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女「おかえりぃ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 22:34:29.92 ID:TI7dytm50 [1/15]
男「………」

女「あれ? おかえりぃ?」

男「………あ、あ…え?」

女「お兄ちゃん?」

男「…あぁ、なんだ、お前か」

女「お前か…って、ひどいなぁ。 あ、もしかして、お姉ちゃんかと思った?」

男「まぁ、ちょっと、な」

女「まだ見分けつかないんだ?」

男「つくわけないだろ…双子なんだから」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 22:38:08.71 ID:TI7dytm50
男「…なんだ、またケンカでもしたのか?」

女「そうそう! ちょっと聞いてよ、お母さんってばさぁ!」

男「あー…悪い。 後から聞くから」

女「あ…うん。 ごめんね、 晩ごはんの用意してるから」

男「ああ、悪いな」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 22:43:23.86 ID:TI7dytm50
男「………………ただいま」

女「…へぇ、お姉ちゃんには『ただいま』って、ちゃんと言うんだ?」

男「なんだ、いたのか?」

女「いましたけど」

男「これ、お前が? たい焼き」

女「…うん、お姉ちゃん好きだったから」

男「そうか、悪いな」

女「まぁ、私の夜食になるんだけどね」

男「夜、甘いもの食うと太るぞ」

女「むぅ…で、でも、もったいないし…」

男「太るだろうなぁ…何カロリーだ?」

女「…もぉ、お兄ちゃんはいじわるばっかり言う」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 22:51:10.50 ID:TI7dytm50
女「でね? お母さんったら人の研究の内容も重要性もよくわからないくせに…聞いてる?」

男「はいはい。 聞いてますよ」

女「そりゃね、博士後期課程まで行っちゃったのは、ちょっとマズイかなぁとか自分でも思ってるよ?」

男「ちょっと…っていうか、大分まずいよな。 確実に就職先限定されるし」

女「むぅ…でも、どっちにしても今年、就職無かったし」

男「…マジメに就職活動してれば、1社くらいはあったんじゃないか? 修士のころ全然してないだろ?」

女「だ、だって、研究の方が楽しかったし…」

男「はぁっ…」

女「あ、なにそのタメ息? お兄ちゃんも私のダイオウグソクムシをバカにしてる?」

男「バカにしてるって言うか……普通に怖いとかキモいとかだろ、あの虫」

女「な!? お兄ちゃんも2週間くらいじっと眺めてればわかるって! 超かっこいいんだよ!」

男「…あぁ、そう」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 22:57:21.25 ID:TI7dytm50
男「なぁ、その『お兄ちゃん』っていうのだけど」

女「なに? お兄ちゃん?」

男「よく考えなくても、同い年だし、そろそろやめないか?」

女「……だって、お姉ちゃんの…旦那さまだし」

男「…ていうか、だいたい、お前ら双子だろ? 姉も妹もないだろ? 同級生の双子なんか名前で呼び合ってたぞ?」

女「あ、あぁー…うん、それは、なんていうか、気がついたら、お姉ちゃんがお姉ちゃんで私が妹だったーみたいな?」

男「…よくわからん」

女「んー…小学生くらいにね、なんかもったいないなぁーって、せっかく姉妹なんだし、やってみようか! みたいな?」

男「………よくわからんなぁ」

女「ん、わかんなくてもいいよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:06:08.17 ID:TI7dytm50
女「大学もね、どっちかが大学に行くなら、もう片方は就職かなぁって」

男「…ああ」

女「ほら、性格も趣味も一緒だったから、好きな方選ぶと一緒になっちゃうんだよねぇ」

男「…『イチゴショートを2つ頼むより、イチゴショートともう一種類選んだ方がお得な気がする』って」

女「あ、お姉ちゃんが言ってた? 半分コした方が二つも味わえていいよねって…そんな感じだったんだぁ」

男「…じゃあ、代わりに大学に通ったりも?」

女「うん。 最初は無理だったけど、慣れたらね。 私もお兄ちゃんの会社に行ったことがあるよ?」

男「初耳だ」

女「…そ、ね。 まぁ、交代してたのは、どっちも大学がおもしろくなったり、会社がおもしろくなったりする前だから」

男「あぁ、片方に集中するもんができたら、どっちもってわけにはいかないよな」

女「そうそう、お姉ちゃんはお兄ちゃんをオトために。 私はダイオウグソクムシに愛情をそそぐために」

男「…俺、あの虫と同等に語られるんだ」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:11:42.21 ID:TI7dytm50
女「なによぅ…お兄ちゃんもわからないんだー。 あの瞳の鋭利さ…フォルムの重厚感」

男「無理…俺、ダンゴムシは5cm以上のサイズになっちゃダメだ、無理」

女「…あのかっこよさをわかってくれたのは、お姉ちゃんだけだった」

男「そう言えば、あいつの携帯の待ち受けもあの虫だな」

女「そうそう。 二人で一緒の待ち受けだったんだよ」

男「正気の沙汰とは思えない」

女「なんだとぉー! これはもうダイオウグソクムシの素晴らしさを朝まで語り明かすしかないね!」

男「いや、俺、明日も仕事なので、これで」

女「…今度、お兄ちゃんの待ち受けも同じ画像にしてやる」

男「死ぬ! それされたら、心臓発作かなんかで死ぬ!」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:16:46.78 ID:TI7dytm50
女「…お兄ちゃん、さっきの件」

男「な、なんだ? あの虫の画像はやめろ? お前のメールに添付されてる画像は見ないぞ?」

女「……もし………もし、お兄ちゃんが、お姉ちゃんと離婚するなら、もう呼ばない」

男「………」

女「…お兄ちゃんが、指輪外して、お姉ちゃんを忘れるって言うなら」

男「そうか」

女「うん。 だから、あの、でも、お姉ちゃんを忘れて欲しいわけじゃ」

男「大学院っていうのはヒマなとこなのかもしれんが、ちゃんと朝起きて学校に行けよ?」

女「へ?」

男「…あー眠い。 夜更かしするなよ?」

女「あ、う、うん、頑張る…おやすみ?」

男「ああ」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:25:02.46 ID:TI7dytm50
女「はぁ~」

友「…意味ありげにタメ息ついても相談とか乗らないからね」

女「そうなのよねぇ…」

友「なにがよ…ダイオウなんとか虫? それともお兄さん?」

女「兄さん、ってばさぁ…」

友「あんたねぇ…いい加減にあきらめたら? お姉さんが結婚するとき、あきらめるって言ってたじゃない?」

女「だってぇ…」

友「そりゃ、ダイオウなんとか虫のことでタメ息つくよりは健全だけど」

女「…だってさぁ、顔もなにもかも一緒なのに、なんで私じゃないんだろーって、私じゃダメなのかなぁって…」

友「知らないわよ…双子って言っても違うんじゃないの?」

女「髪型も服も、姉さんと同じにしてるのにさぁ…」

友「……いや、それってちょっと酷いんじゃ」

女「………だいたい私の方が先だったのに」

友「ああ、もう! 腐るなら研究室の外で腐れ!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:30:53.74 ID:TI7dytm50
男「…はぁっ」

後輩「あれ? せんぱい、今日残業ですか?」

男「………まぁ、そんなところ」

後輩「…って、仕事してないじゃないですか! グーグルのパックマンじゃないですか!」

男「こら、声が大きい」

後輩「あ、す、すいません」

男「…ちょっと帰りづらくてな、ヒマつぶしてるんだ」

後輩「あ……そ、そうでしたね。 帰っても一人だと寂しいですしね。…あ、あの、もしよかったら」

男「あ、あぁ、そういうわけじゃなくて……寂しいというか、勘違いしそうになるっていうか」

後輩「はぁ…?」

男「まぁ、もうちょっとしたら帰るから、見逃してくれ」

後輩「でも、せんぱいがひまつぶしでパソコン使われている分、会社の経費が…光熱水費が」

男「…わかった…帰る、帰ります…」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:37:13.77 ID:TI7dytm50
女「おかえりぃ」

男「…あぁ」

女「お風呂にする? シャワーにする? そ・れ・と・も…」

男「炊飯器のスイッチを入れ忘れたな?」

女「…てへ」

男「歳を考えて反応しろ? 20代半ばだぞ? これだから学生は」

女「うわぁー説教臭い…オヤジだ」

男「そうだな、俺がオヤジならお前はオバサンだな」

女「ていうか、すごいねぇ、以心伝心? なんでわかったの、炊飯器」

男「あぁ、あいつもよく入れ忘れて、こんな風に……」

女「あぁ、なるほどねぇ…姉さんもうっかりさんだったからなぁ…」

男「…そう、そうだな。 それじゃ風呂、先に入ります」

女「どうぞぉー…って、私の家じゃないけどね」

男「ほんとな」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:42:33.12 ID:TI7dytm50
男「ふぅ…うまかった」

女「…おそまつさまでした」

男「お茶、淹れようか?」

女「いいの? やった」

男「これくらいなら。 家事やってもらってるしな」

女「…ちなみにさ、どうかな? おいしかった?」

男「ああ、うまかった」

女「…お姉ちゃんと比べて」

男「……あいつが作る料理も、お前のも同じ味だな」

女「……そりゃ、同じもの食べてきたしね」

男「ああ、なるほどな」

女「そうそう、ダイオウグソクムシの仲間にオオグソクムシっていうのがいて、日本でも食用になっててね」

男「やめろ。 食後にあの虫の話はやめろ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:47:34.26 ID:TI7dytm50
女「…男の趣味だけは違ったはずなんだけどなぁ」

友「…ああ、そ」

女「なんでだろうなぁ…なんで」

友「ちょっと、その論文のコピー中国から取り寄せてるんだからコーヒーこぼさないでよ?」

女「…冷たい。 7年目の友情も、こんなものか」

友「そりゃ、5年越しの届かない愛情に比べたら」

女「…とどかない」

友「…あ、ごめん」

女「………はぁっ」

友「ていうかさ、結構ひどいことしてるって思わない?」

女「ひどいよねぇ…兄さん」

友「いや、あんたのこと」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:57:57.77 ID:TI7dytm50
女「私?」

友「そ。 あんた、お姉さんと瓜二つなんでしょ?」

女「は、はい…双子ですので……え、えと、怒ってる?」

友「…別に、怒ってないけどさ。 ただ、どうかなって思う」

女「な、なにがでしょうか?」

友「だって、あんたの顔見たら、お兄さん、お姉さんのこと忘れたくても忘れられないのよ?」

女「………」

友「まだ亡くなって半年も経ってないのに、もしかしたら、あんたの顔見るたびの奥さんの」

女「――ったら、どうしたらいいのよ!」

友「え」

女「お姉ちゃんが忘れられちゃったら、私だって一緒に忘れられる! だって…だって、同じ顔なんだもん!」

友「そ…そりゃ、でも、お兄さんのこと考えたら」

女「…あ……う…」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 23:59:06.73 ID:TI7dytm50
友「あんただって、わかってるんでしょ?」

女「………ごめん、大きな声出して」

友「ううん。 こっちこそ、ごめん。 私が口出しすることじゃなかったかも」

女「…そうよね。 ほんとね。 口出しするとこじゃないよね」

友「ええぇっ!? ちょ、だって、今、私、あんたの相談に乗って…ていうか、今のとこは『ううん、そんなことないよ』とか言うとこでしょ?」

女「えー…『うーんーそんなことないよー』」

友「棒読み!?」

女「ううんっ…そんな、そんなことないよぉっ!」

友「感情込めまくり!?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:14:40.23 ID:sqUHXiOJ0 [1/32]
男「妹、って言っても、嫁さんの、なんだけどね」

後輩「ああ…はい、葬儀のときに。 双子さんなんですよね」

男「…そうなんだよ…帰ったらさ、同じ顔で、同じ髪型で、同じ服装で…同じようなこと言ったり、したりして」

後輩「はぁ…」

男「…わかってるんだ。 彼女たちが違う人間だって…でもさ、やっぱり」

後輩「わかります。 私も、もし、せんぱいと同じ顔の人がいて一緒に暮らしてたらって思うと」

男「だろ? わかっては、いるんだけどなぁ…つい、勘違いしそうになるっていうか、勘違いしたくなるっていうか」

後輩「…どうして今のニュアンスで伝わらないんだろ?」

男「ん? なんか言ったか?」

後輩「…いいえ、べつになにも」

男「そうか………気ぃ、抜いてるとさ、『おかえり』って言われたら、『おかえり』って抱きしめたくなる」



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:16:59.48 ID:sqUHXiOJ0 [2/32]
後輩「………」

男「どうかしたか?」

後輩「…いいえ~、なんというか、おノロケに当てられてしまったといいますか。…愛されてたんですね、奥さんのこと」

男「ああ…悪いな、こんな暗い話聞かせて」

後輩「いえいえ~。 私でお役に立てるなら。 せんぱいのためなら、なんでもしますよ」

男「こらこら…女の子がそう簡単になんでもとか言ったらダメだぞ?」

後輩「……べつに、その、簡単に言ってるわけではないんですけどね」

男「ていうか、いい後輩を持ったものだなぁ。 よし、今日は週末だし、晩メシをおごってやろう」

後輩「ありがとうございます。 なんていうか、せんぱいわざとですか? わざとですよね?」

男「あんまり高いとこじゃないけどな、行きつけの定食屋があるんだ。 魚のフライがうまいぞ?」

後輩「ていうか、妹さんの待つ家に帰りたくないだけなんじゃ…」

男「よーし、行くぞー」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:24:34.70 ID:sqUHXiOJ0 [3/32]
女「おかえりぃ」

男「…あぁ」

女「今日は、遅かったですねぇ」

男「え? ま、まぁ、付き合いでな。 後輩にメシをおごらなきゃならんときもある」

女「そうですか。 そういえば、お葬式のときに来られてた後輩さんはかわいらしい方でしたねぇ」

男「な…ま、まぁ、かわいいかそうでないかと言えば、前者になるんじゃないですか? ていうか、なんで敬語?」

女「いえいえ、お兄様がどこで、だれと、どんなことをされていたとしても、構いませんけど?」

男「いやいや、ごはんを食べただけですよ?」

女「……ふーん、そう」

男「本当だって。 ただの後輩なんだから」

女「…まぁ、いいですけど」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:32:08.50 ID:sqUHXiOJ0 [4/32]
女「………それと、晩ご飯つくってあるんだけど」

男「あ………悪い」

女「晩ご飯いらないんだったら連絡して欲しい」

男「悪い………って、いや待てよ」

女「なによ?」

男「お前は、いつまで我が家に居座る気だ?」

女「あ…」

男「そもそも、俺は晩メシを作れとは言ってないだろ」

女「む! だったら、お兄ちゃん、晩ご飯いらないってことね! もう作ってあげない!」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:33:45.27 ID:sqUHXiOJ0 [5/32]
男「え…いや、そ、それは困る」

女「無理言って部屋を貸してもらってるせめてものお礼って思ってたけど」

男「…ああ、むりやり住み着いてる自覚はあったんだ」

女「どうせ、お兄ちゃんにとっては、お姉ちゃんのと似た味のするご飯だろうし!」

男「確かにそうだけが、いや、実際助かってるって言うか」

女「肯定した!? どうせ私の料理なんてお姉ちゃんの劣化コピーだもん!」

男「えぇ!? 肯定って、だって、今、お前自分で」

女「サイアク! 実家に帰る!」

男「いや、なにそれ、帰るのはいいけど、そういう帰り方はやめろ!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:41:31.34 ID:sqUHXiOJ0 [6/32]
男「あ、あの」

女「なによ? こんな家出て行ってやるんだから」

男「だったら、俺の部屋にいないで、自分の部屋で荷造りしたら――う、ウソ、ウソです。 ジョークです」

女「…なによ?」

男「いや……その、悪かった。 晩メシ、連絡してなくて。 考えとくべきだった」

女「………」

男「悪かった、このとおり、謝る」

女「…わ、私も、その、ごめんなさい」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:44:56.64 ID:sqUHXiOJ0 [7/32]
女「ちなみに、お兄ちゃん?」

男「なんだ?」

女「後輩のひととは、本当になにもなかった?」

男「…ないよ。 あるわけないだろ。 こっちは既婚者なんだからな」

女「………」

男「なんだよ?」

女「べっつにぃ…」

男「なんだよ…」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:50:52.31 ID:sqUHXiOJ0 [8/32]
女「ふむふむ」

友「…あんまり、人の趣味にケチつけたくないんだけどさ」

女「なに?」

友「妙齢の女性がそういう雑誌を読むのってどうかと思う」

女「そう? けっこうタメになるよ。 読み終わったら貸そうか?」

友「…いい。 遠慮しとく」

女「うーん……こう、こんな感じ?」

友「股を広げるな股を」

女「いいじゃん、誰も見てないんだし……ええと、それで…なにか咥えるものは」

友「ない。 この部屋にはそんなものないから」

女「……メスシリンダーか、試験管か……どっちだろ? サイズ的に」

友「なにをする気か聞くつもりもないし。 聞きたくもないから。 自分の研究室でダンゴムシでも眺めてろ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 00:56:14.69 ID:sqUHXiOJ0 [9/32]
女「ダンゴムシじゃないし…確かに仲間だけどダイオウグソクムシ」

友「…ええと、わかった。 そのダイオウなんとかね。 うん」

女「……でも、やっぱり、試験管くらいの方がサイズが安心かなぁ…」

友「………いや、あんたさ、見てればわかるんだけど、もしかして」

女「うん、これはもう夜這うしかないかなって」

友「…うわぁ」

女「兄さんの会社に敵がいるみたいだしね、先手必勝」

友「………」

女「なにその呆れてモノが言えないみたいな顔」

友「呆れてモノが言えない」

女「む」

友「…まぁ、適当に頑張ってみたら」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:03:54.91 ID:sqUHXiOJ0 [10/32]
女「姉さんが兄さんと付き合い始めたって、紹介されて、すごくびっくりした」

友「…ああ、あんたが、お姉さんの会社に行ったときに会ってたんだっけ?」

女「うん…ちょっと話しただけなんだけどね。 ひとめぼれだったから」

友「…ひとめぼれっすか」

女「ショックだったなぁ…だって、もう無理じゃない? 叶わないじゃない? もしも二人が分かれたとしてもさ」

友「そうね」

女「姉さんと同じ顔で同じ性格の私が、次に選ばれるわけないもの」

友「…そうね」

女「だから、あきらめた。…あきらめたんだけどなぁ」

友「あきらめ悪いねぇ」

女「…自分でもそう思う」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:08:32.69 ID:sqUHXiOJ0 [11/32]
後輩「あ、せんぱい、お昼まだですよね? 実は私、……あれ? それは?」

男「あ、ああ…いらないって言ったんだけどさ」

後輩「…妹さんの手作りですか」

男「…まぁ、そう」

後輩「…へぇ…21世紀のこのご時勢に、桜でんぶでハートですか」

男「…あ、はははは」

後輩「ご一緒させていただいてもいいですか? 私もちょうど今日はお弁当を作ってきましたので」

男「え? ああ、いいけど」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:13:51.65 ID:sqUHXiOJ0 [12/32]
後輩「…せんぱいがお弁当持ってこられるのって久しぶりですね」

男「そう、だっけ? そうかもな」

後輩「いつも奥さんと仲睦まじく会社の前の公園でご飯を食べてましたね」

男「……えー、あーそ、そうだっけ?」

後輩「ええ。 『なんだあのバカップルは』と苦情が入ったくらい」

男「ま、マジですか?」

後輩「もちろんウソですけど」

男「なんだろう…最近各方面からの風当たりが厳しいなぁ」

後輩「同期の憧れのカップルだったんですよ? お二人は」

男「………」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:21:59.23 ID:sqUHXiOJ0 [13/32]
男「嫁さんとはさ、昼休みにこうやって弁当食べてるときに出会ったんだ…そんときはコンビニ弁当だったけど」

後輩「へぇ~あまりにも貧しい食生活のせんぱいに奥さんが『これは私がなんとかしなくちゃ!』と?」

男「違う違う。 ただ単にちょっと道を聞かれただけ。 会社までの」

後輩「は?」

男「社員のくせになぁ…自分の会社の帰り方がわからなくなったらしい」

後輩「……方向音痴っていうやつですか?」

男「そんなことなかったなぁ…ただ単に慣れてなかったからなのかなぁ…道案内したんだけど」

後輩「…ふぅん、それがお二人の馴れ初めと」

男「ああ、いや、これは、俺が覚えてるだけで、嫁さんは忘れてるみたいなんだ」

後輩「へ? そんなおもしろい体験を?」

男「まぁ、俺のひとめぼれだったから。 その後、部署を聞いて通い詰めて、付き合い始めて」

後輩「…ひとめぼれ、ですか」

男「そんなとこだなぁ…で、プロポーズしたり、指輪買ったり、部屋借りたり」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:30:17.09 ID:sqUHXiOJ0 [14/32]
男「………死んじゃったんだけどな」

後輩「………」

男「わかってるんだ。 もう、いないんだって。 毎朝写真に向かって『おはよう』、帰って写真に『ただいま』って」

後輩「…」

男「…むなしいことやって、自分に『もう死んだんだ』って言い聞かせて、でも、まだ、なんていうか実感がないんだよ」

後輩「…それは、お家に妹さんがいるから?」

男「そう、なのかな? どうなんだろう?」

後輩「あ、あの、せんぱいっ…せんぱいは、いつか、再婚って考えられますか?」

男「………どうだろ? でも、今のところ、自分の嫁さんは、あいつ一人しか考えらんないな」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:39:20.73 ID:sqUHXiOJ0 [15/32]
係長「どうしたの? 今日は午後からずっと暗いじゃない」

男「…すいません」

係長「いや、謝らなくてもいいけど。 お、そぉだ! こんなときは酒に限るなぁ!」

男「いいえ結構です。 俺、係長ほど酒強くないんで」

係長「遠慮するなって、ちゃんとワリカンにしとくから」

男「そこは、口だけでも『奢ってやる』とか言えないんですか?」

係長「ははは、独身貴族にはわからんだろうが妻帯者ってもんはそれはもう肩身が狭い……あ、いや、そうだったな」

男「…まぁ、今は独身貴族なようなもんですから」

係長「よし! 行こう! いざ歓楽街へ」

男「あ、いや…」

係長「どうした? どうせ家に帰っても一人で寂しくコンビニ弁当だろう? あ、もしかして、もう新しいコレが」

男「………いませんけど」

係長「そうだろうとも! さあ行こう! 今行こう! すぐ行こう!」

男「…係長、まだ勤務時間内ですので」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:41:21.43 ID:sqUHXiOJ0 [16/32]
女「………」

女「………よし! イメージトレーニング完了! あとは帰ってくるのを待つだけかぁ」

女「~~っ!! よぉし! いつでも来ぉい!」

女「ん? メール来てる…あ、お兄ちゃんから」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:44:33.75 ID:sqUHXiOJ0 [17/32]
男「うぃーひっく……うぇ…」

男「……ただいまぁ~」

男(うあ~…もう2時だし)

男(寝てるなぁ…きっと…)

男(ていうか、俺も眠いし)

男「…ひっく………寝よ」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:48:06.12 ID:sqUHXiOJ0 [18/32]
男「くかー…くかー…」

女「………なんだこれ」

男「くかー…くかー…」

女「…お兄ちゃん? お兄ちゃん? お酒臭いよ? 背広皺になっちゃうよ?」

男「くかー…くかー…」

女「ていうか、ここ私の…あ、いや正確にはお兄ちゃんたちのベッドなんだけど」

男「くかー…くかー…」

女「………まさか夜這われるとは」

男「くかー…くかー…」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:58:00.66 ID:sqUHXiOJ0 [19/32]
男「くー…くー…」

女「…泥酔してる……お酒強くないくせに飲むから」

男「くー…」

女「…おーい、起きてー起きろー起きよー!」

男「…く……う……んぅ…」

女「あ、起きた?」

男「……ん…あぁ…」

女「おかえりぃ」

男「…ただいま」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 01:58:42.00 ID:sqUHXiOJ0 [20/32]
女「さっそくだけど、あの提案っていうか…きゃっ…わ、わわ、な、なにを」

男「…なぁんだ…夢だったかぁ…はぁぅ…」

女「え? え? ちょ、ちょっと酔ってる? って、なに、胸に顔を埋めてんの!」

男「…いいだろー。 そんな大したもんじゃないんだから」

女「そ、そりゃ、確かに大したものではございませんが…」

男「ていうか、いつも言ってるだろーが…抱きしめられてるときくらい、大人しく抱きしめられてろ」

女「い、いつも…て、いやこれ、空前絶後のしちゅえーしょんなんですけど!?」

男「ぅっさいなぁ…ふさぐぞ」

女「って、ふぁむ!?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:03:36.30 ID:sqUHXiOJ0 [21/32]
女「………」

男「…よしよし、大人しくなった」

女「………」

男「…夢、見てたんだ。 すごい、哀しい夢…お前が死んじゃう夢」

女「ぁ…」

男「つまんない交通事故で、葬式もやって、すごいリアルな夢だった…」

女「…え、えと」

男「なんで、お前が死んでるのに、俺は生きてるんだろうって…思いながら生きてて」

女「………」

男「そうそう、お前の妹がウチに転がり込んでるんだ…だからかなぁ、死のうって思わなかったのは」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:09:37.07 ID:sqUHXiOJ0 [22/32]
男「俺はさ、つい、お前の妹にお前を重ねて見ちゃうんだけど……」

女「そ、それで?」

男「…やっぱり、お前じゃないから。 同じ顔でも違うからさ」

女「っ!!」

男「俺、お前じゃないと、お前がいないとダメだ」

女「~~っ!!」

男「…ん? どうした?」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:10:18.34 ID:sqUHXiOJ0 [23/32]
女「な、なんでも、ない、なんでもないよ?」

男「んーそうか…ふあぁ…眠い」

女「飲みすぎ」

男「わかってる…仕方ないだろ、飲みニケーションってもんがあるんだ」

女「明日も仕事でしょ? もう寝よ?」

男「ああ…うん、おやすみ」

女「あ、あの、腕離してくれないと…寝にくくない?」

男「…ごめん。 今日はこのままで…おやすみ」

女「………おやすみなさい」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:14:51.74 ID:sqUHXiOJ0 [24/32]
男「…Zzz…Zzz」

女「お兄ちゃんのばーか」

女「……ばかは、どっちか」

女「ねぇ、お兄ちゃん、私はお姉ちゃんの代わりにさえなれないのかなぁ?」

女「ねぇ?」

女「私はお姉ちゃんの代わりでもいいんだよ?」

女「…やっぱり、お姉ちゃんじゃないとダメなの?」

女「………私は要らない?」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:17:10.22 ID:sqUHXiOJ0 [25/32]
ふと、正気に返る

日曜の朝なのになんて発展性のない話を書いているのでしょう
てか、これどうにもならなくね?
スレが立ってから思ってたけど、のっけから話が暗重くね?

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:23:51.76 ID:sqUHXiOJ0 [26/32]
女「………」

友「暗いよ…」

女「…うん、ごめん」

友「なに? 昨日はやっぱりうまくいかなかった?」

女「………うん、そんなとこ」

友「そ、じゃ、落ち込んでなさい」

女「…うん、落ち込む」

友「………」

女「………はぁ」

友「…せめて自分の部屋で落ち込んだら?」

女「あ…うん……そうね、うん、私にはまだダイオウグソクムシがいる! 研究がある!」

友「……ああ、そうね」

女「よぉし! 論文出すぞー!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:30:04.11 ID:sqUHXiOJ0 [27/32]
男「よ!」

後輩「…せんぱい?」

男「どうした?」

後輩「いえ、なんていうか…明るい、ですね」

男「そうか? そうでも…あるかもな」

後輩「え、ええと何か良いことでも?」

男「ああ、昨日ひさしぶりに嫁さんの夢見てさ。 嫁さんが生きてる夢」

後輩「あ、そ、それは…その」

男「朝、起きて目が覚めたら、やっぱり夢で、なんでか台所で寝てたんだけど」

後輩「……それで、その、良い夢だったんですか?」

男「…ああ、良い夢だった。 ちゃんと吹っ切れそう。…あいつは、もういないって、わかった」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:36:59.35 ID:sqUHXiOJ0 [28/32]
男「………?」

男「ん? いない?」

男「………家に帰ったのかな」

男「………ただいま」

男「おみやげ」

男「好きだったんだろ、たい焼き」

男「ていうか、甘いものはだいたい好きだったよなぁ」

男「今まで不義理にして悪かった。 これからは供え物くらいは買ってくる」

男「……お前の妹は、義母さんと仲直りできたのかな」

男「まぁ、静かになっていいな…」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:45:39.32 ID:sqUHXiOJ0 [29/32]
友「こんにちは」

男「…こんにちは」

友「怪しいものではありません」

男「いや、白衣似合ってるよ。 なんていうか怪しさ倍増?」

友「…脱いだ方がいいですか?」

男「そうだな。 学校の外では脱いだ方が良いかも…ええと、妹…まぁ、妹?の友達?」

友「あ、はい。 話が早くて助かります。 彼女、留学しますよ、アメリカに。 いいんですか?」

男「………話早すぎじゃないですか?」

友「ダイオウなんとか虫って知ってますか?」

男「ダイオウグソクムシ…大西洋とかメキシコ湾で獲れるんだっけ?」

友「さすがお兄さん、あの気味の悪い虫、大丈夫なんですね。 私は無理です」

男「いや、俺も、アレは無理だけど………留学? アメリカに?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:50:26.27 ID:sqUHXiOJ0 [30/32]
男「よ、今帰りか?」

女「え? お兄ちゃん?」

男「ああ」

女「あ、そうなんだ。 最近寝てなかったから、ついに幻が見えたかと…って、会社は?」

男「…創立記念日」

女「あ、そうなんだ……ってそんなのあるの!?」

男「いや、ないだろ。 本当は有給休暇っていうやつだけど」

女「あ、そうなんだ……ってそんなのあるの!?」

男「そりゃ…あるだろ? 労働基準法とかで決まってるし…なぁ?」

女「あ、そうだよね、あるよね」

男「もちろんあるさ…あ、は、ははは」

女「う、ふふふふ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:53:04.34 ID:sqUHXiOJ0 [31/32]
男「…アメリカ行くのか?」

女「………耳、早いね」

男「まぁ」

女「お母さんったら、余計なことばっかり…」

男「あ、いや、ソースは別だけど」

女「ウスター? オイスター?」

男「…大丈夫か? 英語?」

女「…大丈夫なわけないじゃん…とえっくとか受けないと行けないし…」

男「そうか。 大変だな」

女「大変なのよ」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 02:58:14.88 ID:sqUHXiOJ0 [32/32]
男「行くのか」

女「うん…先生にちゃんと研究職につくなら…って、勧められて」

男「………研究職につくんだ?」

女「そう。 ダイオウグソクムシ研究の第一人者になるの」

男「そうか」

女「そう」

男「ちなみにさ」

女「ん?」

男「研究やめて、俺の嫁になる気はあるか?」

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:01:22.55 ID:sqUHXiOJ0
女「………」

男「………」

女「お兄ちゃん?」

男「なんだ?」

女「え…えーっと、またまたお兄ちゃんたら、冗談ばっかりー?」

男「冗談で休暇をとってわざわざこんなところに来たりしない」

女「………」

男「………」

女「…それってさ、お姉ちゃんの代わりにってこと?」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:05:58.26 ID:sqUHXiOJ0
女「…お姉ちゃんの代わりってこと、だよね? だって、お兄ちゃんは」

男「いや」

女「ウソ。 まだ全然忘れられないくせに。 死んでるのだって信じてないくせに」

男「あ、いや、そうじゃなくて」

女「違うの? お姉ちゃんのこと忘れた? 嫌いになった? じゃあ、私じゃないよね? 私は違うでしょ?」

男「あ、ああ、だから、そうじゃないと」

女「なによ?」

男「いや、だから……よくわからん」

女「……は?」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:12:57.37 ID:sqUHXiOJ0
男「あいつの代わり…なのかとか、よくわからん」

女「…なにそれ」

男「たださ、家の中がまた寂しくなってさ」

女「へ?」

男「あいつもお前もうるさいくらいにぎやかだったから、いなくなるとホントに俺だけになるんだ」

女「…ええと、うるさいくらいの妹がいた方が、家の中がにぎやかでいいなぁってこと?」

男「ていうより、お前の友達にアメリカに行くって聞いて、それは嫌だと思ってな」

女「つまり、なにも考えてない?」

男「…なにもってことはない。 あんまり、くらいだ」

女「なにも考えずにプロポーズするなよ」

男「全く考えてないわけじゃないぞ」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:20:04.31 ID:sqUHXiOJ0
女「…じゃあ、なにを考えて」

男「あいつと男の趣味が一緒なら勝算はあるかな、と」

女「………」

男「あいつのときは2ヶ月くらい通い詰めて口説いたようなもんだから、今度も2ヶ月くらい大学に通い詰める」

女「…普通、コピー機とかFAXを借りに来るのを口説くって言わない」

男「…まぁ、それはそれとして。 留学っていつだ? それまでにはなんとか承諾してもらう」

女「わかってて言ってるのか…それとも」

男「なにを?」

女「………」

男「な、なんだよ? にらまなくてもいいだろ…」

女「…私が」

男「……お前が?」

女「私が、お兄ちゃんに、その…そういうこと言われるの………むちゃくちゃ嬉しいってこと」

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:31:15.99 ID:sqUHXiOJ0
男「あのさ」

女「仕方ないよ。 こういうことはよくあること。 特に我が家では日常茶飯事」

男「いや、そろそろ反省しろよ。 なんで炊飯器のスイッチを押さない? ワンタッチだぞ? 指一本で済むぞ?」

女「…なんか、お米研ぎ終わったら、仕事を終えた感じがしない?」

男「……まぁ、いいけどさ。 昼は適当になんか買って食べるし」

女「えぇ!? せっかくおかずはちゃんと作ってあるのに!! ひどい!!」

男「わかった。 おかずだけ持っていく。 これでいいだろ?」

女「あ、そうだ。 じゃあ、ご飯が炊けたら、持っていく、会社に! ひさしぶりに行ってみたい!」

男「…いいけどさ」

女「なつかしいなぁー。 何年ぶりだろ?」



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:31:56.60 ID:sqUHXiOJ0
男「…そろそろ行ってきます」

女「いってらっしゃい。 また後でね」

男「ああ……あ、あと、また会社への道がわかんなくなったら電話しろよ?」

女「うん、お願いね………え?」

男「じゃ、行ってきます」

女「ちょ、お兄ちゃん、なんで知って? え?」

男「なんとなく、だ。 それじゃ、もう行くぞ、時間無いからな」

女「え、あ、い、いってらっしゃい」


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:32:37.14 ID:sqUHXiOJ0
おしまい

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 03:40:28.78 ID:sqUHXiOJ0
どーも、こんばんはー

なんでしょうね? なんなんでしょうね、この話?

義妹っていいよなっていう発想ではじまりました。
いざ始めてみると妹感がないことに自分の才能の無さを感じてしまいました。

これ以上上の方に書いてある文章に触れるのはつらいので
今日は時間もあるしダイオウグソクムシのことについて語ろうと思います。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%82%B0%E3%82%BD%E3%82%AF%E3%83%A0%E3%82%B7

はい。 詳しくはウィキペディアを読んでください。 あ、虫とか苦手な人はリンクを踏まない方が良いかもしれません。
なかなかキュートな面構えがなんとも言えませんね。 ほんとになんとも言えません。

というわけで、こんなモノを読んでくださってありがとうございました。
今日も良い感じの一日をお過ごし下さい。

コメント

No title

おもしろかった

No title

ああ、いいねこういう話

たまんねぇ

No title

妹は、男が始めに一目惚れした方だったんだな。

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