地震なんてあったんですか」

預「あなたの妹が起こした災害なんですよ」

兄「そうなんですか」

預「そうなんです」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:55:29.44 ID:d3Ue5Py20
預「今日おたずねしたのは他でもない」

 「これをあなたにお渡ししにきたんです」

兄「何ですこれ、って弓と矢?」

預「はい」

 「妹さんの行方が判り次第」

 「あなたに妹さんを射てほしいのですよ」

兄「はい?」

預「破壊の衝動に目覚めた彼女を止められるのはもうあなたしかいません」

 「弓道部でなかなかの腕前だったそうですね」

兄「もう引退しましたけど」

預「頑張れ兄。負けるな兄。世界は君の手にかかっている」スタスタ ガチャ

兄「あの」

 「……おい」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:56:29.06 ID:d3Ue5Py20
兄「夜になった」

 「結局妹は帰ってこなかった」

 「唐揚げ、たくさん作ったんだが」

 「テレビでもみるか」

テ「――現地のリポーターと通信が繋がっています」

 「以下現場よりお送りします。こちらヘリコプターからの映像ですが――」

 「この災害における傷跡は深く、復興には――」

兄「まさか、な」

 「どこ行ったんだか」


10 名前:書き終わってはいるけど割りと長かった[] 投稿日:2010/06/14(月) 17:59:31.25 ID:d3Ue5Py20
一日目

兄「……ふぁ」

 「ねむ」

 「あんま眠れなかった」

 「妹は」ガチャ

 「いない」

 「うーん」

 「唐揚げは冷凍だな」

 「ねよ」バタン

 「……不良娘め」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:01:34.72 ID:d3Ue5Py20
同日災害対策本部

本部長「そうか。やはり何の兆候もなかった、と」

調査員「はい。あのタイミングでの大地震はありえません」

   「計算では後50年は地殻プレートが」

本部長「現に起こったんだ、その話はもういい。被災地への支援の段取りは?」

本部員「部長、面会の方がいらっしゃっています」

本部長「誰だ?約束はないはずだが」

預言者「どうも」

本部長「……またお前か」

預言者「言った通りになったでしょう?」

本部長「どこぞの娘が世界を滅ぼす話か。馬鹿馬鹿しい」

預言者「忠告さしあげますが」

   「災害はこれ一つではおさまらない」

   「あなたがたに出来ることはただ一刻も早く、彼女を見つけ出すこと」

   「そして」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:04:11.19 ID:d3Ue5Py20
二日目

兄「はー」

 「皆勤賞を逃したぞ妹よ」

兄友「どうしたんだよ、シケた面して」

  「悩み事があるなら聞くだけ聞いてやるぜ」

兄「妹がなー」

 「家に戻ってこないんだよ」

兄友「お前に嫌気が差して家出したとか」

兄「ないだろー」

兄友「あ、ほら年頃の子だし」

  「彼氏が出来て、家に泊まってるとか」

兄「あ?」

兄友「すまん、流してくれ」

兄「はー」

14 名前:しばらく中断[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:05:21.37 ID:d3Ue5Py20
兄友「そ、そうだ、テレビ見たかよ」

兄「地震で津波でどばーん?」

兄友「今朝やってたんだけどな、世界的に火山が噴火してんだと」

  「活火山も死火山もお構いなしに」

兄「死んでるから死火山なんだろ?」

兄友「死火山ってもいきなり噴火する例はわりとあるらしいんだけどなー」

  「それにしても同時多発ってのは何かありそうだよな」

兄「そうだな」

 (『あなたの妹が起こした災害なんですよ』)

 (『一週間のうちに世界は滅びるでしょう』)

 (『あなたに妹さんを――』)

 「……あほらし」

兄友「ん?」

兄「ほら、席つけー。休み時間終わるぞ」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:18:21.67 ID:d3Ue5Py20
三日目

妹「次は北極」

 「北極、煮える。ぐつぐつ。ぐつぐつ」

 「熔ける。ぜーんぶ熔ける。マグマみたい」

 「どろどろに熔けちゃったから、もう、何にも棲めないね」

 「うふ、うふふふっ」

17 名前:さいかい[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 18:19:14.50 ID:d3Ue5Py20
災害対策本部

本部長「ありえん…」

調査員「火山の被害は西アメリカ、イタリア周辺、アイスランドで顕著です」

本部員「先日の津波被害で派遣した人員がまだ帰還していません。人手が全然足りない」

調査員「北極駐在施設からはどこも応答がありません。北極海の温度の異常な上昇は特にグリーンランドへの影響が」

預言者「彼女の行方はつかめましたか?本部長殿」

本部長「……」ピラッ

預言者「このコピーは」

本部長「北極圏異変の数時間前、ある北極駐在施設で観測された」

   「信じるしかないようだな、この馬鹿げた話を」

預言者「間違いありません」

   「彼女です」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:20:07.39 ID:d3Ue5Py20
預言者「ですが」

本部長「なんだ」

預言者「この後どこへ行ったのか」

   「結局分からないんですよね」

本部長「……ハハッ」

   「予言者を名乗るなら、お前が予見してくれればいいだろう」

預言者「それは無理ですよ」

   「私は預言者ですから」

本部長「………」

預言者「………」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:21:05.71 ID:d3Ue5Py20
四日目

兄「妹がいなくなってから四日たつ」

 「妹の誕生日から四日」

 「世界が一週間で滅びるのだとしたら」

 「あと三日の間で」

 「俺に出来ることはあるのだろうか」

預「もちろん」

兄「……またあなたですか」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:22:01.87 ID:d3Ue5Py20
預「今、それなりに大きい施設があくせく妹さんの足取りをつかもうとしています」

 「以前も申しましたようにあなたの役割は」

兄「いやだ」

預「彼女を止めること」

兄「聞きたくない」

預「またお会いしましょう」

 「そのときはきっとあなたを」

 「妹さんのもとへ」

21 名前:おおかぜ[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:22:54.70 ID:d3Ue5Py20
本部長「地震。津波。噴火。溶岩ときて」

   「次は大風か」

調査員「南北アメリカ大陸が竜巻の被害を受けています。アメリカ本土は前回の噴火と相まって壊滅的な状況です」

   「現在、日本をはじめアジアの島国諸島に大型の台風が高速で接近しています」

   「夜には上陸するかと」

本部員「とっくに経済社会は立ち直れないダメージがありますね。復興は大変だ」

   「世界が滅びなければ、の話ですが」

本部長「彼女は?」

調査員「太平洋上空で確認されましたが、現在台風の影響で偵察機は出せません」

本部長「動いてくれるなよ…頼むから」


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:23:49.91 ID:d3Ue5Py20
兄「はー」

 「テレビでも見よう」パチッ

テ「ザー………」

兄「どこも映らない」

 「風が強くなってきたな」

 「雲行きが怪しい」

 「洗濯物、取り込んでおこう」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:29:31.85 ID:d3Ue5Py20
五日目

兄「うっせぇ」

 「すげー雨」ピカッ

 「あ、雷」ドシャーン

 「今日は学校行けないな」

 「朝食は…カップ麺でいいか」

 「五日目だな」

 「どこで何やってるんだよ」

 「心配かけやがって」

 「ふー」チュルチュル

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:34:23.00 ID:d3Ue5Py20
本部長「雨が降ったら虹が出る」

   「止まない雨はないという」

   「が」

   「さんざん常識を破られてきたからな。終わらない雨でも信じるさ」

調査員「悪天候の影響で各地と通信がうまくいきません。かろうじて把握出来るのは国内の状況のみです」

   「高層ビル群が並ぶ都市に、落雷が集中しています」

本部員「ビルが一種の避雷針というわけですね」

調査員「必然、都市部への被害が甚大です」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:34:56.45 ID:d3Ue5Py20
本部長「そうか」

   「特殊航空機の手配は?」

本部員「一応済んではいるのですが」

   「この悪天候に耐えうるよう、設備を調整したい、と」

本部長「期日は」

本部員「急ぎで丸一日はかかるとのことです」

本部長「勝負は最終日、というわけだな」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:40:51.39 ID:d3Ue5Py20
預言者「そろそろでしょうか」

   「そうでなければ困ります」

   「報道は規制するよう根回ししましたが、必要ありませんでしたね」

   「災害の力は恐ろしい。人間はとどのつまり、自然には抗えない」

   「自分で支配した気になっていただけ」

   「そんなメーセッジが込められているのでしょうね、彼女に」

   「あるいは人為的な自然なのでしょうか」

   「ま、一時の夢で終わらせられればいいのですが」

   「私は預言者」

   「先のことはわかりませんからね」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:41:26.24 ID:d3Ue5Py20
六日目

兄「はー」

 「今日の昼飯もカップ麺で済ませてしまった」

 「晩は流石に何か作ろう」

 「冷凍庫に唐揚げが――」

 「……これはだめ」

 「冷凍の鮭を焼きます」

 「奇数になってしまうなー」

 「はー」

29 名前:見直してるとあれの影響を受けすぎてた[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:42:27.94 ID:d3Ue5Py20
災害対策本部

調査員「以上が被害のシミュレーションです」

   「信じがたいことではありますが」

本部長「今更常識など」

   「月が、落ちる」

   「ふざけた話だ、まったく」

調査員「原因不明、とはいうものの」

   「彼女でしょうね」

   「対策も不明です」

本部長「お手上げというわけか」

   「最後の希望が」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:43:15.98 ID:d3Ue5Py20
兄「テレビもネットも繋がらない」

 「外は豪雨」

 「つまんね」ピンポーン

 「………」ガチャガチャガチャ

 「……はい」

預「どうも」

兄「……またあなたですか」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:47:59.88 ID:d3Ue5Py20
預「いろいろと準備が出来てきたので」

 「お迎えに上がりました」

兄「そうなんですか」

預「そうなんです」

 「以前も申しましたように」

 「あなたを妹さんのもとへ」

兄「行きましょう」

預「外に車を待たせてあります。弓矢をお忘れなく」

 「広い車両ですからご心配なく」

兄「………」

34 名前:>>32 いいえ。読んだから影響は受けてる[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:51:06.70 ID:d3Ue5Py20
車内

預「すごい雨ですよね」

 「もっと都市部の方ですと、ビルにひっきりなしに落雷するといいます」

 「くわばらくわばら」

兄「あなたは」

 「あなたは何者なんです?」

預「初めにお会いしたとき申しました」

 「私は預言者です」

兄「誰からのメッセンジャーですか」

預「きっと彼女と同じですよ」

兄「………?」

預「いつか分かる日も来るんじゃないでしょうか」

 「来る日を来させるためにあなたには頑張っていただかないと」

 「さ、そろそろ到着しますよ」

35 名前:しばらく中断[] 投稿日:2010/06/14(月) 18:53:05.96 ID:d3Ue5Py20
災害対策本部

本部長「すると君が」

兄「はい、兄です」

 「このたびはうちの子がご迷惑を」

本部長「いえいえ御丁寧に」

本部員「特殊航空機の調整は完成しています。いつでも離陸可能ですよ」

調査員「彼女…失礼、妹さんは現在北極圏上空にいます」

   「預言者殿の話によれば」

預「彼女はそこから動かない。動けないと言ってもいい」

 「月を降らそうっていうんですから。チャージタイムも長いものでしょう」


37 名前:さいかい[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:09:28.77 ID:d3Ue5Py20
兄「月を……」

預「ある程度月が地球に近づいてしまうとゲームオーバーです」

 「そうなってしまったら最後」

 「双方で引かれ合って、彼女のコントロール如何に関わらず落月してしまいます」

 「具体的なタイムリミットは、えーっと」チラッ

調査員「明日…七日目の午後2時ジャストまで、ですね」

預「そういうことです」

兄「じゃあ今すぐにでもっ」

本部長「待ちたまえ。明日になれば雷の影響が緩和する見込みだ」

   「出航は明日を待つ」

   「今夜はゆっくり身体を休めてほしい」

兄「……わかりました」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:11:21.54 ID:d3Ue5Py20
災害対策本部・ロビー

兄「はー」

預「眠れません?」

兄「あなたですか」

預「そう邪険になさらずとも」

兄「ごめんなさい」

 「分かっているんですけど」

 「あなたのせいじゃない、って」

 「けど俺、どうもあなたを恨んでしまって」

預「言ってることは理不尽ですけれど」

 「感情は理解出来ます」

 「妹さんは大事ですし」

 「いきどおりをぶつけるのに私が適役なんでしょうね」

兄「ごめんなさい」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:12:24.49 ID:d3Ue5Py20
預「………」

 「私は預言者ですから」

 「先のことはわかりません」

 「私の知りうること、すべてお話してきました」

兄「そうなんですか」

預「願わくばこの一連の結末が」

 「みんなにとって幸せに終わりますように」

 「では、おやすみなさい」スタスタ

兄「そうですね」

 「ありがとうございます」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:21:22.58 ID:d3Ue5Py20
七日目

特殊航空機・機内

兄「……ふぁ」

 「ねむ」

預「おや、睡眠不足ですか?いけませんね」

兄「あんま眠れなかった」

 「って、うわ」

 「いたんですかあなた」

預「それはもう」

 「こんなおもしr」

 「こんな重要な局面でお留守番もひどい話でしょう」

兄「今面白いって言おうと」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:22:23.55 ID:d3Ue5Py20
預「そうそう、弓矢は積んできましたか?」

兄「置いてきました」

 「俺、やっぱり妹を殺すなんて出来ない」

 「きっと話せばわかってくれる」

預「そんなことだろうと思いまして」

 「じゃーん。私が代わりの弓矢を積んでおきました」テテーン

兄「………」

預「兄さんが弓道段位者だっていうから弓矢の形式にしたんですけど」

 「お気に召さなかったならこう」ガサゴソ

 「ロンギヌス的なものもありますけど」テテーン

兄「……前渡された弓矢は特殊な何かではなかったみたいですね?」

預「形式や個体はわりとどうでも」

 「要は気合いが大事なので」

兄「そんな投げやりな」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:23:05.01 ID:d3Ue5Py20
パイロット「話はまとまりましたかい」

     「そろそろ着きますぜ」

兄「わかりました」

預「頑張れ兄。負けるな兄。世界は君の手にかかっている」

兄(うぜぇ)

預「さぁ」

 「お手並み拝見といきましょう」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:25:40.53 ID:d3Ue5Py20
北極圏・上空

兄「さっむ」

 「く、は、ないみたいだな」

 「暑い。むしろ熱い。そして雨。長居はしたくないな」

 「そう思うだろ?お前も」

妹「………」

 「……滅びろ」スッ

兄「えっ」グツグツ

パイロット「うぉっ」ドピュッ

預「溶岩ボール」

 「危ない危ない」

 「下は一面マグマですからね」

 「風水術には格好です」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:29:10.93 ID:d3Ue5Py20
兄「妹よ。兄は悲しい」

 「お前は人に向かって手をあげるような子じゃなかった」ググッ

 「お仕置きの時間だ」スカッ

 「……あー」ググッ

 「ちょっと弓張るから待ってて」グイ

妹「………」スッ

パイロット「先に張っとけよ坊主ぅううう」ヒュッキィーッヒュッシュワッヒュッグオー

兄「パイロットさん揺らさないで」アセアセ

パイロット「暢気なこと言ってんなよバッキャローめ」スザーッブオン

47 名前:あたる[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:30:58.06 ID:d3Ue5Py20
兄「よし張った」テテーン

 「うお、結構重い」

 「さぁ」

 「お仕置きの時間だ」キリキリ

妹「………」スッ

 「私にさきっちょを向けるのですか?」

兄「お前がばんばん撃ってる弾のが危ない」キリキリ

妹「………」スッ

兄「俺のは中るぞ」キリキリ

 「8分の7くらい中る」キリキリ

 「知っての通りだ」キリキリ

 「すげーだろ」キリキリ

 (重い。弓が重い)

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:32:19.88 ID:d3Ue5Py20
兄「ばかやろう」キリキリ

 「言っただろうが」ギリギリ

 「『何度か世界滅びろと思ったこともあるが』」ギリギリ

 「『なんだかんだで悪くない日常だよ』」ギリギリ

 (きついな。気を抜いたら指を離しちまいそうだ)

妹「………」スゥー

兄「『だから滅ぼすなよ』」グググ

 「お前はなんて答えたんだった?!」ググッ

 (早く…正気に戻れってんだ)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:35:19.57 ID:d3Ue5Py20
妹「わた、私だって」ツー

 「……『私だって兄さんの唐揚げが食べられないと困ります』」ポロッ

兄「帰ろう。一緒に」グッ

 「唐揚げ、冷凍してあるから」ガッ

 「っ!」ヒュッ

 「くそ、指が…」

妹「あ……」トスッ

 「ゴフッ……」ダラリ

 「………」ヒュー

兄「妹ぉおおぉおぉおおお」

預「これもまた」

 「運命というものでしょうか」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:36:23.69 ID:d3Ue5Py20
八日後

兄「………」

預「まぁまぁ気を取り直してくださいよ」

兄「……どういうことだよ」

預「何度も申し上げましたように」

 「彼女の落月を阻止出来ればよかったんですって」

 「私があなたに依頼したのは『彼女を止めること』」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:37:29.50 ID:d3Ue5Py20
預「始めから殺させる気なんて微塵もなかったんですよ」

兄「しね。お前がしね」

預「ふふ。お断りします」

兄(あの矢は特別な仕様だった)

 (刺さっても、刺さらないのだ)

 (オモチャの、刃が引っ込むナイフみたいなもの)

 (ロンギヌス的なもの、もそういった仕様だったらしい)

 (妹を手にかけたわけではなく、俺にとっては喜ばしい結末ではあった)

 「だがこの憤りを如何せん」

預「我慢すれば?」

兄「何もかもお前のせいだああああああ」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:38:14.99 ID:d3Ue5Py20
預「と、そろそろ妹さんが目覚める頃合でしょう」

兄「そうか」

 (妹は俺に撃墜された後、マグマの海に落ちた)

 (と思っていたのだが、そこは普通の北極海で)

 (普通といっても北極海、妹は救助されてからも意識を失っていた)

 (地震をはじめとした災害もみな、まるで『なかった』かのようにその痕跡を消していた)

 (けれど人々の記憶には刻まれ)

 (今一度自然に対する尊敬と畏敬を改める出来事となった)

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:39:06.74 ID:d3Ue5Py20
預「では、私はこれで」

兄「おう」

預「さようなら、兄さん。もう会うことはないでしょう」

兄「是非そうあってほしい」

預「最後まで邪険なんですから」

 「楽しかったですよ」スッ

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:39:56.61 ID:d3Ue5Py20
兄(あいつ、自称預言者のことも結局よくわからなかった)コンコン

 「妹。入るぞ」

妹「……ぅ」

兄「起きたか」

妹「うーん」

兄「お前北極海に落ちたんだぞー」

 「よく生きてたな」

妹「はい?」

 「何のアニメの話ですか?」

兄「憶えてないならそれでもいい」

 「むしろ思い出すな、恥ずかしくなる」

妹「はぁ、そうなんですか」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:41:11.25 ID:d3Ue5Py20
妹「うっすらと」

 「熱かったような寒かったような冷たかったような」

 「でも、なんだか温かかったような気がします」

 「何なんでしょう」

兄「知らんがな」

妹「あっ」

 「そうです、今日は私の誕生日なんですよ兄さん」

兄「その八日後なー」

 「ほれ携帯見てみ」パカッ

妹「なっ」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:42:01.47 ID:d3Ue5Py20
妹「私の唐揚げは」

兄「家に冷凍してあるから」

妹「どうせなら作りたてがいいのです」

兄「冷凍された唐揚げたちに失礼だろー」

 「今日も休日、買い物付き合ってやるから」

 「な?」

妹「仕方ありませんね」

 「はいっ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 19:42:52.61 ID:d3Ue5Py20
以上です。お付き合いありがとうございました

ご意見、ご感想くださると嬉しくなります

69 名前:蛇足[] 投稿日:2010/06/14(月) 20:59:30.78 ID:d3Ue5Py20
ある日のこと

妹「催眠術?」

妹友「そう」

妹「五円玉揺らして」

 「あなたはだんだん眠くなーる」

 「っていう」

妹友「眠らせるだけが能じゃないのよ」

 「私が興味あるのはむしろ暗示」

 「たとえばね、自分は鳥だーって思い込む」

妹「飛べるの?」

妹友「飛べた気になる」

妹「だめじゃん」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:02:14.64 ID:d3Ue5Py20
妹友「何事も気の持ちようが大事なの」

妹「社会は結果で評価するよ」

妹友「幸せを分かち合おう」スッ

妹「なにこの本」

 「『猿でもできる催眠術入門』?」

妹友「貸したげる」

 「騙されたと思って試してみー」

妹「はぁ」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:05:38.74 ID:d3Ue5Py20


妹「兄さん」

兄「なにか」

妹「催眠術にかかってみてほしいのですが」

兄「五円玉揺らして」

 「あなたはだんだん眠くなーる」

 「っていう」

妹「簡単そうなのでそれでいきましょう」

 「5円玉は、と」

73 名前:妹属性の印象が薄いよね[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:08:21.98 ID:d3Ue5Py20
兄「すぅ」

妹「意外ときれいにかかるものですね」

 「寝顔写メっときましょう。うふ」

 「………」ニヤニヤ

 「……そろそろ起こしましょうか」

 「…どうやるんだろう」パラパラ

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:12:19.43 ID:d3Ue5Py20
妹「今から私が5から0まで数え下ろします」

 「すると、あなたは自然と目を覚ますの」

 「いくね?」

 「ごー」

 ……

 「にーぃ」

 「……おにぃ」ボソッ

 「……」

 「だんだん意識がはっきりする」

 「いーち」

 「自然にまぶたが開くよ」

 「ぜろ」

 「おはよう」

兄「……んー」パチリ

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:14:46.21 ID:d3Ue5Py20
兄「ここはだr」

妹「そういうのいいです」

兄「不覚を取ったようだな」

妹「それはもうきれいに落ちました」

 「それはもうかわいく?」

兄「変なことしてないだろうな」

妹「めっそうもない」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:19:54.10 ID:d3Ue5Py20
その翌日のこと

妹「友ちゃん」

 「昨日催眠術試してみたんだけど」

妹友「おっ、妹」

 「時代は幽体離脱だね!」

妹「はぁ」

妹友「夢の中なら何でもできる」

 「そう、空だって飛べるよ」

 「だって夢だから」

妹「地に足をつけて生きよう?」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:22:50.91 ID:d3Ue5Py20
妹友「夢は叶えるためにあるの」

妹「夢だから叶ったんじゃなかったの」

妹友「幸せを分かち合おう」スッ

妹「なにこの本」

 「『犬でもできる幽体離脱』?」

妹友「貸したげる」

 「騙されたと思って試してみー」

妹「はぁ」

 「あ、昨日借りた本さ」

 「行ってしまった」

78 名前:離脱はやってないので適当に[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:29:10.90 ID:d3Ue5Py20


妹「ふむ」

 「『発狂しながら全力で踊りまくり叫びまくりで疲れが限界に近づいてきたら』」

 「『小麦粉を部屋全体に特に天井にばらまきながら』」

 「『暗示の言葉を叫び続けます』」

 「………」

 「まぁ」

 「騙されたと思って」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:31:30.34 ID:d3Ue5Py20
兄「……ん」ドンドンゴン

 「騒々しいな」ドンガラガッシャン

 「妹か?こんな時間に」ヒャッハー!アイキャンフラーイ!

 「……ストレス、溜まってるのかなー」バフバフッケホケホッ

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:46:14.73 ID:d3Ue5Py20
妹「これは現実じゃない」

 「夢の中」

 「夢の中だから何でもできる」

 「ふむ」

 「いざ何でもできるとなると何をすべきか迷う」

 「そうだなー」

 「兄さんは年上好みのきらいがあります」

 「むんむんの女と見るや視線が釘付けに」

 「人間日々成長するものです」グッ

 「そう、私だって」ググッ

 「どうよ」ボンキュッボーン

 「なかなかいけてんでしょうが」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:48:54.94 ID:d3Ue5Py20
その翌日のこと

妹「友ちゃん」

 「昨日幽体離脱試してみたんだけど」

妹友「おっ、妹」

 「私気付いたんだ、現実を見据えなきゃって」

妹「おめでとう」

 「私も何かが報われた気がする」

妹友「明日から旅に出ようと思うの」

 「いろんなとこにいってね、いろんなものを見るの」

 「きっといろんなことが分かるわ」

妹「何かが台無しになった気がする」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:50:18.70 ID:d3Ue5Py20
妹友「小さな日本の小さな学校で学べることなんて所詮その程度なのよ」

 「私は世界にうってでるわ」

妹「言ってる事は間違っていない気もする」

妹友「祈りましょう、お互いの幸せのために」

 「絵葉書送るから」

 「楽しみにしててね」

妹「あ、昨日と一昨日の本さ」

 「行ってしまった」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:51:17.95 ID:d3Ue5Py20


妹「ふむ」ズラッ

 「催眠術」チラッ

 「幽体離脱」チラッ

 「世界」ポワン

 「友の生き様に感銘した私は何かでっかいことが出来る気がするよ」

 「そうだ、こんなのはどうだろう」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:55:24.63 ID:d3Ue5Py20
妹「あなたの妹は世界を滅ぼします」

兄「そうなんですか」

妹「そうなんです」

兄「どうしてそんなことがわかるんです?」

妹「だって今の私は預言者だから」

妹「あなたの妹は16歳の誕生日に使命に覚醒し」

兄「明日じゃん」

妹「一週間のうちに世界は滅びるでしょう」

兄「困りますね」

妹「困りますね」

 (そうでもないんだ)

 (これは夢の中)

 (みんなが、世界が夢を見てるの)

85 名前:夢落ちエンド[] 投稿日:2010/06/14(月) 21:57:32.29 ID:d3Ue5Py20
兄「で、何のアニメの話ですか?」

妹「悲しいですが現実です」

 (なんてね)

兄「変わったタイトルですね。今度見てみます」

 「遅刻しそうなので失礼しますね」

妹「ちょっと」

 「行ってしまった」

 (でも、もう)

 (みんな夢の中なの)

 (夢の中だから何が起こっても不思議じゃない)

 (不思議なことが起こるのは当たり前)

 (そうでしょ?)

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