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番外個体「小さい一方通行?」 浜面×12907号

345 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 15:52:01.10 ID:dy/tXUAO [1/12]
ある朝、とある病院

カエル医者「おや? 君、ここにいたツンツン頭の子を知らないかね?」

看護士「わたしは見てませんよ、とカミジョーさんはお医者さんを騙してみますよ」

カエル医者「おや? ……ふむ、なるほど。君はオリジナルとは別の能力が覚醒したんだね?」

カミ嬢「まさか見ただけでカミジョーだと見抜くとはさすがお医者様、とカミジョーさんは感心しますよ」

カエル医者「今のは君が自分で名乗ったはずだね?」

カキネ「こんなとこにいやがったかカミジョー姐さん、とカキネは捜してたフリをするぜ」

むぎのん「カミジョー姐さんシャケ弁買いに行こー! ってむぎのんは姐さんの腕を引っ張るにゃん☆」

御坂妹「おはようございます、朝から随分と元気ですね、とミサカはクローン達に挨拶します」

ウイハル「ちなみにカミジョーの能力は『変身能力(メタモルフォーゼ)』みたいですよ、ってウイハルは説明しますね」

御坂妹「ウイハル、あなたは誰に何を言っているのですか、とミサカは首を傾げます」

346 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 15:54:02.03 ID:dy/tXUAO [2/12]
むぎのん「シャケ弁探索にれっつごー! ってむぎのんは腕をぶんぶん振り回してみたり!」

御坂妹「ではお医者様、行ってきます、とミサカはクローン達とお出かけします」

カエル医者「気をつけて行ってくるんだよ?」

ショッピングモール

カキネ「おお! この冷蔵庫どっちからでも開くぜ、とカキネは開けたり閉めたり開けたりいてっ!」バシッ

カミ嬢「こら、展示品で遊んじゃ駄目ですよ、ってカミジョーさんは注意しますよ」

御坂妹(ああ、姐さん格好かわいい///……ハッ! とミサカはいけない感情が芽生えるのを必死に抑えます)ブンブン

カミ嬢「どうかした? 御坂妹さん、ってカミジョーさんは心配しますよ」

御坂妹「いえ何でもありません、とミサカは平静を装います」

御坂妹(しかし、あの上条さんのクローンなだけあってやはりお美しい///……っていやいやいやいや! とミサカは芽生えた感情を否定します!)ブンブンブンブン

むぎのん「シャケ弁はどこだーってむぎのんは食品店を探して三千里ー!」

御坂妹(しかし、何故女性に変身するのでしょうか、とミサカは考え込みます)

347 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 15:55:31.20 ID:dy/tXUAO [3/12]
ウイハル「あれですよ、『兄さん』って言われるならやっぱり女の子がいいっていう男の願望の表れですよ、ってウイハルは予想しますね」

ウイハル「全く、男って奴はどいつもこいつも現金ですよね~、ってウイハルはイヤらしい笑みを浮かべますね」ニヤニヤ

御坂妹「人の心を読まないで下さい、とミサカはウイハルのメタ発言ぶりに驚愕しつつ突っ込みます」

つっちー「ところで、むぎのんはどこだにゃー? ってつっちーは辺りを見回すにゃー」キョロキョロ

ユリコ「カキネくンもいないよォ。どこ行ったンだろォ、ってユリコはユリコは心配してみるゥ」

カミ嬢「あっれー? 全く、あちこち動き回るなって言ったのに、ってカミジョーさんは呆れちゃいますよ」ハアー

pipipi…ピッ

御坂妹「もしもし、とミサカは電話に出ます」

男『お前らが連れてたガキは預かった。返して欲しければ……』

御坂妹「……分かりました、では2時間後に、とミサカは約束します」

御坂妹「それと、あと10分以内に女の子の方にシャケ弁を与えて下さい、でなければどうなっても知りませんよ、とミサカは忠告します」ピッ

348 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 15:57:20.13 ID:dy/tXUAO [4/12]
ユリコ「どうしたのォ、ミサカお姉ちゃン? ってユリコはユリコは聞いてみるゥ」

御坂妹「少し厄介な事になりました、とミサカは移動しながら事情を説明します」

ウイハル(そうそう、ユリコとつっちーがいるのは、番外個体が調整の日だからついでに預かったんですよってウイハルは説明しますね)

とある廃屋

むぎのん「シャケ弁よこせー! ってむぎのんはシャーイ[魔女狩りの王]ンガー!」ボシュウッ!!

誘拐犯A「ヒイ!」

誘拐犯B「オ、オイ! 誰か早くシャケ弁買ってこい! このままじゃミイラ取りがミイラだぞ!?」

誘拐犯C「ク、クソ……何でこんなの誘拐しちまったんだ俺達は……!」

カキネ「おーい、ここにあったぜえ、とカキネはシャケ弁発見伝!」

むぎのん「でかしたカキネ、ってむぎのんはシャケ弁に飛びついたり!」シュバッ

誘拐犯D「ああ! それは俺の」

誘拐犯A「一食抜く方が死ぬよりマシだろ!」

誘拐犯D「くう……」

むぎのん「はぐ、むぐ、まぐ、もぐ……」

誘拐犯B「ハア……助かった……」

349 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 15:58:54.44 ID:dy/tXUAO [5/12]
誘拐犯C「なあ、一応キャパシティダウン使っといた方がよくねえか?」

誘拐犯A「……だな。でなきゃ命が幾つあっても足りなそうだ」

御坂妹「約束通り、お金を用意してやって来ました、とミサカは報告します」

誘拐犯C「うおっはええ!」

誘拐犯A「妙な真似しやがったらこのガキの頭吹っ飛ばすぞ」

御坂妹「……では、ここに置きます、とミサカは後退り……むぐ!」

誘拐犯D「へへへ、ガキと金には用はねえんだよ。俺らはお前みてえな女が欲しくてなあ」

ユリコ「あっ、ミサカお姉ちゃン!」

誘拐犯B「おおっと。動けばどうなるか……」

つっちー「分からんにゃーってつっちーは既に動いてるにゃー」

誘拐犯B「っ! テメエ!」ダンッ!

ユリコ「つっちー! ……オマエ、よくもつっちーをォ!」ゴウッ!!

誘拐犯B「なっ早……ぎゃあ!」バキイッ!!

つっちー「ふいー、びっくりしたにゃー、ってつっちーは無事をアピールにゃー」

350 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 16:00:08.12 ID:dy/tXUAO [6/12]
誘拐犯C「このガキ共が! ……なんだ、あっつ……あぢいいい!!」ガクッ

ウイハル「ウイハルの友達に手をだすなんて、イケナイオトナにはお仕置きですよ、ってウイハルは能力を使いますね」

カキネ「テメエら、大したムカつきぶりだ、とカキネは怒り心頭だぜえ!」バサアッ!!

誘拐犯D「ぐあっ!」ドスドス!!

誘拐犯A「くっ……テメエら、この女がどうなってもいいのか!?」ボッ

カミ嬢「いいわよ、アンタがその人をつまんない理由で傷つけようって言うなら……」ツカツカ

誘拐犯A「ひっ、くっ来るなあ!」ゴオッ

パキイイイン!

誘拐犯A「炎が、消され……!」

カミ嬢「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺すわ!」

バキイッ!!

誘拐犯A「ぶがあ!!」ズシャアーッ

カミ嬢「さあみんな、病院に帰りましょ、ってカミジョーさんは爽やか笑顔で呼びかけますよ」ニコッ

ユリコ「うン、帰ろゥ! ってユリコはユリコはつっちーが無事でひと安心!」

351 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 16:01:35.94 ID:dy/tXUAO [7/12]
むぎのん「帰ってシャケ弁タイムだー! ってむぎのんは腹減ったー!」

カキネ「さっき食ったばっかじゃねえか、とカキネは呆れてみるぜ」

ウイハル「あなたは本当にシャケ弁バカですね~、ってウイハルは笑っちゃいますね」

つっちー「つっちーも腹ペコにゃーってつっちーはぐーきゅるるーにゃー」

とある病院

御坂妹「う~ん……ハッ! ここは……病院? とミサカは現状確認をします」

カミジョー「おっ! ミサカお姉ちゃんが目を覚ましたぞーってカミジョーさんはみんなを呼びませう!」

むぎのん「よかったー心配でシャケ弁食べれなかったよー! ってむぎのんは実は心配性な事をアピールしてみる!」

カキネ「カキネ達のせいでひでえ目に合わせてゴメンナサイ、とカキネは素直に謝るぜ」

ウイハル「ミサカお姉ちゃんが何ともなくて本当によかったです~、ってウイハルはふええええん!」

352 名前:ちょっとした行間さ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 16:03:28.06 ID:dy/tXUAO [8/12]
御坂妹「そういえば、ユリコとつっちーはどこですか、とミサカは質問します」

カキネ「あの2人ならさっきミサワさんが迎えに来て連れてったぜえ、ってカキネは報告するぜ」

御坂妹「そうですか……助けに行ったつもりが逆に助けられるとは、情けない限りです、とミサカは歯噛みします」

カミジョー「みんな無事だったんだし、そんなの気にしなくていいぜ! ってカミジョーさんはミサカお姉ちゃんを励ましませう!」

むぎのん「そーだよ元気出して! ほら、シャケ弁あげる! ってむぎのんは自分のシャケ弁を惜しげもなく譲ってみたり!」

御坂妹(……上条さんはクローンでも『上条さん』なんですね、とミサカは微笑みます)ニコッ



行間は終わりだぜい

354 名前:総合に投下したやつをコピペ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 20:34:34.76 ID:dy/tXUAO [9/12]
 廃工場の前に、一台のステーションワゴンが停まっている。運転席の男が、焦れったそうにハンドルを指でトントン叩いている。

「あいつらにしちゃ、珍しく手間かかってるな……様子見に……いや、止めとこう、俺じゃ巻き添え食って死ぬのがオチだ」

 浜面仕上は忌々しそうに舌打ちすると、『アイテム』のメンバーが廃工場から出てくるのを待つ。
 その時、助手席側のウィンドウを叩く音がする。
 浜面が怪訝な表情でそちらを見ると、頭に軍用ゴーグルを付けた少女が車の中を覗き込んでいた。

「……なんか用か?」

 ウィンドウを開けて少女に要件を尋ねる浜面。少女は無表情なまま答える。

「そちらこそこんな所で何をしているのですか、とミサカは質問を返します」

 ミサカと名乗る少女の質問に、ただの待ち合わせだと答える浜面。

「こんな所にいたら危ねえぞ? 怪我する前に帰れよ」

「危ない所で待ち合わせとは、随分危ない方と待ち合わせているのですね、とミサカはあなたの危険意識の薄さに唖然とします」

355 名前:総合に投下したやつをコピペ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 20:35:35.65 ID:dy/tXUAO [10/12]
 そもそも危険な仕事ばかりをやってきた浜面としては危険など慣れっこであり、むしろ目の前の少女の方が危険意識が薄いのではないかと思った。

「あー、とにかくだ。用が済んだならさっさと……」

ズドオオオン!!

 凄まじい轟音が廃工場から響く。
 何事かとそちらを見ると、廃工場が鉄の軋む音を立てながら倒壊を始めていた。

「うげ! あいつら何しやがった!?」

 思わず車から飛び出す浜面。
 そこに4人の少女が慌てて駆けてくる。

「ったくバカフレンダ! 火薬の量間違うとか私達まで殺す気か!?」

「ゴメン麦野~!!」

「ちょっ、こっちに超倒れて来ますよ! さっさと出して下さい浜面!」

 少女達--『アイテム』のメンバーは、そそくさと車に乗り込むと、浜面に出発を急かす。

「分かってる! ……おい、早く乗れ!」

 浜面は車の横で呆然と倒壊する廃工場を眺める少女に促す。

「えっ? ミサカもですか? とミサカは」

「だあもう!」

356 名前:総合に投下したやつをコピペ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 20:37:12.10 ID:dy/tXUAO [11/12]
 浜面は強引に少女の腕を掴み、車の中に詰め込む。

「ちょっ、浜面! 誰よコイツ……って『超電磁砲』!?」

「むぎの、この子は多分クローンの方だよ」

「確かに、『超電磁砲』は軍用ゴーグルなんか付けてなかった訳だしね」

「騒ぐのは後だ! 出すぞ!」

 六人を乗せたステーションワゴンは、猛スピードで倒壊する廃工場から遠ざかっていく。

「んで? 私達がいない間にナンパなんてしてたの? 大したご身分ねえはーまづらあ?」

 人気のない裏通りにステーションワゴンを停め、一息ついた頃。
 『アイテム』のメンバーに、連れて来た少女について尋問される浜面。

「た、たまたまあそこに居合わせたから助けたってだけだ! だいたい、一般人をあの倒壊に巻き込んだら後味悪いだろ!」

「確かに、その言い分は超正論ですね。フレンダさんが火薬の量を間違うなんて超凡ミスをしなければ、連れて来る必要は超なかったんですから」

「うええ!? 私のせいな訳!?」

 突然矛先を向けられたフレンダは慌てて反論しようとするも、「当たり前だバカ」と麦野に突っ込まれてしょんぼりとしてしまう。

「でもはまづら。この子どうするの? このまま帰すのはまずいよ」

 滝壺の問いに、黙り込んで考える浜面。

「……だからって、どうするんだよ?」

357 名前:総合に投下したやつをコピペ ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/02(日) 20:39:43.03 ID:dy/tXUAO [12/12]
 全員揃って首を捻り唸る。
 そんな中、少女自身が挙手をして発言する。

「では、ミサカをしばらくあなた方の仲間として連れ歩くのはいかがでしょう、とミサカは提案します」

「それ、名案かも。ねえむぎの、ミサカの言う通りにしよう?」

「フレンダさんみたいに超土壇場でドジ踏まなければ問題ないですけど、それは使ってみないと超分かりませんよ?」

「ん~……まあ、うちらの事色々言いふらされるよりはマシか……仕方ない」

 溜め息をつくと、麦野は少女の前に立つ。そして、

「せいぜい、足手まといになるんじゃないわよ?」

 少女の肩に手を置き、彼女の提案を渋々といった表情で受け入れる。

「ありがとうございます、足を引っ張らない様頑張ります、とミサカは一瞥をくれつつ頷きます」

 そう言ってフレンダの方をちらりと見ながら頭を下げるミサカ。
 それに気付いたフレンダは面白くなさそうにそっぽを向く。

「んで、誰んちで預かるのこの子?」

 麦野は至極当然の質問をぶつける。
 が、その質問を聞き終わると同時に、女性陣全員の目が浜面に集中する。

「あ? ……えっ!? オッ、オレ!?」

359 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:25:47.12 ID:8qTuasAO [1/11]
「いや待ていくらクローンだからって年頃の女の子と野郎がひとつ屋根の下とか色々やべえって!」

 浜面は慌てて無言の要求を拒否しようとしたが、

「でも連れて来たのあんたでしょ? 責任取れよバカ面」

「結局、私の部屋狭いし散らかりまくってるし人預かるなんて無理無理」

「女の子1人養えないとか、そんなだから浜面はいつまでたっても超浜面なんですよ」

「大丈夫。女の子との共同生活に四苦八苦するはまづらを、私は応援してる」

「不束者ですが宜しくお願いします、とミサカは三つ指を立てます」

 女性陣の言い分は、預かられる本人すら満場一致してその世話を浜面に押し付けるもので、彼の拒否など最初から意味を成さないのだった。

360 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:28:37.00 ID:8qTuasAO [2/11]
「はあ……畜生……何でこんな事に……」

 浜面は少女を助けた事を後悔していた。
 その少女はというと、何が珍しいのか浜面の部屋の中をくまなく調べている。

「おや、こんな所に雑誌が、とミサカはベッドの下に隠された浜面さんの秘密を暴きます」

「ちょおおおい! 見るな見ちゃ駄目見るんじゃねえ!!」

 浜面は慌てて少女から雑誌を取り上げると、再びベッドの下に押し込む。

「……そういや、まだちゃんとした名前聞いてなかったな。ミサカってのは分かるけど、それは名字だよな?」

「はい、正確には検体番号(シリアルナンバー)12907号です、とミサカは回答します」

 検体番号、と言われて唖然として黙り込む浜面。

「ミサカは何かおかしな事を言いましたか、とミサカは頭に疑問符を浮かべます」

「いや、その……それだとなんか呼びづれえな、と思ってさ」

 なるほど、と呟くと、顎に指を添えてなにやら思案する12907号。
 しばらくすると、12907号は顔を上げ、

「では、あなたが呼びやすい名を付けて下さい、とミサカは提案します」

「えっ? 俺が名づけていいのか? ん-……そうだなあ……マユ、でいいか?」

361 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:34:01.62 ID:8qTuasAO [3/11]
 浜面の部屋に沈黙が流れる。

「あれ? 気に入らなかった?」

「……浜面さんが超浜面さんだと言われていた意味がよく分かりました、とミサカはあなたのひねりのなさに唖然とします」

「しかしその名前はとても気に入りましたので、これからはマユと名乗ります、とミサ……マユは名づけてくれた事を感謝します」

 最初にけなされたので膝を折りそうになったが、名前は気に入ったと言われて思わずにやける浜面。
 その日は夜も遅かった為、ベッドをマユに使わせて自分は床に寝転ぶ浜面。

 翌日。
 誰かに名前を呼ばれている様な気がして、浜面は目を覚ます。

「おはようございます浜面さん、とミサ……マユは挨拶します」

 そういうマユの顔が何故目の前にあるのか、と思いながら浜面は視線を自分の足の方に向ける。
 そして気付く、マユが自分に馬乗りしている事に。

「のわあ! んな、何してんだマユ!」

 慌ててマユを跳ねのける浜面に、不思議そうな顔でマユは言う。

「浜面さんが起きるのを、マウントポジションにて今や遅しと待っていたのですが、とミサ……マユは説明します」

362 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:39:22.53 ID:8qTuasAO [4/11]
「いやいや、何でわざわざマウントポジション!? 普通に揺すって起こそうとか思わなかったのか!?」

「結局浜面さんはやはり超浜面さんな訳ですね、とミサ……マユは落胆します。ですがそんな浜面さんをミサ……マユは応援します」

 額に手を当て首を横に振った後、浜面の肩を掴んで親指を立てるマユ。

「なんか色々混じってるぞ!? てか言いづらそうだし後半のミサカは~のとこ言うの止めたら?」

 浜面のその提案を「これはミサ……マユの特徴の一部なので」と丁重に断る。
 が、「だったら無理にマユに言い換えようとしなくていいんじゃねえか?」という提案はあっさり呑むマユなのだった。

 昼過ぎに何時ものファミレスに集う『アイテム』の面々。
 何時も通りにシャケ弁をつつきながら「昨日のと何か違う」と麦野が呟き、「今日はゴマだれ味に挑戦する訳よ」とサバ缶を並べるフレンダ。
 絹旗はC級映画のパンフレットを眺めて唸っているし、滝壺は何処からか飛んで来る電波をキャッチしている。
 何時もと違うのは、浜面の横にいる文字通り『拾ってきた』検体番号12907号のミサカ、浜面命名マユがいるという事だ。

363 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:41:32.12 ID:8qTuasAO [5/11]
 店に入るなりドリンクバーで人数分の飲み物を適当に見繕って持って来たマユに、「さすが新入りは気が利く」と快く受け取る面々。
 「ちなみにこれは浜面さんの入れ知恵です」と浜面へのフォローも忘れないマユを見て、嬉しいやら恥ずかしいやらでにやける浜面。
 が、速攻で「キモイ」の集中放火を浴びて軽く凹む。

「さて、今日の『仕事』についてだけど。『科学結社』とやらがこの学園都市内の施設を堂々とアジトに改造してくれたらしいのよ」

 麦野が真剣な表情を浮かべると同時に、メンバー達の空気が張り詰める。

「そいつを潰せばいいって訳ね」

 そう言って爆弾を用意しようとするフレンダに対し、

「また爆破ですか? 昨日ので超懲りたかと思ったんですけど、超思い過ごしでしたね」

 と、呆れたように首を横に振る絹旗。
 今度は失敗しないと言い張るフレンダに、麦野が待ったをかける。

「今回ばかりは、連中のアジトを吹っ飛ばす訳にいかないのよ。どうやら、学園都市にとっても利用価値のある設備が詰まってるらしくてね」

「利用価値があるって、どんなものがあるの?」

 滝壺の問いに対し、推測ですが、と前置きをしてマユが言う。

364 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:45:16.83 ID:8qTuasAO [6/11]
「恐らくは、人型アンドロイドの製造ラインが存在しているのではないでしょうか、とミサカは予想します」

「鋭いわね新入り、その通りよ。アンドロイドはハナから兵器として使えるから、製造ラインは意地でも無傷で残せって命令なのよ」

「『上』も超面倒な仕事を押し付けてきますね。まあ、超いつもの事ですけど」

 そして6人は下部組織が手配した車に乗り、『科学結社』のアジトに向かう。

「そういえば、はまづら。この子はなんて名前なの?」

 アジトへ向かう道中、滝壺がマユの頭を撫でながら尋ねる。
 浜面がマユと名づけた事を告げると、女性陣は予想通りの反応を--

「へえ、浜面にしてはイカした名前つけるじゃない。ちょっと見直したわ」

「結局、変なトコでセンスあるから侮れないのよね、浜面って」

「悔しいですが、この件に関してはあなたの才能を超認めざるを得ませんね」

「よかったね、はまづら。はまづらがみんなに誉められて、私も嬉しいよ」

「……何だよ、誉めてもなんも出ねえぞ?」

 --しなかったので、思わぬ肩透かしを食らう浜面だった。

365 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:46:56.28 ID:8qTuasAO [7/11]
 『科学結社』のアジトに到着した一同。
 電子ロックの扉を開けようと小型の爆弾を取り出したフレンダだったが、

「電子ロックならミサカにお任せ下さい、とミサカは自身の能力を披露します」

 そう言ってマユが扉のパネルに手を当てると、バチッと音がして電子ロックが外れる。

「超やりますねマユ!」

「『欠陥電気(レディオノイズ)』の面目躍如ってとこね」

 私がやろうと思ったのに……と呟きながら車の陰でいじけるフレンダをひっ掴んで、麦野達は意気揚々とアジトに乗り込む。

「随分静かね」

 製造ラインが止まっているのか、アジト内部は静まり返っていた。
 言い知れぬ不安を覚えた麦野は、外で待機する浜面を呼び出す。

「なんだよ、俺にメインの『仕事』手伝わすなんて珍しいな」

「私らは迂闊に能力使えないからね。万が一を考えて3人2チームに別れて行動しようと思ったのよ」

 なるほど、と手を打つ浜面を見て、マユも同じ動作をする。

「で、チーム分けどうするの麦野? 私は麦野と一緒がいいなー」

「では私はフレンダが超やらかさない様に見張る役と言う事で」

366 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:48:57.17 ID:8qTuasAO [8/11]
 絹旗の言葉に抗議しようと思ったフレンダだったが、麦野が引きつった笑顔で見ていた為、その思いをそっと胸にしまった。

「んじゃあ、俺と滝壺とマユのチームか。頼りねえかもしんねえけど、よろしくな」

「こっちこそよろしくね、はまづら」

「足手まといにならないよう頑張ります、とミサカは気合いを入れます」

 チーム分けも済み、それぞれ東西に広いアジトの西側と東側に別れて、アンドロイドの製造ラインを探し始める。

-麦野サイド-

「敵らしき人物は超見かけませんね」

「油断は禁物よ」

 麦野達は、研究施設らしき場所に到達する。
 だが、その途中でも『科学結社』の構成員が現れない事を訝しんでいた。

「結局、どこか一カ所に固まってたりするかもね」

「そう考えるのが超妥当ですね」

367 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:51:43.82 ID:8qTuasAO [9/11]
 一歩ずつ、慎重に先に進む麦野達。
 広間にさしかかったその時、どこかから声が響く。

「侵入者諸君、ようやくお出ましか。待ちくたびれたよ」

 麦野達が声のする方を見ると、赤く染めた髪に緑のメッシュを入れた、白衣の男が立っていた。
 白衣の奥にチラリと見えた胸元に、とある校章があった。

「へえ、長点上機の生徒が構成員とはね。能力者であろうがなかろうが、かなり厄介ね」

 そう言いながらも、麦野は余裕の表情を崩さない。

「お誉めに与り光栄だよ、麗しの君。しかし残念だ。僕は君達を、鮮血の赤に染めなくてはならない」

「……ふん、出来ると思ってんのキザ野郎? この『原子崩し(メルトダウナー)』を、私達『アイテム』を倒すなんて真似が」

 男もまた、麦野の挑発に対し余裕の表情を見せる。
 あたかも麦野達が「能力を迂闊に使えない」事を知っているかの様に。

「麗しの君。貴女が能力を明かしたというのに、僕が能力を明かさないのは不公平と言うものだ。お教えしよう、僕の能力を」

 男はそう言って、自らの体を傷つけ、血を垂らす。
 その血は、まるで無重力空間にあるかの様に、球状の塊となって宙に浮く。

368 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/03(月) 19:55:28.35 ID:8qTuasAO [10/11]
 次の瞬間、血の塊が弾丸の如き速度で麦野達に襲いかかる。
 その事を察知していた麦野達は、血の弾丸が届くより早く回避行動を取った為、誰一人攻撃を受ける事はなかった。

「ふむ、僕の『鮮血弾頭(クリムゾンバレット)』を避けるとは、さすがは美しき『アイテム』の構成員だ」

「キザ男に誉められても嬉しくない訳よ!」

 相変わらず余裕の表情で、男は更に血の弾丸を撃ち放つ。

「そんなに撃ちまくっていたら、あなたの血が超スッカラカンになりますよ?」

「ご心配なく、可愛らしい君」

 男が手を返すと、壁に付いた血が弾丸となり、絹旗の肩を掠める。

「ぐうっ!」

「絹旗っ!」

「このぐらい、超大した事ないです」

 フレンダは心配する様に呼びかけるが、絹旗が軽傷である事を告げると安堵の息を吐く。

「ところで、良い事をお教えしよう。『こちら側』には貴女達が目的とするものはないよ」

「ハッ、それが事実だって証拠はないじゃない? それに、敵の言葉なんかいちいち全部を信用するかよ」

「……残念。事実なのだが、ね!」

 男が両手を麦野に向けると、辺りに飛び散っていた血が一斉に麦野に襲いかかる--!

376 名前:続き投下 ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:02:04.50 ID:p3am7MAO [1/14]
 ズバア!!

 麦野を中心に、真っ白で不健康的な光の筋が、四方八方へ襲いかかる。
 『原子崩し』の真骨頂、粒機波形高速砲。
 麦野はそれによって、男の血液を部屋もろとも一瞬でバラバラに吹き飛ばした。

「超危ねえ! 先に出口に来といて超正解でしたね!」

「もー麦野ったら! 私達がいる事忘れてる訳ー!?」

 命からがら部屋から脱出した絹旗とフレンダは麦野に抗議の声を上げるも、既に怒り状態の麦野にその声は届かないようだ。

「ハッ、ちょっと手加減してやりゃあ調子に乗りやがってキザ野郎が! くたばりやがれ!」

「ふっ、そうでなくては困るよ、麗しの君。さあ--」

 男は光の壁に言葉を遮られ、その中へと呑まれていく。

「ちっ、ハナからこうしてりゃ良かったわ。やっぱり回りくどいのは苦手だわ」

 事が済んだと見て、最早部屋ですらない場所に戻ってくるフレンダ達。

「全く、使うなら使うって言って下さいよ! 逃げるの超大変だったんですから!」

「私が麦野の変化に気づかなかったら、私達も塵になってた訳よ!」

「あはは、ゴメンゴメン」

 他愛ないやり取りをしつつ、浜面達の所へと向かう麦野達。

377 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:05:07.83 ID:p3am7MAO [2/14]
-浜面サイド-

 だだっ広いうえに扉も曲がり角もない通路が延々続き、いよいよ歩くのが億劫になってきた浜面達。

「はまづら、少し休もう? もう疲れた」

「もう少ししたら部屋のひとつもあるかもだし、もうちょっと頑張ろうぜ、滝壺」

 浜面に励まされて少し元気が出たのか、滝壺は壁にもたれ掛かるのを止めて再び歩き出す。
 そんな2人を見て、マユは何かに気づいた様に手を打つ。

「なるほど、お2人は恋人同士なんですね、とミサカは勝手に納得します」

 それを聞いた2人は思わず顔を真っ赤にして目を合わすまいとそっぽを向く。

「どうしたのですか、とミサカは……あ、扉を発見しました」

 言われて見てみれば、そこには確かに扉があった。
 ご丁寧に複数の電子ロックが付けられ、いかにも「重要な場所ですよ」と言わんばかりの扉だ。

「では…………はい、電子ロックを解除しました、とミサカは報告します」

 扉を開くと、中には幾つかのベルトコンベアがあり、その上に何かのパーツが並べられていた。

「お、どうやら俺達が当たりみたいだな……ってコラコラ滝壺!」

 後ろを見ると、滝壺は壁に寄りかかって寝息を立てていた。

378 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:07:41.50 ID:p3am7MAO [3/14]
「はあ、ったくしょうがねえなあ」

 浜面が滝壺を抱え上げようとした時、コツ、コツ、と規則的な音が響いてくる。
 滝壺を抱え、部屋の奥に身を隠す浜面達の元に、その音の主が近づいてくる。

「構成員か……?」

『……3つの生体反応を感知。『イルベリア』の同志であるか、確認行動に移る』

 『イルベリア』という耳慣れない単語を聞き、『科学結社』の名前だろうと当たりを付ける浜面。

「ん~……どうしたの? はまづら」

「わっ馬鹿、声でかい!」

 目を覚まして浜面に話しかける滝壺の口を慌てて塞ぐも、時既に遅し。
 その声を聞きつけ、機械的な話し方の存在が確実にこちらに近づいてくる。

『浜面……データベースに該当者なし。侵入者と判断し、排除行動を開始する』

「クソッ! 滝壺、マユ、敵だ!」

 拳銃を構えて立ち上がる浜面を見て、2人も拳銃を取り出す。
 浜面は相手に続けざまに発砲するも、傷ひとつ付く様子はない。
 それどころか、撃たれながら近づいてくる。
 浜面は直感した--コイツはアンドロイドだと。

379 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:09:39.43 ID:p3am7MAO [4/14]
『侵入者は能力者ではない模様。兵器の使用を控え、設備の保護を優先する』

 そう言うと、浜面達に走り迫るアンドロイド。

「来やがった! 2人は先に部屋出とけ!」

 浜面は滝壺達を逃がす為に、アンドロイドに突進する。
 アンドロイドは浜面の突然の行動に対応出来なかったのか、なす術なく倒れ込む。
 が、すぐに浜面を払いのけると、先に部屋を出た2人を追う。

「行かせるかよ!」

 浜面はアンドロイドを羽交い締めにして踏ん張るが、力の差は歴然であり、引き摺られながら部屋を出る。

「はまづら!」

「俺は大丈夫だ! それよか、もうちょっとマシな武器探してきてくれ! コイツには拳銃じゃダメージを与えられねえ!」

「分かった! 無理しないでね!」

「おう!」

 威勢よく返事をして滝壺達と別れ、アンドロイドの目の前に立ち塞がる浜面。

「行かせねえっつってんだろ!」

 浜面はアンドロイドに殴りかかるが、やはり手応えはなく、自分の手を痛めるだけだった。

380 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:12:28.21 ID:p3am7MAO [5/14]
「ってて……やっぱり素手じゃ駄目か……でも、滝壺達が戻るまでは拳ひとつで切り抜けるしかねえ!」

 浜面は気合いと共にアンドロイドにタックルをして、そのまま壁に激突させる。

 その頃、滝壺とマユは武器庫らしい場所にたどり着いていた。

「やはり、暴走時対策として武器を用意していましたか、とミサカは敵を褒めます」

「うん、早くはまづらに渡しに行こう」

 手近な武器を幾つか抱え、2人は浜面のもとへと急ぐ。

『侵入者を発見。排除行動に移る』

 武器庫を出て数メートル移動したところで、2体目のアンドロイドに見つかってしまう滝壺達。

「滝壺さんは早く浜面さんに武器を届けて下さい、とミサカはアンドロイドを食い止める事を暗に宣言します」

「でも……」

「大丈夫です。ミサカを信じて下さい、とミサカは親指を立てます」

「……分かった、無茶しないでね!」

 滝壺はマユの決意を無駄にするまいと走り出す。
 追おうとするアンドロイドの脚を狙い、武器庫にあった対戦車ライフルを構え、その引き金を引くマユ。
 派手な銃声が響き、アンドロイドの脚が吹っ飛ぶ。
 マユは反動で後方に吹っ飛ぶも、倒れる事なく踏みとどまる。

381 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:14:11.20 ID:p3am7MAO [6/14]
「はまづら! 武器持ってきたよ!」

 滝壺の声のする方に手を伸ばす浜面。
 滝壺はライフルに弾を込めて投げ渡す。

「サンキュー! うっし、これでも食らえアンドロイド!」

 浜面はゼロ射程でアンドロイドの頭を狙い撃つ。
 さすがに頭が吹っ飛ぶ事はなかったが、それでもその4分の1ほどを破壊する事に成功する。

『侵入者……ガガ……武装……ガガ……兵器を……使用……』

 そう言うとアンドロイドは浜面を指差す。
 浜面はとっさに体を伏せ、滝壺もそれにならって伏せる。
 直後、アンドロイドの指先からレーザーが放たれ、滝壺の少し先の地面を貫く。

「あっぶねえ! 大丈夫か滝壺!?」

「うん! なんともない!」

 その時、滝壺の後方から数発の銃声が響く。
 そして、その方向から武器を持ったマユが駆け寄ってくる。

「アンドロイドが更に数体現れました、このままでは形勢不利です、とミサカは撤退を進言します」

「マジかよ! クソッ、目的地は目の前だってのに!」

382 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:16:45.08 ID:p3am7MAO [7/14]
 マユの来た方向から、更に数体のアンドロイドがやって来た為、撤退を余儀なくされる浜面達。
 入口に向かって猛ダッシュするが、やはり体力に限界のない相手からは逃げ切れず、滝壺が肩を掴まれる。

「きゃっ!」

「滝壺! このやろ、離しやがれ!」

 浜面が滝壺からアンドロイドを引き剥がそうとした、まさにその時。
 麦野達が向かった方から、強烈な光の帯が迸る。

『謎の光線を感知。敵性と判断し、排除--』

「伏せろ!」

 言葉と共に伏せる浜面に従って滝壺達も身を伏せる。
 その直後、光線が浜面達の頭上を通り過ぎ、アンドロイド達を直撃、破壊する。

「あんたら厄介なのに追っかけられてたわね? で、製造ラインは見つけたの?」

 浜面は顔を上げ、ばつが悪そうな表情で自分達が来た方向--つまりは、『原子崩し』の光が向かった先を指差す。

「えっ? ……ま、まさか……まっすぐ行った先に……あったの?」

 珍しく真っ青になって質問する麦野に、黙って頷く浜面達。

「ええええええ!! 嘘でしょー!?」

 大慌てで通路を駆けていく麦野の後を、合流したフレンダ達と共に追いかける浜面達。

383 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:19:15.36 ID:p3am7MAO [8/14]
 麦野に追いつくと、そこには先ほど見た電子ロック付きの扉。
 どうやら、運良く光がここまで届かなかったらしい。

「よかったあ~」

 へなへなと膝を降り、力なくぺたんと座り込む麦野。

「超ラッキーでしたね」

「結局、今回は麦野がやらかすとこだった訳ねー」

 ニヤニヤしながら皮肉るフレンダだが、安心しきって力が抜けた麦野にその言葉は届いていないようだ。

「こんな所で何をしているのですか12907号、とミサカ10039号は問い掛けます」

 突然声をかけられて驚いた様に声のした方を見ると、マユと同じ顔の、武装した少女が立っていた。

「そちらこそここで何をしているのですか10039号、とミサカ12907号は質問を返します」

「相変わらず質問返しが得意ですね12907号、とミサカ13577号は呆れた様に突っ込みます」

「こちらの目的はコレです、とミサカ19090号は戦利品を見せびらかします」

「また19090号に出し抜かれてしまいました、とミサカ10032号は遺憾の意を表明します」

 続々と現れる同じ顔の少女達を、ただ呆然と眺める『アイテム』の面々。

384 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:21:30.54 ID:p3am7MAO [9/14]
 19090号が差し出したものを見て、麦野が我に帰る。

「それって、残骸(レムナント)……! なるほど、それにあんたらにとって不利益な情報も入ってるから、奪いに来たのね」

「そういう事です、とミサカ10032号は頷きます」

「へ? じゃあ、『科学結社』の構成員がいなかったのって……」

 フレンダが我に帰り、気になっていた事を確認する。

「はい、ミサカ達が始末しました、とミサカ13577号は事実を端的に説明します」

「始末って、殺したの?」

「いえ、正確には一カ所に集めて催眠煙幕にて眠らせてあります、とミサカ19090号は補足説明します」

 妹達に案内され、『科学結社』の構成員が集められた部屋に来た『アイテム』の面々。
 そこには十数名の構成員が眠りこけていた。

「あの超キザ男以外は無能力者みたいですね。でなければ銃火器程度で超大人しく言いなりにはならないでしょうし」

「じゃあ、コイツらの処理は下部組織に任せて、私らは帰るとしますか」

 麦野のその言葉に頷く『アイテム』の面々。
 アジトを出てすぐに下部組織に連絡し、車に乗り込む。

385 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:23:38.53 ID:p3am7MAO [10/14]
 一緒に車に乗り込もうとするマユを、浜面が制止する。

「ストップ! マユはそいつらと帰れ」

「ですが、ミサカは『アイテム』の……」

「あー、仮メンバーってやつだった訳よ」

「その仮メンバー期間がたった今超終わったんですよ」

「それに、元々あんたを連れ回す理由なんか、私達にはなかったし」

「大丈夫。私達は、マユは私達の事話さないって信じてる。だから、マユはいつもの日常に戻っていいよ」

 浜面の考えを察したのか、『アイテム』の面々もマユが乗るべきでないそれなりの理由を並べる。

「ミサカは……足手まとい、ですか?」

 がっくりと肩を落とし、消え入りそうな声で呟くマユ。
 浜面は車から降り、そうじゃなくてな、と前置きして、まっすぐマユを見て話し始める。

「俺はさ……お前には、これ以上暗部(こっち)に来て欲しくねえんだ。足手まといとかじゃなくて、単にお前を巻き込みたくねえ。傷ついて欲しくねえんだ」

「ここまで巻き込んどいて何を今更、って思うだろうけどさ。やっぱお前には、明るい道を歩いてて欲しいんだ。だから……ここでお別れだ」

 浜面の言葉を最後まで黙って聞き、静かに頷くマユ。

386 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:25:35.80 ID:p3am7MAO [11/14]
 『アイテム』の面々を乗せた車が『科学結社』のアジトから離れていく。
 それを見届けた後、妹達も足早にその場を去る。

 既に日も変わって久しく、朝食を取るためにいつものファミレスにやって来る『アイテム』の面々。

『こいつときたら! 危うく能力で製造ライン吹っ飛ばしかけるとかどういう神経してんのよー!』

『ホント怒られんのこっちなんだからしっかりしてよねーっ!!』

「モウシワケゴザイマセーン」

『本気で謝る気あんのかなこいつときたらーっ! まあいいや、ちゃんと無傷だったんだからこれで許したげる』

「そりゃどうも。で、電話掛けてきたって事は、また追加の仕事?」

『いや単に文句言いたかっただけ。じゃあねー』

 溜め息をしつつ携帯をしまう麦野を見て、ああ、また愚痴られたか、と思う他のメンバー達。
 珍しく全員がちゃんと注文をした事に店員達が驚愕していたが、そんな事は意に介さずに話し始める。

「さて、まあ今回は思わぬ助力のおかげでスムーズに仕事が出来たわね。……やらかしかけたのは本当に反省してる」

「いやいや、全然気にしてない訳よ! 結局、私みたいに実際に壊してないんだし……」

387 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:27:47.23 ID:p3am7MAO [12/14]
 自虐してしょんぼりするフレンダの頭を撫でる滝壺を見つつ、絹旗はマユについて言及する。

「マユを連れて来なくて本当によかったんですかね? 超ちょっとの間ですけど、私達の仕事に関わってたわけですし」

「でも、はまづらが決めた事だから」

「そうそう。たまには浜面の意見を尊重しないと。それに、偶然とはいえマユの仲間と合流したし、ちょうどいい機会だったんじゃない?」

 そんなもんですかね、と言って納得した表情を浮かべる絹旗。
 朝食を済ませて、浜面が運転する車でそれぞれの寮に送り届けられる面々。
 全員を送り届けてようやく自分の部屋に戻ってくる浜面。

(ん? あれ、鍵開いてる……?)

 鍵がかかっていない事を疑問に思ったが、多分閉め忘れたんだろうと思い、そのまま部屋に入る浜面。
 ふと足下を見ると、一足の靴が丁寧に隅に置かれている。
 まさかと思い、急いでリビングに向かうと、

「お帰りなさい浜面さん、とミサ……マユは主人の帰還を正座からのお辞儀で迎えます」

 マユが部屋の中で待ち構えていた。

「マユ! お前、何でまたここに……!」

 質問の意図が分からない、といった風に首を傾げるマユ。

388 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:30:05.90 ID:p3am7MAO [13/14]
「ミサカの日常はこの部屋にあります。ここを追い出されたらミサカには行くあてがありません、とミサカは懇切丁寧に説明します」

「いや、あのなあ。他のミサカ達と一緒にいればいいじゃねえか。何でここじゃなきゃ駄目なんだよ?」

「ミサカがいたら……迷惑ですか? とミサカは俯きつつ質問を返します」

「ああもうそうじゃなくて!」

 どうしていいか分からなくなり、頭を抱える浜面。
 そんな浜面を見ながら、マユは話を続ける。

「ミサカはどうしてもあなたの傍にいたいのです。他の居場所など考えられません、とミサカは正直な気持ちを吐露します」

「何でそこまで俺にこだわるんだよ?」

 浜面の疑問に、顔を紅潮させて俯くマユ。

「そ、それは……とミサカは……い、いいい言えません! あなたに一目惚れしたからだなんて!」

「いやいや言ってんじゃ……ってええええええ!?」

「キャッ、言っちゃった☆ とミサカは可愛い子ぶりつつ真っ赤になった顔を隠します!」

「えっいやっちょっ待っ……ええええええ!?」

 突然の告白を受けた浜面も顔を真っ赤にしてうろたえまくる。

389 名前: ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:32:31.01 ID:p3am7MAO [14/14]
「あなた達の『仕事』にさえ関わらなければ問題ありませんよね? とミサカは確認します」

「いやまあそうだけどだからって年頃の女の子と野郎がひとつ屋根の下は色々やべえって!」

「以前にも同じ事を言っていましたね、とミサカは振り返ってみます」

「しかしミサカは本気です、なんならペットだと思って頂いても構いません、とミサカはぶっちゃけ傍にいられれば扱いはどうでもいい事をアピールします!」

 何が何でも居座る気満々で食い下がるマユに、浜面はとうとう折れる。

「はあ……分かったよ、しょうがねえなあ」

「ありがとうございます浜面さん、あなたに相応しい女性となれるよう精一杯頑張ります、とミサカは宣言します!」

 そう言って屈託のない笑顔を見せたマユに、浜面の胸が高鳴る。

(いやいや待て待て早まるな心臓これは恋じゃねえただちょっと可愛いと思っただけで断じて惚れた訳じゃねえ!)

 こうして、下っ端雑用係とそれに惚れたクローン少女の、奇妙な共同生活が始まるのだった。



おしまいです、とミサカは(ry

394 名前:後日談?1/3 ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/08(土) 22:40:36.02 ID:bVElLEAO [1/4]
「どういう事か説明して」

 浜面はマユが帰ってきたその日--
 つまり今日が、毎週恒例の通い妻滝壺による手作り料理をご馳走になる日だという事を、すっかり忘れていた。
 マユとの押し問答に夢中だった為に、気づいたら部屋の入口に買い物袋を提げた滝壺がいるという状況だった。

「えーと、そのー……」

「はまづらは黙ってて」

「はいスイマセン」

 普段通りの寝ぼけ眼ではあるが、その双眸には怒りを湛えていた。

「マユ、どうしてここにいるの?」

「ミサカがいたら迷惑ですか、とミサカは」

「どうして、ここにいるの?」

 質問に答えろ。
 質問を返すな。
 目でそう訴えつつ、滝壺は再び同じ質問をする。

「ミサカは……ミサカの帰る場所は、ここにしました、とミサカは事後報告します」

「どうして」

 間髪入れずに追及する滝壺。

「ミサカは、浜面さんが好きです。だから、少しでも傍にいたいのです、とミサカは胸中を告白します」

「駄目だと言われても、他に行くところがありませんし、行きたくありません、とミサカは意地でも居座る事を宣言します」

395 名前:後日談?2/3 ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/08(土) 22:44:21.93 ID:bVElLEAO [2/4]
 黙ってマユの言い分を聞き、何も言わずにただマユを凝視する滝壺。
 しばしの沈黙の後、浜面の方を見て質問する滝壺。

「はまづらはどう思うの? マユが一緒に住む事」

「まあ、マユがどうしてもっつってるし」

「はまづらの気持ちを聞きたいの! マユがどうとかじゃなくて!」

 珍しく語気を荒げる滝壺に驚き、偽りない気持ちを答える事にする浜面。

「ま、まあ、正直言えば……嬉しくないって言ったら嘘になる……てか、素直に嬉しいよ」

 再び沈黙。
 嫌な汗がダラダラ噴き出してくる浜面と、その浜面を怒りを湛えた寝ぼけ眼のまま睨みつける滝壺。
 そんな2人を交互に見やり、キョトンとするマユ。
 しばらくすると、滝壺が静かに口を開く。

「……ふう。分かった。そもそも、私達が最初にマユのお世話を押しつけたくせに、文句言える立場じゃないよね」

 滝壺の目から怒りの色が消えて、いつもどおりの滝壺に戻る。
 安堵の息を吐く浜面に、滝壺がひとつ提案する。

「でも、はまづらが言った通り、女の子と2人きりだと色々危ないよね。だから」

「だから?」

「私も、一緒に住むから。よろしくね、はまづら」

396 名前:後日談?3/3 ◆bmhfkfa102[saga] 投稿日:2010/05/08(土) 22:48:45.23 ID:bVElLEAO [3/4]
「おう、よろしくなたきつ………………はい?」

 今、なんて言った?
 浜面がそれを声に出すより早く、

「だから、私も一緒に住むから。よろしくね、はまづら」

「ええと、滝壺、さん?」

 何度も言わせないで、と言って頬を赤らめて俯く滝壺を、唖然とした表情で見つめる浜面。

「いや、だからさ、女の子と野郎がひとつ屋根の下は色々ヤバいって、俺言ったよな?」

「女の子が2人になれば大丈夫だよ、はまづらは両方に手を出す様な浮気者じゃないから」

 何故か勝手に浜面にキャラ付けして1人で納得する滝壺。

「いやいや人数の問題じゃなくて! 根本的なとこが解決出来てないから!」

「浜面さんは、滝壺さんとミサカの2人と暮らすのが嫌なのですか? とミサカは哀しげな目をして質問します」

「いやっもうっあのね!? 聞いて!?」

「大丈夫。そんな女の子の一大決心を無碍にするはまづらを、私は嫌々応援してる」

「分かった! 分かったから! 一緒に住もう! だから嫌々とか言わないで!」

 もう訳が分からなくなった浜面は、なし崩し的に滝壺の同居も認めるのだった。

397 名前: ◆bmhfkfa102[] 投稿日:2010/05/08(土) 22:51:11.98 ID:bVElLEAO [4/4]
終了
さて、打ち止メルモの書きためでもはじめようかね

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